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シャドウハーツ2のストーリーあらすじネタバレ!結末までチェック

――舞台は第一次世界大戦の激動下、欧州と極東を股にかけた壮大な冒険RPG。

ここではメインストーリーを冒頭から結末まで盛大にネタバレしますのでご注意ください。

もし初見だけどネタバレ上等!という読者さんなら、大歓迎です。

もうプレイ済みで「そろそろ振り返りたいな」という方にも、設定や登場キャラクターの深い背景を整理しつつ魅力を再確認できるような記事を目指します。

本編未プレイの方は重大な核心に触れるため、なるべく自己責任で読み進めてくださいね。

 

本作『シャドウハーツ2』は、前作『シャドウハーツ』の「バッドエンディング」後を正史とするという稀有な構成で話題を集めた作品。

通常、ゲームシリーズの続編といえばハッピーエンドを基にしたストーリーが多いですが、本作はあえて“悲しい結末”のその先を描くことで、一気に物語を深みあるものへ変貌させています。

もともと前作の雰囲気も独特でしたが、今回はさらにコミカル要素を強化しつつも、シリアスで涙を誘うストーリーテリングが加速。

さて、ここからはかなりの長文です。紅茶でも入れてゆっくりお読みください。

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シャドウハーツ2とは?

ハード:PlayStation 2

発売年:2004年

ジャンル:RPG(コマンド選択+独自の“ジャッジメントリング”システム)

特徴

  • 前作『シャドウハーツ』バッドエンド後の物語
  • 第一次世界大戦中(1915年)を舞台に、ヨーロッパ→ロシア→日本を巡る
  • 主人公ウルは「聖なるヤドリギ」の呪いで苦しむ
  • シリアスな悲劇とギャグが絶妙に共存
  • 2種類のエンディング(グッドED・バッドED)でラストが分岐

本作で特に注目されるのが、「幸せ」をテーマにした重厚なストーリーです。“愛する人を失った主人公”が再び旅をする意味や、そこに関わる仲間のドラマ、史実の人物や地名が絡む展開など、プレイヤーの心に強く訴えかけるものがあります。コミカル部分との温度差がむしろ絶妙で、深い感動をもたらす名作RPGとして知られています。

前作バッドエンド後の世界ウルの再出発

前作の結末をざっくり

前作『シャドウハーツ』では、若き主人公ウルが恋人アリスを守るために奮闘。

ところが最終的にアリスは命を落とし、ウルは悲しみを背負って旅立つ“バッドエンド”で幕を下ろしました。

本来RPGだとハッピーエンドを迎えがちですが、『シャドウハーツ』はあえて悲劇で終わったため、多くのプレイヤーを驚かせ、涙させたのです。

再会できぬ恋人を思い、ドンレミ村へ

アリスの遺体をスイスに埋葬したウルは、彼女の遠縁である魔術師の老人ゼペットとともに放浪の旅へ。

いろいろあってフランス北部のドンレミ村に流れ着き、いつの間にか“ドンレミの黒い悪魔”と恐れられる存在になっています。

なぜ恐れられるかというと、第一次世界大戦下の混乱で軍勢が襲来するたびに、ウルがそのフュージョン(悪魔化)能力で軍を壊滅させてしまうから。

村人を守るためとはいえ、外部から見ると「悪魔が住む教会」と思われても仕方ありません。

1915年、ドイツ軍はフランスへの侵攻を進める中で「ドンレミの悪魔」退治を図ります。

そしてウルと初めて邂逅するのが、女将校カレン・ケーニッヒ。

物語序盤、カレン率いる部隊は教会でウルの猛攻を受け壊滅し、カレン自身も重傷を負いますが、彼女だけはなぜかウルに助けられる形になります。

ここで「本当にあれは怪物なのか?」とカレンの中に疑問が生まれるわけです。

バチカン枢機卿ニコル登場聖なるヤドリギ入手作戦

ドイツ軍が仕留め損なった“悪魔”を排除すべく、再度の討伐計画が始動し、今度はバチカンから枢機卿ニコラス・コンラッド(通称ニコル)が同行します。

ニコルは「アポイナの塔」に眠る「聖なるヤドリギ」を用いれば悪魔を封印できると示唆。

こうしてカレンは、自分もよく事情を知らないまま、ニコルとともに塔へ向かいます。

アポイナの塔悪魔祓いの聖遺物

通称“贖罪の塔”とも呼ばれるアポイナの塔は魔物が徘徊する危険な場所。

カレンとニコルは苦戦しながらも最深部へ到達し、見事「聖なるヤドリギ」を手に入れます。

ヤドリギは北欧伝承で魔除けの力を持つ聖樹として扱われることが多く、本作では

“悪魔化能力を無効化する”

