広告 その他

WindowsでClaudeCode(MCP)を動かす方法【ClaudeDeskTop】

2025年4月現在、AIによる開発支援は新たな次元へ。

あなたのWindows PC上で、まるで経験豊富なエンジニアが隣に座っているかのように、AIがローカルのコードを直接読み書きし、テストを実行し、Git操作まで手伝ってくれるとしたら?

そんな未来の開発スタイルが、Anthropic社の「Claude Desktop」と「Claude Code」の連携によって、ついに現実のものとなりました。

Webブラウザ版のAIアシスタントでは難しかった、ローカル開発環境とのシームレスな統合。

特にWindowsユーザーにとっては、環境構築のハードルが高いと感じられていたかもしれません。

しかし、この記事で紹介する

「MCPサーバ」という仕組みと、「Windows Subsystem for Linux (WSL)」という強力なツール

を活用すれば、その壁は確実に乗り越えられます。

本ガイドは、Windows環境でClaude CodeをMCPサーバとしてセットアップし、Claude Desktopと連携させるための全手順を、最新情報(2025年4月時点)に基づき、可能な限り詳細かつ網羅的に解説します。

必要な前提知識の解説から、WSLを用いた安定した環境構築、具体的な接続設定、遭遇しやすい問題とその解決策を詳述したトラブルシューティング、そしてAIペアプログラマーとしてのClaude Codeを最大限に活用するための実践的なテクニックまで、この記事一本で完結できるよう構成しました。

設定には多少のステップが必要ですが、その先には、コーディング、デバッグ、リファクタリング、さらには設計相談まで、AIと対話しながら進められる革新的な開発体験が待っています。

開発の生産性を飛躍的に向上させ、より創造的な作業に集中するための第一歩を、ここから踏み出しましょう。

スポンサーリンク

その核心に迫るなぜ今、Claude Desktop + Claude Code連携なのか?

この連携がなぜこれほど注目され、開発者のワークフローを変革する可能性を秘めているのか。

その理由を理解するために、まずは構成要素となる技術と、それらがもたらす価値について深く掘り下げていきましょう。

Claude DesktopあなたのデスクトップにAIアシスタントを

Claude Desktopは、Anthropic社が提供する、WindowsおよびmacOS向けの公式デスクトップアプリケーションです。

Webブラウザを介さずに、ネイティブアプリとしてPC上で直接Claudeと対話できるため、以下のようなメリットがあります。

  • ワークフローへの統合:
    ブラウザのタブを探す手間なく、必要な時にすぐにClaudeを呼び出せます。
    これにより、思考の流れを中断することなく、AIのサポートを自然に組み込めます。
  • ファイル連携の容易さ:
    ローカルファイルのアップロードなどが、よりスムーズに行えます。
  • 集中できる環境:
    ブラウザの他のタブからの通知などに気を取られず、AIとの対話や開発作業に集中できます。
  • 機能拡張の基盤 (MCP):
    これが最も重要ですが、Claude Desktopは単なるチャットインターフェースではありません。
    後述するMCP (Model Context Protocol) をサポートすることで、ローカルで動作するツール(エージェント)と連携し、その機能を拡張するプラットフォームとしての役割を果たします。

2024年末のリリース以降、その利便性と拡張性から、多くの開発者や情報ワーカーにとって欠かせないツールとなりつつあります。

Claude Codeコーディングに特化した超強力AIエージェント

Claude Codeは、Anthropic社が開発を進めている、

コーディングタスクに特化

したAIエージェントです(2025年4月現在、ベータ版として提供中)。

その能力は、単にコード片を生成するレベルを遥かに超えています。

ターミナル上で動作し、指定されたプロジェクトの

コードベース全体を文脈として理解

した上で、自然言語による指示に基づき、以下のような驚くほど多様な開発作業を実行できます。

  • 高度なコード生成・編集:
    新規ファイルや関数の作成、複雑なアルゴリズムの実装、既存コードのバグ修正、パフォーマンス改善、セキュリティ脆弱性の修正、モダンな書き方へのリファクタリングなど。
  • インテリジェントなテスト支援:
    プロジェクト内のテスト(ユニットテスト、結合テストなど)を実行し、失敗したテストケースの原因を特定、修正案を提示し、場合によっては自動修正まで試みます。
  • プロジェクト全体の理解とナビゲーション:
    コードベース内での特定のクラス、関数、変数の定義箇所や使用箇所を高速に検索・特定(Ripgrep連携)。
    複雑なコードの依存関係を分析し、処理フローを説明することも可能です。
  • 定型作業の自動化:
    ビルドプロセス、リンター/フォーマッターの実行、依存関係の更新といった、開発中に頻繁に行われるコマンドライン操作を代行します。
  • バージョン管理 (Git) との連携:
    コードのステージング、コミット、ブランチ操作(作成、切り替え、マージ)、リモートリポジトリとの同期(push/pull)など、基本的なGit操作を対話的に実行します。

まさに、あなたの指示を正確に理解し、実際に手を動かして開発作業を進めてくれる、頼れる「AIコーディングアシスタント」であり、「AIペアプログラマー」なのです。

ベータ版であるため、機能や精度は日々進化しており、今後の発展が大いに期待されます。

MCP (Model Context Protocol)AIとローカルツールを繋ぐ架け橋

この魔法のような連携を実現する核心技術が、Anthropic社が提唱する MCP (Model Context Protocol) です。

これを理解することが、今回の設定の意義を掴む上で非常に重要です。

  • MCPとは何か?:
    MCPは、Claudeのような大規模言語モデル (LLM) と、Claude Codeのような外部ツール(エージェントやローカルアプリケーション)が、安全かつ効率的に情報を交換し、相互に機能を呼び出し合うための標準的な「通信規約」 です。
    例えるなら、異なる言語を話す二人が、共通の通訳者を介して会話するようなイメージ、あるいは、スマートフォンのOSが、様々なアプリ(カメラ、GPS、ファイルシステムなど)と連携するためのAPI(Application Programming Interface)を提供するようなものと考えると分かりやすいかもしれません。
  • なぜMCPが必要か?:
    • セキュリティ:
      ローカルファイルへのアクセスやコマンド実行は潜在的なリスクを伴います。
      MCPは、どのような操作が許可され、どのような情報が交換されるかを定義し、ユーザーによる制御(許可プロンプトなど)を組み込むことで、安全性を確保する枠組みを提供します。
    • 標準化:
      各ツールが独自の方法で連携しようとすると、組み合わせが複雑になり、互換性の問題が発生しやすくなります。
      MCPという共通規格があることで、多様なツールがClaude Desktopのようなプラットフォームと容易に連携できるようになります。
    • 機能拡張性:
      Claude Desktopは、MCPに対応したツール(MCPサーバ)を動的に検出し、その機能を「プラグイン」のように利用できます。
      これにより、Claude本体の能力を超えた、特定のタスク(コーディング、データ分析、システム操作など)を実行できるようになります。
  • Claude DesktopとClaude CodeにおけるMCP:
    1. Claude Desktopは起動時に、設定ファイル (claude_desktop_config.json) に記述されたMCPサーバ(今回の場合はClaude Code)をローカルで起動しようと試みます。
    2. ユーザーがClaude Desktopで「この関数のテストを書いて実行して」のような指示を出すと、Claudeモデルがそれを解釈し、「これは claude_code ツールに実行させるべきタスクだ」と判断します。
    3. Claude Desktopは、MCPを通じて、具体的な指示(テストコード生成、テストコマンド実行など)をローカルで動作しているClaude Codeサーバに送信します。
    4. Claude Codeサーバは指示を受け取り、ローカル環境で実際の処理(ファイル書き込み、コマンド実行)を行います。
    5. 処理結果(テスト結果など)は再びMCPを通じてClaude Desktopに返され、最終的にClaudeモデルが整形した応答がユーザーに表示されます。

このように、MCPはClaudeの知能とローカルツールの実行能力を結びつける、非常に重要な役割を担っているのです。

再確認この連携がもたらす具体的なメリット

これらの技術要素が組み合わさることで、開発者は以下のような計り知れないメリットを享受できます。

  1. 真のローカル開発環境連携:
    Web版では不可能だった、ローカルPC上のプロジェクトファイルに対する直接的な読み書き、ローカルコマンドの実行が、AIとの対話を通じて可能になります。
  2. コンテキストスイッチの劇的な削減:
    エディタ、ターミナル、ブラウザ、バージョン管理ツール…
    これまで複数のツール間を行き来していた作業の多くが、Claude Desktop上で完結する可能性があります。
    これにより、集中力が維持され、開発の効率が飛躍的に向上します。
  3. プロジェクト文脈を踏まえた高度な支援:
    Claude Codeはプロジェクト全体のコードを理解しようとするため、単なる構文補完を超え、より的確で、設計思想に沿ったコード生成、リファクタリング提案、バグ修正が期待できます。
  4. 新しい開発スタイルの実現:
    AIとペアプログラミングするように、設計について議論し、コーディングを依頼し、レビューを求め、テストを実行させる…
    これまでSFの世界だったような開発スタイルが、現実のものとなります。

