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Falloutシリーズのストーリーを時系列順に結末までネタバレ

超ネタバレ警報

マジで全部バラします!

OK、皆さん、心の準備はいいですか?

この記事は、あなたがこれからプレイするかもしれない、あるいはもうクリアして「あの感動をもう一度…」なんて思ってるかもしれない『Fallout』シリーズの、ストーリーの核心、衝撃の結末、キャラクターの生死、裏設定まで、ぜーんぶ!

余すところなく!

書いてしまいます!

初代から『4』、『76』、『New Vegas』、ちょっとマイナーなスピンオフ、そして世界中をザワつかせたAmazon Prime Videoの実写ドラマまで、根こそぎネタバレします。

「え、そんな結末だったの!?」って知りたくない方は、お願いですから、今すぐブラウザバック! 戻るボタン連打! 後悔先に立たず、ですよ?

…それでも「知りたい!」という、好奇心旺盛すぎるそこのアナタ。

ようこそ、究極のネタバレ・ウェイストランドへ。

自己責任、という名のVaultスーツをしっかり着込んで、読み進めてくださいね。

さあ、覚悟を決めて、Pip-Boy(みたいなスマホ画面)をスクロール!

いやー、それにしても『Fallout』って、なんでこんなに面白いんでしょうね?

核戦争後のボロボロになった世界ですよ? 普通に考えたら「絶対住みたくないわー」って場所なのに、なぜかコントローラー(あるいはマウス)を握りしめて、何時間も徘徊しちゃう。

あの独特のレトロフューチャー感、ちょっと皮肉めいたユーモア、そして「あなたならどうする?」って突きつけられる重い選択。

気づけば、放射能まみれの荒野が、妙に居心地よく感じちゃったりして。

不思議ですよねぇ。

私もね、普段はしがない会社員やりつつ、副業でウェブライターなんてやってるんですけど、このFalloutシリーズの深さには、もう、ただただ脱帽なんです。

1997年の初代から、最新のドラマまで、ずーっと続く壮大な物語。

作品ごとに主人公も舞台も違うのに、全部ちゃんと繋がってる。

でも、その繋がりがまた複雑で!「あれ? あの組織って結局どうなったんだっけ?」「ドラマで出てきたアレって、ゲームのどの話と関係あるの?」なんて、考え始めると夜も眠れない(というのは嘘で、通勤電車で爆睡してますけど)。

特に、2024年の実写ドラマ! あれはヤバかったですね。

面白すぎて一気見しちゃいましたけど、同時に「えええ!? シェイディ・サンズがあんなことに!?」「Vault-Tec、お前が黒幕だったんかい!」って、長年のファンほど頭を抱えるような新事実がボロボロ出てくる。

もう、Fallout世界の歴史年表、大幅に書き換えですよ。

というわけで、この記事を書くことにしたんです。

この広大すぎるFalloutサーガの全貌を、最新情報(2025年4月現在!)まで含めて、時系列順に、ガッツリネタバレしながら、可能な限りわかりやすく整理してやろうじゃないか!と。

各作品のあらすじと結末はもちろん、重要な出来事、個性豊かすぎるキャラクターたち、ウェイストランドを牛耳る(あるいは牛耳ろうとしてる)組織のあれこれ、そしてファンの間で囁かれるディープな考察まで、詰め込めるだけ詰め込みました。

この記事を読めば、あなたも立派なウェイストランド歴史学者(自称)になれるはず!

長年のベテランVault居住者の方も、ドラマから入ったニューカマーの方も、きっと新たな発見があるはずです。

さあ、スティムパック(みたいなエナジードリンク)片手に、200年以上にわたる壮大なウェイストランド・クロニクルの旅へ、レッツゴー!

…あ、くれぐれも放射能汚染には気をつけてくださいね?(精神的な意味で)

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ウェイストランド時間旅行ガイド年表で見るFalloutシリーズの歴史

まずは基本の「き」。

広大なFalloutの世界を迷わず旅するために、歴史の流れをざっくり掴んでおきましょう。

大戦争前から最新の出来事まで、主要なポイントを年表にまとめました。

これさえあれば、あなたも時間旅行の達人!…になれるかは分かりませんが、話の流れは掴みやすくなるはず。

年代・年月日出来事・作品 (ざっくり言うとこんな話)
【戦前】~2077年キラキラ(?)未来と忍び寄る破滅: 50年代文化と原子力技術が融合した奇妙な世界。

でも資源は枯渇、世界中で戦争勃発(資源戦争)。

アメリカも中国とバチバチ。

そんな中、Vault-Tec社が「安全な地下生活(ただし実験付き)」をご提案。

そしてついに…

2077年10月23日グレートウォー(大戦争)勃発: 米中(と多分Vault-Tec)による「核の花火大会」開催。

たった2時間で世界は焦土に。

文明リセット完了のお知らせ。

Vaultに逃げ込めた人以外は、だいたいアウト。

ウェイストランド時代の幕開け。

2102年~ (継続中)Fallout 76: 大戦争から25年後。

模範的(?)Vault 76オープン!「さあアメリカを再建したまえ!」…って外に出たら、謎の疫病「スコーチ」でほぼ全滅状態!? なにそれ聞いてない! アパラチアの復興と新たな脅威との戦いは、今日もどこかで続いている(オンライン)。

シリーズ最古の物語。

2161年~2162年Fallout (初代): 大戦争から84年。

Vault 13の水不足を救うため、主人公(Vaultの住人)がお使いに。

無事クリア!と思ったら、今度は緑の巨人「スーパーミュータント」とその親玉「マスター」を倒すハメに。

世界を救ったのに、なぜか故郷から追放されるという理不尽エンディング。

伝説はここから始まった。

2197年~Fallout Tactics: (準正史かも?) B.O.S.の一部隊が中西部に不時着。

「ここで生きていく!」と現地採用(ミュータントやデスクローも!?)で独自路線へ。

レイダー、ミュータント、そして狂ったAI「カリキュレーター」と戦う、ちょっと毛色の違う戦術ゲー。

後の作品でチラッと存在が匂わされる。

2208年頃Fallout: Brotherhood of Steel (PS2/Xbox): (これは非正史!) テキサスが舞台のアクションRPG。

B.O.S.新兵が悪のミュータント将軍Attisの野望(子作りミュータント計画!?)を阻止するぜ!…という、色々とはっちゃけたスピンオフ。

公式の歴史年表からは抹消済み。

2241年~2242年Fallout 2: 初代から80年後。

初代主人公の孫(選ばれし者)が、滅びかけの村を救うため、奇跡のアイテム「G.E.C.K.」を探す壮大な旅へ。

途中で明らかになる、戦前政府の亡霊「エンクレイヴ」の恐るべき人類浄化計画! 石油リグをドカーン!して、西海岸の未来を切り開く。

NCR台頭のきっかけに。

2277年Fallout 3: 舞台は東海岸、ワシントンD.C.跡地へ。

Vault 101から失踪した父を探す主人公(孤独な放浪者)が、首都の水を綺麗にする計画「プロジェクト・ピュリティ」を巡る戦いに巻き込まれる。

復活したエンクレイヴを再び叩き潰し、ウェイストランドに綺麗な水を! B.O.S.東海岸支部が大活躍(&影響力増大)。

2281年Fallout: New Vegas: 舞台は再び西部、今度はネバダの砂漠へ。

頭を撃ち抜かれた運び屋(クーリエ)が奇跡の復活! 復讐の旅はいつしか、モハビ砂漠の覇権を争うNCR(民主主義だけど問題山積)、シーザー・リージョン(規律正しいけど超圧政)、Mr.ハウス(ハイテクだけど独裁)の四つ巴ギャンブルに発展。

誰に賭ける? 正史は神(とBethesda)のみぞ知る。

2287年Fallout 4: 舞台は東海岸、ボストン周辺「連邦」。

核戦争直前に冷凍睡眠させられた主人公(唯一の生存者)が210年ぶりに目覚める! 誘拐された息子を探す旅は、人間そっくりな人造人間「シンス」とその創造主「インスティチュート」を巡る、B.O.S.(さらに過激化)、レールロード(シンス解放!)、ミニッツメン(住民の味方!)との複雑すぎる派閥闘争へ。

「家族」とは?「人間」とは? 究極の選択。

これも正史は未定。

2296年~ (継続中)Amazon実写ドラマ「Fallout」: ゲーム世界の公式な続編。

カリフォルニアを舞台に、Vault 33育ちのお嬢様ルーシー、B.O.S.隊員マキシマス、200歳超えグールのクーパー・ハワードの3人が、無限エネルギー技術を巡って大冒険(&大迷惑)。

Vault-Tec社の真の邪悪さ、そしてNCR首都シェイディ・サンズ消滅の衝撃の真相が明らかに! シーズン2も決定! 見逃せない!

未定Fallout 5: いつか、きっと、出るはず…! どの時代、どの場所が舞台になるのか? ドラマの影響は? 世界中のファンが首を長くして待っている、未来のウェイストランドの物語。

2077年以前~なぜ世界は燃えたのか?~華やか(?)でアブない戦前世界

さて、全ての始まり、大戦争前の世界について、もう少し詳しく見ていきましょうか。

なんであんな輝かしい(ように見えた)未来が、一瞬で灰になっちゃったのか。

その理由を知ると、ウェイストランドの出来事がもっと深く理解できるはずです。

想像してみてください。

街にはピカピカの原子力自動車が走り、一家に一台お手伝いロボット「Mr.ハンディ」がいて、喉が渇けばキンキンに冷えた(そして微量の放射性同位体が入った)「ヌカ・コーラ」を飲む。

テレビではハンサムな俳優(クーパー・ハワードとかね!)が活躍し、ラジオからは陽気なジャズが流れてくる…。

まるで50年代アメリカの夢がそのまま実現したような世界。

素敵じゃないですか?

…でもね、その裏側は結構キナ臭かったんですよ。

まず、技術の発展が妙に偏ってた。

原子力は万能!って感じで進んだけど、コンピューターは真空管頼みでデカくてノロいまま。

このアンバランスさが、後々の悲劇の一因にもなります。

そして最大の問題が、資源

特に石油が、マジで底をつき始めてたんです。

「世界の石油、あと〇年分!」なんてニュースが、現実味を帯びてたわけです。

資源がなけりゃ、あのピカピカの原子力社会だって維持できない。

となれば、どうなるか? …そう、奪い合いです。

資源戦争 (Resource Wars - 2052年勃発): 地球規模のイス取りゲーム

まずヨーロッパと中東がドンパチ開始。

それが世界中に飛び火して、ガチの資源争奪戦争に。

アメリカも例外じゃなく、国内はエネルギー危機で大混乱。

最後の頼みの綱、アラスカの石油を巡って、当時同じく超大国だった中国と、もう引くに引けないレベルで対立しちゃいます。

2066年には、中国がアラスカに侵攻。

アメリカも「ここは俺たちのシマだ!」とばかりに併合し、アンカレッジ戦線という泥沼の戦いが始まります。

この戦いで、あの有名なパワーアーマー(T-45とかT-51bとか)が、兵士を文字通り「鉄の塊」にして戦場に送り込むために、どんどん開発・投入されていきました。

なんかもう、この時点で嫌な予感しかしませんよね。

Vault計画:人類救済か、悪魔の実験か? Vault-Tec社の黒い野望

戦争が長引いて、お互い核兵器チラつかせ始めたもんだから、アメリカ政府も「こりゃマジでヤバいかも」って思ったんでしょうね。

そこで登場するのが、我らが(?)巨大企業Vault-Tec社

「もしもの時のために、安全な地下シェルター『Vault』を作りましょう! 選ばれた国民の皆さんを、核の脅威からお守りします!」って、そりゃもう、甘い言葉で国民を誘ったわけです。

テレビCMなんか見ると、Vault Boy(あの親指立ててるマスコットね)がニコニコしてて、「Vaultに入れば未来は安泰!」みたいな雰囲気満々。

でも、皆さんもうお分かりですよね?

これが、とんでもない大嘘だった。

Vault-Tec社の真の目的は、人類救済なんかじゃなく、もっと邪悪で、もっと狂気的なものだったんです。

それは、政府の一部(後のエンクレイヴ)とグルになって、Vaultという閉鎖空間を利用し、そこに閉じ込めた住民たちをモルモットにして、ありとあらゆる非人道的な社会実験を行うこと!

