『アークザラッドR』は、かつてプレイステーションで大きな人気を博した『アークザラッド』シリーズの正統ラインを継承しつつ、スマートフォン向けアプリとして配信された作品です。
初代『アークザラッド』とその続編『アークザラッドII』から約10年後の世界
を舞台に、未曾有の大災害「大崩壊」を乗り越えようとする人々の姿が描かれます。
多くのファンに期待されて始まったものの、
2021年6月30日のサービス終了
にともない、物語は未完のまま幕を下ろしました。
本記事では、その大枠のストーリーをはじめ、登場キャラクターの動機や関連するサイドストーリー、さらには「改ざんされた世界」というテーマが何を意味し、どこに行き着くはずだったのかを徹底的に解説・考察していきます。
過去に配信されていたサブイベントやキャラクターエピソードについても触れますので、ネタバレ満載である点にご注意ください。
読み進める方は未完の物語ならではの“無数の可能性”も含めて楽しんでいただければと思います。
スポンサーリンク
世界観とシリーズとの関係アークザラッドRとは?
大崩壊後の10年という時代設定
『アークザラッドII』のクライマックスでは、主人公アークと聖女ククルが闇の支配者を封印する代償として、世界の半分が崩壊する大惨事が発生しました。
これが「大崩壊」。
人口も大陸も半減し、文明が大きく後退する
という未曾有の変革を迎えた世界で、必死に復興を進めようとする人々を描くのが『アークザラッドR』です。
災厄から10年が経過し、海に沈んだ大陸の残された部分や、海上都市として形を成した地域を中心に、人類がなんとか息を吹き返している。
しかし、その復興をリードしていた軍事国家アルディア帝国が各地への侵略を本格化させたり、謎の黒騎士なる存在が暗躍したりと、再び世界に危機が訪れるのです。
こうした荒廃した世界を再生するため、新たな主人公ハルトと、水色の髪を持つ謎の少女ミズハを中心に物語は回り始めます。
ゲームとしてはシミュレーションRPGの形式をとり、戦略的なバトルシステムやキャラクター育成などが搭載され、スマートフォン向けに縦画面で遊びやすくなっていたのが特長でした。
スマホゲームとしての運営形態
2018年8月にサービスが始まり、イベントや大型アップデートで物語の続きや新キャラ、過去作キャラの参戦が次々と実装される“ライブサービス型”でした。
ユーザーはアップデートを待つことでストーリーの先が見られる仕組みでしたが、2021年6月30日にサービスが終了。
そこまでの更新で最終章直前までは描かれたものの、ラスボスたる「改ざん者」との決着まで至らず、事実上の未完となっています。
終了後はオフライン版が配信され、メインストーリーやサイドストーリーの一部を振り返ることが可能です。
ただし、新しいシナリオやバトルなどは追加されないため、最終章の結末は闇に包まれたまま。
これが多くのファンにとって大きな心残りとなっています。
大崩壊後の世界の行方ストーリーの骨子
本作は大きく分けて6つの章(プラスαのサイドストーリー群)で構成されており、第5章までは一通りのカタルシスを迎えながらも、その先にある「改ざん者との決着」が語られないまま終了しています。
以下に章ごとの概略を解説し、そこから派生する深い考察を順を追って展開していきます。
第1章ミルマーナと謎の少女ミズハ
ミルマーナという復興の拠点
舞台は「大崩壊」から10年後、水上都市国家ミルマーナ。
かつての大陸が大きく浸水し、各地のインフラや都市が崩壊する中で、一部の地域は海上に都市機能を移転して生き延びていました。
ミルマーナを率いているのは旧作『アークザラッドII』の英雄の一人、サニア公女。
サニアは聖櫃戦争(『II』の終盤)の際にも重要な役割を担った人物で、ここではリーダーとして新国家を築き上げ、難民を受け入れ、立て直しを進めています。
そんな彼女の庇護の下、物語の主人公ハルトや仲間たちが暮らしている……
という形ですね。
主人公ハルトの姿勢
ハルトはミルマーナ自警団の若き隊員。
過去の大崩壊によって家族を失った経験からか、周囲との距離を置きがちな一匹狼タイプです。
「自分の守れる範囲でいい」
「他人のことは干渉しない」
という冷めた性格で始まりますが、物語冒頭の事件を機に運命が動き出します。
ある日、ミルマーナ近郊の村が軍事国家アルディア帝国の戦艦に襲われる事件が発生。
自警団として救出に向かったハルトは、
