深呼吸をして、一気にファンタジーの世界へと飛び込みましょう。
ここからお話する『ウィッチャー2 王の暗殺者』は、重厚な政治劇とダークファンタジーを見事に融合させたアクションRPGです。
プレイヤーは“ウィッチャー”と呼ばれる変異体のモンスター・ハンター、ゲラルトを操り、殺人の容疑をかけられながらも失われた記憶をたどる旅を繰り広げていきます。
政治的陰謀に絡む王暗殺、非人間種族との抗争、そして一筋縄ではいかない個性的な登場人物たち――本作が持つ奥行きと魅力は、一度遊んだだけではとても味わい尽くせないほど。
この記事では、プロローグから第三章までの大まかな流れを追い、エンディングにかかわる主要な選択肢やキャラクターの動向をネタバレ込みで解説していきます。
ちょっと長いですが、お付き合いくださると嬉しいです。
注意
以下の記事にはストーリーの核心部分を含むネタバレ要素が多分に含まれます。
ウィッチャーシリーズに共通するのは、
“人間の醜さと、だからこそ輝く希望”
というテーマ。
『ウィッチャー2』は特に「王暗殺」というショッキングな事件を導入に据えながらも、その裏に潜む複雑な政治模様や、非人間種族(エルフやドワーフ)への差別、そして“失われた記憶”というゲラルト個人の葛藤が絡み合う深みを備えています。
ファンタジーの華々しさだけではなく、人間の矛盾や苦しみをリアルに描き出すアダルトな世界観。
だからこそ一度ハマると抜け出せない魅力があるのです。
以下、プロローグからエンディングまでじっくり見ていきましょう。
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プロローグフォルテスト王の暗殺
まず物語は、北方諸国のひとつ“テメリア”の王、フォルテストが暗殺される衝撃的なシーンから始まります。
先の戦乱で功績を上げ、国内の反乱貴族ラ・ヴァレット家を制圧しようとしていたフォルテスト王。
しかし勝利の矢先、謎の刺客に命を奪われてしまうのです。
問題は、その場に居合わせたゲラルトが王殺しの濡れ衣を着せられてしまうこと。
ウィッチャーという存在は、怪物を討伐するために身体を変異させられた超人的な戦士である反面、「人ならざる者」として社会から差別されることも珍しくありません。
「ちょうどいいからあいつを犯人にしてしまえ」
とばかりに疑いの目が向けられてしまいます。
さらに、テメリア特務隊による厳しい取調べが待ち受けている……。
けれどもゲラルトは、尋問の合間にある真実を語ります。
「王を殺したのは俺ではない。同じウィッチャーの姿をした誰かだ」
しかしゲラルト自身は記憶喪失で、暗殺者の細かい特徴を思い出せない状態。
そんな宙ぶらりんな状況にもかかわらず、特務隊長ヴェルノン・ロッシュは
彼の証言に不自然な点がない
と感じ、ゲラルトの脱獄を手助けします。
ここで語られるキーパーソンが“レソ”という名の男。
ゲラルトと同じ白髪、同じ特徴を持つウィッチャーでありながら、王を殺めた暗殺者。
その目的は何なのか?
どの国の誰が裏で糸を引いているのか?
