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ロックマンエグゼシリーズのストーリーを時系列順に結末までネタバレ

「プラグイン! ロックマン.EXE、トランスミッション!!」

…あ、すみません、つい。

条件反射みたいなものですよ、ええ。

だって、この掛け声を聞くと、ねぇ? あの頃のワクワク感が、ぶわーっと蘇ってくるじゃないですか!

2001年に誕生し、ゲームボーイアドバンスと共に一時代を築いた『ロックマンエグゼ』シリーズ。

それは、単なるゲームの枠を超え、友情、家族愛、そしてかけがえのない兄弟の絆を描き、多くのファンの人生に忘れられない感動を刻み込んだ不朽の名作です。

小学生だった息子と一緒になって、いや、むしろ私の方が夢中になってPET(ゲーム機のことね!)を握りしめていた日々が、昨日のことのようです。

あの頃はねぇ、まさか自分がこんな風に、副業でウェブライターなんてやってて、しかもエグゼの記事を書くことになるなんて、夢にも思ってませんでしたけど。

人生って面白いもんですねぇ。

さてさて、前置きが長くなりました。

この記事に辿り着いたあなたも、きっとエグゼへの熱い想いを胸に秘めているはず。

そうですよね?

現実世界と電脳世界が繋がった近未来を舞台に、少年光 熱斗(ひかり ねっと)と、彼の相棒であるネットナビロックマン.EXEが繰り広げた、壮大な戦いと成長の物語。

それは、単なる勧善懲悪のヒーロー譚じゃありません。

友情、家族の愛、そして切っても切れない兄弟の絆…。

大人になった今だからこそ、より深く心に響くテーマが、これでもか!と詰まっているんですよね。

しかも、驚くべきはその先見性。

20年以上前に描かれたはずのネットワーク社会の 모습が、2025年現在の私たちの日常と、まぁ見事にリンクすること!
便利さの裏にある危険、AIとの付き合い方…エグゼは、未来への希望と共に、私たちへの大切なメッセージも投げかけていたんです。

この記事では、そんな『ロックマンエグゼ』シリーズの全貌を、時系列に沿って、物語の核心からあの感動のエンディングまで、一切の容赦なく、完全ネタバレで徹底的に解説しちゃいます!
ナンバリング全6作はもちろん、外伝作品、さらにはアニメや漫画版との違いや考察まで、現役(?)エグゼファンであり、売れっ子(自称!)ウェブライターであるこの私が、愛と情熱、そしてちょっぴりのユーモアを込めて、余すところなく語り尽くします!

『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』で初めてエグゼの世界に触れた方も、私のように青春時代を捧げた古参兵の方も、どんとこい! です。

ただし!

ネタバレ警報

この記事には、『ロックマンエグゼ』シリーズのストーリーに関する全てのネタバレ(どんでん返し、キャラクターの生死、ラスボスの正体、そして感動の結末まで!)が含まれています。

もしあなたが、これから自分の手でプラグインして、初見の感動を味わいたい!と考えているなら…お願いです、今すぐこのページをそっと閉じてください!
本当に、後悔させたくないんです!

…それでも、「いや、全部知った上でエグゼの世界をしゃぶり尽くしたいんじゃ!」という、覚悟ガンギマリの猛者(とも)だけ、この先へお進みください。

準備はいいですか?

それでは、電脳世界の冒険へ、再び出発進行ー!

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ネットワーク創世記、二人の天才が分かつ光と影物語の夜明け前

すべての物語は、ここから始まります。

インターネットというものが、まだ一部の研究者たちの間で囁かれていたような、そんな時代。

二人の若き天才科学者がいました。

一人は、後に主人公・熱斗の祖父となる光 正(ひかり ただし)博士

そしてもう一人は、彼の無二の親友であり、後に最大の宿敵となるアルバート・W・ワイリー

彼らは、まるでライト兄弟が空を夢見たように、コンピューターネットワークが織りなす無限の可能性を信じ、人間とプログラムが手を取り合って共存する、輝かしい未来を夢見ていました。

寝食を忘れ、共に研究に没頭する日々。

それは、希望に満ちた青春そのものだったのでしょうね。

光博士は、人間の思考を拡張し、生活を豊かに彩るパートナーとして、人格を持つAIプログラム「ネットナビ(ネットワーク・ナビゲーター)」と、それを携帯し操作するための端末「PET(PErsonal Terminal)」という画期的なシステムを構想します。

このアイデアは国家的なプロジェクトとして認められ、瞬く間に世界中に普及。

学校の授業も、買い物も、家電の操作も、ぜーんぶネットを通じて行うのが当たり前、という現代の高度情報化社会の礎を築き上げました。

まさに「ネットワーク社会の父」。

その功績は計り知れません。

一方、ワイリー博士は、光博士とは異なるベクトルで、その天才性を爆発させます。

彼が目指したのは、単なる人間の補助ではなく、より高度な自律思考を持ち、場合によっては兵器としても転用可能な、究極の自己完結型AIプログラムの開発でした。

それは、人間の制御を離れ、自らの意志で判断し行動する、まさに「生命」に近い存在。

しかし、その研究は、あまりにも危険すぎると判断されます。

「ワイリー君、その研究は危険だ! 人類の手には余る!」

親友であるはずの光博士からも、そして研究を支援していた上層部からも、研究の中止を勧告され、計画は頓挫。

ワイリーは、自らの才能と、人生を賭けた研究を否定されたことに、深い絶望と屈辱を覚えます。

そしてそれは、光博士個人への、さらには自らの価値を認めなかった社会全体への、どす黒い憎悪へと変わっていきました。

「光…!貴様の理想など、このワシが根こそぎ破壊してくれるわ!見ていろ!」

失意と怒りの炎を胸に、ワイリーは科学省を去り、表舞台から姿を消します。

地下に潜伏し、来るべき復讐の日のために、ネットワーク社会の転覆と、自らが支配者となる新世界の創造を目論む、悪の秘密結社「WWW(ワールドスリー)」を結成。

この組織名は「World Wide Web」をもじりつつ、「既存の世界(第一)、それを破壊した後の無(第二)、そして自らが創る第三の世界」という意味が込められていると言われています。

なんとも壮大…というか、中二病っぽいネーミングセンスですよね、ワイリー博士って。

でも、その執念と技術力は本物。

こうして、かつて未来を語り合った二人の天才は、光と影へと完全に袂を分かちます。

この根深く、そして悲しい因縁こそが、『ロックマンエグゼ』シリーズ全体を貫く、太い縦軸となっていくのです。

奇跡か、禁忌か? ロックマン.EXE、誕生の裏側にある父の愛と葛藤

時は流れ、西暦20XX年頃。

光 正博士の息子であり、自身も父の才能を受け継ぎ、世界的なネット科学者として活躍していた光 祐一朗(ひかり ゆういちろう)

彼と、その妻であり、いつも太陽のように明るいはる香さんの間に、待望の赤ちゃんが生まれます。

しかも、元気な双子の男の子!
兄は彩斗(さいと)、弟は熱斗(ねっと)と名付けられました。

光家に訪れた、二重の喜びに満ちた幸福な日々。

しかし、運命はあまりにも残酷でした。

兄の彩斗くんは、生まれつき心臓に重い病(HBD - Heart Beat Disorder)を抱えていたのです。

それは、当時の最先端医療技術をもってしても、治療法が見つからない不治の病でした。

両親の懸命な看護と祈りも虚しく、彩斗くんは、生後わずかで、その短すぎる生涯を閉じてしまいます。

「彩斗…!どうして…!」

想像を絶する悲しみが、祐一朗さんとはる香さんを襲います。

特に、科学者として常に論理と可能性を追求してきた祐一朗さんにとって、愛する息子の死は、自らの無力さを突きつけられる、耐え難い出来事だったでしょう。

しかし、彼はただ悲嘆に暮れるだけではなかった。

科学者としての探求心、そして何よりも、父親としての深い愛情が、彼を突き動かします。

失われた彩斗の「生きた証」を、何とかしてこの世界に留めたい。

そして、遺された弟・熱斗の未来を、いつか陰から支え、守ってくれるような存在を創り出したい――。

その強い想いが、彼を、科学倫理の境界線を踏み越えるかもしれない、一つの「禁断の研究」へと駆り立てます。

それは、亡くなった彩斗くんの生体データ――記憶、人格、経験、つまり「魂」とも呼べる情報――を、特殊な技術でスキャンし、デジタルデータとして保存。

そして、それを基盤として、人間のDNAとの誤差をわずか1%未満という、信じられないほどの精度でプログラムを再構築し、特別なネットナビとして、電脳世界で「生き返らせる」という、前代未聞の、そして極めてデリケートなプロジェクトでした。

もし失敗すれば? あるいは、成功したとして、それは本当に「彩斗」と言えるのか?
祐一朗さんの中にも、様々な葛藤があったはずです。

しかし、それでも彼は研究を断行し、数々の困難を乗り越え、ついにそれを成功させます。

こうして、電脳世界のネットワークの海に、一つの新しい「いのち」が産声を上げました。

彼の名は、ロックマン.EXE

そのボディカラーが青いのは、彩斗くんが生前に好きだった色だから。

そして、そのプログラムの奥深く、コアとなる部分には、紛れもなく、熱斗の双子の兄・彩斗の人格と魂が、そのままの形で宿っていたのです。

ロックマンは、単なるAIプログラムではありません。

父・祐一朗の、息子への愛と願い、科学者としての叡智、そして彩斗自身の短くも輝いた生命が融合して生まれた、まさに「奇跡」の存在だったのです。

もちろん、こんな重大な秘密は、すぐには明かされません。

特に、まだ幼い熱斗くんには、あまりにも重すぎる真実です。

祐一朗さんは、この秘密を胸の奥深くにしまい込み、時が来るのを待ちます。

そして、月日は流れ、やんちゃ盛りの少年へと成長した熱斗くんが、秋原小学校の5年生になった春のこと。

海外で多忙な研究生活を送る父・祐一朗さんから、誕生日プレゼントとして一つの小包が届きます。

中に入っていたのは、最新型のピカピカのPETと、一枚のナビデータディスク。

「父さん、サンキュー!」大喜びでディスクをPETにセットし、インストールを開始する熱斗くん。

モニターに映し出されたのは、青いボディスーツにヘルメットを被った、凛々しい姿のネットナビでした。

「はじめまして。

僕の名前はロックマン.EXE。

今日から君のナビだよ」
「へぇー、ロックマンか! カッケー! 俺は光 熱斗! まあ、よろしく頼むぜ!」

この瞬間こそが、伝説の始まり。

一人の少年と、彼の知られざる兄の魂を宿したナビ。

二人の運命的な出会いが、世界を巻き込む壮大な物語の幕を開けたのだ。

いやぁ、何度思い出しても、この始まりにはグッときますよねぇ。

~WWWの脅威!目覚める兄弟の力と最初の試練~第1章『ロックマンエグゼ』

熱斗とロックマンがパートナーになって、まだホヤホヤの頃。

彼らが暮らす、活気あふれる電脳都市・デンサンシティの日常は、突如として不穏な影に覆われ始めます。

「うわっ!黒板が勝手に動き出した!」
「きゃー!オーブンから火が!」

学校のサーバーがジャックされ、授業がメチャクチャになる「学校ジャック事件」。

家庭のオーブンがプログラムを書き換えられて暴走し、火事を引き起こす事件。

水道局の管理システムが乗っ取られ、街中が断水パニックに陥る「断水事件」。

信号機がハッキングされ、交通網が完全に麻痺する事件……。

次々と発生する、市民生活を直接脅かす大規模なネット犯罪。

その手口は巧妙かつ悪質で、オフィシャルのネット警察もお手上げ状態。

これらの事件の背後で糸を引いていたのは、もちろん、あの悪の組織「WWW(ワールドスリー)」

Dr.ワイリー率いるこのネットテロリスト集団は、周到な計画のもと、デンサンシティを実験場として、本格的な活動を開始していたのです。

「ったく、やりたい放題しやがって!」
「熱斗くん、僕たちが行こう!」

持ち前の正義感と、怖いもの知らずの行動力。

そして、ロックマンとの、まるで生まれた時から一緒だったかのような、阿吽の呼吸のコンビネーション。

熱斗は、否応なくこれらの事件に巻き込まれ、そして自ら解決へと乗り出していきます。

もちろん、彼らは一人ではありません。

いつも熱斗を心配し、時に厳しく、時に優しくサポートする、しっかり者の幼馴染桜井メイルちゃんと、彼女のナビで回復能力に長けた優しいロール.EXE

単純だけど力持ちで、熱斗の一番の親友である大山デカオくんと、その名の通りパワフルなナビガッツマン.EXE

巨大財閥のお嬢様で、ちょっと世間知らずだけど根は優しい綾小路やいとちゃんと、彼女に仕える執事のような丁寧なナビグライド.EXE

彼ら秋原小学校の同級生たちとの、賑やかで、時にドタバタな日常と、いざという時に発揮される固い友情が、熱斗とロックマンの戦いを力強く支えます。

この仲間たちとの関係性が、シリーズを通しての魅力の一つですよね。

事件を追う中で、熱斗とロックマンは、WWWに所属する実行犯たちと、電脳空間で直接対決することになります。

彼らもまた、一癖も二癖もある連中ばかり。

  • かつてWWWの構成員だった父親を持ち、自身も組織に利用される不良少年火野ケンイチ(ヒノケン)と、灼熱の炎を操るナビファイアマン.EXE。「燃えカスにしてやるぜ!」
  • 歪んだ色彩感覚を持つ妖しい雰囲気の女性色綾まどいと、トリッキーな攻撃で翻弄するカラードマン.EXE。「あなたの色は何色かしら…?」
  • 古城に住み、電気を自在に操る怪人エレキ伯爵と、高圧電流で痺れさせるエレキマン.EXE。「我がエレキの前にひれ伏すがいい!」
  • 怪しげな骨董品を売りつけ、催眠術をも操るインド人マハ・ジャラマと、幻惑的な魔法攻撃を得意とするマジックマン.EXE。「ラ~マ~…あなたの運命、占ってしんぜよう…」

彼らは、ワイリーの命令に従ってネット犯罪を実行する手駒に過ぎませんでしたが、それぞれが強力なナビを操り、ロックマンの前に立ちはだかります。

熱斗とロックマンは、仲間たちのサポートを受けながら、激しいネットバトルを繰り広げ、時に苦戦しながらも、彼らを打ち破っていきます。

まるで、RPGのボス戦みたいに、一体一体倒していく達成感が、たまらないんですよね、この頃のエグゼは。

しかし、これらは全て、Dr.ワイリーの壮大な計画の、ほんの序章に過ぎませんでした。

WWWがデンサンシティで引き起こした一連の事件は、来るべき最終計画のためのデータ収集と、陽動だったのです。

そして、ついにワイリーは、その恐るべき最終計画「ライフウイルス計画」を発動させます。

ライフウイルス。

それは、特定のプログラムやデータではなく、ネットワーク上に存在するあらゆるウイルスプログラムの頂点に君臨し、それらを吸収・統合することで自己進化・自己増殖を続ける、まさに「生きた災厄」。

その最終形態は、ネットワークそのものを喰らい尽くし、電脳世界を崩壊させ、ひいては現実世界をも破滅に導きかねない、究極の破壊生命体でした。

ワイリーは、この悪夢のようなウイルスを完成させ、解き放つことで、かつての親友・光 正博士が築き上げたネット社会の全てを、跡形もなく消し去ろうとしていたのです。

彼の長年の憎悪が、ついに最悪の形で具現化しようとしていました。

「ワイリーの好きにはさせない!絶対に止めてみせる!」
熱斗とロックマンは、決意を新たに、WWWの本拠地である巨大な要塞サーバーへと、最後の戦いを挑みます。

内部は、強力なセキュリティと、これまでの事件で倒したはずのナビたちの強化版、そしてWWWが誇る幹部クラスのナビたちが待ち受ける、まさに悪の巣窟。

巨岩の体で全てを粉砕するストーンマン.EXE

強力な爆弾で広範囲を破壊するボンバーマン.EXE

彼らとの激戦を切り抜け、さらに奥へと進む熱斗たち。

しかし、最深部への道を守っていたのは、彼らが最も戦いたくない相手でした。

熱斗の親友であり、最高のライバルであるはずの、天才ネットバトラー伊集院炎山と、彼の誇り高きナビブルース.EXE

彼らは、ワイリーの卑劣な洗脳術によって心を支配され、熱斗たちの行く手を阻む、最強の刺客として立ちはだかったのです。

「炎山!しっかりしろ!俺だよ、熱斗だ!思い出せ!」
「……やかましい。

ワイリー様への忠誠こそ、我が使命。

邪魔者は斬るまでだ」

非情な赤いソードが、ロックマンに容赦なく襲いかかります。

かつて競い合い、認め合った親友と、本気で戦わなければならない苦悩と悲しみ。

これは、少年だった熱斗にとって、あまりにも過酷な試練でした。

しかし、彼は涙を堪え、ロックマンに叫びます。

「ロックマン!炎山を、ブルースを助けるんだ!僕たちの手で!」
ロックマンもまた、友との戦いに心を痛めながらも、熱斗の想いに応えます。

二人の友情の力が、洗脳の闇を打ち破り、ついに炎山とブルースを正気に戻すことに成功します。

「…すまなかった、熱斗…」我に返った炎山の言葉に、熱斗は молча(モルチャ:ロシア語で「黙って」)頷き、先を急ぎます。

そして、ついに二人は、ライフウイルスの本体が培養されているコアへと到達します。

そこにいたのは、おぞましい異形の姿へと変貌を遂げた、生ける災厄そのものでした。

ライフウイルスは、ロックマンが繰り出すありとあらゆる攻撃プログラム(バトルチップ)を、まるで栄養分のように吸収し、無力化するだけでなく、逆にそのエネルギーを利用して、さらに強大に、さらに凶悪に自己増殖していくのです。