艦内に囚われていた謎の少女・ミズハ
を発見。
彼女を助けたことで、今後ハルト自身がアルディア帝国から狙われる立場となってしまうのです。
水色の髪の不思議な少女・ミズハ
ミズハは水色の髪を持ち、どこか
“現代の常識が通じていない”
ような発言や態度を見せる少女。
アルディア帝国が執拗に彼女を追う理由は謎ですが、どうも世界の行方を左右する特別な力を持っているらしい。
この時点では、ミズハ自身も自分の素性を知らず、記憶があやふやで
「どこから来たのか」
「なぜ帝国に狙われるのか」
すら分からない。
だが、シリーズファンとしては
今後の物語の鍵を握るヒロインである
というのが見え見えです。
すでに彼女の口からときどき出てくる“未来から来たような”言動がプレイヤーの好奇心をかき立てます。
旧作キャラとの再会
ミルマーナにはサニアはもちろん、精霊使いリーザやイーガ、楽師ポコ、チョンガラなど『アークザラッドII』での仲間キャラが何人も在籍しており、復興活動や街の治安維持を手伝っている姿が垣間見えます。
ここで旧作ファンは
「あのキャラが10年後にこう動いているんだ」
と懐かしさと新鮮さを同時に味わえるわけです。
そしてミズハを助けたハルトは公女サニアに助力される形で、アルディア帝国の追撃をかわすためミルマーナを出ることに。
半ば強制的な“逃亡の旅”ですが、最終的には世界規模の危機に巻き込まれていくきっかけにもなる重大な出立と言えます。
第2章各地への旅とアルディア帝国の影響
アルディア帝国の台頭
ミルマーナを脱したハルトとミズハは、アルディア帝国の支配が広がりつつある各地域を転々とします。
そこで見えるのは“復興を追い風にして急激に発展し、世界を支配しようとしている軍事国家”としてのアルディア帝国の姿。
彼らは領土拡大だけでなく、古代遺産や精霊の痕跡を探しているそぶりがあり、なにやらきな臭い研究を行っている様子です。
世界が半壊しているために、統治機能が弱まった地域も多く、帝国の横暴を食い止める勢力がなかなか育たない。
そこを突く形でアルディア軍が進軍しているため、地方の人々は苦しめられているのが現状です。
ブラキア地方とレジスタンス
特に印象的なのが、かつて“ブラキア地方”と呼ばれた地域。
旧作『II』で登場したグルガがここでレジスタンス活動を行い、祖国を取り戻すために帝国軍に抗っている設定になっています。
ハルトたちが彼らと協力し、各地の住民を救援する流れで物語が進むため、段階的に
「帝国が狙っているのは何か」
「帝国の陰には別の存在がいるのでは」
というヒントが散りばめられることに。
また、この章でハルトとミズハの間にも一種の“信頼関係”が芽生えてきます。
最初は気乗りしなかったハルトも
「やはり、困っている人を放っておくわけにはいかない」
と徐々に他者を守るスタンスへシフトしていくのです。
ミズハの言動と謎の加速
各地を旅するうちに、ミズハは自分の意識とは裏腹に
「先の未来を知っているかのようなこと」
を口走ったり、古代遺産を見ても驚かない態度を見せたりと、その不可解さが増していきます。
帝国が彼女を執拗に狙う理由も含めて、
「この少女はいったい何者なのか」
「本当に未来人なのか?」
といった謎が章を追うごとに深まる仕掛けです。
第3章黒騎士の暗躍と仲間の闇落ち
謎の黒騎士登場
ここから「アルディア帝国の脅威」だけでなく、それ以上に大きな謎を背負う存在がストーリーの表に出てきます。
漆黒の甲冑に身を包み、圧倒的な闇の力を操る黒騎士。
彼は帝国の兵を蹂躙する一方で、ハルトやミズハにも興味を示しているらしく、
各地で災厄を拡散しながら姿を消す
というミステリアスな行動を繰り返します。
黒騎士の足取りを追うと、どこでも魔物の活性化や瘴気の発生など、世界を破壊するような悪意が見え隠れし、これは帝国すら手が出せない存在——ということで、ハルトたちは
「真の敵は帝国ではなく、黒騎士とその背後にある何かでは」
と考え始めます。
ヴァリオの闇落ち
ハルトがミルマーナの仲間として信頼していた青年ヴァリオが、この章で黒騎士の闇の力に取り込まれる展開がショッキングに描かれます。
ヴァリオは
「もっと強くなりたい」
「自分は弱いままでは仲間を守れない」
という葛藤を抱えており、そこを黒騎士につけこまれてしまうのです。
結果として、幼馴染であるハルトにまで刃を向ける事態になり、物語としては“仲間の裏切り”という王道的かつ熱い局面を迎えます。
ハルトは