こうしてゲラルトは冤罪を晴らすため、失われた記憶を探すため、そしてレソとの因縁を解きほぐすため、新たな旅を始めることになるのです。
アリアン・ラ・ヴァレットの処遇
プロローグには、もう一つ特徴的なシーンがあります。
フォルテスト王に反旗を翻したラ・ヴァレット家の若き貴族アリアン・ラ・ヴァレットと対峙する場面です。
ゲラルトはゲーム開始早々、彼を殺すか降伏させるかを選択せねばなりません。
結果として、後々の展開に些細ながらも影響する要素が生じます。
シリーズを通しての大局にはさほど大きく関わらないものの、
“プレイヤーの意思を汲む”
本作の設計を象徴する最初の分岐といえるでしょう。
第一章フロットサム――港町での波乱
脱獄を果たしたゲラルトは、ロッシュとともに暗殺者レソを追ってフロットサムへ向かいます。
フロットサムは港町と森林が隣り合わせの独特な土地で、地元の指導者バーナード・ロレドが実質的な権力を握っているところ。
魔物や違法取引の噂が絶えず、住民のあちこちから不穏な気配が漂う環境です。
ダンデリオン&ゾルタンとの再会
フロットサムで嬉しい再会を果たすのが、ゲラルトの旧友ダンデリオン(ヤスキエルとも)と、ドワーフのゾルタン・シヴェイです。
彼らはシリーズを通じてゲラルトの冒険を支える陽気な仲間。
ダンデリオンは吟遊詩人としての大げさな表現やエピソードを披露し、ゾルタンはドワーフらしい堅実さと豪快さを併せ持つ頼もしい存在。
二人の行動がほどよいユーモアと息抜きを物語にもたらしてくれるため、プレイヤーにとっては癒やしのひとときと言えるでしょう。
スコイア=テルとイオルヴェス
フロットサムでの調査を通じて、ゲラルトは“スコイア=テル”という非人間種族の過激な組織がレソに協力しているかもしれないと知ります。
スコイア=テルはエルフやドワーフなど、人間社会から蔑まれた者たちが集い、解放を求めてゲリラ活動を展開する集団。
そのリーダーがイオルヴェスという敏腕のエルフです。
長年の差別に対する復讐心や、人間への強烈な反発心を持ち、徹底抗戦の構えを崩しません。
このように、フロットサムには暗殺者の手がかりだけでなく、腐敗した役人や非人間種族の闇深い対立など、本作の政治色を強く示す要素が集中しています。
そして第一章のクライマックスで訪れるのが
- “テメリア特務隊長ロッシュと行動を共にするか”
- “スコイア=テルのリーダーであるイオルヴェスに協力するか”
という大きな分岐。
これが物語を大きく二手に分け、第二章以降のルートをほぼ別物に変えてしまうポイントでもあるのです。
第二章エイダーン王国の内紛とケイドウェン王ヘンセルト
ロッシュを選ぶか、イオルヴェスを選ぶか――これにより第二章の序盤から展開が大きく変わりますが、どちらのルートにしても“エイダーン王国”の内紛や、隣国ケイドウェンのヘンセルト王との緊張状態に巻き込まれるのは共通しています。
戦場の亡霊と呪い
エイダーンとケイドウェンは領土をめぐって長らく対立し、数多の戦争を繰り返してきた歴史があります。
とりわけ、第二章では過去の大規模な戦いの跡地に渦巻く“亡霊たち”の姿が強烈に印象づけられます。
まるで成仏できない兵士たちが霧の中で戦いを繰り返す様は、『ウィッチャー2』のダークなファンタジー色を濃厚に伝える名シーンのひとつ。
この“呪い”を解かない限り、エイダーンとケイドウェンの争いは終わらないとも言われ、ゲラルトはまるで心霊探偵のように、過去の事件の真相に踏み込むことになります。
呪いの核心にあるのは、ケイドウェン王ヘンセルトがかつて下した非情な決断。
そのツケが亡霊として残っているのです。
ヘンセルト王の生死
第二章では、このヘンセルト王を“殺すか救うか”という大きな選択肢がプレイヤーに与えられる場合もあります。
政治的に見ると、ケイドウェンは北方最強の軍事力を誇る国。
それを率いるヘンセルトの命をどう扱うかで、北方諸国全体の未来が変わる可能性があるのです。
もっとも、ヘンセルト自身がこれまで数々の暴虐を行なってきたのも確かな事実。
彼を許せないと思うプレイヤーもいれば、彼が生きてこそ生まれる政治バランスもあるだろう、と考えるプレイヤーもいるかもしれません。