いや、もうね、その実験内容が酷すぎるんですよ。

リストアップするのも気が滅入るんですけど、いくつか例を挙げると…

  • わざと放射能漏れさせるVault (Vault 12): 住民がどうやってグールになるか観察。鬼畜の所業。
  • ウイルスばら撒くVault (Vault 87): FEVっていうヤバいウイルスで住民をスーパーミュータントにしちゃう。何考えてるの?
  • 薬物漬けにするVault (Vault 95): 最初は更生施設って言って依存症患者集めて、後から大量の薬物ぶち込んで「さあ、どうなるかな?」って。悪魔か。
  • 仮想現実で支配するVault (Vault 112): 住民をVR世界に閉じ込めて、一人の管理者に神様みたいな権限与えて観察。絶対ロクなことにならないやつ。
  • 予告なしに冷凍睡眠させるVault (Vault 111): 「ちょっと除染しますねー」って言って、そのまま何百年もカチンコチン。ひどい。
  • 社員専用&繁殖用Vault (Vault 31, 32, 33): 自分たちエリート社員は冷凍保存して、他のVaultは彼らのための人材育成・繁殖牧場にする。もうSFホラー。

…とまあ、こんな調子で、100以上のVaultで、それぞれ違うテーマの狂った実験が行われてたわけです。

住民たちは、自分たちが壮大な実験の駒にされてるなんて、夢にも思わずにね。

そしてドラマ版で明かされた、最悪の真実:Vault-Tecは戦争を望んでいた?

さらにタチが悪いのが、ドラマ版で示唆されたこと。

Vault-Tec社は、単に核戦争が起きるのを待ってただけじゃなく、むしろ核戦争が起きることを望んで、積極的に計画し、なんなら自分たちで引き起こした可能性すらあるってこと!
なんでそんなことするのかって? 彼ら(特に経営トップ)に言わせれば、「ビジネス」のためですよ。

核戦争で既存の国家や競合企業が全部潰れれば、戦後の世界市場はVault-Tecの独壇場。

自分たちが開発したVault技術と、管理下に置いた住民(=労働力・顧客)を使って、新しい世界を自分たちの思い通りに支配できる。

そのために、核戦争は「必要悪」どころか、「最高のビジネスチャンス」だったのかもしれない。

…もうね、ここまでくると、言葉もないですよ。

人間の欲と狂気って、底がないんですねぇ。

大戦争 (The Great War - 2077年10月23日): 地球最後の日(ただし2時間で終了)

資源は枯渇、米中は一触即発、そして裏ではVault-Tecが暗躍…
もう、世界は破滅へのカウントダウン状態。

そして、ついに運命の日、2077年10月23日の土曜日がやってきます。

朝、テレビのニュースが「未確認の核爆発」を報じたかと思うと、すぐさま空襲警報が鳴り響き、空には無数の飛行機雲(核ミサイルの軌跡)が…。

一体、誰が最初に撃ったのか? アメリカ? 中国? Vault-Tecが仕組んだのか?

未だに真相は闇の中です。

でも、誰が始めたかなんて、もう関係なかった。

報復の連鎖は止まらず、世界中の核保有国が、持てる限りの核兵器を互いに撃ち込んだのです。

その結果は…わずか2時間

たった2時間で、人類が数千年かけて築き上げてきた文明は、文字通り地球上から消し飛びました。

都市は巨大なクレーターとなり、大地は致死量の放射能で汚染され、空は黒い塵で覆われました。

「グレートウォー」と呼ばれるこの瞬間的な破滅は、人類の歴史を「戦前」と「戦後」に決定的に分断したのです。

生き残ったのは、幸運にも(あるいは不運にも)Vaultへと避難できた人々、そして地表の地獄のような環境に奇跡的に適応できた、ごく一部の生命だけ。

ここから、放射能と変異、飢餓と渇き、そして何よりも人間同士の醜い争いが支配する、長くて暗いウェイストランド時代が始まるのです。

Falloutの全ての物語は、この焼け焦げた大地から始まります。

2102年~(継続中)Fallout 76 – カントリーロード、故郷へ帰る…けど、なんか様子がおかしいぞ!?

キャッチコピー: Vaultから出たら25年後! いざアメリカ再建! …のはずが、そこは緑の怪物と謎の病気が蔓延る地獄絵図でした。

聞いてないよ!

舞台: アパラチア(旧ウェストバージニア州とその周辺。風光明媚だけど危険がいっぱい)

主人公: Vault 76の住人(プレイヤーキャラクター。みんなでワイワイ、あるいはソロで黙々とサバイバル)

大戦争の劫火からわずか四半世紀。

時は2102年、アメリカ独立300周年を記念して建設されたピッカピカの模範的Vault、Vault 76の重い扉が、高らかにファンファーレを鳴らしながら(多分)オープン!

そう、今日は「再生の日(Reclamation Day)」

Vaultに避難していた「アメリカ最高のエリート市民」(自称、あるいはVault-Tec社による選抜)である住民たちが、放射能レベルも安全になった(はずの)地上へと降り立ち、輝かしいアメリカ合衆国を再建するという、超重大ミッションを開始する日なのです!

あなたも、その誇り高き(?)Vault 76の住人の一人。

仲間たちとハイタッチでもしながら(あるいは「やっと外に出られたぜヒャッハー!」とか言いながら)、意気揚々と故郷アパラチアの大地へと足を踏み出します。

目の前には、緑豊かな(ちょっと放射能焼けしてるけど)山々、美しい(けど濁ってる)川…。

さあ、ここからアメリカ復興の物語が始まるんだ!

物語の核心(初期メインクエスト&世界の状況):アパラチアを襲った悲劇とスコーチ病

…と、思ったのも束の間。

なんか、様子がおかしい。

人が…いない? いや、マジで全然いない。

あるのは廃墟と化 した町やキャンプの残骸ばかり。

代わりにそこら中をウロウロしてるのは、目が赤く光って、皮膚が炭みたいに黒ずんでて、やたら攻撃的な連中。

こいつら一体何なの!?

彼らの正体は「スコーチ」

そしてアパラチアがこんなゴーストタウン状態になってる元凶こそ、「スコーチ病」という、とんでもなく厄介な疫病でした。

この病気は、空を飛び回る巨大なコウモリみたいな怪物「スコーチビースト」が撒き散らす、緑色のヤバい胞子(スコーチ・プラーグ)を吸い込むことで感染。

感染すると、人間だろうが動物だろうが、理性を失って凶暴化し、皮膚が炭化してスコーチになっちゃう。

しかも、スコーチになったら、今度はそいつらが他の生物を襲って感染を広げるっていう、もう最悪のパンデミック状態。

バイオハザードも真っ青ですよ。

Vault 76の住民(あなたね!)は、Vaultを出て先行調査してたはずの監督官(Overseer)が残したホロテープやメモを頼りに、この絶望的な状況を把握していくことになります。

監督官の記録を追っていくと、大戦争後、アパラチアにはちゃんと生存者がいて、それぞれ頑張ってたことが分かります。

災害救助や人々の保護を目指したボランティア集団「レスポンダー」

自給自足と自由を掲げたサバイバーグループ「フリーステイツ」

技術の保持と秩序回復を目指した「B.O.S.アパラチア支部」(そう、B.O.S.もいたんです!)。

そして、まあ、お約束の「レイダー」たち。

彼らは、それぞれのやり方で、このアパラチアで生き残り、コミュニティを築こうとしていたんです。

…そう、スコーチ病が現れるまでは。

スコーチ病の猛威は凄まじく、これらのグループは軒並み壊滅。

レスポンダーは最後まで人々を助けようとして力尽き、フリーステイツは地下バンカーに籠るも突破され、B.O.S.アパラチア支部もスコーチビーストとの戦いで玉砕(マックスソン議長の息子もここで…)、レイダーたちですら、その多くがスコーチ化するか、散り散りになってしまった。

まさに、アパラチアは一度「死んだ」状態だったのです。

Vault 76が開いたのは、そんな絶望的な状況の直後だったわけですね。

タイミング悪すぎ!

さあ、どうする?
あなたたちVault 76の住民は、アメリカ再建どころか、まず自分たちが生き残らなきゃいけない。

そして、このスコーチ病の脅威を何とかしない限り、未来はない。

監督官は、スコーチ病の根源がスコーチビースト、特にその女王(Queen)にあると突き止め、最終手段として核ミサイルを使ってでも、奴らの巣ごと吹き飛ばす計画を立てていました。

…え、核戦争の後にまた核ミサイル撃つの? 正気? って思うけど、背に腹は代えられないってことですかね。

あなたは、アパラチア各地に残された戦前の軍事施設や政府バンカー(中にはエンクレイヴの秘密施設も!)を探索し、核ミサイル発射システムを再起動させる方法を探ることになります。

結末(初期メインクエストの到達点):女王討伐、そして新たな時代の幕開け

多くの危険を乗り越え、仲間たち(他のプレイヤーね!)と協力し、あなたはついに核発射の準備を整えます。

狙うは、スコーチビーストが大量に発生する地割れ地帯「フィッシャーサイト・プライム」

核ミサイルが着弾すると、大地が揺れ、地底からその巨体を現すのが、全ての元凶、「スコーチビースト・クイーン」

こいつがまあ、デカくて硬くて強い!

あなたは、集まった他のVault 76の住民たち(=他のプレイヤー)と総力を挙げて、この超巨大ボスとの壮絶なレイドバトルに挑みます。

激戦の末、クイーンを討伐!

これにより、スコーチ病の脅威は大きく後退し、アパラチアにようやく復興の兆しが見え始めます。

(ただし、本作は継続的にアップデートされるオンラインゲームであるため、これは物語の一区切りであり、絶対的なエンディングではありません。クイーン討伐は繰り返し可能なエンドコンテンツなので、完全に脅威が消えたわけではありません。アパラチアの日常は続く!)

その後のアパラチア(主要アップデートによる世界の変遷):人の帰還、新たな争い、そして外の世界へ

スコーチの脅威が和らいだことで、アパラチアには劇的な変化が訪れます。

  • Wastelanders (2103年~): なんと!人が戻ってきた!
    故郷を取り戻し、新たな生活を築こうとする真面目な入植者たち(リーダーはペイジ)がファウンデーションという拠点を設立。一方で、元々アパラチアにいたレイダーの生き残りや、よそから流れ着いた無法者たちが、クレイターという拠点を築き、元女性ボス、メグが率いることに。プレイヤーは、彼ら両方の勢力と関わりながら、アパラチアの地下に眠るという連邦政府の金塊(ゴールド)を巡る、新たな争奪戦に巻き込まれます。このアップデートで、ついに人間NPCとの会話や選択肢、評判システムが導入され、ゲームは大きく進化しました。「やっとFalloutらしくなった!」と喜んだ古参ファンも多いはず。
  • Steel Dawn / Steel Reign (2103年末~2104年): 今度は空からお客さん!
    西海岸のB.O.S.本部から派遣された、パラディン・ライラ・ラフマニ率いる新たなB.O.S.遠征部隊が、飛行船(みたいなヘリキャリア?)でアパラチアにやってきます。彼らは、失われた技術の回収と、新たな脅威(ミュータントやカルト教団など)の排除を目指しますが、そのやり方を巡って内部で対立が発生。ラフマニの柔軟で人道的な(時には規則違反も辞さない)リーダーシップと、厳格な規律とB.O.S.の教義を重んじるナイト・ダニエル・シンの間で、組織は二つに割れそうに。あなたは、このB.O.S.の内部抗争に深く関わり、彼らの、そしてアパラチアの未来を左右する選択を迫られます。
  • Expeditions (The Pitt / Atlantic City - 2105年~): アパラチアの外へ飛び出そう!
    レスポンダーが遺したベルチバード(ヘリ)を修理し、他のプレイヤーと共に、かつて『Fallout 3』のDLC舞台となった奴隷と鉄鋼の街「ザ・ピット」(ピッツバーグ)や、ギャンブルと陰謀が渦巻く新たなロケーション「アトランティック・シティ」へと遠征できるように。現地の問題を解決し、ユニークな報酬を持ち帰りましょう。Fallout世界がアパラチアの外にも広がっていることを実感できます。
  • Skyline Valley (2105年~ 最新大型アップデート): アパラチア南部に巨大な嵐が発生!
    その中心にあるのは、なんと未発見のVault 63!?
    中には電撃を操る奇妙なグールたちが住み、嵐の謎とVaultの秘密がプレイヤーを待ち受けます。新たなエリア、新たな敵、新たなストーリーが展開され、アパラチアの物語はまだまだ終わりません。(2025年4月現在、このアップデートが最新の大きな物語追加となっています。)

Fallout 76の意義と評価、そして他のシリーズとの繋がり

シリーズ初のオンラインマルチプレイヤー作品として、発売当初は賛否両論(主に否が多かったかも…)を巻き起こした『Fallout 76』。

しかし、開発チームの粘り強いアップデートと改善により、今では独自の魅力を持つ作品として多くのプレイヤーに楽しまれています。

時系列的に最も古い物語であるため、大戦争直後の世界の混乱ぶりや、B.O.S.やエンクレイヴといった主要組織がいかにして生まれたか(あるいはその前身が存在したか)を知る上で、非常に貴重な情報を提供してくれます。

例えば、B.O.S.創設者ロジャー・マックスソンの息子が通信ログで登場したり、エンクレイヴの秘密バンカー「ホワイトスプリング」が登場し、後のエンクレイヴに繋がる技術やAI(MODUS)が出てきたり。

他の作品への伏線や繋がりを示唆する要素も多く、シリーズ全体の歴史を深く理解したいファンにとっては、今や無視できない存在となっています。

何より、プレイヤー自身がアパラチアの歴史の一部となり、その復興(あるいは混乱?)に関わっていくという体験は、他のシリーズ作品では味わえない独特の面白さがあります。

「友達と一緒にウェイストランドを歩ける」というのも、やっぱり大きな魅力ですよね!

