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シャドウハーツとクーデルカの関係を時系列でネタバレチェック

1898年、ウェールズの片田舎にひっそりと建つネメトン修道院。

その薄暗い回廊に漂うのは、どこか生臭い空気と人ならざる気配。

こう書くとホラーテイスト満載ですが、「クーデルカ」と「シャドウハーツ」シリーズにおけるダークでファンタスティックな魅力は、じつはこの修道院からすべてが始まっております。

いえいえ、ほんとに大丈夫ですよ。

腰が抜けるような絶叫ホラーではなく、どちらかというと背筋がゾワっとする怪奇世界に、RPG的バトルと重厚な人間ドラマが合体した作品群なのです。

そんな『クーデルカ』と『シャドウハーツ』がどのように「時系列」で繋がっているのか——これを存分に堪能していただくには、しっかりとしたネタバレ解説が必要。

しかも、どちらも時代背景がリアルな歴史(第一次世界大戦前夜など)と絡むため、ただのファンタジーにおさまらない重厚感があります。

ここでは、その繋がりをどーんとご紹介します。

要するに「15年という時間の隔たり」と、そこに潜む因果関係が醍醐味なんですね。

なお、話の途中で

「え、ここでカレンがタイムパラドックス⁉」

とか

「ウルは母がどうこう……」

といった衝撃の展開が目白押しです。

そう、プレイヤーを翻弄する細やかな仕掛けや伏線がテンコ盛り。

いわば、あんぱんの中にぎっしり詰まったあんこのような感じ……って、例えが既にズレてる気もしますが、とにかく盛りだくさんです。

ネタバレOKな方はぜひ最後までお付き合いを。

ここから先、読むか読まないかはあなた次第——ひとたび記事の深部へ踏み込めば、もう戻れません(といいつつも、たぶん読んでも怖くはないのでご安心を)。

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ゴシックホラーの原点クーデルカ(1898年)

ネメトン修道院の闇に挑む少女

物語は1898年のイギリス・ウェールズ地方が舞台。

目立った観光地でもない寒々しいその地に、廃墟と化したネメトン修道院が佇んでいます。

ここが『クーデルカ』の主戦場。

夜な夜な呻き声が聞こえそうなゴシックホラー要素が満載のこの修道院、じつはかつて宗教的な施設として機能していたのですが、時代の流れとともに廃れ、今では怪奇現象が頻発する“曰くつき”の場所となっています。

主人公クーデルカ・イアサントは強い霊感(というか霊能力)を持つジプシーの少女。

何やら「亡霊の声」に導かれるまま修道院へ乗り込んでしまうのですが、これぞホラーRPGならではの導入。

明らかに雰囲気が

「行くな!」

と言っているのに、主人公は

「何この声、行くしかないっしょ!」

というメンタルで踏み込むわけです。

この一見ムチャクチャにも見える行動が物語の扉を開きます。

霊能力とユーモアの微妙な関係

クーデルカは口が悪く、ちょっとトゲトゲしい性格をしていますが、実は慈悲深い面もある。

のちに分かるのは、

“苦しむ魂の叫び”に手を差し伸べずにはいられない

という彼女の優しい本質。

だからこそ修道院に漂う怪奇現象の真相を突き止めようとしてしまうのです。

もし彼女が

「今日は寒いし帰ろっと」

と思っていたら、一連の事件は起こらなかったかも。

まあ、それではゲームになりませんけども。

エドワード・プランケットとの出会い

修道院のなかを探索し始めたクーデルカは、冒険者エドワード・プランケットと遭遇します。

エドワードは

「宝と美女の噂を聞きつけてきたんだよ〜」

というノリの、いかにもフットワーク軽めの若者。

はい、だいたいそういう人、ホラー映画では真っ先に狙われがちですが、本作でもきっちり危険に遭遇します。

ただし彼は生き残り、クーデルカと運命を共にすることに。

二人は最初は反発し合いつつも、怪物との戦いをこなすうちに共闘関係へと移行し、最終的には互いを信頼するパートナー的存在になります。

ここで登場するエドワードの快活さは、本作の陰鬱さを和らげる潤滑油のようなもの。

クーデルカの冷めたツッコミとエドワードの軽妙な返しが、トンネルの向こうからちらつく怨霊の影をちょっとだけ薄めてくれます。

ホラー作品でもやっぱり適度な会話劇は必要ですよね。

ジェームズ・オフラハティー神父とエミグレ写本

もう一人の主要人物、カトリック司祭ジェームズ・オフラハティーはヴァチカンから盗まれた魔道書「エミグレ写本」を回収する任務に燃えています。

どうやらこの写本には

“死者を蘇らせる”

