風来のシレンシリーズ、すなわち「妙にハマって何度も死んじゃうけど、また挑戦したくなっちゃう」あの名作ゲームシリーズ。
1995年の初登場から2025年の今日まで、実に30年も私たちを楽しませてくれているんですよ!
「なんでそんなに長く愛されてるの?」って思う方、ちょっと待ってください。
今日はこのシリーズを「主人公シレンの年齢順」に並べて、彼の人生をなぞる形で全作品を解説していきます。
これがまた意外と深くて面白いんです!
実はシレンシリーズ、タイトルごとにバラバラの冒険を描いているように見えて、シレンという青年の年齢に沿った繋がりがあるんです。
10歳で鬼と闘った少年が、21歳で黄泉の神々に立ち向かうまでの軌跡、それはもう漫画の主人公も真っ青の大冒険。
「なるほど!そういう見方もあるのか!」
と思ってもらえれば嬉しいです。
ちなみに、シレンの年齢順だと発売順とはかなり違うので、「えっ、あの作品が一番古いの?」みたいな驚きもあるかも。
でもそれも含めて「不思議のダンジョン」的な魅力というわけです。
それでは、少年シレンが大暴れする最初の物語からスタートです!
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NINTENDO64, 2000年発売【シレン10歳】風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!
舞台とストーリー概要
シリーズの時系列では最古の物語! 主人公シレンはまだ10歳。
ナタネ村という和風テイスト満載の田舎で、語りイタチのコッパとすでにパートナーシップを組んでいます。
村では毎年「鬼祭り」という伝統行事が盛大に行われていたのですが、ある年、なんと本物の鬼が襲来!
「小学生相当の子どもが鬼と戦うとか、ちょっと無謀じゃない?」と思いますよね? でもシレンは素振り百回なんて朝飯前の少年。
身体能力が妙に高く、崖をロープウェイよろしく飛び回り、鬼軍師ガラハや巨大な赤鬼オヤブンとの戦闘に果敢に挑みます。
そんな勇敢さの裏には、仲間思いの素直な一面も。
この初々しさがシレン2の魅力でもあります。
城を築くというユニーク要素
シレン2の最大の特徴といえば「シレン城」の存在。
プレイヤーは木材やお金を集めて、自分だけの城を段階的に建設していきます。
「石垣を積む」「天守閣を飾る」「畑を増設する」
など、N64ならではの立体感も相まって、「ゲームの中で本格的にお城を作る」喜びが味わえるんです。
しかも、その城が最終決戦の舞台になるという。
10歳児に城建設とか、ちょっと無理がある気もしますが、風来人とはそういうものなんでしょう。
彼らの世界では、10歳でも30歳でも同じように怪物と戦えるのかも?
ラストバトルと結末
クライマックスでは巨大な赤鬼、オヤブンとの決戦!
「デカい!強い!でもなんか懐が深い!」というまさにボス感満載のキャラクターです。
熱い一騎打ちの末に敗北したオヤブンは、意外にも潔く「我が娘が惚れるだけの男だ」と認め、鬼たちを引き連れて撤退。
村に平和が戻り、建造を進めていた「シレン城」も完成して、華やかな花火でお祝いムード満点のエンディングを迎えます。
シレンは幼心に「自分はもっと世界を見て回るんだ」と思い立ち、また旅立っていくのでした。
10歳で親の許可もなく旅に出るあたり、現代の子育て基準では問題アリですが、まあファンタジーなので大目に見ましょう。
ちょっと深い考察と余談
シレン2は特に仲間キャラクターたちの人間ドラマが濃厚で、和やかな日常と鬼の脅威が見事に調和しています。
少年シレンが初めて「仲間と共闘する楽しさ」を知った作品とも言えるでしょう。
後年のシレンが何度死んでも立ち上がれるほど(ゲーム的に)タフになったのは、この子ども時代の体験があるからかもしれません。
10歳で鬼と戦って城まで建てちゃうなんて、そりゃあ度胸も付きますよね。
また、作中の鬼族は「絶対悪」というわけでもなく、オヤブンの潔さやガラハの情け深さなど、子ども向けの昔話のようでいて、どこか大人の侘び寂びを感じさせる奥深さがあります。
この絶妙なバランス感覚こそが、多くのプレイヤーを魅了してきた秘密なのかもしれません。
DC/PC, 2002年発売【シレン11歳】風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!