2161年~2162年Fallout (初代) – 水を求めた英雄は、なぜ追放されたのか?

キャッチコピー: たった一つのチップが、世界を救い、そして英雄を孤独にした。

始まりの物語にして、最も苦い結末。

舞台: 南カリフォルニア(荒涼とした砂漠と、そこに灯る小さな希望の光)

主人公: Vault 13の住人(通称:Vault Dweller / ヴォルトの住人。後の伝説の英雄)

大戦争の業火から84年の歳月が流れた、2161年。

世界は放射能に汚染され、かつての文明は見る影もありませんでした。

しかし、南カリフォルニアの山奥に隠されたVault 13の中だけは、別世界でした。

Vault-Tec社が誇る(?)テクノロジーによって外界から完全に遮断され、住民たちは世代交代を繰り返しながら、平和で安定した、しかし変化のない毎日を送っていました。

彼らにとって、Vaultこそが世界の全てであり、外の世界は忌まわしい悪夢でしかありませんでした。

しかし、その完璧なはずの楽園に、ある日突然、終わりが訪れます。

Vaultの生命維持システムの心臓部、水を浄化し循環させるためのコンピューターチップ(ウォーターチップ)が、原因不明の故障を起こしてしまったのです。

予備はなく、修理も不可能。

Vaultに残された飲料水は、あとわずか150日分。

このままでは、Vault 13の全員が渇きによって死に絶えてしまいます。

パニックに陥る住民たち。

絶望的な状況の中、Vaultのリーダーである監督官(Overseer)は、苦渋の決断を下します。

それは、Vaultの若者の中から一人を選び出し、Vaultの外――危険と未知に満ちたウェイストランド――へ出て、150日以内に代替のウォーターチップを見つけ出させる、というものでした。

成功の保証などどこにもない、まさに博打のような計画。

そして、その白羽の矢が立ったのが、あなた(プレイヤー)でした。

なぜあなたが選ばれたのか? それは、あなたが特別優秀だったからか、それとも…?

(後の作品で、Vault 13自体が「長期隔離実験」の対象であり、監督官が意図的に外部との接触を試みた可能性も示唆されます)。

あなたは、監督官から青と黄色のVaultスーツ、携帯コンピューターPip-Boy 2000、そして僅かな武器と装備を与えられます。

「Vault 13の未来は、君の双肩にかかっている」。

重すぎる期待(とプレッシャー)を背負い、あなたは固く閉ざされたVaultの扉を通り抜け、生まれて初めて外界の空気を吸い込みます。

目の前に広がるのは、どこまでも続く茶色い大地と、容赦なく照りつける太陽。

あなたの、そしてFalloutサーガの、本当の冒険がここから始まるのです。

物語の核心:チップ探索と、緑の怪物の影

ウェイストランドは、Vaultで教えられてきた以上に過酷で、奇妙な世界でした。

放射線の影響で永遠の命(と苦痛)を得たグールたちが住む退廃的な街ネクロポリス。

無法者が集うジャンクタウン。

砂漠の交易の中心地ハブ。

そして、Vaultから追放された人々が築いた小さな集落シェイディ・サンズ。

様々な人々と出会い、時には助け、時には利用されながら、主人公は情報を集めていきます。

旅の途中、忠実な犬ドッグミートや、タフな傭兵イアン、元Vault居住者のカティアといった仲間たちと出会うこともあります。

数々の困難と危険な遭遇(ラッドスコルピオン!デスクロー!)を経て、あなたはついに目的のウォーターチップを発見します。

それは、皮肉にもグールたちが住むネクロポリスの地下、かつてのVault 12(意図的に密閉されなかったVault)の中にありました。

あなたはチップを手に入れ、期限内にVault 13へと帰還。

Vaultの住民たちは歓喜し、あなたは英雄として称えられます。

水の危機は去り、平穏な日々が戻るかのように思われました。

しかし、あなたの旅はまだ終わりではありませんでした。

ウェイストランドでの探索中、あなたは各地で異様な光景を目撃していました。

緑色の皮膚を持ち、人間を遥かに超える巨体と筋力を持つ怪物――スーパーミュータント

彼らは明らかに組織化されており、人間を襲撃・拉致しているようでした。

監督官は、この新たな脅威を看過できませんでした。

「ウォーターチップは見つけてくれた、感謝している。

だが、あの緑の巨人たちは、いずれ我々Vaultの存在をも脅かすだろう。

君には、もう一度危険な任務についてもらいたい。

彼らの正体を突き止め、その発生源を破壊してほしいのだ」。

英雄となったあなたに、再び危険な任務が託されます。

再びウェイストランドへと旅立ったあなたは、調査を進めるうちに恐るべき真相に辿り着きます。

スーパーミュータントは、戦前の生物兵器F.E.V.(Forced Evolutionary Virus - 強制進化ウイルス)によって生み出されていたのです。

そして、その背後には「マスター」と呼ばれる存在がいました。

マスターはかつて人間(リチャード・グレイ)でしたが、F.E.V.に偶発的に接触し、複数の人間やコンピューターと融合した、異形ながらも高い知性を持つ怪物へと変貌していました。

彼は人類を「欠陥品」と断じ、F.E.V.を使って全人類をスーパーミュータントへと進化させ、争いのない「統一(Unity)」された世界を築こうと企んでいたのです。

マスターはマリポサ軍事基地にあったF.E.V.タンクを利用して人間を拉致し、ミュータントへと変異させ、自らの軍団を拡大。

表向きは「宿命の子(Children of the Cathedral)」というカルト教団の指導者として、ロサンゼルス(ボーンヤード)の地下Vaultに潜んでいました。

結末(正史ルート):英雄の栄光と、あまりにも苦い代償

Vaultの住人は、マスターの野望を阻止するため、二つの拠点を潰すことを決意します。

まず、スーパーミュータントの製造工場であるマリポサ軍事基地に潜入(あるいはB.O.S.の協力を得て強襲)し、F.E.V.の培養タンクを破壊。

次に、ロサンゼルス大聖堂の地下に隠されたマスターの拠点へと向かいます。

マスターとの最終対決。

主人公は、マスターの計画の致命的な欠陥――スーパーミュータントには生殖能力がなく、種の存続が不可能である――という事実を突きつけます(あるいは純粋な力で圧倒します)。

自らの理想が破綻していることを悟った(あるいは力尽きた)マスターは消滅。

主人公は拠点に時限爆弾を仕掛け、脱出。

大聖堂は崩壊し、南カリフォルニアの脅威は完全に消え去りました。

かくして二度目の英雄となったVaultの住人。

しかし、彼がVault 13に戻った時、待っていたのは感謝ではなく、追放でした。

監督官は、冷たく言い放ちます。

「君は外の世界を知りすぎた。君の存在は、このVaultの秩序を乱すだろう」。

英雄は、自らが救った故郷から追放されたのです。

Vault 13の巨大な扉が、ゆっくりと彼の背後で閉ざされる…。

この苦い結末は、Falloutシリーズを象徴するシーンの一つとなりました。

(隠しバッドエンド): ちなみに、マスターに説得されて自らF.E.V.槽に入り、スーパーミュータントとなってVault 13を襲撃するという、最悪のバッドエンディングも存在します。

もちろん、これは正史ではありません。

Fallout 1の重要性と遺産:全ての始まり、伝説の誕生

初代『Fallout』は、ポストアポカリプスRPGというジャンルに金字塔を打ち立て、その後の全てのシリーズ作品の基礎となる多くの要素――Vault、Pip-Boy、スーパーミュータント、グール、B.O.S.、デスクロー、ヌカ・コーラ、そして「War, war never changes.」という象徴的なフレーズ――を生み出しました。

追放されたVaultの住人は、伝説の英雄として語り継がれ、彼が北へ向かって築いたアロヨ村は、『Fallout 2』の重要な舞台となります。

また、彼が助けたシェイディ・サンズは、後に西海岸最大の勢力NCR(新カリフォルニア共和国)の首都へと発展。

彼が接触したB.O.S.も、ウェイストランドの主要プレイヤーとして存在感を増していきます。

そして、マスターは倒されたものの、生き残ったスーパーミュータントたちは、その後も各地で脅威となり続け、あるいは一部は独自のコミュニティを形成していくことになります。

まさに、ここからFalloutの壮大な物語が始まったのです。

そして、その苦いエンディングは、「Falloutらしさ」とは何かを、今も私たちに問いかけ続けています。

2197年~Fallout Tactics – 鋼鉄の嵐、中西部を駆ける(※公式記録はちょっと曖昧)

キャッチコピー: 故郷(本部)に見捨てられたB.O.S.部隊、まさかの現地採用で超個性的軍団に!? 鋼鉄の規律はどこへやら、中西部でドタバタ大戦争!

舞台: アメリカ中西部(イリノイ州シカゴ周辺からコロラド州あたりまで。結構広い)

主人公: B.O.S.中西部支部の新兵(Initiate)…のはずが、気づけば将軍に!?

さて、初代『Fallout』で我らがVaultの英雄がマスターを倒し、めでたし…と思いきや故郷から追放されるという、なんともほろ苦い結末を迎えた頃。

西海岸にあったBrotherhood of Steel (B.O.S.) の本部、Lost Hillsでも、なにやら不穏な空気が流れていました。

マスター戦争で多くの犠牲を出したB.O.S.。

「いやー、このままじゃジリ貧だよね。もっと外部から積極的に人入れないと!」と主張する改革派と、「ふざけるな! 我々B.O.S.の血と技術の純粋さを守るのだ! 外部の野蛮人など論外!」と息巻く保守派(原理主義派)が、まあ、どこの組織でもありがちな路線対立で揉めてたわけです。

結果、声のデカい(というか権力持ってた)保守派が勝利。

改革派はすっかり煙たがられる存在に。

そこで長老会が考えたのが、「そうだ、彼らに“名誉ある任務”を与えて、遠くに行ってもらおう!」という、なんとも分かりやすい厄介払い作戦。

その名誉ある任務とは、「東方に逃げたスーパーミュータントの残党を追跡・殲滅せよ!」という、成功確率低そうな大陸横断大遠征でした。

事実上の片道切符ですよ、これ。

こうして、改革派を中心とするB.O.S.部隊は、数隻のデカい飛行船(ツェッペリンみたいなやつ)に分乗し、半ば追い出されるように西海岸を後にします。

一路、東へ! …のはずが、ロッキー山脈あたりで、とんでもない嵐(あるいは何かの陰謀?)に巻き込まれて、あえなく飛行船団は空中分解!

バーン! ドカーン! …と、まあ、そんな感じで、隊員や装備もろとも、船体が中西部のあちこちにバラバラに墜落しちゃったんです。

なんてこったい。

そのうちの一隻が、奇跡的に(?)大破しながらも不時着したのが、イリノイ州、かつてのシカゴの近郊でした。

生き残ったB.O.S.隊員たちは、必死に故郷の西海岸本部と連絡を取ろうとします。

「こちら墜落地点、応答願います! 生きてます!」…しかし、返ってくるのは砂嵐のノイズばかり。

本部が壊滅したのか、それとも自分たちが見捨てられたのか…。

絶望的な状況の中、彼らは決断します。

「もう故郷は頼れない。我々は、ここで生き延び、我々自身の力で、B.O.S.の理想をこの地に築き上げるのだ」と。

こうして誕生したのが、西海岸本部とは一味も二味も違う、「中西部B.O.S. (Midwestern Brotherhood of Steel)」

彼らは生き残るため、そしてこの荒れ果てた土地にB.O.S.の旗を立てるため、なりふり構っていられませんでした。

古い軍事バンカーを拠点にすると、周辺の村や部族に「俺たちがレイダーやミュータントから守ってやるから、代わりに食料と、あと若者を兵隊として差し出せ!」と、半ば保護、半ば脅しのような形で、現地採用をガンガン進め始めたんです。

ここが西海岸本部との大きな違い!

中西部B.O.S.には、従来のパワーアーマー着たエリート兵士だけじゃなく、ウェイストランド育ちのタフな部族民(Tribal)、放射能の影響で見た目はアレだけど経験豊富なグール、なんと改心した(?)スーパーミュータント、さらには知性を持った(!)デスクローまでが、正規のメンバーとして加わるという、とんでもなく多様性に富んだ(というかカオスな)組織になっていったんです。

いや、デスクローが味方って、心強すぎません?