効果を持つ特別な寄生木という設定になっています。

この探索の過程でカレンは、塔に出現する魔物の凶暴さと比べ、ドンレミで遭遇した悪魔(ウル)はただの狂暴な怪物とは違うと直感。

「あのとき悪魔は私を殺さず、むしろ助けるように動いた」――疑念が募る一方で、上層部の命令には逆らえません。

結局ヤドリギを確保し、ニコルとともに再度ドンレミ村へ出撃することになります。

ウル、ヤドリギの呪いを受けるドンレミ再襲撃

1915年ドンレミ村への再侵攻。

ウルはまたしても悪魔化して抵抗しようとしますが、ニコルがただ者ではありませんでした。

実は彼こそサピエンテス・グラディオという秘密結社の一員であり、ウルを“神殺しの男”として認識していたのです。

ウルが前作で世界を救うほどの力を示したため、いまのうちに排除しておきたい――その目的でニコルは動いていました。

ニコルの裏切り正体発覚

教会で激突するウルとニコル、そこへ割って入ろうとするカレン。

彼女は「こんなの聞いてない!」と反発しますが、ニコルはカレンごと始末しようと動きます。

ウルはカレンを庇い、わずかな隙を作ったところでニコルがウルの胸に“聖なるヤドリギ”を深々と突き立てました。

ウルのフュージョン能力が奪われる

ヤドリギが突き刺さったとき、ウルは壮絶な痛みとともに光を放ち、絶叫。

ウルを救い出そうと奮闘するカレン、ゼペット、狼ブランカはかろうじてウルを抱えて逃走するものの、村はドイツ軍に制圧されてしまい、住民たちも捕らえられます。

これによりウルの体は呪いを受け、魔物の魂と融合する“フュージョン”能力を封じられてしまいました。

彼の精神世界「グレイヴヤード」には深刻なダメージが走り、すべてのフュージョン形態が消失し、今後は普通の戦士としてしか戦えない状況に。

さらにヤドリギの呪いは時間とともにウルの記憶や意志さえ奪っていく恐れがある……。

明るい未来が見えない展開に、ウルは強がりながらも焦燥を隠せません。

パリからウェールズへロジャー・ベーコン捜索と旅の始動

パリで傷を癒す

ウル、カレン、ゼペット、ブランカの4名は、ゼペットの拠点があるパリへ一時退避。

道中、呪いの影響でウルが体調を崩し、夜営する場面があったり、ゼペットが前作終盤の経緯やアリスの死について語ったりするシーンが挿入されます。

悲しみに沈むウルの姿に胸を痛めつつ、「私はあの人を助けたい」とカレンが心を決める流れが丁寧に描かれ、物語のテンションを底上げします。

ロジャー・ベーコンに望みを託す

パリに到着後、ウルは

「ヤドリギの呪いを解けるかもしれない人物」

として“ロジャー・ベーコン”という伝説の大魔術師の名を挙げます。

700年以上生きる怪人物で、前作にも登場し、ウルと面識がある存在。

ヨーロッパのどこか、イギリス・ウェールズ地方に潜んでいるらしいということで、一行は英国へ向かうことを決めます。

意外な人物・加藤政二との再会

渡英の旅路で、ウルは日本軍人・加藤政二と遭遇します。

前作で対立したが、最終的には協力した因縁の男。

彼もまた恋人(川島芳子)を喪っており、

「今は敵でも味方でもない。俺は俺の道を行く」

とだけ言い残し去っていきます。

プレイヤー的には

「えっ、加藤また出てきたの?」

