ファイナルファンタジータクティクス(以下FFT)は、1997年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)からリリースされ、いまだに根強い支持を集めるシミュレーションRPGです。
中世ヨーロッパ風の世界「イヴァリース」を舞台に、王位継承や教会の暗躍、そして真の英雄が歴史から抹消されるという衝撃的テーマが展開されます。
朝の通勤電車で立ったまま片手でスマホゲームをプレイするのが日課の私ですが、このFFTのストーリーは「洗濯機に詰め込みすぎた洗濯物」のように複雑で奥深く、隙間時間でサクッと理解できるものではありません。
今回はネタバレ全開でお届けしますので、未プレイの方は「初めて行く焼肉店で高級メニューばかり頼む」くらいの危険を伴う覚悟をお願いします。
でも大丈夫、それだけのリスクを負ってでも読む価値のある作品なんです!
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混沌と陰謀の渦巻く大地FFTとイヴァリースの世界
FFTは、「ファイナルファンタジー」シリーズの中でも異色の"タクティカルRPG"として登場し、後に「イヴァリースアライアンス」と呼ばれる作品群の原点になりました。
1997年発売のPS版を筆頭に、2007年のPSPリメイク版『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』で追加要素や新規ムービーが導入され、スマホ版などでも遊べます。
この世界「イヴァリース」は、中世ヨーロッパを思わせる封建制社会が色濃く、王族や貴族、騎士団が強大な権力を持ちます。
一方で、グレバドス教会という宗教組織も王家に匹敵する影響力を持っており、その裏では聖石(秘石)をめぐる暗躍が…。
夫の実家の階層関係より複雑なこの世界では、王位継承争い「獅子戦争」が進行中。
白獅子(ラーグ公)と黒獅子(ゴルターナ公)の争いは国を二分し、イヴァリース全土を荒廃させています。
貴族たちは自分の利益のため王族を「バーゲンセールの売れ残り品のように」利用しているんですよ。
わが家の冷蔵庫整理でも同じことが言えますが、「使えるものは徹底的に使いつくす」という点で、彼らの合理性には感心します。
運命を分かつ二人の若者ラムザとディリータ
FFTのストーリーを動かすのは、事実上の「二人の主人公」。
名門ベオルブ家の末弟ラムザと、平民出身のディリータです。
かつて固い友情で結ばれていた二人ですが、ある事件を機に運命が大きく分かれます。
ラムザは「どこまでもブレない正義の人」。
わが息子が「ママの手作りおにぎりが一番!」と言いながら翌日にはコンビニおにぎりを買ってくるような裏切りとは無縁の男です。
たとえ貴族という身分や家名を捨てることになっても、真実と仲間を守るために戦い続けます。
一方、ディリータは「利用される者から利用する者へ」と変貌します。
彼の妹ティータが「貴族の都合」で命を落としたことがきっかけで、貴族社会そのものを憎み、権力を得るために冷酷な道を歩みます。
私が満員電車でお年寄りに席を譲った後、横から来た若者が素早くその席を奪ったときのような「世の中、善人が損する」システムを体感したんでしょうね。
二人の対比が物語の核心です。
ラムザは最後まで信念を貫き通し、実際に世界を救いますが、"異端者"として歴史から消されます。
ディリータは権謀術数で成り上がり、表の歴史には"英雄王"として名を残します。
壮大な陰謀と翻弄される運命(完全ネタバレ)FFTのストーリー
物語は、獅子戦争の最中、オヴェリア王女が何者かに誘拐されるところから始まります。
ラムザがその場に居合わせ、驚くべきことに誘拐犯はかつての友ディリータだと知ります。
「死んだはずの友がなぜ?」という疑問を抱きつつ、一年前の出来事へと回想が始まるんです。
一年前、ラムザとディリータは士官学校の仲間として盗賊団討伐任務に当たっていました。
ところが、貴族たちの冷酷な判断でディリータの妹ティータが非業の死を遂げます。
これが二人の人生を決定的に変える転機に。
夫の両親と同居を始めた時の私のように、ディリータの世界観は完全に変わってしまったんです(ちなみに義母は天使です)。
一年後、再び物語は現在に戻り、誘拐されたオヴェリア王女を追うラムザ。
やがて彼は、教会が「聖石」を集め、古代の悪魔ルカヴィを復活させようと企んでいることを知ります。
スーパーのポイントカードを集めるように聖石を集める教会ですが、その目的は世界征服という大それたもの。
夕食の献立を決められない私とは大違いの野心家たちです。
最終的にラムザは各地の聖石を集めるルート上で、教会の首謀者と対決。
そして最高位のルカヴィ「聖天使アルテマ」との決戦を経て、世界崩壊の危機を防ぎます。
しかし、地上に戻るとディリータが獅子戦争を収束させ、平民出身ながら王となって"英雄王"と謳われています。
皮肉なことに、世界を救ったラムザは教会によって"異端者"として記録を抹消され、歴史から消えます。
私が長崎の実家から東京に出てきた時、高校の同窓会名簿から名前が消えていたときのショックに似ていますが、ラムザのケースはもっと壮大です。
ラムザは生き延びた?結末と"抹消された真実"
エンディングで示唆されるラムザの生存説は、長らくファンの間で議論を呼びました。
アルマの葬儀に二人がチョコボに乗って現れるシーンは幻なのか現実なのか?