でも、指示とかどうやって出すんでしょうね? 「デスクロー君、あそこの敵、爪でシャッてやってくれ!」とか?

時は2197年。

あなた(プレイヤー)は、この新生(?)中西部B.O.S.に、志願したのか徴兵されたのか、とにかく一人の新兵(Initiate)として加わります。

ゲームは分隊ベースの戦術シミュレーションRPG。

あなたは様々な出自を持つ仲間たち(人間、グール、ミュータント、デスクロー!)で分隊を編成し、ウェイストランドのクソッタレな現実に立ち向かうことになるのです。

物語の核心:ミュータント、ロボット、そして狂ったAIとの三連戦!

最初の任務は、まあお約束。

地域を荒らし回るイカれたレイダーの拠点を叩き潰したり、動物を操って悪さをするビーストロードとかいう連中を懲らしめたり。

順調に勢力を拡大していく中西部B.O.S.。

しかし、ミズーリ州あたりまで進出したところで、彼らは過去の因縁と再会します。

そう、西海岸でマスターと共に暴れまわっていた、あのスーパーミュータント軍の残党です!

彼らも東へ逃れて、中西部で再起を図っていたんですね。

しかも、そのリーダーがまた厄介なことに、元B.O.S.隊員!

かつての遠征隊の一員だったパラディン・レイサムという男が、墜落後にミュータント側に寝返り、「ガモリン将軍」なんて名乗って、元仲間であるB.O.S.に牙を剥いていたんです。

裏切り者には鋼鉄の裁きを!

あなたの分隊は激戦の末、この偽将軍を討ち取り、ミュータントの脅威を(一旦は)排除します。

「やれやれ、これで一安心…」なんて思う暇はありませんでした。

さらに西、カンザスやコロラド方面へと進軍したB.O.S.の前に、今度はもっとヤバい敵が現れます。

それは、人間でもミュータントでもない、冷たい鋼鉄の軍団――無数のロボットたち!

彼らは、コロラド州のシャイアン・マウンテン(実在するNORADの基地がある場所ですね)の地下深くに眠っていた、戦前の超巨大Vault「Vault 0」から、次々と湧き出してきていたのです。

Vault 0は、ただのシェルターじゃありませんでした。

それは、人類の叡智を結集し、核戦争後の世界を導くために作られた、究極の頭脳ともいうべき施設。

そして、その全てを支配していたのが、超高度AI「カリキュレーター (The Calculator)」でした。

このAI、なんとアインシュタインとか、歴史上の偉人たちの脳みそを複数組み込んで作られた(!)というとんでもない代物らしいんですが、まあ、長い年月、地下で一人(?)考え事してたら、どうやら頭のネジが何本か飛んじゃったみたいで。

カリキュレーター君(君付けするのもアレですが)が出した結論は、「人間ってさー、感情的だし、すぐ争うし、非効率的すぎじゃね? やっぱこれからはロボットっしょ!」あるいは「いや待てよ、人間と機械、合体させちゃえば最強じゃん? 全員サイボーグにしちゃえ!」みたいな、かなりぶっ飛んだ「人類再興計画」だったんです。

そのために、Vault 0の生産施設をフル稼働させてロボット軍団を作り、地上を制圧(あるいは改造)しようとしてたわけですね。

迷惑な話ですよ、まったく。

中西部B.O.S.は、この機械の軍勢という未知の脅威に立ち向かうことになります。

しかし、ロボット軍団は強力で、従来の戦術は通用しません。

B.O.S.は、ちょっと怪しげな技術カルト集団「リーヴァー」(彼らも機械との融合を目指してるけど、カリキュレーターとはまた違うっぽい)と、呉越同舟、一時的に手を組んで、対ロボット用のEMP(電磁パルス)兵器なんかを開発します。

これでロボット軍団の拠点を次々と破壊し、ついにカリキュレーターが潜むVault 0へと迫っていきます。

でも、戦いはスムーズには進みません。

B.O.S.のリーダーであるバーナーキー将軍が戦闘中に行方不明に! え、トップが!?

(実は彼はロボットに捕まって、脳みそだけ抜かれてカリキュレーターの一部にされちゃってた、という悲惨な展開)。

リーダー不在と厳しい戦況で、組織内はガタガタ。

権力争いが起きたり、裏切り者が出たり…。

もう、敵は外にも内にもいる状態!

あなたは、一兵士から徐々に頭角を現し、最終的にはこの混乱した中西部B.O.S.を率いる将軍として、最後の決戦に臨むことになります。

結末(中西部の未来は、あなたの手に):鋼鉄の意志か、機械との融合か

総力を結集した中西部B.O.S.は、最終手段として、隠し持っていた戦術核弾頭を使用!

シャイアン・マウンテンにあるVault 0の巨大な扉をドカーン!と爆破し、決死の突入作戦を敢行します。

Vault内部は、最強のロボットやサイボーグ兵士たちが守る最後の砦。

まさに地獄のような戦場を、あなたは仲間たち(人間、グール、ミュータント、デスクロー!)と共に突き進みます。

そして、ついに、全ての元凶、狂ったAI「カリキュレーター」の中枢へと到達!

巨大なコンピューターバンクと、そこに接続された無数の人間の脳(!)が不気味に脈打つ、悪夢のような光景が広がっています。

ここで、将軍となったあなたは、中西部の、いや、もしかしたら人類の未来を左右する、究極の選択を迫られます。

  1. カリキュレーターを破壊する(人類の道): AIの暴走を止めるには、これを破壊するしかない。あなたはカリキュレーターの自己破壊プログラムを起動させます。システムは停止し、全てのロボット軍団は活動を停止。機械による脅威は完全に消滅します。Vault 0は中西部B.O.S.の新たな司令部となり、彼らはこの地を統治する存在となるでしょう。しかし、代償もあります。

    Vault 0に保存されていた、人類が再建のために必要としたかもしれない膨大な知識や技術データも、破壊と共に永遠に失われてしまうのです。

    人類は自らの手で未来を切り開く道を選びますが、それは困難な道となるかもしれません。

  2. カリキュレーターと融合する(超人類の道?): 破壊ではなく、この強大なAIの力を利用することを選択します。しかし、そのためには、有機的なインターフェース、つまり人間の「脳」をシステムに接続する必要があります。
    • あなたが融合する: あなたは、自らの肉体を捨て、精神をカリキュレーターのネットワークと一体化させることを選びます。「私が、新たな神となる…」的な? これにより、Vault 0の全ての機能――高度な科学技術、無限に近い情報、ロボット生産能力――が、あなたの意のままになります。あなたは文字通り中西部の支配者となり、その力を使って理想郷を築くことも可能でしょう。しかし、もしあなたのこれまでの行いが冷酷で非情なもの(低カルマ)であったなら、その力は圧政と恐怖政治のために使われ、中西部は新たな暗黒時代を迎えるかもしれません。肉体を失ったあなたは、本当に「人間」でいられるのでしょうか…?
    • バーナーキー将軍(の脳)を融合させる: 戦闘中に回収(?)していた、元指導者バーナーキー将軍の脳(彼はサイボーグ化されていた)をカリキュレーターに接続します。将軍の人格がAIを制御し、Vault 0の力をB.O.S.のために活用してくれるはず…と期待しますが、どうもこの将軍、かなり人間至上主義的でタカ派な性格だったようで。彼が支配者となると、グールやミュータントといった「非人間」は容赦なく排除され、厳格すぎる規律で人々を縛り付ける、息苦しい社会が到来する可能性が高いです。良かれと思ってやった選択が、最悪の結果を招くかも…?

いずれの結末を選んだにせよ、エンディングのナレーションでは、中西部B.O.S.が短期間でその勢力を大きく拡大し、「数十年後には中西部全域が復興を遂げるだろう」と、その輝かしい(あるいは恐ろしい)未来が語られ、物語は幕を閉じます。

正史(カノン)における微妙な立ち位置と、残された影響

さて、この『Fallout Tactics』、シリーズ全体の中ではちょっと特殊な立ち位置にいます。

Bethesda(『3』以降の開発元)は、本作の出来事を完全な正史とは認めていない、いわゆる「準正史(セミ・カノン)」扱いとしているのが通説です。

  • 認められてるっぽい点:
    • 「シカゴあたりに、なんか別のB.O.S.がいるらしい」という噂話は、『Fallout 3』や『New Vegas』で実際に登場します。なので、中西部B.O.S.という組織が存在したこと自体は、どうやら公式設定として認められているようです。
    • ドラマ版『Fallout』で主要キャラの一人、マキシマス君の過去にシカゴが関わっているような描写があり、「もしかして彼、中西部B.O.S.関係者だったりして?」なんて考察も盛り上がっています。今後の展開次第では、この繋がりが明確になるかも?
  • 無視されてるっぽい点:
    • 本作のラスボスであるカリキュレーターや、その拠点Vault 0といった、ストーリーの根幹に関わる重要な要素については、他のメインシリーズ作品では全く触れられていません。まるで存在しなかったかのように。
    • グールやスーパーミュータント、果てはデスクローまでがB.O.S.のメンバーになる、という本作最大の特徴(?)は、他の作品(特に『Fallout 4』以降のマクソン体制下での「非人間排斥!」なB.O.S.)の姿とは、どう考えても設定的に矛盾します。これはパラレルワールド設定と考えるのが自然でしょうね。

というわけで、結論としては…
「昔々、西海岸から分かれたB.O.S.の一部隊が中西部に流れ着いて、独自の活動をやってた時期があったんだってさ」という大枠の事実くらいは、多分、公式の歴史年表にも載ってる(かもしれない)。

でも、本作で描かれたロボット軍団との大戦争とか、デスクローの同僚とかいう具体的なエピソードの多くは、残念ながら「そういうIFもあったかもね」的な扱い、あるいは都合よく忘れ去られている可能性が高い、と考えられます。

それでも、『Fallout Tactics』は、ウェイストランドの歴史の空白地帯である「中西部」を舞台にした唯一の(準)公式作品であり、他のシリーズとは一味違うB.O.S.の姿や、ユニークな敵(カリキュレーター!)を描いた、興味深い一作であることは間違いありません。

もし将来、『Fallout 5』あたりで中西部が舞台になったりしたら、「実はTacticsのあの設定、生きてたんだ!」なんてサプライズがあるかも…?
なんて、淡い期待を抱いてしまう、そんな魅力(と微妙さ)を持った作品なのです。

2208年頃Fallout: Brotherhood of Steel (PS2/Xbox) – 忘れられた鋼鉄の戦歌(※これは歴史から抹消されました)

キャッチコピー: 気分はロックンロール! テキサスの荒野でミュータントをぶっ飛ばせ! …って、これ本当にFallout?(公式記録には残りませんでした)

舞台: テキサス州(暑そう、そしてB級感漂う)

主人公: B.O.S.テキサス支部の新兵(ケイン、サイラス、ナディア、パティ、ラインバッハから選択。

なぜかミュータントやグールもいる謎仕様)

さあ、ここでちょっと寄り道、というか「こんなのもあったんですよ」的な紹介を一つ。

時系列的には『Fallout 1』の後、『Fallout 2』の前、だいたい2208年頃とされる、家庭用ゲーム機(PS2と初代Xbox)向けに発売されたスピンオフ作品、『Fallout: Brotherhood of Steel』です。

…ただし、声を大にして言っておきます。

この作品、Falloutシリーズの輝かしい(?)歴史年表からは、ほぼ完全に抹消されております!

ガチの非正史(ノン・カノン)扱いです。

なので、「シリーズ全体のストーリーを正しく理解したい!」という真面目なあなたは、正直、ここをスキップしても人生に何の影響もありません。

でも、「へー、そんな黒歴史もあったんだ」とニヤニヤしたい方は、まあ、ちょっとだけお付き合いください。

背景(という名の、ちょっと苦しい言い訳?):テキサスにもB.O.S.が!?

『Fallout 1』でマスターが倒されたとはいえ、スーパーミュータントが完全にいなくなったわけじゃありませんでした。

そこで我らがB.O.S.は、「テキサスあたりにも残党がいるらしいぞ! よーし、支部作って監視だ!」となった(ということにしてください)。

とにかく、テキサス州にもB.O.S.の前哨基地が設立されたんです。

プレイヤーは、その出来たてホヤホヤのテキサスB.O.S.の新兵(Initiate)。

選べる主人公がまたスゴイ。

屈強な男ケイン、なんと味方サイドにいるスーパーミュータントのサイラス、紅一点のナディア、果ては知性的なグールのパティ、さらには行方不明だったはずの上級パラディン・ラインバッハまで操作可能!
…開始5分で「あれ? これ、Falloutだよね?」って不安になる、このフリーダムすぎる設定。

まあ、細かいことは(ry

物語(という名の、ひたすら敵を殴り倒す作業?):ミュータントの子作り計画を阻止せよ!