舞台とストーリー概要
「外伝」の名を冠していますが、時系列では『シレン2』の翌年に当たるエピソード。
主役はシレン本人ではなく、彼の相棒コッパが「女剣士アスカ」と組んで冒険します。
アスカはシレンの幼馴染的ポジションの女の子で、この時点でたった11歳。
でも彼女、すでに「冥王ラン」とか「八魔天」とか、不穏すぎる名前の敵とガチンコ勝負するんですよ。
11歳にしてこの活躍ぶり、今どきの小学生の習い事レベルを遥かに超えています。
鋼賀編と八魔天編という二部構成
本作は「一粒で二度美味しい」二部構成。
まずは「鋼賀編」。
アスカの父ジンパチが率いる忍者集団・鋼賀一族が何者かに操られて国内に混乱をもたらします。
犯人は植物妖怪の冥王ラン。
アスカは鋼賀城に乗り込み、なんと二段階変身するボスを撃破して父を救出します。
二段階変身って、まるでゲームの最終ボス感満載ですよね。
続く「八魔天編」では、また別の国で「八体の魔天」が祭具を奪って国中を荒らし回っています。
アスカは一体ずつ丁寧に討伐し、黒幕の「黒雷仙女」(名前からして強そう!)を倒して国を救います。
エンディングでは彼女がこの地に留まるか旅立つかの可能性を残しつつ幕を閉じます。
なぜ"アスカ見参"が外伝でも人気を誇るのか?
『アスカ見参!』は高難易度ダンジョンの豊富さと和風忍者ファンタジー要素、そして女性主人公ならではの視点が新鮮だったことから熱烈なファンが多い作品。
特に「鋼賀編」と「八魔天編」で二度おいしいストーリー展開が好評でした。
後にPC向けに移植されましたが、今では入手困難なレアタイトル扱いされることも。
いわゆる「幻の名作」的立ち位置です。
考察の一歩先へ
アスカは当時11歳で「シレン2」の10歳シレンとほぼ同年代。
この世界の子どもたちは、あちこちで妖怪相手に無双しているんですね。
ちょっとカオスな世界観です。
シリーズ後の『シレン3』でアスカが再登場することを考えると、実は「外伝」のはずが本編に深く関わる重要人物だったことがわかります。
余談ですが、アスカの父ジンパチは『シレン2』で触れられなかったシレンの父親像の対比として見ることもできるかも? ファンの間では様々な考察が飛び交っています。
「シレンの父親は風来人だから家を留守にしがち」説もあれば、「シレンは孤児」説まで。
公式からの明言はないので、想像の翼を広げるのも楽しいものです。
SFC, 1995年発売【シレン18歳】不思議のダンジョン2 風来のシレン
シリーズ初登場作品=シレン18歳?
スーパーファミコンで登場した「初代シレン」として有名な本作。
多くの人が「シリーズ第一作目」として認識していますが、公式年齢設定では、ここでのシレンはすでに18歳! 「えっ、シレン2のほうが実は過去の話?」と混乱する人も多いでしょうが、それもまた「不思議のダンジョン」らしい時間のねじれと言えます。
時系列が複雑なのは、まるで「スター・ウォーズ」のエピソード4から始まって後からエピソード1〜3が作られたような…なんてね。
実際は単に後の作品で設定が追加されたのでしょうが、こうした混沌もシレンの魅力です。
黄金郷を目指す旅
この作品では、テーブルマウンテン山頂に「黄金郷」があるという伝承を追う形で物語が始まります。
シレンとコッパはこばみ谷から少しずつ山を登っていきます。
途中の宿場町での交流や、お竜婆さん、旅の剣士ペケジとの出会いなど、ほのぼのしたひとときも。
「あー、のんびりした旅だなぁ」と油断していると、突然モンスターに襲われて装備が全部消えるという悲劇が訪れるのが、このゲームの残酷で魅力的なところ。
ローグライクの洗礼は厳しいですが、その分クリアした時の喜びもひとしお!