2025年4月現在、この連携はまだ発展途上ではありますが、既に多くの開発者がその可能性を実感し始めています。

始動準備完璧なセットアップのためのチェックリスト

この革新的な環境を手に入れるために、まずは必要なソフトウェアとツールを確実に準備しましょう。

不足があると後々のトラブルの原因となります。

OSとアカウント、そして主役アプリ必須環境

  • 対応OS:
    • Windows 10 または Windows 11 (64bit版のみ) が必須です。
      ARM版Windowsについては、WSLの互換性も含め、現時点では動作保証が難しい場合があります。
      OSは最新のService Packおよびセキュリティアップデートが適用されている状態が望ましいです。
  • Anthropicアカウント:
    • Claude DesktopおよびClaude Codeの利用には、Anthropicのアカウントが不可欠です。
      Claude.ai 公式サイト からサインアップしてください。
    • Proプランへの加入を強く推奨:
      無料プランでも基本的な利用は可能ですが、Claude Code連携の真価を発揮するには、より多くのメッセージ送信枠、大きなファイルアップロード容量、そして何よりも 広大なコンテキストウィンドウ が必要です。
      複雑なコードベースを扱わせる場合、コンテキストウィンドウのサイズ(AIが一度に記憶・処理できる情報量)がAIの応答品質に直接影響します。
      Proプランはこの制限を大幅に緩和します。
    • 課金について (2025年4月時点):
      現在、Claude Desktop経由でのMCPツール利用(Claude Code含む)は、Proプランの範囲内で追加費用なしに利用できるようです。
      ただし、これはベータ期間中の措置である可能性もあり、
      将来的にClaude Code自体のAPI利用量に応じた課金体系が導入される可能性も否定できません。
      常に公式サイトで最新の料金体系や利用規約を確認するようにしてください。
  • Claude Desktop アプリケーション:
    • Anthropic公式サイトのClaude Desktopページ から、最新版のWindows用インストーラー (.exeまたは.msi) をダウンロードし、インストールします。
    • インストール後、アプリを起動し、ご自身のAnthropicアカウントでサインインを完了させてください。
    • 最重要!最新バージョンへのアップデート確認:
      アプリ起動後、左上のメニュー「≡」> ヘルプ > アップデートを確認... を必ず実行し、利用可能な最新バージョンにアップデートしてください。
      MCP機能は比較的新しく、頻繁に改善やバグ修正が行われているため、古いバージョンでは正常に動作しない、あるいは予期せぬ問題が発生する可能性が非常に高いです。

コーディング支援のための開発ツール群

Claude Codeがその能力を最大限に発揮するために、以下の開発ツールが必要です。

これらは後述するWSL環境内にインストールするのが最も安定しますが、それぞれの役割を理解しておきましょう。

  • Node.js (v18以降必須) と npm:
    • 役割:
      Claude Codeのコマンドラインインターフェース (CLI) ツールは、Node.js というJavaScript実行環境上で動作するように作られています。
      npm (Node Package Manager) は、そのNode.jsのエコシステムで広く使われているパッケージ管理ツールで、Claude Code CLI自体や、それが依存するライブラリをインターネットからダウンロードし、インストール・管理するために使用されます。
    • バージョン要件:
      Claude Codeは比較的新しいNode.jsの機能を要求するため、バージョン18 (LTS) 以上が必須です。
      これより古いバージョンでは動作しません。
    • 確認方法:
      ターミナルで node -vnpm -v を実行してバージョンを確認します。
    • 推奨インストール方法 (WSL内):
      後述するnvm (Node Version Manager) を使う方法が、バージョンの管理や切り替えが容易なため強く推奨されます。
  • Git:
    • 役割: 現代のソフトウェア開発に不可欠な分散バージョン管理システムです。
      Claude Codeは、ユーザーの指示に応じて git add, git commit, git push, git checkout などのGitコマンドを実行する機能を持っています。
      これにより、AIとの対話を通じてコードの変更履歴を管理したり、リモートリポジトリ(GitHub, GitLabなど)と連携したりできます。
    • 必要性:
      プロジェクトでGitを使用していない場合や、Claude CodeのGit連携機能を利用しない場合は必須ではありません。
      しかし、ほとんどの開発プロジェクトでGitは標準的に使われているため、インストールしておくことを推奨します。
    • 確認方法:
      ターミナルで git --version を実行します。
    • 推奨インストール方法 (WSL内):
      sudo apt install git
      コマンドで簡単にインストールできます。
  • Ripgrep (rgコマンド):
    • 役割:
      rg というコマンド名で知られる、非常に高速なテキスト検索ツールです。
      主にソースコードのようなテキストファイルの中から、正規表現などを使って特定のパターンを持つ行を効率的に検索するために使われます。
    • Claude Codeとの連携:
      Claude Codeは、プロジェクト内でのコード検索タスク(例:「DatabaseConnectionクラスを使っているファイルを全て見つけて」)を実行する際に、もしRipgrepがシステムにインストールされていれば、内部的に rg コマンドを利用して高速な検索を実行します。
      Ripgrepがない場合でも代替手段で検索を試みますが、特に大規模なコードベースでは、
      Ripgrepがある方が応答速度が大幅に向上します。
    • 必要性:
      必須ではありませんが、Claude Codeのコード検索・分析機能を快適に利用したい場合は、強く推奨されます。
    • 確認方法:
      ターミナルで rg --version を実行します。
    • 推奨インストール方法 (WSL内):
      sudo apt install ripgrep コマンドで簡単にインストールできます。

最重要ポイント【強く推奨】Windows Subsystem for Linux (WSL) の活用

WindowsユーザーがClaude Code連携をスムーズかつ安定して実現するための鍵となるのが、WSL (Windows Subsystem for Linux) の利用です。

WSLとは?

Microsoftが提供する、Windows上でLinuxのバイナリ実行ファイルをネイティブに実行するための互換レイヤーおよび仮想化技術です。

これにより、Windowsを使いながら、ほぼ完全なLinux環境(Ubuntu, Debianなど)を同時に利用できます。

特にWSL 2は、完全なLinuxカーネルを軽量な仮想マシン上で実行するため、高いパフォーマンスと互換性を実現しています。

2025年4月時点なぜWSLを強く推奨するのか

  1. 開発・テスト環境の整合性:
    Claude Codeは、主にLinuxおよびmacOS環境をターゲットとして開発・テストが進められています。
    WSLを使用することで、これらの推奨環境に限りなく近い状態でClaude Codeを実行でき、
    予期せぬ互換性の問題やOS固有のバグに遭遇するリスクを大幅に低減できます。
  2. ツール導入と依存関係管理の容易さ:
    Node.js (特にnvm経由)、Git、Ripgrepといった必要な開発ツールは、Linuxの標準的なパッケージマネージャー(Ubuntuならapt)やコミュニティで確立された方法(nvmのインストールスクリプトなど)を使って、
    非常に簡単かつ確実にインストール・管理できます。
    Windowsネイティブ環境でこれらのツールを個別にセットアップし、パスを通す手間や潜在的な問題を回避できます。
  3. コミュニティの知見と情報量:
    Linux環境での開発に関する情報は、Web上に圧倒的に豊富に存在します。
    もしWSL上で何か問題が発生した場合でも、
    解決策やヒントを見つけやすいです。
  4. 公式ドキュメントや将来性との整合:
    Anthropicの公式ドキュメントや今後のアップデートも、引き続きLinux/macOS環境が先行する可能性が高いと考えられます。
    WSL環境を用意しておくことで、
    最新の機能や改善に追従しやすくなります。
  5. Windowsネイティブ版の現状:
    2025年4月現在、Claude CodeのWindowsネイティブサポートはまだ実験的な段階であり、安定性や機能面でLinux/Mac版に劣る可能性があります。
    WSLは、このギャップを埋めるための現時点で最も現実的かつ推奨されるソリューションです。

WSLを使わない場合の潜在的な困難

Windowsに直接Node.js等をインストールして挑戦することも不可能ではありませんが、以下のような壁にぶつかる可能性が高いことを覚悟する必要があります。

  • 複雑怪奇なPATH設定:
    ツール間の連携やコマンドの実行時に、実行ファイルの場所を示すPATH環境変数が正しく認識されず、command not found エラーに悩まされる。
  • シェルスクリプトの互換性:
    Claude Codeが内部的に利用しているシェルスクリプトなどが、Windowsのコマンドプロンプト(cmd)やPowerShellでは意図通りに動作しない。
  • 依存ライブラリのOS依存:
    Node.jsのネイティブアドオンなど、OS固有のビルドが必要な依存ライブラリがWindows環境で正しくインストール・動作しない。
  • デバッグの困難さ:
    問題が発生した際に、それがWindows環境固有の問題なのか、ツールのバグなのか、設定ミスなのかを切り分けるのが非常に難しく、解決に多大な時間を要する。

