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クロックタワーシリーズのストーリーを時系列順に結末までネタバレ

ホラーゲームの歴史を語るうえで外せない名作、それが「クロックタワー」シリーズです。

巨大なハサミを振りかざす「シザーマン」に代表される追跡者の恐怖や、血塗られた家系の呪いをテーマにした重厚かつ薄暗いストーリーは、多くのプレイヤーにトラウマと興奮を同時に刻み込んできました。

シリーズを初代から順に紐解いてみると、

“逃げる恐怖”

というゲームデザインが一貫して貫かれている一方で、外伝的作品の和風テイストや、3Dアクションへ転換した後期作など、作品ごとに大きく趣を変えているのも魅力です。

ここでは、そんなクロックタワーシリーズを(基本)時系列順に、ネタバレ上等でどっぷり解説していきます。

数多く存在するエンディングや、各作品に共通する“家系の呪い”モチーフはもちろん、2024年に発売されたリメイク作品『クロックタワー・リワインド』の追加要素まで、まとめてカバー。

ぜひ

館の暗がりで背筋が凍る感覚

を追体験してみてください。

シザーマンのハサミが、カチャンカチャンと不気味に鳴り響いているかもしれませんよ…。

 

クロックタワーシリーズを語る前の前置きとして、作品世界には大きく3つの軸があります。

  1. 「非戦闘型ホラー」としての逃げのゲーム性
    何せ主人公は華奢な少女や一般人であり、ゲーム中ほとんどの場合「武器を振り回して撃退」できません。
    敵が近づいたらスニーク(隠れる)か死ぬ覚悟。
    これが一貫してプレイヤーを震え上がらせるポイントです。
  2. 呪いや血筋が絡むファミリードラマ
    シザーマンの正体やその背後にある家系の因縁が、必ずといっていいほど登場。
    バロウズ家の禍々しい儀式、あるいは日本的な怨念(『ゴーストヘッド』)など、“家族”や“因縁”が闇の核として描かれます。
  3. マルチエンディングや分岐要素(一部作品を除く)
    初代や『2』では、マルチエンディングが複雑に絡み合い、周回プレイのモチベーションを高めます。
    どの結末を“自分の正史”とするかはプレイヤー次第というコンセプトが、ホラー体験にさらなる深みをもたらしました。

それでは、シリーズを初代から4作品プラス2024年リメイク版にわたって解説しつつ、それぞれの結末まで踏み込み、さらに「超論理的かつ超俯瞰的視点(?)」の考察や推測を盛り込みながら、どこまでも掘り下げてみましょう。

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1995クロックタワー

舞台と主人公

1995年、スーパーファミコン向けに発売された『クロックタワー』。

舞台は北欧の片田舎にある古めかしい洋館「クロックタワー屋敷」。

孤児院育ちの少女ジェニファー・シンプソンが、教師メアリー・バロウズと共に里親先を訪れるが、到着直後に巨大ハサミの殺人鬼“シザーマン”が出現し、一夜にして悪夢が始まります。

  • ポイント&クリック操作
    当時ホラーゲームといえば、探索しながら戦闘するスタイルが主流になりつつあった時代もありましたが、本作は非戦闘型で、“戦えない恐怖”を徹底して追求。
    ジェニファーはひたすら逃げ、隠れ、わずかなスキをついて館内を歩き回ります。
  • 初見殺し多数
    シザーマンは静かに現れ、突然カーテンから顔を出したり、窓から侵入したり。
    ハサミが鳴るSEとともに悲鳴を上げるジェニファーを眺めると、地味に心臓に悪いです。
    何度もドキリとさせられます。

ここで疑問になるのは、なぜこんな恐怖の家に少女たちがやってきたのか。

実はメアリーが邪教的儀式に傾倒しており、

バロウズ家の奇形双子(ボビー=シザーマン、ダン=巨大怪物)