と驚かされるところですが、のちの展開を思えばここが伏線に。

ロジャー誘拐事件

ウェールズに着くと、ロジャー邸は荒らされ、ロジャー本人は連れ去られた後でした。

代わりに届くニコルからの脅迫状

「生命再生の秘術書『エミグレ文書』を持って来ればロジャーを返す」

エミグレ文書とは前作でウルが入手し、危険ゆえに封印した“死者を甦らせる秘術書”。

にわかにきな臭くなってきます。

新仲間ヨアヒム&ルチア登場道中に花を添える個性派

エミグレ文書を手にニコルと交渉するため、各地を巡るウルたち。

道すがらの仲間加入シーンがまた濃いです。

吸血鬼レスラー・ヨアヒム

フランスの港町ルアーブルで合流するのがヨアヒム・ヴァレンティーナ。

見た目は筋骨ムキムキの覆面レスラーで、実は吸血鬼一族の出身。

痛快な静岡弁で話し、常にプロレス的ノリで行動するため、旅のムードメーカーとして突出。

バトルでは高い攻撃力を誇り、一撃の重さはパーティ随一です。

笑える言動も多いため、物語が暗くなりすぎないよう潤滑油的な役割を果たします。

妖艶な占い師・ルチア

イタリアのフィレンツェでは看板占い師ルチアが登場。

大人の色気ただよう雰囲気と独特の呪術(香りを使ったサポート技)を操り、パーティに加わります。

よく踊ったり、トンチキなリアクションを見せたりして、こちらも笑いを提供するキャラです。

彼女やヨアヒムによってパーティが一気に賑やかになり、旅の空気が明るくなるのが特徴。

その一方で、ウルのヤドリギ呪いはじわじわと進行しているという暗い要素との対比が、作品世界の魅力をより引き立てます。

エミグレ文書の受け渡しとロジャー救出罠と脱出劇

ニコルとの受け渡し場所へ向かい、ウルは仕方なく封印していたエミグレ文書を差し出しますが、相手は案の定裏切りを仕掛けてきます。

ウルたち全員が囚われ、拷問シーン(サピエンテス・グラディオの女幹部ベロニカのSMチックな責め)が始まるなど、かなり追い詰められた状況に陥ります。

ブランカの活躍

絶体絶命を打破するのが白狼ブランカ。

意外にも高い知能を活かし、鉄格子を破り、仲間を救い出すお手柄を見せます。

ここで起こるドタバタ劇はコミカル要素が前面に出ており、拷問というシリアスな題材をうまくギャグに落とし込む手腕が光るエピソード。

最終的にロジャーを解放し、その場から脱出することに成功するものの、エミグレ文書は奪われてしまいました。

ラスプーチンの影

ロジャーは700年の知識を総動員し、

「サピエンテス・グラディオの首謀者はロシアの怪僧ラスプーチンに違いない」

と断定。

ラスプーチンは皇帝夫妻を操り、ロシアを思うままに動かそうとしていると言います。

ウルたちはロジャーが造った飛行船を使い、ロシアへと移動開始。ここから物語は第二部のロシア編へシフトします。

ロシア編皇女アナスタシアと怪僧ラスプーチン

ロシア帝国では怪僧ラスプーチンが皇帝に取り入り、絶大な権勢を握っていました。

彼が密かに企む陰謀に気付いたのが皇女アナスタシア・ロマノフ。

14歳の少女ながら侍女の手を借りて盗み聞きを行ったり、暗殺者に狙われながら独自調査を進めていたところで命を落としかけます。

アナスタシア加入