魔触虫との激闘、そして黄金郷へ
物語のクライマックスはテーブルマウンテン最深部での「魔触虫(ましょくちゅう)」との戦い。
大きなムカデかナメクジか、形容しがたいグロテスクな敵ですが、これを倒すと黄金のコンドルが出現!
コンドルはシレンたちを背中に乗せて、光り輝く「黄金郷」へと連れていってくれます。
シレンがそこで何を得たのかは、ゲーム内では明確には語られませんが、希望に満ちたBGMと共に「また旅立つ」姿で物語は締めくくられます。
シンプルでありながら余韻を残す結末は、ローグライクの原点そのものと言えるでしょう。
補足&考察
初代シレンの魅力は、極限までそぎ落とされた「ローグライク体験」と、山頂を目指すシンプルなストーリーが見事に融合している点。
一見シンプルでも、序盤で仲間になったペケジが後の作品『GB2 砂漠の魔城』で再登場するなど、シリーズの繋がりを感じさせる要素もあります。
「18歳のシレンがこんなに寡黙でストイックなのは、10歳のときに鬼と戦って城まで建てた経験があるから?」なんて考察もファンの間では盛り上がっています。
公式で明言されていない部分も多いので、各自の解釈を楽しめるのがこのシリーズの奥深さかもしれません。
GB, 1996年発売【シレン19歳(1)】風来のシレンGB 月影村の怪物
幽暗の月影村で始まる新たな恐怖
シレンが19歳になったある日、深い森でコッパとはぐれてしまい、山奥の「月影村」に迷い込みます。
この村、どうも様子がおかしい。
なんでも「毎年、子どもを供養峠に捧げる」という不穏すぎる風習があるらしいのです。
生贄にされようとしている少女フミを目撃したシレンは、「見て見ぬふりなんてできるか!」と例によって事件に首を突っ込みます。
正義感の塊というか、好奇心の塊というか…とにかく放っておけない性格なのがシレンの特徴ですね。
村の呪いと怪物オロチ
実はこの村の人々はみんな、夜になると怪物の姿に変わってしまう呪いにかかっていました。
しかも「村の近くの峠にいる怪物オロチに生贄を捧げ続けないといけない」という二重に呪われた状態。
フミと幼馴染のナギは必死に抵抗しますが、大人たちは「昔からの習わしだから」と諦めモード。
シレンは峠の奥へと進み、オロチの正体を突き止めます。
なんと「薬売りに化けていた男」が正体! さらに彼が呪いを悪用していたことも判明。
まるで日本昔話のダークバージョンみたいな展開です。
エンディングの余韻
シレンはオロチを倒し、フミやナギを救出。
村人たちも生贄の連鎖から解放されます。
ただし、呪いが完全に解けたのかどうかは明確に語られず、ホラーテイストの余韻を残しています。
まんが日本昔ばなし+ダークファンタジー
のような雰囲気は、シリーズ随一の和風ホラー作品と称されるゆえんです。
踏み込んだ考察
月影村の「満月に獣化する」呪いと「オロチが薬で人々を操っていた」という仕掛けは、他作品にはない強烈なインパクト。
シレン自身も呪いに巻き込まれそうになるシーン(実際にプレイするとハラハラします)や、「村人たちが完全に救われていなかったら?」と想像すると背筋がゾクッとする展開も。
あえて公式が断定せず、プレイヤーに解釈を委ねているのも、このゲームの魅力のひとつかもしれません。
後にシレンはさらなる冒険へと向かいますが、月影村での体験は彼の心に何らかの影を落としたのでは…
なんて想像も膨らみます。
2024年発売【シレン19歳(2)】風来のシレン6 とぐろ島探検録
最新作でありながら物語は未解明が多い
2024年に発売されたシリーズ最新作が『シレン6』。
『月影村の怪物』直後の物語という設定で、シレンとコッパはまた旅の途中。
ある夜、シレンは「巨大な蛇の腹の中から助けを叫ぶ少女」という奇妙な夢を見ます。
その夢に導かれるように辿り着いたのが「とぐろ島」という小さな島。
シレンの夢って予知夢なのかな?