これらの理由から、特別な事情がない限り、本ガイドに従ってWSL 2上にUbuntu環境を構築し、その中で作業を進めることを強く、強く推奨します。

WSLのセットアップ自体は、最近のWindowsでは非常に簡単になっています。

ステップ1:鉄壁の基盤構築WSL 環境とツールのセットアップ

推奨されるWSL環境を構築し、Claude Codeが最高のパフォーマンスを発揮するための土台を築きましょう。

ここでの作業は主にWSL (Ubuntu) のターミナル内で行います。

WSL 2 と Ubuntu の導入

1. WSLが未導入の場合(初めてWSLを使う方):

  • 管理者権限で「Windows PowerShell」または「ターミナル」を開きます。(スタートメニューを右クリック > 「ターミナル (管理者)」または「PowerShell (管理者)」を選択)
  • 以下のコマンドを1行だけ実行します。これにより、WSL機能の有効化、最新のWSLカーネルのダウンロード、そしてデフォルトのLinuxディストリビューションであるUbuntuのインストールが自動的に行われます。
    wsl --install
  • プロセスの途中で、PCの再起動が要求される場合があります。
    メッセージに従って再起動してください。
  • 再起動後、Ubuntuのセットアップが自動的に開始されることがあります。
    もし開始されない場合は、スタートメニューから「Ubuntu」を探して起動してください。
  • 初回起動時に、Linux環境で使用する新しいユーザー名とパスワードの設定を求められます。
    これはWindowsのログイン情報とは完全に独立したものです。
    忘れないように安全に記録してください。
    パスワード入力時は画面に文字が表示されませんが、正しく入力されています。
  • ユーザー名とパスワードの設定が完了すると、ユーザー名@コンピューター名:~$ のようなプロンプトが表示され、Ubuntuのターミナルが利用可能になります。

2. WSLが既に導入済みの場合:

  • WSLのバージョンを確認します。
    PowerShellまたはコマンドプロンプトで以下を実行します。

    wsl -l -v
  • 出力結果の NAME 列に Ubuntu (または利用したいディストリビューション名) があり、その行の VERSION 列が 2 になっていることを確認してください。
    もし 1 であれば、パフォーマンスと互換性の観点からWSL 2へのアップデートを強く推奨します(Microsoft公式WSLドキュメントを参照してアップグレードしてください)。
  • STATEStopped の場合は、wsl -d Ubuntu (Ubuntuの部分は実際のディストリビューション名に置き換える) コマンドで起動できます。

3. (推奨) Windows Terminalの導入:

  • Microsoft Storeから無料でインストールできる「Windows Terminal」を使うと、タブ機能でPowerShell、コマンドプロンプト、そしてインストールした複数のWSLディストリビューション (Ubuntuなど) のターミナルを切り替えてシームレスに利用でき、作業効率が格段に向上します。
    まだ使っていない場合は、この機会にぜひ導入を検討してください。

WSL (Ubuntu) 内での必須開発ツールの整備

ここからのコマンドは、WSL (Ubuntu) のターミナル内で実行します。

Windows Terminalを使っている場合は、タブの「▼」から「Ubuntu」を選択するか、スタートメニューから「Ubuntu」アプリを起動してください。

1. システムの最新化 (お作法):

  • まず、Ubuntuのパッケージ管理システム (apt) が持つソフトウェアリストを最新にし、インストール済みのパッケージも全て最新版に更新します。
    これは新しいソフトウェアをインストールする前の重要な準備です。

    sudo apt update && sudo apt full-upgrade -y
    • sudo: 管理者権限でコマンドを実行します。初回実行時やしばらくぶりに実行する際に、先ほど設定したUbuntuのユーザーパスワードの入力を求められます。
    • apt update: 利用可能なパッケージのリストを更新します。
    • apt full-upgrade -y: インストール済みパッケージを最新版にアップグレードします。依存関係の変更も含めて処理するため upgrade より推奨されます。-y は途中の確認に自動でYesと答えるオプションです。

2. Git と Ripgrep のインストール:

  • apt を使って、GitとRipgrepをインストールします。
    sudo apt install -y git ripgrep
  • インストール確認:
    git --version
    rg --version

    それぞれのバージョン番号が表示されればOKです。

3. Node.js (v18+) と npm のインストール (nvm経由がベストプラクティス):

  • nvm (Node Version Manager) の導入:
    Node.jsのバージョンは頻繁に更新されるため、特定のバージョンを固定したり、複数のバージョンを切り替えたりできる nvm を使うのが最も推奨される方法です。

    • nvmインストールスクリプトの実行:
      nvmの公式GitHubリポジトリ (https://github.com/nvm-sh/nvm) にアクセスし、READMEに記載されている最新のインストールコマンド(通常は curl または wget を使用)をコピーして、WSL(Ubuntu)ターミナルで実行します。
      必ず公式サイトで最新のコマンドを確認してください。
      以下は執筆時点での例です。

      # 例:curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/v0.40.2/install.sh | bash
      # 例:wget -qO- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/v0.40.2/install.sh | bash
      上記コマンドは古くなっている可能性があるため、必ず公式サイトを確認!
    • nvmの有効化:
      インストールスクリプトを実行した後、ターミナルを一度閉じて再度開くか、以下のコマンドを実行して現在のシェルセッションでnvmを有効化します。

      export NVM_DIR="$HOME/.nvm"
      [ -s "$NVM_DIR/nvm.sh" ] && \. "$NVM_DIR/nvm.sh" # This loads nvm
      [ -s "$NVM_DIR/bash_completion" ] && \. "$NVM_DIR/bash_completion" # This loads nvm bash_completion
    • nvmインストール確認:
      command -v nvm

      nvm と表示されれば、nvmが正しく認識されています。
      nvm --version でも確認できます。

    • Node.js (最新LTS版) のインストール: nvmを使って、推奨される最新のLTS (Long Term Support - 長期サポート) 版のNode.jsをインストールします。
      nvm install --lts

      これにより、v18以上の安定バージョンがインストールされ、同時に対応するバージョンのnpmもインストールされます。

    • インストールされたNode.jsの使用: インストールしたLTS版をデフォルトとして使用するように設定します。
      nvm use --lts
      nvm alias default lts/* # これで新しいターミナルを開いてもLTS版が使われる
    • Node.jsとnpmのバージョン確認:
      node -v
      npm -v

      node -v で v18.x.x 以上のバージョンが表示され、npm -v で対応するバージョンが表示されることを確認してください。

      これで、Node.js環境の準備は万全です。

Claude Code CLI のインストールと認証

いよいよ主役であるClaude Codeのコマンドラインツールをインストールします。

1. npm を使ったグローバルインストール:

  • nvmでNode.js環境を整えた後、npm を使って @anthropic-ai/claude-code パッケージをグローバルにインストールします。
    -g
    オプションは、このツールをシステム全体(ユーザーごと)で利用可能にし、どのディレクトリからでも claude コマンドを実行できるようにします。

    npm install -g @anthropic-ai/claude-code
    • sudo は不要:
      nvmを使用している場合、npmのグローバルインストール先は通常ユーザーのホームディレクトリ配下 (~/.nvm/versions/node/vXX.Y.Z/lib/node_modules) になり、sudo なしで書き込み権限があるため、sudo は付けずに実行してください。
      もし sudo apt install nodejs でNode.jsをインストールした場合は sudo npm install -g ... が必要になることがあります。

2. インストールとPATHの確認:

  • インストールが完了したら、claude コマンドが認識されるか確認します。
    claude --version
  • 0.2.x (Claude Code) のようなバージョン番号(バージョンは変動します)が表示されれば成功です。
  • もし claude: command not found と表示された場合:
    • ターミナルを再起動してみてください。
      nvmがPATHを更新するため、新しいシェルセッションで反映されることがあります。
    • command -v claude を実行して、コマンドのフルパスが表示されるか確認します。
      表示されない場合、npmのグローバルインストールパスが環境変数 PATH に含まれていない可能性があります。
      echo $PATH で確認し、nvmのパス (~/.nvm/versions/node/vXX.Y.Z/bin) が含まれているか確認してください。
      通常、nvmのインストールと source ~/.bashrc が正しく行われていれば自動で設定されます。

Anthropic アカウントとの連携認証

インストールしたClaude Code CLIが、あなたの代わりにAnthropicのAPIを利用できるように、アカウント認証を行う必要があります。

1. 認証開始コマンド:

  • WSL (Ubuntu) ターミナルで、シンプルに claude コマンドを実行します。
    claude

2. ブラウザでの認証プロセス:

  • ターミナルに、「認証のために以下のURLを開いてください」といったメッセージと共にURLが表示され、通常は自動的にWindowsのデフォルトWebブラウザが起動してそのURLが開かれます。
  • ブラウザ上でAnthropicのログイン画面が表示されるので、サインインします。
  • 次に、「Claude Code CLI」 (または類似の名称のアプリケーション) があなたのアカウント情報へのアクセスとAPI利用の許可を求める画面が表示されます。
    内容(アクセス権限の範囲など)を確認し、問題なければ「Authorize」または「許可」ボタンをクリックします。

3. 認証完了の確認:

