『もしもし、オレだけど』と、子どもや孫を騙って電話をかけてくる『オレオレ詐欺』。
このような詐欺が発生してから、もう十数年になります。
でも、いまだにオレオレ詐欺の被害は出続けているのです。
注意喚起や啓発を続けても、なお被害が止まらないその手口とは、どんな手口なのでしょうか?
どうしたら撃退できるのでしょうか?
この記事では、
- オレオレ詐欺の手口
- 電話機を使ったオレオレ詐欺防止対策
- オレオレ詐欺対策のために知っておきたいこと
について解説します。
油断禁物です!
手口は日々進化しているのです。
ぜひ読んで、しっかり対策してくださいね!
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『オレオレ詐欺』の手口とは
オレオレ詐欺の基本的な手口
まず、基本的な『オレオレ詐欺』の手口について解説します。
予兆の電話がかかって来る
オレオレ詐欺は、予兆電話がかかってくることがよくあります。
詐欺師が、ターゲットにする人の子どもや孫になりすまして
もしもし、オレ(私)だけど…。
という電話をかけてきます。
ここでターゲットにされた人が思わず
と、子どもや孫の名前を言ってしまうと、それ以降は、その名前を使って電話をかけてくるようになります。
そして
喉の調子が悪くて、声がちょっとおかしいんだ。
などと、本物の子どもや孫と声が違う理由をさりげなく話し、
携帯電話の番号が変わったから、新しい番号を教えるよ。
携帯をトイレに落としちゃったから、しばらく会社の携帯を使うことにした。
などと、いつもの携帯と番号が違うことを伝えてきます。
なお、
- 予兆電話がない
- 最初から子どもや孫の名前を把握していて、名前を騙ってかけてくる
というパターンもあります。
詐欺をしかけてくる
『電話番号が変わった』という電話から日を置いて、また詐欺師から電話がかかって来ます。
今度は
もしもし、〇〇だけど…。
と、聞き出した名前を名乗り、
- 交通事故を起こしてしまい、示談金が必要になった。
- 会社の金を使い込んでしまったのがバレて、急いで返さないと大変なことになる。
など、『今すぐお金が必要』『今お金を用意できないと大変なことになる』という話をしてきます。
そして、お金を要求し、
- 指定の口座にお金を振り込んでほしい
- 会社の後輩や弁護士などに取りに行かせるので、渡してほしい
などと、お金の受け渡し方法を指示して、だまし取るのです。
これがオーソドックスな『オレオレ詐欺』の手口です。
進化したオレオレ詐欺の手口
現在のオレオレ詐欺は、いろいろな形に進化していて、
- 一度お金をだまし取った後、また詐欺電話をかけてくる
- ターゲットの子どもや孫以外になりすます
- いろいろな人物が、かわるがわる接触してくる
- 警察によるオレオレ詐欺への対応を装った詐欺
- 詐欺の被害回復を装った詐欺
といった手口があります。
これらの手口について、解説していきましょう。
最初の犯行後、再び詐欺電話をかけてだます手口
詐欺電話が来るのは、一度だけとは限りません。
オレオレ詐欺の中には、一度お金をだまし取った後に、また電話をかけてきて、
- 『これではお金が足りないと言われた。』
- 『裁判になりそうで、弁護士を頼む費用が必要になった』
などと言って、さらにお金を要求してくるケースもあります。
はたから見てると、そう思うかもしれませんね。
でも、詐欺師は
- ターゲットにされた人が、子どもや孫の窮地と、すっかり信じ込んでいる
- 大変なことが起きているのだから、もっとお金が必要になっても不思議ではないと思ってしまう
- 『裁判にはお金がかかる』印象を持つ人が多い
といった心理や印象を利用したり、巧妙に話したりして、騙してしまうのです。
『オレ』以外になりすます手口
詐欺の中には、子どもや孫本人以外に、なりすます手口もあります。