という禁断の秘術が記されているらしく、その力に手を出すとマズいことになる、と。

しかも修道院を所有するパトリック・ヘイワースは、その秘術をガチで使ってしまった様子……。

はい、もう想像がつきますよね。

死者を蘇らせちゃいけないって、どれだけフィクションで言われていることか。

学習しない人類の悲しき性です(ゲーム内の話ですが)。

ところがジェームズ神父には個人的な事情もあり、なんとパトリックが蘇らせようとした亡き妻エレインには“以前からの特別な想い”があった。

要するに三角関係の過去があるとかないとか。

そんな複雑な感情が入り混じったまま、「エミグレ写本」をめぐる修道院の怪奇事件へ飛び込んでいくわけです。

蘇生実験とモンスター化したエレイン

クーデルカの世界観を象徴するのが、この“死者蘇生”の裏に潜む大いなる歪み。

パトリックは愛する妻エレインを取り戻そうと写本を使いますが、蘇るどころか凶暴な化け物が生まれ、修道院全体を呪いの巣窟へと変えてしまいました。

おまけに修道院の管理人オグデン夫妻は、エレインを守るとかいう名目で外来者を毒殺して回る始末。

エドワードもクーデルカも下手したらこの夫婦の犠牲になるところでしたが、なんとか返り討ち。

結果として、修道院には無数の無念の霊が積もり、現世への怨念が充満。

そんな場所に好き好んで踏み込むのは、もはや霊能力者か冒険者ぐらいしかいないというわけですね。

地下聖堂での最終決戦

物語は地下聖堂に潜みしエレインの不死の身体との対峙へと向かい、最終的にはジェームズ神父が自分の命と引き換えにエレインを浄化。

エドワードとクーデルカは辛くも生還し、修道院は大火により消滅します。

ホラーからの解放が一気にやってくるラストシーンは、どこか幻想的。

重苦しさを漂わせながらも

「ふう、なんとか終わったね……」

という安堵が押し寄せます。

ここで注目は

“クーデルカとエドワードが夜明けを迎えるまでにちょいとイイ雰囲気になっちゃった”

という展開。

このワンシーンが、のちのシリーズ展開を大きく左右するという伏線なので要チェックです。

焚き火の前でハートが燃え上がったんでしょうか……

やっぱり極限状態にある男女は一気に距離縮まりますね。

ハリー・プランケットの誕生と15年後への繋がり

エンディングでは明確に描かれませんが、クーデルカとエドワードの間には息子ハリーが生まれます。

たった一晩で何があったかは大人の想像力にお任せするとして、これが『シャドウハーツ』につながる最重要伏線。

つまりクーデルカとエドワードが“家族”を作り、そこから新たな物語がスタートしていくのです。

もし彼らがあの夜修道院で別行動をしていたら、シャドウハーツのストーリーは始まらなかったかもしれません。

歴史は紙一重ですね。

世界観が広がるダークファンタジーRPGシャドウハーツ(1913〜1914年)

満州の軍用列車で始まる波乱

クーデルカの出来事から15年が経過した1913年。

舞台は一気に中国大陸へ飛び、当時の満州を疾走する軍用列車のシーンから物語がスタートします。

ここで登場するのが今作の主人公、ユーリ・ヒュウガ(通称ウル)とヒロインのアリス・エリオット。

アリスは退魔師の父親が何者かに殺され、自身も日本陸軍に囚われて護送されている状況。

そして車内には“ロジャー・ベーコン”を名乗る怪しげな紳士が突然出現し、護衛の兵士たちを一網打尽に——なんていう、いかにも「ここからめっちゃ事件が起こりますよ」感満載の展開です。