それともただの悪夢?
いずれにせよ、彼の直感に従って冒険は始まるのです。
とぐろ島の混沌とした冒険
島には「お宝が眠っている」「怪物が出る」などの噂が広がり、冒険者や海賊たちがわんさか集まっています。
シレンたちは島の麓にある宿「うずまきや」を拠点に探索を開始。
途中、『アスカ見参!』で主役だった女剣士アスカが再登場するなど、ファンサービス満載! ちなみにアスカはすでに大人になっていて、シレンと同年代。
子ども時代の外伝から続く彼女の成長を見られるのも感慨深いポイントです。
ダンジョンは渦巻き状の地下洞窟など独特の地形が特徴で、まさに「とぐろ島」の名に恥じない設計。
ぐるぐると巻いた洞窟を進むのは、まるで蛇の体内を探検しているような錯覚すら覚えます。
物語のクライマックスと不明瞭な真実
島の山頂部には「ジャカクー」という巨大蛇が棲んでいて、どうやらこれが「シレンが夢で見た怪物」と同一視されています。
その体内に貴重な宝や少女の魂があるという噂も。
最終的にシレンはジャカクーを倒しますが、期待していた「宝」も「少女」も見つかりません。
「夢は一体何だったんだ?」というモヤモヤを抱えたままエンディングを迎えるという、かなり異例の結末です。
開発者インタビューでも「想像の余地を残した結末」と語られており、ファンの間では
「シレン7への伏線では?」
「実は蛇の正体はかぐや姫の遠い記憶なのでは?」
など考察合戦が繰り広げられています。
2025年3月現在も明確な答えは示されておらず、まさに「ダンジョンはここからが本番」というシリーズらしさ全開の作品と言えるでしょう。
深掘り視点未完を楽しむ作品
ローグライクゲームでは謎が解明されないまま終わることも珍しくありませんが、『シレン6』は特に「大きな謎が回収されない」点が特徴的。
一般的なRPGなら「ボスを倒す→宝を手に入れる→めでたしめでたし」という王道パターンですが、あえてそれを外すことで、プレイヤーに「自分なりの解釈」を委ねています。
14年ぶりのナンバリング新作として、あえて完結させず今後の展開の余地を残しているとも考えられます。
「とぐろ島の真実は何だったのか」という問いは、きっと次回作以降で明かされるのでしょうか…それとも永遠の謎として残されるのでしょうか。
それこそが「不思議のダンジョン」の醍醐味かもしれません。
2010年発売【シレン19歳(3)】風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ
南国テイストの孤島へ漂着
シレン19歳の冒険はまだまだ続きます。
今度はシレンとコッパが船で旅している最中に難破し、「カヒタン島」という孤島に漂着。
そこでいきなり「化け物」と疑われて磔にされかけるという恐ろしい展開から物語がスタート!