バスターも効かない、ソードも効かない、エレメント攻撃すら吸収される。

通常のネットバトルでは、もはや打つ手がない。

絶望的な状況に、ロックマンは徐々に追い詰められ、そのデータもライフウイルスに侵食され、消滅しかけていきます。

「ロックマン!!しっかりしろぉぉぉ!!」
熱斗の悲痛な叫びが、電脳空間に響き渡ります。

万策尽きたかと思われた、その時。

父・祐一朗から、最後の、そして禁断の切り札が送られてきました。

一つのプログラムファイル――その名は「ハブ.bat」

これは、単なる強化プログラムではありませんでした。

それは、ロックマンの中に、極秘裏に、そして意図的に組み込まれていた、今は亡き熱斗の双子の兄・彩斗の生体遺伝子データを、強制的に覚醒させ、活性化させるためのトリガー。

これにより、ロックマンはナビとしての限界を超え、オペレーターである熱斗とのシンクロ率を、物理法則すら無視するレベルまで極限まで高めることができる。

しかし、それは同時に、ロックマンを「普通のネットナビ」というカテゴリーから逸脱させ、二度と元には戻れないかもしれない、未知の領域へと変質させてしまう可能性を秘めた、まさに諸刃の剣でした。

「熱斗、決断しろ!これを使えば、ロックマンは…もう普通のナビには戻れないかもしれない。

それでも…やるか?」
モニター越しに、父・祐一朗の重い問いかけが響きます。

一瞬、ためらう熱斗。

しかし、彼の脳裏に浮かんだのは、これまでロックマンと共に過ごした、かけがえのない時間と、築き上げてきた絆でした。

ロックマンは、単なるプログラムじゃない。

最高のナビで、最高の友達で、そして…かけがえのない兄弟なんだ!

「ロックマンなら、絶対に大丈夫!僕が信じてる!」
熱斗は迷いを振り払い、決意の叫びと共に、ハブ.batを実行します。

「ロックマン!君の本当の力を、見せてやれ!!」

熱斗の魂の叫びに応えるように、ロックマンは眩い光に包まれ、その姿を変貌させます。

彼の内に眠っていた、彩斗としての力が、オペレーターである熱斗との完全なる絆によって、ついに解き放たれたのです。

覚醒したロックマン――後に「ハブスタイル」と呼ばれるその究極形態は、まさに規格外の力を秘めていました。

ライフウイルスの攻撃を、まるで意に介さないかのように弾き返し、その圧倒的なパワーとスピードで反撃を開始します。

これまで吸収してきたエネルギーが、逆に仇となったライフウイルスは、なすすべなく追い詰められていきます。

「これで、終わりだぁぁぁぁぁ!!!!」

ロックマンの渾身の一撃、ギガバスターがライフウイルスの核を貫き、邪悪な生命体は断末魔の叫びと共に完全にデリート(消去)されました。

ライフウイルスが消滅したことで、WWWの本拠地サーバーは制御を失い、崩壊を始めます。

ワイリーの長年の復讐計画は、ここに潰えたのです。

「おのれ…おのれぇぇ!光 正…光 熱斗…ロックマン…!まだ終わらんぞ…!わしの復讐は、永遠に続くのだ!」
憎悪と執念の言葉を吐き捨て、ワイリーは炎と瓦礫の中へと姿を消しました。

(彼の生死は、この時点では不明となります。

戦いは終わり、世界は救われました。

しかし、熱斗には、もう一つ向き合わなければならない現実がありました。

戦いの後、父・祐一朗は、ついに熱斗に、ずっと隠してきた真実を告げます。

「ロックマンはね、熱斗……お前の、亡くなった双子の兄さん、彩斗なんだよ」

衝撃の事実。

自分が毎日話しかけ、共に戦ってきたナビが、死んだはずの兄だったなんて。

戸惑い、混乱する熱斗。

しかし、彼の心には、驚き以上に、腑に落ちる感覚がありました。

なぜ、ロックマンとこんなにも息が合うのか。

なぜ、ロックマンのためならどんな危険も顧みないと思えるのか。

その理由が、ようやく分かった気がしたのです。

そして、ライフウイルスとの最後の戦いの中で、ロックマンが見せた強い意志と優しさは、彼が単なるプログラムではなく、かけがえのない魂を持った存在であることを、熱斗に確信させていました。

「そっか…だから僕たち、こんなに最強のコンビなんだな!」
「…うん…熱斗くん…」
「ロックマンはロックマンだよ!僕の最高のナビで、最高の友達で、そして…たった一人の、最高の兄弟だ!これからも、ずっと一緒だかんな!」

熱斗は、涙を浮かべながらも、満面の笑顔で、改めてロックマン(彩斗)を家族として、そしてかけがえのない兄弟として、強く抱きしめました。

二人の絆は、この衝撃的な真実を知ることで、より一層深く、そして揺るぎないものとなったのです。

こうして、熱斗とロックマンの、オペレーターとナビとしての、そして兄弟としての、最初の、そして最も重要な戦いは幕を閉じました。

この経験が、彼らの未来を、そして関係性を、決定づけることになるのです。

いやはや、何度振り返っても、エグゼ1のクライマックスは胸が熱くなりますねぇ。

外伝『ロックマンエグゼ トランスミッション』~赤き閃光、ゼロ。

ワイリーの遺したもう一つの影~

WWW事件が解決し、デンサンシティに平和が戻ってから、しばしの時間が流れた頃。

しかし、水面下では、まだワイリーの悪意が燻っていました。

電脳空間の各地で、突如として現れてはネットワークを破壊し、暴れ回る、謎の深紅のネットナビが出現したのです。

彼の名は「ゼロ」

その圧倒的な戦闘能力、特に鋭いビームサーベルによる斬撃は、ロックマンをも苦戦させるほどでした。

ゼロの行方を追う中で、熱斗たちは、WWWの残党と思われるナビたちと遭遇します。

そして、驚くべき事実が明らかになります。

ゼロを操り、暴走させていたのは、Dr.ワイリーがライフウイルスとは別に、密かに開発し、ネットワーク上に放っていた、自己増殖能力を持つ高性能なウイルス「ゼロウイルス」だったのです。

そして、ゼロ自身もまた、元々はワイリーによって戦闘用に生み出された特殊なナビであり、ウイルスに寄生され、その制御を失い、破壊衝動の塊と化していたのでした。

彼もまた、ワイリーの歪んだ野望の犠牲者だったのです。

「君もワイリーに利用されてるだけなんだ!目を覚ませ、ゼロ!」
ロックマンは、ゼロとの激しい剣戟の中、必死に語りかけます。

その言葉が、ゼロの心の奥底にわずかに残っていた良心に届いたのか。

あるいは、ロックマンが放ったワクチンプログラムの効果か。

ゼロに取り憑いていたゼロウイルスは浄化され、彼は本来の冷静で寡黙な戦士の姿を取り戻します。

「……ロックマン.EXEか……礼を言う。

この借りは、いずれ返す」

短い感謝の言葉を残し、ゼロはどこかへと去っていきます。

(※この『エグゼ』世界のゼロは、後の『ロックマンゼロ』シリーズの主人公とは、直接的な繋がりはない、いわばゲスト出演的なキャラクターです。

しかし、彼の存在は、Dr.ワイリーの科学技術の底知れない高さと、彼が生み出すものが常に悲劇と破壊をもたらす可能性を秘めていることを、改めてプレイヤーに示す、印象的なエピソードとなりました。

束の間の平穏。

しかし、ワイリーがネットワークに残した負の遺産は、ゼロウイルスだけではありませんでした。

彼の悪意は、形を変え、新たな脅威となって、再び熱斗たちの日常を脅かそうとしていたのです。

~ネットマフィア「ゴスペル」の暗躍!孤独な復讐者の慟哭~第2章『ロックマンエグゼ2』

熱斗が小学5年生の夏休みを迎えた頃。

世界は、新たな、そしてより組織化されたネットテロの脅威に晒されていました。

アメロッパ、アジーナ、ニホン…各国の政府機関や重要インフラのネットワークが次々とターゲットとなり、大規模なシステムダウンが発生。

社会機能は麻痺し、国際社会は混乱の極みに陥ります。

犯行声明を出したのは、新たに台頭した謎の犯罪組織「ネットマフィア・ゴスペル」

彼らは巧みにその正体を隠し、構成員は主に社会に不満を持つ少年少女たちで構成されている、という不穏な噂が流れていました。

そして、その背後には、やはりあの男、Dr.ワイリーの影がちらついていました。

しかし、今回ワイリーは驚くほど慎重で、決して表舞台には姿を見せず、ゴスペルという組織を陰で操り、自らの目的のために利用する、黒幕に徹していたのです。

まるで、自分の手を汚さずに、子供たちを駒として動かすかのように…。

うーん、悪質!

一方、熱斗は、将来有望なネットバトラーとして、オフィシャル(公式)ネットバトラーのライセンス取得を目指し、試験に挑戦する傍ら、この国際的なネットテロ事件の解決にも、持ち前の正義感から首を突っ込むことになります。

夏休みを利用して、父・祐一朗の研究を手伝う名目で海外(アメロッパ、アジーナなど)を訪れた熱斗は、そこで、後にシリーズを通して熱斗の重要な仲間、そしてライバルとなる人物たちと運命的な出会いを果たします。

  • アメロッパ(アメリカとヨーロッパを合わせたような国)のエリート軍人で、冷静沈着、任務遂行を最優先する若きオフィシャル、ライカと、彼のナビで、索敵能力と狙撃能力に長けたサーチマン.EXE
  • アジーナ(アジアの国々をイメージした地域)の豊かな自然の中で育った、心優しきシャーマンの末裔ディンゴと、彼のナビで、自然の力を借りて戦う野性的な戦士トマホークマン.EXE

彼らとの出会いは、熱斗の世界観を大きく広げ、オペレーターとしても、一人の人間としても、成長するきっかけを与えてくれます。

(※ただし、ゲーム『エグゼ2』本編では、彼らとの本格的な交流や共闘はまだ描かれず、後のシリーズへの伏線としての登場に留まります。)

しかし、ゴスペルの魔の手は、熱斗の故郷であるニホン、デンサンシティにも容赦なく伸びてきます。

なんと、熱斗の一番の親友であるデカオのナビ、ガッツマン.EXEが敵に捕らえられ、闇のバグ(後の『エグゼ4』で登場するダークチップのプロトタイプとも言える技術)を注入され、邪悪なパワーで強化されてしまうのです!
「ガッツマァァァン!俺が分からないのか!」
変わり果てた親友の姿に涙しながらも、ロックマンは熱斗の必死の呼びかけと共に、暴走するガッツマンを止め、なんとか彼を正気に戻すことに成功します。

仲間を傷つけられた怒りと悲しみが、熱斗とロックマンの、ゴスペルへの闘志をさらに燃え上がらせます。

ゴスペルの尖兵として、次々とロックマンたちの前に立ちはだかる幹部ナビたち。

影に生きる冷酷な暗殺者シャドーマン.EXE

誇り高く、鉄壁の防御を誇る鋼鉄の騎士ナイトマン.EXE

強力な磁力で相手の動きを封じ、鉄塊を操るマグネットマン.EXE

触れるもの全てを凍てつかせる、絶対零度の冷気を放つフリーズマン.EXE…。

彼らの多くは、どこか見覚えのある姿をしていました。

それもそのはず、彼らは前作『エグゼ1』でロックマンに倒されたWWW幹部のナビデータを、ワイリーが回収し、改造・強化して生み出した「複製ナビ」だったのです!
まるで悪夢の再来。

ワイリーの執念深さと、悪用される科学技術の恐ろしさを、改めて見せつけられます。

熱斗とロックマンは、メイルや炎山といった頼れる仲間たちの協力を得ながら、因縁浅からぬこれらの強敵たちを、激闘の末に次々と打ち破っていきます。

そして、ついに、謎に包まれていたネットマフィア・ゴスペルの首領が、その姿を現します。

そこにいたのは、武装した大人でも、凶悪なネットナビでもありませんでした。

なんと、熱斗と同じくらいの年頃の、しかしその瞳に深い孤独と、社会への激しい憎しみを宿した、一人の少年だったのです。

彼の名は、帯広 シュン(おびひろ しゅん)

彼は幼い頃、ネットワークシステムの欠陥が原因とされる飛行機事故で、最愛の両親を一度に亡くすという、悲劇的な過去を背負っていました。

「僕のパパとママを返せ! こんな欠陥だらけのネット社会なんて、僕が全部、壊してやるんだ!」
その純粋であるが故に歪んでしまった復讐心が、Dr.ワイリーに巧みに利用され、彼はゴスペルという組織を結成し、その若さゆえの危うさと、天才的なプログラミング能力で、世界中を恐怖に陥れるネット犯罪に手を染めてしまっていたのです。

彼の悲痛な叫びは、ネットワーク社会が持つ光と影、そしてテクノロジーの進歩が生み出すかもしれない悲劇を、プレイヤーに突きつけます。

「これが僕の…僕たちの怒りだ!喰らえ!ゴスペルーー!!」

追い詰められたシュンが、最後の切り札として解き放ったのは、彼がこれまでに集めた、世界中のネットワークから吸い上げた膨大なバグデータを融合させて生み出した、超巨大な合成ウイルス「ゴスペル」でした。

ネットワークそのものを喰らい尽くし、増殖する、禍々しい巨大な狼のような姿をしたそれは、まさに「バグの獣」。

その圧倒的な破壊力と、予測不能な動きで、ロックマンを絶体絶命の窮地へと追い詰めます。

「ロックマン!!」「熱斗くん…!」
もはやこれまでか…誰もがそう思った、その瞬間――。

漆黒の翼を持つ影が、戦場に舞い降りた。

「フン、くだらんな。

所詮はバグの寄せ集めか…目障りだ、消えろ」

それは、誰にも従わず、オペレーターすら持たず、ただ己の「最強」のみを追い求める、孤高のネットナビ「フォルテ(Bass.EXE)」でした!
彼は、その桁違いの戦闘能力――ロックマンすら苦戦させたゴスペルを、まるで虫けらを払うかのように、強力なバスターの一撃で、いとも簡単に破壊してしまいます。

しかし、ゴスペルが消滅する際に放出した、莫大な量のバグデータ(悪意やエラー情報の塊)を、フォルテはなぜか自らのボディに吸収してしまいます。

その影響なのか、フォルテの体は不気味な光を放ち始め、「フン…これもまた力となるか…」と呟くと、彼は再びネットワークの深淵へと姿を消しました。

(※フォルテの出自については、光 正博士がかつて開発した完全自律型ナビのプロトタイプであり、人間に裏切られた過去を持つ、という裏設定があります。彼の突然の介入は、結果的にロックマンを救う形となりましたが、その真意は全くの不明。そして、ゴスペルのバグを取り込んだことは、彼の力をさらに増大させると同時に、その精神をより不安定で危険なものへと変質させていく、重要なターニングポイントとなりました。)

首領を失い、最終兵器も破壊されたゴスペルは、ここに壊滅。

首領だったシュンもまた、熱斗との対話の中で、自分の復讐心が多くの人々を傷つけ、そしてワイリーに利用されていたという事実に気づき、自らの犯した罪の大きさを悟ります。

彼は、両親への想いを胸に、未来で罪を償うために、自らオフィシャルに投降する道を選びました。

彼の更生と未来に、わずかな希望の光が見えた瞬間でした。

最後まで、事件の真の黒幕であるDr.ワイリーの存在が公になることはありませんでした。

しかし、事件後、父・祐一朗は熱斗に、一枚の古い、色褪せた写真を見せます。

そこには、若き日の、希望に満ちた表情の光 正博士と、そして隣で同じように笑顔で肩を組む、若き日のワイリー博士の姿が写っていました。

「ワイリーはね、熱斗。昔は…おじいちゃん(光 正)のかけがえのない、最高の親友だったんだよ」

父の静かな、しかし重い言葉は、二人の天才科学者の間に横たわる、深く、そして悲しい因縁の物語を、熱斗の心に深く、そして静かに刻みつけたのでした。

この因縁が、次の、そして最大の戦いへと繋がっていくことになります。

一方、ゴスペルの力を吸収し、さらなる強さと歪みをその身に宿したフォルテは、もはや通常のネット空間では満足できず、ネットワークの最深層、法や秩序の及ばない無法地帯「裏インターネット」へとその活動領域を移します。

そこで、さらなる力を求め、静かに、しかし確実に、己の「最強」への道を、狂気と共に歩み始めていたのです…。

彼の存在が、今後の物語にどのような影響を与えるのか、この時点ではまだ誰も知る由もありませんでした。

~WWW最後の逆襲!蘇る原初の悪夢「α」、そして伝説へ~第3章『ロックマンエグゼ3』

(※しつこいようですが、念のため! 本作は『BLACK』と『Blue(通常版)』の2バージョンが存在します。出現ナビや一部のチップが異なりますが、メインストーリーは共通です。ここでは両バージョンの要素を統合して解説しますね。)

ゴスペル事件という大きな戦いを乗り越え、熱斗が小学5年生の2学期を迎えた頃。

デンサンシティには、ようやく落ち着いた日常が戻っていました。

しかし、ネットバトラーたちの血を騒がせる、ビッグニュースが舞い込んできます。

それは、文字通り世界最強のネットバトラーの称号を決定する、超大規模な公式トーナメント「N1グランプリ」の開催決定!

