オレオレ詐欺や架空請求詐欺、投資詐欺など、電話を使った詐欺の手口は、たくさんあります。
でも考えてみたら、
『詐欺師が、どこでどうやってターゲットの電話番号を知ったのか』
って、不思議ですよね。
詐欺師に電話番号を教える人なんかいないはずなのに、なぜ知られたのでしょう?
この記事では、
- 詐欺師はどうやってターゲットの電話番号を入手するのか
- 電話番号などの個人情報流出を最小限にするための対策
についてお話しします。
いいえ、人に教えたつもりがなくても、意外と流出する機会は多いんですよ!
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詐欺師からの電話!電話番号がなぜ知られたのか?
まず、『詐欺師はどうやってターゲットの電話番号を手に入れるのか』を見ていきましょう。
詐欺師が名簿業者から名簿を買い取るケース
世の中には、『名簿』の売買を商売としている業者があります。
この『名簿業者』から詐欺師が名簿を買い取って、詐欺に使うことがあるのです。
名簿業者はどこで名簿を手に入れる?
そもそも、名簿業者はどうやって名簿を手に入れるかというと、主に
- 個人が持ち込んだ名簿を買い取る
- 他の名簿業者から買い取る
という方法で手に入れています。
個人によって持ち込まれる名簿は
- 同窓会名簿や卒業アルバム
- 公務員、教職員、社員、退職者などの名簿
- 学会や医師会、同友会、ゴルフ場などの会員、商工会、県人会などの会員名簿
など、さまざまです。
中でも、持ち込んだ人が関わっている組織の名簿を持ち込まれることが多いです。
そうやって持ち込まれた名簿などを、名簿業者同士で取引したりもします。
そう思いますよね。
でも、名簿の売買は、法律で禁止はされていません。
違法になるのは
- 盗んだりだまし取ったりして手に入れた
- 違法な名簿業者から手に入れた
など、不正な方法で入手した名簿の場合です。
そうなんです。
詐欺師は、『詐欺に使うので名簿を売ってください』なんて言いませんものね。
売った名簿を悪用されることを防ぐには、買い取る人の身元確認を義務付けるなど、法律の改正が必要です。
第三者から個人情報が流出するケース
電話番号などの個人情報は、名簿の売買の他にも、
『誰かのPCに入っていた住所録などが、ウイルスやハッキングなどで流出してしまう』
ということが原因で、詐欺師の手に渡ってしまう場合もあります。
たとえば、誰かがあなたの個人情報が入った住所録を、PCやUSBメモリなどに入れていたとしましょう。
- PCがハッキングされて、データを盗まれた
- PCがウイルスに感染して、データを抜き取られた
- PCやUSBメモリを入れていたバッグを置き忘れた・紛失した・盗まれた
- PCに入っていた住所録を、間違ってファイル共有ソフトで共有してしまった
- インターネットカフェなど、不特定多数の人で共有するPCで住所録を使い、その後、履歴やキャッシュ、クッキーなどを消し忘れた
といったことがあると、電話番号などが詐欺師の手に渡ってしまう可能性があるのです。
利用していたサービスや企業から流出するケース
普段いろいろなサービスを利用しますよね。
たとえば、携帯電話やインターネットのプロバイダ、ネットショップや通信教育、ポイントカードなど。
サービスを利用するには、運営会社に住所や氏名などを伝えたりしますが、
その個人情報が流出してしまうケースもあります。
たとえば、
- 企業のPCがハッキングされた
- セキュリティが弱い部分を企業が放置してしまい、不正アクセスをされてデータを盗まれた・紛失した
- 企業で個人情報を管理する人がUSBメモリやPCに入れていて、盗まれた
- 名簿の誤送信や、間違ってファイル共有してしまうなどの人為的ミス
- 社員が名簿業者に名簿を売ってしまう
- 企業が悪徳業者に個人情報を売ってしまう
といった経緯での流出です。
有名なのは、2014年に起こった、ベネッセの個人情報漏洩事件です。
この事件では、ベネッセから再委託を受けて管理していた企業の従業員が、名簿業者に売るために個人情報を持ち出してしまいました。
その他にも、年金やマイナンバーの個人情報も、漏洩したことがあります。
このように、
大手企業や公的な機関であっても、『個人情報が絶対に流出しない』とは言えないのです。
そして流出してしまえば、悪徳業者や詐欺グループなどの手に渡ってしまう可能性もあります。
詐欺グループや悪徳業者での名簿のやり取り
詐欺師は、他の詐欺グループや悪徳業者から名簿を手に入れることもあります。