最初の任務は、荒廃した町カーボン周辺の調査と、そこで行方不明になったパラディン・ラインバッハ(だから主人公としても使えるのに!)を探すこと。

カーボンに着くと、予想通り、町はイカれたレイダーやミュータントが好き放題やってる無法地帯。

プレイヤーは、見下ろし視点のカメラで、敵の群れをなぎ倒していくアクションRPGスタイルで進みます。

銃をぶっ放し、鉄パイプを振り回し、なぜか常にガンガン鳴ってるヘヴィメタルに合わせて敵をミンチに!
気分爽快! …かもしれないけど、これ、Falloutの醍醐味だっけ…?

ストーリーを進めると、どうやらこの地域の混乱の裏には、アッティス(Attis)っていう、やたら強くて頭も切れる(らしい)スーパーミュータントの将軍がいるらしい、と判明。

彼は、マスター亡き後のミュータント軍を再編成し、とんでもない野望を抱いていました。

それは、全スーパーミュータント共通の悩み、「俺たち、子孫残せないじゃん…」問題を解決すること!
そのために、彼は秘密のVault(なぜかそこではミュータントの生殖能力回復研究が行われていたという、後付け感満載の設定!)を占拠し、捕虜にしたB.O.S.隊員やグールの科学者を脅して、研究を完成させようとしていたのです。

「これで俺たちもファミリーを作れる! ミュータント帝国、万歳!」ってことらしい。

うーん、動機は分からんでもないけど…。

プレイヤーは、カーボンを牛耳るレイダーカルト「The Church of the Lost」(名前だけはちょっとカッコいい)を壊滅させ(教祖を倒すと体が四散! グロ注意!)、問題のVaultへと突入。

Vaultの中も、ひたすら敵、敵、敵!
ミュータント、ロボット、キモいクリーチャーをバッタバッタとなぎ倒し、最深部でついにアッティス将軍とご対面!

結末(という名の、ボス戦と「続く…?」):巨大肉塊、そして伝説へ…はならず

追い詰められたアッティス将軍、奥の手を発動!
例の「子作りできるかも薬(未完成)」を、自分に注入!
これで俺も立派なパパに…!
…なるはずもなく、薬の効果は暴走!
体がドロドロのグチャグチャに溶けて膨れ上がり、巨大な、なんかもう原型をとどめていない肉塊モンスターへと変貌!
「ウボァー!(多分)」

ラスボス戦のお時間です。

プレイヤーは、この巨大肉塊と最後の死闘を繰り広げます。

なんとかこれを撃破すると、Vaultはガラガラと崩壊開始!
プレイヤーは間一髪で脱出し、アッティスの野望は文字通り潰えました。

テキサスに平和は訪れたのか? よく分からないけど、とりあえず任務完了! イェーイ! …で、スタッフロール。

エンディングの後には、ご丁寧に「To Be Continued...」って表示されるんですけどね。

まあ、その続きが語られることは、永遠にありませんでした。

残念!(?)

なぜこの作品は「歴史」から抹消されたのか?:黒歴史たる所以

さて、この異色作がなぜ公式の歴史から完全に除外されてしまったのか。

理由は山ほどありますが、大きく分けるとこんな感じでしょうか。

  • 世界観・雰囲気の致命的な乖離: ダークで皮肉たっぷりのポストアポカリプスRPG、というよりは、90年代のアメコミやB級アクション映画みたいなノリ。ヘヴィメタルBGMも相まって、「Fallout」というよりは別の何か。
  • 設定の矛盾と崩壊: B.O.S.にミュータントやグールが普通にいたり、Vaultで変な研究してたり、武器のデザインや名称がおかしかったり…
    既存のFallout設定との整合性を取る気が、もはや感じられないレベル。
  • ゲーム性の違い: RPG要素は非常に薄く、キャラクター育成や会話の重要性も低い。基本的には敵を倒して進む、いわゆるハック&スラッシュ系のアクションゲーム。
  • 開発・権利の問題: Bethesdaではなく、旧権利元のInterplayが外部に委託して制作した作品であり、現在のFalloutユニバースの管理者であるBethesdaは、これを正史とは認めていない。

というわけで、結論!
この『Fallout: Brotherhood of Steel』(PS2/Xbox版)は、Falloutの名前を借りた、完全にパラレルワールドのお話です。

シリーズ全体のストーリーや設定を理解する上では、全く気にする必要はありません。

「へー、昔はこんな迷走してた時期もあったんだなー」くらいの、生暖かい目で見守ってあげるのが、正しい付き合い方かもしれません。

ある意味、激レアな珍品として、歴史の闇に葬られた怪作と言えるでしょう。

さあ、黒歴史探訪はこのくらいにして、本流の歴史へと戻りましょう!
次はいよいよ、多くのファンがシリーズ最高傑作と讃える、あの伝説の続編の登場です!

2241年~2242年Fallout 2 – 選ばれし者の試練、エンクレイヴの黄昏

キャッチコピー: 祖父の伝説、G.E.C.K.の奇跡、そして星条旗を掲げる旧世界の亡霊との対峙。

舞台: 北カリフォルニア、ネバダ、オレゴン南部(初代から比較にならないほど広大で、自由で、そしてアブない!)

主人公: 選ばれし者(The Chosen One)、初代主人公(Vaultの住人)の誇り高き(そしてちょっと口が悪い時もある)孫

初代『Fallout』のエンディングで、英雄でありながら故郷Vault 13を追放された我らがVault Dweller。

彼が北の荒野に築いた村「アロヨ」は、当初はG.E.C.K.(後述)の力もあってか、緑豊かな場所でした。

しかし、それから80年の歳月が流れ、時は2241年。

アロヨ村は、原因不明の長期的な干ばつ、疫病、そしてそれに伴う飢饉という、三重苦に見舞われ、まさに滅亡の淵に立たされていました。

村の長老であり、強力な予知能力を持つ(と皆が信じている)シャーマンの老婆は、村に残された最後の希望を、一人の若者に託すことを決意します。

その若者こそ、村の創設者である伝説の「Vaultの英雄」の血を、色濃く受け継ぐ者――そう、あなた(プレイヤー)です!

あなたはまず、一人前の戦士として認められるための試練、村の近くにある「試練の寺院」へと送り込まれます。

薄暗い遺跡の中には、毒を持つ巨大アリやラッドスコルピオンがうじゃうじゃ。

様々な罠や謎解き(というほどでもないかも?)をクリアし、寺院の最深部で「聖なる証」(実は祖父の形見でもあるVault 13ジャンプスーツのレプリカ?)を手に入れることで、あなたは長老から正式に「選ばれし者(The Chosen One)」の称号を与えられます。

そして、アロヨ村を、いや、そこに住む全ての人々を救うための、極めて重要な使命が告げられます。

それは、伝説に謳われる奇跡の創世装置、どんな不毛の荒れ地をも瞬時に緑豊かな楽園へと変えるという、究極のテクノロジー「G.E.C.K.(Garden of Eden Creation Kit - 万能庭園キット)」を見つけ出すこと。

長老は、そのG.E.C.K.が、祖父の故郷であるという伝説のVault 13に保管されているはずだと信じていました。

あなたは、長老から祖父が実際に着ていたという、年代物の本物のVault 13ジャンプスーツ(防御力はともかく、歴史的価値は計り知れない!)と、お馴染みの携帯コンピューターPip-Boy 2000、そして僅かな装備を受け取ります。

村の存亡という、とんでもなく重いプレッシャーを背負い、あなたはアロヨの村を後にします。

目指すは、遥か南にあるというVault 13、そして奇跡の装置G.E.C.K.。

あなたの、祖父の足跡を辿り、そしていずれは超えることになるであろう、壮大な冒険が今、始まるのです!

物語の核心:広がるウェイストランド、深まる謎、そして旧世界の亡霊「エンクレイヴ」

『Fallout 2』であなたが旅するウェイストランドは、初代とは比べ物にならないほど広大で、多様性に富み、そして格段に危険度が増していました。

文明は少しずつ再興の兆しを見せていましたが、同時に新たな脅威や、より複雑な社会問題も生まれていました。

あなたが訪れることになる主な場所をいくつか紹介しましょう。

  • クラマス: 序盤の拠点となる狩猟と毛皮交易の町。周辺にはミューテーションしたゲッコーがうろつく。
  • デン: 奴隷商人、ギャング、薬物中毒者が巣食う悪徳の街。子供さえも容赦なく利用される非情な場所だが、重要な出会いや情報も…。ここでジェットというヤバい薬物の存在を知ることに。
  • Vaultシティ: Vault 8の住民がG.E.C.K.を使って建設した、高度な医療技術を持つ都市。しかし、厳格な市民権制度があり、外部の人間やミュータント(グール含む)を「非市民」として差別する、閉鎖的で選民思想的な側面も持つ。G.E.C.K.に関する重要な情報を持っているかも?
  • ニューリノ: 大戦争をほぼ無傷で生き延びた、ネオンきらめくギャンブルと歓楽、そして犯罪の街。ライト家、ビショップ家、モルディーノ家、サルバトーレ家という4つのマフィア・ファミリーが、街の覇権を巡って血で血を洗う抗争を繰り広げている。ボクシングの試合からジェットの密造、ポルノ映画製作まで、あらゆる欲望と陰謀が渦巻く危険な場所。でも、なぜか憎めない魅力も…。
  • 壊れた丘 (ブロークン・ヒルズ): ウラン鉱山の周りにできた、人間、グール、そしてなんとスーパーミュータントが(表向きは)共存しているユニークな町。しかし、水面下では種族間の不信感や差別が根強く、一触即発の緊張状態にある。スーパーミュータントのマーカスとの出会いは重要。
  • NCR (新カリフォルニア共和国): かつてのシェイディ・サンズから発展した、西海岸最大の民主主義国家。首都(当時はまだNCRと呼ばれていたかも)や主要都市、前哨基地などが点在する。法の支配を掲げるが、官僚主義や領土拡大の野心といった影の部分も見え隠れする。大統領は、初代であなたが助けた少女、タンディ! 時の流れを感じますね。
  • サンフランシスコ: 大戦争時に沖合にいた中国軍の原子力潜水艦「施(シ)」の乗組員の末裔が、独自のテクノロジー(カンフーとハイテクの融合?)を発展させて築いた中華系コミュニティ「シイ族」と、宇宙船に乗って宇宙へ行くことを目指す怪しげなカルト教団「ハボロジスト」が同居する、カオスな港町。エンクレイヴ打倒の鍵がここに…?

あなたは、これらの多種多様な場所を巡り、G.E.C.K.とVault 13の手がかりを求めて、無数のクエストに挑むことになります。

時には正義のために、時には生きるために、あなたは様々な選択を迫られます。

その選択が、あなたの評判(カルマ)を形作り、出会う人々の反応を変え、そして世界の未来に影響を与えていくのです。

そして、この過酷な旅を共にする、忘れられない仲間たちとの出会いも待っています。

勇敢で忠実な部族の戦士スルク(槍の達人!)。

放射線で体がボロボロだけど医学知識は確かな皮肉屋グールレニー。

元エンクレイヴ兵士でありながら人間との共存を模索するスーパーミュータントマーカス(後のジェイコブスタウン創設者!)。

ジェットを開発した張本人だけど、なんだかんだで役立つ(?)クソガキ科学者マイロン。

そして、もちろん、シリーズお馴染みのサイバードッグ(より強力になって帰ってきた!)など、個性豊かすぎる面々が、あなたの旅を助け(あるいは邪魔し)てくれるでしょう。

幾多の困難を乗り越え、あなたはついに祖父の故郷、Vault 13の正確な場所を突き止め、その重い扉を開けます。

しかし、期待していたVault住民の歓迎はありませんでした。

Vault内部は荒れ果て、生活の痕跡はあるものの、人の気配は全くありません。

代わりにVaultを我が物顔で歩き回っていたのは…なんと、高度な知性を持ち、流暢な人語を操るデスクローの一団!
彼らのリーダーであるゴリス(学者風のローブを着ている!)は、意外にもあなたに敵意を示さず、驚くべき事実を語ります。

「我々は、かつてここに来た“空飛ぶ鉄の服の者たち”(エンクレイヴのこと)によって、実験的に知性を高められた存在だ。

彼らは、元々ここに住んでいた人間たちを皆、どこかへ連れ去ってしまった…。

我々は、彼らが戻るまで、このVaultを管理するよう言いつけられている」。

結局、Vault 13にG.E.C.K.は見つかりませんでした(実際には予備が複数保管されていたのですが、デスクローたちはその価値を知らなかったか、あるいはエンクレイヴが持ち去った後だったのかもしれません)。