「よっしゃー!俺も出て、世界一になってやるぜ!」

熱斗はもちろん、メイル、デカオ、そして永遠のライバル炎山といった、デンサンシティの実力者たちがこぞって参加を表明。

再び熱いネットバトルの日々が始まる!と、誰もが胸を躍らせていました。

大会を主催するのは、派手なテンガロンハットがトレードマークの、陽気でちょっと胡散臭い大道芸人を名乗る男、「自称・日本一のネットバトラー、ヤマトマンでぇい!」

しかし、そのおどけた態度の裏には、ドス黒い企みが隠されていました。

彼の正体は、なんと復活を遂げたWWW(ワールドスリー)の新たな幹部、犬飼 タケオだったのです!

そう、このN1グランプリ自体が、水面下で再結集を果たし、最後の逆襲の機会を窺っていたDr.ワイリーと、新生WWWが仕組んだ、壮大にして巧妙極まりない罠だったのです!
彼らの真の狙いは、N1グランプリという華やかな舞台を利用して、世界中から集まる優秀なネットバトラーたちを一箇所に集め、そのナビとPETに秘められた高度なプログラムや潜在能力を一網打尽に解析・強奪すること。

そして、その先にある、恐るべき最終目的――ネット社会そのものを根源から破壊し尽くす――を達成するための、大規模な陽動作戦だったのです。

熱斗たちは、そんな裏の事情など知る由もなく、厳しい予選を見事に勝ち抜き、N1グランプリの本戦会場である、最新鋭の設備を誇る豪華客船へと駒を進めます。

世界中から集った強豪たちとの、白熱したネットバトル。

会場に満ちる興奮と熱気。

しかし、その華やかな雰囲気は、突如として悪夢へと一変します。

会場に設置されていた、大会運営用のはずの特殊な装置が、けたたましい警報と共に作動!
大量の凶悪なウイルスが、会場の至る所から実体化し、参加者たちに襲いかかります。

さらに、船全体が外部との通信を遮断され、特殊な電脳フィールドによって完全に隔離されてしまう。

逃げ場のないパニック状態の中、ついにWWWの新幹部たちが、その正体を現します!

  • 美しい花を咲かせながら、猛毒の胞子と鋭い蔓で攻撃する、植物型ナビプラントマン.EXE。「さあ、美しい悪夢を見せてあげるわ」
  • 目も眩むほどの強烈な閃光を放ち、相手の視覚と動きを奪う、電球型ナビフラッシュマン.EXE。「ピッカァ!これで何も見えないでしょ!」
  • 鋭い爪と牙で襲いかかり、野生の本能で相手を追い詰める、獣人型ナビビーストマン.EXE。「ガウガウ!お前ら、みんな切り裂いてやるぜ!」
  • 砂嵐を巻き起こし、幻影を見せて惑わす、砂漠の王を模したナビデザートマン.EXE。「ようこそ、渇きと絶望の砂漠へ…」
  • 無数の泡で相手を包み込み、動きを封じ、酸欠に追い込む、トリッキーな潜水服型ナビバブルマン.EXE。「アブブブ…泡と戯れましょ!お金くれたら見逃すかも?」
  • そして、あらゆる防御を貫通する、超硬度のドリルを装備した、工事用ロボット型ナビドリルマン.EXE。「ドリルーーーっと、風穴開けてやるぜぇ!」

次々と襲い来る、個性豊か、というかアクの強い幹部ナビたち。

彼らは、N1に参加していた一般のネットバトラーたちを、赤子の手をひねるように打ち倒していきます。

しかし、熱斗とロックマンは、炎山(ブルース)や、大会を通じて知り合った他の実力者たち(バージョンによって異なる仲間が登場します)と協力し、絶望的な状況の中、死闘を繰り広げ、なんとか彼らを撃退することに成功します。

そして、混乱の極みにある本戦会場のメインステージに、ついに全ての元凶、全ての黒幕である、あの老科学者が、堂々とその姿を現しました。

そう、Dr.ワイリーです!

「フハハハハ!よくぞ生き残ったな、光熱斗!そしてロックマンよ!だが、貴様らの活躍も、ここまでだ! N1グランプリなど、しょせん余興に過ぎん! ワシの真の目的は、この忌まわしきネット社会を、根源から消滅させることにあるのだ!」

ワイリーは、高らかに、そして狂気に満ちた声で宣言します。

彼の真の、そして最後の目的。

それは、インターネットが誕生した、まさにその創世記に、ネットワーク自身が自己進化の過程で偶発的に生み出してしまい、あまりにも強大で、あまりにも危険すぎるが故に、若き日の光 正博士によって、ネットワークの最深部、通常では絶対にアクセス不可能な「レベルゼロ」と呼ばれる領域に、厳重に封印されていた、原初のインターネットにして、究極の自己増殖型破壊プログラム「プロト」、またの名を「α(アルファ)」の、完全なる復活でした。

アルファは、特定の意志や感情を持たない、純粋な「破壊」と「増殖」の本能のみで動く、いわば「電脳世界の原始生命体」のような存在。

ネットワーク上に存在するありとあらゆるデータ――ネットナビも、ウイルスも、システムプログラムも、人々の記憶や記録さえも――を、無差別に「餌」として喰らい尽くし、それを自らのエネルギーとして吸収し、無限に自己増殖していく。

もしアルファが完全に解放されれば、現代のネットワーク社会は瞬時に崩壊し、電脳世界は原初の混沌へと回帰してしまうでしょう。

そして、ここには皮肉な、そして悲しい真実が隠されていました。

この恐るべき破壊プログラム「アルファ」の原型は、かつて若き日の光 正博士とワイリー博士が、共に理想に燃えて研究していた、次世代のネットワーク全体を自律的に管理・進化させるための、究極の自己学習型AIの、最初のプロトタイプだったのです。

つまり、ワイリーは、かつて自らが理想と共に生み出そうとした存在を、今度は自らの手で、世界を破滅させるための悪夢として蘇らせ、かつての親友・光 正が心血を注いで築き上げた現代のネット社会の全てを、その根源から、跡形もなく消し去ろうと企んでいたのです。

彼の歪んだ復讐心は、ついにここまで来てしまったのか…と、思わずため息が出ますね。

「アルファが目覚めれば、光の作り上げた偽りの楽園など、一瞬で無に帰すわ!フハハハハ!」
ワイリーの狂気の高笑いが、絶望に包まれた会場に響き渡ります。

事態の深刻さを誰よりも理解していた科学省は、アルファの完全復活だけは絶対に阻止しなければならないと、総力を挙げて動き出します。

熱斗は、科学省の重鎮であり、ネットバトル界では右に出る者はいないとされる伝説の存在「名人」(彼の正体は…まぁ、ご存知の方も多いですよね?)から、アルファを再び封じ込めるための、最後の希望となる超冷凍プログラム「ギガフリーズ」を託されます。

「熱斗くん、ロックマンくん。

もはや、君たちにしか頼れない…!この世界の未来を、頼んだぞ!」
名人の、いつになく真剣な言葉が、事態の緊急性を物語っていました。

炎山をはじめとするオフィシャルネットバトラーや、N1グランプリで出会った仲間たちの全面的なバックアップを受け、熱斗とロックマンは、ワイリーがアルファ復活の儀式を行う最終拠点として築いた、ネットワークの最深部に存在する巨大要塞「WWW基地」へと、決死の突入を開始します。

基地の内部は、これまでのどのダンジョンよりも複雑怪奇で、強力なセキュリティシステムと、WWWの残存戦力が待ち構えていました。

そして、基地のさらに深部、通常のネット空間とは完全に隔絶された、ネットワークの最下層領域「裏インターネット」へと続く道で、彼らは想像を絶する強者たちと遭遇することになります。

裏インターネットの秩序を守り、その頂点に君臨するとされる、気高くも圧倒的な力を持つ謎のナビ「セレナード」

その力は、もはや通常のナビの次元を超えており、ロックマンは手も足も出ませんでしたが、セレナードはロックマンの持つ可能性を認め、道を開けてくれます。

そして、もう一人。

ゴスペルのバグを取り込み、裏インターネットの過酷な環境でさらに力を増し、アルファの覚醒という未曽有の事態に呼応するかのように、禍々しいオーラを放ち、凶悪なまでの戦闘能力を身につけていた、あの孤高のナビ「フォルテ」

「また貴様か、ロックマン.EXE…だが、今の私がお前に劣るとでも思ったか?」
フォルテは、以前とは比較にならないほどの、まさに悪魔的な力でロックマンを圧倒します。

一撃一撃が致命傷になりかねないほどの猛攻。

しかし、彼の真の目的は、もはやロックマンを倒すことではありませんでした。

「フン…小物は消えろ。私の目的は、アルファ…あの原初の混沌の力こそが、真の『最強』の証だ…!あの力を手に入れ、私は究極を超える!」

アルファの強大なエネルギーを自らに取り込み、神をも超える究極の存在となること。

それがフォルテの新たな、そして最も危険な渇望だったのです。

彼はロックマンとの決着を再び先延ばしにし、アルファが眠るという最深部へと、黒い翼を広げて飛び去っていきました。

彼の存在が、この最終決戦にどのような影響を与えるのか…不吉な予感しかしません。

数々の死線を乗り越え、ついに最深部で、アルファ復活の儀式を執り行うDr.ワイリーと対峙する熱斗とロックマン。

「よくぞここまで辿り着いた…だが、もう遅い!」ワイリーは叫びます。

「お前の祖父、光 正が!ワシの夢を!ワシの才能を!ワシの人生の全てを奪ったのだ!奴が作り上げたこの偽りの平和に満ちた忌まわしきネット社会ごと、アルファの力で、塵一つ残さず消し去ってくれるわぁぁ!」
長年にわたり蓄積され、歪みに歪んだ憎悪と狂気を爆発させ、ワイリーはついに、アルファを永劫の眠りから解き放ってしまいます!

ゴゴゴゴゴゴ…!!!
ネットワークの奥底、レベルゼロの領域から、形容しがたい、巨大で、醜悪で、不定形のバグの塊が、ゆっくりと姿を現します。

それが、原初のインターネットにして、究極の破壊神、α(アルファ)

その存在は、ただそこに「在る」だけで、周囲の空間データを破壊し、ネットワークの法則そのものを歪ませる、まさに「歩く世界の終わり」。

「ロックマン!」「熱斗くん!」
ロックマンは、世界の命運を賭けて、果敢にアルファに立ち向かいます。

しかし、アルファは、ロックマンが放つありとあらゆる攻撃プログラム(バトルチップ)を、まるでスポンジが水を吸うように吸収し、無力化してしまうのです。

ダメージを与えるどころか、攻撃すればするほど、アルファはそれをエネルギーとしてさらに活性化していくかのよう。

バスターも、ソードも、エレメント攻撃も、プログラムアドバンスすらも効かない。

逆に、アルファから放たれる、原始的でありながら根源的な破壊エネルギーは、ロックマンのデータを確実に蝕み、消し去ろうとします。

徐々に追い詰められ、ついにロックマン自身もアルファの巨大な体に取り込まれ、その意識もろとも消滅しかける…!

「ロックマァァァン!!諦めるなぁぁぁ!!」
熱斗の、魂からの絶叫が響き渡ります。

絶対絶命。

万策尽きたかと思われた、まさにその瞬間。

奇跡が、再び起こりました。

熱斗のPETの通信画面に、ノイズと共に、しかしはっきりと、懐かしい、優しい顔が現れたのです。

それは、何年も前に亡くなったはずの、熱斗の祖父、光 正博士の人格データでした!
光博士は生前、自らの最大の過ち(アルファを生み出してしまったこと)と、ワイリーの暴走を予見し、万が一、アルファが再び世界を脅かすような事態になった場合に備え、自らの人格データと思考パターンをバックアップとして保存し、息子・祐一朗に密かに託していたのです。

「ワシとしたことが、とんでもないものを生み出してしまった…だが、ワシが終わらせる!」

「熱斗、ロックマン、よく聞くのじゃ!」モニター越しの光博士が、最後の希望を告げます。

「アルファは無敵ではない!その核となる部分には、かつてワシが、万が一の暴走に備えて、最後の安全装置として設置した、自己防御プログラムが眠っておる!そこへ、ワシのIDデータを、物理的に打ち込むのじゃ!そうすれば、ほんの一瞬じゃが、アルファの全ての動きを完全に停止させることができるはず!その一瞬の隙に、ギガフリーズを叩き込むのじゃ!」

祖父が遺した、最後の導き、そして最後の贖罪。

熱斗は、涙を拭い、強く頷きます。

「分かった、じいちゃん!ロックマン!頼んだぞ!」
ロックマンもまた、祖父(開発者の一人)の想いを受け止め、残された最後の力を振り絞ります。

アルファの巨大な体の、混沌としたデータの嵐が吹き荒れる内部へと、決死の覚悟で再突入!
目指すは、ただ一点、最深部に存在するはずの核!

内部は、まさに地獄のような光景。

しかし、ロックマンは迷わず突き進みます。

そして、ついに核を発見!
自らの右腕のロックバスターが、アルファの強力な防御機構によって砕け散るのも構わず、光 正博士のIDデータが込められたエネルギーの全てを、渾身の力で、アルファの核へと、直接叩き込んだのです!

「うおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」

ピタリ、と。

確かに、ほんの一瞬。

あれほど暴れ狂っていたアルファの、全ての動きが、完全に停止しました。

その、永遠にも思える一瞬を、熱斗は見逃しませんでした。

「今だっ!喰らえぇぇ!ギガフリーズ! プログラムアドバーーーンスッ!!!」

熱斗の、全ての想いを込めた叫びと共に発動された超冷凍プログラム「ギガフリーズ」は、強烈な絶対零度の光の奔流となってアルファを内部から包み込み、その巨大な体を分子レベルで完全に凍結させ、崩壊させます。

そして、再びネットワークの最深部、レベルゼロの領域へと、永劫の封印を施すことに成功したのでした!

「バカな…アルファが…ワシの…ワシの究極の計画がぁぁぁぁ!!!」
自らの野望が、またしても、そして今度こそ完全に打ち砕かれ、怒りと絶望に震えるDr.ワイリー。

崩壊を始めるWWW基地。

熱斗は、敵であるはずのワイリーにも、手を差し伸べます。

「ワイリーさん!早く逃げて!」
しかし、ワイリーはその手を、憎々しげに振り払います。

「フン…小僧の偽善的な情けなど、いるものか!覚えておれ、光の者どもよ!ワシは滅びん!光が存在する限り、闇もまた必ず存在するのだ!何度でも、何度でも、ワシは蘇ってくれるわぁぁ!!」
呪詛のような言葉を残し、ワイリーは炎と瓦礫の中へと、その姿を消していきました。

(彼の生死は、やはりこの時点でも不明のままです。)

熱斗たちは、間一髪で崩壊する基地から脱出し、三度、世界を救ったのです。

長かったWWWとの戦いに、ようやく終止符が打たれました。

ネット社会最大の危機は去り、平和が訪れました。

アルファの攻撃で砕け散ったロックマンの右腕も、父・祐一朗の懸命な修復作業によって元通りになります。

しかし、完全な修復と、ハブ.batの影響などを精密に検査・調整するため、ロックマンはしばらくの間、祐一朗さんのラボに預けられることになりました。

たった数日間の別離。

しかし、かけがえのない相棒であり、兄弟であるロックマンと離れて過ごす時間は、熱斗にとって、これまでにないほどの寂しさと、そしてロックマンの存在の大きさを、改めて痛感させる期間となりました。

(エンディングでは、無事に修理を終えたロックマンが熱斗の元へ帰り、二人は言葉にならないほどの喜びと共に、涙ながらに再会を果たします。

このシーン、何度見ても泣けます…!)