- 他の詐欺グループと名簿を交換する
- 詐欺グループのメンバーが、悪徳業者に引っかかった人のリストなどを入手して持ってくる
- 一度ターゲットにした人の名簿を、別の詐欺でまた使う
など、名簿をやり取りしたり、使いまわしたりしているのです。
そのため、
- 何度も詐欺の電話がかかって来る
- 一度だまされた人が、似たような手口や違う手口の詐欺で再びだまされる
- 詐欺被害に遭った人が、詐欺被害回復の詐欺に遭う
といったことも起きます。
また、
- 詐欺グループ同士で、良い名簿が入る名簿業者やおすすめの名簿などの情報交換をする
- 悪質な名簿業者が、自ら詐欺グループに営業をする
といった方法で、名簿の情報を得たり名簿を入手したりすることもあります。
自分自身で個人情報を流してしまうケース
個人情報は、名簿の売買やハッキングによる流出などの他にも、
自分で自分自身の個人情報をネットに書くことで流出してしまうことがあります。
そう思いますよね。
でも、気が付かないうちに自分の個人情報が流れることをしてしまう可能性は、誰にでもあるのです。
悪質なサイトなどでの流出
個人情報は、
- 悪質なサイトと気付かずに登録をしてしまい、その時に氏名や電話番号などを入力した
- 悪質なアプリやソフトで個人情報を抜き取られた
- 違法サイトなどにアクセスしてハッキングされ、個人情報が抜き取られた
- PCやスマホがウイルスに感染した
- 悪質な懸賞サイトやアンケートサイトなどで、『応募やアンケート回答に必要な情報』だと思って個人情報を入力した
といったことで流出してしまいます。
たとえば、『無料で人気漫画をいつでも読み放題できる』と謳う違法サイトで、ウイルスに感染させられるケースもあります。
どんなに便利に見えても、違法サイトにはアクセスしてはいけないのです。
自分でネット上に書いてしまうケースもある
『ついうっかり、自分の連絡先をネット上に書いてしまう』
ということもあります。
たとえば、
- やり取りをしている相手にだけ伝えるつもりで、誰でも見られるブログのコメント欄に電話番号などを書いた
- 不特定多数の人が見られる掲示板やコミュニティなどで連絡先を伝えた
- 友人限定や非公開のつもりでSNSに電話番号などを書いたら、公開範囲を間違えていた
といったケースです。
『連絡先が必ず詐欺師に見つかってしまう』とまでは言えません。
でも、不用心であることは確かですよね。
筆者も以前、ブログのコメント欄に連絡先を書いてきた人がいたので、慌てて消したことがあります。
架空請求の連絡先に電話して詐欺師に電話番号が知られるケース
『架空請求』という手口の詐欺がありますが、
架空請求に書いてある連絡先に電話すると、詐欺師に電話番号を知られてしまいます!
架空請求詐欺は、もちろん最終的にはお金をだまし取ることを狙っています。
でもそれだけでなく、電話しただけでも詐欺師にとっては『電話番号を把握できた』というメリットがあるのです。
必ずしも、そうとは言えません。
- たまたま入手したメールアドレスに送っているだけ
- サイトにアクセスしたり動画を見たりした人全員に、架空請求の画面を表示している
ということもあります。
つまり、詐欺師がターゲットの電話番号を知らずに詐欺を仕掛けていることもあるのです。
架空請求の連絡先に電話をするのは、わざわざ詐欺師に電話番号を知らせるようなものですよ!
架空請求詐欺の電話手口と対処法を事例解説!無視して大丈夫?
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詐欺師の名簿にはどんな情報が載っている?
詐欺師は、いろいろな手段でターゲットの電話番号などを入手します。
でも、詐欺師が詐欺を行うために集める情報は、電話番号や住所氏名だけではありません。
詐欺師の名簿に、
- 職業
- 家族構成
- 性格
- 興味関心
- 資産状況
- 住んでいる家が持ち家かどうか
など、ターゲットに関する、事細かな情報が載っていたケースもあります。
さらに、
- 婚活アンケートの回答者の名簿
- 訪問販売で契約した人の名簿
- これまで詐欺被害に遭ったことのある人の名簿
など、ジャンル分けされた名簿があったりもします。
つまり、詐欺グループは
ターゲットの特徴や性格、経済状況や家族構成などから、詐欺の手口を選んで仕掛けてくるのです。
『個人情報を守りたい』という気持ちに付け込む詐欺も!
誰だって、自分の個人情報が詐欺師に渡ってしまうなんて、嫌ですよね。
なんと、その気持ちに付け込む詐欺の手口があるんです!
