幻想水滸伝シリーズを一言で表すなら、
「これでもか!」
というほど壮大な群像劇と、ひとクセもふたクセもあるキャラクター同士の“人間模様”がずっしり詰まった大河ドラマです。
中国の古典『水滸伝』をモチーフに「108星の仲間集め」と「27の真の紋章」を中核に据えた物語は、あちらこちらで友情やら反乱やら紋章暴走やらが同時多発し、プレイしていると忙しくて赤ペン片手にメモを取りたくなるレベル。
初代が世に出た1995年から数十年が経ちますが、今なおファンの熱い支持を得ている理由は、この奥深い歴史と人間ドラマ、そしてゲームを超えて人生にちょっとしたスパイスを与えるような“何か”があるからだと思います。
ここでは、幻想水滸伝シリーズを時系列順(最古の年代を描く『IV』から最も新しい『III』まで)に沿って、結末を含む盛大なネタバレを交えつつ徹底解説し、その紋章やキャラクターが織り成す見どころを深堀りします。
全部読めば、シリーズを初めて知る方にはバッチリ世界観をつかんでもらい、既プレイヤーの方には
「ああ、そこの伏線そういう意味だったのね…!」
と涙を流して思い出にひたっていただける…かもしれません。
では、ひっそりと時系列の波に身を任せて、壮大な旅のはじまりと参りましょう。
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幻想水滸伝シリーズの概要と時系列を追う意義
幻想水滸伝は、ナンバリングタイトルとして『I』から『V』まで存在し、その合間を埋める外伝作品やスピンオフが散りばめられた大所帯ファミリー的なRPGシリーズです。
最大のポイントは
「108星を全員仲間にできるかどうか」
という壮大なコレクター魂を刺激するシステムと、「27の真の紋章」が関わるファンタジー的かつ政治劇的なストーリー。
とにかくキャラとドラマの濃さには定評があり、強く心を打つ物語にどっぷりハマるファンが続出してきました。
それぞれ独立した物語として楽しめるものの、シリーズをしっかりしゃぶり尽くすなら時系列をチェックするのがオススメです。
制作順にプレイする派も当然いますが、太陽暦に基づく時代順でストーリーをなぞると
「あの紋章がこういう過去を持っていた」
「このキャラって実は前作のあの人だったの!?」
みたいな繋がりが見えて、悶絶するほどエモい発見があるのです。
時系列はざっと以下のようになります(太陽暦基準)
- 『幻想水滸伝IV』 … 307年前後
- 『幻想水滸伝 Tactics(Rhapsodia)』 … 307~310年頃
- 『幻想水滸伝V』 … 446~448年
- 『幻想水滸伝(初代)』 … 455~457年
- 『幻想水滸伝II』 … 460年
- 『幻想水滸伝III』 … 475年
外伝としては『幻想水滸外伝 Vol.1&2』が『II』の前後を舞台に、そして『Tactics』は『IV』の戦後やその前日譚を描いています。
ここではメインのナンバリング+Tacticsを時代順にガッツリ解説し、紋章やキャラクターがどんな死闘を演じるのかをネタバレ全開で語ります。
ネタバレが苦手な方は、さようならと言いつつもぜひ一度プレイしてから戻ってきてほしいところ。
さあ、張り切って参りましょう!