事件が全て終わった後、父・祐一朗は熱斗に、祖父・光 正博士が、生前に密かに遺していた古い日記のデータファイルを渡します。

そこには、科学者としての業績や苦悩、家族への深い愛情と共に、宿敵であるはずのワイリーに対する、複雑ながらも、断ち切ることのできない友情の念が、切々と綴られていました。

「ワイリー、君は今、どこで、何を想っているのだろうか。

君のあの類稀なる才能を、正しい道へと導くことができなかった私にも、大きな責任があるのかもしれない……。

だが、それでも、私は今でも、君を…最高の友だと思っているよ…」

長年の憎しみと復讐心に心を蝕まれてしまったワイリーに、光 正博士のこの真摯な想いが届くことは、おそらく永遠にないでしょう。

しかし、熱斗は、祖父が遺したこの言葉を、深く、深く胸に刻みつけます。

二人の天才科学者の間に横たわっていた、友情と確執、理想と現実の、あまりにも悲しいすれ違いの物語に、静かに思いを馳せるのでした。

この経験が、熱斗をまた一歩、大人へと成長させたのかもしれません。

シリーズの中でも特に人気の高い『ロックマンエグゼ3』。

それは、当初シリーズ完結作として企画されていたこともあり、これまでの伏線の見事な回収、魅力的なキャラクターたちの掘り下げ、そして息もつかせぬストーリー展開と感動的な結末など、物語としての完成度が極めて高いからでしょうね。

私も、個人的には3が一番好きかもしれません。

そして、忘れてはならないのが、クリア後のやり込み要素の先に待ち受ける、真のラストバトル。

アルファとの戦いで生き延び、あろうことかその強大な混沌の力の一部を吸収し、さらに異形かつ凶悪な姿「フォルテGS(ゴスペルスタイル)」へと変貌を遂げたフォルテが、プレイヤーに最後の、そして最強の試練として立ちはだかります。

その圧倒的な攻撃力、スピード、そして絶望的なまでの強さは、多くのプレイヤーにトラウマを植え付けたと同時に、フォルテという存在の底知れないポテンシャルと、彼の「最強」への渇望が、もはや誰にも止められない、危険な領域に達してしまったことを示す、不吉な未来への序章ともなったのです…。

彼の物語は、まだ終わらない。

そんな予感を強く感じさせる、衝撃的なエンディングでした。

~心の闇ダークチップ、宇宙からの審判者デュオ、そして別れ~第4章『ロックマンエグゼ4』

(※さあ、ここからは物語も後半戦! 本作も『トーナメント レッドサン』と『トーナメント ブルームーン』の2バージョン構成です。参加するトーナメントや登場ナビ、使えるソウルユニゾンなどが異なります。あと、クリア後にストーリーがループする周回プレイが特徴でしたね…当時は賛否両論ありましたっけ。)

アルファ事件という、ネット社会存亡の危機を乗り越えてから、約5ヶ月の月日が流れた頃。

熱斗は、最高学年の小学6年生に進級しました。

新しいクラス、新しい友達。

最高学年としての自覚と、ちょっぴりの不安を胸に、新たな学校生活への期待に胸を膨らませていました。

そんな彼の耳に、またしてもネットバトラーの血を騒がせるビッグニュースが飛び込んできます。

世界中の、文字通りトップクラスのネットバトラーが一堂に会し、真の世界最強を決める、超大規模なネットバトルトーナメント「レッドサントーナメント / ブルームーントーナメント」(バージョンによって名称が異なります)の開催が発表されたのです!

「よっしゃー!今度こそ、文句なしの世界一になってやるぜ!」

N1グランプリでの経験を経て、さらに成長した熱斗は、もちろんロックマンと共に参加を決意。

幼馴染のメイル(ロール)、親友のデカオ(ガッツマン)、そして永遠のライバル炎山(ブルース)といった、お馴染みのメンバーたちも当然のように参戦を表明。

再び、世界の頂点を目指す、熱く激しい戦いの火蓋が切って落かされます。

トーナメントは、世界各地で開催される予選を勝ち抜いた猛者たちが集う、まさに夢の舞台。

熱斗は、大会を通じて、世界各国からやってきた、個性豊かで、一癖も二癖もある強力なネットバトラーたちと出会い、時には激しくぶつかり合い、時には互いを助け合いながら、国境を越えた友情を育んでいきます。

  • 青い空をこよなく愛する、陽気なアメロッパの飛行機乗りチャーリー・エアスターと、彼のナビで、空中戦を得意とするプロペラ機型ナビジャイロマン.EXE。「ヒュー! 今日もいい風が吹いてるぜ!」
  • 巨大財閥エレキテル家の令嬢で、プライドが高く、ちょっとワガママだけど根は優しいテスラ・マグネッツと、彼女のナビで、強力な電磁力を自在に操るマグネットマン.EXE(※なんと『エグゼ2』のゴスペル幹部からまさかの再登場! 改心したのかな?)。「わたくしのエレガントな戦い方、目に焼き付けなさい!」
  • 神秘的な雰囲気を持つ、アジーナ国の心優しい少女ジャスミンと、彼女のナビで、回復能力と毒攻撃を使い分ける、看護師のようなナビメディ.EXE。「あなたの心の傷も、癒して差し上げます…」
  • 古式ゆかしいシャロ国の誇り高き王女プリンセス・プライドと、彼女に絶対の忠誠を誓う、重厚な鎧に身を包んだ騎士ナビナイトマン.EXE(※こちらも『エグゼ2』から再登場! 相変わらずの忠誠心!)。「姫様のため、このナイトマン、いかなる敵も打ち砕いてみせますぞ!」

彼らとの出会いと交流は、熱斗をオペレーターとして、そして一人の人間として、さらに大きく成長させていく、かけがえのない経験となります。

世界の広さを知り、多様な価値観に触れる。

これもまた、エグゼシリーズの大きな魅力の一つですよね。

しかし、その華々しく、希望に満ちたトーナメントの熱狂の裏側で。

新たな、そしてこれまでとは質の異なる、深刻な闇が、静かに、しかし確実にネットワーク社会全体を蝕み始めていました。

その名は「ネビュラ」

率いるのは、氷のように冷徹な頭脳と、目的のためなら手段を選ばない非情さを持つ、謎の科学者Dr.リーガル

彼らが開発し、ネット社会の裏側で秘密裏に流通させ始めていたのは、「ダークチップ」と呼ばれる、禁断のバトルチップでした。

ダークチップは、使用者のナビに、一時的にではあるものの、通常のバトルチップとは比較にならないほどの絶大な力を与えます。

しかし、その代償はあまりにも大きい。

使えば使うほど、ナビの心は邪悪な破壊衝動に満たされ、凶暴化し、ついにはオペレーターの制御すら完全に受け付けなくなってしまう…。

まるで、魂を悪魔に売り渡すかのような、甘美にして危険すぎる誘惑。

「使えば使うほど、強くなれる…フフフ、抗えるかな? この力に…そして、その先に待つ闇に…」

ダークチップの存在を知った熱斗は、その底知れない危険性と、それがもたらすであろう悲劇に、強い危機感を覚えます。

力を求めるあまり、ダークチップに手を出してしまうネットバトラーが現れ始めたという噂も、彼の耳に入ってきていました。

さらに、事態は、地球規模、いや、もはや宇宙規模の、想像を絶する危機へと発展していきます。

地球に向けて、正体不明の、しかし明らかに異常なエネルギーを発する巨大な小惑星が、驚異的な速度で接近していることが、世界中の天文台によって観測されたのです。

当初は、単なる自然現象、巨大隕石の接近かと思われていました。

しかし、その小惑星は、まるで自らの意思を持っているかのように、複雑な軌道を描き、地球のネットワークシステムに対して、干渉するかのような特殊なエネルギー波を発していたのです。

その正体は、もはや人間の想像を超える存在でした。

遥か太古、宇宙に存在した超高度な文明が、宇宙の秩序を守るために生み出したとされる、自律思考型の超巨大惑星破壊兵器「デュオ」

デュオの使命は、宇宙に存在する無数の文明を、遠距離から、あるいは直接訪れて観測し、その文明が持つ「悪意」の総量を測定すること。

そして、その悪意が、宇宙の調和を乱す危険なレベルに達したと判断した場合、その文明が存在する星ごと、完全に消滅させるという、まさに「宇宙の審判者」とも呼べる、恐るべき存在だったのです。

そして今、デュオは、ダークチップという形で「悪意」が急速に蔓延しつつある地球を、次の「裁き」を下すべき、危険な星として認識し始めていました。

「観測対象、惑星コード『Earth』…悪意指数、急上昇中…プロトコルに従い、裁定プロセスを開始する…」

デュオが地球に接近するにつれて、その計り知れないほど強大な存在が放つ特殊なエネルギー波(デュオ・ウェーブ)は、地球上のあらゆるネットワークシステムに深刻な異常を引き起こし始め、現実世界の電子機器にも原因不明の誤作動を頻発させます。

まるで、地球全体が悲鳴を上げているかのようでした。

ネビュラによるダークチップの蔓延という「内なる脅威」と、宇宙からの審判者デュオの接近という「外なる脅威」。

二つの、全く異なる、しかしどちらも人類の存亡に関わる未曽有の脅威が、同時に、この地球に迫っていたのです。

もはや、ネットバトルトーナメントどころではありません。

世界は、パニック寸前の状況に陥ります。

事態を重く見た科学省は、ネビュラの野望を阻止し、なおかつデュオによる地球への裁きを回避するため、炎山(ブルース)をリーダーとして、トーナメントに参加していた熱斗を含む各国の精鋭ネットバトラーたちによる、国際的な緊急対策チームの結成を急ぎます。

しかし、その矢先、これ以上ないほど最悪の事態が発生してしまいます。

ネビュラが、なんと科学省の本部サーバーを直接襲撃!

混乱の中、チーム結成の中心人物であり、世界のネットワーク技術の権威でもある、父・祐一朗が、Dr.リーガルによって拉致されてしまったのです!

「父さん!!」熱斗の目の前で、父は連れ去られてしまいました。

さらに、追い打ちをかけるように、ネビュラの魔の手は、熱斗の大切な仲間たちにも及びます。

メイル、デカオ、やいとのPETまでもがネビュラに奪われ、ロール、ガッツマン、グライドが、強制的にダークチップを投与され、完全に洗脳され、闇に堕ちてしまうのです。

「メイル!デカオ!やいと!しっかりしろ!僕たちのこと、分からないのか!」

変わり果て、憎しみの表情を浮かべ、牙を剥くかつての仲間たち。

熱斗の悲痛な叫びは、ダークチップの深い闇に閉ざされた彼らの心には、届きません。

信頼する父親を人質に取られ、かけがえのない仲間たちと、本気で敵対しなければならない。

これほどの絶望的な状況は、シリーズを通して初めてかもしれません。

孤独と無力感に打ちひしがれ、熱斗の心は、ポッキリと折れかけてしまいます。

ロックマンもまた、主を失い、仲間を失った悲しみで、その青いボディを震わせていました。

しかし、彼らは決して、本当に一人ではありませんでした。

「一人で全部背負い込むな、熱斗!俺たちがいる!」

炎山が、ライカが、チャーリーが、テスラが、ジャスミンが、プライドが…トーナメントを通じて、時には競い合い、時には助け合い、確かな絆を結んだ世界中の仲間たちが、熱斗の元に集結したのです。

「俺たちの力を合わせれば、どんな困難だって乗り越えられる!」「そうだぜ!光!」「わたくしたちも、共に戦いますわ!」

彼らは、バージョンに応じて「チーム・オブ・ブルース」(炎山リーダー)または「チーム・オブ・カーネル」(リーダー不在だが、カーネルの名を冠する。

※この時点ではカーネル本人は未登場。

後の『エグゼ5』への重要な伏線!)を結成。

仲間たちの熱い友情と、決して諦めない強い心が、絶望の淵にいた熱斗とロックマンを、再び奮い立たせます。

「みんな…ありがとう!絶対に、父さんを、みんなを取り戻してみせる!」

チームの最初の任務は、ネビュラによって完全に占拠され、ダークチップの悪意で汚染されてしまったインターネットの主要エリアを奪還するための、大規模な制圧作戦「リベレートミッション」です。

これは、単独のナビの力だけでは到底攻略不可能な、複雑なマップと強力な敵が待ち受けるミッション。

複数のナビを、チェスの駒のように戦略的に動かし、敵の陣地(ダークパネル)を一つ一つ解放していく必要があります。

どのナビを、どの順番で、どこに動かすか。

どの敵を、どのナビで攻撃するか。

チーム全体の高度な連携と、的確な戦術眼が要求される、過酷な戦いです。

エリアを守るのは、ダークチップによって異常なまでに強化された凶悪なナビ「ダークロイド」たち。

その中でも特に、ロックマン自身のデータを悪用して生み出された、邪悪な鏡像、あるいはロックマン自身の内なる闇の具現化ともいえる存在「ダークロックマン」との戦いは、ロックマン自身のアイデンティティをも揺るがす、熾烈を極めたものとなりました。

「お前は俺の一部だ…弱い心、憎しみ、破壊衝動…それこそがお前の本質だ…」囁きかけるダークロックマンの誘惑を、ロックマンは熱斗との絆の力で、強い意志を持って打ち破ります。

「僕は僕だ!熱斗くんのナビ、ロックマン.EXEだ!」

そして、この絶望的な戦いの中で、ロックマンは新たな、そして希望の力に目覚めます。

それは、共に戦う仲間たちのナビと、自らの魂を一時的に融合させ、そのナビの持つ特殊な能力や属性を取り込む「ソウルユニゾン」

炎山のブルースソウル、デカオのガッツソウル(救出後)、メイルのロールソウル(救出後)、ライカのサーチソウル、チャーリーのジャイロソウル、テスラのマグネットソウル、ジャスミンのメディソウル、プライドのナイトソウル…(バージョンによってユニゾンできるナビは異なります)。

仲間たちの力を借りて、ロックマンはより多彩な戦術と、状況に応じた柔軟な対応能力を身につけていくのです。

これは、一人ではなく、仲間と共に戦うことの重要性を象徴するシステムでもありましたね。

チームの仲間たちの力、そしてソウルユニゾンの力を結集し、熱斗たちは苦戦しながらも、一つ、また一つと、ネビュラに占拠されたエリアを解放していきます。

そして、ついに科学省ネットワークの中枢部を奪還することに成功!