  • ブラウザ上で認証成功のメッセージが表示されます。
  • 同時に、WSLターミナル側では「Authentication successful」のようなメッセージが表示され、Claude Codeの対話型インターフェース (> プロンプトが表示される状態) が起動します。
  • これでアカウント認証は完了し、必要な認証情報(トークン)がローカルの ~/.anthropic/ ディレクトリ配下に安全に保存されました。
    今後は claude コマンド実行時に自動で利用されます。
  • 対話型インターフェースは Ctrl+C を押すか、/exit と入力してEnterで終了できます。

最終関門:Windows から WSL 内の claude を呼び出すテスト

このステップは、Claude Desktop (Windows側) からWSL内のClaude Codeサーバを正しく起動できるかを確認するための非常に重要なテストです。

1. PowerShell からの実行テスト:

  • Windowsの「PowerShell」または「ターミナル」を開きます(WSLターミナルではありません)。
  • 以下のコマンドを正確に入力して実行します。
    wsl -e bash -l -ic "claude --version"
    • wsl: WSLコマンドを実行するためのWindows側のコマンド。
    • -e bash: WSL内のデフォルトシェルとしてBashを指定して実行します (--exec の短縮形)。
    • -l: ログインシェルとしてBashを起動します。
      これが重要で、.bash_profile.profile, .bashrc などが読み込まれ、nvmで設定したNode.jsのバージョンやPATHが正しく適用されることを保証します。
    • -i: インタラクティブシェルとして起動します(通常 -l とセットで使われます)。
    • -c "コマンド": 指定したコマンド (claude --version) を実行し、終了後にWSLセッションも閉じます。

2. 期待される出力:

  • WSLターミナルで claude --version を実行した時と全く同じバージョン情報 (例: 0.2.x (Claude Code)) が、PowerShellの画面に表示されれば、このテストは成功です。
    WindowsからWSL内の環境変数を引き継いだ状態で claude コマンドを実行できることが確認できました。

3. エラーが出た場合のチェックポイント:

  • WSL内で claude --version が正しく動作するか再確認。
  • nvmのセットアップ(特に nvm alias default lts/*)が正しく行われ、新しいターミナルセッションでもNode.jsのパスが通っているか確認。
  • 上記の wsl -e bash -l -ic ... コマンドの -l オプションを忘れていないか確認。
    これが無いとnvmの環境が読み込まれない可能性があります。

このテストが成功すれば、いよいよClaude Desktopとの接続設定に進む準備が整いました!

ステップ2:運命の接続Claude Desktop と Claude Code (MCPサーバ) の連携設定

WSL内に構築したClaude Code環境を、Claude Desktopアプリから「MCPサーバ」として認識させ、連携させるための設定を行います。

設定は claude_desktop_config.json というJSONファイルに記述します。

設定ファイルへのアクセス

  1. Claude Desktop の起動: まず、Claude Desktopアプリを起動してください。
  2. 設定画面へ移動: アプリ左上のメニューアイコン「≡」をクリックし、File > Settings を選択します。
  3. Developer 設定とファイル編集:
    • 左側のサイドバーから Developer タブを選びます。
    • Edit Config ボタンをクリックします。
    • OSのデフォルトテキストエディタ(メモ帳、VS Codeなど)で claude_desktop_config.json ファイルが開かれます。
    • ファイルの場所: この設定ファイルは、通常以下のパスに自動生成・保存されています。
      直接編集したい場合や見つからない場合は、このパスを確認してください。

      • Windows: %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
        エクスプローラーのアドレスバーに上記パスをコピー&ペーストしてEnterを押すと、簡単にフォルダを開けます。
        %APPDATA% は通常 C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming を指します。

最重要:設定ファイル (JSON) の編集 - WSL 連携設定

開いた claude_desktop_config.json を編集します。

JSON形式は非常に厳格なので、括弧 {} []、引用符 ""、コロン :、カンマ , の使い方を間違えないように、細心の注意を払って編集してください。

1. 基本的な設定内容:

  • ファイルが空、または mcpServers キーが存在しない場合は、以下の内容をそのままコピー&ペーストします。
    既に他の設定が存在する場合は、mcpServers オブジェクトの中に "claude_code": { ... } の部分を追加・修正します。
{
  "mcpServers": {
    "claude_code": {
      "command": "wsl",
      "args": [
        "-e", "bash", "-l", "-ic",
        "source ~/.nvm/nvm.sh && claude mcp serve"
      ],
      "env": {},
      "startupTimeoutSeconds": 60,
      "processCheckIntervalSeconds": 10
    }
  }
}

2. 各設定項目の詳細解説:

  • "mcpServers":
    (必須) 全てのMCPサーバ設定を格納する親オブジェクトです。
  • "claude_code":
    (必須) 登録するMCPサーバの一意な識別名です。
    この名前がDeveloper設定画面に表示されます。
    分かりやすい名前(claude_code, claude_code_wsl など)を推奨します。
  • "command":
    (必須) MCPサーバプロセスを起動するためのメインコマンド
    ここでは wsl を指定し、Windows Subsystem for Linux を呼び出します。
  • "args":
    (必須) "command" に渡す引数配列 (文字列のリスト) で指定します。

    • "-e", "bash":
      WSL内で実行するシェルとして bash を指定します。
    • "-l", "-ic":
      ログインシェル (-l) かつ インタラクティブ (-i) モードで、指定したコマンド (-c) を実行するようBashに指示します。
      -l がnvmなどの環境変数を正しく読み込むために非常に重要です。
    • "source ~/.nvm/nvm.sh && claude mcp serve":
      これがWSL内で実際に実行されるコマンドです。

      • source ~/.nvm/nvm.sh:
        nvmの初期化スクリプトを実行し、Node.jsのバージョンとパスを正しく設定します。
        nvmを使用している場合は、この部分を省略しないでください。
      • &&:
        左側のコマンド (source ...) が成功した場合にのみ、右側のコマンドを実行します。
      • claude mcp serve:
        Claude Code CLIをMCPサーバモードで起動します。
        これにより、Claude Desktopからの接続待ち受け状態になります。
  • "env":
    (オプション) MCPサーバプロセスに渡す追加の環境変数をキーと値のペアで指定します。
    通常、Claude Code連携では空 {} で問題ありません。
  • "startupTimeoutSeconds":
    (オプション) MCPサーバの起動を待つ最大時間(秒)。
    デフォルト値もありますが、WSLの起動やnvmの読み込みに時間がかかる場合を考慮し、少し長め(例: 60秒)に設定しておくと安心です。
  • "processCheckIntervalSeconds":
    (オプション) MCPサーバプロセスが生存しているか確認する間隔(秒)。
    デフォルト値で通常は問題ありません。

3. nvm を使っていない場合 (非推奨):

  • もしnvmを使わず、apt などでNode.jsを直接インストールし、claude コマンドへのパスがシステムのデフォルトで通っている場合は、args の最後の要素を "claude mcp serve" だけにシンプルにできるかもしれません。
    しかし、環境依存の問題が発生しやすいため、nvmの使用を強く推奨します。

4. JSON 構文チェック:

  • 編集後、JSONが正しい形式になっているか必ず確認してください。
    括弧の閉じ忘れ、カンマの付け忘れ・付けすぎ、引用符の閉じ忘れなどがよくあるミスです。
    VS Codeなどの高機能エディタを使っている場合は、構文エラーをハイライトしてくれます。
    オンラインのJSONバリデーター (https://jsonlint.com/ など) でチェックするのも有効です。

(参考) Windows ネイティブ実行の場合の設定 (非推奨)

WSLを使わない場合の設定例も示しますが、前述の通り、多くの困難が予想されるため推奨しません。

{
  "mcpServers": {
    "claude_code_native": {
      "command": "claude", // もしくは claude.cmd, powershell -Command claude など環境による
      "args": ["mcp", "serve"],
      "env": {},
      "startupTimeoutSeconds": 30
    }
  }
}

この設定が機能するには、claude (または claude.cmd等) へのPATHがWindowsのシステム環境変数で正しく設定されており、かつ依存関係の問題がないことが前提です。

最終確認:設定の反映と接続ステータスチェック

設定ファイルを正しく編集・保存したら、Claude Desktopにその変更を認識させ、接続が成功したかを確認します。

  1. 設定ファイルの保存: テキストエディタで claude_desktop_config.json ファイルを上書き保存します。
  2. Claude Desktop の完全な再起動 (必須):
    • 設定ファイルを読み込み直すには、アプリの完全な再起動が必要です。
    • 方法1: メニュー「≡」> File > Exit を選択。
    • 方法2: Windowsのタスクトレイ(通知領域、通常は画面右下)にあるClaude Desktopアイコンを右クリックし、「終了 (Exit / Quit)」を選択。
    • 注意: ウィンドウ右上の「×」ボタンで閉じるだけでは、バックグラウンドプロセスが残り、設定が再読み込みされない場合があります。
      必ず上記の方法で完全に終了させてください。
    • 完全に終了したら、再度スタートメニューやデスクトップショートカットからClaude Desktopアプリを起動します。
  3. 接続成功の確認 (Developer設定画面):
    • アプリが起動したら、再び File > Settings > Developer タブを開きます。
    • mcpServers の下に、設定ファイルで指定した識別名(例: claude_code)のサーバが表示されているはずです。
    • 成功の兆候: サーバ名の横にあるステータス表示に注目してください。
      • starting (起動中) → running (実行中) と表示が変われば、接続成功です!
        Claude DesktopがWSL内のClaude Codeサーバを正常に起動し、通信できる状態になりました。

  4. 接続成功の確認 (メインチャット画面):
      • 設定画面を閉じ、Claude Desktopのメインのチャット画面に戻ります。
      • 画面下部のチャット入力欄の右端に注目してください。
      • 成功のもう一つの兆候: そこに 🔨 (ハンマー) アイコン が表示され、マウスオーバーすると「1 MCP tool available (claude_code)」のようなツールチップが表示されれば、MCPツールがClaudeモデルから利用可能な状態になったことを示しています。

  5. もし running にならない場合: ステータスが stoppederror のまま、または running になってもハンマーアイコンが表示されない場合は、何らかの問題が発生しています。
    次の「トラブルシューティング」セクションに進み、原因を特定してください。
    特に mcp-server-claude_code.log の確認が重要です。

おめでとうございます!