海と「罰の紋章」に縛られた過酷な始まり幻想水滸伝IV
まずは最も古い時代を描く『幻想水滸伝IV』です。
舞台は太陽暦307年、海に点在する群島諸国。
主人公はガイエン公国の海上騎士団に属する若き騎士(公式小説などではラズロとも呼ばれます)。
あるミッション中に、まさかの事故か運命か…という勢いで真の紋章の一つ「罰の紋章」を宿す羽目になり、そこから猛烈に激動の日々が始まります。
海上騎士団と罰の紋章の宿命
“罰の紋章”は名前の響きからしてヤバそうですが、その実態はさらに深刻。
使うたびに宿主の寿命を削るという、生粋のドS紋章です。
現代なら
「ぼったくりの定期課金かよ」
と言いたくなるほどの重い代償を負いつつ、主人公は突然の追放を食らうハメに。
誤解や陰謀が渦巻いて、親友だったスノウ・フィンガーフートともギクシャク…いえ、もはや敵対関係に陥りそうな勢いです。
群島諸国を統一せよ! クールーク皇国との開戦
ここで登場するクールーク皇国は、陸地をがっつり支配する大国で海洋地域にも侵略の手を伸ばそうとしている危険な存在。
主人公は孤立無援の身から、海賊キカや技師ウォルトなどを仲間に加え、バラバラだった島々の力を結集。
嵐のような勢いで「群島解放軍」を形作ります。
この辺りの自由さが海洋国家の魅力でしょうか。
いつの間にか圧倒的な軍事力を誇るクールーク皇国をガチで相手取る展開になるのです。
最終局面と“罰の紋章”の変容
クールークは「罰の紋章」を兵器として利用しようと目論む黒幕グラハム・クレイを擁し、さらに主人公の旧友スノウがこっちサイドに寝返るなどドロドロ感MAX。
最終的に主人公は命を削りながら紋章の力を解放し、壮大な艦隊戦を制します。
その結果、罰の紋章が“Forgiver Sign(赦しの紋章)”へと変化し、主人公は何とか死を免れますが、ここで108星を集めきれていると結末が大きく変わるのが幻想水滸伝の醍醐味。
スノウとの和解が実現したり、主人公が生き延びて海を放浪し続ける未来が暗示されたりと、プレイヤー次第の運命が広がるのです。
破天荒な海の冒険と、命をかけた紋章バトルがミックスされた『IV』は、シリーズの始まりとして背負わされた“罰”の残酷さが深く印象に残ります。
IVの世界をより深く補完する物語幻想水滸伝 Tactics(Rhapsodia)
ここでスピンオフ的存在が登場。
シミュレーションRPG『幻想水滸伝 Tactics』は、『IV』の前日譚と後日譚を織り交ぜながら、群島諸国とクールーク皇国の戦いをさらなる視点で描いています。
主人公はキリルという少年で、紋章兵器の調査をしつつ、罰の紋章の残滓が作り出した危険に立ち向かいます。
罰の紋章とクールークの狙い前日譚
序盤では、クールーク皇国が何を考えて紋章兵器を研究していたのか、そしてその兵器によってどれほど悲劇的な出来事が起きていたのかが明かされます。
『IV』では語られなかった背景を詳しく補完するため、
「あ、クールークってそんなヤバい実験してたの?」
と納得するシーンがちらほら。
まるで歴史の資料編を読んでいる気分です。
戦後処理と再登場するラズロ後日譚
後半は『IV』本編で大戦が終結した後の世界。
クールーク皇国の残党や紋章兵器の後始末など、不穏な火種はまだ燻っており、キリルたちはこれを収束するために奮闘します。
ここで一瞬だけ、あの“ラズロ”が姿を現す展開が待っており、長命の罰の紋章を抱える人物が世界の影でどう動いているのかを垣間見せられるのです。
エンディングは分岐が少なく、『IV』ほど波乱万丈ではないものの、群島諸国を舞台にした戦後の余韻を味わうにはうってつけ。
歴史の流れを俯瞰して
“ああ、ラズロは今もこの世界を見守ってるのね”
としみじみ感じさせるスルメ的作品であり、海の物語をもっと楽しみたい方には必須の一作です。
ファレナ女王国と太陽の紋章をめぐる大激変幻想水滸伝V
時は太陽暦446~448年にシフトして、『IV』から約150年が経ちました。
今度の舞台はファレナ女王国。
女王が太陽の紋章を継承する体制
という、ちょっと特殊な国の内情を覗き見することになります。
太陽の紋章の圧倒的力と序盤の衝撃
冒頭では女王アルシュタートが太陽の紋章を行使し、反乱の起きたロードレイクの町をなりふり構わず焼き払う衝撃展開。
辺りが一瞬にして焼け野原、アルシュタートの精神もじわじわ擦り減っていくという、開始直後からダークさが爆発しています。
この国、大丈夫か…?