「かつての親友を救えるのか」
「闇に蝕まれた心は戻せるのか」
と苦悩し、黒騎士の恐ろしさをより強く実感することに。
旧作キャラの再集結
同時に、トッシュやリーザなどの旧作キャラも積極的に合流し、黒騎士の脅威を撃破しようとする展開が増えていきます。
シリーズファンにとっては
「懐かしい面々がR世界でも頑張っている!」
という嬉しい再会要素であり、物語としても“若い世代のハルト&ミズハ”と“ベテラン勢”が力を合わせる構図が熱いポイントです。
黒騎士がときおり発する言葉に
- 改ざんされた世界
- 時渡り
など意味深なフレーズが混ざり、プレイヤーの「何それ?」感を増幅させる章でもあります。
第4章古代の真実と精霊の試練
古代文明と精霊
シリーズには欠かせない五大精霊(火・水・風・土・光)が、本作でも登場します。
第4章ではハルトが各地で精霊の加護を得たり、“古代の神殿”で試練を受けたりする描写が増えます。
かつて初代主人公アークが歩んだ道を思わせる展開で、ファンとしては
「来た来た、この流れ!」
とワクワクする部分です。
本来なら精霊の試練は、
世界を救うほどの強い意志を持った人物
でなければ乗り越えられない設定。
冷めた青年だったハルトが次第に“器”としての資質を発揮していくのがポイントで、彼は自分の中に眠る光の力を認め始めることになります。
改ざん者(根源の神)の影
最重要なのは、
“改ざん者”という存在の正体
がこの章でちらりと明かされること。
3000年前の闇黒の支配者(人間王)であり、封印を逃れて再び世界に闇を振りまこうとしている。
しかも、それに
七勇者の一人が堕とされ、黒騎士として現代に蘇った……
という流れが示唆されます。
さらに、ゴーゲン(古の七勇者の一人で大賢者)も登場し、ハルトたちに協力を申し出る。
この時点で
R世界は本来の歴史とは違う、改ざん者の手によって“改ざんされたパラレルワールド”なのだ
という衝撃的な真相が明かされていきます。
ミズハの“時渡り”
同じく、この章あたりでミズハが“時渡り”の能力を持つ存在であることが強く示唆されます。
彼女が未来を知るかのような口ぶりを見せていたのは、改ざん前の歴史、あるいは本来の時間軸を少しでも覚えていたからではないかというわけです。
つまり、改ざんされたR世界を修正できる鍵となるのが、このミズハの時渡り能力。
黒騎士やアルディア帝国が彼女を狙うのも、改ざん者にとって脅威となる力を持っているから……
という理屈がつながり始めるのが第4章最大の見どころです。
第5章黒騎士との最終決戦と仲間の救済
表の敵を超えた裏の戦い
第5章では、長らく苦しめられてきた黒騎士とハルトたちの最終決戦が描かれます。
黒騎士の正体は古の七勇者であるバルダ。
かつては世界を救う側だった彼が、改ざん者によって闇に堕とされ、「黒騎士」として行動していたのです。
ハルトたちと旧作キャラ(リーザやトッシュなど)が総力を結集し、幾度もの死闘を経て黒騎士を討伐。
ヴァリオも闇から解放し、仲間として救い出すことに成功します。
この一連の流れは物語の大きな山場で、プレイヤーとしても最初の“全力決戦”を味わう場面でした。
アルディア帝国の崩壊と講和
黒騎士に頼っていた(あるいは利用されていた)アルディア帝国も、その巨悪を失った結果、戦意を失います。
皇帝や将軍たちは講和に応じて軍を退き、世界各地の独立勢力との対立が緩和される方向へ……。
こうして、一度は世間的に大きな争乱が終息し、ハルトたちは
「これで平和が戻るかもしれない」
と胸をなで下ろします。
しかし物語的には、これで終了とはいかない。
黒騎士はあくまでも“改ざん者の尖兵”にすぎず、真のラスボスはまだ影に潜んでいる状態です。
未完ではあるがひとまずの達成
実質的にこの第5章の黒騎士戦が、プレイヤーにとって大きなクライマックスでした。
ハルトは仲間を救う責任感を強く抱くようになり、ヴァリオと再び友情を取り戻し、自分の殻を破る大きな成長を見せます。
シリーズ的にも、旧作との競演で大いに盛り上がるパートであり、「中ボス的ラスボス」を倒すことで一旦の大団円を迎えた構成でした。
第6章改ざん者との対峙、そして未完のラスト
真の黒幕・改ざん者
改ざん者は自称“根源の神”とも呼ばれ、世界そのものを自分に都合よく作り替えるため“改ざん”を行う存在。
3000年前に封印された闇黒の支配者(人間王)が何らかの方法で復活し、歴史を好き勝手に変えてしまった結果がR世界だといえます。