詐欺師
あなたの個人情報が、詐欺師の名簿に載っていることがわかりました。
このままだと詐欺の被害に遭ってしまいますから、名簿から消去してあげます。
と騙って、手数料などの名目でお金をだまし取ったり、個人情報を聞き出したりするのです。
もし知らない人から『個人情報を守ってあげます』と持ちかける電話が来たら、すぐに断って電話を切ってください。
個人情報の流出を防ぐための対策とは
ここから、個人情報の流出をできるだけ防ぎ、詐欺業者の手に極力渡らせないための対策をチェックしていきましょう。
『個人情報は漏れるもの』と思っておく
対策をするにあたって大切なことは、
『個人情報は、何らかの形で漏れるもの』
と思っておくことです。
今や個人情報は、スマホやPCで管理されています。
スマホやPCは多くの場合、インターネットにつながっていますよね。
ということは、管理する人がどんなに注意していても、不正アクセスや人為的なミスなどで漏洩してしまう可能性をゼロにはできないのです。
ですから、『自分の個人情報は、誰かの手に渡っている』という前提で、
- それ以上漏らさないようにする
- 知らない相手に、相手が知っている以上の個人情報を与えない
- 不審な電話そのものを防ぐ
という方向で対策をすることが大事です。
PCやスマホの対策
まず、PCやスマホでの対策から見ていきましょう。
- PC、スマホにセキュリティソフトをインストールし、自動的に更新するように設定しておく
- OSやアプリなどを、こまめにアップデートする
- アプリやソフトを入れる時は、必ず提供元や安全性を確認し、提供元が不確かなアプリやフリーソフトはインストールしない
- SMSを利用しないなら、SMSでのメッセージを拒否する設定をしておく
最初の2つは、PCやスマホの安全性を高めるための対策です。
特にOSやアプリは、セキュリティの強化のために更新されていることもあります。
ですから、必ずアップデートするようにしましょう。
3つ目は、『自分で選んで入れるアプリやソフトに注意を払う』ということです。
アプリやソフトの中には、PCやスマホに入っている情報を盗み取る、悪質なものもあります。
無料だからといって安易に入れず、安全性に注意を払って選んでください。
そして、SMSを利用しないなら、受信拒否をしておくことがおすすめです。
SMSは、アドレスを知らなくてもメッセージを送れます。
そこから、知らない人からのメッセージや架空請求が来ることもあるからです。
連絡を取り合う人には、メールアドレスを教えておけば大丈夫ですよ。
インターネットを利用する時の注意点
インターネットを利用する時には
- 怪しいサイト、違法サイトなどにアクセスしない
- 過激なタイトルで興味を引くようなリンクやサムネイルはクリックしない
- 広告のメールなどに書いてあるURLは安易にクリックしない
- 懸賞や現金を配るキャンペーンなどに応募しない
ということに注意しましょう。
- ハッキングされたりウイルスに感染させられたりして、個人情報を抜き取られる
- 架空請求に遭う
といったことを防ぐためです。
そうですよね。
参考に、筆者がどういうサイトを『怪しい』と判断しているかというと、
- 無料を謳うアダルトサイトや、『人気ドラマなどがいつでも無料で見られる』など、『本来有料であるものが都合よく無料で見られる』と謳うサイト
- 『誰でも簡単に儲けられる』というような、儲け話を教えようとするサイト
といったものです。
SNSや自分のブログなどでも注意を!
注意が必要なのは、SNSや自分自身のブログなども同じです。
現金プレゼントなどには応募しない!
ツイッターなどでの、現金や高価な品のプレゼント企画には、応募してはいけません!