と不安を抱えながら、プレイヤーは物語にのめり込むこと間違いなし。
主人公はその息子である王子(リムスレーア王女の兄)で、いずれファレナを支える重要な存在。
しかし、あっという間に国は大動乱。
二大貴族であるゴドウィン家とバロウズ家の対立が火種となり、ゴドウィン家がなんとクーデターを起こして王都を制圧。
アルシュタート女王と主人公の父フェリドが命を落とし、王女リムスレーアは傀儡女王にされるという未曾有のピンチへ突入です。
レジスタンス軍をまとめ上げる王子と黎明・黄昏の紋章
主人公は女王親衛隊のリオンらと辛くも逃亡し、各地を転々とする中で
「自分が立ち上がるしかない!」
と覚悟を決め、反乱軍…もとい“解放軍”を組織。
ファレナの民はもちろん、バロウズ家や各領主の思惑をうまく利用(あるいは妥協)しながら、一枚岩となってゴドウィン家へ対抗します。
ファレナには太陽の紋章と対を成す「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」も存在しており、物語が進むにつれ主人公には黎明が、叔母サイアリーズには黄昏が宿るなど、ややこしい三つ巴バトルの雰囲気がどんどん高まります。
最終決戦とサイアリーズの自己犠牲
クライマックスでは、ゴドウィン家のギゼルがリムスレーアと結婚して太陽の紋章を掌握しようとし、主人公サイドは黎明・黄昏を合わせた力でこれに対抗。
最終的に王都ソルファレナでの激突の末、太陽の紋章の暴走を抑えることに成功します。
しかし、黄昏の紋章を使い果たしたサイアリーズは命を落とし、最期に自らの真意を明かすという壮絶な展開に。
彼女は国を守るために深い覚悟で“裏切り者”の役回りを演じていたのです。
エンディングではリムスレーアが正式に女王として即位。
108星を全員集めていれば、怪我や病で死にそうだったリオンも奇跡的に助かったり、主人公が国に残るか旅に出るかという分岐があったりと、これまたプレイヤーの努力や選択が報われる(あるいは悲劇に落ちる)多面性を見せるのが秀逸。
女王国の内紛という大河ドラマが「太陽の紋章」による圧倒的な力の恐ろしさを引き立て、濃密なストーリーが最後まで存分に楽しめる作品です。
赤月帝国の革命とソウルイーターの宿命幻想水滸伝(初代)
太陽暦455~457年の赤月帝国が舞台となる初代『幻想水滸伝』。
シリーズの原点にして、紋章や108星の魅力を存分に味わえる一作。
ここでは主人公が「ソウルイーター」という死を司る紋章を背負い、反乱軍を率いて圧政を敷く帝国に立ち向かいます。
ソウルイーターの恐怖と仲間集めの原点
序盤、主人公は帝国の将軍の子息として帝都生活を謳歌…というわけでもなく、帝国の闇や矛盾を目の当たりにして反乱軍と接触する流れに。
さらに、縁あってソウルイーターというヤバい紋章を身に宿すことに。
死を吸収し、持ち主に呪いをもたらすなんて聞いただけでもホラーですが、悲劇を目の当たりにしながら主人公は仲間を増やしていきます。
108星の仲間集めは本作から既に存在しており、一人ひとり勧誘しては本拠地を賑やかにする楽しさが光ります。
こうして解放軍はみるみる膨れ上がり、やがて帝国の打倒を現実的な目標として掲げられる規模に成長するのです。
皇帝との最終対決と分岐するエンディング
物語終盤、主人公と反乱軍は帝国の腐敗を正すべく大決戦を迎えます。
ソウルイーターの呪いは、仲間や親しい者すら巻き込む形で力を増していくため、プレイしていると複雑な気分。
最後には皇帝を討ち、新生国家の樹立を果たすことに成功しますが、ここでも108星を全て集めたかどうかでエンディングがガラリと変化します。