このあたりの「どちらが正解とも言えない」判断を迫るのが、本作の醍醐味といえるでしょう。
サスキアとドラゴンスレイヤーの秘密
エイダーンが抱えるもう一つの重要な軸が、反乱軍を率いるカリスマ的存在サスキア。
通称“ドラゴンスレイヤー”と呼ばれ、その勇猛さと公正な人柄により、多くの平民や非人間種族から支持を受けています。
ところが、彼女には重大な秘密があり、それこそが第二章以降のストーリーの鍵を握るのです。
実はサスキアは、ドラゴンに変身する能力を秘めた存在。
本人が意図しているわけではなく、彼女を操ろうとする魔術師の影がうっすらと見え隠れしています。
ゲラルトがサスキアの能力をどう捉えるか、彼女の運命にどんな形で関与するかも、物語を左右する要素。
加えて、サスキアに対する毒殺未遂が起こる“プリンス・ステニス”の事件など、エイダーン内部のドロドロとした人間関係がさらに混迷を深めていきます。
プリンス・ステニスの裁判
毒殺事件においてプリンス・ステニスが容疑をかけられる展開も、プレイヤーに「彼を裁く or 見逃すか」の選択を突きつけます。
ステニスが悪党なのか、あるいは権力闘争の被害者なのかはプレイ次第。
もし裁判でステニスを断罪するならば、エイダーンの未来はサスキア頼みになっていくでしょうし、逆に彼を救うなら新たな王としての可能性が生まれるかもしれません。
こうした分岐が積み重なり、最終的なエンディングに反映される仕組みです。
第三章ロク・ムインでの頂上決戦
第二章を乗り越えた先に待つのは、古代の都市“ロク・ムイン”で開催される北方諸国の主要会議。
ここで暗殺者レソの真の意図、ニルフガード帝国の影、魔術師たちの深謀など、あらゆる伏線がクライマックスを迎えます。
魔術師フィリッパ・エイルハートの野望
ロク・ムインでは、多くの魔術師が集い“新たな統治機構”を立ち上げる動きが進行中。
フィリッパ・エイルハートという女性魔術師は特に強大な権力と美貌をあわせ持ち、サスキアを自分の手駒として操ろうと暗躍しています。
フィリッパは本当に民衆のためを思っているのか、それとも自分の野望のためにロク・ムインで何かを企んでいるのか……。
プレイヤーはここでもトリス・メリゴルドを救うか、フィリッパを追うか、その他のキャラクターを優先するかなど、複数の難しい決断を下すことになります。
ドラゴンとの最終対峙
サスキアがドラゴンとしての力を解放してしまい、暴走状態に陥る展開を迎える可能性は非常に高いです。
まるで化物じみた巨大なドラゴンが会議の場を蹂躙し、北方諸国の有力者たちを震え上がらせるスリリングなシーンが第三章のハイライトの一つ。
ここでプレイヤーは“ドラゴンを殺すか、それとも解呪を試みてサスキアを救うか”という重大な選択を迫られます。
倒せば被害は食い止められるものの、サスキア本人の命は失われる。
一方、解呪に成功すればサスキアの可能性を残しつつ、非人間種族や平民の希望をつなげるかもしれません。
ただし、そう簡単にはいかない困難もあり得るわけで、まさに「どの道が正しいかは誰にもわからない」状態が本作らしいところです。
暗殺者レソとの最後の対話
最終的に、ゲラルトがレソと直接向き合う場面がやってきます。
レソはニルフガード帝国に仕える立場で北方諸国の王たちを暗殺した――これは間違いない事実。
ですが、彼がなぜそこまでの行動に出たのか、ゲラルトとの因縁がどのようなものかは、レソ本人の口から語られます。
そしてプレイヤーは、レソを“殺す”か“見逃す”かを決定しなければならない。
憎むべき暗殺者と断じるか、複雑な事情に理解を示すか。
それによって、次作『ウィッチャー3 ワイルドハント』での展開も変わってくるのです。
エンディングの多様性
『ウィッチャー2』には、細かな派生を含めて16種類にも及ぶエンディングが用意されています。
主に以下の選択が絡み合って、プレイヤーの体験が大きく異なる結果に収束するのです。
- 第一章でロッシュを選ぶか、イオルヴェスを選ぶか
- ヘンセルト王を殺す or 生かすか
- サスキア(ドラゴン)を解呪して救うか、あるいは殺してしまうか
- トリス・メリゴルドを優先して救う or 別のキャラを救うか
- レソを殺す or 見逃すか
- プリンス・ステニスを断罪する or しないか