後年、開発スタッフの松野泰己氏が「ラムザたちは爆発から生還し、新天地へ旅立った」と公式に述べており、生存は確定していますが、それでも「史実に残らない異端者としてひっそりと姿を消した」という点が切なさを増します。
一方、"英雄王"となったディリータはエンディングで愛するオヴェリアに刺され、彼女を自分の手で殺めてしまうという悲劇に見舞われます。
多くの犠牲を払い権力を得たのに「俺は何を手に入れたんだ……?」と呟くディリータ。
我が家の冷蔵庫にあるダイエット食品を見つめながら同じことを思う私の姿と重なります。
この
「表向きの勝者が実は空虚」
「表向きの敗者が実は救われる」
という対比が、FFTの醍醐味。
歴史は「デュライ白書」という資料によって数百年後にようやく真実が明かされるという設定も、「いつか子供が大人になった時、私の家事の大変さが分かってくれる」という淡い期待に似ていますね。
宗教的腐敗の象徴聖石の真相とルカヴィの正体
FFTの後半で明らかになるように、グレバドス教会は聖アジョラという預言者を神格化する一方で、実は「聖石で悪魔ルカヴィを目覚めさせ、権力を握ろう」としていました。
「ゾディアックブレイブ」の伝説も、教会が自分たちに都合よく改変したものである可能性が高く、下手なミステリー小説よりも遥かに陰謀めいています。
私がダイエットサプリの効果を信じてしまうくらい素直ですが、イヴァリースの民も教会を盲信し、その結果として真実が歪められていくんですね。
最高位のルカヴィ「聖天使アルテマ」は名前こそ天使っぽいですが、正体はむしろ邪神に近い存在で、ラムザの妹アルマを依代に復活しようとします。
広がるイヴァリースの世界FFTと関連作品
FFTは後に「イヴァリースアライアンス」と呼ばれる作品群へと発展します。
『ファイナルファンタジータクティクス アドバンス』(GBA)や『FFTA2 封穴のグリモア』(DS)は、同じイヴァリースが舞台ですが、現実世界からファンタジー世界へ飛ばされる少年少女の物語という別のテイストになっています。
私が上京した時のカルチャーショックのようですね。
PS2版『ファイナルファンタジーXII』はFFTの約1200年前を描く作品で、世界観上の共通点も多く、PSP版FFTではFFXIIのバルフレアがゲスト参戦するなどのコラボ要素があります。
『ベイグラントストーリー』も同じイヴァリースアライアンスに含まれていますが、直接的なストーリーの繋がりは薄めです。
もう一つの可能性開発秘話と没になったプラン
知ってましたか?
FFT制作当初はラムザ編・ディリータ編に分けて交互に進行させる構想があったそうです。
しかし、スケジュールや容量の都合で一本化され、主にラムザ視点の物語になりました。
ディリータの独自イベントシーンはその名残とも言われます。
「もう一つの展開」があったんですね…。
わが家の夕食メニューにもう一つの可能性があったように。
FFTの爆発的ヒットを受け、続編「FFT2」も検討されましたが実現せず、代わりにGBA向けに『FFTA』が発売されました。
「FFT2でラムザの後日談が描かれるかも?」と期待したファンの気持ちは宙ぶらりんのままですが、それがFFTAという新たな展開につながったとも言えます。
25年経っても尽きない考察ファンの議論と解釈
FFTは25年以上経った今でも、「やかんが噴き上がるような」熱い議論を呼び起こしています。
特に以下のような論点が盛んに議論されています。
ディリータは善人か悪人か?