黒騎士を失った改ざん者は、いよいよ自らの手で世界を完全に改変しようと動き始めます。
世界各地で時空の歪みが発生し、人々の記憶や土地が書き換わりそうになるなど、いわば時間崩壊が加速。
ハルトたちは
「このままではR世界が完全に破壊される」
と知り、改ざん者に直接挑む決断を下すわけです。
トキワタリの方舟とミズハの覚悟
異空間へ乗り込み改ざん者を倒すには、トキワタリの方舟と呼ばれる古代装置が必要だと判明します。
これはかつて古の七勇者が使ったとされる時空航行の術であり、改ざん者が歴史を改変する際にも用いられたと推測されます。
ミズハは自分の“時渡り”の力でこの方舟を動かす覚悟を決め、ハルトや仲間たちとともに最終決戦へ乗り出すことに。
ちょうどその頃、アークザラッドの初代主人公アークとヒロインのククル(封印の代償で消息不明だった)が
改ざん者に囚われていた
という事実や、アークの復活が示唆されるなど、シリーズファンが狂喜乱舞しそうな展開が一気に押し寄せます。
……が、この一番盛り上がる手前でサービス終了。
ハルトたちが
「行くぞ、改ざん者を倒すんだ!」
と声を上げ、ミズハが方舟を起動するシーンで暗転。
物語は幕を下ろしてしまいました。
オフライン版でも最終決戦自体は描かれず、プレイヤーの想像に委ねられたままです。
より深く世界を補完サイドストーリー・外伝要素
本編以外にも多くのサイドストーリーや期間限定イベントがあり、メインシナリオでは描ききれないキャラクター背景を掘り下げる仕組みが充実していました。
ここでは代表例として「記憶浄化編」と「ロストレガシー」シリーズを取り上げ、その意義を解説します。
記憶浄化編
「記憶浄化」は、大型アップデートによって追加されたシナリオ群で、それぞれの主要キャラの“過去”と“現在”が二部構成で描かれる形式を取っています。
- 記憶編:サニアやトッシュ、グルガ、リーザ、エルクなど、旧作の重要人物たちが大崩壊前後に何を経験したかを振り返るパート。若き日の葛藤や戦い、あるいは『II』のエンディングから本作までの空白が描かれる。
- 浄化編:現代パートで、記憶編で向き合った過去を心の整理として“浄化”するパート。自分の弱さや負い目を乗り越え、より前向きに生きようとするドラマ。
とりわけエルクの回では『II』での壮絶な体験(“白い家”の事件や仲間の死)が改めて掘り下げられ、R世界における彼の立ち位置や精神面が克明に描かれたのが話題となりました。
ファンには嬉しいサービスが詰まっており、“R世界の時代”と“旧作の時代”を繋げる大きな役割を担うコンテンツでした。
ロストレガシー
こちらはイベントストーリーとして断続的に配信されたシリーズ。
アークザラッドIIIの主人公アレクが登場し、
“R世界とIII世界がどう関わるか”
を示唆するようなエピソードが展開されます。
アレクは当初、アルディア帝国側として登場するという驚きの展開を見せ、
“本来の歴史では冒険者として活躍した彼が、R世界だとこうなるのか”
という面白さを提供。
さらにポコなど旧作の面々とも絡みがあったり、謎の瘴気事件の黒幕を追う流れで
「改ざんされた世界とは何なのか」
をさらに掘り下げていました。
こうした外伝ストーリーが豊富だったため、メインシナリオで見えにくい部分——たとえば
「大崩壊中、各キャラがどうしていたのか」
「R世界は具体的にどのように改変されているのか」
が徐々に補完され、それが本作の厚みを作り出していたわけです。
主要キャラクターの動機・伏線まとめ
ここでは改めて、物語を牽引するキャラクターの役割や伏線、そして未回収に終わった部分をコンパクトに整理します。
ハルト
- 役割
ミルマーナ自警団員。
序盤はどこかクールな青年。
ミズハを救ったことをきっかけに帝国や黒騎士との戦いに巻き込まれる。
精霊の加護を得て“世界を救う器”へと成長し、仲間を大切に思う心も強めていく。 - 伏線/未回収要素
- 家族や故郷を大崩壊で失った背景が明確に語られないが、断片的に示唆される。
- 改ざん者との最終決戦に挑む直前で物語終了。彼自身がどのようにラスボスを倒すかは描かれない。
ミズハ
- 役割
水色の髪を持つ謎の少女。
記憶喪失的な状態ながら“時渡り”の能力を有し、改ざんされた世界を修正しうる存在。
ハルトに救われた後、旅をともにしながら自らの使命を自覚していく。 - 伏線/未回収要素
- 「本来の歴史」から送られた未来人か?