ウルは頭の中で囁き続ける“謎の声”に突き動かされるように列車に乗り込み、アリスを救出。そのまま二人は列車から逃走。

実際、これがシリーズ全体の本格的な冒険の始まりであり、

「行き先はわからんがとりあえず逃げよう!」

みたいな勢いがめっちゃ熱いのです。

ウルを導く“謎の声”の正体

ウルは幼少期から頭に誰かの声を聞き、彼を守る行動へと誘導されてきました。

その声が

「アリスを救え!」

と命じたのをきっかけに行動を起こしたわけですが、その声の主こそ、15年前に修道院で死線をくぐり抜けたクーデルカ・イアサント。

強大な霊能力を持つクーデルカは、遠く離れた場所でもウルにテレパシーのような形で呼びかけていたんですね。

つまり『シャドウハーツ』は、前作の主人公(クーデルカ)が“声”として登場するという仕掛け。

あのクーデルカがどうしてウルにメッセージを送っているのか……

その裏には彼女自身が抱えている“ある事情”が隠されています。

というわけで、前作をプレイしているファンには

「おお、こいつ繋がってる!」

とテンションが上がる瞬間です。

邪教儀式とウルの覚醒中国大陸編

列車を脱出したウルとアリスは、中国各地を旅することに。

仲間には陰陽師の朱震(ゼージュン)や秘密工作員マーガレットなど、ちょっとクセの強い連中が加わってにぎやかなパーティーを形成します。

ここで大きな山場となるのが、大陰陽師デフアイが企む「鬼門御霊会」という邪教儀式。

アリスを生贄に捧げることで強大な悪神を呼び出そうとするプランを阻止しようと、ウルたちは上海などを巡って戦いを繰り広げます。

クライマックスでウルは伝説の鬼神“天凱凰(Seraphic Radiance)”を自身に降ろす力に目覚めますが、圧倒的パワーは彼の精神を食いつぶしかねない危険な代物。

ウルはなんとか理性を保ちますが、デフアイを撃破した代償は大きく、いったん気を失ってしまいます。

アルバート・サイモンと外なる神ヨーロッパ編

暴走しかけのウルを救うため、アリスや仲間たちはヨーロッパへ移動。

ここで初めて、謎の紳士“ロジャー・ベーコン”を名乗っていた黒幕アルバート・サイモンの本性が明らかになります。

彼は人類の愚かさを嘆き、「四冊の経典」(エミグレ写本、ルルイエ異本、バルスの断章、無名祭儀書)を集めて外なる神(Meta-God)を召喚し、この世界を粛清しようと目論んでいました。

そしてクーデルカの悲劇を引き起こした張本人——そう、ネメトン修道院でパトリックがエミグレ写本を入手できたのも、アルバートが裏で糸を引いていたから。

つまり15年前のあの修道院事件は、アルバートの計画の序章にすぎなかったというわけです。

要するにアルバート・サイモンはとてつもなく厄介な大ボス。

ウルたちは彼の凶行を食い止めようと奮闘し、世界各地を奔走します。

クーデルカとハリー・プランケットの登場

物語終盤、ウル一行はロンドンでハリー・プランケットという孤児の少年と出会います。

ここで

実は母親が異端審問会に連れ去られた

という彼の話を聞くと、その母親の名が……クーデルカ。

ここでやっと、あの修道院で生き延びたクーデルカがさらに悲惨な境遇に陥っていることが判明します。

ハリーの父親はエドワード。

つまりハリーはあの二人の間に生まれた息子なんですね。

強力な霊能力を受け継いでおり、母クーデルカを助けるためなら何でもするという覚悟を持っています。

こうしてウルたちと目的が合致し、みんなでクーデルカを救出する流れへ。

クーデルカはアルバートに拷問されても屈しない凄まじい根性を見せ、ウルたちは彼女を解放したあと、ついにアルバート・サイモンが呼び寄せようとしている外なる神との最終決戦に臨むことになります。

最終決戦とエンディングの分岐

アルバートはついに巨大なる外なる神(Meta-God)を召喚し、世界を破滅へ導こうとします。

ウルたちは総力を挙げてこれと対峙し、死闘の末、神を倒すことに成功。

ところがエンディングには2種類の結末が用意されているのがミソ。

  1. バッドエンディング(公式の正史)
    アリスがウルにかけられた呪いを肩代わりし、そのまま命を落としてしまう。
    ベッドで息絶えるアリスを看取るウル……
    という非常に切ないラスト。
    続編『シャドウハーツII』ではこちらが正史扱い。
  2. グッドエンディング
    アリスが生存し、ウルと共に列車で旅を続けるハッピーエンド風の描写。
    こちらはプレイヤーにとってのご褒美的IF展開ですが、公式には“アリス死亡”がストーリー上の本筋として次作へと繋がります。