一般的に『なりすまし詐欺』と呼ばれ、オレオレ詐欺も、なりすまし詐欺の一種です。
次に、子どもや孫に関係した出来事を騙る、なりすまし詐欺の手口を見ておきましょう。
- 警察になりすまして、『お宅の〇〇さんが交通事故を起こしました』などと電話してくる
- 家電量販店の店員になりすまし、『お宅の娘さんが〇〇を買ったのですが、お金をまだ払っていただいていなくて…』と電話してくる
- 病院関係者になりすまし、『お宅の息子さんが、うちの病院に入院しました』と連絡してくる
という手口があります。
そして、事故の示談金や商品代金、入院費用などの名目で、お金を要求してきます。
もちろん、この手の詐欺も、いろいろなネタを使いますし、手口もさまざまです。
複数の人物が登場する『劇場型オレオレ詐欺』
オレオレ詐欺の中には、『劇場型詐欺』と呼ばれる手口を使うパターンがあります。
子どもや孫を騙って『交通事故を起こした』といった話をするところは、基本的なオレオレ詐欺と同じです。
でもその後、
- 警察官役
- 弁護士役
- 事故の相手役や不倫相手役、その家族役など
というように、複数の詐欺師が人物を演じて、入れ代わり立ち代わり電話で接触してきます。
この手口では、
- 口調の指示なども入った、緻密な台本を用意している
- 駅の構内の音や雑踏の音などの効果音を使う
といった、周到な準備をしてきます。
そのため、ターゲットにされた人は、その芝居にすっかり巻き込まれ、信じ込んでしまうのです。
劇場型なりすまし詐欺の手口と事例を解説!電話の対策もチェック!
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警察の『オレオレ詐欺対策』を装ったオレオレ詐欺
詐欺で厄介なのは、『警察による詐欺への対応を装った詐欺』があるということです。
『オレオレ詐欺』にも、この手の詐欺があります。
詐欺師は、まず『オレオレ詐欺』を装って、『事故を起こした』『会社の金を使い込んでしまった』などと、お金を要求する電話をしてきます。
その後、警察官を装った詐欺師が
オレオレ詐欺の電話がかかっていませんか?
などと連絡をしてきて、前にかかってきたオレオレ詐欺の電話の話を聞き出し、
それは詐欺です。
『騙されたフリ作戦』で犯人逮捕に協力してほしい。
逮捕するために、犯人が受け取りに来たらお金を渡してください。
という話をします。
そして、受け取りに来た詐欺師にお金を渡させるのです。
オレオレ詐欺で、びっくりしているところに警察を名乗る人から『犯人を逮捕します』と言われたら、ホッとしますよね。
その安心感を狙っての犯行です。
参考
警察が犯人を逮捕するために『騙されたフリ作戦』を依頼することは、実際にあります。
でも、本物の警察は、電話だけで協力要請をしてくることはありません。
また、受け渡しには模造の紙幣を使い、本物の現金を渡させることもありません。
ここが、詐欺師が演じるニセ警察との違いです。
被害回復を装った詐欺
振り込め詐欺に遭った人を救済するための、『振り込め詐欺救済法』という法律があります。
これは、振り込め詐欺被害に遭った時に返金を受けられる制度です。
ただし、この救済制度を悪用する詐欺があります!
詐欺に遭った人に電話をしてきて、
○○の保険機構に電話すれば、返金手続きができますよ。
詐欺の被害回復をお手伝いします。
などと言い、特定の番号に電話をさせたり、弁護士費用などを騙って、お金をだまし取ったりするのです。
また、チラシで同様の勧誘をするケースもあります。
このような電話やチラシでの勧誘には、絶対に応じてはいけません。
詐欺被害の救済制度を利用する時は、必ず警察に相談してください。
参考 政府広報オンライン 『振り込め詐欺救済法』に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。
オレオレ詐欺は何をネタにするのか?