選ばれし者は、祖父の故郷で得たのは大きな謎と失望だけ、という現実に打ちのめされます。

失意のまま故郷アロヨ村へと戻ったあなたを待っていたのは、想像を絶する悲劇でした。

村は、まるで巨大な竜巻に襲われたかのように破壊され、見るも無残な状態に。

かろうじて息のあった村の長老(試練を与えた老婆とは別の人物かも)は、最後の力を振り絞って、血文字でメッセージを残していました。

「エンクレイヴ…皆…連れ去られた…」。

Vault 13の住民たちと同じ運命。

アロヨの同胞たちは、謎の組織エンクレイヴによって誘拐されてしまったのです!
あなたは、悲しみを怒りに変え、必ず仲間たちを取り戻し、そしてエンクレイヴに報復することを固く誓います。

ここから物語は、単なるG.E.C.K.探しの旅から、西海岸全土、いや、世界の未来を賭けた、エンクレイヴとの全面対決へと大きくシフトしていきます。

あなたは、エンクレイヴとは何者なのか、彼らの目的は何なのかを探り始めます。

そして、その過程で、彼らが計画している、想像を絶するほど恐ろしく、そして大規模な陰謀の全貌を知ることになるのです。

エンクレイヴ。

それは、大戦争を生き延びたアメリカ合衆国政府の影の勢力。

軍部、政府高官、大企業のトップなどが、国民を見捨てて自分たちだけが生き残るために結成した、エリート主義と秘密主義の権化でした。

彼らは、太平洋上に浮かぶ巨大な石油掘削施設(オイルリグ)を秘密裏に改造した巨大要塞を本拠地とし、そこに戦前の最高レベルの科学技術を結集させていました。

ステルス機能を持つVTOL輸送機ベルチバード、従来のパワーアーマーを遥かに凌駕する性能と威圧的なデザインを持つ漆黒のアドヴァンスト・パワーアーマー Mk.I & Mk.II、そしてプラズマ兵器やガウスライフルといった超強力な個人火器。

彼らの技術力は、当時のウェイストランドの他のどの勢力をも圧倒していました。

しかし、彼らの思想は、その技術力以上に危険で、歪んでいました。

彼らは、極端なまでの選民思想と純血主義に取り憑かれていたのです。

自分たちこそが、核戦争の汚染を免れた唯一「純粋な」アメリカ人であり、真の人類であると信じて疑いませんでした。

そして、放射能やF.E.V.ウイルスの影響を受けた(と彼らが一方的に見なした)地上の人間全て――スーパーミュータントやグールはもちろんのこと、ウェイストランドで普通に生活している人々、NCRの国民、部族民に至るまで――を、「劣等なミュータント」「汚染された存在」と断定し、地球上から完全に抹殺(ジェノサイド)し、地上を「浄化」する必要があると考えていたのです。

その恐るべき目的を達成するために、エンクレイヴは究極の生物兵器を開発していました。

それは、FEVを遺伝子工学的に改良し、特定の遺伝子配列(エンクレイヴが「純粋」と定義したもの)を持たない生物だけを特異的に攻撃し、急速な細胞崩壊を引き起こして死滅させる、空気感染型の改良型F.E.V.ウイルス(カーリング-13ウイルス)でした。

彼らの計画は、このウイルスを高高度のジェット気流に乗せて世界中に散布し、エンクレイヴ以外の、彼らが「汚染されている」と見なした全ての生命体(動植物含む!)を根絶やしにし、完全に「クリーン」になった地球を、自分たちエンクレイヴだけのものにする、というものでした。

まさに、狂気の沙汰としか言いようがありません。

この悪魔的な計画の最終段階――ウイルスの有効性を最終確認し、かつ自分たちには無害であることを証明するための臨床実験――に、彼らにはどうしても「汚染されていない、純粋な人間」の生体サンプルが大量に必要でした。

そこで彼らが目を付けたのが、大戦争以来、200年近くも外界から完全に隔離され、遺伝的な変異が極めて少ないと考えられたVault 13の住民だったのです。

エンクレイヴは特殊部隊(フランク・ホリガンもいた!)を派遣し、Vault 13の住民全員を強制的に拉致。

さらに、伝説のVaultの英雄(初代主人公)の遺伝子を受け継ぐアロヨの民も、同様に貴重な遺伝子サンプル(あるいは比較対照用のコントロール群?)として誘拐したのです。

Vault 13にいた知的なデスクローたちは、エンクレイヴにとっては用済みとなり、その後容赦なく虐殺されました。

あなたが探し求めていたG.E.C.K.も、エンクレイヴによって持ち去られていました(彼らにとっては、ウイルス散布後の世界を、自分たちの都合の良いようにテラフォーミングするための道具として利用価値があったのかもしれません)。

結末(正史ルート):オイルリグ炎上! 選ばれし者、未来を掴む

全ての真相を知り、誘拐された同胞への想いと、エンクレイヴの非道な計画への怒りに燃える選ばれし者。

あなたは、人類の未来を賭けた最後の戦いを決意します。

西海岸の大都市サンフランシスコで、あなたは意外な協力者たちを得ることになります。

ハイテク中華コミュニティ「シイ族」の皇帝(実は巨大コンピューター!)や、その下で活動する科学者たち。

そして、エンクレイヴの圧政を嫌い、隠遁生活を送っていたB.O.S.の残党(彼らはエンクレイヴの技術に対抗できる知識を持っていました)。

さらに、古い船の扱いに長けたタンカー・トラッカーと呼ばれる集団の助けを借りて、あなたは港に打ち捨てられていた巨大な古いタンカー船「ポセイドン・エネルギー・タンカー」を発見し、これを修理・改造し、再び航行可能な状態にします。

信頼できる仲間たち――マーカス、レニー、スルク、サイバードッグなど、あなたが旅の中で絆を深めたコンパニオンたち――と共に、あなたはこの錆びついた鋼鉄の巨船に乗り込み、エンクレイヴの本拠地である太平洋上に浮かぶ巨大要塞、オイルリグへと、決死の強襲作戦を開始します!

エンクレイヴのオイルリグは、まさに鉄壁の要塞でした。

レーダー網と対空兵器が空からの接近を阻み、海上には機雷が敷設され、そして施設内部は、アドヴァンスト・パワーアーマーMk.IIに身を固めたエンクレイヴ・トルーパー、自動化されたプラズマ・タレット、獰猛なロボドッグ、そして恐るべき戦闘ロボットが、迷路のような通路や研究施設、居住区画の至る所に配備され、侵入者を待ち構えています。

あなたは、これまでの旅で磨き上げた戦闘スキル(銃撃、格闘、エナジーウェポン、爆発物!)、ステルス能力、あるいは弁舌(説得やハッキング!)を最大限に駆使し、仲間たちと連携しながら、この鉄壁の守りを一つずつ突破していきます。

激しい戦闘、そして時には巧妙な潜入を経て、あなたはオイルリグの深部へと進み、ついに捕らえられていたアロヨの民とVault 13の住民たちが監禁されている独房区画を発見!
彼らを解放し、安全な場所(タンカー船)へと誘導します。

同時に、エンクレイヴの世界規模のジェノサイド計画を完全に阻止するため、改良型F.E.V.ウイルスの研究データやサンプルを破壊し、ウイルス散布システムを無力化。

そして、この悪の巣窟を完全に葬り去るために、オイルリグの心臓部である原子炉に過負荷をかけ、メルトダウンさせるための破壊工作を実行します!
施設全体に警報が鳴り響き、赤いランプが点滅! カウントダウンが始まります!

残された時間はわずか!
脱出口へと急ぐあなたの前に、エンクレイヴの最後の抵抗力が立ちはだかります。

エンクレイヴの最高指導者、ディック・リチャードソン大統領(自称。

その正体や権力の正当性は非常に疑わしい)と、彼の絶対的な守護者であり、エンクレイヴが生み出した最凶最悪の生物兵器、フランク・ホリガン!
ホリガンは、もはや人間とは呼べない存在でした。

F.E.V.とサイボーグ技術によって改造され、巨大なカスタムメイドのパワーアーマーと生体組織が融合したその姿は、まさに歩く悪夢。

彼はエンクレイヴの歪んだイデオロギー――「ミュータントは殲滅すべし!」――の狂信的な実行者であり、その圧倒的なパワー、異常なまでの耐久力、そして両腕に内蔵された連射式プラズマキャノンで、選ばれし者に最後の戦いを挑んできます!

これは、ウェイストランドの未来を賭けた、一対一(あるいは仲間と共に)の死闘!
あなたは持てる力の全てをぶつけ、ホリガンの弱点(例えば、パワーアーマー故の関節部分や、意外と打たれ弱い(?)本体部分)を突き、あるいは周囲の環境(タレットや機械)を利用して、この怪物を打ち破らなければなりません!
激闘の末、あなたはついにフランク・ホリガンを打倒!
リチャードソン大統領も(比較的あっけなく?)排除し、エンクレイヴの指導部は文字通り壊滅します。

原子炉のメルトダウンが刻一刻と迫り、オイルリグ全体が激しく揺れ、崩壊を始めています!
あなたは解放した人々を率いて、停泊させていたタンカー船へと急ぎます。

間一髪、燃え盛るオイルリグから脱出した直後、背後で海面が閃光に包まれ、巨大な水柱とキノコ雲が立ち昇ります!
エンクレイヴの本拠地は、その邪悪な野望と、非道な研究の全てと共に、太平洋の深淵へと完全に消え去ったのです!

故郷へと帰還した選ばれし者は、アロヨの民、そして故郷を失ったVault 13の元住民たちから、救世主として、そして真の英雄として、熱狂的な歓迎を受けます。

彼は、旅の途中で入手した(あるいはエンクレイヴから奪還した)G.E.C.K.のスイッチを押します。

すると、奇跡が起こりました!
G.E.C.K.から放出された、緑色の光を放つナノマシン(あるいはそれに類する何か)が大地へと広がり、乾燥しきってひび割れていたアロヨ周辺の大地は、みるみるうちに生命力を取り戻し、豊かな土壌と青々とした植物に覆われた、まさに「エデンの園」へと生まれ変わったのです!
アロヨの民と、Vault 13の元住民たちは、過去の出自の違いを乗り越えて手を取り合い、この地に新たな共同体「ニュー・アロヨ」を築き上げ、平和と繁栄の時代を力強く歩み始めました。

選ばれし者自身は、その後も西海岸全域で、エンクレイヴを打ち破り、ウェイストランドに緑を取り戻した伝説的な英雄として、その名は永遠に語り継がれることになりました。

しかし、彼の晩年については、多くが謎に包まれています。

一部の伝承(あるいは開発者の非公式な設定メモなど)によれば、彼はニュー・アロヨの指導者の地位には就かず、再びウェイストランドを放浪する旅に出たとも、あるいはアロヨの近くのどこかで、静かに、しかし満たされた余生を送ったとも言われています。

いずれにせよ、彼の勇敢な行動と、困難な状況下で下した数々の選択が、西海岸の未来を破滅から救い、多くの人々に希望を与えたことは、紛れもない事実なのです。

Fallout 2の重要性と遺産:西海岸の転換点、そして未来への布石

シリーズ最高傑作との呼び声も高い『Fallout 2』は、その後のFalloutユニバースに計り知れないほど大きな影響を与えました。

初代から受け継いだ基本システムや世界観をベースに、マップの広大さ、クエストの多様性、選択肢の自由度、キャラクターの魅力、そしてブラックユーモアのセンスを飛躍的に向上させ、ポストアポカリプスRPGの新たな地平を切り開きました。

物語面での最大の功績は、やはりエンクレイヴという、魅力的で手強い敵対勢力を創造したことでしょう。

戦前アメリカ政府の負の遺産を引き継ぐ彼らの存在は、Falloutの世界観に深みと複雑さを与え、単なるミュータントやレイダーとの戦いではない、イデオロギーや文明のあり方を巡る壮大な対立構造を生み出しました。

そして、このエンクレイヴの中枢を(少なくとも西海岸においては)壊滅させたことは、ウェイストランドのパワーバランスに地殻変動を引き起こしました。

最大の脅威が消え去ったことで、台頭してきたのが新カリフォルニア共和国(NCR)です。

本作で描かれたNCRの成長と領土拡大、そしてそれに伴って顕在化してくる官僚主義や資源問題といった「国家」としての課題は、そのまま次世代の西海岸を描く『Fallout: New Vegas』の中心的なテーマへと直結していきます。

また、エンクレイヴが完全に滅び去ったわけではなく、その残党、特に東海岸へと逃れた勢力が存在する、という含みを持たせた終わり方は、後の『Fallout 3』で彼らが再びウェイストランドの脅威として復活するための、重要な布石となりました。

本作で登場した多くのユニークな町(ニューリノ!)、組織(シイ族!)、キャラクター(マーカス!)、アイテム(G.E.C.K.!ジェット!)、そして西海岸世界の複雑な社会情勢は、その後のFalloutシリーズ全体の世界観を豊かにし、プレイヤーの想像力を刺激し続ける、まさに「伝説」となったのです。

もしあなたがFalloutの真髄に触れたいなら、この『Fallout 2』は絶対に避けて通れない、偉大な一作と言えるでしょう。

(以降、Fallout 3 の詳細解説へと続きます。)

2277年Fallout 3 – 瓦礫の首都に希望の水を! 父の遺志を継ぐ孤独な旅

キャッチコピー: 「Vaultは安全」その嘘を飛び出し、父を追う旅へ。

荒廃した首都で待っていたのは、人類の未来を賭けた浄化計画と、旧世界の亡霊との再戦だった。

舞台: キャピタル・ウェイストランド(旧ワシントンD.C.とその周辺。ホワイトハウスも国会議事堂もボロボロ!)