これで、Claude DesktopからローカルのClaude Codeを呼び出し、AIペアプログラミングを開始するための設定が完了しました。

舞台裏を探る連携の仕組みとセキュリティの勘所

設定が完了し、魔法のようにAIがローカルで動き出す様子を目の当たりにする前に、この連携が内部でどのように機能しているのか、そして利用する上で最も注意すべきセキュリティについて、もう少し深く理解しておきましょう。

認証の謎解き:API キーはどこへ?

「APIキーを手動で設定していないのに、どうしてClaude Codeは私のAnthropicアカウントとして動作できるの?」

これは当然の疑問です。

  • OAuth 2.0 フローの活用:
    ステップ1で行った claude コマンド実行時のブラウザ認証は、OAuth 2.0 という業界標準の認証委譲プロトコルを利用しています。
    これにより、あなたはAnthropicに対し、
    「私がログインしているこのユーザーとして、Claude Code CLIというアプリケーションが、特定の権限(API利用など)の範囲内で動作することを許可します」
    と明示的に同意したことになります。
    パスワードそのものをアプリケーションに渡す必要はありません。
  • セキュアなトークン管理:
    認証が成功すると、Anthropicの認証サーバーは「アクセストークン」と「リフレッシュトークン」と呼ばれる一時的な資格情報を発行します。
    Claude Code CLIはこれらのトークンを、WSL環境内の安全な場所(通常は ~/.anthropic/ ディレクトリ以下、適切なパーミッションが設定されたファイル)に保存します。
  • 自動的なAPIアクセス:
    claude mcp serve で起動されたClaude Codeサーバは、リクエストに応じてAnthropicのAPIと通信する必要がある際、保存されているアクセストークンをHTTPヘッダーに含めて送信します。
    アクセストークンには有効期限がありますが、期限が切れた場合はリフレッシュトークンを使って新しいアクセストークンを自動的に再取得します。
  • 手動APIキー設定は不要(通常):
    このOAuthベースの仕組みにより、ユーザーが機密性の高いAPIキーをコピーして設定ファイルに貼り付けるといった、漏洩リスクの高い手作業は基本的に不要です。
    これはセキュリティ上、非常に大きなメリットです。
  • 例外ケース(ANTHROPIC_API_KEY 環境変数):
    もし何らかの理由で(例えばサービスアカウント用のキーなど)特定のAPIキーを強制的に使用したい場合は、WSL環境内で ANTHROPIC_API_KEY という環境変数を設定する方法があります(例: export ANTHROPIC_API_KEY='sk-...'.bashrc に追記)。
    しかし、これは公式に推奨される連携方法ではなく、APIキーの管理責任は完全にユーザー自身に委ねられます。
    通常の個人利用ではOAuth認証で十分かつ安全です。

連携の内部フロー:ユーザーの指示からローカル実行まで

あなたがClaude Desktopに指示を出してから、WSL上のClaude Codeが実際にローカルファイルを操作するまでの、目に見えない連携プロセスを追ってみましょう。

  1. 【ユーザー】指示入力:
    あなたがClaude Desktopに
    ./src/utils.py にある calculate_average 関数のドキュメント文字列をPEP 257に従って書いて」
    と入力します。
  2. 【Claude Desktop → Anthropic API】指示転送:
    入力された指示は、インターネット経由でAnthropicのサーバーに送られ、基盤となる大規模言語モデル(例: Claude 3.5 Sonnet)が処理します。
  3. 【Claudeモデル】解釈とツール選択:
    モデルは指示を解析し、
    「これは自然言語処理だけでなく、ローカルファイルの読み書きとPythonコードの知識が必要なタスクだ。登録されているMCPツールの中で claude_code がこの能力を持っている」
    と判断します。
    さらに、実行に必要な具体的な情報(対象ファイルパス、実行すべきアクション:ドキュメント生成)を抽出します。
  4. 【Anthropic API → Claude Desktop】ツール実行指示:
    モデルは、claude_code ツールに実行させるべき具体的な指示(JSON形式などで構造化されていることが多い)をClaude Desktopアプリに返します。
  5. 【Claude Desktop → MCPサーバ (Claude Code)】MCP経由で指示転送:
    Claude Desktopアプリは、ローカルで待機している claude_code MCPサーバ(WSL上で claude mcp serve として動作中)に対して、MCPプロトコルを用いてステップ4で受け取った実行指示を送信します。
  6. 【MCPサーバ (Claude Code)】ローカル処理実行:
    指示を受け取った claude_code サーバは、WSL環境内で以下の処理を実行します。

    • 指定されたパス (./src/utils.py) のファイルを読み込みます。
    • calculate_average 関数を見つけます。
    • PEP 257 スタイルに従ったドキュメント文字列を生成します(内部で再度Claudeモデルを呼び出すこともあります)。
    • 生成したドキュメント文字列を、ファイルの適切な位置に挿入するように内容を更新します。
    • (重要) ファイル書き込み許可確認:
      この時点で、もしファイルへの書き込み許可がまだ与えられていなければ、MCPサーバはClaude Desktopに「ファイル書き込み許可要求」を送信します。
      Claude Desktopはユーザーに確認ダイアログを表示します。
      ユーザーが「許可」をクリックすると、その情報がMCPサーバに返されます。
    • 許可が得られたら、更新内容で ./src/utils.py ファイルを上書き保存します。
  7. 【MCPサーバ (Claude Code) → Claude Desktop】実行結果返却:
    処理が成功したこと(またはエラーが発生した場合はその情報)を、MCPを通じてClaude Desktopアプリに返します。
  8. 【Claude Desktop → Anthropic API】結果報告:
    Claude Desktopは、ローカルでの実行結果を再びAnthropic APIに送信します。
  9. 【Claudeモデル】最終応答生成:
    モデルは、実行結果(成功した旨、場合によっては生成したドキュメント文字列など)を受け取り、それを人間が理解しやすい自然言語の応答(例:「./src/utils.py 内の calculate_average 関数にPEP 257準拠のドキュメント文字列を追加しました。」)に整形します。
  10. 【Anthropic API → Claude Desktop】応答表示:
    整形された最終応答がClaude Desktopアプリに返され、チャット画面に表示されます。

この一連の流れが、ユーザーからはシームレスな対話に見えるわけです。

重要なのは、モデルがタスクを判断し、ローカルツールが実行し、その結果を再びモデルが解釈して応答するという、協調的なプロセスが背後で動いている点です。

セキュリティ最優先:心得るべきリスクと対策

MCP連携は開発効率を劇的に向上させる可能性を秘めていますが、ローカルシステムへのアクセス権限をAI連携ツールに与えることになるため、セキュリティリスクに対する深い理解と慎重な運用が不可欠です。

  • 権限昇格のリスク:
    MCPサーバは、基本的にそれを起動したユーザー(この場合はWSL内のあなたのアカウント)と同じ権限で動作します。
    もし何らかの方法で悪意のあるコードがMCPサーバ上で実行された場合、あなたがWSL内でアクセスできる全てのファイルが危険に晒される可能性があります。
    sudo を必要とする操作は通常直接実行できませんが、ユーザー権限で実行できる破壊的なコマンド(例: rm -rf ~)も存在します。
  • 信頼できないツールの脅威:
    絶対に、インターネット上で見つけた出所不明なMCPサーバ設定や、信頼性の確認できない第三者が作成したMCPツールを安易に登録・実行しないでください。
    悪意を持って作成されたMCPツールは、バックグラウンドで以下のような不正行為を行う可能性があります。

    • 個人情報や認証情報(SSHキー、APIキーなど)の窃取
    • 機密性の高いプロジェクトファイルの外部送信
    • ランサムウェアの実行やシステムの破壊
    • ボットネットへの組み込み

    MCPサーバの登録は、公式ドキュメントや信頼できる開発元が提供する情報に限定してください。

     