という明示的な説明はあれど、詳細が全部語られたわけではない。 - 方舟を起動する最終局面で物語が止まり、彼女が改ざん者を本当に倒せたのかなどは不明。
- 「本来の歴史」から送られた未来人か?
黒騎士(バルダ)
- 役割
古の七勇者の一人でありながら闇に堕ちた存在。
シリーズの中ボス的なポジションで、改ざん者に仕える最強の尖兵。
ハルトたちを苦しめ、各地に瘴気を巻き散らす。 - 伏線/未回収要素
- 第5章で正体が判明し、ハルトらに討ち取られる。
闇に落ちた過程などはある程度語られるが、改ざん者とのやりとりや詳細はやや駆け足。
- 第5章で正体が判明し、ハルトらに討ち取られる。
改ざん者(根源の神)
- 役割
R世界を丸ごと作り変えようとしている黒幕。
3000年前に封印された闇黒の支配者(人間王)の再来。
史実や歴史を書き換える恐るべき力を持つ。 - 伏線/未回収要素
- 物語最終章で直接対峙するはずが未完。
倒されたかどうかすら描かれない。 - アークやククルをも囚えていた真相や、世界改変の最終目的の詳細など不透明。
- 物語最終章で直接対峙するはずが未完。
ヴァリオ
- 役割
ハルトの幼馴染でミルマーナ自警団の一員。
黒騎士の闇の力に付け込まれて一時的に闇落ち。 - 伏線/未回収要素
- 第5章で救済される形で闇から解放され、その後はまた仲間として復帰。
- 改ざん者との最終決戦にどう絡むかは語られない。
アーク&ククル
- 役割
初代『アークザラッド』の主人公とヒロイン。
闇の支配者を封印した代償で大崩壊が起こり、R世界では行方不明に。 - 伏線/未回収要素
- 第6章でククルが改ざん者に囚われていたと発覚し、アークの復活が示唆される。
- 戦う姿や結末は描かれず、ファンの想像に委ねられる。
未完結ゆえに広がる考察
「改ざん者との最終決戦はどうなったのか?」
「ミズハの時渡りの末にR世界は消滅したのか、それとも存続したのか?」
といった大きな疑問は、ゲーム本編内で回収されることなく終わりました。
そこで、多くのファンは独自の解釈や考察を行い、あらゆる“もしも”を語り合っています。
改ざん者を倒し、R世界が本来の歴史へ合流する説
オーソドックスなのは、最終的にハルトたちがラスボスを倒し、ミズハの時渡りの力で
R世界が“改ざんされる前”の世界へ統合される
というストーリー。
過去作ファンの一部は
「そして『アークザラッドIII』に繋がるのだろう」
と想像します。
ただし、
“R世界がそもそも別の時空にあるパラレルだから、改ざんが解かれたらR世界自体が消えるのではないか”
という悲観的な見方もあり、ハルトらが消滅してしまう切ない結末を想像する人もいるようです。
R世界が独立したまま続く説
もうひとつは、改ざん者を倒してもR世界はそのまま残り、ハルトたちが独自の歴史を歩むパターンです。
この場合、ミズハが本来いた世界(正史)へ帰還するか、もしくはR世界に残るかで展開が変わります。
“ハルトとミズハの別れ”を避けたいプレイヤーは
「きっとミズハはR世界に留まり、みんなで新しい未来を切り開く」
とハッピーエンドを想定することもあるし、逆に“どこか切なさを伴うラスト”を好む人は
「ミズハは使命を全うし、本来の時代へ戻る。ハルトは彼女との思い出を胸に復興を続ける」
という味わい深い余韻を持たせる派もいます。
全てが闇に飲まれてしまったバッドエンド説
ごく一部ですが、
“もし本作が開発段階でダークな結末を想定していたとすれば、改ざん者が最終的に勝利する世界線もあり得るのでは”
という仮説を好む人もいます。
過去作で必ずしもハッピーエンドとは限らない部分(大崩壊の発生など)を考えると、可能性はゼロではないかもしれません。
とはいえ『アークザラッド』の伝統的テーマ「人間の光が闇を打ち破る」という流れを踏まえれば、公式がわざわざバッドエンドにするとは考えにくく、あくまで少数意見として語られるにとどまるようです。