に“生贄”を捧げる目的で孤児を迎え入れた…

という黒い真相が、中盤以降で判明します。

邪悪な家系と双子中盤

プレイヤーは、館内で見つかる文書や遺体、数々の演出を通じ、バロウズ家が謎の“闇の存在”と契約して奇形の息子たちを得たこと、メアリーがその儀式を継続しているなど、理解したくないほど禍々しい背景に直面させられます。

  • カラスの伏線
    序盤にカラスを檻から放すイベントがあります。
    ただの小動物救出かと思いきや、後の展開に大きく関わる伏線。
    ホラー作品にはよくある「助けた生き物に助けられる」王道パターンを踏襲しつつ、意外にも希望の象徴を持ってくるあたりが憎いところ。
  • 仲間の行方不明とロッテの最期
    同行した孤児仲間のローラ、アン、ロッテなどが次々と行方不明になり、バスルームや物置部屋で無残な姿を目にする展開も…。
    特にロッテは最後にジェニファーを手助けして力尽きるという悲劇的な役回り。
    「ホラーゲームの犠牲者あるある」ではありますが、少女同士の友情描写があるため、なかなか胸が痛いです。

時計塔での決着とエンディングの多様性終盤

物語が最高潮に達するのは、クロックタワー屋敷の最上階。

止まった巨大歯車を再び動かし、シザーマンをそこに落下させることでトドメを刺しますが、安堵する間もなく、背後からメアリーが最後の悪あがき。

しかし、そこへ例のカラスが大量に戻ってきてメアリーを襲い、彼女は歯車へ真っ逆さま。ジェニファーは夜明けの空を見上げながら命拾いします。

  • 最良エンド(いわゆるAエンド)
    ジェニファーが生き残り、カラスが恩返しをし、メアリーとシザーマンを葬り去る。
    仲間の生存パターンもあるが、細かな分岐によるエンディングが複数あり、悲惨なバッドエンドではジェニファーも殺されることも…。
  • 正史はプレイヤー次第?
    開発者は
    「プレイヤーが好きな結末を正史としてOK」
    と語っているらしいですが、次作でジェニファーが生き残っている前提があったため、一応Aエンドがメインの流れと捉えられています。

考察と衝撃

初代『クロックタワー』の革新は、ホラーゲームにおける

戦わずにただ逃げる恐怖

を確立したこと。

さらに、ゴシック調の洋館と少女の絶望的な対比、邪教や呪いの要素をミックスすることで、西洋的ホラーの王道を踏襲しつつゲームとしての没入感を高めました。

プレイヤーはジェニファーの無力さにシンクロし、画面越しに震え上がります。

そしてマルチエンディングがリプレイ性とストーリーの深みを生み、当時のゲーマーを魅了。

後続のホラーゲームに影響を与えた点は、今でも語り草といえるでしょう。

1996クロックタワー2

初代の事件から1年後舞台

PlayStationでリリースされた『クロックタワー2』は、初代の直接的な続編。

舞台は前作の「シザーマン惨劇」から約1年後、ノルウェーを中心とする都市部がメインで、ジェニファーはトラウマを抱えながらも大学の研究対象として保護されている設定です。

世間では「シザーマン」の噂が都市伝説化しており、新聞記者のノランや警部補ゴッツが事件を追うなど、周囲も騒がしくなっています。

  • ジェニファー編か、ヘレン編か
    物語序盤の分岐条件によって
    「主人公がジェニファーになるか、ヘレン・マクスウェルになるか」
    が決まり、それぞれ展開が異なるのが本作の大きな特徴。
    ジェニファー編では再び殺人鬼の恐怖を味わうメインヒロイン視点、ヘレン編では保護者側の立場でジェニファー救出に奔走するドラマが描かれます。