そこへ飛行船で駆けつけたウルたちがアナスタシアを救出。

彼女はラスプーチンを倒すため、自分もウルたちに同行すると決意。

実在の人物アナスタシアをモデルに、ゲームではお転婆でチャーミングなキャラとして描き、敵を写真に撮る能力が戦闘やイベントで大活躍します。

皇女ゆえの威厳と子供っぽい茶目っ気の両方が魅力で、賑やかな旅になるのです。

初戦:ラスプーチンのバリア

ウルたちはラスプーチンを追い詰めようと動きますが、彼は魔術による無敵バリアを展開し、まったくダメージを受けません。

返り討ちに遭いそうになり、ひとまず退却を余儀なくされます。

エミグレ文書もこの陰謀に絡んでいると確信したロジャーは「どうにかしてバリアを破る力が必要だ」と話します。

破壊神アモンウルのフュージョンを取り戻す鍵

ここでロジャーが語る

前作ラスボスは実はラスプーチンの邪魔をしようと破壊神アモンを召喚しようとしていた

という情報は意外性があります。

アルバート・サイモンという前作の強敵がラスプーチンを止めようとしていたなんて、プレイヤー的にも複雑な気分になるところ。

アモン解放とカレンのサポート

ウルの中には前作で吸収した強大なフュージョンモンスター“破壊神アモン”が眠っています。

だがヤドリギの呪いで封じられている現状。

これを解放するべく、カレンが

「一緒にあなたの心の中へ行く」

と宣言し、二人でウルの精神世界“グレイヴヤード”に潜り込みます。

カレンとウルのやり取りには、悲しみを背負ったウルを支えたいというカレンの深い想いが溢れています。

一方ウルは死んだアリスへの愛情が消えず、カレンの気持ちに気づいていながらも距離を取る。

しかし最終的に「カレンがいるなら俺は負けない」という形で覚悟を固め、アモンを我が物として再度フュージョン能力を手に入れるのです。

ラスプーチン再戦~撃破

フュージョン形態アモンを取り戻したウルは、改めてラスプーチンに挑みます。

今度は無敵バリアを粉砕し、あと一歩まで追い詰める展開に。

ラスプーチンは契約魔神と自ら融合し怪物化しますが、最終的にウルたちが勝利。

皇女アナスタシアもホッと胸をなで下ろし、ロシアに一応の平穏を取り戻します。

瀕死のラスプーチンはウルに

「ヤドリギの呪いからは逃げられない。お前はいずれ心を失う」

と嘲り笑うや否や絶命。

ロシア編はここで決着し、次はサピエンテス・グラディオ残党との最終対決を求めて日本へ向かう流れとなります。

日本編ニコルとの最終決着と加藤の陰謀

ラスプーチンを喪失したサピエンテス・グラディオはもはやニコルくらいしか大物がいない模様。

彼は日本へ逃亡し、ウルたちも飛行船で極東へ移動。

ここで再登場するのが日本軍人の加藤政二。

彼はニコルと裏取引をしていましたが、それ以上に自分の目的を優先し始めています。

カレンの偽名「アンヌ」

1915年当時、日本はドイツと敵対関係にあるため、ドイツ少尉のカレンが素顔で行動すると厄介です。

やむなく彼女は「アンヌ」という偽名を名乗ります。

このアンヌという名前は、実はウルの母親と同名。

プレイヤーは「偶然?」と思いながらも、後々これが

とんでもない伏線である

と判明するのです。

ウルの従兄弟・犬神 蔵人(くらんど)

