「セクシーボイス&ロボ」は、14歳の少女ニコ(通称:セクシーボイス)と、25歳のロボ好き青年ロボの奇妙な掛け合いを描いた未完の漫画作品です。
2002年に第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞を受賞し、2007年にはドラマ化もされました。
ところが、その物語は連載途中で止まり、いまだ続編が見当たらない状態が続いています。
本記事では、これまでの刊行状況や物語の魅力、ドラマ化でのトラブル(なんと放送中止回まである!)などを、人類では思いつかないかもしれない超俯瞰視点から惜しみなく考察します。
なにせ深く濃ゆ~く掘り下げるスタイルですから、アボカドをくり抜くより念入りに情報の核に迫ります。
ここでは「セクシーボイス&ロボ」の未完というミステリアスな点に焦点を合わせつつ、最新刊の存在や続編の可能性について、網羅的にまとめてみました。
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セクシーボイス&ロボとは何か
作品の誕生背景と基礎情報
- 作者:黒田硫黄(くろだ いおう)
- 連載時期:2000年~2003年に『スピリッツ増刊IKKI』(小学館)にて連載
- 受賞歴:2002年 第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞を受賞
- ドラマ化:2007年、日本テレビ系(全11話予定→実際は10話放送+1話未放映)
本作の核心は、14歳の少女ニコが持つ“声を自在に操る”という不思議な能力です。
彼女は他人の声色まで自由に再現できるという、電話営業マンが泣いて羨ましがるほどの天才的ボイススキルを持っており、その力をきっかけに事件に巻き込まれていきます。
一方、ロボはロボットやヒーロー番組、特撮モノをこよなく愛するオタク青年。
妙にとぼけた雰囲気を持つ彼ですが、ニコと一緒に行動するうちに、社会の闇や危険な仕事へとズブズブ足を突っ込むことに…。
ある意味、おっちょこちょいなロボがいなければ、ニコだけがどんどんシリアスな方向に突き進みそうなところ、ゆるい空気感を若干保っているのが本作の特色とも言えます。
未完だからこその異色ポジション
「セクシーボイス&ロボ」は大変評価が高いにもかかわらず、連載が途中で止まっており、現在も
“未完の名作”
として語り継がれています。
もともと2000年代初頭は、ガラケーが強く、スマホやSNSがまだ普及していない時代。
そのため、ニコの“声を操る”という特技は今でこそ斬新に思えますが、当時は
「電話で色々と人を操れちゃうんだ?ほほう、そりゃなかなか…」
と微妙に生々しい驚きがあったとか。
しかも2002年には文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で大賞を受賞し、読者の期待値が高まる中、13話で連載が中断。
その後、10年以上にわたり新しい展開が見られませんでした。
最新刊(第2巻)の徹底解説
復刊版 第2巻の発売情報
- タイトル:セクシーボイス&ロボ 第2巻(講談社版)
- 発売日:2016年4月22日
- 出版社:講談社(モーニングKC)
- ISBN:978-4-06-388536-1
- 収録エピソード:連載時の第7話~第13話+描き下ろし短編「A Space Odyssey」
連載が中断したのは小学館での話でしたが、2016年になり、突然講談社から
新装版の第1巻・第2巻が復刊
という形で出現。
しかも第2巻には、既存エピソードだけでなく、描き下ろしの短編が付いてくるという、ファンにとって驚きのニュースでした。