- アリアン・ラ・ヴァレットの生死(序盤の選択)
これらの組み合わせにより、北方諸国の政治状況やキャラクターの命運が微妙に変わっていきます。
たとえば、ヘンセルト王が死ねばケイドウェンが不安定化し、サスキアが生存していればエイダーンは新体制に向かって動き始めるかもしれない。
トリスを助けていれば、魔術師たちの新評議会が結成される展開を見届けることになるし、見捨てたなら魔術師の地位がさらに不穏な方向へ向かう可能性がある。
こうした分岐によってプレイヤーが
“自分の選択で世界を変えた”
という充実感を得られるのが『ウィッチャー2』の大きな魅力です。
ニルフガード帝国の侵攻は避けられない
いくら結末が分岐しても、ほぼ全ルートで共通して示唆されるのが“ニルフガード帝国の北方侵攻”です。
暗殺された王たちがいなくなり、北方諸国が内紛や混乱に陥っているこのタイミングこそ、帝国にとって進軍の好機。
最終章の段階では、ゲラルトの努力や犠牲がどうあれ、大きな歴史の波は止まらない――という無情さが強調され、次作『ウィッチャー3』への伏線が張られることとなります。
主要キャラクターたちの魅力
ゲラルトを取り巻く人物は、単純な“味方・敵”には収まらない深い人間味を備えています。
ゲラルト・オブ・リヴィア
主人公の白髪のウィッチャー。
記憶喪失が治りきっておらず、自分と暗殺者レソの関わりを追いながら旅を続ける。
人間を超えた力を持ちながらも感情を失ったわけではなく、モラルと実利の間で悩む姿が魅力。
トリス・メリゴルド
ゲラルトの恋人とも言える女魔術師で、北方でも名の知られた実力者。
時に囚われの身となり、ゲラルトの救出を待つ展開もある。
彼女を救うかどうかで物語の後味がかなり変わってくる要素があり、クライマックスの魔術師評議会の行方にも影響を与える。
ヴェルノン・ロッシュ
テメリア特務隊長。
祖国と王への忠誠心が強く、王殺しの真犯人を突き止めるためなら何だってやってのける激情型の男。
粗野な言動が目立つ一方、身内を大切にする一面もあり、道義を貫く固さがある。
イオルヴェス
エルフの戦士で、スコイア=テルを率いるカリスマ的なリーダー。
人間への深い恨みを抱えながらも、同胞の自由を勝ち取りたいと願う誇り高き人物。
ロッシュとは違った理想を掲げており、どちらを信じるかがプレイヤーの大きな悩みどころ。
レソ
暗殺事件の中心にいる謎のウィッチャー。
ニルフガード帝国の計画に加担しているが、ゲラルトの過去を知る人物でもある。
彼を殺すか見逃すかは大問題だが、その内面を知ると単純な悪人でもないという難しさがある。
サスキア
“ドラゴンスレイヤー”として名を馳せ、エイダーンの将来を背負う期待の星。
だが実はドラゴンに変身できる存在であり、魔術師の呪縛によって利用されそうになっている。
彼女を救うかどうかでエイダーンの未来が大きく変わる。
次作『ウィッチャー3』への繋がり
『ウィッチャー2』のエンディングはいくつもありますが、どのルートでも
ニルフガード帝国の侵攻が始まる
という大きな流れは変わりません。
つまりこの作品自体が、次作『ウィッチャー3 ワイルドハント』の序章として機能しているのです。
- レソを生かした場合、続編で彼が再登場し、ゲラルトとの関係性を深めるイベントが起こるかもしれない。
- サスキアを救ったならば、後の会話や背景設定で「彼女がエイダーンを立て直している可能性」などがほのめかされる。
- トリスを救ったかどうか、ロッシュと共闘したかイオルヴェスと行動したか、という選択もまた、物語に影響を及ぼす。
こうして『ウィッチャー2』のプレイ内容が次作に反映される仕組みは、シリーズ全体の一貫性を高め、ファンから高い評価を得る要因にもなっています。
単独で完結する作品でありつつ、その結末が次回作をより深く味わうための重要な鍵を握っているのです。
ちょっとした日常の選択について
壮大なファンタジーの話を延々と見てきましたが、ここで少し肩の力を抜いて、身近な暮らしを振り返ってみましょう。
王殺しや国の命運ほど大げさではないにしても、私たちの生活も意外と“選択の積み重ね”で出来上がっています。
たとえば、日々の買い物の仕方や契約サービスの見直しなども、やろうと思えば意外と結果が違ってくることもある……。