父・祐一朗の救出まで、あと一歩です。

最終決戦の舞台は、ネビュラが拠点としていた、宇宙空間に浮かぶ巨大な移動要塞。

そこで待ち受けていたのは、祐一朗博士を人質に取り、不敵な、そして狂気に満ちた笑みを浮かべる、全ての元凶Dr.リーガルでした。

「よくぞここまで来たな、光 熱斗。

だが、貴様らの行動も、全て私の計算通りだ」

彼は、これまでに世界中にばら撒いたダークチップから吸い上げ、凝縮させた、人類の持つありとあらゆる負の感情エネルギーを結集させ、巨大な、まるでブラックホールのような、究極の闇のプログラム「ネビュラグレイ」を生成します。

「見ろ!この美しくも禍々しい力を!このネビュラグレイの力で、宇宙の審判者デュオを完全に地球へと呼び覚まし、この腐りきった、悪意に満ちた世界を、悪人どもごと浄化してくれるのだ! 新世界の神となるのは、この私だ!フハハハハ!」

リーガルの歪みに歪んだ理想、いや、妄想が、世界を破滅へと導こうとします。

「そんなこと、させるかぁぁぁ!!父さんを返せ!!」

ロックマンは、仲間たちの力を宿したソウルユニゾンの力を最大限に引き出し、ネビュラグレイとの最終決戦に挑みます。

善と悪、光と闇、希望と絶望が激しくぶつかり合う、壮絶なラストバトル。

仲間たちの声援が、ロックマンに最後の力を与えます。

「みんなの想いを…この一撃に!!」

ロックマンが放った、渾身のプログラムアドバンスが、ネビュラグレイの弱点であるコアを正確に打ち砕きます。

断末魔の叫びと共に、究極の闇は消滅しました。

「バカな…私の…私の完璧な計画が…!ありえん!ありえんぞぉぉぉ!!!」

自らの野望が完全に打ち砕かれ、追い詰められたDr.リーガルは、完全に理性を失い、自暴自棄になって基地から身を投げてしまいます。

…が、幸か不幸か、一命は取り留めます。

しかし、その衝撃からか、彼は全ての記憶――自分が誰で、何をしてきたのか――を完全に失い、まるで生まれたばかりの赤子のような、無垢な状態になってしまうのでした。

(バージョンによって描写に差異あり)。

父であるワイリーから受け継いでしまったのかもしれない、科学者の業と、歪んだ野望の物語は、皮肉な形で、ここに一つの終焉を迎えたのです。

ネビュラの脅威が完全に去り、地球に蔓延していたダークチップの負のエネルギーが消滅したことで、地球への最終的な「裁き」を実行しようとしていた宇宙の審判者デュオもまた、そのプロセスを停止させます。

「…観測結果を更新。この惑星には、悪意を打ち破るほどの、強い善意と『絆』の力が存在するようだ…裁定を保留し、経過観察とする」

デュオは、熱斗と仲間たちの、決して諦めない戦いの中に、人類が持つ「善」の可能性と、未来への希望を見出したのかもしれません。

静かに、しかし威厳を持って、デュオは地球から離れ、再び永劫の時を刻む、宇宙の彼方へと去っていきました。

ネビュラの暗躍と、デュオの襲来。

二つの巨大な危機は、熱斗と、彼を支えた世界中の仲間たちの、勇気と、決して諦めない心、そして何よりも強い「絆」の力によって、辛うじて回避されたのです。

長かった戦いは、ようやく本当に終わりました。

父・祐一朗も無事に救出され、洗脳されていたメイルたちも元に戻り、世界には再び平和な日常が訪れました。

…かに思えました。

しかし、熱斗の人生には、予期せぬ、そして大きな転機が訪れることになります。

父・祐一朗の仕事の都合――おそらくは、今回のデュオやネビュラ事件を受けての、国際的なネットワークインフラの再構築とセキュリティ強化に関する、極めて重要な任務――により、光一家が、生まれ育ち、長年住み慣れた秋原町を離れ、最新のネットワーク技術研究の中心地である、先進都市「才葉(さいば)シティ」へと、引っ越すことが決まったのです。

メイル、デカオ、やいと…そして、炎山。

生まれてからずっと一緒にいて、共に笑い、共に泣き、共に戦ってきた、かけがえのない仲間たちとの、突然の、そして予期せぬ別れ。

熱斗の心は、寂しさと不安でいっぱいになります。

「なんでだよ…ずっと一緒だって…」涙を堪えきれない熱斗。

しかし、仲間たちは、笑顔で彼を送り出すことを決めます。

「大丈夫だよ、熱斗!」「またすぐに会えるって!」「サイバシティでも、達者でな!」

「…うん!絶対…絶対また、秋原町に戻ってくるからな!それまで、みんな、元気でな!」

熱斗は、仲間たちと再会を固く、固く約束し、涙を拭い、前を向きます。

ロックマンと共に、新たな生活と、そしておそらくは新たな戦いが待つであろう新天地、才葉シティへと、希望と不安を胸いっぱいに詰め込んで、旅立つのでした。

熱斗の小学校生活、最後の年は、大きな変化と、そしてさらなる試練の幕開けと共に、始まろうとしていたのです…。

(※補足として、『エグゼ4』から本格的に導入された『レッドサン/ブルームーン』の2バージョン同時発売と、クリア後に同じストーリーを難易度を上げて繰り返す周回プレイ要素は、当時のプレイヤーの間で「ボリューム水増しでは?」といった批判的な意見も少なからずありました。私も、正直ちょっと面倒くさいな…と思った記憶があります。一方で、仲間との力を合わせる「ソウルユニゾン」システムは、戦略の幅を広げ、後のシリーズの「クロスシステム」へと繋がる重要な布石となりました。そして、物語の核心に関わるDr.リーガル=ワイリーの息子という設定は、作中では直接語られないものの、後の『エグゼ5』の設定資料集などで公式に明かされ、ワイリー一族の歪んだ血の因縁という、シリーズの闇の側面をより深く印象付けましたね。)

~再誕のネビュラ!チームの絆で闇を解放せよ! 悲恋のナビ・アイリス~第5章『ロックマンエグゼ5』

(※さあ、物語はいよいよ佳境へ! 本作も『チーム オブ ブルース』と『チーム オブ カーネル』の2バージョン構成。どちらを選ぶかで、熱斗が所属するチームのリーダーや仲間、使えるクロスソウルなどがガラッと変わります。今回は、より物語の核心に深く関わる『チーム オブ カーネル』版をメインに、ブルース版の要素も補足しながら進めていきますね。)

見慣れない街並み、新しい学校、初めて会うクラスメイト…。

生まれ育った秋原町を離れ、最新鋭のネット技術が集まる先進都市・才葉シティへと引っ越してきた熱斗。

小学6年生として、人生で初めての「転校生」という立場に、期待と、それ以上の大きな不安を抱えながら、新しい生活をスタートさせました。

幼馴染のメイルたちと離れ離れになった寂しさを胸の奥にしまい込み、「ここで新しい友達をたくさん作るんだ!」と前向きに頑張ろうとしていた、まさにその矢先――悪夢は、再び、そしてより狡猾に、彼に襲いかかります。

なんと、前作でリーダーのDr.リーガルが捕まり、壊滅したはずの悪の組織「ネビュラ」の残党が、突如として活動を再開したのです!
しかも、そのやり口は以前よりも遥かに組織的かつ大規模になっていました。

彼らは、才葉シティの主要なインターネットエリア――電力会社、食品流通網、気象観測システムなど、市民生活に不可欠なインフラを管理するサーバー群――を、次々とダークチップで強化・洗脳された凶悪なナビ「ダークロイド」の大軍によって占拠していきます。

その侵攻スピードは驚異的で、あっという間に街のネットワーク機能は麻痺状態に。

さらに、地域のネット犯罪を取り締まり、市民の安全を守る最後の砦であるはずの、オフィシャルネット警察の本部サーバーまでもが、内部からの裏切り(!)によって陥落してしまうという、絶望的な事態に陥ります。

才葉シティは、完全にネビュラの手に落ちてしまったのです。

「またネビュラの仕業か…!」「今度こそ、完全に叩き潰さないと、世界が危ない!」

この緊急事態、いや、国家レベルの危機に対し、科学省は即座に最高レベルの警戒態勢を発令。

ネビュラの侵攻を食い止め、占拠されたエリアを解放するための、最後の希望となる特殊部隊の結成を決定します。

そのメンバーとして白羽の矢が立ったのは、やはり、これまでの戦いで数々の奇跡を起こしてきた、光 熱斗とロックマン.EXEでした。

そして、彼らと共に戦う仲間として、才葉シティ、及び国内外から、選りすぐりの優秀なネットバトラーとそのナビたちが、極秘裏に招集されることになります。

『チーム オブ カーネル』バージョンでは、熱斗は、新天地で出会った、寡黙ながらも内に強い信念と卓越した指揮能力を秘めた元軍人の青年バレルと、彼のナビであり、軍用ナビとして最高クラスの戦闘能力を誇る、まさに「戦場の指揮官」カーネル.EXEがリーダーを務めるチームに参加することになります。

このチームには、まさに「クセが強いんじゃ!」と叫びたくなるような、一筋縄ではいかない個性派メンバーが集結しました。

  • シャロ国の誇り高き王女であり、気品と勇敢さを併せ持つプリンセス・プライドと忠誠心厚い重騎士ナイトマン.EXE(エグゼ2, 4から続投!もはやレギュラーですね)。
  • アジーナの豊かな自然が生んだ野生児で、直感と野性的な戦い方を得意とするディンゴと、斧と自然の力で敵を薙ぎ払うトマホークマン.EXE(エグゼ2から再登場!彼も頼りになります)。
  • どこか掴みどころがなく、常にスクープを狙っている(ように見える)が、いざという時には頼りになるネットニュースレポーター緑川ケロと、トリッキーな動きと水遁の術(?)で戦うおたまじゃくしナビトードマン.EXE
  • 怪しげな骨董品屋を営み、裏社会の情報にも精通している謎多き男日暮 闇太郎と、数字と計算を駆使して戦うインテリナビナンバーマン.EXE(エグゼ1から登場!彼も長い付き合いだ)。
  • そして、最も驚きのメンバーは、かつてゴスペルの幹部として暗躍した、影に生きる孤高の暗殺者ダーク・ミヤビとそのナビシャドーマン.EXE(エグゼ2から再登場!まさか彼と共闘する日が来るとは…)。彼は、過去に犯した罪を償うため、そしてネビュラのやり方に強い反発を感じ、自らの意志でチームへの参加を決意したのでした。

(※一方、『チーム オブ ブルース』バージョンでは、リーダーはもちろん、熱斗の永遠のライバル伊集院炎山(ブルース.EXE)が務めます。メンバーには、アメロッパの軍人ライカ(サーチマン.EXE)や飛行機乗りチャーリー(ジャイロマン.EXE)、エレキテル財閥令嬢テスラ(マグネットマン.EXE)など、前作『エグゼ4』で活躍した海外のネットバトラーたちが中心となり、より国際色豊かなチーム編成となります。どちらのチームを選ぶかで、ストーリー中の会話や、使えるクロスソウル能力が変化するのが、本作の大きな特徴であり、リプレイ性を高める要素でしたね。)

こうして結成された、才葉シティ奪還のための精鋭部隊「チームオブカーネル / チームオブブルース」

彼らに課せられた任務は、ただ一つ。

ネビュラによって闇に染められ、占拠されてしまった才葉シティのインターネットエリアを、一つ残らず解放し、街の機能と平和を取り戻すこと。

そのための作戦が、前作からさらに進化し、苛烈さを増した大規模制圧ミッション「リベレートミッション」です。

これは、単に敵を倒すだけでなく、複数のナビ(チームメンバー)を、まるでチェスの駒のように戦略的に配置し、それぞれのナビが持つ固有の特殊能力(リーダー能力、飛行能力、障害物破壊、ステルス機能、遠距離攻撃など)を最大限に活かしながら、敵の陣地である「ダークパネル」を計画的に解放していくという、高度な戦術シミュレーション要素が加わった、極めて難易度の高いミッションです。

リベレートミッションでは、ナビを動かす順番、攻撃対象の選択、特殊能力を使うタイミング、そして何よりも「リベレート(解放)」するパネルの順番が、ミッションの成否を大きく左右します。

リーダーであるバレル(または炎山)、そして実質的な現場指揮官としてチームを率いることになる熱斗(プレイヤー)の、的確な判断力と、チーム全体の連携が、これまで以上に重要となる、まさに総力戦。

このリベレートミッションの緊張感と達成感が、『エグゼ5』の醍醐味の一つでした。

一方、熱斗は転校先の才葉学園での日常生活の中で、クラスにいる一人の少女のことが、次第に気になり始めていました。

彼女の名前はアイリス

物静かで、あまり感情を表に出さず、いつも一人で本を読んでいるか、窓の外を眺めているような、どこか儚げでミステリアスな雰囲気を持つ少女。

しかし、熱斗やロックマンが、学校生活やリベレートミッションでピンチに陥った時に、なぜか彼女はいつも、どこからともなく現れて、的確なアドバイスをくれたり、そっと手助けをしてくれたりするのです。

「君は、一体誰なんだ…?どうして僕たちのことを…?」
熱斗は、彼女の不思議な魅力と、その奥に隠された純粋さ、そして時折見せる寂しげな表情に、知らず知らずのうちに惹かれていきます。

しかし、彼女が何者なのか、なぜ自分たちを助けてくれるのか、その正体を知る者は、チームの誰も含めて、一人もいませんでした。

リベレートミッションは、困難を極めます。

ネビュラのダークロイドたちは強力で、エリアの構造も複雑。

そんな中、チームを最大の危機が襲います。

ネビュラの巧妙な罠にはまり、絶対的なリーダーであったバレル(カーネル版) / 炎山(ブルース版)が、敵の手に落ち、行方不明(または重傷により戦線離脱)となってしまうのです!
「バレル大佐!」「炎山、嘘だろ!」
リーダーを失ったチームは、統率を失い、混乱し、士気を大きく低下させてしまいます。

さらに、追い打ちをかけるように、衝撃の事実が発覚します。

チームメンバーの一員として共に戦ってきたはずの、あの緑川ケロ(トードマン)が、実はネビュラに内通していたスパイであったことが判明したのだ!
彼は、ネビュラに家族を人質に取られ、脅迫されていたのでした。

「そんな…ケロさんまで僕たちを裏切ってたなんて…!もう誰も信じられない!」
仲間からの裏切りという、最も残酷な事実は、チームの結束に致命的な亀裂を生じさせ、組織は完全に崩壊寸前の状態に陥ります。

「もうダメなのか…?リーダーもいない、仲間も信じられない…僕たちだけじゃ、ネビュラには勝てない…」

誰もが諦めかけ、絶望の淵に立たされたその時。

一人の少年が、声を上げました。

そう、熱斗です。

「諦めるな!リーダーがいなくても、僕たちでやるんだ!」「ケロさんだって、きっと何か理由があったはずだ!信じよう!僕たちは、仲間じゃないか!」

決して諦めない熱斗の強い意志、仲間を信じる心、そして彼がこれまでの戦いで示してきたリーダーシップが、バラバラになりかけた仲間たちの心を、再び強く、固く一つに結びつけます。

自らの犯した過ちを深く悔い改めたケロも、「この罪は、必ず戦いの中で償います!どうか、もう一度だけチャンスをください!」と涙ながらに訴え、チームに復帰。

リーダー代行となった熱斗を中心に、チームはかつてないほどの固い結束を取り戻し、決意を新たに、ネビュラの最終拠点である禍々しい要塞「ネビュラホール」へと、最後の突入を開始するのです!
この展開、ベタだけど燃えますよね!

ネビュラホールの最深部。

そこで彼らを待ち構えていたのは、玉座に腰掛け、邪悪な笑みを浮かべる、前作で記憶を失ったはずのDr.リーガルでした!
「フハハハ…よくぞ来た、愚かな虫ケラどもよ。

貴様らの絆ごっこも、ここまでだ」
彼は、密かに記憶を取り戻していた(あるいは、元々記憶喪失など嘘だったのかもしれません)。

そして、ネビュラを秘密裏に再興させ、今度こそ、ダークチップによる全人類の精神支配という、父・ワイリーすら成し得なかった歪んだ野望を、完成させようとしていたのです。

そして、リーガルが最後の切り札として、そして自らが作り出した「新世界の神」の依代として解き放ったのは、前作よりもさらに強大に、さらに醜悪に進化した、ダークチップによる負の感情エネルギーの究極集合体、巨大な、脈打つ脳髄のような姿をした、最終破壊プログラム「ネビュラグレイ」でした!

ネビュラグレイが放つ、全てを蝕み、精神を崩壊させる絶対的な闇の波動。

それに触れたチームのナビたちは、次々と力を奪われ、戦闘不能に陥っていきます。

「くっ…ナイトマン!」「トマホークマン、応答しろ!」「シャドーマンまでやられたのか…!」
頼れる仲間たちが、次々と闇に飲み込まれていく絶望的な光景。

残されたのは、もはやロックマンただ一人。

「ロックマン…!」「熱斗くん…!」

熱斗とロックマンは、倒れていった仲間たちの想い、託された希望、そして世界の未来を、その小さな体に一身に背負います。

二人の心が、かつてないほど強く、深く、一つになる。

「みんなの想いは、僕が受け継ぐ! 無駄にはしない!」「行くぞ、ロックマン!僕たちの絆の力を見せてやる! フルシンクローーーッ!!!」

オペレーターとナビの精神が完全に同調し、互いの潜在能力を極限まで引き出す究極の状態「フルシンクロ」が発動!
黄金色のオーラを眩いばかりに放ち、奇跡的な力を得たロックマンは、持てる全ての技と、仲間たちから託された熱い想いを込めた、渾身の一撃(ギガキャノン!)を、ネビュラグレイの核へと叩き込みます!
激しい光と闇の応酬の末、ついに究極の闇は打ち破られ、ネビュラグレイは完全に消滅しました。

しかし、本当の戦いは、まだ終わってはいませんでした。

そして、この物語の最も悲しい真実が、ついに明かされる時が来てしまいます。

崩壊を始めるネビュラホールから脱出する途中、熱斗は行方不明だったバレル大佐と再会します。

バレルはネビュラに囚われていたカーネルを無事に救出していましたが、カーネルの様子がおかしい。

何かを深く悔いているかのような、苦悩に満ちた表情を浮かべていました。

そして、そこで、熱斗がずっと心を寄せていた、あのミステリアスな少女、アイリスに関する、あまりにも衝撃的で、そして悲劇的な真実が、カーネル自身の、そしてバレル大佐の口から語られるのです。

アイリスは、人間ではありませんでした。

彼女の正体は……元々、戦闘兵器として、感情を排して効率的に任務を遂行するように設計された軍用ナビ・カーネルに、後から開発者(バレルの祖父)が、人間らしい心、特に「優しさ」や「慈しみ」、「平和を愛する心」といった感情を付与するために、追加で組み込んだ特別な感情プログラムが、何らかの要因(おそらくは、カーネルが経験した過酷な戦闘による強い精神的ストレス)によって、カーネル本体から予期せず分離・独立し、独自の人格と姿を持って具現化した、極めて特殊なネットナビだったのです。

つまり、戦闘に特化し、時に冷徹な判断も下す「兄」カーネルと、心優しく、争いを嫌い、誰かのために涙を流すことができる「妹」アイリスは、元々は一つのプログラムであり、互いが互いを補完し合う、いわば「魂の双子」のような存在でした。