魔像に潜む邪悪と復活のシザーマン

本作のストーリーの核は、バロウズ家に伝わる「悪魔の魔像」。

前作の事件現場から発見されたこの像は、邪悪な力が込められた曰く付きのオブジェです。

ジェニファー(ヘレン)たちが像の由来を探るうち、再びシザーマンらしき殺人鬼が登場し周囲で大量殺人が起こります。

  • 博物館や旧バロウズ家執事の屋敷へ
    魔像を誰に依頼するか(博物館館長or執事リック)によってステージ展開が大きく変わる。
    さらに、大学でもシザーマンが出没し、恐怖の逃亡劇が各所で勃発。
  • バロウズ家の呪い再び
    魔像を巡る陰謀、そして事件を利用する狂人バートン教授や助手ハリスなど、人間側の暗躍も織り交ぜることで、
    「シザーマンは本当に再来したのか? それとも人間がトリックで殺人を?」
    というミステリー要素が色濃くなっています。

バロウズ城でのクライマックスと真相

物語が最終局面を迎えるのは、イギリスにある朽ちたバロウズ城。

ジェニファー/ヘレンは、魔像に秘められた力を断ち切るため、仲間とともに城の奥へ向かいます。

そこに潜んでいたのは、少年エドワード=実は前作で倒されたはずのダン・バロウズの魂を受け継ぐ存在。

エドワードこそ、新たなシザーマンの正体でした。

  • ダン(エドワード)の復活
    魔像と融合した力でシザーマンの姿となり、主人公を再び“逃げの恐怖”に追い込む。
    前作で燃え尽きたはずの怪物が少年の姿で生き延びていたという展開は賛否あれど、シリーズ的には
    「呪いに終止符を打つには、バロウズ家の邪悪を徹底的に消さなくてはならない」
    という構造を強調します。
  • エンディングの分岐
    シザーマン=ダンを倒し、魔像を破壊して呪いを完全に封印するルートが最良エンド。
    仲間も含めて何人か生き残り、朝焼けの空で終わるものもあれば、逆に主人公さえも犠牲となり、世界は再び闇へ……
    というバッドエンドも用意。
    ジェニファーとノランの関係やヘレンの運命など、細かい条件で変わります。

深堀り考察シリーズの連続と評価

『クロックタワー2』は

初代キャラのジェニファーが再登場して事件に挑む

という王道的な続編としての魅力と、ダブル主人公&多数分岐で複雑なゲーム体験を提供しました。

バロウズ家の呪いがまだ解決されていないことを強調することで、シリーズのテーマである「血の宿命」をさらに拡張。

一方で、ファンの評価としては

「分岐が多すぎてわかりづらい」

という声もあれば、

「周回で色々な真相が判明し、エンディングごとにキャラクターの運命が大きく変化するのが面白い」

という好意的意見も。シザーマンの再来として、少年エドワードが最終ボスだったという展開に対しては、ややこじつけ感があると見る向きもあるものの、初代ファンにとっては「またシザーマンに追われる恐怖を味わえる」点が大きな魅力でした。

1998クロックタワー ゴーストヘッド

異色の外伝舞台は日本

続いてご紹介する『クロックタワー ゴーストヘッド』は、いわゆる外伝的ポジション。

海外版タイトルが『Clock Tower II: The Struggle Within』となっているため少々混乱しがちですが、日本版では「クロックタワー」ナンバリングを外しての発売。

舞台を日本に移し、“シザーマン”は登場せず、代わりに和風ホラー的な呪いが中心テーマとなっています。

  • 主人公・御堂島優(ゆう)
    高校2年生の少女だが、二重人格“翔”を内に秘めており、ある日突然暴力事件を起こしてしまう。
    その後、父の友人である鷹野初(はじめ)の家に預けられるが、そこでも惨殺事件が起き…。
  • 二重人格システム
    ミコシサマという御守りの有無で優/翔が切り替わり、それぞれの視点で探索できる。
    翔は性格が荒く、武器を使えるケースがあるなど、ゲーム的にも異色のシステムです。