この描き下ろし短編「A Space Odyssey」がタイトルからして宇宙的であり、
「これ、ロボだけでなくニコもワープしちゃうの?」
と妄想が止まらない要素を含んでいます。
実際に読んだファンたちは意見が分かれ、
「本編に関わりそうで関わらないような…妙に浮遊感のある内容だ」
という声もあれば、
「いやいや、こんな形で再開してくれたなら十分だろう」
と受け止め方はさまざま。
でも、いずれにせよ“完結”はしていない点には注意です。
物語のラストでは「伝言ゲームはつづく」とほのめかされ、読者としては
「ここからのさらなる続きこそ欲しい」
と強く思うわけです。
第2巻の物語トーン
第1巻でのニコとロボは、事件に巻き込まれてもどこか軽妙さが残る一話完結スタイルでした。
しかし、第2巻では裏社会のスリリングな雰囲気が急に色濃くなり、暴力や死に触れる場面が増えます。
それにともない、14歳の少女が社会の闇にどう向き合うのか、ロボはその状況にどう絡んでいくのか…
という重厚なテーマがぼんやり見え隠れしはじめる。
でも、はい、ここで連載ストップ。
「んも~、いいところで幕切れなんだから!」
と叫びたくなるような状態です。
発売当時の読者の反響
2016年に第2巻が突然復刻したとき、ファンはSNS上で大騒ぎでした。
「おいおい、まさかの続きが読めるの? 夢じゃないよね?」
という盛り上がりと同時に、
「でも結局、完結はしてないし、新作のページ数も多くない…」
という物足りなさも見受けられます。
それでも、絵柄が綺麗になった新装版カバーや、描き下ろしの短編、紙質の良さなど
所有欲を満たしてくれるアイテム
としての評価は上々です。
紙派のコレクターなら、思わずこの新装版を2冊買って1冊は保存用にしようか…
と財布を握りしめるかもしれません。
続編への希望と未定の現状
公式発表の有無
結論からいえば、
続編に関する公式発表は今のところ皆無。
2007年前後に作者・黒田硫黄が
「いつか続きを描きたい」
とブログでつぶやいた形跡はありますが、その後の詳細は霧の彼方です。
講談社側からも「第3巻、出しま~す!」という明確なアナウンスは一切なく、ファンたちは毎晩布団で泣きながら待っている(かもしれません)。
作者・黒田硫黄の体調と執筆ペース
黒田硫黄は、過去に色素性絨毛結節性滑膜炎の治療や喘息による入院を経験し、創作ペースが乱れたことが知られています。
そこから他作品を描き始めたり、あるいは休養期間があったり…
と連載が安定しにくい事情が重なったとも言われます。
「セクシーボイス&ロボ」を手掛ける元気があるのか?
作家本人にしか分からない話ではありますが、ファンとしては
「あの独特な世界をもう一度描いてほしい!」
という渇望が尽きることはありません。
出版社サイドの可能性
漫画は作家ひとりの都合だけでなく、出版社の思惑や市場ニーズも大きく影響します。
たとえば
「未完の作品を再開させるには、売れる見込みがなければ難しい」
と考える編集部も多いでしょう。
一時の盛り上がりだけで、
「よーし、第3巻刊行決定!」
となるかは不透明です。
しかも「セクシーボイス&ロボ」は大賞受賞やドラマ化などの実績はあれど、ドラマが視聴率的に成功したわけでもなく、出版社が二の足を踏んでいる可能性も否定できません。
ドラマ版の魅力と視聴率のジレンマ
2007年のドラマ概要
- 放送期間:2007年4月~6月
- 主演:松山ケンイチ(ロボ役)、大後寿々花(ニコ役)
- 脚本:木皿泉(独特のユーモラスな会話劇で人気)
- 全11話予定→第7話が地上波未放映
ドラマ版は実に独創的なアレンジが加えられており、ニコを指令する謎の老人が老婆マキ(浅丘ルリ子)に変更されるなど、大胆なリライトが目立ちます。