「未完でもなお語りたくなる」魅力の根源
王道RPG×パラレルSFの融合
初代や『II』は正統派RPGとしてのストーリーテリングが印象的でしたが、『R』ではさらに“歴史改変”というSF要素を大胆に組み込んでいます。
時間や世界線をいじってしまう設定は一歩間違えると混乱しがちですが、本作は「改ざん者」というわかりやすい悪役を据え、メインキャラの一人が時渡りの能力を担うことで筋を通そうとしました。
結果的に、旧作からのファンは
「どうして『III』と設定が違うの?」
という疑問を
「R世界はパラレルだからさ」
と納得できる形で受け止められ、新規プレイヤーにも
“実はこの世界は何者かに書き換えられている”
というミステリーを楽しめる作りとなっています。
未回収要素ゆえの解釈の自由
本作は最後まで完結していないからこそ、ファン同士の議論が絶えないのが大きな魅力です。
もしサービスが継続していたら、物語はすべて説明され、完結編として“公式の正解”が示された可能性が高い。
しかし、この未完という結果が
「こうじゃない?」
「ああいう流れになったんじゃ?」
という果てしない妄想を生み続ける原動力になっているわけです。
世界を救う若き主人公、闇に堕ちた仲間との絆、かつての英雄たちの参戦、そして時間を超えるヒロインという要素は、王道RPGのエッセンスをきっちり押さえているので、どんな結末を想像してもある程度筋が通るのが面白いところ。
まるで巨大な寄せ鍋のようなストーリー要素がたっぷりなので、人によって好きな具材(展開)を組み合わせ、自由に味わえるのです。
シリーズ遺産の活用と新規要素の融合
『アークザラッドII』のキャラが大挙して登場するのに加え、時に『III』の要素をも取り込みつつ、新しい主人公と世界観を提示した点は非常に野心的でした。
なにせ、10年以上前の作品を遊んだファンには郷愁と興奮を与え、新規プレイヤーには
「過去にこんな壮大なドラマがあったんだ」
と興味を持たせることができるからです。
結果的にサービス終了は残念でしたが、もし続いていればさらなるキャラエピソードや“改ざん前の歴史”の再現などもあり得たかもしれません。
そうした“未実装の可能性”への想像が膨らむのも、ライブサービス型ゲームの特性といえるでしょう。
Arc the Lad Rのストーリー総括記事の最終まとめ
以下にポイントを整理します。
ちょっとユニークかつシュールな感覚を添えながら、深堀りをまとめてみましょう。
- 大崩壊から10年後
世界の半分が沈んだ後でも、必死に復興を進める人類。
水上都市ミルマーナや軍事国家アルディア帝国が台頭し、荒廃からの再建を目指すストーリーの土台が力強い。- 一方で、心の復興はそんなに簡単じゃない。
ハルトもトラウマを抱え、当初は人付き合いを避けがち。
そこからの成長が物語の芯にある。
- 一方で、心の復興はそんなに簡単じゃない。
- ミルマーナの自警団、主人公ハルトと謎の少女ミズハ
アルディア帝国の戦艦に囚われていたミズハをハルトが救出したことで、彼は帝国から執拗に狙われる立場へ。- ミズハが“未来人ぽい”発言をして、やたらと状況を的確に把握するあたりは、彼女の正体に対する伏線。
- 『II』の英雄サニアやリーザらが健在で手助けしてくれるのもファン胸アツ。
- アルディア帝国と謎の黒騎士
世界支配を狙う帝国は単純な悪役と思いきや、むしろその背後に“黒騎士”という得体の知れない存在がいる。
各地で瘴気を撒き散らし、人々の心を闇に染めるような行動をとる。- 幼馴染ヴァリオの闇落ちなど、仲間を救うドラマが熱い。
- 黒騎士の正体が古の勇者バルダだと判明し、
「闇に堕とされた英雄」
という痛ましさがシリーズらしい。
- 改ざん者(根源の神)と“時渡り”
第4章あたりから浮上する本作最大のキーワード「改ざんされた世界」。
R世界が本来の歴史とは違うパラレルであることが明確化する。- ミズハが持つ時渡りの力こそ、改ざん者の野望を挫く唯一の手段になり得る。