オレオレ詐欺では、さまざまなネタを使って『急いでお金を用意しないと大変なことになる』という話をしてきます。
どんなことをネタにするかというと、たとえば
- 交通事故を起こして、示談金が必要。
- 交通事故で相手を大けがさせてしまった・流産させてしまった。
- 痴漢をしてしまって(痴漢と間違えられて)、弁護士費用が必要。
- 浮気(不倫)をして、相手を妊娠させてしまい、慰謝料などが必要。(交際相手や未成年者を妊娠させた、と言うこともある。)
- 投資などで失敗して、損失が出てしまった。
- 投資のために借金をして、今日中に返済しないといけない。
- 会社の金を使い込んでしまい、監査までに何とかしないとバレてクビになる。
- 会社の大事な取引の小切手が入ったカバンを、電車に置き忘れてしまった。
- 会社のお金を使って株を運用していたら、証券会社の人に持ち逃げされてしまった。
- 友人の借金の保証人になり、友人が借金を返せなくなってしまったので、肩代わりしなければならなくなった。
- 賃貸物件で設備を壊してしまい、修理費を払わなければならなくなった。
- 新型コロナウイルスにかかってしまい、治療費が必要になった
- オリンピック関連企業への投資で失敗した
- 災害で被害を被って大変なので、お金を援助してほしい
このように、バリエーションは非常に豊富です。
世の中で話題になっているイベントや災害などをネタにすることもあります。
でも、共通することは、聞いた人が『大変だ!』と思ってしまいそうな話、というところです。
それから、事件ではありませんが、
上司が今度本を出すので、その費用を援助したい。
といったオレオレ詐欺もあります。
これは急を要しないし、『親にお金を頼んでまで援助しなくていいのに』と思いますよね。
でも実際、この手口でも被害が出ているのです。
『どんなことも、オレオレ詐欺のネタになる』と思っておいたほうが良いでしょう。
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オレオレ詐欺を撃退しよう!電話機での防止対策とは?
オレオレ詐欺は、『気を付けていれば騙されない』とは言えません。
『自分は絶対騙されない』『手口を知っているから大丈夫』と思っていた人も騙されています。
ですから、『話を聞いたら騙される』と思って対策を講じることが大事です。
被害を防ぐために、最も有効なのは、電話機で防止対策をすること。
その方法について、解説します。
『防犯電話機』を使う
電話機の中には、
- 電話をかけてきた相手に、『通話を録音します』というメッセージを流す
- 通話を録音する
- 迷惑電話をシャットアウトする
といった防犯機能のある機種があります。
『通話を録音する』と言われたら、詐欺師は話せないですよね。
また、番号表示機能で発信元も特定できます。
ですから、このような電話機を使うのが、一番安心ですよ。
防犯電話機は、家電量販店でも手軽に買うことができます。
『詐欺電話防止装置』もおすすめ
今使っている電話機に防犯機能がないことも、ありますよね。
そう思いますよね。
そんな人におすすめなのが、『詐欺電話防止装置』。
これは、防犯電話機同様、
- 電話をかけてきた相手に、『通話を録音します』というメッセージを流す
- 通話を録音する
という機能のある装置で、
電話機に外付けで設置できるので、電話機を買い換える必要がありません。
これも、ネットショップで買えますし、自治体によっては貸し出しをしているところもあります。
留守電の機能を賢く使おう!
オレオレ詐欺対策には、留守電機能を使う方法もあります。
- 常に留守電に設定しておく
- 電話機に、家族など親しい人の電話番号を登録しておく
- 電話がかかってきたら、登録してある番号かどうかを確認する
- 登録してある番号だったら、電話に出る
- 登録していない番号からの電話は、発信元の番号と留守電のメッセージを確認して、必要があれば折り返し電話する
という、やり方です。
これでも、かなり防げるのですが、大事なのは、
『家族全員で電話の出方を統一し、何も考えなくてもできるようにしておく』
ということ。
でないと、つい反射的に受話器を取ってしまったり、留守電の確認を面倒がって電話を取ってしまったりして、詐欺に遭う可能性があります。
携帯やスマホに詐欺電話がかかってくる可能性は?
携帯電話やスマホにも、詐欺電話がくる可能性はあります。
でも、携帯電話やスマホにも、留守電機能がありますよね。
この留守電機能を使えば、固定電話と同じ対策が使えます。
具体的には
- 常に留守電にしておき、知らない番号からの電話には出ない
- 知らない番号からの電話は、着信番号と留守電メッセージを確認して、必要だったら折り返す
という方法です。
さらに
- 非通知での着信を拒否する設定をしておく
- スマホなら、迷惑電話をブロックできるアプリを入れる
ということをしておけば、さらに守りを固められます。
電話以外でできる、オレオレ詐欺撃退方法
対策をしていても、万が一オレオレ詐欺の電話に遭遇してしまったら?