二つで一つ、それが彼らの本来の姿だったのです。

アイリスは、ナビが現実世界で活動するための仮初の体「コピーロイド」を使って、人間として熱斗たちの前に現れていました。

しかし、ネビュラとの激しい戦いの中で、そのコピーロイドは致命的なダメージを受け、もはや修復不可能な状態になってしまっていました。

さらに、本体であるカーネルから分離してしまったプログラムであるアイリスは、カーネルの近くにいないと、その存在データを維持することができず、その魂は急速に崩壊を始めていたのです。

彼女の存在そのものが、まさに風前の灯火だったのです。

カーネルは、その事実を知っていました。

自らの半身であり、妹のように、いや、それ以上に大切に想うアイリスを、消滅の危機から救いたい。

その一心で、彼は苦悩の末に、ネビュラの甘言に乗るという、苦渋の決断を下したのでした。

アイリスのデータを安定させ、修復するためには、莫大なエネルギーが必要でした。

そのエネルギーを得るために、カーネルはDr.リーガルの誘いに乗り、自らダークチップの力をその身に取り込み、心を闇に売り渡し、ダークロイド化してまで、ネビュラのために戦っていたのです。

全ては、ただ一人、愛するアイリスを守るためだけに――。

しかし、その悲痛な願いは、あまりにも残酷な形で、叶えられることはありませんでした。

最後の瞬間。

自らの完全な消滅を悟ったアイリスは、残された最後の力を振り絞り、ロックマンに自らのデータを託します。

「カーネルを……お願い……」
そして、彼女はロックマンと一時的に融合。

その清らかで、温かい光の力で、カーネルに取り憑いていたダークチップの邪悪な闇を、完全に浄化し、彼を本来の、誇り高くも心優しいカーネルの姿へと、取り戻すことに成功します。

「カーネル……もう、大丈夫よ……あなたの優しさは、失われてなんかいなかった……」

しかし、それは、アイリス自身の存在が、完全に消滅することを意味していました。

「熱斗くん……ロックマンくん……短い間だったけど、ありがとう……あなたたちと出会えて、よかった……さようなら……」
「そして……カーネル……大丈夫、離れていても……僕ら(私)は……ずっと……つながっている……から…………」

最期の、か細い、しかし確かな言葉を残し、アイリスは、熱斗と、そして涙を流すカーネルの目の前で、無数の優しい光の粒子となって、静かに、静かに、消えていきました。

「アイリスーーーーーッ!!!!」

熱斗の、そしてカーネルの、慟哭だけが、崩壊していく電脳空間に、いつまでも、いつまでも、虚しく響き渡っていました……。

ネビュラの脅威は完全に去り、Dr.リーガルは再び捕らえられ、法の裁きを受けることになりました(バージョンによっては、全ての罪を忘れ、幼児退行したかのような穏やかな表情で保護される描写もあり、彼の物語は一種の救いとも、あるいは最大の罰とも取れる、複雑な余韻を残します)。

才葉シティには平和が戻り、熱斗は、一時的に離れていた秋原町のメイル、デカオ、やいと、炎山といった、かけがえのない仲間たちとも無事に再会を果たします。

小学校生活、最後の学期は、故郷の仲間たちと共に、穏やかに過ごせることになりました。

しかし、アイリスの悲劇的な死と、カーネルの深い悲しみは、熱斗の心に、決して消えることのない深い傷跡と、そして大きな教訓を残しました。

失われた命の重さ、守りたかったものを守れなかった無力さ、そして、どんな状況でも希望を捨てずに戦うことの意味。

彼は、この辛い経験を通じて、また一つ、大きな成長を遂げることになるのです。

そして、物語のラストシーン。

拘束され、虚ろな目で独房の壁を見つめるDr.リーガルの前に、音もなく、一人の老人が現れます。

それは、長年にわたり、歴史の闇に潜み続け、全ての事件の裏で糸を引き続けていた、あの男――Dr.ワイリーでした。

ワイリーは、記憶を失っている(あるいは失ったふりをしているのかもしれない)リーガルに向かって、静かに、しかし有無を言わせぬ、絶対的な威厳を持って、衝撃の事実を告げます。

「お前は………………ワシの、息子だ」

驚愕に目を見開き、言葉を失うリーガル。

その反応を満足げに(あるいは冷ややかに)見届けたワイリーは、再び闇の中へと、その姿を消します。

長きにわたり潜伏を続けてきた真の黒幕が、遂にその存在を明確に示し、表舞台への完全なる復帰を宣言した瞬間でした。

それは、熱斗とロックマンに残された、最後の、そして最大の戦いの始まりを告げる、不気味なゴングの音だったのかもしれません…。

シリーズは、いよいよクライマックスへと向かっていきます。

~電脳獣降臨!最後の戦い、永遠の絆、そして未来へ~第6章『ロックマンエグゼ6』

(※ついに、ここまで来ましたね…! シリーズ完結編! 本作も『電脳獣グレイガ』と『電脳獣ファルザー』の2バージョンが存在します。

登場する電脳獣、使えるクロスシステム、敵組織の一部のナビなどが異なりますが、物語の結末は一つです。

涙なしには語れない、シリーズ最高の感動が待っています!)

才葉シティでのネビュラとの死闘から数ヶ月。

季節は冬に移り、熱斗は小学6年生の卒業を、本当に間近に控えていました。

秋原町の仲間たちも才葉シティに遊びに来たりして、久しぶりに心からの笑顔を取り戻し、残された小学校生活を、新しい友人たち――ロックマンに憧れる熱血漢のクラスメイト麻波 剛(まなは ごう)や、将来ネットポリスになることを夢見る真面目な少女城戸 舟子(きど しゅうこ)――と共に、穏やかに、そして名残惜しむように過ごしていました。

長かった戦いの日々も、ようやく本当に終わりを告げ、あとは卒業式を迎え、中学校への進学という、新しい未来への扉を開くだけ…誰もが、そう信じていました。

しかし、運命は、彼らに最後の、そして最大の試練を用意していたのです。

世界中のネットワークに、突如として、原因不明の、しかし明らかに異常で、破滅的なエネルギー反応が観測されました。

そして次の瞬間、インターネット空間の各地――それも、最も深い階層の、未知の領域に――これまで人類が遭遇したことのない、圧倒的なパワーと、原始的な破壊衝動を持つ、未知の巨大プログラム生命体が出現したのです!

それは、人類が文明を持つよりも遥か以前、この地球に存在したとされる超古代文明が、自らの文明を守るためか、あるいは滅ぼすために生み出し、あまりの危険性ゆえに永劫の封印が施されていたという、伝説の最終兵器が、現代のネットワーク上にデータとして蘇った存在――「電脳獣」でした。

確認されたのは、二体。

  • 一体は、大地を揺るがし、全てを力で蹂躙する、獰猛な獅子や狼を思わせる姿を持つ、破壊と終焉の化身「電脳獣 グレイガ」
  • もう一体は、大空を支配し、嵐を呼び、再生と変化を司る、巨大な不死鳥のような姿を持つ「電脳獣 ファルザー」

彼らは、現代のネットワークシステムや、ネットナビという存在の常識を、遥かに超越した、まさに「神」あるいは「悪魔」と呼ぶべき、規格外の力を持っていました。

目覚めた二体の電脳獣は、その本能の赴くままに、ネットワーク空間を破壊し、暴走を開始。

その影響は、瞬く間に現実世界のインフラにまで及び、電力供給は停止し、通信網は寸断され、世界中の都市機能が麻痺状態に陥るという、未曽有の大混乱を引き起こします。

電脳獣の脅威は、もちろん、熱斗たちが暮らす才葉シティにも、容赦なく襲いかかります。

街のネットワークはズタズタに切り裂かれ、ライフラインは完全に停止。

街はパニックに陥り、無法地帯と化す寸前でした。

事態を重く見た科学省は、これ以上の被害拡大を防ぎ、そして何よりも、電脳獣が他の都市へと侵攻し、被害が全世界に及ぶのを阻止するための、苦渋の、そして最後の手段を発動させることを決定します。

それは、各都市間のネットワーク接続を、物理的に、そして強制的に遮断するという、究極の防御策「クロスネット禁止法」の発動でした。

これにより、才葉シティは、外部の世界から完全に孤立。

情報も、物資も、人の移動も、全てが厳しく制限される、「陸の孤島」となってしまったのです。

このネットワークの完全な分断は、熱斗とロックマンにとって、これまでのどんな強敵よりも、どんな困難な状況よりも、深刻で、そして残酷すぎる試練をもたらしました。

なぜなら、ロックマンは、ただのネットナビではないからです。

彼は、人間の生体データ(今は亡き熱斗の双子の兄・彩斗のもの)を基盤として、オペレーターである熱斗と常に特殊な同期(シンクロ)を保つことで、その存在を維持している、極めて特殊で、デリケートな存在。

生身のオペレーターである熱斗と長時間物理的に離れ、さらに外部ネットワークとの接続までもが完全に断たれた状態が続くと、二人の間の、いわば生命線ともいえるシンクロ率が維持できなくなり、ロックマンのプログラムデータそのものが不安定になり、最終的には…存在が崩壊し、完全に消滅してしまうという、致命的な危険性を孕んでいたのです。

「そんな…ロックマンが…僕と離れたら、消えちゃうなんて…!絶対に嫌だ!嫌だぁ!」

想像もしなかった残酷な真実を突きつけられ、不安と恐怖に駆られ、泣きじゃくる熱斗。

しかし、モニターの向こうのロックマンは、弟であり、最高のパートナーである熱斗を安心させるかのように、力強く、そしてどこまでも優しく言いました。

「大丈夫だよ、熱斗くん。僕たちは、物理的にどれだけ離れたって、ネットが繋がらなくたって、そんなの関係ない。だって、僕たちの心は、いつだって、どんな時だって、繋がってるんだから。そうだろ?」

「…………うん……!」

「だから、必ずまた会える。この戦いが終わったら、必ず君の元へ帰る。僕たちの絆は、絶対に、何があっても、消えたりしない!」

二人は、離れ離れになるという過酷な運命を受け入れ、必ず生きて再会することを、固く、固く、心に誓い合うのでした。

このシーン、何度見ても涙腺が…(泣)。

そんな、外部からの支援も絶たれ、ロックマンの存在すら危ういという、まさに絶望的な状況の才葉シティに、更なる悪夢が襲いかかります。

あの忌まわしき組織が、三度(みたび)、その邪悪な姿を現したのです!

長年にわたり歴史の闇に潜み続けていた、全ての元凶、Dr.ワイリーが、遂に表舞台に完全なる復帰を果たします!
彼は、かつての腹心であり、Dr.リーガルの忠実な部下でもあった(そしておそらくはリーガル亡き後、再びワイリーに忠誠を誓ったであろう)老獪な科学者たち――チロル、六方、入道といった面々――を再び集結させ、新生「WWW(ワールドスリー)」を高らかに宣言!

そして、ワイリーが掲げた最後の、そして最大の目的。

それは、突如として現代に蘇った二体の超古代兵器、電脳獣グレイガとファルザーの持つ、計り知れないほどの強大なエネルギーを解析し、制御下に置き、そして最終的には自らの手で完全にコントロールすることで、既存のネットワーク社会の全てを破壊し尽くし、その混沌の中から、自らが神として君臨する新たなる世界を創造するという、まさに狂気の沙汰としか言いようのない、最終計画「獣化プロジェクト」でした!

新生WWWの幹部たちが、電脳獣の力を一部利用しながら、熱斗たちの前に最後の壁として立ちはだかります。

  • 冷酷にして妖艶、しかしその実力は確かな美女チロルと、彼女が操る、予測不能な動きで翻弄する奇術師ナビサーカスマン.EXE。「さあ、ショータイムの始まりよ!」
  • 法の番人を自称するが、その実、頑固一徹で融通の利かない老人六方 カクゾウと、彼のナビで、罪(?)を裁く巨大な天秤を持つ裁判官ナビジャッジマン.EXE。「有罪!デリート刑を宣告する!」
  • 常に酔っ払っているかのようにフラフラしているが、天候すら自在に操るほどの力を持つ巨漢入道 露晴と、彼のナビで、炎・水・電気・木といった自然の元素を巧みに操るエレメントマン.EXE。「ヒック…自然の力、思い知るでやーんす…」

彼らは、電脳獣の力を利用するだけでなく、それぞれが独自の強力な能力を持っており、孤立した才葉シティで戦う熱斗とロックマンを、そして街を守ろうとするバレルやカーネルたちを、追い詰めていきます。

さらに、物語にはもう一人、重要な鍵を握る存在が現れます。

前作『エグゼ5』で、カーネルを救うために自らのデータを犠牲にして、光となって消滅したはずの、あの心優しいナビ・アイリスに、瓜二つの姿をしたネットナビ「イリス」

彼女は、時折ロックマンの前に姿を現し、「二つの獣が完全に目覚めし時、世界は終わりを迎える…」「それを止められる鍵は、あなたの中に…」といった、 cryptic(謎めいた)な、しかし重要な助言を与えます。

彼女の正体は、カーネルとアイリスを開発した科学者(バレルの祖父)が、万が一、二人のナビが失われた場合に備えて、そのバックアップとして、そしてあるいは「監視者」として、密かにネットワークの片隅に遺していた、予備のプログラムでした。

イリスは、電脳獣の性質や弱点、そしてそれらを制御、あるいは封印するための鍵となる重要な情報を持っており、この最後の戦いにおいて、極めて重要な役割を果たしていくことになるのです。

(彼女の存在が、後のロックマン復活の伏線にもなっている、と考察するファンも多いですね。)

外部からの支援は完全に絶たれ、街はWWWと電脳獣によって蹂躙され、ロックマンの存在自体も刻一刻と危うくなっていく…。

まさに八方塞がり、絶望的な状況。

しかし、そんな才葉シティに、一筋の、しかし力強い希望の光が差し込みます。

ネットワークの僅かな隙間を解析し、物理的な封鎖をも強引に突破して、熱斗の永遠のライバル、伊集院炎山(とブルース.EXE)が、才葉シティに駆けつけたのです!

「待たせたな、熱斗!」

彼の登場は、絶望しかけていた熱斗たちの心に、再び闘志の火を灯します。

そして、炎山は、この未曽有の脅威である電脳獣に対抗するために、科学省が最後の切り札として極秘裏に開発を進めていた、しかしそのあまりの危険性ゆえに、正式な運用が見送られていた禁断の強化システムを、熱斗に託します。

それが、「ビーストリンクゲート」でした。

このシステムは、ロックマンが、暴走する電脳獣の持つ、荒々しく、制御不能なエネルギー(獣の因子)を、自らのプログラムに取り込み、一時的にではあるものの、その強大な力を自分のものとして制御下に置くことを可能にする、究極のパワーアップシステムでした。

「使うか使わないかは、お前自身が決めることだ…だが、これだけは言っておく。その力は、使い方を誤れば、お前自身をも制御不能な獣に変えかねない、極めて危険な諸刃の剣だ。覚悟して使え」

炎山の、いつになく真剣な警告。

それは、この力がもたらすであろう恩恵と、それ以上に大きなリスクを示唆していました。

しかし、熱斗に迷いはありませんでした。

ロックマンと共に、この最後の戦いを生き抜き、そして必ず再会するために。

彼は、覚悟を決めます。

ビーストリンクゲートの力により、ロックマンは、電脳獣の力を解放し、一時的にではありますが、強力無比な獣の姿「ビーストアウト」へと変身する能力を得ます!
(『電脳獣グレイガ』バージョンでは、鋭い爪と牙を持つ、四足歩行の獰猛な狼や獅子を思わせる「グレイガビースト」に。

『電脳獣ファルザー』バージョンでは、巨大な翼を持ち、空を高速で翔ける鳥人のような「ファルザービースト」に変身!)