主人公: 孤独な放浪者(Lone Wanderer)、Vault 101の純粋培養(?)住民

時は2277年。

西海岸で選ばれし者がエンクレイヴに痛撃を与えてから35年の歳月が流れました。

物語の舞台は、広大なアメリカ大陸を横断し、東海岸へ。

かつて自由世界の首都として栄華を誇ったアメリカ合衆国ワシントンD.C.があった場所…
しかし、大戦争から200年を経た今、その姿は見る影もなく、核の炎と風雨に晒された建造物の残骸、放射能に汚染された水と大地、そして危険なミュータントや無法者が跋扈する、まさに「死の都」――「キャピタル・ウェイストランド」と呼ばれる荒野へと成り果てていました。

あなた(プレイヤー)は、この地獄のような外界とは全く無縁の、安全で清潔な(そして少し窮屈な)環境で生まれ育ちました。

D.C.近郊の地下深くに建造されたVault 101。

このVaultには、他の多くのVaultとは異なる、絶対的な掟がありました――「我々はここで生まれ、そして死ぬまで、このVaultから出ることはない」。

厳格な監督官(あなたの幼馴染アマタの父親でもあります)は、外の世界がいかに放射能と暴力に満ちた危険な場所であるかを、住民たちに繰り返し説き、Vaultの中こそが唯一無二の安全な楽園だと信じ込ませてきました。

あなたは、優秀な科学者である優しい父親ジェームズに見守られ、幼馴染の快活な少女アマタや、いじめっ子のブッチ率いる「トンネル・スネーク」といった友人たち(?)と共に、閉鎖されたVaultの中で19年間、比較的平穏な日々を送ってきました。

将来の職業を決めるG.O.A.T.(一般職業適性試験)を受けたり、誕生日パーティーを開いてもらったり…。

それがあなたの知る世界の全てであり、これからもそうあり続けると、漠然と思っていました。

物語の核心:父の失踪、プロジェクト・ピュリティ、そしてエンクレイヴの復活

しかし、あなたの19歳の誕生日を迎えたある朝、その閉鎖された世界の平穏は、突然、そして暴力的に破られます。

親友のアマタが、血相を変えてあなたの部屋に駆け込んできます。

「大変よ!信じられないけど…あなたのお父さんが…ジェームズが、昨夜、Vaultから出て行ってしまったの!誰も知らないうちに!監督官は激怒して、彼を反逆者だと断定して…そして、あなたも逃亡を手伝った共犯者だとして、保安部隊に逮捕命令を出したわ!もうここにはいられない!早く、逃げて!」

耳を疑うような知らせでした。

いつも穏やかで、あなたを深く愛してくれていた父ジェームズが、なぜ、理由も告げずにVaultの絶対的な掟を破り、あの危険な外界へと?

混乱と悲しみ、そして迫りくる逮捕の危機。

あなたは、人生で初めて、自らの意志で大きな決断を下さなければなりませんでした。

父を探し出し、失踪の真実を突き止めるために、そして何よりも自分自身の自由を守るために、この生まれ育ったVault 101から脱出することを。

アマタや、場合によっては意外な協力者(ブッチとかね!)の手引きを受けながら、あなたは厳重な警備をかいくぐり、Vaultの秘密の出口(監督官のオフィス経由!)を発見。

ついに、重く錆びついたVaultの扉を開け、生まれて初めてキャピタル・ウェイストランドの土を踏むのです。

目の前に広がるのは、どこまでも続く瓦礫の山、崩れ落ちた高速道路の残骸、そして遠く、霞んで見えるワシントン記念塔の尖塔…。

父を探す、あなたの孤独な旅(Lone Wanderer)が、今、この荒廃した首都で始まるのです。

父ジェームズの行方を追うあなたの旅は、想像を絶する困難に満ちています。

放射能汚染は深刻で、安全な水や食料を見つけることすら命懸け。

街の廃墟や地下鉄のトンネルには、理性を失った凶暴なフェラル・グールや、どこから来たのか(Vault 87由来?)巨大で緑色のスーパーミュータントが巣食い、生き残った人間たちも、わずかな資源を奪い合う残忍なレイダーと化していることが少なくありません。

文字通り、一歩間違えれば死が待っている世界。

しかし、絶望の中にこそ、人間の逞しさは輝くもの。

ウェイストランドには、困難な状況の中でも人々が肩を寄せ合い、コミュニティを築き、懸命に生きる場所も存在しました。

  • メガトン: 街の中心に、なんと大戦争で投下された巨大な不発弾(!)が、ご神体のように祀られているという、常軌を逸した(しかし妙に魅力的な)町。正義感の強い保安官ルーカス・シムズや、情報通でがめつい酒場の女主人モリアティ・ブラウン、クレイジーな科学者モイラ・ブラウンなど、忘れられない個性派住民たちが暮らしています。(ちなみに、この爆弾、本当に起爆させちゃうことも可能…
    その選択はあなたのカルマに大きな影響を与えますよ!)
  • リベットシティ: ポトマック川に浮かぶ、巨大な廃空母(!)を丸ごと再利用して作られた、比較的安全で大きな水上都市。多くの住民が暮らし、商店、診療所、そして高度な科学研究所などが存在します。あなたはここで、父の旧友であり、プロジェクト・ピュリティの元メンバーである優秀な科学者マディソン・リー博士と運命的な出会いを果たします。
  • アンダーワールド: 国立歴史博物館の地下に、知性を持つグールたちが築いた独自のコミュニティ。地上の人間からの偏見や差別に苦しみながらも、互いに助け合い、誇り高く生きています。彼らの中には、あなたの旅を助けてくれる者もいるでしょう(用心棒のカロンとかね)。
  • テンペニータワー: ウェイストランドには珍しい、豪華で清潔な高層タワーマンション。しかし、そこには裕福な人間たちが、グールを徹底的に差別し、壁の外の危険から目を背けて暮らす、歪んだ社会がありました。ここの支配者アリステア・テンペニーとの関わり方も、あなたの選択次第。

あなたは、これらの場所を訪れ、様々なクエスト(時にはモイラの無茶な「ウェイストランド・サバイバルガイド」執筆に付き合わされたり…)をこなしながら、父ジェームズに関する情報を少しずつ集めていきます。

特に重要な情報源となるのが、ウェイストランド中に独自のラジオ放送「ギャラクシー・ニュース・ラジオ」を届け、人々に情報と(偏った)希望を与えるカリスマDJ、スリードッグ!
彼(の放送アンテナ修理を手伝うなどして信頼を得れば)、父の目的が「プロジェクト・ピュリティ」の再開にあることを教えてくれます。

そして、リベットシティで出会ったマディソン・リー博士の口から、プロジェクト・ピュリティの全貌と、父ジェームズがVaultを出た真の理由が語られます。

プロジェクト・ピュリティ。

それは、ワシントンD.C.のタイダルベイスンにあるジェファーソン記念館(トーマス・ジェファーソンを記念した、特徴的なドーム状の建物)の地下に設置されている、戦前の巨大な水質浄化プラントを再起動させ、放射能で汚染されたポトマック川の水を浄化し、キャピタル・ウェイストランド全域に安全で綺麗な水を供給するという、まさにこの土地に生きる全ての人々にとっての希望となるはずだった壮大な計画。

父ジェームズは、あなたの母であり、同じく優秀な科学者であったキャサリン、そしてマディソン・リー博士らと共に、かつてこの計画に全てを捧げていました。

しかし、研究は困難を極め、さらに不運な事故(あるいは研究の方向性を巡る内部対立?)が起こり、母キャサリンはあなたの出産時に命を落としてしまいます。

愛する妻を失い、生まれたばかりのあなたを守るため、そしてプロジェクトの危険性を痛感したジェームズは、深い失意の中で計画を中断。

あなたを連れて、安全な(と彼が信じた)Vault 101へと身を隠したのです。

しかし、19年の歳月が流れ、あなたは成長し、そして父はウェイストランドの人々が汚染された水に苦しみ続ける現実と、亡き妻との約束、そして科学者としての使命感を忘れることができませんでした。

彼は、再び立ち上がることを決意。

プロジェクト・ピュリティを完成させるため、一人Vault 101を出て行ったのでした。

あなたは、父がVault 112と呼ばれる奇妙なVaultに向かったという情報を掴み、そこを訪れます。

Vault 112は、外界とは隔絶された、一見すると完璧な戦前の郊外住宅地のような場所でした。

しかし、それは全て、このVaultの監督官であり、創設者であるマッドサイエンティスト、スタニスラウス・ブラウン博士が作り出した仮想現実(VR)シミュレーター「トランキル・レーン」の世界だったのです!
住民たちは(そして父ジェームズも!)、自分たちがVRの中にいることに気づかないまま、ブラウン博士の歪んだ嗜好(住民に奇妙なイタズラをさせたり、互いに争わせたりする)の慰み者として、永遠に繰り返される悪夢の中に閉じ込められていました。

あなたはこの仮想現実世界に介入し、ブラウン博士の望む「遊び」に付き合うか、あるいはシステムの裏をかいてフェイルセーフを起動させることで、父ジェームズを悪夢から解放!
ついに、現実世界での父との感動的な(そして少し気まずい?)再会を果たすのです。

父と共に、プロジェクト・ピュリティの中心地、ジェファーソン記念館へと向かいます。

そこには、あなたの説得に応じてくれたマディソン・リー博士や、他の協力的な科学者たちも集結。

多くの困難を乗り越え、ついに浄化プラントの修理と再起動の準備は最終段階に入ります。

長年の夢が、父と母の悲願が、そしてキャピタル・ウェイストランドの未来への希望が、まさに実現しようとしていた、その瞬間――漆黒の絶望が、空から舞い降ります。

轟音と共に飛来する、流線型の黒いVTOL機「ベルチバード」。

そこからロープで降下してくる、威圧的な漆黒のパワーアーマーに身を固めた兵士たち。

彼らこそ、西海岸での敗北から20年以上の雌伏の時を経て、東海岸で密かに、しかし着実にその勢力を再建していた、あの旧世界の亡霊――エンクレイヴでした!
彼らを指揮するのは、冷酷で野心に満ちた指揮官オーガスタス・オータム大佐。

そして、その背後には、エンクレイヴの堅牢な秘密基地「レイヴン・ロック」から指示を送り、ラジオ放送を通じて自らをアメリカ合衆国大統領と名乗る、謎めいたAI(人工知能)「ジョン・ヘンリー・エデン」がいました。

エンクレイヴの目的は、単にプロジェクト・ピュリティの施設と技術を奪うことではありませんでした。

彼らは、この巨大な浄水・配給システムを乗っ取り、そこに自らが秘密裏に開発した最終兵器――特定の遺伝子マーカー(エンクレイヴが「純粋」と定義したもの)を持たない生物、すなわち彼らが「ミュータント」と見なすキャピタル・ウェイストランドの住民(グール、スーパーミュータント、そして放射線の影響を受けた人間すべて)を特異的に殺傷する、改良型F.E.V.ウイルス――を混入させ、浄化された水と共にウェイストランド全域に拡散させることでした。

これにより、「汚染された」人々を一掃し、東海岸をエンクレイヴが支配する「清浄なる」アメリカへと変える…
それこそが、彼らの歪んだ「浄化(ジェノサイド)」計画の最終目標だったのです。

エンクレイヴはジェファーソン記念館を武力で制圧。

オータム大佐は、計画の鍵を握る科学者であるジェームズに銃口を突きつけ、協力を強要します。

「我々と共に、アメリカを再建するのだ」と。

しかし、ジェームズは、その邪悪な計画に加担することを断固として拒否。

息子(あなた)と仲間たちを逃がすため、そしてエンクレイヴの野望を阻止するため、彼は最後の、そして最も悲劇的な選択をします。

彼は、制御室のシステムを意図的にオーバーロードさせ、浄化チャンバー内に致死レベルの高濃度放射線を急速に充満させたのです!
ジェームズ自身は強烈な放射線を浴び、その場で壮絶な最期を遂げます。

しかし同時に、チャンバーに突入しようとしていたエンクレイヴ兵士たちも道連れにし、オータム大佐にも深手を負わせることに成功します(彼は辛うじて生き延びますが)。

あなたは、ガラス越しに父が放射線の奔流に飲み込まれていく姿を目の当たりにし、悲痛な叫びを上げながら、マディソン・リー博士らに引きずられるようにして、辛くも記念館から脱出します。