どちらの結末にしても、クーデルカは救われ、ハリーと共に“出稼ぎに出た夫エドワードの元へ向かう”という希望を持って物語から退場します。

前作からの因縁が見事に繋がり、クーデルカが再び人生を取り戻す様子は多くのプレイヤーの胸を打ちました。

愛と喪失を背負ったウルの再起シャドウハーツII(1915年〜)

バッドエンドから半年後のヨーロッパ

『シャドウハーツ』バッドエンド(アリス死亡)のルートを正式な続編として拾うのが『シャドウハーツII』。

時は1915年、すでに第一次世界大戦が勃発しており、ウルはアリスを喪った心の傷を負いながら欧州戦線で自暴自棄に近い生活を送っています。

そこにドイツ軍少尉カレン・ケーニッヒが登場。

ウルが持つ“融合能力”や失意の背景を知った彼女は、国の対立を越えて

「この人を放っておけない」

という気持ちを抱き、共に行動を始めます。

前作でのアリスの役割をある程度引き継ぐようなポジションともいえます。

サピエンテス・グラディオとラスプーチン

今作では新たな敵として「サピエンテス・グラディオ」という秘密結社が暗躍。

古代の秘術を駆使し、世界を変革しようという危険思想を掲げています。

物語の中盤ではロシア編が大きな見どころで、妖僧ラスプーチンやロシア皇女アナスタシアなど、史実をモチーフにしたキャラクターが登場。

混沌の大戦下でウルたちは再び世界を救う戦いに巻き込まれます。

前作に登場した陰陽師の朱震や美女スパイ(?)のマーガレット、あるいは吸血鬼キースの弟ジョアキムなど、おなじみの顔ぶれや新キャラが入り乱れてストーリーを彩ります。

日本編とウルの血筋

物語が後半になると、日本へ舞台が移動。

ウルの家系や日向甚八郎(彼の父)の謎が深く掘り下げられ、前作でも少し触れられた“鬼門御霊会”の因縁が再度浮上してきます。

倩女(せいじょ)と呼ばれる妖しい存在や、ウルに纏わりつく呪いの根源が明らかになるなど、ファンにとっては

「おお、ここまでやるのか!」

というぐらい設定が掘り下げられます。

カレンをはじめとする仲間たちは、ヨーロッパだけでなく日本でも大忙し。

現実世界の大戦とファンタジーが巧みに融合しているのが独特ですよね。

カレンが招くタイムパラドックスエンディング分岐

クライマックスでウルは時空の裂け目に飲み込まれ、最後の選択を迫られます。

ここでも2つの結末があり、

  1. グッドエンディング
    ウルが「一番幸せだったとき」に戻りたいと願った結果、なんと1913年の列車でアリスと初めて出会った場面へタイムリープします。
    そこにはカレンがおらず、彼女は時間の狭間に取り残される形に。
    実はカレンこそウルの母アンネになったという説が強く暗示され、ファンの間でも
    「マジか!」
    と衝撃を与えました。
    いわゆる“時空転生もの”と恋愛ドラマが混じった壮大な伏線回収です。
  2. バッドエンディング
    ウルは自ら死を選び、魂だけの存在となって愛するアリスのもとへ旅立つ形。
    現世的には悲劇ですが、彼にとっては幸せでもあるという二面性があります。
    こちらは相当切ない余韻を残しますが、
    「愛する人と死後の世界で再会した」
    と思えば救いも感じられます。

どちらの結末もウルにとっては一種の救済であり、ただしその道筋が大きく違うというのがニクい演出。

“この物語の主人公は最終的にどうなるのか?”