その力は、まさに圧倒的。

単体でも都市機能を容易く麻痺させるほどの力を持つ電脳獣グレイガ / ファルザとも、互角以上に渡り合い、時にはそれを凌駕するほどの戦闘能力を発揮しました。

ロックマンは、この新たに得た、しかし危険な「獣の力」を駆使して、暴走する電脳獣を鎮め、街を襲うWWWのナビたちを撃退し、Dr.ワイリーの野望に敢然と立ち向かっていきます。

しかし、炎山の警告通り、その代償は決して小さくはありませんでした。

ビーストアウト形態は、使えば使うほど、ロックマンの理性、そして彼が持つ彩斗としての記憶や人格を、徐々に蝕んでいくのです。

内なる獣の本能的な破壊衝動が、彼の心を支配しようとし、時には制御が効かなくなりかけることもありました。

そして、ついに恐れていた事態が発生してしまいます。

WWWの幹部ナビとの激しい戦闘の最中、追い詰められたロックマンは、ビーストアウトの力に完全に飲み込まれ、理性を失い、暴走状態に陥ってしまうのです!
敵味方の区別なく、ただ破壊の限りを尽くそうとする、まさに「獣」と化したロックマン。

あろうことか、共に戦っていたはずの仲間、ブルースにまで牙を剥き、容赦なく襲いかかってしまう。

「ロックマン!しっかりしろ!僕の声が聞こえるか!?思い出せ!君は僕のナビで、僕の兄弟なんだろ!!」
遠く離れた場所にいながらも、PETを通じて必死に呼びかける熱斗。

その魂からの叫びと、二人の間に流れる決して切れない強い絆の力によって、ロックマンは辛うじて正気を取り戻し、暴走を食い止めることができました。

しかし、この事件は、ビーストアウトという力の、抗いがたい魅力と、それ以上に恐ろしい危険性を、改めて二人に、そしてプレイヤーに、強く、強く突きつけたのでした。

力には、必ず責任が伴うのだと。

一方、熱斗たちが苦戦を強いられている間に、新生WWWとDr.ワイリーの最終計画は、着々と最終段階へと進んでいました。

彼らの真の、そして最終的な目的。

それは、単に電脳獣を利用するだけではありませんでした。

破壊の化身グレイガと、再生の化身ファルザ。

本来、決して相容れることのない、対極の力を持つ二体の電脳獣を、ワイリーが開発した特殊な技術を用いて、強制的に融合させ、この世の全ての法則、物理法則すらも超越した、究極にして最悪の電脳生命体、まさに「神」あるいは「悪魔」と呼ぶべき存在を、人工的に生み出すことだったのです!

ワイリーは、才葉シティの地下深くに、古代文明が遺したとされる巨大なサイバー空間生成装置――コードネーム「アンダーグラウンド」――が眠っていることを突き止め、それを再起動させます。

そして、罠を仕掛け、グレイガとファルザをその空間内に誘い込み、捕獲。

二つの、制御不能なほど強大な、そして相反するエネルギーを、無理やり衝突させ、融合させるという、狂気の実験を強行します!

その結果、空間そのものを歪ませるほどの、凄まじいエネルギーの奔流と共に、アンダーグラウンドの中心に、混沌とした、しかし計り知れないパワーを秘めたエネルギーの塊が、この世に誕生してしまいます。

二体の電脳獣が、不完全に、しかし強引に融合させられた、究極の混沌。

全ての秩序を破壊し、世界を原初の無へと帰す可能性を秘めた、最悪の存在――「超電脳獣(グレイザー / ファルグレイ)」(バージョンによって名前と姿が異なる)が、ついに覚醒してしまったのです!

超電脳獣の存在は、もはや電脳世界だけの脅威ではありませんでした。

その制御不能なほど強大なエネルギーは、アンダーグラウンドのサイバー空間から漏れ出し、現実世界にも直接的な影響を及ぼし始めます。

世界各地で原因不明の異常気象が発生し、大規模な地殻変動が頻発。

このまま放置すれば、ネットワーク社会の崩壊どころか、地球そのものが、超電脳獣の暴走によって崩壊しかねない。

まさに、人類史上最大にして最後の危機。

世界の終焉が、刻一刻と迫っていました。

残された道は、もはや一つしかありませんでした。

超電脳獣が完全に安定し、制御不能な破壊を開始する前に、その内部に突入し、核となっているエネルギーコアを直接破壊すること。

しかし、超電脳獣の内部は、二つの電脳獣の力がぶつかり合う、混沌としたエネルギーが嵐のように吹き荒れる、まさに地獄のような超危険地帯。

並のネットナビでは、突入した瞬間にデータが消し飛んでしまうでしょう。

そして、仮に核へと到達し、破壊することに成功したとしても、その際に発生するであろう、想像を絶する規模の大爆発に巻き込まれれば、突入したナビが無事で済むはずがない…。

それは、成功しても生還はほぼ絶望的という、あまりにも過酷な、片道切符の特攻作戦でした。

「僕が行くよ、熱斗くん」

通信モニターの向こうで、ロックマンは、静かに、しかし揺るぎない決意を秘めた瞳で、そう言いました。

「ロックマン…!ダメだ!危険すぎる!そんなの、行かせられるわけ…!」
「僕なら、できる。

ビーストアウトの力があれば、内部のエネルギー嵐にも耐えられるはずだ。

そして、イリスが教えてくれた、コアへの最短ルートも、僕だけが知っている。

だから…僕にしかできないんだ、熱斗くん」

世界を救うために。

才葉シティの人々を、秋原町の仲間たちを、そして何よりも、今は物理的に遠く離れてしまっている、かけがえのない弟であり、最高のパートナーである熱斗との再会を、その先の未来を、守るために。

ロックマンは、最後の戦いへと赴く覚悟を決めたのです。

「必ず、帰ってくる。

どんなことがあっても、必ず君の元へ帰る。

だから、僕を信じて、待っていて」

熱斗に、そう力強く約束し、ロックマンは、まるで最後の別れを告げるかのように、一度だけ優しく微笑むと、単身、超電脳獣が渦巻く、混沌と破壊の中心へと、プラグインしました。

超電脳獣の内部は、想像を絶する、まさに悪夢のような光景でした。

破壊されたデータが嵐のように吹き荒れ、空間そのものが捻じ曲がり、時間の流れすら不安定になっているかのよう。

しかし、ロックマンは、ビーストアウトの力を最大限に解放し、その身を襲うエネルギーの奔流に耐えながら、ただ一点、核を目指して突き進みます。

その途中、彼の前に、予想外の、しかしある意味では必然ともいえる存在が、最後の壁として立ちはだかりました。

それは、超電脳獣の持つ、計り知れないほどの強大なエネルギーに惹かれ、その力を吸収し、自らが「究極を超える存在」となるために、内部に侵入していた、あの孤高のナビ「フォルテ」でした。

「来たか、ロックマン.EXE……貴様との、永きにわたる因縁……ここで、完全に決着をつけてくれる!!」
「フォルテ……!邪魔をするな!僕には、この世界を守るという、使命があるんだ!!」

最強を求める者と、全てを守ろうとする者。

宿命のライバルによる、これが本当に、本当に最後の死闘。

互いの存在理由、譲れない信念、そして持てる力の全てをぶつけ合う、シリーズの歴史に残る、壮絶なラストバトルが繰り広げられます。

電脳獣の力を一部取り込み、さらなる進化を遂げたフォルテと、ビーストアウトの力を極限まで解放したロックマン。

激闘、死闘、そして紙一重の攻防の末、ロックマンは、辛くもフォルテを打ち破ります。

「フ……フフ……やるな……ロックマン……これが……貴様の言う……『絆』の力か……だが……これで……終わりではない……最強への道は……まだ、続いているのだ……」

フォルテは、最後まで己の信念を曲げることなく、しかしどこかロックマンの力を認めたかのような言葉を残し、超電脳獣の制御不能なエネルギーの暴走に巻き込まれる形で、眩い光の中へと、その姿を消していきました。

(※フォルテの明確な生死は、この最後の瞬間においても描かれることはなく、「消息不明」という形で、彼の波乱に満ちた物語は幕を閉じます。彼は生きているのか? それとも…? その答えは、プレイヤー一人一人の想像の中に委ねられることになり、エグゼシリーズ最大の謎として、今もなおファンの間で様々な考察がなされています。)

フォルテという最後の障害を退け、ロックマンは、ついに超電脳獣の核へと到達します。

しかし、核は想像以上に強固で、外部からの破壊は極めて困難。

さらに、核を破壊しようとするロックマンの行動そのものが、超電脳獣のエネルギーを不安定にし、最終的な暴走(自爆)のカウントダウンを早めてしまうという、絶望的な状況。

もはや、内部からの破壊も、外部からの援護射撃も、間に合わない。

このままでは、あと数分で、超電脳獣は完全に暴走し、現実世界をも巻き込んで、全てを無に帰してしまうだろう…。

地上で見守っていた、科学省の名人と、父・祐一朗は、断腸の思いで、そして世界を救うための、唯一にして最後の、そして最も非情な決断を下します。

それは、超電脳獣が存在する、アンダーグラウンドのサイバー空間全体を、そこにいるロックマンごと、完全に封印し、デリート(完全消去)すること。

それが、暴走を止め、被害を最小限に抑える、唯一残された方法だったのです。

「…………名人さん、父さん…………お願いします」

通信モニターの向こうで、ロックマンは、全てを悟ったかのように、静かに、しかしはっきりとそう言いました。

その通信を、遠く離れた場所で、固唾を飲んで見守っていた熱斗は、絶叫しました。

「そんなこと…!できるわけないだろぉぉ!!やめろ!ロックマン!ロックマン!!戻ってこいよ!約束したじゃないか!帰ってくるって!!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必死に反対する熱斗。

しかし、モニターに映るロックマンの表情は、驚くほど穏やかで、そして、慈愛に満ちた、優しい微笑みを浮かべていました。

「熱斗くん…………大丈夫だよ。僕を信じて」

「でも…!でもそしたら、ロックマンは…!ロックマンが、本当にいなくなっちゃうんだぞ!!」

「ううん。僕たちは、いつも繋がってる。物理的に離れたって、ネットが繋がらなくたって、何も変わらない。そうだろ?」

「…………うん……………」

「ありがとう、熱斗くん。君のナビでいられて、君の弟でいられて、本当に、本当に、幸せだった…………。…愛してるよ、熱斗」

ロックマンは、これが最後になるかもしれない、オペレーターであり、弟である熱斗への、心からの感謝と愛情の言葉を伝えると、自らの意思で、熱斗との最後のリンク(通信回線)を、そっと切断しました。

そして、暴走する超電脳獣の、禍々しいエネルギーの奔流を、まるで全てを受け入れるかのように、その小さな体で抱きしめながら――

眩いばかりの、白い光の中へと、静かに、消えていきました…………。

かくして、電脳獣の脅威は完全に去り、Dr.ワイリーの最後の野望も、ここに完全に潰え去りました。

長きにわたる、光と闇の戦いは、ついに終止符が打たれ、世界には、尊い犠牲の上に、再び平和が訪れたのです。

しかし、その平和の代償として、熱斗は、かけがえのない相棒であり、最高の親友であり、そして唯一無二の兄弟であるロックマンを、永遠に、失ってしまった…………かに、思われました。

エピローグ:奇跡は再び! そして、未来へ繋がる永遠の絆

ロックマンが、世界を救うために、その尊い存在を犠牲にしてから、半年後の春。

季節は巡り、桜が舞い散る季節が、再びやってきました。

ネットワークの分断措置は解除され、世界は完全に日常の姿を取り戻していました。

光一家も、住み慣れた秋原町へと戻り、熱斗は、間もなく中学校への進学を控えていました。

しかし、彼の心は、未だ深い悲しみと、埋めようのない喪失感に覆われたままでした。

ロックマンがいない現実。

その事実は、彼の心に、決して癒えることのない大きな穴を開け、かつて太陽のように周りを照らしていた彼の明るさは、すっかり影を潜めてしまっていました。

友達といても、どこか上の空。

笑顔を見せることも、めっきり少なくなっていました。

しかし、心の奥底で、熱斗は決して諦めてはいませんでした。

彼は、父・祐一朗と共に、ロックマンが消滅したとされるアンダーグラウンドのサイバー空間に残された、わずかなデータの痕跡(フラグメント)を、懸命に探し続けていたのです。

「ロックマンは、完全には消えていないはずだ。

あの時の光は、破壊じゃなく、何か別の…」。

その僅かな、しかし捨てきれない可能性を信じて、ロックマンのデータを復元するための研究を、日夜続けていたのです。

そして、熱斗は毎日、電源を入れても何も反応しないはずの、空っぽのPETに向かって、まるでそこにロックマンがいるかのように、語りかけ続けていました。

「ロックマン…聞こえるか…? 今日はな、卒業式の練習があったんだぞ。

お前も一緒に、卒業したかったよな…」

そして迎えた、秋原小学校の、卒業式の日。

厳かで、少し寂しい式典が終わり、クラスメイトたちが、それぞれの未来への希望や不安を語り合いながら、学び舎を後にしていく中、熱斗は一人、誰もいなくなった教室の、自分の席に座り、窓の外を、ぼんやりと眺めていました。

夕暮れの、優しいオレンジ色の光が、教室を染めています。

彼は、いつものように、静かにPETを取り出し、そっと、語りかけました。

「ロックマン………………聞こえるか?」

返事など、あるはずがない。

何度も、何度も、そう言い聞かせてきた。

それでも、呼びかけずにはいられなかった。

ロックマンの名前を。

その、瞬間でした。

『…………………………………………熱斗………………くん………………?』

ノイズ混じりの、か細く、今にも消えてしまいそうな、途切れ途切れの声。

でも、それは、間違いなく。

熱斗が、半年の間、ずっと、ずっと聞きたかった。

焦がれて、焦がれて、やまなかった。

世界で一番、大切で、愛おしい声でした。

「ロックマン…!? ロックマンなのか!? 本当に、ロックマンなのか!?」
『……うん……………聞こえるよ…………熱斗くん……………。ずっと……呼んでくれてたんだね……。…ただいま』

奇跡は、起きたのです。

いや、奇跡などではなかったのかもしれません。

熱斗の、決して諦めない強い心。

ロックマンを信じ、待ち続ける一途な想い。

そして、どんな物理的な障壁も、ネットワークの断絶も、データの消滅という概念すらも超える、二人の間に結ばれた、永遠の、そして絶対的な「絆」の力が、不可能と思われた再会を、現実のものとしたのです。

ロックマン=彩斗の魂のデータは、完全には消滅していませんでした。

超電脳獣と共にデリートされたかに思えましたが、その魂の核となる部分は、ネットワークの深淵、データの海の片隅で、熱斗の呼びかけに応えるように、少しずつ、少しずつ自己修復し、そして今、再び、愛する弟である熱斗のPETの中へと、還ってきたのです!

「ロックマァァァァァーーーーーン!!!! うわぁぁぁぁん!!!」

熱斗は、子供のように声を上げて泣きじゃくりながら、しかし、これ以上ないほどの満面の笑みで、モニターに映るロックマンの姿を、強く、強く、抱きしめました。

現実と電脳世界の垣根を越え、一度は永遠に失われたと思われた絆が、再び、そして以前よりもさらに強く、固く結ばれた瞬間。

それは、熱斗にとっての、本当の意味での「卒業」であり、ロックマンと共に、光り輝く新しい未来へと歩き出す、希望に満ちた、最高の第一歩となったのでした。

…いかん、書いててまた涙が…(ティッシュ、ティッシュ)。

そして、物語は、さらにその先の未来へと、私たちをいざないます。

『ロックマンエグゼ6』のエンディング後には、シリーズ全体の真の結末を示す、ファン感涙必至の、感動的なエピローグが、私たちを待っています。

最後の戦いから、20年の歳月が流れた、未来の世界。

西暦20XX+20年。

かつて、デンサンシティや才葉シティを舞台に、電脳世界を縦横無尽に駆け巡った、あのやんちゃで正義感の強い少年、光 熱斗は……父・祐一朗の背中を追いかけ、そしていつしか追い越し、今や科学省(SciLab)の若きリーダーとして、より豊かで、より安全なネットワーク社会の発展のために、世界中を飛び回る、立派な大人へと成長していました。

その顔には、少年時代の面影を残しつつも、多くの経験を経てきたであろう、頼もしさと自信がみなぎっています。

そして、そんな彼の隣には、かつての活発な少女の面影を残しつつも、美しく、そして芯の強さを感じさせる女性が、優しい笑顔で寄り添っていました。

そう、幼馴染の桜井 メイル(今はもちろん、光 メイルさんですね!)。

長年の、友達以上恋人未満(?)の関係を経て、二人はついに結ばれ、温かい家庭を築いていたのです。

そして、二人の間には、光 来斗(ひかり らいと)(愛称は、パッチ!)という、父親譲りの元気いっぱいで、好奇心旺盛な一人息子にも恵まれていました。

熱斗が、妻となったメイルと、息子の来斗と共に、穏やかで幸福な時間を過ごす、光家のリビング。

その傍らには……そう、もちろん、彼がいます。

20年前とほとんど変わらない、あの懐かしい、青い姿。

ロックマン(彩斗)です。

彼は今、熱斗とメイルの最愛の息子である、来斗くんのPETの中にいます。

その姿は、少しだけ小型化された「ロックマンJr.」として。

(おそらく、来斗くんの成長に合わせて、安全性を考慮してデチューンされているのでしょうね)。

かつて、熱斗と共に幾度となく世界を救った伝説の英雄は、今、新たな世代の子供たちの成長と、そのささやかで、しかし輝かしい未来への冒険を、兄として、そして時には父親のような温かい目で見守っていくことになるのでしょう。

熱斗とロックマン(彩斗)、二人の兄弟が紡いできた、波乱に満ちた、しかし感動的な英雄譚(サーガ)は、ここで一つの、完璧な大団円を迎えます。

しかし、彼らがその生き様を通して、私たちに示してくれた「つながり」の大切さ、そして未来への希望の物語は、決して終わることはありません。

それは、次の世代へ、そしてさらにその先の未来へと、確かに、力強く、受け継がれていく――。

この、希望と幸福感に満ち溢れたエピローグは、『ロックマンエグゼ』という、2000年代のゲーム史に燦然と輝くシリーズの締めくくりとして、これ以上ないほど完璧な着地を見せ、発売から20年以上が経過した現在でも、多くのファンの心に、温かく、そして忘れられない感動と共に、深く、深く刻まれているのです。

いやぁ、本当に、素晴らしいエンディングですよねぇ…。

(※ちなみに、この感動的な20年後のエピローグは、後に漫画版『ロックマンエグゼ』の作者である、あの鷹岬諒先生によって、描き下ろしの短編漫画「ロックマンエグゼ〜20年目の再会〜」としても描かれました。

ゲームのエンディングを補完するような、熱斗、メイル、ロックマン、そして来斗くんの日常が描かれており、ゲームファン、漫画ファン、双方にとって、まさに感涙ものの、最高のサプライズプレゼントとなりました。

未読の方は、ぜひ探してみてください!)