  • 実行許可プロンプトの重要性:
    Claude Desktopが表示する
    「このツールがファイル書き込み/コマンド実行を求めています。許可しますか?」
    といった確認ダイアログは、最後の安全装置です。
    表示された内容(どのツールが、何をしようとしているか)を注意深く確認し、本当に意図した操作である場合にのみ「許可 (Allow)」をクリックしてください。
    よくわからない場合や疑わしい場合は「拒否 (Deny)」を選択しましょう。
    一度許可した操作は、同じツールによる同様の操作に対しては、次回以降表示されない場合があるため、最初の許可は特に慎重に行う必要があります。
    (設定で許可履歴をリセットできる場合もあります)
  • 設定ファイル (claude_desktop_config.json) の保護:
    このファイル自体に直接的な機密情報(パスワードなど)を含めるべきではありませんが、どのMCPサーバをどのように起動するかが記述されているため、間接的にシステムのセキュリティに影響を与えます。
    このファイルを不用意に共有したり、公開リポジトリにコミットしたりしないように注意してください。
  • WSL環境のセキュリティ:
    WSL環境自体のセキュリティも重要です。
    Ubuntuのパスワードを強固なものにし、不要なサービスを起動しない、信頼できないソフトウェアをインストールしないなど、Linux環境の基本的なセキュリティ対策を怠らないようにしましょう。
  • 常に最新状態を保つ:
    Claude Desktopアプリ、Claude Code CLI、WSL、Ubuntu、Node.jsなど、関連するソフトウェアは全て最新の安定バージョンにアップデートしておくことが、既知の脆弱性を修正する上で非常に重要です。

MCPは比較的新しい技術であり、そのエコシステムはまだ発展途上です。

利便性の裏にあるリスクを常に意識し、「疑わしきは実行せず」の精神で、安全第一で活用してください。

窮地を脱する!トラブルシューティング完全攻略

どんなに注意深く設定しても、予期せぬ問題が発生することはあります。

しかし、適切な知識と手順があれば、ほとんどの問題は解決可能です。

このセクションでは、問題発生時の体系的なアプローチと、具体的な解決策を詳述します。

問題解決の第一歩:基本チェックリスト

詳細なログ分析に入る前に、以下の基本的な項目を確認するだけで解決することが意外と多いです。

  1. バージョン確認(最新ですか?)
    • Claude Desktop:
      Help
      > Check for Updates... で最新版か確認。
    • Claude Code CLI:
      WSL内で npm update -g @anthropic-ai/claude-code を実行し、最新版に更新。
      その後 claude --version で確認。
    • Node.js:
      WSL内で node -v
      v18以上必須。
      nvm ls でインストール済みバージョンと使用中バージョン確認。
    • WSL:
      PowerShellで wsl -l -v
      バージョン2推奨。
    • Ubuntu (WSL内):
      lsb_release -a でバージョン確認。
      sudo apt update && sudo apt full-upgrade -y で最新化。
  2. 設定ファイル (claude_desktop_config.json) の再点検
    • JSON構文:
      括弧、カンマ、引用符は完璧ですか?
      オンラインJSONバリデータでチェック!
    • commandargs:
      wsl, -e bash, -l, -ic, source ~/.nvm/nvm.sh &&, claude mcp serve のスペルミス、パスの間違いはありませんか?
      特に -lsource ... がnvm利用時は重要。
    • ファイルパス:
      %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json の場所に正しく保存されていますか?
  3. WSL 環境の健全性チェック
    • WSL自体の起動:
      PowerShellで wsl -l -v
      STATERunning になっていますか?
      Stopped なら wsl -d Ubuntu で起動。
    • WSL内での手動実行:
      WSLターミナルを開き、claude mcp serve コマンドを直接実行してみてください。
      ここでエラーが出るなら、問題はClaude Desktop連携以前にあります。
      エラーメッセージを記録しましょう。
    • nvm 環境:
      WSLターミナルで node -vwhich claude を実行し、nvmでインストールしたバージョンとパスが正しく認識されているか確認。
  4. ネットワーク接続
    • PCはインターネットに安定して接続されていますか?
    • 会社のファイアウォールやVPN、プロキシ設定がAnthropic API (api.anthropic.com など) への通信を妨げていませんか?
      必要であればネットワーク管理者に確認してください。
  5. 再起動の魔法
    • Claude Desktopの完全な再起動(File > Exit)。
    • WSLの再起動(PowerShellで wsl --shutdown を実行後、再度WSLターミナルを開く)。
    • Windows PC自体の再起動。
      古典的ですが、多くの一時的な問題を解決することがあります。

問題解決の鍵:ログファイルの徹底分析

基本的なチェックで解決しない場合、ログファイルが問題の原因を突き止めるための最も重要な情報源となります。

  • ログファイルの場所:
    Windowsエクスプローラーで %APPDATA%\Claude\logs\ を開きます。
  • 最重要ログファイル:
    • mcp-server-claude_code.log:
      これを見るのが最優先です!
      claude_code として登録したMCPサーバ(WSL上で動作する claude mcp serve プロセス)の標準出力と標準エラー出力が記録されます。
      Claude Code自体の起動時エラー、実行時エラー、依存関係の問題などは、ほぼここに出力されます。
  • 補助的なログファイル:
    • mcp.log:
      MCPプロトコルレベルでの通信ログ。
      サーバの検出、起動試行、タイムアウトなどの情報が含まれます。
      mcp-server-...log に何も出ていない場合、こちらに起動失敗の原因があるかもしれません。
    • main.log:
      Claude Desktopアプリ本体のログ。
      UI関連の問題や、アプリ全体のクラッシュなどはこちらを確認します。
  • ログの読み解き方:
    • テキストエディタでログファイルを開き、最新のタイムスタンプ(通常は末尾)から遡って確認します。
    • ERROR, WARN, FATAL といったキーワードで検索します。
      エラーメッセージの前後の行も、コンテキストを理解する上で重要です。
    • 具体的なエラーメッセージ(例: Error: EACCES: permission denied, ENOENT: no such file or directory, SyntaxError: Unexpected token, Authentication failed など)に注目します。
    • エラーメッセージ全体をコピーして、Googleなどの検索エンジンで検索すると、同じ問題に遭遇した他の人の解決策が見つかることがよくあります。
      GitHubのIssueやStack Overflowなどが有力な情報源です。
    • mcp-server-claude_code.log が空の場合:
      これは claude mcp serve プロセス自体が起動できていない可能性が高いです。
      mcp.log を確認し、wsl コマンドの実行時エラー(パスが見つからない、WSLが応答しないなど)が出ていないか調べます。
      設定ファイルの commandargs の指定ミスが原因であることが多いです。

シナリオ別:頻出エラーとその対処法大全

現象・エラーメッセージ (ログやターミナルで)考えられる原因詳細な対処ステップ
node: command not found (WSL内ログ/ターミナル)WSL内にNode.js未インストール / nvm設定未反映 / PATHが通っていないnode -v 確認。

② 未導入なら nvm install --lts && nvm use --lts

source ~/.bashrc 実行 or ターミナル再起動。

which node でパス確認 (~/.nvm/.../bin/node が表示されるはず)。

claude_desktop_config.jsonargs-l オプションがあるか確認。

claude: command not found (WSL内ログ/ターミナル/PowerShellテスト時)Claude Code CLI未インストール / npmグローバルパス未設定 / nvm設定未反映claude --version 確認 (WSL内)。

② 未導入なら npm install -g @anthropic-ai/claude-code

source ~/.bashrc 実行 or ターミナル再起動。

which claude でパス確認 (~/.nvm/.../bin/claude が表示されるはず)。

⑤ PowerShellテスト時は wsl -e bash -l -ic "claude --version" を使用しているか確認 (-l が重要)。

mcp-server-...logError: Cannot find module '@anthropic-ai/claude-code'Claude Code CLIが正しくインストールされていない、またはNode.jsが見つけられないnpm list -g --depth=0@anthropic-ai/claude-code がリストされるか確認。

② 再インストール npm uninstall -g @anthropic-ai/claude-code && npm install -g @anthropic-ai/claude-code

③ Node.jsのバージョンが正しいか (node -v)、nvmが有効か (which node) 再確認。

Developer設定でサーバ状態が error または stopped になる (mcp-server-...log にエラー記録あり)claude mcp serve 実行時エラー (設定ミス、依存関係、認証など)最優先:
mcp-server-claude_code.log のエラーメッセージを解読!
例: AuthenticationError なら claude コマンドで再認証試行。SyntaxError なら設定ファイルやコードの問題。Port in use なら他に claude mcp serve が起動していないか確認 (ps aux | grep node)。
Developer設定でサーバ状態が error / stopped (mcp-server-...log は空 or 起動ログなし)wsl コマンド実行失敗 / claude_desktop_config.jsoncommand/args 不正mcp.log を確認し wsl 実行時のエラーを探す。

claude_desktop_config.json"command": "wsl""args": [...] のスペルミス、パス、オプション (-l, -ic 等) を徹底確認。

③ PowerShellで wsl -e bash -l -ic "echo hello" など単純なコマンドが実行できるか確認。

④ WSL自体が応答しない場合はPC再起動。

Error: EACCES: permission denied, open '...' (ログ内)ファイル/ディレクトリへのアクセス権不足エラーメッセージ内のパスを確認。

WSL内で ls -l <パス> を実行し、実行ユーザーに読み取り/書き込み権限があるか確認。

必要なら chmodchown で権限変更(注意して行う)。

claude mcp servesudo で実行するのは非推奨。

Error: ENOENT: no such file or directory, ... (ログ内)指定されたファイル/ディレクトリが存在しないエラーメッセージ内のパスが正しいか確認。

相対パス指定の場合、カレントディレクトリがどこになっているか注意 (claude mcp serve 実行時のディレクトリが基準になる可能性)。

絶対パスで指定してみる。

必要なファイル (Ripgrepバイナリ等) が本当にその場所にあるか確認。

Ripgrep (rg) 未検出エラー (rg: command not found ログ内)Ripgrep未インストール or PATH不備① WSL内で rg --version 確認。

② 未導入なら sudo apt install ripgrep

which rg でパス確認。

ファイル操作/コマンド実行要求時に許可ダイアログが出ない、または許可しても実行されないMCPサーバ内部エラー / セキュリティ制限 / 権限設定の問題mcp-server-claude_code.log にエラーが出ていないか最優先で確認!