という問いにプレイヤーが答えを出す形ですね。

いずれにしても、カレンの行動が時空を超えるきっかけになったり、アリスへの愛が死後の世界を勝ち取ったりと、『シャドウハーツII』は初代よりもさらに幻想的なテーマへ踏み込み、プレイヤーの心を揺さぶります。

シリーズ最終作のスピンオフ的展開シャドウハーツ フロム・ザ・ニューワールド(1929年)

舞台がアメリカへ拡大

物語の舞台が1929年のアメリカとなり、主人公もジョニー・ガーランドという新キャラに替わるのが『シャドウハーツ フロム・ザ・ニューワールド』。

いわば前2作から少し距離を置いたスピンオフ的な作品であり、禁酒法時代のニューヨークや南米などを股にかける冒険が繰り広げられます。

ただし、前作までのキャラクターがガッツリ登場するわけではないものの、ロジャー・ベーコンやエミグレ写本など、シリーズを象徴する設定が再登場。

つまり

「同じ世界観を共有しているよ」

という位置づけであり、過去作との繋がりを感じるファンもニヤリとできる構成になっています。

ジョニー・ガーランドと新たな仲間たち

ジョニーは若き探偵で、記憶の一部を失っている。

依頼を引き受けた先で様々な怪事件に巻き込まれ、ネイティブアメリカンの巫女シャナイアや陽気なガンマン・リカルドなど、これまた個性的な仲間を得て、往年のシャドウハーツ的な“ちょっと不思議なRPG旅”を再現します。

シリーズの最終作ではありますが、物語的には前作までの直接的因縁は薄め。

とはいえ、

「ネメトン修道院はどうなったの?」

とか

「ロジャー・ベーコンは何を企んでるの?」

なんて要素がさりげなく盛り込まれ、ファン心をくすぐります。

1929年で一区切り

最終的に魔神レディとの決戦を経て、世界はとりあえず落ち着きを取り戻します。

『クーデルカ』の1898年から『シャドウハーツII』の大団円、そして『フロム・ザ・ニューワールド』を含め、およそ30年にもわたる一連の歴史絵巻がここで一旦完結。

この作品でのエンディングは比較的独立性が高く、前2作までのような重い因縁やキャラクターの継承ドラマは抑え気味です。

ただし「何か大きな問題が解決しきってはいないかもしれない」的な匂わせもあり、ファンの想像を刺激するラストとなっています。

重要な繋がりと共通要素

エミグレ写本

クーデルカで初登場し、死者蘇生という禁忌を掲げる魔道書。

パトリックがこれを手に入れたことがあの悲劇の発端でした。

その後、アルバート・サイモンによって世界各地で悪用され、シャドウハーツシリーズ全体のストーリーを動かすキーピースとなります。

“死者の魂を呼び戻す”という重厚なテーマが、各作品に深みを与え、ダークファンタジーの骨格をなす要素のひとつ。

そもそも蘇らせちゃいかんものを蘇らせると、ロクなことにならないという古今東西の王道パターンを踏襲しつつ、それが世界規模の破滅に直結しかける展開は見どころ満載です。