この島には「人を喰らう妖怪が潜んでいる」という古い伝承があり、外部から来たシレンがその容疑者にされてしまったというわけです。
「旅行先でいきなり処刑されかける」なんて、シレン史上最悪の観光体験かもしれません。
島に伝わる秘宝「神の眼」の謎
幸い巫女カミナがシレンを庇ってくれたおかげで一命を取り留めますが、今度は「人間だと証明したければ神の眼を見つけてこい」と島の支配者ジャガー神官から無茶ぶりが。
この「神の眼」こそ、島を護る聖なる宝で、島の真実を照らし出す力を持つという代物。
もちろん、ジャガー神官自身が「邪神」と契約した黒幕だったというオチもついています。
一般市民の信仰心を利用してのし上がるという、かなり現実的な悪党パターンですね。
邪神との決戦とカミナの救出
シレンは様々なダンジョンを攻略して神の眼を入手しますが、その頃にはジャガー神官が巫女カミナを生贄にして、「悪魔のヘソ」と呼ばれる祭壇で邪神復活を企てていました。
最終決戦ではジャガーと邪神が融合した怪物と激闘を繰り広げます。
勝利したシレンは「よく見つけたな、風来人の証をあげよう」という謎の褒賞を受け取りますが、「俺には旅があるから」という常套句でその土地に留まることはせず、いつものようにさっさと旅立ってしまいます。
「次回作のために旅立つ」という、ゲームの都合とシレンの性格が一致したエンディングとも言えるでしょう。
もうひとつの深層
「邪悪な神官が邪神と契約している」という展開はシリーズでは定番パターンですが、南国を舞台にした独特の文化や妖怪伝承が彩りを添え、ただの使い回しにはなっていません。
「神の眼」という秘宝の正体は明確にされていませんが、島を護る聖なる力であることは間違いなさそう。
マニアの間では「もしかして『砂漠の魔城』に登場するアテカ姫の秘宝と関連があるのでは?」なんて考察も。
同一の秘宝が世界中に散らばっているという設定なら、シレンが各地を旅するモチベーションにもなりますよね。
「神の眼集めの旅」なんて外伝があっても面白そうです。
2001年発売【シレン19歳(4)】風来のシレンGB2 砂漠の魔城
灼熱の砂漠と魔城
まだまだシレン19歳の冒険は尽きません! ここまでくると「19歳のシレンって何作品出るの?」と突っ込みたくなりますが、それが風来人の宿命。
今度の舞台は砂漠地帯の「ヤーナ皇国」。
シレンとコッパは砂漠で倒れているところを発見され、なぜか城の地下牢に囚われてしまいます。
そこで偶然出会った「アテカ姫」に救われ、物語が動き出すという展開。
王族の姫様に救われるなんて、なんだか逆転の発想ですよね。
邪神ザガンの復活騒動
この国では古代から「ザガン」という邪神が封印されていましたが、アテカ姫の父王がザガンに取り憑かれ、自分の娘を生贄にしようとまで画策。
親子関係が複雑すぎる!
シレンとコッパは、かつて初代シレンで知り合ったペケジらと再会して協力関係を結び、魔城の地下深くにある祭壇を目指します。
クライマックスではザガンの復活儀式が始まりますが、シレンの乱入で「黄金律」というものが乱れ、邪神は不完全な姿でしか復活できず、最終的に倒されます。
「乱入のタイミングが良かった」という、ちょっと力技めいた展開ですが、シレンの運の良さはいつものこと。
結末とその後
国王(アテカ姫の父)は滅び、アテカ姫が新たな統治者となることが示唆されるエンディング。
姫はシレンに深く感謝し、「風来人の証」を授けますが、もちろんシレンは「定住はしない主義でね」とまたも旅立ちます。
砂漠の大地に夕陽が沈む中、シレンとコッパのシルエットが遠ざかっていくラストシーンは、本当に絵になる美しさ。
「また別の土地で冒険が始まる」という無限の可能性を感じさせる終わり方です。
深読みポイント
『砂漠の魔城』はシリーズのオールスター感が強く、以前登場した仲間や敵、システムなどが集大成のように詰め込まれています。
「ザガン」という邪神は他作品でも名前が出てきますから、「実は一つの邪神が様々な形で世界を脅かしているのでは?」という想像も膨らみます。
神の眼、邪神ザガン、鬼王…作品ごとに名前は違っても「世界を脅かす何か」にシレンが立ち向かう構図はシリーズを貫くテーマです。