主人公が帝国内に残り、再建に尽力する道を選ぶのもよし、紋章を抱えながら旅に出る道を選ぶのもよし。
セーブデータを次回作に引き継ぐと、微妙にイベントに影響する仕掛けもあって、
「ああ、やっぱりあの時こうしておけば…!」
と2周3周したくなる中毒性があるのです。
シリーズの始祖としての貫禄十分な骨太ストーリーに、当時から多くのファンが引き込まれていきました。
激突するハイランドとジョウストン、そして友情の行方幻想水滸伝II
初代から数年後(太陽暦460年)の世界を描き、シリーズ屈指の名作とされる『幻想水滸伝II』。
ハイランド王国 vs. ジョウストン都市同盟という国家間の対立を背景に、幼馴染である主人公とジョウイの運命が大きくうねり、プレイヤーの涙腺を崩壊させます。
始まりの紋章の二分化輝く盾と黒き刃
ハイランドの少年兵として物語がスタートする主人公とジョウイ。
ある陰謀をきっかけに、主人公はジョウストン側へ、ジョウイはハイランド側へと袂を分かちます。
さらに、二人には元々ひとつだった“始まりの紋章”が分裂した「輝く盾」と「黒き刃」がそれぞれ宿ることに。
これが悲劇とドラマを加速させる要因になるのだから、神様も罪深い。
戦乱と友情のせめぎ合い
ハイランドとジョウストンの戦争は熾烈を極め、主人公は新国家を建てるリーダーとして天才軍師の策を受けながら軍勢を拡大。
108星の仲間も増やし、クラシックな大規模戦闘からボス戦まで次々こなし、一歩ずつジョウストンを勝利に導きます。
一方、ジョウイはハイランド内部で出世し、果てには国王として覇道を進むという選択を迫られます。
ここが泣かせどころ。
ジョウイの行動は決して悪意でなく、「ハイランドを守るために自分が責任を負うんだ」的な大義が見え隠れし、かといって主人公と正面衝突する流れは避けられない。
「君を守りたい」
「でも国を捨てられない!」
という友情と国家のはざまで苦悶する彼の姿が、『II』の物語を陰惨でありながらも切なく彩ります。
ジョウイとの再会を果たすにはエンディング
最終的に主人公は戦争を終結させ、デュナン共和国を樹立する一方、ジョウイは姿をくらませます。
ここでプレイヤーの行動や、108星の有無、さらには特定フラグ(ジョウイを探しに行く等)を満たしているかどうかでエンディングが大きく変化。
ジョウイが死ぬバッドエンドから、山奥での再会を経て主人公と旅に出る“トゥルーエンド”まで、多彩な分岐がプレイヤーを待ち受けます。
この“トゥルーエンド”が見られたときのカタルシスは、他作品ではなかなか味わえない特別なもの。
友情を大切にしながら苦難を乗り越えるか、国家を守るために犠牲を受け入れるかという二者択一は、非常に重みがあるテーマです。
そういった意味で、『幻想水滸伝II』が最高傑作と称えられるのは必然と言えましょう。
多視点で描かれる複雑な未来と真なる火の紋章幻想水滸伝III
時系列で最も後(太陽暦475年)を描くのが『幻想水滸伝III』。
ゼクセン連邦やグラスランド、そしてハルモニア神聖国など多彩な勢力がごちゃ混ぜになり、重層的かつ大人びた展開を見せるのが特徴です。
複数主人公システムとルックの暗躍
本作は一人の主人公ではなく、ゼクセン騎士クリス、グラスランド出身の少年ヒューゴ、傭兵のリーダー・ゲドなど、章ごとに視点が変わるという斬新な手法が取られています。
視点がコロコロ変わるため最初は誰に感情移入すればいいのか戸惑うかもしれませんが、最終的には「いろんな立場から世界を見る」ことの奥深さにハッとさせられます。
さらに注目は“ルック”という少年魔法使いの行動。『I』『II』で頼れる仲間的ポジションだった彼が、本作ではとんでもない企みを抱えて暗躍し、「真なる火の紋章」を奪い去ろうとする展開に。