『ロックマンエグゼ6 電脳獣グレイガ/ファルザー』は、開発スタッフによって明確に「シリーズ完結編」として、その全ての情熱と技術、そしてキャラクターへの愛を注ぎ込んで制作されました。

主人公・光 熱斗の、少年時代の終わりと、大人への階段を上る成長の物語。

そして、ロックマン(彩斗)との、運命的な出会いから、数々の試練、悲劇的な別れ、そして奇跡の再会に至るまでの、壮大な兄弟の絆の物語を、見事に、そして完璧に描ききり、ゲーム史に残る伝説的なシリーズの歴史に、惜しみない拍手と共に、有終の美を飾ったのです。

エグゼの世界はさらに広がる!番外編:時を超え、次元を超え!

『エグゼ6』で熱斗の物語は完結しましたが、エグゼの世界観は、実はまだまだ広がりを持っています。

ここでは、本編とは少し異なる時間軸や、パラレルワールド的な物語を描いた、いくつかの注目すべき作品をご紹介しましょう。

『ロックマンエグゼ トランスミッション』(ゲームキューブ, 2003年)

時系列的には『エグゼ1』と『エグゼ2』の間に位置する、ゲームキューブで発売されたアクション性の高い外伝作品。

前述の通り、ワイリーの遺したゼロウイルスによって暴走する深紅のナビ「ゼロ」との戦いが描かれます。

本編のデータアクションRPGとは異なり、横スクロールアクションに近いゲーム性で、新鮮な感覚で楽しめました。

ゼロのデザインもカッコよかったですよね。

『ロックマンエグゼ オペレート シューティングスター』(ニンテンドーDS, 2009年)

こちらも前述しましたが、『エグゼ1』のリメイクに加えて、大きなサプライズが用意されていた作品。

それは、エグゼシリーズの遥か数百年後の未来を描いた続編シリーズ『流星のロックマン』との、時空を超えた夢のクロスオーバーシナリオ

時間を操る悪党ナビ「クロックマン」を追って、200年以上先の未来からやってきた『流星』の主人公、星河 スバルと、そのパートナーウォーロック(二人が電波変換した姿がシューティングスター・ロックマン)。

熱斗(ロックマン.EXE)とスバル(流星ロックマン)、二人の青きロックマンが力を合わせ、時空を超えた悪に立ち向かうという、まさに夢のような共演が実現しました。

このクロスオーバーは、単なるファンサービスに留まらず、『エグゼ』と『流星』が、同一世界の異なる時代を描いた地続きの物語であることを公式に強く示唆し、両シリーズのファンを大いに沸かせました。

熱斗たちが築いた平和なネットワーク社会の未来が、スバルたちの生きる電波の世界へと繋がっている…そう考えると、なんだか胸が熱くなりますよね。

モバイルアプリ外伝(現在はプレイ困難)

フィーチャーフォン(ガラケー)全盛期には、実はエグゼの完全オリジナルストーリーを描いたアプリゲームも存在しました。

  • 『ロックマンエグゼ ファントム オブ ネットワーク』(2004年配信): 過去のデータの怨念から生まれた復讐者ナビ「キャッシュ」との戦いを描く物語。このキャッシュは、後にアニメ『BEAST+』のラスボスとして登場するなど、メディアミックスにも影響を与えました。
  • 『ロックマンエグゼ レジェンド オブ ネットワーク』(2006年配信): 超古代文明ムーの遺産である最終兵器「トロイノモクバ」の復活を巡る戦いを描く物語。ムー大陸という設定は、『流星のロックマン』シリーズにも繋がる要素として興味深いですね。

これらの作品は、現在ではプレイすることが極めて困難になってしまいましたが(カプコンさん、何とかしてー!)、エグゼの世界観をさらに広げる、知られざる物語として、記憶に留めておく価値はあるでしょう。

アニメと漫画、それぞれの魅力と解釈エグゼの魂はメディアを超える!

『ロックマンエグゼ』の人気は、ゲームの世界だけに留まりませんでした。

TVアニメと漫画という、二つの大きなメディアミックス展開も、それぞれが独自の魅力と解釈で、多くのファンを生み出し、エグゼの世界をより豊かに、より長く愛されるものにしました。

ゲームしか知らない、という方は、ぜひこちらもチェックしてみてほしいですね!

TVアニメ版『ロックマンエグゼ』シリーズ(無印~BEAST+):友情!変身!クロスフュージョン!

2002年から2006年まで、なんと4年半にもわたり放送された長期シリーズ。

ゲームの設定やキャラクターをベースにしつつも、より低年齢層の視聴者を意識した、明るく、熱いヒーローアクションアニメとして独自の進化を遂げました。

最大の特徴であり、アニメ版の代名詞ともなったのが、第2期『AXESS』から導入された「クロスフュージョン(CF)」システム!
オペレーターである熱斗が、特殊な「シンクロチップ」とPETを使うことで、ネットナビであるロックマンと物理的に融合(実体化)し、現実世界で悪のナビやウイルスと直接戦う!という、ゲームにはない大胆な設定は、当時の子供たちの心を鷲掴みにしました。

私も息子と一緒に「クロスフュージョン!」って叫んでましたもん(笑)。

ストーリーも、ゲームの大筋をなぞりつつ、アニメならではのオリジナル展開が満載。

ロックマンの正体(彩斗)には触れず、純粋な最高のパートナーとして描いたり、敵だったナビが仲間になったり、個性的なアニメオリジナルキャラクターが多数登場したり。

劇場版も公開され、クロスフュージョンメンバーが世界中から集結する『Stream』編など、スケールの大きな物語も展開されました。

そして何より、ゲーム『エグゼ6』のような悲劇的な別れはなく、最後まで熱斗とロックマンが共に戦い抜き、明確なハッピーエンドで完結したのが、アニメ版の大きな特徴であり、救いでもありました。

ゲームとは違う、もう一つのエグゼの形として、こちらも間違いなく名作です。

漫画版『ロックマンエグゼ』(作:鷹岬諒先生):魂が震える、もう一つの「正史」!

小学館『月刊コロコロコミック』で連載され、単行本全13巻が刊行された鷹岬諒(たかみさき りょう)先生による漫画版『ロックマンエグゼ』。

こちらも、ゲームとは異なる道を歩みながらも、ゲームへの深い愛情とリスペクトに満ちた、熱く、激しく、そして涙なしには読めない、もう一つの『ロックマンエグゼ』を描き切った傑作です。

漫画版の最大の特徴であり、ゲーム版との最も大きな違いは、前述の通り、熱斗とロックマンの関係性を、最初から「双子の兄弟」として描いたこと。

(※漫画版では熱斗が兄、ロックマン(彩斗)が弟という設定)。

これにより、物語は一貫して「離れ離れになった兄弟が、オペレーターとナビとして再会し、共に困難に立ち向かいながら絆を深めていく」という、非常にエモーショナルな軸で展開される。

また、ゲームでは隠しボス的な存在だったフォルテが、準主役級の超重要キャラクターとして登場し、ロックマンとの宿命的なライバル関係や、彼の抱える孤独と葛藤が深く掘り下げられている点も、漫画版ならではの大きな魅力です。

フォルテファンは必読ですよ!

ストーリーも、ドリームウイルス編やゴスペル編のオリジナル展開、そしてゲームとは全く異なる、月面でのデューオとの壮大な最終決戦など、漫画でしか味わえない、息をのむような熱い展開が満載。

鷹岬先生の描く、迫力満点のバトルシーンと、キャラクターたちの生き生きとした表情、そしてシリアスな中にも光るユーモアセンスは、まさに唯一無二。

ゲームとは異なる結末を迎えますが、最終回後の描き下ろしエピローグでは、ゲームと同じく20年後の未来が描かれ、二つの『エグゼ』が美しく繋がっていることを示唆してくれます。

ゲームファンはもちろん、全てのエグゼ好きに、自信を持っておすすめできる、魂のコミックです!

このように、ゲーム、アニメ、漫画、それぞれが異なる魅力と解釈で『ロックマンエグゼ』の世界を広げ、深めていきました。

どれか一つだけでなく、ぜひ色々なメディアのエグゼに触れて、あなただけのお気に入りの「エグゼ」を見つけてみてくださいね。

ネットワーク社会、AIとの共存、そして「つながり」の意味エグゼが遺した問いと希望

さて、ここまで『ロックマンエグゼ』シリーズの壮大な物語を、時系列に沿って、かなり詳しく(というか、暑苦しく?)語ってきました。

いやぁ、本当に、何度振り返っても色褪せない、素晴らしい物語ですよね。

でも、『ロックマンエグゼ』が私たちに残してくれたものは、感動的なストーリーだけではありません。

それは、20年以上前に描かれたとは思えないほど、現代社会、そして未来を生きる私たちに対して、深く、そして鋭い問いを投げかけ、同時に希望の光をも示してくれているように、私には思えるのです。

驚くべき「未来予見」と、現代への警鐘

まず、改めて驚かされるのが、その驚異的な「未来予見」能力

2000年代初頭、まだスマホもSNSも普及していなかった時代に、『エグゼ』は、

  • 誰もが携帯する情報端末PET(=スマホ)
  • 人間のパートナーとなるAIネットナビ(=AIアシスタント、あるいはそれ以上?)
  • 電子メール、ネットショッピング、オンライン授業、電子マネー決済が当たり前の生活
  • 家電や社会インフラがネットワークに繋がり、それがハッキングされる脅威(=IoTの脆弱性、サイバーテロ)
  • ダークチップのような、力と引き換えに心を蝕む存在(=ネット依存、SNSの闇、情報過多による精神汚染?)

…といった、現代の私たちの日常風景や社会問題を、驚くほどリアルに、そして具体的に描き出していました。

もはや予言の書レベルですよね?

これは、単なる偶然やSF的な想像力の産物というだけではないでしょう。

開発者の方々が、当時生まれつつあったインターネットという新しい技術の持つ可能性と、その裏に潜む危険性を、極めて深く洞察していた証拠なのだと思います。

そしてそれは、現代を生きる私たちへの、強力なメッセージであり、警鐘でもあるのです。

「テクノロジーの進歩は素晴らしい。

でも、使い方を間違えれば、あるいは悪意を持って利用されれば、世界は簡単に壊れてしまうぞ」と。

AI(ネットナビ)と人間の「理想の関係」とは?

そして、『エグゼ』が提示するもう一つの大きなテーマが、人間とAI(ネットナビ)との関係性です。

作中では、ネットナビは単なる便利な道具ではありません。

彼らは人格を持ち、感情を持ち、オペレーターである人間と喜びや悲しみを分かち合い、共に成長していく、かけがえのないパートナーとして描かれています。

熱斗とロックマンはもちろん、炎山とブルース、メイルとロール…彼らの間に流れる深い絆は、種族や存在形態の違いを超えた、魂のレベルでの繋がりを感じさせます。

一方で、WWWやネビュラのように、ナビを単なる兵器や支配の道具として利用しようとする存在も描かれます。

ダークチップのように、ナビの心を歪め、破壊してしまう技術も登場します。

これは、AI技術が急速に進化し、私たちの社会に浸透しつつある現代において、極めて重要な問いを投げかけています。

私たちは、これからAIとどのように向き合い、どのような関係を築いていくべきなのか?
AIを単なる便利なツールとして使うのか、それとも感情を持つかもしれない存在として尊重し、共存していく道を探るのか?

『ロックマンエグゼ』は、その答えを明確には示しません。

しかし、熱斗とロックマンが見せてくれた、互いを深く理解し、信頼し、心を通わせることで、一人では決して成し得なかった奇跡を起こしていく姿は、人間とAIが目指すべき、一つの理想的な未来の形を、私たちに示唆してくれているのではないでしょうか。

それは、支配でも隷属でもなく、相互理解と尊重に基づいた「共生」の関係。

言うは易し、行うは難し、ですけどね…。

でも、目指すべき方向性は、そこにある気がするんです。

シリーズを貫く、普遍的な「つながり」のメッセージ

そして、友情、家族愛、兄弟の絆、成長、技術倫理…様々なテーマを描いてきた『ロックマンエグゼ』シリーズ全体を、太い一本の糸のように貫いている、最も根源的で、最も重要なメッセージ。

それは、やはり「つながり」の大切さなのだと、私は思います。

人と人とのつながり。

人間と、人間が生み出したプログラム(AI)とのつながり。

過去から現在、そして未来へと受け継がれていく、世代間のつながり。

現実世界(リアル)と、電脳世界(ネット)という、異なる次元のつながり。

『エグゼ6』で、物理的に引き離され、ネットワークすら分断され、存在の危機に瀕してもなお、熱斗とロックマンの魂の絆は、決して途切れることはありませんでした。

そして、その強い想いが、奇跡の再会を引き寄せました。

ロックマンが、最後の最後に熱斗に遺した言葉。

「僕たちは、いつも繋がってる」

この言葉は、単なる別れの挨拶ではありません。

それは、どんな困難な状況にあっても、どんなに距離が離れていても、互いを信じ、想い合う心さえあれば、その「つながり」は永遠に失われることはないのだという、力強く、そして普遍的な真実を、私たちに教えてくれているのです。

現代社会は、インターネットやSNSによって、世界中の人々と瞬時に繋がれるようになりました。

しかし、その一方で、リアルな人間関係が希薄になったり、ネット上の誹謗中傷や対立が深刻化したりと、「つながり」が逆に人々を傷つけ、分断させる側面も顕著になっています。

そんな時代だからこそ、『ロックマンエグゼ』が描いた、温かく、強く、そして決して切れることのない「つながり」の物語は、私たちの心に、より一層深く、そして温かく響くのかもしれません。

未来への希望:『アドコレ』の大ヒットと、その先へ

そして、そんなエグゼのメッセージが、20年以上もの時を超えて、再び多くの人々の心に届いた証拠が、2023年に発売された『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』の、異例とも言える大ヒットでしょう。

全世界で200万本以上を売り上げ、オンライン対戦は今なお活発。

まさに「伝説の復活」です。

これは、単に懐かしさだけではないはず。

『エグゼ』が持つ普遍的な魅力と、現代社会にも通じるテーマ性が、新しい世代のプレイヤーをも惹きつけた結果なのだと、私は信じています。

もちろん、現時点(2025年4月)で、カプコンから続編や新たなシリーズ展開に関する公式な発表はありません。

熱斗とロックマンの物語は、『エグゼ6』で美しく完結していますからね。

でも…でもですよ? これだけの熱気と、ファンの変わらぬ愛があれば、もしかしたら…?

例えば、熱斗の息子・来斗くんを主人公にした、新しい世代の物語とか…?

あるいは、全く新しい形でのエグゼ世界の展開とか…?

なーんて、ついつい期待しちゃうのが、ファンの性(さが)ってもんですよね!

(カプコンさん、ちょっとくらい期待しても、いいですよね?)

プラグアウト、そして明日へ結び

さて、そろそろプラグアウトの時間ですね。

ここまで、私の暑苦しいエグゼ語りにお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

光 熱斗とロックマン.EXE(彩斗)。

二人の兄弟が駆け抜けた、光と闇、喜びと悲しみ、出会いと別れに満ちた、壮大な物語。

それは、20年以上経った今でも、全く色褪せることなく、私たちの心に、興奮と、感動と、そして未来への希望を与え続けてくれます。

もし、この記事を読んで、少しでもエグゼの世界に興味を持ったり、久しぶりにPET(ゲーム機)を握りたくなったりしたなら、ライター冥利に尽きます。

『アドバンスドコレクション』で、いつでも彼らの冒険を追体験できます。

そして、オンラインに接続すれば、そこにはきっと、あなたと同じようにエグゼを愛する仲間たちが待っているはず。

さあ、現実世界(リアル)に戻って、私たちも、熱斗やロックマンのように、明日からまた、ちょっとだけ強く、ちょっとだけ優しく、そして大切な人との「つながり」を胸に、頑張ってみませんか?

それでは、またいつか、どこかの電脳世界(あるいは記事)でお会いしましょう!

プラグアウト!

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