ネメトン修道院

クーデルカの舞台であり、シャドウハーツシリーズでも象徴的な場所として再登場。

修道院はすでに焼失しましたが、その名と存在は長らく語り継がれ、シリーズの背後に常にちらつくダークなイメージを支える地盤といえます。

「あのとき、あそこで始まった」感がシリーズファンにとって強烈な印象を残す聖地(?)的ロケーション。

ロジャー・ベーコン

実在の錬金術師をモチーフにしたキャラクターで、不老不死の魔術師。

アルバート・サイモンが彼の名を騙るなど、作中での役回りはなかなか重要。

クーデルカでは長い眠りについていた設定があり、シャドウハーツシリーズではプレイヤーを手助けする側に回ったりすることも。

シリーズをまたぐ“生ける接着剤”的ポジションであり、彼の飄々としたキャラ付けはファンから愛されています。

クーデルカ・イアサント

ゴシックホラーRPG『クーデルカ』の主人公であり、シャドウハーツ本編では「謎の声」としてウルをサポートしながら後半で直接登場。

エドワードとの間に生まれた息子ハリーを立派に育てる母となる一方、自身も拷問を受けるなど波乱に満ちた人生を歩みます。

要するに、“悲劇を背負いながら強く生き抜く女性キャラ”の典型。

『クーデルカ』での大胆不敵な言動とのギャップも魅力ですよね。

ハリー・プランケット

1898年生まれのクーデルカ&エドワードの息子。

『シャドウハーツ』では少年期で登場。

母の超能力を継承し、ウルを助ける活躍を見せます。

孤児仲間をまとめあげるリーダー気質を持ち、成長すれば相当頼もしい存在になると思われる人物。

彼を通じて

「クーデルカの物語がここに繋がったんだ!」

というファンの興奮がグッと高まる仕掛けになっています。

専門家の視点とファン評価

町田松三氏(シリーズのディレクター)は

「クーデルカをシャドウハーツの起点として意識した」

とインタビューで語っており、それがそのままシリーズ世界観の基盤になっています。

またファンコミュニティでは

「前作を知っているかどうかでシャドウハーツの味わいが違う」

という評価が多く、クーデルカとシャドウハーツの連続性がシリーズの魅力を何倍にも引き上げると歓迎されています。

さらに「フロム・ザ・ニューワールド」はレトロゲーマーから近年再評価される流れもあり、

「新作『ペニーブラッド』が出るならシャドウハーツもリマスターして!」

という声が止みません。

そりゃそうですよね、一度でも遊んだらあのダークテイストが癖になるのです。

最新動向と再評価ブーム

近年のレトロゲームブームで『クーデルカ』と『シャドウハーツ』シリーズへの注目度が再浮上。

プレイステーション初期やPS2時代の作品ですので、現行ハードでのプレイが難しい問題はありますが、それでも中古ソフトを求めるファンや配信/リマスターを待望する声が増えています。

あの独特の世界観を令和のグラフィック技術で見たい、という気持ちは大いにわかります。

また町田松三氏が手掛ける新作『ペニーブラッド』の発表に伴い、

「シャドウハーツの精神的後継だ!」

と色めきだつファンも多数。

再びゴシックで耽美なRPGを味わえるかもしれないと期待が高まっています。

そうなると、クーデルカ〜シャドウハーツ〜フロム・ザ・ニューワールドまで一通り復習したい派も多くなるでしょうし、いま遊んでみたいけど入手しにくい……

というジレンマが余計に深まりますね。

1898年から1929年へ至る壮大な物語総まとめ

クーデルカからシャドウハーツへ

ネメトン修道院でのゴシックホラー事件(1898年)は、15年後の『シャドウハーツ』へとダイナミックに繋がります。

クーデルカとエドワードが結ばれて生まれたハリー、死者蘇生を可能にするエミグレ写本、そして拷問を受けるクーデルカを救おうとするウルたち……。

これらの要素が互いに絡み合い、単なる前日譚を超えた

“同じ世界を共有する連続的ストーリー”