日本では、ウルの父方の血筋を引く青年・犬神 蔵人と出会います。

彼もフュージョン能力を宿す一族で、加藤やサピエンテス・グラディオの不穏な動きを察知していました。

蔵人は潔癖かつストイックな性格で、一族の誇りからウルを“いとこ”として認め、共闘に加わります。

こうしてウルのパーティは大人数になり、多彩な力を合わせて日本編を戦い抜くことに。

富士山地下の決戦ニコル(アスタロト) vs ウル+加藤

加藤のクローン実験

一方で加藤は、エミグレ文書の力を利用し、亡き恋人川島芳子のクローン“桜花”を作り出していました。

しかし桜花は本物の芳子とは別人で、加藤が求める完全復活にはほど遠い存在。

彼の心の空洞は深まるばかりで、

「世界ごと巻き戻してやり直すしかない」

という極端な考えを抱くように。

ニコル、堕天使アスタロトを召喚

ニコルは堕天使アスタロトの力を借り、富士山の噴火を引き起こそうとします。

もし富士山が大爆発すれば、日本は壊滅しかねない。

ウルたちは富士山地下へ飛び込み、アスタロトを宿したニコルと激突。

そこには加藤勢も絡む形で三つ巴の最終局面です。

桜花の犠牲

激しい戦いの末、ウルはアスタロトを倒す寸前まで追い込みますが、ニコルの執念が残り、加藤や桜花が巻き込まれる形に。

結果、桜花が加藤を庇って致命傷を負い、再び加藤は愛する女性を失う悲劇に見舞われます。

怒り狂った加藤はニコルを惨殺。

サピエンテス・グラディオの野望はここに崩れ去り、一件落着……とはなりません。

加藤自身がさらに大きな厄災となるからです。

アリス復活の誘惑加藤の宣戦布告とエミグレ文書の真価

加藤はウルに

「お前も本当はアリスを復活させたいんじゃないか?」

と唆してきます。

そして

「俺は世界を滅ぼす。嫌なら止めてみろ」

と挑発して姿を消す。

エミグレ文書には“死者再生だけでなく、時間を遡る秘術”が記されていると判明し、加藤はそれを応用して世界をまるごとやり直す気満々なのです。

ほんの一瞬の再会

「そんな話があるなら自分だって試したい」

とウルは禁断の儀式を決行。

死者復活の希望に賭けてアリスを呼び戻そうとします。

しかし、儀式の終盤で肉体が崩れ始め、完全な再生はならず。

かろうじて意識を取り戻したアリスがウルに「愛してる」と微笑みかけ、ウルが「俺も…!」と叫ぶと、アリスは光の中へ消滅してしまいました。

ウルは泣き崩れ、見守っていたカレンも号泣。

この場面は非常に印象深く、多くのプレイヤーが胸を締め付けられるシーンとして有名です。

呪いの進行

儀式が失敗に終わり、わずかな再会も夢と消えたウルは絶望に沈みながらも、加藤を食い止めねばと再度立ち上がります。

しかしヤドリギの呪いがさらに加速し、ウルは意識を失いがちに。

夢の中で前作冒頭の列車やアリスに出会い、「終わったらまたここで会おう」というやりとりを交わすなど、不穏と希望が入り混じった展開が続きます。

加藤との最終決戦時空の歪みと世界巻き戻し計画

加藤は時空の歪みと呼ばれる異空間でエミグレ文書を発動し、世界を100年前へ巻き戻そうとしています。

なぜ100年前?

それは加藤いわく

愛する芳子(桜花ではなく本物)がまだ子供で生きている時代

であり、世界戦争も起こっていない理想の過去だから。

ウルの選択

ウルたちは時空歪曲空間へ飛び込み、加藤と最終決戦。

死者の怨念が渦巻く中で激闘が繰り広げられ、ついに加藤を下すことに成功。

負けを悟った加藤は瀕死の状態で

「ここから世界へ戻るには、自分が望む世界を強く念じるしかない」

と教え、息絶えます。

仲間たちの帰還

時空の崩壊が始まり、ウルの仲間たちは次々と

「自分が望む幸せな世界」

へ帰っていきます。

ゼペットは娘を救えるかもしれない過去へ向かったり、ヨアヒムはプロレスの世界へ戻ったり、ルチアは占いの館へ帰ったり、アナスタシア&蔵人はロシアと日本の未来に向かい、ブランカは誰かを守りに行くような示唆で姿を消す。