才堂家の呪いと鷹野家の惨劇

物語は鷹野家で起きた殺人事件を皮切りに、優が住む町や病院、製薬研究所を巡りながら進展。

背景には「才堂家」という旧家の忌まわしい風習があり、優自身がその生贄として埋められた赤子と何らかの関係を持つことが、次第に明らかになります。

  • 黄金像と幻覚ガス
    鷹野初所長が仕組んだ黄金の偶像に隠されたガス装置により、鷹野家の人々が発狂・殺し合う悲劇が発生。
    ゴーストヘッドの恐怖は、精神と幻覚の不穏さを軸にしている点が特徴。
  • 翔の存在
    “翔”は優の中に宿った別人格とも、呪われて死んだ赤子の怨念とも取れる曖昧な描写が多い。
    和風ホラーらしい怨霊的解釈も混ざり、プレイヤーの想像力を刺激します。

実母・藤香と最終決戦クライマックス

終盤、優は地下研究所で鷹野初が才堂家への復讐を計画していた動機を知り、さらに実の母にあたる才堂藤香と対峙します。

藤香は16年前に赤子を生贄にした張本人であり、優を“呪われた娘”として再び殺そうと襲いかかる。

  • 最終的なグッドエンド
    優が翔の存在を受け入れ、自分の中のもう1人を統合し、呪いを克服しようと決意を固める。
    研究所は爆発炎上し、藤香は刑事の捨て身の行動で討たれ、怨念は断たれる形で物語を締めくくる。
  • バッドエンド多数
    途中の選択やアクションによって優が正気を失ったり、翔が暴走して双方死ぬなど、救いのない結末が豊富。
    和風オカルトらしい陰鬱な空気は終始漂います。

評価と位置付け

『ゴーストヘッド』は「クロックタワー」のタイトルを冠してはいるものの、世界観やメインキャラが別物であるため、シリーズ正史からは外伝扱いされがちです。

ホラーADVとしては二重人格システムや和風呪術など独特の魅力があり、カルト的人気を誇ります。

シザーマンが登場しない代わりに、和製ホラーの“狂気”描写を前面に出し、精神的恐怖を強調した点が大きな特徴。

ファンの中には

「これぞ真のクロックタワーの恐怖」

という人もいれば、

「番外編だからあまり関係ない」

と見る人もいるため、評価が分かれる作品です。

2002クロックタワー3

大幅刷新3Dアクション+映画的演出

2002年、今度はカプコンから発売された『クロックタワー3』。

シリーズ従来のポイント&クリック操作を捨て去り、3D空間をアクションで駆け回るスタイルへと転換。

さらに深作欣二監督による演出が施されたムービーシーンが多用され、非常に映画的で華やかな印象となりました。

  • 主人公アリッサ・ハミルトン
    15歳目前の少女。
    ある日突然行方不明になった母ナンシーを探してロンドンの自宅へ戻ると、謎の黒衣の老人に遭遇し、突如時空を飛ばされる。
  • ルーダーの血筋
    アリッサは魔を祓う一族「ルーダー」の末裔であり、15歳を迎えると邪悪な怨霊を浄化する能力が目覚めるという設定。
    シリーズの呪いテーマをまた別方向に進化させた形です。

ステージ構成各時代の殺人鬼を浄化

『3』では章ごとに異なる時代へ飛び、事件を引き起こす“殺人鬼(ハンマー男、腐食男、シザーマン兄妹など)”を聖なる弓矢で浄化するボス戦を繰り返す形式。

追跡される恐怖もありますが、従来よりは「立ち向かう力」が強化され、逃げ回るだけにとどまらない新鮮なプレイ感が特徴です。

  • 被害者の霊の成仏
    各ステージで殺人鬼を倒すと、その犠牲者の霊が成仏し、アリッサに感謝を伝えて昇天していく。
    ホラー作品でありながらどこかファンタジックかつ感動的な要素が強まった印象です。