プロパンガスの契約を見直した話
わたし自身も、かつてプロパンガス料金を確認せずに放置していたら、
いつの間にかちょっとだけ値上げされていた
なんて経験があります。
ガス会社からは特に連絡もなく、だんだん料金が高騰しているのを気づかずに数か月。
いざ気づいてから「エネピ」というサービスを使って比較・乗り換えをしてみたら、家計が地味に助かったんですよ。
もちろん王暗殺ほどのドラマチックさはありませんが、
「ああ、知らないだけで損してることって意外とあるんだな」と。
『ウィッチャー2』でゲラルトが一つひとつ選択を積み重ねて運命を変えていくように、
日常生活でも小さな選択が意外と侮れない結果を生む場合がある
という話でした。
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ウィッチャー2の魅力が色褪せない理由
本作は2011年にリリースされてから長い歳月が経っていますが、今なお根強い支持を得ています。
その理由としては、以下のようなポイントが挙げられます。
- 物語の重厚さ
王暗殺と国家間の陰謀を軸にした、現実に通じるようなシビアな政治模様が繰り広げられ、単なるファンタジーにとどまらない深みがある。 - 選択のインパクト
第一章のロッシュかイオルヴェスかという分岐に始まり、主要キャラクターの運命がプレイヤーの判断で変わりまくる設計。
結果として16種類ものエンディングが待つゲーム体験は、
「自分が物語を動かしている」
という充実感を強く与える。 - キャラクター描写の丁寧さ
ゲラルト、トリス、ロッシュ、イオルヴェス、レソ、サスキアなど主要人物のバックグラウンドがしっかり描かれ、誰もが善か悪か単純に割り切れない複雑さを持っている。 - ダークファンタジーの世界観
実在するような政治問題に、呪い・亡霊・ドラゴン・魔術師などのファンタジー要素が絡む絶妙なバランス。
ハッピーエンドや勧善懲悪に終わらないリアリティが、大人のゲーマーに刺さる。 - シリーズ全体との連動
『ウィッチャー3』へ続く伏線が多く、
「2で自分がどんな選択をしたか」
によって次作のイベントやセリフが微妙に変化するため、シリーズを通して遊ぶことでより強い没入感を得られる。
どんな人におすすめか
- 物語の分岐をじっくり楽しみたいRPG好き
1周遊んだだけで終わらせるのはもったいない、というレベルで分岐が充実。 - 濃厚な政治劇や陰謀モノが好きな方
騎士や魔物とのバトルだけでなく、外交や国際関係を主題としたドラマが展開される。 - ウィッチャー3から入ったが前作を知らないという方
3でも十分楽しめるが、2の選択を踏まえて進むと
「このキャラってあの時の…!」
という発見があり、一層楽しめる。 - ダークな作風を好み、軽い勧善懲悪ものでは物足りない人
『ウィッチャー2』は徹底的に人間の弱さや醜さも描くので、“ただのファンタジー”を超えた重みを体験したいプレイヤーにおすすめ。
長く楽しむためのポイント
- 周回プレイを前提に
第一章から完全にルートが分かれる仕組みなので、ロッシュルート、イオルヴェスルートと、それぞれ別の物語を体験してみるのが面白い。 - サブクエストを丁寧にこなす
亡霊の戦場に関する調査や、キャラクターの背景を知るイベントなど、サブクエストをこなすと世界観の説得力が格段に増す。 - 選択の重みを楽しむ
ゲームが用意する選択肢は、時として道徳観を揺さぶられるようなものもある。
「キャラを信用していいのか?」
「国を救うか、一個人の命を優先するか?」
など、どこにも100%の正解がないところが醍醐味。
おわりに
フォルテスト王の暗殺という衝撃の幕開けから、政治的陰謀が渦巻くフロットサム、隣国との因縁深いエイダーンやケイドウェンの対立、ドラゴンスレイヤー・サスキアの秘密、魔術師たちの野心が交錯するロク・ムインの会議、そして暗殺者レソとの最後の対決――本作は、RPG史に残る重厚な物語を存分に描いています。
プレイヤーはウィッチャー・ゲラルトとして、あまりに多い岐路に立たされるでしょう。
ロッシュかイオルヴェス、トリスか別の仲間か、ドラゴンを殺すか救うか、レソを処断するか許すか……。