「ここまで改変するか!」
と原作ファンが驚いた反面、木皿泉らしい台詞回しが光り、多くの視聴者が
「なんだ、このクセになるドラマ…」
とハマった記録も。
しかし視聴率は思ったより伸びず、さらに第7話は実際の立てこもり事件を想起させるとして放送中止に。
幻の第7話としてDVDボックスに収録されることになりました。
原作との相違点
ドラマではニコの年齢設定や行動が穏やかにアレンジされ、原作ほどダークにはならないシーンが多かったり、コミカル色が強められたりしています。
ロボも原作に比べると人間らしい成長がもう少し描かれており、それはそれで面白い。
ただし、視聴者からは
「原作のシュールさが少し薄まった」
「ニコのクールな雰囲気がドラマでは弱いかも?」
といった声もあったため、評価は分かれました。
個人的には大後寿々花の透明感ある演技が持ち味をしっかり出していたと感じます。
まるでくるぶしを打ったときのような不思議な痛みと爽快感を同時に味わうドラマでした。
カルト的支持と再注目
視聴率は平均7%台程度と、ゴールデンタイムとしては厳しい結果。
しかし、その後DVDでまとめて視聴した層から
「これは実験的でクセになる」
とカルト的支持を集めています。
さらに海外ファンサイトでも「日本の不思議ドラマ」として興味を持たれているようで、特に中国の豆瓣(Douban)では高評価を記録しました。
こうしたドラマ版の存在が、原作に再度の関心を寄せる一助となり、2016年の復刊へと繋がったとの推測もあります。
もっとも、ドラマがどれだけ奇跡のような視聴率を叩き出したとしても、それが即座に漫画本編の続編に直結するわけではない世界の厳しさを再認識させる事例でもあります。
物語の魅力をより深く掘り下げる
ニコとロボの相互作用
「セクシーボイス&ロボ」の最大の特徴は、14歳の少女と25歳の青年がコンビを組むというアンバランスな設定。
年齢が離れているだけでなく、ニコは声色を使った頭脳派(?)、ロボはロマンチストでお調子者という絶妙な組み合わせ。
読者はどちらにも感情移入しつつ
「この二人、ちゃんと事件を解決できるのか?」
とハラハラできる構造です。
ニコが大人びた発言をしたかと思えば、ロボがとぼけた返しをする…
そうしたチグハグ感が、本作のコメディ感を担い、かつ社会の暗部を垣間見せるエッセンスともなっています。
社会的テーマと裏社会の描写
一話完結とはいえ、各エピソードには社会問題や人間の欲望がちらちらと見え隠れします。
たとえば依頼人が抱える心の闇、ニコが電話越しに得る情報から見えてくる大人たちの本音など。
「こんな闇は“声を操れる”という特殊スキルがあっても解決できないのでは…?」
という問いを投げかける場面もあり、それが物語に深みを与える要因です。
また、メッセージ性が露骨に主張されるわけではなく、あくまでクールにシニカルに、そして淡々と描かれるのが「セクシーボイス&ロボ」らしさ。
重いテーマもあくまでサラリと扱われるため、読者としては
「スルッと読めるが、何か刺さるものがある」
という不思議な感覚を味わえます。
一話完結から長編ストーリーへの萌芽
第1巻のエピソードはわりとライトな仕上がりで、読者を“セクシーボイス&ロボ”の世界へ入門させるステップ。
しかし、第2巻では徐々に長編ストーリー化を匂わせる伏線が張られ、ニコとロボの人間関係も深化しかけたところで未完となります。
未完だからこそ、読者は
「え、この伏線どうなるの!?」
「ニコの能力はどんな結末を迎えるの?」
とモヤモヤし、想像力を掻き立てられるわけですね。
ある種、それが名作たる由縁でもあるのです。
文化庁メディア芸術祭 大賞の重みなぜ評価が高い?