が生まれました。

ウル・アリスの悲劇と続編

初代『シャドウハーツ』でアリスがバッドエンドに至ると、『シャドウハーツII』ではその喪失を背負ったウルが再起する展開へ。

カレンという新たなヒロインの登場でタイムパラドックスまで巻き起こり、“もしあのとき歴史が違ったら”的な壮大なロマンが描かれます。

ここには死者との別れと再会という普遍的なテーマがあり、多くのプレイヤーを泣かせました。

フロム・ザ・ニューワールドで締めくくられる世界

最終作『フロム・ザ・ニューワールド』は、1929年のアメリカへと飛び、新主人公ジョニーらの冒険を描きます。

前作までの因縁は薄めですが、シリーズの根幹をなすキーワードが随所に織り交ぜられ、1898年から始まるダークファンタジーが自然に紡がれていきます。

最終的に魔神レディとの決戦を終え、ひとまずは“暗雲が晴れる”形で物語は一区切り。

シリーズとしてはここで幕引きとなりました。

キャラクター動機の深掘りと伏線回収

クーデルカ・イアサントの根源

クーデルカは

「困っている霊を助ける」

という衝動から修道院に来たわけですが、それが後にウルのメンター的ポジションにもなり、自身はハリーを授かり、シャドウハーツ世界にも関与していくことに。

特にクーデルカが声を送っていなければ、ウルはアリスを救出できなかった可能性があり、延いては世界規模の悲劇へ発展しかねなかった……

という面白い運命の連鎖が感じられます。

エドワード・プランケットの成長

当初は宝探しの軽いノリで修道院に来たエドワード。

クーデルカとの出会いで命の危機を何度もくぐり抜け、彼女の強い意志に触れるうち、真剣に怪異の謎を解決しようと行動を変えていきます。

最終的に彼女を守り抜き、息子ハリーが誕生するところまで発展。

『シャドウハーツ』ではあまり登場しませんが、遠くアメリカで家族を支える姿が想像され、ファンの妄想をかきたてます。

ユーリ・ヒュウガ(ウル)の愛と喪失

ウルは父の日向甚八郎が遺した力を継承し、“謎の声”に導かれつつ各地を転々とする存在。

しかしアリスと出会い、初めて「守りたい相手」を自分の意志で選ぶに至ります。

これが『シャドウハーツ』の物語を大きく動かした原動力であり、続編ではアリスを失ったことで喪失感に苛まれつつも、再び立ち上がるストーリーが描かれる。

愛する者を失ってもなお、人々を守る運命を背負うという姿勢は、シリーズを通して最大の感動要素です。

アリス・エリオットの自己犠牲

退魔師としての使命、そしてウルへの深い愛から、最終的に自ら死を選ぶ(バッドエンド)ことで彼を呪いから救います。

ここには

「愛する人を救うためなら自分が消えても構わない」

という崇高さがあり、また同時に、ゲームならではのマルチエンディングという形で、「生き延びるIF」も見せてくれる。

この二面性が、プレイヤーに強いインパクトを与えました。

続編がバッドエンドを正史として扱ったことで、アリスの自己犠牲は作品世界における“本当の出来事”となるわけです。

カレン・ケーニッヒの献身とタイムパラドックス

『シャドウハーツII』で登場するカレンは、ウルとの旅を続けるうちに強い愛情を育み、最終的には過去に取り残される(あるいはタイムスリップした)ことで彼の母アンネになる可能性を示唆。

要は

自分が好きになった人を存在させるため、自分がその人の母になる

という超展開ですが、

ここが強烈にロマンチックかつ切ない。

プレイヤーの多くが

「えええ!?」

と驚きつつも、

「あ、でもそういう理屈もありかも」

と妙に納得させられる不思議な構図です。

アルバート・サイモンの絶望

アルバートは世界を破壊する最強クラスの悪役ですが、彼の動機には「人類への深い絶望」があります。

争いが絶えない人間たちを見限り、外なる神を降臨させることで粛清しようと考える。

その過程でクーデルカを利用し、エミグレ写本の存在をさらなる狂気へ導いていくわけです。

いわば人類の醜さを熟知してしまった末の“極端な理想論者”という見方もでき、ただの魔王キャラに留まらない奥行きを感じます。

ラストシーンの衝撃と余韻

『クーデルカ』の夜明け

ネメトン修道院が燃え上がる中、クーデルカとエドワードがギリギリで脱出し、夜明けを迎えるラスト。

荒んだゴシックの空間に救いの光が差し込むような象徴的シーンであり、同時に二人の未来がここで生まれたことが今になって振り返ればシリーズ最大のキーポイントでした。

一見ホラーからの開放感で終わるだけかと思いきや、それが次の大物語の種になるとは誰が予想したでしょう。

『シャドウハーツ』のマルチエンディング

ウルとアリスの結末がプレイヤーの選択で変化し、バッドエンドは悲惨だけど物語としては筋が通るという展開。

ゲーム中に度々出てくる「アリスの不吉な運命の暗示」を考えれば、この結末は必然だったのかもしれません。

グッドエンドは救いを感じられますが、続編に繋がるのはバッドエンドというねじれが余韻を増幅します。

『シャドウハーツII』の時間逆行

カレンが時空を越えてアンネ(ウルの母)になったかもしれないという衝撃。

ウル自身が

「一番幸せだったときに戻りたい」

と願うことで列車の出会いへ巻き戻すエンディングは、プレイヤーに

「もしあのときアリスが生きていたら……」

という希望を見せるまさに救済シーン。

バッドエンディングの方も、死後の世界でアリスと再会するエモーショナルな締め方で、ハッピーともバッドとも言い切れない独特の味わいです。

『フロム・ザ・ニューワールド』のエピローグ

ここはメインキャラが刷新された分、前作までの恋愛や時空ネタのような“超絶ドラマ”は薄いですが、1929年のアメリカを駆け抜けた若者たちの冒険譚としてすっきり完結します。