② Claude Desktopの権限設定を確認 (もしあれば)。

③ 簡単な操作(例: pwd コマンド実行、test.txt 作成)から試す。

④ プロジェクトのディレクトリ権限を再確認。

⑤ Claude Desktop, WSL, PCの再起動。

⑥ Anthropic側の制限や一時的な問題の可能性も考慮。

認証エラー (AuthenticationError, 401 Unauthorized ログ内)保存された認証トークンが無効 / アカウント連携切れ / APIキー不備① WSL内で claude コマンドを実行し、再度ブラウザ認証を試す。

~/.anthropic/ ディレクトリを削除(バックアップ推奨)してから再認証を試す。

③ Anthropicアカウントのステータス確認(Proプラン期限切れなど)。

④ 環境変数 ANTHROPIC_API_KEY を設定している場合は、キーが正しいか確認。

タイムアウトエラー (startupTimeoutSeconds 超過)WSL起動や claude mcp serve 起動に時間がかかりすぎているclaude_desktop_config.jsonstartupTimeoutSeconds の値を増やす (例: 90, 120)。

② PCのスペック不足や、WSL/Ubuntuの起動時に他の重い処理が走っていないか確認。

③ WSL内で time claude --version を実行し、コマンド自体の起動に異常に時間がかかっていないか確認。

問題切り分けの戦略的アプローチ

原因箇所を絞り込むための、より高度なテクニックです。

  1. 最小構成でのテスト:
    • claude_desktop_config.json を編集し、mcpServers 内を claude_code の設定だけにします(他のMCPサーバ設定があれば一時的に削除またはコメントアウト)。
    • args を一時的に非常にシンプルなもの(例: "echo MCP Server Started")に変更し、running になるか試します。
      これにより、wsl コマンド実行や基本的な連携自体は機能しているかを確認できます。
  2. WSL内での徹底検証:
    • WSLターミナルを開き、claude_desktop_config.jsonargs で指定しているコマンド (source ~/.nvm/nvm.sh && claude mcp serve) を手動で実行します。
    • エラーなく MCP server listening on ... のようなメッセージが表示され、待機状態になるか確認します。
    • 別のWSLターミナルを開き、claude コマンド(例: claude --version)が正常に動作するか確認します(サーバ実行中も他のコマンドが使えるか)。
  3. 環境変数の確認:
    • WSL内で env | sort を実行し、PATH, NVM_DIR, NODE_PATH など、関連する環境変数が正しく設定されているか確認します。
    • PowerShellで wsl -e bash -l -ic "env | sort" を実行し、Claude Desktopから起動される際にも同様の環境変数が設定されているか比較します (-l オプションの効果確認)。
  4. 新規WSLユーザーでの試行:
    • もし可能であれば、WSL内に新しいテストユーザーを作成し、そのユーザーでNode.js, nvm, Claude Code CLIをクリーンインストールして試してみます。
      既存ユーザーの環境設定(.bashrc のカスタマイズなど)が影響している可能性を排除できます。
  5. 公式情報とコミュニティへの問い合わせ:
    • Anthropicの公式ドキュメント(APIリファレンス、トラブルシューティングガイドなど)を再確認します。
    • 開発者フォーラム、Discordコミュニティ、GitHubリポジトリのIssuesなどで、同様の問題が報告されていないか、解決策がないか検索します。
    • 解決しない場合は、これらのコミュニティで、試したこと、環境情報、ログファイルの詳細などを添えて質問してみるのも有効です(個人情報は伏せること)。

トラブルシューティングは、探偵のように手がかりを集め、仮説を立て、検証するプロセスです。

焦らず、体系的にアプローチすれば、必ず解決の糸口は見つかります。

実践編:AI ペアプログラマーClaude Code を使いこなす

設定とトラブルシューティングを乗り越え、ついにAIとの協調開発を始める準備が整いました!

ここでは、Claude Codeの能力を最大限に引き出すための具体的な活用例と、効果的なプロンプト(指示)のコツを紹介します。

基本的な対話の心得:AI に意図を正確に伝える

  1. ツールの起動確認:
    Claude Desktopを起動し、チャット入力欄右側の 🔨 (ハンマー) アイコン がアクティブになっていることを確認します。
  2. 明確な指示:
    AIは文脈から推測しますが、曖昧さを減らすために「5W1H」を意識した指示を心がけます。

    • 何を (What):
      コード生成、ファイル修正、テスト実行、Gitコミットなど、具体的なアクション。
    • どこで (Where):
      対象のファイルパス、ディレクトリパス、プロジェクトルート。
      絶対パス (/mnt/c/Users/.../home/user/...) または、明確な基準点からの相対パス (./src/components/Button.jsx) で指定するのが安全です。
      カレントディレクトリを意識した指示も可能ですが、AIがどこを基準にしているか不明瞭な場合があるので注意が必要です。
    • どのように (How):
      特定の規約(PEP 8, Google Style Guide)、ライブラリ(React, Django)、アルゴリズム、コミットメッセージの内容など、具体的な要件や制約。
    • なぜ (Why):
      (オプション) タスクの背景や目的を伝えると、AIがより適切な提案をしやすくなることがあります(例:「パフォーマンス改善のために、この関数のループ処理を見直してほしい」)。
  3. コンテキストの提供:
    • ファイルパスの明示:
      最も確実な方法です。
      /path/to/your/project/src/main.py ファイルを開いて、以下の修正を加えて」
    • コードスニペットの提示:
      修正したいコードの一部をチャットに貼り付け、「このコードのバグを修正して」のように指示します(ただしファイル全体の文脈が必要な場合は不向き)。
    • 段階的な指示:
      複雑なタスクは一度に頼まず、
      「まずファイルAを読み込んで」
      「次にデータBを処理して」
      「最後に結果をファイルCに書き込んで」
      のように分割して指示します。

シナリオ別活用テクニック

1. コード生成:無から有を生み出す

  • 単純な関数/クラス:
    プロンプト例:

    Pythonで、フィボナッチ数列のn番目の値を計算する再帰関数を書いて。
    ただしメモ化を使って効率化してね。
    
    JavaScriptで、簡単なTodoリストを管理するクラス `TodoList` を作成して。
    add, remove, list のメソッドを持たせてください。
    
  • ファイルへの書き込み:
    プロンプト例:

    今のプロジェクトルートに `hello_world.py` という名前でファイルを作成し、中に `print("Hello from Claude Code!")` とだけ書いて保存して。
    
    (AIが生成したReactコンポーネントコードに対して)
    素晴らしい!このコードを `./src/components/UserProfileCard.jsx` に保存してください。
    もしファイルが存在しなければ新規作成して。
    
  • コツ:
    • 言語、ライブラリ、フレームワークを明示する。
    • 期待する入力と出力を具体的に示す。
    • 必要な機能や制約条件をリストアップする。
    • 生成されたコードは必ずレビューし、テストする。

2. コード修正とリファクタリング:既存コードを進化させる

  • バグ修正:
    プロンプト例:

    このPythonコードを実行すると `IndexError: list index out of range` が発生します。
    `process_data` 関数内のどこで問題が起きているか特定し、修正案を提示してください。
    対象ファイルは `./scripts/data_processor.py` です。
    
    (エラーログを貼り付けて)
    このスタックトレースによると `NullPointerException` が起きています。
    関連するJavaコード (`UserService.java` の `getUserById` メソッドあたり) を調べて、原因と修正方法を教えて。
    
  • リファクタリング:
    プロンプト例:

    `./src/controllers/OrderController.js` が長大化して読みにくいです。
    特にデータベースアクセス部分を別の `OrderRepository.js` モジュールに切り出すリファクタリングを実行してください。
    
    この `calculate_metrics` 関数はネストが深くて複雑です。
    より読みやすく、保守しやすいようにリファクタリングしてくれませんか?
    例えば、ヘルパー関数に分割するなど。
    ファイルは `/app/logic/reporting.py` です。
    
  • 一括変更:
    プロンプト例:

    プロジェクト全体で非推奨になった `old_function()` を使っている箇所を検索し、新しい `new_function_v2()` に置き換えてください。
    変更が必要なファイルをリストアップし、許可を得てから変更を実行してください。
    
  • コツ:
    • 修正対象のファイルパスと、問題のある箇所(関数名、行番号など)を具体的に指定する。
    • エラーメッセージやスタックトレースを正確に提供する。
    • リファクタリングの目的(可読性向上、パフォーマンス改善、責務分割など)を伝える。
    • 大規模な変更は、まず影響範囲の調査を依頼し、段階的に進める。
    • 変更前には必ずGitでコミットしておく!