それぞれが「これが自分の幸せ」と納得し、一人ずつ消えていくのです。

カレンとウル、ヤドリギの呪い、そして二つのエンディング

最後に残ったウルとカレン。

ヤドリギの呪いが最終局面を迎え、ウルの記憶と存在が霧散しそうになります。

カレンは必死にウルを抱きしめるが、光が二人を包み込んでいく。そこでプレイヤーの選択により、結末が2種類に分かれます。

エンディング1(グッドED)自分らしく生きること

  • ウル:魂の解放とアリスとの再会
    ウルが
    「記憶を失うくらいなら死を選ぶ。俺は俺でいたいんだ!」
    と覚悟を決め、ヤドリギの呪いと心中する形に。
    崩壊する異空間でウルは胸を貫かれ絶命しますが、その魂がグレイヴヤードから解き放たれた瞬間、天からアリスが降りてきて抱擁。
    二人が光となって昇っていくシーンは
    “ウルとアリスが最後に報われた”
    と多くのファンを泣かせました。
  • カレン:過去へ飛び、ウルの母アンヌとなる
    カレンが飛ばされたのは明治20年頃の日本。
    そこにはウルの父・日向甚八郎がおり、気絶したカレンを見つけます。
    彼女の手には“ウル三歳”と書かれた家族写真が握られていて、カレン自身が「アンヌ」としてウルを産む運命だったことが明かされます。
    つまり、タイムパラドックス的にカレンがウルの母になるという衝撃展開。
    カレンの気持ちを考えると切ないですが、
    「ウルのそばにいられるなら形はなんでもいい」
    という彼女の無償の愛を象徴する結末だと言えます。
  • 1914年列車へ戻るウル?
    エンディングのラストには、前作冒頭と同じ満洲行き列車が映り、ウルがそこに現れるかのような演出がなされます。
    これは
    ウルが再び過去に戻り、アリスとの出会いをやり直す
    という希望を示唆するもの。
    ファンからは“永遠にループしている”と捉える人もいれば、“違う未来を歩むチャンスを得た”と解釈する人も。
    いずれにせよ感動的な余韻を残す演出です。

エンディング2(もう一つのED)安らぎの中で生きること

  • ウル:記憶を捨てて生き延びる
    ウルが
    「俺はもう闘いたくない。安らぎがほしい」
    と思い、ヤドリギの呪いを受け入れる形。
    彼は生存こそするものの、記憶と意思を失ってしまい、別人同然に。
    数年後の1918年、第一次大戦終結後のイギリスで、ロジャー・ベーコンが「自分の息子だ」と偽ってウルを保護している様子が描かれ、希望らしきものはあるが切ない。
  • カレンはこちらでも過去へ
    カレンがアンヌとしてウルの母になる運命は変わりません。
    よってウルが自我を失ったまま生き続ける結末か、死んで魂が救われる結末かの違いで、カレン自身はウルの母親となる道を歩む点は共通。
    どちらの結末もある種「救い」を内包しつつも、完全なハッピーエンドではない“ビター&スイート”な後味が残ります。

カレン=アンヌの衝撃と「幸せ」の多様性

物語を語るうえで避けて通れないのが、

カレン=ウルの母アンヌだった

という時空を超えた大仕掛け。

カレンはウルに恋心を抱きながらも、ウルの心にアリスが存在しているのを知っている。

悲しむばかりかと思いきや、どんな形でもウルのそばにいたい――その最終到達点が

「母親として過去へ行き、ウルをこの世に誕生させる」

という展開なのです。

普通に考えれば衝撃的で、なんとも切ない選択ですが、カレンはこれを受け入れた。

これこそ彼女にとっての「幸せ」だと物語は示唆します。

本作全体で描かれるのは、ウルやカレン、加藤やニコルなど多くの人物が“自分にとっての幸せ”を求めた結果、善悪問わず大きな運命の歯車を回してしまう構造。

だからこそプレイヤーは色んな形の幸福や悲劇を目撃し、それぞれに心揺さぶられるのです。

史実とファンタジーの融合ラスプーチン、川島芳子、アナスタシア

もうひとつの大きな特徴は、実在の人物や事件をフィクションに大胆に取り込んでいること。

  • ラスプーチン:史実の怪僧。ゲームでは魔術を使い皇帝夫妻を操る黒幕として描写。
  • 川島芳子:清朝王女&男装の麗人として有名な実在の人物をモデルに、加藤の恋人として登場。
  • ロマノフ家の皇女アナスタシア:本来はロシア革命で悲運の最期を遂げたとされる少女が、本作では14歳の活発なヒロインの一人に設定されている。

歴史に忠実ではなく、むしろファンタジー色満載なのに、ちゃんと時代背景や地理を踏襲して物語を展開しているのが面白いところです。

北欧伝承のヤドリギや、プロレス吸血鬼ヨアヒムなど、突拍子もない要素と一緒にごちゃ混ぜにする手法こそ『シャドウハーツ』シリーズの醍醐味といえます。

コメディとシリアスの絶妙バランス

終始かなり深刻なストーリーを追う一方、ヨアヒムやルチアのボケ、ブランカの狼パロディイベント、さらにウル本人もちゃっかり茶化す場面が多くあり、プレイヤーを笑わせてくれます。