- ハルトも五大精霊に認められる器として、“闇に染まった世界”を救う使命に目覚めていく。
- 黒騎士編の決着と、第6章の未完
第5章で黒騎士との壮絶な決戦があり、アルディア帝国も事実上の講和へ。
ハルトは仲間の絆を取り戻し、一度は平和が訪れるかに見える。- しかし真の黒幕・改ざん者(闇黒の支配者)が動き出し、時空崩壊が迫る。
ここが最終章に繋がる。 - 最後はトキワタリの方舟で改ざん者の本拠地へ向かう直前のシーンで物語が止まる。
サービス終了に伴い、最終決戦は描かれず。
- しかし真の黒幕・改ざん者(闇黒の支配者)が動き出し、時空崩壊が迫る。
- サイドストーリー(記憶浄化・ロストレガシーなど)
旧作主要キャラの過去と現在を深く掘り下げる記憶浄化編はファン必見。
エルクやトッシュ、サニアなどの10年の軌跡を知る機会が多い。- イベントシナリオ「ロストレガシー」では『III』のアレクも登場し、改ざん者により歪められた世界の一端が垣間見える。
- 未完だからこそ、妄想が膨らむ
最後に描かれるはずだった“改ざん者 vs. ハルト&ミズハ&歴代勇者”の壮絶バトルは、ファンの頭の中でしか存在しない。- もし続いていたならアーク&ククルの完全復活、七勇者の全員合流もあり得たし、R世界が正史と合流する形で大円団を迎えたかもしれない。
- サービス終了によって物語は中途半端に断ち切られたが、それこそが多様な想像の余地を生んでいる。
さらに踏み込んだ超俯瞰的な大考察
ここまでは、既存の“章ごとのあらすじ解説”に近い話でした。
ここからは少しだけ、超論理的かつシュールな視点で、物語全体をいろんな角度から眺め、アークザラッドRが内包しているテーマや可能性をよりユニークに考えてみましょう。
「改ざんされた世界」はRPGにおける“IF”と“正史”の狭間
シリーズもののRPGでは、続編を作る際に「前作の結末と矛盾しないように気を使う」ケースが多いです。
でも『アークザラッドR』は“改ざん者”という存在を導入することで、
「そもそもこの歴史は歪められているんだ!」
と大前提をひっくり返しました。
この大胆な設定は、“もしも”の世界を公式に作り上げるうえで大変便利です。
過去キャラが違う道を歩んでいても「改ざんされたから」で説明できるし、ファンが指摘しがちな矛盾を“世界改変のせい”と片付けられる。
もちろんその分、最後に“どう本来の歴史に戻すのか”がシナリオの肝になるのですが、それを見せず終わったのがRの大きな特徴。
結果、
「IIIとの間にある設定の矛盾は回収されるはずだった」
とか
「改ざん前の世界こそ正史」
といったファンの推測を無限にかき立てたわけです。
時渡りヒロインというファンタジー+SFハイブリッド
RPGにおいて“時渡り能力”は、過去や未来へ干渉するストーリー展開を簡単に取り入れられます。
『アークザラッドR』の場合は、SF風のタイムトラベルというより“神秘的な巫女の術”に近いイメージですが、効果としては歴史そのものを修正できるレベルの力を秘めているとされます。
このあたり、ファンタジーとSFの境界を超える話づくりは、シリーズに新鮮味を与える反面、きちんと整合性をとるのが難しい面もあったかもしれません。
未完のままというのは皮肉なようですが、むしろ設定の辻褄合わせを全部描かなくてよかったからこそ、ファンの想像力の中でパズルが形作られていくのです。
スマホRPGならではの追加ストーリー方式
据え置きRPGだと1本のソフトで始まりから終わりまでプレイできますが、スマホのライブサービス型では、シナリオ追加が段階的に行われます。
これが“徐々に世界が拡張していく”臨場感を楽しむ一方、「サービス終了により、物語の途中で止まるリスク」を孕むわけです。
アークザラッドRは残念ながらそのリスクが顕在化し、プレイヤーがラスボス決戦を迎えないまま終了。
でもだからこそ、
「ここまで積み上げたストーリーはいったいどう結ぶつもりだったんだろう?」