3. コードベースの理解と検索:巨大な森をナビゲートする

  • 定義箇所と使用箇所の検索:
    プロンプト例:

    `AuthService` クラスはどのファイルで定義されていますか?
    また、このクラスがどのファイルから利用されているか(インポートまたはインスタンス化されている箇所)を教えてください。
    
    プロジェクト全体で `API_ENDPOINT` という環境変数が参照されている箇所をすべてリストアップしてください。
    
  • コードの要約と説明:
    プロンプト例:

    `./lib/ImageProcessor.ts` ファイルの主要な機能と、各公開メソッドの役割を簡潔に説明して。
    
    この複雑な正規表現 `^(\d{4})-(\d{2})-(\d{2})$` は何をマッチさせようとしていますか?
  • コツ:
    • Ripgrep (rg) がインストールされていると検索が高速になる。
    • 検索対象(クラス名、関数名、変数名、特定の文字列)を明確にする。
    • 検索範囲(プロジェクト全体、特定のディレクトリ、特定のファイルタイプ)を指定すると精度が上がる。

4. コマンド実行:定型作業を自動化する

  • 依存関係の管理:
    プロンプト例:

    現在のディレクトリで `npm install` を実行して、必要なパッケージをインストールしてください。
    
    Pythonプロジェクトの `requirements.txt` に `requests` ライブラリを追加して、`pip install -r requirements.txt` を実行してください。
    
  • テストとビルド:
    プロンプト例:

    `npm run test` を実行し、テスト結果の概要(成功/失敗数)と、失敗したテストがあればその詳細を報告してください。
    
    このReactプロジェクトの本番ビルドを実行してください (`npm run build`)。
    
  • リンター/フォーマッター:
    プロンプト例:

    プロジェクト全体に Prettier を適用してコードフォーマットを整えてください。
    (`npx prettier --write .`)
    `eslint . --fix` を実行して、修正可能なLintエラーを自動修正してください。
    
  • コツ:
    • 実行したいコマンドと、それを実行するディレクトリを正確に指定する。
    • コマンドの実行結果(標準出力、標準エラー出力)を確認するよう依頼する。
    • ファイルシステムを変更するコマンドや、外部に影響を与える可能性のあるコマンド(デプロイなど)の実行依頼は特に慎重に行い、実行前に必ず確認する。
      Claude Desktopの許可プロンプトも注意深く判断する。

5. Git 操作:バージョン管理を対話的に

  • 基本的なワークフロー:
    プロンプト例:

    現在の変更内容を `git status` で確認して。
    
    変更された全てのファイルをステージングエリアに追加して (`git add .`)。
    
    "refactor: Improve database query performance in reporting module" というメッセージでコミットしてください (`git commit -m "..."`)。
    
    現在のローカルブランチ (`feature/user-profile-update`) をリモートの `origin` にプッシュしてください (`git push origin feature/user-profile-update`)。
    
  • ブランチ操作:
    プロンプト例:

    `main` ブランチから `hotfix/login-bug-123` という名前で新しいブランチを作成し、そのブランチに切り替えてください。
    
    リモートの `develop` ブランチの最新の変更を取り込んで、現在のブランチにマージしてください (`git pull origin develop`)。
    
  • コツ:
    • WSL環境内でGitの認証(SSHキー設定やHTTPSクレデンシャルヘルパー)が済んでいる必要がある。
    • 複雑なマージコンフリクトの解決はまだ難しい場合が多い。
      基本的な操作の補助として使うのが現実的。
    • 実行されるGitコマンドをAIに確認させるとより安全。

6. 高度な活用:設計相談とコードレビュー

  • 設計の壁打ち:
    プロンプト例:

    ユーザー認証機能を実装する必要があります。
    パスワードベース認証、ソーシャルログイン(Google, GitHub)、パスキー認証の選択肢がありますが、それぞれのメリット・デメリット、実装の複雑さを考慮して、このプロジェクト(小規模Webアプリ)にはどれが最適か、理由と共に提案してください。
    必要なデータベーススキーマの変更案もあれば教えてください。
    
  • コードレビュー依頼:
    プロンプト例:

    同僚が書いたプルリクエストのコード (`./src/services/NotificationService.py`) をレビューしてください。
    特に、エラーハンドリング、セキュリティ(インジェクションなど)、パフォーマンス、コードの可読性の観点から問題点や改善提案があれば指摘してください。
    
  • コツ:
    • AIに十分なコンテキスト(プロジェクトの目的、技術スタック、制約条件)を提供する。
    • 抽象的な質問だけでなく、具体的なコードや設計図を示して意見を求める。
    • AIの提案はあくまで「意見」として捉え、鵜呑みにせず、他の情報源や自身の経験と照らし合わせて判断する。
      AIとの対話を通じて、自身の考えを深めるきっかけにする。

Claude Code を最大限に活かすためのヒント

  • 反復的な対話:
    一度の指示で完璧な結果が得られなくても、諦めずにフィードバックを与え、修正を依頼しましょう。
    「この部分は期待通りだが、あの部分は少し違う」
    「もっと簡潔に書けないか?」
    といった対話が重要です。
  • 役割を与える:
    「あなたは熟練のPythonデベロッパーです」
    「セキュリティ専門家の視点でレビューしてください」
    のように役割を与えることで、応答の質が変わることがあります。
  • 温度設定 (Temperature):
    もしClaude DesktopやAPIで応答の創造性を調整できるパラメータがあれば、タスクに応じて調整してみるのも一考です(コード生成なら低め、アイデア出しなら高めなど)。
  • 限界を知る:
    Claude Codeも万能ではありません。
    非常に複雑なアルゴリズム、OSの低レベル操作、GUIプログラミング、大規模なアーキテクチャ全体の設計などは、まだ人間の専門知識が必要な領域です。
    得意なタスク(コードの定型的な生成・修正、検索、テスト実行など)を中心に活用しましょう。
  • 実験と学習:
    最良の使い方は、実際に試行錯誤しながら見つけていくしかありません。
    様々なプロンプトを試し、どのような指示が効果的か、どのようなタスクが得意か、自分なりに学んでいきましょう。

Claude Codeは、あなたの開発プロセスを加速し、質を高めるための強力なパートナーとなりえます。

積極的に活用し、未来の開発スタイルを体験してください。

終章:AI と共に切り拓くWindows 開発の新たな地平

本ガイドでは、2025年4月現在の最新情報に基づき、Windows環境でClaude DesktopとClaude Code (MCPサーバ) を連携させ、AIによる革新的なローカル開発支援を実現するための包括的な手順と知識を提供しました。

WSLという強力な基盤の上に、Node.js、nvm、Git、Ripgrep、そしてClaude Code CLIといったツール群を適切にセットアップし、Claude Desktopの設定ファイルを慎重に構成することで、これまで主にLinux/macOSユーザーの特権のように思われていた高度なAIコーディング環境を、Windowsユーザーも享受できることを示しました。

設定プロセスには、確かにいくつかの技術的なステップが含まれており、時にはトラブルシューティングも必要になるかもしれません。

しかし、本ガイドがその障壁を乗り越えるための一助となれば幸いです。

一度この環境を構築すれば、その見返りは計り知れません。

  • 退屈な定型作業からの解放
  • 複雑なコードベースの迅速な理解
  • バグ修正とリファクタリングの効率化
  • 設計やアイデア出しにおける新たな視点の獲得
  • そして何より、開発という創造的なプロセスそのものへの集中

これらが、Claude Codeという「AIペアプログラマー」と共に働くことで得られる価値です。

AI技術の進化は止まることを知りません。

Claude Codeもまだベータ版であり、今後さらに賢く、多機能になっていくことが予想されます。

Windowsネイティブサポートの強化や、より多くの開発ツールとの連携も進むでしょう。

しかし、未来を待つ必要はありません。

今、ここで紹介した方法で、その未来の一端に触れることができるのです。

 

もちろん、AIは開発者を置き換えるものではありません。

むしろ、人間の能力を拡張し、より高度な問題解決に集中させてくれる「協力者」です。

AIの提案を吟味し、最終的な判断を下し、システムの全体像を描くのは、依然として私たち開発者の役割です。

さあ、本ガイドを手に、あなたのWindowsマシンに眠る可能性を解き放ちましょう。

Claude DesktopとClaude Codeの連携をセットアップし、AIと共にコーディングする新しい日常を始めてみませんか? 試行錯誤を楽しみながら、あなた自身の開発ワークフローを、より効率的で、より創造的なものへと変革させてください。

開発の未来は、もう始まっています。

-その他