最終決戦祖父ディック=バロウズ侯爵との融合

クライマックスでは、アリッサの祖父ディックが実はバロウズ家の血を引く人物であり、不死の力を求め邪悪に魅入られていたことが判明。

彼は自ら“バロウズ侯爵”と一体化し、孫娘を儀式に捧げようと企みます。

最上階の時計塔で母ナンシーを人質にし、主人公を追い詰める流れはシリーズ伝統の“時計塔決戦”を踏襲。

  • 弓矢を放ちディックを撃破
    最後はアリッサが聖なる弓矢でディック=侯爵を打ち倒し、ディックは最期に正気を取り戻して孫を想いながら息絶えます。
    時計塔が崩落し、アリッサと母は夜明けの光を浴びつつ脱出するエンディング。
  • 一本道のストーリー
    これまでのマルチエンディングを捨て、完全リニアにした点が賛否両論でした。
    しかし映画的なイベントシーンや派手なアクションなど、新たなファンを獲得。
    ホラーというより“ゴシック調バトルファンタジー”に寄ったと言えるかもしれません。

考察シリーズの呪い総仕上げ?

バロウズ侯爵という名前や“時計塔での最終決戦”など、初代のオマージュをちりばめつつ、血筋の呪いを「祖父と孫」の葛藤としてドラマチックに描くことで、一応

“バロウズ家の呪いに区切りをつける”

ような流れにも見えます。

ただ、初代~『2』との直接的ストーリー繋がりは薄く、設定面で一部共通する程度。

ファンのなかには

「これはもうクロックタワーとは別物」

と感じる人もいれば、

「少女が逃げ惑いながらボスに立ち向かう恐怖は健在」

と前向きに捉える人もいました。

いずれにしろ、ホラーゲームとしては異色の仕上がりで、現在でも「クロックタワーがシリーズごとに進化した極致」として語られます。

2024クロックタワー・リワインド

初代のリメイク&新エンディング

ここで2024年に発売された『クロックタワー・リワインド』の話へ。

これは初代(1995年SFC版)を大幅リメイクしたタイトルで、ポイント&クリックの操作を再現しつつも、グラフィックと演出は最新技術で強化。

加えて

新たなシナリオ&エンディングが追加

されたのが最大のトピックです。

  • 原作の雰囲気を継承
    屋敷のレイアウトや序盤の展開などはほぼ原作どおり。
    ただし、キャラクターの動きや各種演出が洗練され、よりリアルになった分、初代のドットならではの“恐怖の想像余地”は減ったという意見も。
    好みが分かれるところでしょう。
  • 追加シナリオの補完
    メアリー・バロウズの過去、シザーマン(ボビー)とダンの誕生経緯、カラスイベントの意義など、原作では断片的だった部分を掘り下げるエピソードが挿入される。
    中には「メアリーが本当は◯◯だったのでは…?」といった新解釈につながる展開もあり、初代ファンの間で再び考察が活発化しました。

新エンディングの存在

リワインド版には、従来のエンディングに加えて

完全新規ルート

が存在。

プレイヤーが特定のフラグを立てると、シザーマン誕生の秘密やメアリーの真意に迫る展開が発生し、また異なる結末を迎えることが可能です。

賛否はありつつも

初代にプラスアルファを加えた、いわば“もう一つの真実”

として大きな注目を集めました。

  • 初代のエンディングは残存
    もちろん従来エンドも遊べます。
    スタッフの方針として「原作ファンが好きだった結末を取りこぼさない」よう配慮があり、新エンディングはあくまで追加要素に近い立ち位置。