そんな時のために、電話機以外でできる詐欺防止法を知っておきましょう。
電話に出る時に、普段から気をつけるべきこと
まず、電話に出る時には、普段から気をつけなければならないことがあります。
1つは、知らない相手や業者などからの電話では、
- こちらから自分や家族の名前を言わない
- 家族の人数や年齢、家族構成など、家庭の状況を話さない
ということ。
なぜかというと、家族の名前や人数、状況などは、詐欺を行うために利用できる情報だからです。
受けた電話そのものが詐欺ではないとしても、後で詐欺を仕掛けられる可能性もあります。
そして、もう1つ。
『お金』や『契約』に関する話は、必ず誰かに相談してから決める
ということ。
どんなに急かされても、どんなに大変な話を聞かされても、絶対に即決してはいけません。
この2つを、普段から習慣にしてください。
合言葉を決めておく
オレオレ詐欺を防ぐ方法の1つに、
『家族同士で使う合言葉を決めて、電話をする時には必ずそれを言う』
という手があります。
たとえば、
- 親の旧姓
- 初めて飼ったペットの名前
- 親や子どもの結婚記念日
など、家族にしかわからないことを合言葉にするのです。
『電話でだけ使うお互いの呼び名を決めておく』というのも良いですね。
ただし、
- 詐欺師が『そんな場合じゃないんだ!』などと言って強引に話を始め、その内容に驚かされてしまう
- 電話を受ける側も、『とっさの時には合言葉なんて忘れていても仕方ない』と思ってしまう
という可能性もあります。
ですから、合言葉だけに頼るのではなく、必ず他の防止対策と一緒に使ってください。
電話の主にオレオレ詐欺のようなことを言われたら?
オレオレ詐欺では、
- 電話番号が変わった
- すぐお金を用意してほしい
という話をされたり、警察や弁護士が出てきたりします。
そういった電話を取った時、どうすれば良いかというと
電話番号が変わったと言われた
⇒元の番号にかけ直して確認する
携帯が壊れたので、会社の携帯を使っていると言われた
⇒本人の番号にかけなおして確認する
今すぐお金を用意してほしいと言われた
⇒電話を切って本人の番号にかけ直して確認する
警察や弁護士などを名乗る人が出てくる
⇒所属先などを聞き、ネットなどで検索してその所属先が本当にあるかどうかと、その所属先に実在するかどうかを確認する
要するに、
『とにかく、本人や本物の警察署、事業所などに確認する』
ことが大事なんです。
ただし、この時には必ずネット検索などで番号を調べ、その番号に電話をしてください。
相手が言った番号にかけると、詐欺に引っかけられてしまいます。
本人と連絡が取れない場合は、警察の相談窓口(#9110)に電話してくださいね。
お金の話をされたら警察に相談!
オレオレ詐欺を見抜くために、一番に覚えておきたいのは
電話で『お金を用意してほしい』という話をされたら、詐欺を疑う
ということです。
電話の前に大きく『お金の話は詐欺を疑え!』などと書いておくのも良いですね。
オレオレ詐欺の最終的な目標は、何といってもお金をだまし取ること。
ですから、どの時点であっても『お金が必要』と言われたら、詐欺を疑って、警察に相談してください。
警察の相談窓口は、
『#9110』
です。
『もし本人だったらどうしよう?』と思うかもしれませんが、何事もなければ『被害に遭わなくて良かったね』で済みます。
遠慮せず、ためらわず、警察に連絡してください。
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まとめ
オレオレ詐欺の基本手口
- 『オレだけど』などと、子どもや孫を装って電話してくる
- 事故を起こした、不倫をしてしまったなど、大変なことが起きた話をする
- 『それに対処するためにお金が必要になった』とお金を要求する
さらに、
- 再度お金を要求してくる
- 警官など、本人以外に成りすまして電話をしてくる
- 何人もの詐欺師が、入れ代わり立ち代わり接触してくる『劇場型』
- オレオレ詐欺対策への協力を要請する詐欺
と、いろいろな形に進化した手口があります。
こうした詐欺を防ぐには、
- 家族同士で合言葉を決めておく
- 電話でお金の話をされたら詐欺を疑う
などの方法がありますが、
最も重要なのは、やはり電話機での対策です。
防犯機能のある電話機や詐欺電話防止装置も買えますし、留守電機能を使っても対策はできます。
ぜひ、しっかりと対策をしてくださいね!