あらゆる選択が世界の様相を変え、エンディングの内容を微妙に、あるいは劇的に変化させます。
物語を単に“見る”のではなく、“自ら選ぶ”実感こそが本作の本質的な面白さです。
そして、どのルートを選んでも最終的に姿を現すニルフガード帝国の脅威――北方諸国の王が立て続けに暗殺され、内部崩壊したところを一気に呑み込み、さらなる戦乱を引き起こすという流れは、容赦なく“歴史の大きなうねり”を感じさせます。
プレイヤーがいくら一生懸命足掻いても、必ずしも世界を理想に導けるわけではない。
そのビターな現実がまた『ウィッチャー』シリーズの魅力を深化させていると言えるでしょう。
小さな“選択”が未来を変える
我々の現実の日常は、ウィッチャーほど劇的ではないですが、それでも細かな選択が積み重なって人生の風景を形作ります。
たとえば、先述のプロパンガスを
「そのままにしておくか見直すか」
みたいな些細なことでも、あとあと家計に影響するかもしれない。
もちろん、スケールは違えど、
「知れば得をする」
「行動すれば別の道が開ける」
といった事例は思いのほか身近に転がっているのではないでしょうか。
だからこそ、日頃から少しだけ意識を向けてみると、意外なところに幸運が転がっているものです。ゲラルトほど命がけの旅路でなくても、私たちが主人公の“選択”はきっとあるはず。
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『ウィッチャー2 王の暗殺者』は、どう進めても最終的に必ず「北方諸国の動乱」へ収束するよう設計されていますが、その過程で見られるキャラクターや世界の変化は人それぞれ。
ぜひ自分自身の選択に責任を持って、何度でもプレイしてみてはいかがでしょうか。
倒すべきはドラゴンなのか、呪いを振りまく亡霊なのか、それとも暗殺者なのか――あるいは、果たして本当に“倒す”ことこそが正義なのか。
プレイしてみれば、そんな単純な話ではないのだと思い知らされるはず。
もし、いまだに本作を未経験なら、
ネタバレを読んでもなお楽しめるほどの見どころ
が山ほど潜んでいます。
既プレイなら、別ルートを模索してまた違う物語を発見するチャンス。
複雑な政治模様とキャラクター同士の心の動きを知るほど、
「ああ、あの時ああすればよかったかも?」
という具合に没入していくのが、このゲームの醍醐味。
さらに、次作『ウィッチャー3』へ継続する物語へのワクワク感も高まるでしょう。
いずれにせよ、『ウィッチャー2』は“シリアス路線のファンタジーRPG”を求める人にうってつけの作品であり、ちょっと胃もたれするほどの政治・人間ドラマを楽しみたい方にはたまらない一作です。
以上、“殺された王の真相を追う白髪のウィッチャーが辿る壮大な旅”を中心にまとめてきました。
フォルテスト王の暗殺を発端とするダークなシナリオ、差別問題と理想を掲げるスコイア=テル、魔術師たちの暗躍、そしてニルフガード帝国という外敵の台頭――現代社会にも重ね合わせて考えさせられるテーマが多く散りばめられ、ゲームとしてのエンターテインメント性も高いのが『ウィッチャー2』の大きな特徴です。
最後に、ゲラルトがつぶやきそうな一言を想像してみるなら、こんな感じでしょうか。
選択があるなら、結果がある。
それがどれほど重いかは、後にならなきゃわからない。
まるで人生そのものだ。
そう、人生もRPGも、選んだ道には必ず何かしらの結果が待っています。
もし現実で小さな選択を先延ばしにしていることがあるならば、ためらわずに一歩踏み出してみると、思わぬ展開が待っているかもしれません――王暗殺ほどの波乱ではなくとも、プロパンガスを見直すだけでちょっぴり生活が楽になるなら、やってみる価値は大いにあるはずです。
というわけで、『ウィッチャー2』の世界へ興味が湧いた方は、ぜひその一歩を踏み出してください。
どの道を選んでも、そこには自分だけの物語が待っています。
――これにて、ウィッチャー2の濃厚ネタバレ、閉幕です。
長文にもかかわらずお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
あなたの冒険が、誇り高く、そして少しばかり幸運でありますように。