シレンはこれらの敵を倒すことで、少しずつ風来人としての成長を遂げているのかもしれません。
2010年発売【シレン20歳】風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス
運命を変える神に会いに行く壮大な冒険
ついにシレンも20歳に! 今度は「イノリの里」という村を訪れます。
村の外には「フォーチュンタワー」と呼ばれる巨大建造物がそびえ立ち、最上階には運命神「リーバ」が鎮座。
人々の望みを叶えると言われています。
ちょうどその村には「ジロキチ」という青年がいて、幼馴染の「オユ」が重病で余命わずか。
ジロキチはリーバの力でオユの運命を変えたいと切望しています。
「恋人を救いたい一心で危険な塔に挑む」という、まるでおとぎ話のような設定ですが、シレンの世界ではそれが現実。
フォーチュンタワー攻略
塔は「過去・現在・未来」の3つのフロアに分かれていて、それぞれに特徴的なモンスターが潜んでいます。
シレンやコッパに加え、パンダの着ぐるみ姿の少女「タオ」や元盗賊の侍「小次郎太」なども仲間になります。
パンダ着ぐるみって…なんとも不思議な取り合わせですが、それもシレンワールドの魅力。
このゲームでは仲間と協力して戦うシステムが特徴で、「一人で黙々とダンジョンを潜る」という従来のスタイルから一歩進化。
「みんなで力を合わせれば神にも勝てる」という展開に繋がっていきます。
運命神リーバとの対決
最上階でリーバに会ったジロキチは、オユの命と引き換えに自分の寿命を差し出す決断をします。
正直ここまで来ると「お互い死なずに済む方法を考えようよ!」と突っ込みたくなりますが、シレンがそれを実行! 「運命なんて諦められるか!」と言わんばかりに、リーバに真っ向勝負を挑みます。
これはサイヤ人レベルの度胸ですが、やはりローグライクの主人公は「神をも倒す」のが仕事。
最終的にリーバを撃破し、運命の法則が崩れた隙にオユもジロキチも共に生き延びるハッピーエンドを迎えます。
運命を書き換えるとは、まさに「ゲームオーバーから何度でもやり直せる」ローグライクの本質そのものですね。
もうひとつの深層
本作は「運命とは何か」というテーマに正面から取り組んでいます。
ゲームシステム上の「死んでも何度でもやり直せる」という特性を、物語でも「運命は変えられる」というメッセージに昇華させているのが面白いところ。
「タオ」という謎の少女の正体など、クリア後のダンジョンや追加イベントでさらに深まるエピソードもあり、考察好きには堪らない内容となっています。
「タオはリーバの化身?」
「未来から来た時間旅行者?」
など、様々な説が飛び交うのもファンの楽しみ方のひとつです。
2008年発売【シレン21歳】風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫
最終地点とされる物語
発売は2008年でも、時系列では最も未来——シレン21歳を描いた『シレン3』。
舞台は「ヲチミヅ峠」という、なんとも怪しげな名前の峠道。
薄暗い古寺やからくり仕掛けの屋敷があり、シレンの師匠「センセー」や不老不死の姫「かぐや姫」などが登場して、一気に和風伝奇ミステリー感が増しています。
これまでの冒険が「鬼や邪神退治」という比較的わかりやすい悪との戦いだったのに対し、この作品では「黄泉の国」「かぐや姫の秘密」など、日本神話的要素が色濃くなっているのが特徴です。
黄泉の国とイザナミ、徐福の暗躍
物語の核心は、かぐや姫が千年もの間眠り続けている理由と、黄泉の大神「イザナミ」の陰謀にあります。
イザナミに仕えているのが「徐福」。
これが歴史上の徐福、つまり秦の始皇帝に不老不死薬を求められた道士その人という設定で、すでに人外の姿に変貌しています。
センセーはシレンの母を徐福に奪われた過去があり、壮絶な復讐劇も絡んできます。
シレンの家族の謎、師弟関係、母との別れ…これまで語られてこなかったシレンの個人的背景にも踏み込む内容です。
結末はかぐや姫の消滅
クライマックスでは、イザナミが黄泉の国と現世を繋ごうとしますが、センセーが自ら徐福を取り込んで魔神化。
シレンがそれごと打ち倒すことで、黄泉への扉を閉じます。
まさに壮絶な展開!