復讐心から多くの人を駒として利用した彼を、どう評価すべきか?
娘の運動会で場所取りに奮闘する親のような執念を感じるディリータですが、その目的は個人的なものから国家的なものへと変化していきます。
ラムザたちの"その後"はどうなった?
松野氏の「生き延びて旅立った」という言及以外、具体的な展開は示されていません。
わが家の息子が「いつか宇宙飛行士になりたい」と言っているのと同じくらい、その後の展開は想像に委ねられています。
2025年時点での状況リマスターへの期待
2025年3月現在、「FFTリマスター説」がたびたび話題になっています。
スクウェア・エニックスは名作タイトルの再生に力を入れており、2022年には『タクティクスオウガ リボーン』も発売されました。
NVIDIAのデータベースに"Final Fantasy Tactics Remaster"の名があったという報道もあり、ファンの期待は高まるばかり。
リマスターがもし実現すれば、PSP版『獅子戦争』の追加要素を含め、HDグラフィック化やロード高速化が期待できます。
わが家の古いお鍋をIHコンロに置き換えるくらいの劇的な変化があるかもしれませんね!
25年経っても色褪せない理由FFTの魅力
FFTが長年愛され続ける理由は、以下の要素が絡み合う唯一無二の存在感にあります。
- 中世風の封建社会に潜む不平等と差別
私が小学生の息子に「ママも昔は自分の道を切り開いたんだよ」と語るように、ディリータも身分制そのものを壊すために権力を求めます。 - 宗教権力の暗部と真実の隠蔽
通勤電車で化粧直しをする人々の裏に隠された素顔のように、教会も表の顔と裏の顔を持っています。真実を追究したラムザが"異端者"とされる展開は、歴史改ざんの恐ろしさを示唆します。 - 二人の主人公が示す対照的な結末
ラムザは歴史から消されつつも、最後まで"正義"を貫き通しました。一方、ディリータは賞賛される王となりながら、最愛の人を失います。まるで「仕事をバリバリこなしながらも家庭では苦労する」私の姿と「家庭に全振りして社会的評価は二の次」な専業主婦の友人のような対比です。 - 戦略RPGとしての完成度
ジョブ&アビリティを組み合わせる自由度、高低差や向きによるダメージ計算、CTゲージによる速度管理など、「すきま風の多い古民家のように手強い」プレイ体験が魅力です。長崎の実家のように、ちょっと住みにくいけど愛着が湧くんですよね。 - 勝者の歴史と、抹消される真実の皮肉
「歴史は勝者が書き、敗者の真実は隠される」というテーマは、ファンタジーの枠を超え、現実にも通じる普遍的な問題提起です。
変わらぬ名作の輝き終わりに
FFTの物語は「子どもの頃に夢見たおとぎ話の勇者」の光と、「現実の理不尽や権力闘争」の暗部を同時に提示します。
最初は「タクティクスRPGだから難しそう」と敬遠するかもしれませんが(私も最初はそうでした!)、いざプレイすると駆け引きが楽しく、ストーリーは大河ドラマ級の濃密さ。
「勝者が歴史を作る」という結論が突き付けられても、決して暗い印象で終わらないのがFFTの醍醐味。
「歴史に残らなくとも、世界を救う意思を貫いたラムザ」の姿に希望を見出せるからこそ、25年以上語り継がれるのではないでしょうか。
いつリマスターが発表されるか分かりませんが、その日を待ちながら、本編をプレイしたり『獅子戦争』の美しいムービーを楽しんだりするのもいいですね。
わが家の息子に昔話をするように、FFTの物語も永遠に語り継がれていくことでしょう。
フルタイムで働きながら副業のライターもこなす私ですが、通勤電車でぼんやり考えることが多いのは「ラムザとディリータ、どちらの道が正しかったのだろう?」ということ。
答えはきっとないんでしょうね。
でも、それを考え続けることに意味があるんです。
それこそがFFTという名作の真髄なのかもしれません。