発売後の話題と評価

リリース日はハロウィン当日という絶好のタイミングで注目度が高まり、SNS上では

「シザーマンがHDクオリティでよみがえった…!」

と大盛り上がり。

初代を未プレイの若年層にとっても、古典ホラーの名作に手を出しやすくなった意義は大きい。

一方で、オリジナル版のドット演出や絶妙な暗転演出が好きだったファンからは

「綺麗になりすぎた」

との声や、

「新エンドが蛇足だ」

との批判も見られます。

とはいえ、新旧ファンが入り混じって議論し、改めて初代クロックタワーがもたらした衝撃を再評価するよい機会になったことは間違いありません。

シリーズを貫くテーマと総合考察

ここまで、初代→『2』→『ゴーストヘッド』→『3』→リメイク版と追ってきました。

まとめとして、クロックタワーがどんなテーマを軸にしてきたのか、改めて整理しましょう。

  1. 逃げのホラー
    基本的にプレイヤーは戦えず、追われ続ける。
    これこそがクロックタワーの最大のアイデンティティ。
    特に初代と『2』ではポイント&クリックという操作性も相まって、
    「自分が守ってやらないとジェニファーはあっさり死ぬ」
    という保護者感覚と無力感が合わさり、恐怖感を爆発させていました。
  2. 家族・血筋・呪い
    バロウズ家の負の遺産をはじめ、『ゴーストヘッド』でも才堂家の呪いが描かれ、『3』でも祖父が邪悪に取り込まれるなど、家系の因縁が物語の根本にある。
    偶発的な殺人鬼ではなく、世代を超えた“血”が生み出す執着や復讐念こそが殺人の源泉というわけで、他のホラー作品とは一線を画す重さを持ちます。
  3. 多様なエンディング(except『3』)
    初代、『2』、『ゴーストヘッド』はプレイヤーの行動によって結末が変わり、生存者が変わり、真相の深さも変化します。
    “どのエンドが正史か”問題が常にファンの論争の的となりましたが、それ自体がプレイヤー同士の考察を盛り上げ、クロックタワーのブランドを支えてきました。
    『3』はリニアストーリーを採用し、ドラマ性と演出面を強化。
    そこに物足りなさを感じるファンもいれば、完成度の高さに感激する人もあり、賛否が交錯するタイトルになっています。
  4. シリーズの外伝やリメイクへの寛容さ
    『ゴーストヘッド』は和風テイストの“番外編”と見られがちで、『クロックタワー3』は実質新生クロックタワーともいうべき大変革。
    さらに2024年のリメイク版『リワインド』では追加エンドが盛り込まれました。
    いずれも
    「クロックタワーらしさとは何か?」
    を問う形でファンを再考させ続けてきた…
    というのが本シリーズの歴史を貫く流れだといえます。

より深い考察と超俯瞰的推測

ここからは少し“超論理的かつ超俯瞰的”の観点で、物語の構造やホラー演出をもう一段掘り下げてみます。

「追われる」恐怖の本質

クロックタワー最大の特徴は“非戦闘”ゆえのリアルな絶望感。

自分は弱い存在であり、敵は執拗に追ってくる

映画的なホラーなら、主人公が逃げていればどこかで助っ人や警察が出現しそうですが、クロックタワーはプレイヤー自身が解決するまで一切救援なし。

しかも逃げ方をちょっとでも誤ると一瞬でアウト。

この緊張感こそがプレイヤーを引き込み、探索の隅々まで体験させるモチベーションになります。

もしバロウズ家の呪いがなかったら、あるいはシザーマンが普通の人間に過ぎなかったら、これほど執念深い追跡劇にはならないかもしれません。

結局のところ

人智を超えた力で狙われる

という前提が成立しているからこそ、序盤から終盤まで死と隣り合わせの逃亡劇を満喫(?)できるのです。

呪いは単なる悪意の象徴か、それとも“絆”の裏返しか

クロックタワーシリーズでは、邪悪な存在や呪いを断つために主人公が奮闘する構図が多いですが、同時に犠牲になった仲間の助力(ロッテなど)や家族愛(例:『3』のアリッサと母ナンシー)が最終的に“人間的な温かさ”を救いの鍵として提示する場合もあります。