紋章に支配される人間の宿命に反旗を翻すルックですが、その行動はどう見ても危険思想すぎて、かつての面影はどこへ行った…とファンを震え上がらせました。
クライマックスと世界の行方
ゼクセン、グラスランド、ハルモニア神聖国などの衝突を経て、ルックが引き起こす破壊を止めるべく各主人公たちが立ち上がります。
複数のルートが最終的に合流し、大規模戦を経てルックの野望は打ち砕かれ、一時的には平和が訪れる様子が描かれます。
しかし、紋章問題そのものが解決したわけではなく、
“これから先も世界は紋章に左右される”
という不穏な余韻を残すあたりが、シリーズの“まだまだ終わらない”感を強調しています。
もちろん108星を集めれば特別なエンディングや隠し会話があり、シリーズのファン心を満たしてくれる作り。
視点を変えながら群像劇的に描かれるストーリー運びは、幻想水滸伝としての新境地であり、時系列の最終地点として
「真の紋章の行方はどうなるの?」
と気になる種をバラ撒く余韻たっぷりの作品です。
27の真の紋章と“人間の多様性”に貫かれた世界
シリーズ全体で大きな軸となるのが“27の真の紋章”。
登場しているのはその一部ですが、いずれも得体の知れないほど強力で、持ち主に悲劇を招いたり、国家間の争いの火種になったりと厄介なものばかり。
たとえば…
- 罰の紋章(IV):使うたび寿命を削るダメージ系。
- 太陽の紋章(V):焼き払うほどの破壊力を持ち、使い手をも蝕む。
- ソウルイーター(I):死を糧とし、持ち主が周囲の死に苦悩することに。
- 輝く盾&黒き刃(II):元は“始まりの紋章”が二つに割れたもので、友情と破壊の象徴。
- 真なる火の紋章(III):世界を丸ごと焼く可能性を秘めた破壊神的ルーン。
こうした真の紋章は、一見「力が欲しいか…?」的なカッコよさもあるのですが、実際に手にしてみるととんでもないリスクを背負うことになり、うかつにチート行為はできません。
しかも、紋章を持つ者は長命となり、『I』のテッドや『IV』の主人公(ラズロ?)のようにシリーズを越えて登場したり、深いドラマを生み出しやすい土壌にもなっています。
もう一つの柱が「108星」と「プレイヤーの選択」。
108人もの仲間が存在し、全員を集めるかどうかでエンディングが大幅に変わるのは、シリーズ恒例。
さらに、特定イベントでのプレイヤーの行動や会話選択が、仲間の生死や物語の結末に直結することもしばしば。
そうした要素がプレイヤーの没入感をとことん高め、各作品で生まれる“自分だけの物語”を印象的にしています。
外伝作品やHDリマスターへの広がり
幻想水滸外伝 Vol.1&2
『II』の前後をビジュアルノベル形式で描き、ナシュという諜報員が主人公。
あのジョウイやリリィ、シエラなど本編で活躍したキャラの裏側を補完してくれます。
ハルモニア神聖国やルック&ササライの動きなど、『III』につながる伏線も散りばめられているため、ファンとしては見逃せない作品です。
HDリマスターで再燃する熱狂
最近、「幻想水滸伝I&II」のHDリマスター版が発表され、グラフィックやサウンドの向上、UI改良が施されるとのこと。
これにより、過去の名作を初めて遊ぶ層と、懐かしさで再プレイに取り組む層がごちゃまぜになってさらなる盛り上がりが予想されています。
とりわけ『II』はシリーズ最高傑作と謳われることが多く、リマスター版の変化がどれだけ作品の良さを引き出すか注目の的。
あわよくばシリーズ全作のリマスターや新作、あるいは外伝やスピンオフのさらなる充実を期待する声も大きいです。
ねえコナミさん、我々はいつまでも待ってますよ…!