特にヨアヒムはプロレス技で敵を投げ飛ばす時のコミカルさが際立ち、ベロニカによる拷問シーンでもふざけて場を盛り上げたりと、飽きさせないキャラ筆頭。

前作に比べパロディネタも増量し、緩急の落差が感情を揺さぶる要因となっています。

バトルシステムと演出の進化

前作をベースに、コマンド入力+“ジャッジメントリング”を用いたタイミングアクション要素は健在。

さらにムービー演出やグラフィック、ボイス演出が強化され、戦闘シーンも派手に進化。

フュージョン形態のバリエーションが増えるとともに、仲間の必殺技もギャグやカッコよさが合わさって飽きさせません。

ストーリー面で特筆すべきは、

演出と音楽による感動効果

特にエンディングで流れる「月恋花」(諌山実生)は、カレンを彷彿とさせる切ない歌詞とメロディで、ラストシーンの感情をブースト。

前作のバッドエンドで落胆したプレイヤーに「さらにエモい涙」を流させる名シーンが完成します。

2種類のエンディングとファンの考察

グッドエンディング(ウル死亡・魂がアリスと再会)とバッドエンディング(ウル生存・記憶喪失)

どちらも見方によってハッピーともバッドとも取れる、複雑な余韻を残します。

  • 死んでも愛する人と一緒にいたい
  • 自分を捨てても生き延びる道を選ぶ

ウルは両極端な選択を迫られるわけで、プレイヤー自身が

「自分ならどちらを幸せと思う?」

と考えさせられるのが大きなポイントです。

さらにカレンに関しては両エンディング共通で

過去へ飛び、ウルの母になる

ここも賛否両論で

「衝撃展開で心がえぐられる」

という人もいれば、

「無償の愛を貫いたカレンが切なくも美しい」

という人も。

いずれにせよ強烈に印象的で、語り継がれる大きな要素となっています。

後日談と『フロム・ザ・ニューワールド』

2005年に『シャドウハーツ2 ディレクターズカット版』が発売され、ED後に『シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド』の予告編が収録。

次回作は1920年代のアメリカが舞台で、主人公たちも別人。

ウルやカレンの物語は直接続かず、

『シャドウハーツ2』が事実上の完結

となっています。

「もしシャドウハーツ2の後をもっと掘り下げる展開があったらどうなったのか……」

とファンは想像を膨らませるのですが、公式から明確なアフターストーリーは提示されていません。

そのため各自が“カレンはこう生きただろう、ウルはこうなっただろう”と想像し、長年議論が繰り広げられているわけです。

やり切れない悲哀と無償の愛が織り成す名作RPGまとめ

『シャドウハーツ2』は、バッドエンド後の物語を描くことで

「愛する人を失った主人公はどうやって生きるのか?」

という切実な問いを突きつけます。

その答えの一つがウルの新たな旅路であり、ヤドリギの呪い、仲間との出会い、世界を巻き込む陰謀、そして自分自身の“幸せ”を選ぶ最終決断に集約されていくのです。

さらにカレンの“時空超え”という予想外の展開も相まって、悲壮感や感動が桁違いに深まりました。

  • コミカルな仲間の存在によって暗さを抑えつつ、要所で泣かせにくる巧妙さ
  • 実在人物(ラスプーチン、アナスタシア、川島芳子)を大胆に織り交ぜる歴史+ファンタジーの融合
  • 最終的に2種類のEDが用意され、どちらを正解とするかはプレイヤーの解釈次第
  • カレンがウルの母親になるという衝撃的なオチが示す「愛の形」の奥深さ