序盤で檻のカラスを助ける善意が、終盤でメアリー撃退の決め手になる流れも象徴的。

呪い・血筋とはいえ、ある意味“家系”ですから家族の絆もある。

それが負の方向に暴走すれば邪教や殺人鬼を生むし、正の方向に傾けばカラスのように助け合いの力を発揮する。

シリーズのドラマの深さは、決して“憎しみだけ”に支配されていないところにあるのかもしれません。

マルチエンディングが映す可能世界のホラー

特に初代、『2』、『ゴーストヘッド』で顕著ですが、プレイヤーの行動如何で運命が激変するというのは、単にゲームの分岐要素だけにとどまらず、

この世界には多様な可能性があり、油断一つで死が待ち受ける

といったホラーの不条理を表現しているとも考えられます。

あるプレイではジェニファーと仲間が救われるが、別のプレイでは全滅……。

まるでパラレルワールドのように現実がコロコロ変わる様を、メタ的視点で目撃するのが本シリーズの醍醐味でもあります。

 

シリーズ全体の魅力と“未プレイ”への誘い

仮にまだ一度もクロックタワーを触れたことがない人が、この記事を読んで興味を持ったならば、ぜひ初代かリメイク版に挑戦してみるのがおすすめです。

SFC版初代はレトロならではの2Dドットと静寂の不気味さ、リメイク『リワインド』は最新映像技術での恐怖体験。

どちらも“逃げ場がない”という基本は同じなので、好みや入手しやすさに合わせて始めるとよいでしょう。

  • 初代&『2』
    シリーズの世界観を把握したいなら必須。
    バロウズ家の呪いとシザーマンの存在感、そしてマルチエンディングを存分に楽しめます。
  • ゴーストヘッド
    和風ホラー好きなら外せない一品。
    二重人格と精神的狂気に踏み込む形で、クロックタワーのブランドに新しい色を添えました。
  • 3
    アクション寄りで映画的演出が豊富。
    リニアストーリーなので、分岐が苦手でも問題なし。
    ちょっと派手めのホラーを体験したい場合に向いています。
  • リワインド
    2024年リメイクの最新タイトル。
    初代の物語を再構築しつつ新要素を加えているため、シリーズの過去と未来を繋ぐ一本。

クロックタワーが刻む逃げの恐怖まとめ:時計の針は止まらない

クロックタワーシリーズが描いてきたのは、常に「時計塔」という象徴的舞台のもと、“逃げるしかない少女”と“迫り来る殺人鬼”というシンプルかつ強烈な図式です。

初代の歯車が軋む音、2での再燃するシザーマン、ゴーストヘッドの和風呪い、3での祖父との闘い、リワインドでの新解釈――それらすべてが「どんなに小さくて儚い存在でも、逃げながら道を切り拓く可能性を秘めている」ことをプレイヤーに体感させてくれます。

人は何かに追われたとき、単に恐怖に慄くだけでなく、必死に生き抜く力を発揮するもの。

本シリーズはホラーゲームの枠を超えて、そんな人間の姿を“血族の呪い”と繋げて深くえぐっている点にこそ、その価値があるのではないでしょうか。

もしもあなたが今、時計の針が不自然に止まった古い洋館へ足を踏み入れたとき、そして背後から

「シャキーン…」

と巨大ハサミが鳴る音が聞こえたとしたら……

どう行動するでしょう?

振り返るか、走って逃げるか、あるいはカラスを手元で守っておくか。

そうした「一瞬の選択」が、クロックタワーの世界では生死やエンディングを決定づけます。

そして今、2024年版の『クロックタワー・リワインド』が販売され、初代の恐怖を新たに再体験できる環境も整いました。

古参ファンは懐かしさと追加要素を楽しみ、未経験者は

“巨大ハサミの追撃”を最先端の映像で味わえる

という好機です。

マルチエンディングをすべて制覇するもよし、1周だけプレイして

「絶対2度とやりたくない…」

と震えるのもまた一興。

どの結末があなたの“真実”になるかは、プレイヤーそれぞれに委ねられています。

クロックタワーが刻む逃走の恐怖は、夜の静寂にこそ映えるはず。

暗い部屋でヘッドホンをつけてプレイしていると、歯車が止まりそうなくらいの心拍数に達するかもしれませんので、くれぐれもお気をつけあそばせ。

-その他