選択によって変わる結末と未来への余白
各作品の特徴として、「主人公やプレイヤーの選択が結末に直結する」ことは何度も述べました。
108星を集める大変さを思うと、
「寝る暇ある?」
と問いかけたくなるほど骨が折れますが、それをなし遂げて初めてお目にかかれる真エンディングの感動がシリーズファンの原動力になっているのです。
- 『IV』:スノウとの和解、主人公の生死分岐。
- 『V』:リオンの救出や主人公の去就。
- 初代(I):ソウルイーターを抱え、帝国を離れるか残るか。
- 『II』:ジョウイの運命と友情の結末。
- 『III』:ルックの暴走後の平和と108星エンディング。
こういった違いがあるからこそ、プレイヤー同士の思い出話も尽きず、
「あれ?お前のスノウ、最後死んでたの?」
「うちのジョウイは生き延びて一緒に旅してるけど?」
みたいな会話が盛り上がるのです。
完全にデータを引き継いだり、新作でかつての主人公がカメオ的に登場したりする部分で、公式が示す“正史”は必ずしもひとつではない雰囲気を漂わせるのも余韻たっぷり。
新たな展開への期待今後の展望
長らく新作が止まっていたシリーズですが、HDリマスターのアナウンスにより久々に脚光を浴びています。
もしリマスター版の評価が高ければ、新規ファンが増え、開発陣が
「そろそろ次の幻想水滸伝を…」
と重い腰を上げるかも?
ファンとしては妄想を止められません。
27の真の紋章の中にはまだお目見えしていないものがたくさんありますし、ハルモニア神聖国の謎や、「III」の後どうなったか…という興味深い余地も山ほど残っている状態。
ルックはああいう形で退場しましたが、まだまだ隠された真実があってもおかしくないのでは…?
とか、考え出すとキリがありません。
時系列を追うからこそ見える壮大なドラマまとめ
こうして
『IV』→『Tactics』→『V』→『I』→『II』→『III』
の順番に、シリーズの物語と紋章の行方を眺めると、それぞれが独立しつつも史実のように繋がりを持っていることが分かります。
海洋国家の波乱や、女王国のクーデター、帝国の革命、少年兵たちの友情物語、多視点シナリオの奥深さ…すべてのピースが連動して、一大叙事詩を形作っているのです。
- 群島諸国の自由な海賊ロマンがあり…
- ファレナ女王国の政治劇があり…
- 赤月帝国の革命があり…
- ハイランドとジョウストンの悲しい戦争があり…
- ゼクセン&グラスランドの複雑な同盟があり…
- そこに必ず顔を出す真の紋章と、選ばれし宿主たちの宿命…。
何より、108星を集めれば特別な結末が待ち受けているというワクワク感、そして自分の選択で大事なキャラが生きるか死ぬか決まる緊迫感が幻想水滸伝らしいところ。
一方では、シリーズ全作品を余すところなく遊んでいくと
「この人、何百人仲間にしてきたの?」
という笑えるツッコミが浮かぶかもしれませんが、それくらい大量のキャラとの出会いこそが本作の醍醐味。
HDリマスターや昔のプレイ手段を駆使してぜひ触れてみれば、あなたの“108星の選択”が生み出す物語がきっと心に刻まれるはず。
泣いて笑って興奮して、やがてスタッフロールで胸がいっぱいになる…そんな体験は、いつ遊んでも宝物になることでしょう。
これだけ大ボリュームなのに、世界的にはまだ“27の真の紋章”のすべてが明かされていないという伸びしろまであるのだから、何ともニクい。
今後の新作や関連作品が発表されれば、一体どんな驚きと涙をもたらしてくれるのか…ファン魂が疼かずにいられません。
というわけで、長きにわたる幻想水滸伝シリーズの時系列ネタバレ祭り、お楽しみいただけたでしょうか。
せっかく興味を持ったのなら、ぜひあなた自身の手で紋章を宿し、108人の仲間を探し回ってみてください。
そこには、あなたの選択でしか描けない、もうひとつの“幻想水滸伝”が生まれるかもしれません。
気が付けば深夜3時、仲間の勧誘に奔走する日々があなたを待ち受けている…かもしれませんよ。