「セクシーボイス&ロボ」は、2002年に堂々たる大賞を受賞しています。
文化庁メディア芸術祭は、その年に最も優れた作品に贈られる格調高い賞。
こうした公的な賞をゲットしたあとに連載が中断する事例は、正直なところレアです。
大賞を受賞した理由には、以下のような要素が挙げられます。
- 独特の設定と筆致:黒田硫黄のコマ割りや台詞まわしが異彩を放っていた
- キャラクターの魅力:14歳と25歳の凸凹コンビが織りなす化学反応
- 社会問題を内包:一見ギャグ風の短編に、現代社会の闇や人々の孤独感が滲んでいる
こうして一躍注目を浴びたものの、時代の波や作者の体調、出版事情が重なって連載がストップ。
そうなれば、
「大賞受賞の傑作が未完だなんて…どういうことだ!?」
とファンはさらに作品にロマンを見出し、熱狂する流れになるのです。
つまり、
“大賞なのに途中で終わってる”
というレア感が、作品の神秘性を増幅させる効果を持っているわけです。
未完が醸し出す神秘性と読者心理
未完作品が人を惹きつける理由
世の中には未完であっても多くの読者を惹きつける名作が存在します。
「セクシーボイス&ロボ」はその好例で、
「終わっていないからこそ、なおさら読者の記憶に強く刻まれる」
という一面を担います。
どうしても、人間の脳は
未完=結末を知りたい
という欲求を抱きやすいらしく、一部では“ツァイガルニク効果”なんて心理効果もあると言われます。
とりわけ本作では、ニコとロボが持つポテンシャルや伏線がかなり魅力的に提示されているため、読者は
「これを最後まで見られないなんて…」
とさらに執着を強めるわけです。
二次創作や考察の盛り上がり
未完ゆえに公式での完結がないと、ファンのほうで勝手に
「こんな展開を予想する」
「いや、ニコは実は○○なのでは?」
といった考察を楽しみやすくなります。
ネット上では妄想二次創作がゆる~く展開されており、それもまた作品の寿命を延ばす一因。
終わりがないからこそ、読者同士が「伝言ゲーム」のように想像のバトンを繋いで盛り上がる――これは“未完”という状態自体が作り出す特殊な魅力と言えるのかもしれません。
アニメ化や映画化の可能性
ドラマ化の実績はあるものの、アニメ版や映画化の話は今のところ表立って存在しません。
しかし、もしアニメ化が実現したら、ニコの“声を使った詐術”はビジュアルや音響面で映えるのではないか…
という意見は根強くあります。
アニメ化によって再注目され、続編が動き出すというパターンも他作品で散見されます(たとえば長期休載作品がアニメ化を機に連載再開…など)。
とはいえ、何の動きも出ていない今はあくまで期待や妄想レベルの話。
万が一実現すれば、本作のファンにとっては狂喜乱舞の大事件でしょう。
情報まとめと今後の展望
最新刊は2016年刊行の第2巻
現状、“最新刊”と呼べるのは、2016年に講談社から発売された第2巻のみ。
小学館版の絶版状態を経て、講談社版として再編集・復刊された形です。
新しく追加された短編があるものの、完結までは遠く、未完という点は変わりません。
公式の続編発表はない
作者から明確な続編情報も、出版社からの企画発表も一切ないため、ファンの希望は宙ぶらりん。
2007年ごろにあった
「いつか続きを描きたい」
という作者のコメントを頼りに生きている…というのが実情です。
ドラマ版はカルト的評価
ドラマは視聴率的に苦戦しましたが、DVDや海外ファンの支持もあり、独特の存在感を放っています。
とはいえドラマが終わって久しい現在、映像面での“次”の動きは何もありません。
高い芸術性と未完の神秘
大賞受賞のインパクトは大きく、作品内容そのものも秀逸。
「途中までですでに神がかっているのだから、続きが出たら一体どうなるんだ…?」
という期待が膨らむ一方、著者や出版社の状況が不透明なので、ファンは長いこと成仏できずにいます。
ファンコミュニティの声
SNS上などでは今でも不定期に話題になり、
「ああ、結局続きは読めていないのか」
と嘆く人が後を絶たず。
一方で
「未完だから燃える」
という逆説的な楽しみ方をしている層も見られます。
クラウドファンディングや署名運動などに発展すれば、動きがある可能性はゼロではありませんが、現時点で大規模な動きは確認されていません。
作品を最大限に楽しむには
まずは第1巻&第2巻を手に取ろう
講談社版の復刊は紙質も良く、表紙イラストも新規描き下ろしなので、物理本を触るだけで
「おお、この質感」
と楽しめます。
特に第2巻の追加短編「A Space Odyssey」は、作者が当時どういう心境で描いたのか思いをはせるだけでご飯3杯いけるほどの神秘的なインパクト。
未完だとはいえ、収録エピソードはどれも読み応えがあり、独特の満足感が得られます。
「最後まで書いてくれなきゃ嫌!」
という人もいるでしょうが、途中まででも“とんでもないキャラクターやシーンに出会える作品”って貴重だと思いませんか?