こうした特徴が組み合わさり、

「ゲーム史に残る切なく美しい物語」

との呼び声も高い作品となりました。

なお、前作を踏まえたうえで本作をプレイするとキャラクター同士の絆や因縁がいっそう沁みますが、初見でも楽しめる作りです。

もし“泣けるRPG”に興味があるなら是非プレイを検討してみてください。

本作が問いかける「幸せ」とは最後に

『シャドウハーツ2』のストーリー全体を貫くのは「幸せ」をめぐる問答です。

  • ウルはアリスを失った悲しみをどう乗り越えるのか? ヤドリギの呪いに心まで蝕まれても生きる意味は?
  • カレンは想い人に振り向いてもらえないと分かりながら、彼の力になる道を選び、それどころか母親として見守る究極の“愛”を成し遂げる。
  • 加藤は愛する人を失い、世界そのものを呪う選択へ突き進む。
  • ニコルやラスプーチンなど敵役もまた、自分なりの理想や欲望を形にしようとしている。

物語の結末でプレイヤーがどちらのEDを選んでも、そこで描かれるのは決して“完全大団円”ではありません。

どちらも幸福と不幸が入り混じった切ない結末ですが、それこそが

「人の幸せは一筋縄ではいかない」

というテーマに直結しているように思えます。

本編を遊ぶほど、ウルが

「自分らしさを守る」か「安らぎを得る代わりに失うものがある」か

を考えさせられ、カレンという女性の想いの深さを知り、あらゆるキャラの背景に思いを馳せることになります。

そうして初めて、シャドウハーツ2の物語が問いかける「幸せとは何か」が、あなたの中で形を帯びてくるのではないでしょうか。

ポイントまとめ

  • バッドエンド続編:前作で恋人を喪った主人公のその後を描く
  • 呪われた主人公:ヤドリギの呪いに苦しむウル
  • 多彩な仲間:ヨアヒム(レスラー吸血鬼)、ルチア(占い師)、狼ブランカなど明るいキャラ多数
  • ラスプーチン編・加藤編:欧州~ロシア~日本を股にかけた壮大な規模
  • 死者再生と時間操作:エミグレ文書による禁忌の儀式、ほんの一瞬のアリス復活
  • カレン=アンヌ:ウルの母になる衝撃の展開
  • エンディング二種:どちらもビターエンド的要素が強いが、魂の救済 or 記憶を失い生存という対比
  • 史実要素:怪僧ラスプーチン、皇女アナスタシア、川島芳子などを大胆に登場させる
  • シリアス&コメディ:悲劇とギャグの振り幅が最高レベル
  • 涙腺崩壊RPG:ハンカチ必携の切ないフィナーレ

泣きゲー好きも、コメディ好きも一見の価値ありあとがき

こうしてストーリーを時系列順にざっと追ってみると、分量が相当あるうえ内容も濃密。

実際に本編をプレイすれば、ドンレミ村でのウルとカレンの出会い、ヨアヒムの筋肉ギャグ、アナスタシアのカメラ撮影イベントなど、文字では伝えきれない数々の名場面が待ち受けています。

戦闘での“ジャッジメントリング”システムは程よい緊張感を生み、長いダンジョン攻略でも飽きさせません。

何より物語のクライマックス、ウルとカレンの選択によるエンディングは何度見ても涙腺を刺激します。

他のRPGに比べて多少クセがあるかもしれませんが、

“重厚なドラマ+笑える要素”

という組み合わせが好きな方なら、きっと本作にハマるはずです。

もしここまで読んで興味を持ったなら、ぜひ実際にプレイしてウルたちの世界に浸ってみるのをおすすめします。

思わずコントローラを握りしめながら涙したり、

「カレン、そこまでしてウルの母になるなんて…」

と感情爆発させたりするプレイヤー続出の理由が、きっと分かることでしょう。

以上、「シャドウハーツ2のストーリーあらすじネタバレ!結末までチェック」という形で、冒頭からラストまで大きく駆け足で解説しました。

本記事は長文になっていますが、それでも細部まで網羅してもなお語りつくせない魅力を孕んでいるのがシャドウハーツ2という作品です。

壮大な愛と時間を超えた運命劇

に興味をお持ちの方、あるいは“涙腺クラッシャーRPG”を体験したい方は、ぜひご一読ください。

カレンの覚悟、ウルの選択、そして二人が目指す「幸せ」の先を、自分自身の目で確かめてみると、また違った感慨が得られるはずです。

きっと、あなたの心にも深く刻まれることでしょう。

-その他