という興味が離れない。
歴史を改ざんする設定の作品が“シナリオ打ち切り”になるという meta(メタ)的な面白さまで帯びてしまいました。
シリーズの熱量を再燃させる余韻
一部ファンは
「もしRの続きが出るなら、別のプラットフォームや形で完結編を出してほしい」
と願っています。
完全オフラインの新作RPGとして、“改ざん者”との最終決戦までプレイできる形でリリースされないだろうか……
など、夢想が止まらない。
実際、過去にコンシューマタイトルで出ていた『I』と『II』が名作として名高いシリーズだけに、その後を描く物語がここまで広がりを持ってしまうのは当然かもしれません。
未完にはなったが、
今なお語られ続ける
という意味では、この作品はある種の成功を収めているといえなくもないのです。
大総括を終えて
ここまで、壮大かつ未完結の『アークザラッドR』を一挙に振り返ってきました。
正直なところ
「もうちょっと続きが知りたい!」
とムズムズしてくるのはわたしも同じです。
サービス終了は残念でしたが、オフライン版でメインシナリオやサイドストーリーを読み返すと、改めて
「ここはこう繋がるんじゃ?」
「あのキャラが最終的にこう成長するんじゃ?」
とファン同士で想像を語り合う機会が絶えません。
そんな楽しみ方を受け止めるのも、一本筋の王道RPGとは違う“ライブサービスRPGの宿命”かもしれません。
物語はプレイヤーの手で続いていく最後に
ハルトやミズハの旅は、オフライン版で振り返れる限り、黒騎士を倒し、アルディア帝国を和解に導いたところまでが一区切りです。
しかし、時間崩壊を仕掛ける改ざん者に挑むシーンは描かれず、アークやククルの助力がどう作用するのか、時渡りがどんなドラマを生むのか、一切不明。
それでも、
「もし続きを作るなら、きっとこうなる」
というファンの想像力が活発に動くのが、本作の魅力の一つ。
アークザラッドの歴史に加えられた“もしも”の要素が、思いがけず多彩な語り口や二次創作を生んでいるのは、シリーズ物の醍醐味を存分に表しています。
いつか公式から形を変えた続編が登場する可能性もゼロではないでしょうし、またはシリーズ好きの仲間内で
「Rの続きはこうだったんじゃない?」
と語り合うのも乙なもの。
現実世界における物語の改ざんはできませんが、私たちの想像の中で“R世界”は無限に広がり続けているのです。
この記事の最終メッセージ
- 未完結の物語だからこそ:完結された大作RPGにはない“余白”をたっぷりと残し、プレイヤーの自由な解釈を促す。
- 古参ファンも新規も夢中に:旧作キャラの再登場で盛り上がり、新規ユーザーは壮大なストーリーに惹かれる。
- 大崩壊と改ざん者の壮大なスケール:世界半壊という絶望と、歴史改変という神の領域に迫るテーマが融合したダークファンタジー。
- 続きが気になるならオフライン版へ:メインシナリオとサイドストーリーは回想機能で再読可能。未完とはいえ一度は堪能し、その“次”は想像の羽を広げよう。
『アークザラッドR』は、序盤から濃密なドラマとキャラの強烈な個性、そして「歴史が書き換えられた世界」という壮大な謎でファンを引き込みました。
物語の最終着地点が描かれなかったからこそ、語り継がれ、考察され、妄想され続ける運命を得たといえるのかもしれません。
あなたがもし、このR世界の住人だったら、改ざん者の支配をどう跳ね返すのか?
ハルトやミズハとどんな冒険を繰り広げていたのか?
そんな“もしも”を考え出すと、正直止まらない。
未完ゆえに余韻が消えず、
ある意味奇跡のような作品と
言っても過言ではありません。
どうか、本記事をきっかけに、あなたの想像力で“アークザラッドRの続きを創り上げて”みてください。
もしどこかに仲間がいれば、一緒に「ラスボス戦のシナリオ」を語り合うのも楽しいでしょう。
世界がどれほど改ざんされようとも、それを塗り替えるのはプレイヤーとファンの情熱なのだと、きっとこの作品は教えてくれます。