ドラマ版で比較してみる
原作を読んだ後、2007年ドラマのDVDや配信サービスを視聴し、登場人物の違いや演出を見比べるのも面白い手段です。
特に松山ケンイチが演じるロボのオタクっぷりには、
原作より人間味のあるオタク
として好評な面があり、
「こんな二人ならリアルでも仲良くやっていけるんじゃないか?」
と思わせる絶妙な距離感が楽しめます。
未放映となった第7話がDVDに収録されている点も話題。
なんだか“幻のエピソード”って聞くだけでワクワクしません? もし視聴できる環境があるなら、時間を見つけてチェックしてみるのも一興です。
黒田硫黄の他作品にも触れる
作者はほかに『茄子』や『大日本天狗党絵詞』などで知られ、どれも独特の筆致や世界観を持っています。
『茄子』はアニメ映画化され、宮崎駿監督らからも高い評価を受けた作品。
黒田硫黄の作家性を理解していくと、「セクシーボイス&ロボ」で展開しかけたテーマが見えてくるかもしれません。
未完の一歩先を“超論理的思考”で推測してみる
ここからは超論理的な視点を発揮して、「セクシーボイス&ロボ」の続編をあり得そうな方向で大胆推測してみます。
もちろん根拠は薄い妄想ですが、そこはご容赦を。
- ドラマ版設定を逆輸入してマキ(老婆)を登場させる
原作では老人が指令役として登場しますが、ドラマ版のマキは視聴者に強い印象を与えたキャラクター。
もしかすると、続編では謎の老婆として登場し、ニコとロボを新たなミッションへ送り込む可能性が。 - ニコの声を使った本格的なスパイ劇
14歳という年齢を超え、物語が続くならニコも成長するはず。
彼女がさらに声を極めて、情報機関のような場所で暗躍するとか…
恐ろしく魅力的な展開になりそうです。 - ロボの“オタク性”が世界を救う展開
ロボが持ち前のロボット知識やコレクター精神で、世界的な陰謀を食い止めちゃうとか。
ニコが声で核心を引き出し、ロボがオタク目線でテクノロジーを突破する…
そんな第3巻を読みたい人は多いのでは。
無論、これらは作品世界の“可能性”をフルスロットルで妄想しただけですが、未完作品ならではの自由度の高さを感じます。
実際、作者は短編「A Space Odyssey」で読者の想像力をかき立てる手法を見せたわけで、もし続編が実現するならさらに奇天烈なアプローチが飛び出すかもしれません。
セクシーボイス&ロボは“未完”という深みを纏う名作結論
最終的に、「セクシーボイス&ロボ」の最新刊は2016年刊行の第2巻に留まり、物語は未完のままです。
ただし、そこに至るまでに
文化庁メディア芸術祭大賞やドラマ化
など、ビッグな実績を積み上げてきました。
名作と評される理由は、その筆致や演出、キャラクターがあまりにも独特で、読者の心に深い印象を残すからです。
そして何より、“未完”であることがファンの想像力を無限に解き放ち、作品の神秘性を際立たせる要因にもなっています。
「次が出るなら即買いしたい」
と思いながらも叶わぬまま年月が過ぎ、しかし読者の心にはずっと引っかかり続ける。
まさに“伝説”と呼ぶにふさわしい存在感を持つ漫画です。
まだ読んでいない方へ
- 第1巻・第2巻(講談社版)を入手
新装版はカバーや描き下ろし短編が充実しており、紙の質も◎。電子書籍でも手軽に読めますが、紙媒体のほうがより“コレクションしている喜び”を味わいやすいかもしれません。 - ニコとロボの掛け合いに注目