シャドウハーツ独特の雰囲気(ホラー×コミカル×異界バトル)が保たれているので、締めくくりに相応しい楽しい作品。

シリーズ全体をプレイした後だと

「ああ、ここにもあの設定が……」

とニヤリとできる要素があるのが嬉しいポイントですね。

再評価と今後の期待

『クーデルカ』〜『シャドウハーツII』〜『フロム・ザ・ニューワールド』と渡り歩いてみると、1898年から1929年までの約30年間が舞台。

歴史的にはヴィクトリア朝末期から大正・昭和初期にかけてですから、そこにダークファンタジーが交わる図式はなかなかユニーク。

開発当時も

「現実の戦乱期をRPGに落とし込むってどうなの?」

と話題になったとかならなかったとか。

いまのプレイヤー目線では当時のポリゴン表現など古さも感じられる部分はあるかもしれませんが、その分シナリオの魅力や幻想的な世界観が際立ってる作品群といえます。

レトロゲームの味わい深さと、重苦しいテーマの描き込みにより、再評価の動きが非常に盛り上がっているのも当然の流れでしょう。

また町田松三氏が手掛ける新作『ペニーブラッド』が

「シャドウハーツの精神的後継じゃないか?」

と注目されており、シリーズファンは今か今かとそわそわ。

これを機に旧作のリマスターや移植が実現すれば、また多くの人がこの世界を体験できるはず。

いつの日かSteamで『クーデルカ』『シャドウハーツ』が配信されたら、長年待ち焦がれていた人々が鯉のように飛びつくのは間違いないでしょう。

この世界の扉を開くのはあなた結び

あらためて振り返ると、『クーデルカ』はホラーRPGという異色のジャンルから生まれた傑作であり、『シャドウハーツ』に直接繋がる作品であることが大きなポイントです。

多層的な伏線、キャラクターの動機、そして時空を超えるような展開によってダークファンタジーの境地を作り上げました。

シャドウハーツシリーズにおける“ゴシックホラー”と“冒険RPG”の融合は他に類を見ないほどオリジナリティが強く、ウルたちの物語は愛と哀しみを帯びた深い感動をプレイヤーに与え続けてきました。

もし未プレイの方がいれば、ぜひ1898年の修道院からじっくりと旅を始めてほしいもの。

いろんな意味で衝撃を受けるシーンは多々ありますが、そこで得られるカタルシスや「ゲーム体験としての達成感」は相当なもの。

あるいはシャドウハーツしか知らない方がクーデルカを遊んでみると、

「ああ、こう繋がってたのか!」

と一層シリーズを楽しめること請け合いです。

1898年の夜明け、1913年の満州列車、1915年の欧州大戦、1929年のアメリカ大陸……

これらが一本の線で結ばれたとき、『クーデルカ』と『シャドウハーツ』が生む壮大な世界観は見事に浮かび上がります。

大昔に遊んだ人も、まったく初見の人も、今こそあの濃厚なダークファンタジーにどっぷり浸ってみるチャンスかもしれません。

いつかまたリメイクやリマスターの情報が飛び込んでくる日を夢見つつ、このシリーズを愛するファンの声は途切れず響いているのです。

魂を縛られた亡霊のように……

いや、そこはもうちょっと明るい比喩がいい気もしますね。

ともあれ、クーデルカとシャドウハーツの時系列が生む深い連鎖を、ぜひご自身の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

ポイント

本記事は関連するゲーム作品のネタバレを含む形で、物語の流れを時系列順に徹底解説したものです。

1898年のゴシックホラー『クーデルカ』から1929年のアメリカを舞台とする『シャドウハーツ フロム・ザ・ニューワールド』まで、シリーズを通しての繋がりと伏線回収を網羅する内容となっています。

いま読み終えたあなたの頭のなかに、きっと邪悪な神とロマンと愛と時間跳躍が入り混じった不思議なイメージが広がっていることでしょう。

どうかその衝動を大事に、一度体験してみたい方は是非プレイ環境を整えてみてください。

あとはもう……修道院の闇があなたを待ち受けています。

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