イザナミは黄泉へ退き、センセーはなんとか生き延びますが、かぐや姫は力を使い果たしてシレンの腕の中で塵となり消滅。
シレンは深い悲しみに包まれながらも、師匠と共に新たな旅へと出発するラストシーン。
シリーズ屈指の感動と哀しみを誘うエンディングです。
深い余韻と評価
当時は「会話やイベントシーンが多すぎる」「ローグライクらしくない!」という批判もありましたが、時を経るにつれ再評価されてきました。
シレンの「血筋」や「黄泉の力」など、深いところに踏み込んだストーリーが、「完結編」としての意味を持つと見る向きも多いようです。
シレンが涙を流す姿は他作品では見られず、彼の人間的な側面が強調されています。
21歳のシレンが「自分の宿命」と真正面から向き合った集大成とも言えるでしょう。
シレンが成熟した一人の青年として描かれる貴重な作品です。
運命に抗いながら旅を続けるシレンという男総括
「シレン城の少年」から始まり、「女剣士アスカの外伝」「初代シレン」「19歳の怒涛の連作」「運命神と戦うシレン5」「最後にシレン3」という順で、全9作品の時系列を追ってきました。
発売順やタイトル番号はバラバラですが、年齢順に並べ替えると、シレンという青年の一生が鮮やかに浮かび上がります。
鬼族との対決、邪神との死闘、そして黄泉の大神イザナミへの挑戦まで、シレンはどんな窮地でも投げ出さず、何度ダンジョンで倒れようと再び立ち上がります。
これはゲームシステム上の「何度でもやり直せる」特性と見事に重なり、「絶対にあきらめないことが冒険を切り開く」というメッセージを体現しています。
「なぜシレンは毎回旅を続けるのか?」
という問いは、このシリーズの核心に触れる重要なポイント。
特に『シレン3』でのかぐや姫との悲恋とも呼べる別離は、シレン自身も深い傷を負いながらも、それでも前へ進む覚悟を示した重要な転機でした。
多くのファンはこれを「シレンの物語の完結」と見なしています。
一方で『シレン6』のように未解決のまま終わるシナリオがあるのも興味深いですね。
あの少女は誰だったのか、真の宝は何だったのか…
クリア後ダンジョンを攻略しても明かされず、ファンの想像を掻き立てています。
このあたりの「明確な答えを提示しない」姿勢も、不思議のダンジョンシリーズの魅力のひとつでしょう。
短期配信作品や外伝など、ここで紹介しきれなかった作品も数多くあります。
例えばBS版『スララを救え!』などのレアな番外編もあり、それらを含めるとシレンの冒険はさらに広がりを見せます。
気になる方はぜひ調べてみてください。
10歳で鬼を倒し、城を建て、18歳で黄金郷を目指し、19歳で複数の邪神を撃破、20歳で運命神に勝利、21歳では黄泉の女神イザナミまで退ける…
「いくらなんでも強すぎるでしょ、シレン!」
というツッコミはさておき、これが「風来のシレン」という作品群の骨格です。
少年漫画の主人公が毎週新たな強敵を倒していくように、あるいは海外出張を繰り返すワールドワイドな営業マンのように、次々と危機に飛び込んでいくシレン。
その姿に漂う人間味、哀愁、そしてユーモアこそが、このシリーズ最大の魅力ではないでしょうか。
もし未プレイの作品があれば、ネタバレを知った今でも十分楽しめるのがシレンシリーズの奥深さ。
ゲームの真髄は「ダンジョン内で予期せぬ出来事が起こること」と「自分の失敗や成功が積み重なる体験」にこそあるのですから。
ストーリーを知っていても、実際にプレイすれば全く新しい物語が生まれるのがローグライクの魅力です。
どの作品から始めるべきか迷うかもしれませんが、どれでもOK! 一度死んでもやり直せるのがローグライクです。
「どんな運命も変えられる」という精神で、ぜひチャレンジしてみてください。
今後また新作が出れば、ジャカクーの真相やシレンのさらなる冒険が描かれるのでしょうか。
もしかすると『シレン7』では老シレンが登場…なんていう展開があるかも? いずれにせよ、「風来人の旅は終わることがない」という可能性を示し続けてくれるシリーズです。
さあ、あなたも今日からシレンの世界へ飛び込んでみませんか? 何度死んでも立ち上がる不屈の冒険魂が、あなたの中にも少し宿るかもしれませんよ。
「不思議のダンジョンは、ここからが本番」ですから!