軽妙な一話完結から、徐々に物語が暗い部分へ踏み込む中で変化する二人の距離感や心理描写を追うと、より作品の深みを堪能できます。 - ドラマ版もぜひ視聴
原作とは別物と割り切りながら見ると、松山ケンイチのロボと大後寿々花のニコが心地よい化学反応を生み出しています。
第7話がDVD収録だけというレア度も見逃せない。
既に読んでいる方へ
- 再読して新たな伏線を発見
特に第2巻は物語がダークに傾きつつあるため、一度読んだだけでは見えないディテールを見つけられるかもしれません。 - ファン同士で語り合う
続編が出ないなら、読者同士で妄想を膨らませるのも一興です。
「もし第3巻が出たら、ニコは○○になっているのでは?」
「ロボは実は○○するはずだったのでは?」
など、コメント欄やSNSで意見を交換すると、新たな見方が広がります。
超俯瞰的最終まとめ
「セクシーボイス&ロボ」は、
2002年の文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞
という輝かしい評価を得ていながら、
2007年のドラマ化で爆発的ブームになることもなく、そして2016年に講談社版で復刊されたものの続編が出ないまま
という、稀有な軌跡をたどってきました。
一見すると
「なんで未完なんだ?」
とツッコミたくなるこの事態こそ、本作のステータスともいえます。
変幻自在の声を操るニコ、ロボット好きでポンコツ気味のロボ、そして二人が踏み込む裏社会や社会問題のリアル。
さらにはドラマ版での大幅脚色、放送中止となった第7話の存在…。
どこを切っても
「なんだか独特すぎる」
という要素がテンコ盛りで、気づけばどっぷり虜になってしまう魅惑があるのです。
現状で続編に関する具体的な情報は全く出ておらず、
“来るかもしれないし来ないかもしれない”
という半ばブラックホールのような可能性が漂っています。
でも、それこそが「セクシーボイス&ロボ」の真骨頂。
読者に余白を与え、いつまでも妄想と愛をかき立てて止まない、その未完ぶりが大勢のファンを離さないのです。
いつの日か、黒田硫黄が再び筆を取り、ニコとロボの“伝言ゲーム”の行方が描かれる瞬間が来るのか…あるいは永遠に続きを読めないまま神話化していくのか…。
いずれにしても、この作品はすでに未完という枠を超えて、多くの読者の心の中で完結したかのような存在感を持っています。
作品そのものをまだ知らない方は、「未完の名作」と言われるその世界にあえて飛び込んでみる価値が大いにあるはず。
もし読み終わったあと、
“どうしてこれが終わらないんだ~!”
と床を転げまわりたくなるなら、あなたも立派な「セクシーボイス&ロボ」信者の仲間入りです。
未完には未完の楽しさがある。
そんな稀有な魅力を存分に放つ本作、ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。
そして、いつかこの物語の結末が明らかになる日を、読者同士で静かに、あるいは情熱的に、待ち続けるのも粋なファンライフの在り方と言えるでしょう。
声を操る少女と、ロボットを愛する青年の凸凹コンビが再び帰ってくることを夢見つつ。
そう、物語の“伝言ゲーム”は本当にどこまでも続くかもしれないのです。
あなたの頭の中で、あるいはSNSのコミュニティで、終わりなき想像を繋いでいきましょう。
きっと、そこにしかない「セクシーボイス&ロボ」の世界の続きが息づいています。