たとえ、フォローやリツイートだけで応募できるとしても、スルーしましょう。
なぜかというと、
- 手数料としてお金をだまし取られる
- 悪質サイトに誘導される
- カモリストに入れられる
- LINEに誘導され、広告メッセージが届くようになる
といった危険性があるからです。
参考 Twitterの「現金プレゼント企画」はなぜ危険なのか? 応募者を“養分”と呼ぶ詐欺の手口、NHK「クロ現+」で明らかに
自分が投稿する時の注意
SNSや自分のブログなど、インターネットに何かを投稿する時には、
- 写真をネットにあげる時には、名前や車のナンバー、住所など、個人情報に繋がるものが映り込んでいないか、よく確認する
- 投稿する前に、公開範囲をきちんと確認する
- 誰かに連絡先を伝える時は、メールやメッセンジャーなど、第三者に見られない方法で教える
ということに気を付けてください。
特に、
- 家から近い場所の写真をよくアップする
- 友人だけでなく、不特定多数の人が見られる公開範囲で投稿することがよくある
という人は、注意が必要です。
投稿ボタンを押す前に一呼吸おいて、写真や公開範囲を確認する習慣を付けましょう。
個人情報を守る電話対応の仕方
セールスや勧誘の電話、間違い電話など、知らない人から電話が来ることがありますよね。
そんな時は、個人情報を教えないよう、注意しながら対応しましょう。
- 必要がない限り、こちらから名前を言わない
- 家族の状況や生活の状況などを話さない
ということです。
では、具体的にどう対応すれば良いかを、会話形式で見ていきましょう。
なお、ここでは電話をかけて来た人を『相手の分からない電話の主』としています。
セールスや勧誘の電話への対応
セールスや勧誘の電話には、このような対応をしましょう。
このように、セールスや勧誘の電話は、
『話を聞かず、できるだけ早い段階で、きっぱりと断って電話を切る』
ことがベストです。
相手が間違った名前を言ってきた時の対応
セールスの電話などで、苗字や名前を違う読み方で言われることがありますよね。
その時も正しい読み方を教えないようにしたほうが良いです。
たとえば、苗字が『菅野』で『カンノ』という読みなのに、相手が『スガヤ』という読みだと思って電話してきたとしましょう。
ここで『うちはカンノです』などと、
正しい読み方を言ってしまってはいけません。
万が一、詐欺業者だったら、名前を教えてしまうことになるからです。
間違い電話への対応
間違い電話への対応でも、自分の名前を言わないようにしましょう。
これだけでOKです。
ちなみに筆者は、間違い電話の相手から名前を聞かれたことがあります。
頻繁にある話ではありませんが、例えあったとしても、
というように、自分の名前を言わずに答えるようにしましょう。
家族の状況を聞かれた時の対応
これも筆者が経験したことです。
セールスや勧誘の電話で、家族の状況や仕事などを聞かれることがあります。
そういう時は、
- 相手の質問に答えずに断る
- 家族の状況などは話さない
ということが大事です。
これも、相手が詐欺業者である可能性も考えて、相手に情報を与えないためです。
『質問されると、つい答えなきゃと思ってしまう』という人もいますよね。
でも、質問に答えるかどうかは、こちらが決めて良いことです。
知らない人からのプライベートな質問なら、なおのこと、答える必要はありませんよ。
必ずやっておきたい電話機での対策
電話機で防犯対策をしておけば、詐欺電話も不審電話も、まとめて防ぐことができます。
ですから、電話機の防犯対策は、必ずしておきましょう。
どういう方法があるかというと、
- 防犯機能付きの電話機を使う
- 電話機に防犯機能がないなら、詐欺電話防止装置を使う
- 防犯機能付きの電話や詐欺電話防止装置を使わない場合は、いつも留守番電話にしておく
という方法です。
防犯機能付き電話と詐欺電話防止装置は、どちらも
- 電話をかけてきた人に、『通話を録音します』と警告メッセージを流す
- 通話が始まると、自動的に録音する
という機能があります。
この2つの機能だけでも、高確率で不審な電話をシャットアウトできます。
3つ目の、留守番にしておく方法は、
- 普段電話で連絡しあう人の番号を、電話機に登録する
- 常時留守電にしておく
- 電話がかかって来たら着信番号を確認し、登録してある人だったら電話を取る
- 登録していない人からの電話は、相手がメッセージを残して切ってから、発信元番号を検索して確認する
- 発信元が安全だと確認でき、メッセージの内容から折り返す必要がある時だけ、こちらから電話する
というやり方です。
ただし、この方法を取るなら、家族全員で『知らない相手からの電話は取らない』ということを徹底してください。
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まとめ
電話番号が詐欺師に知られてしまうルートは
- 詐欺師が名簿業者から名簿を買い取った
- 詐欺グループ同士での名簿の交換
- ハッキングやウイルス、悪質サイトなどによって流出した個人情報が詐欺師の手に渡った
- 顧客情報管理の担当者が、人為的なミスやルール違反などで流出させてしまい、詐欺師の手に渡った
など、多岐にわたります。
自ら電話番号を流出させないためには
- PCやスマホのセキュリティ対策をきちんとする
- インターネットを利用する時にも、サイトの安全性や投稿に個人情報が含まれないかなどに注意する
- 知らない業者や個人からの電話では、個人情報や家族の状況などを話さない
- 防犯機能付きの電話や詐欺電話防止装置などを活用して、電話でも防犯対策をする
といったことが大切です。
個人情報は、何らかの形で漏れてしまうものです。
ですから、『極力流出させない対策』と『詐欺電話を防ぐための対策』の両方を、ぜひ実行してくださいね!