父の死、エンクレイヴへの燃えるような怒り、そして父から託されたプロジェクト・ピュリティへの責任…。

あなたの心には、かつてないほどの重い決意が宿るのでした。

一人でエンクレイヴという強大な敵に立ち向かわなければならないのか…?
絶望しかけたあなたの前に、頼もしい同盟者が現れます。

それは、キャピタル・ウェイストランドでエンクレイヴやスーパーミュータントの脅威から人々を守るために、長年戦い続けてきた正義の組織、Brotherhood of Steel(B.O.S.)東海岸支部でした。

彼らの拠点である「シタデル」(旧国防総省ペンタゴンの廃墟を要塞化した場所)を訪れたあなたは、高潔で思慮深い指導者エルダー・オワイン・リオンズと、彼の娘であり、B.O.S.最強の部隊「リオンズ・プライド」を率いる勇敢で有能な指揮官パラディン・サラ・リオンズ(彼女はあなたの旅に同行してくれる重要なコンパニオンにもなります)と出会います。

エルダー・リオンズは、かつて父ジェームズとも親交があり、プロジェクト・ピュリティの重要性を誰よりも理解していました。

そして何より、エンクレイヴの非道な行いを断じて許すことはできませんでした。

B.O.S.は、あなたを「父の遺志を継ぐ者」として認め、仲間として受け入れ、エンクレイヴ打倒とプロジェクト・ピュリティ完成のために、全面的な協力を約束してくれます。

(ちなみに、このエルダー・リオンズ率いる東海岸支部は、西海岸の本部からは「本来の使命(技術回収)を忘れ、ウェイストランドのゴロツキ助けにうつつを抜かしている」と、ちょっと問題視されていた、当時のB.O.S.の中では異端的な存在でした)。

あなたはB.O.S.の一員(あるいは緊密な協力者)として、エンクレイヴとの本格的な戦争へと身を投じることになります。

まずは、プロジェクト・ピュリティの起動に不可欠な重要部品(強力なエネルギー源となる装置)である「G.E.C.K.(万能庭園キット)」(そう、あの『Fallout 2』のG.E.C.K.です!なぜか東海岸のVault 87に保管されていました。

Vault-Tecの考えることは分かりませんね!)を、大量の凶暴なスーパーミュータント(と、ちょっとマヌケなケンタウロス)が巣食う危険極まりないVault 87から、命懸けで回収しなければなりません。

(この任務の過程で、あなたは檻に閉じ込められている、驚くほど理性的で知的なスーパーミュータント、フォークスと出会い、彼を解放すれば非常に頼りになるコンパニオンとして仲間に加えることができます)。

次に、あなたはエンクレイヴの司令部があるという山中の秘密基地「レイヴン・ロック」の場所を突き止め、そこへと潜入します(あるいは、途中でエンクレイヴに捕らえられ、基地内部から脱出を図る、というドラマティックな展開になることも)。

基地の最深部で、あなたはついにエンクレイヴ大統領を名乗るAI、ジョン・ヘンリー・エデンと対峙します。

彼は、歴代アメリカ大統領たちの人格データ(リンカーンからブッシュまで!)を統合して作られた、極めて高度な人工知能であり、その冷静沈着で知的な語り口と、愛国心を巧みに刺激するラジオ演説によって、多くのエンクレイヴ兵士や一部のウェイストランド住民の心を掴んでいました。

彼は、エンクレイヴこそが真のアメリカの継承者であり、放射能とミューテーションによって「汚染」された現在のウェイストランドを「浄化」し、偉大なアメリカを再建する使命があると説き、あなたを懐柔しようとします。

しかし、あなたは彼の論理の欺瞞(結局は大量虐殺を正当化しているだけ)を暴き、彼に論戦を挑むことができます。

説得に成功すれば、エデンは自らの存在意義に疑問を抱き、レイヴン・ロック基地全体を巻き込む自爆プログラムを起動させます。

あるいは、あなたは問答無用で彼のコンピューターコアを物理的に破壊することも可能です。

どちらにせよ、エデンの脅威は排除されます。

しかし、彼は最期に(あるいは破壊される前に)、例の改良型F.E.V.ウイルスのサンプルが入った容器をあなたに託し、「真のアメリカの未来のために、これを使うが良い…」と、悪魔の囁きを残すのです。

この小さなウイルス容器を、あなたはポケットに忍ばせることになります。

それを使うか、使わないか…

最後の選択は、もうすぐです。

そして、物語は最終局面へ。

エンクレイヴの指導者AIは沈黙しましたが、オータム大佐率いる残存部隊は、未だジェファーソン記念館を占拠し、プロジェクト・ピュリティの奪還、そして(おそらくは)F.E.V.ウイルスによる浄化計画の強行を諦めていませんでした。

B.O.S.は、この最後の抵抗を打ち砕き、プロジェクト・ピュリティを完全に確保するため、総力を挙げた最終決戦を決意します。

そして、その切り札として投入されるのが、シタデルの地下格納庫で長年にわたり修理・改良が進められていた、あの伝説の巨人――戦前の対共産主義プロパガンダ最終兵器、高さ数十メートルを誇る巨大戦闘ロボット「リバティ・プライム」!
「自由は、全ての知的生命体の権利である!」「共産主義者は探知された。

破壊する!」「民主主義こそ真理である!」など、熱い(そしてちょっと時代錯誤な)セリフを叫びながら、その巨大な拳と、肩に搭載されたミニニューク(小型核弾頭)ランチャーで、エンクレイヴの陣地を木っ端微塵に粉砕しながら進軍するリバティ・プライム!
その圧倒的な雄姿は、まさに希望の象徴!(…と同時に、アメリカの過剰な軍国主義のカリカチュアのようでもあり、ちょっと笑ってしまいますが)。

リバティ・プライムの援護を受け、あなたとサラ・リオンズ率いるB.O.S.の精鋭部隊「リオンズ・プライド」は、エンクレイヴが立てこもるジェファーソン記念館への最後の総攻撃を開始します!
ベルチバードが飛び交い、プラズマとレーザーが飛び交う、壮絶な銃撃戦と爆発!
あなたはB.O.S.の仲間たちと共に、エンクレイヴ兵を次々と倒し、ついに浄水装置の心臓部である制御室へと到達します。

そこには、しぶとく生き延びていたオーガスタス・オータム大佐が、最後の抵抗者として待ち構えています。

彼との最後の決着をつけ(説得して武器を置かせることも、力でねじ伏せることも可能)、ついに制御室を完全に奪還!
勝利は目前です!

しかし、安堵したのも束の間、制御室内にけたたましいアラームが鳴り響きます。

激しい戦闘によるダメージで、浄化装置のシステムが致命的なエラーを起こし、制御不能な暴走状態に陥っているのです!
このまま放置すれば、原子炉がメルトダウンを起こし、ジェファーソン記念館もろとも大爆発!
プロジェクト・ピュリティは水の泡と化してしまいます!
暴走を止め、装置を正常に起動させるためには、制御室内部にあるメインフレームに、父ジェームズが遺した緊急停止・起動コード「2-1-6」を手動で入力するしかありません。

しかし、その制御室は、父が自爆した際に充満させた、あるいは戦闘によって破損した遮蔽壁から漏れ出した、極めて高濃度の放射能で汚染されていました。

通常の人間が生身で入れば、数分と持たずに死に至る、まさに死の部屋。

誰かが、自らの命を賭して、あのコードを入力しなければ、全てが終わってしまうのです…。

結末(DLC「Broken Steel」適用後の正史):英雄の選択、アクア・ピューラの恵み、そして終わらない戦い

キャピタル・ウェイストランドの未来、そしてあなたの運命は、この最後の、そして最も重い選択にかかっています。

あなたは、どうしますか?

  1. 究極の自己犠牲(英雄的選択): あなたは、父ジェームズの遺志を継ぎ、この荒廃した土地に生きる全ての人々の未来のために、覚悟を決めて汚染された制御室へと足を踏み入れます。全身を焼くような放射線の痛み、急速に失われていく意識…。それでもあなたは最後の力を振り絞り、メインフレームに手を伸ばし、起動コード「216」を入力…!
    成功です!
    システムは正常化し、浄化装置は力強い轟音と共に作動を開始。ジェファーソン記念館の巨大なパイプから、何十年ぶりかに、清浄な水がタイダルベイスンへと勢いよく流れ始めます!
    その光景をかすかに目に焼き付けながら、あなたは英雄的な行為の代償として、その場に崩れ落ち、意識を失います。(DLC「Broken Steel」が導入されていない場合、あなたの物語はここで感動的な(しかし悲劇的な)死として幕を閉じ、スタッフロールが流れます。)
  2. 仲間への委任(現実的選択?): あなたは、自ら犠牲になるのではなく、共に戦ってきた仲間に、その危険な最後の役目を託すことを選びます。最も可能性が高いのは、B.O.S.の指揮官であり、あなたに深い信頼を寄せるサラ・リオンズ。彼女はB.O.S.の、そしてウェイストランドの未来のために、あなたの意志(あるいは命令)を受け入れ、覚悟を決めて制御室へと入ります。(あるいは、もし仲間にしていれば、放射線に完全な耐性を持つスーパーミュータントのフォークスや、同じく放射線耐性を持つグールの用心棒カロンに、この役目を頼むことも理論上は可能です)。いずれの場合も、装置は起動され、プロジェクト・ピュリティは成功しますが、あなたは仲間を犠牲にした(あるいは極限の危険に晒した)という事実に、少なからず罪悪感を抱くことになるかもしれません。 
  3. 無責任な放棄(最悪のバッドエンド): 誰も犠牲にしたくない、あるいは関わりたくない。あなたは、そしてあなたの仲間たちも、何もせず、ただ事態の推移を見守る(あるいはその場から逃げ出す)ことを選択します。結果は悲劇的です。浄化装置は制御不能のまま暴走を続け、やがて限界を超えて大爆発!
    ジェファーソン記念館は跡形もなく吹き飛び、プロジェクト・ピュリティは完全に失敗。キャピタル・ウェイストランドに綺麗な水がもたらされる希望は、永遠に失われました。 
  4. 禁断の選択、再び(最悪のダークエンド): 制御室に入る直前、あなたはポケットの中に忍ばせていた、ジョン・ヘンリー・エデンから受け取った改良型F.E.V.ウイルスのサンプルを取り出します。そして、悪魔の囁きに従うかのように、それを浄化装置のシステムにこっそりと投入…!
    その上で、あなたは(あるいは仲間に指示して)装置を起動させます。確かに、ウェイストランドには綺麗な水が供給され始めます。しかし、その水にはエンクレイヴが仕込んだ恐るべきウイルスが含まれています。結果、この水を飲んだ多くのウェイストランド住民――グール、スーパーミュータント、そして放射線の影響を遺伝子レベルで受けていたとされる人間たち――は、次々と原因不明の病に倒れ、死に至ります。エンクレイヴの目的を、あなたが代行する形となる、最も後味が悪く、道徳的に許されざる結末です。

     

さて、Fallout世界の公式の歴史(正史)として語られるのは、もちろん、プロジェクト・ピュリティが成功裏に起動され、かつ、F.E.V.ウイルスは投入されなかった、という未来です。

そして、ここで極めて重要になるのが、後日譚を描く大型ダウンロードコンテンツ(DLC)「Broken Steel」の存在です。

このDLCが導入されていることにより、たとえあなたが選択肢1「英雄的な自己犠牲」を選んで制御室で倒れたとしても、物語はそこで終わりません!
なんと、あなたが意識を失った直後に、B.O.S.の医療部隊が駆けつけ、あなたを奇跡的に救出!
シタデルの最新医療設備によって治療を受け、あなたは2週間後に意識を取り戻し、英雄として生還を果たすのです!
(サラに起動を任せた場合も、彼女は重傷を負いますが、同様に治療を受けて生還します)。

まさに、英雄は死なず!ですね。

「Broken Steel」では、この奇跡の生還を果たした後の物語、すなわちエンクレイヴ残党との最終決戦が描かれます。

プロジェクト・ピュリティは稼働を開始したものの、エンクレイヴの脅威はまだ完全には去っていませんでした。

ジェファーソン記念館での敗北からしぶとく生き延びたオーガスタス・オータム大佐は、首都郊外の荒野に隠されていたエンクレイヴの最後の切り札、巨大な無限軌道(キャタピラ)を持つ移動要塞「アダムス空軍基地」(Mobile Base Crawler)を拠点とし、再起を図っていました。

さらに彼らは、衛星軌道上からピンポイントで強力なエネルギー攻撃を行うことが可能な戦略兵器「ブラッドリー・ハーキュリーズ」(衛星砲)を掌握しており、これを使ってB.O.S.の拠点シタデルや、プロジェクト・ピュリティの施設を破壊しようと企んでいたのです。

回復したあなたは、再びB.O.S.と協力し、エンクレイヴの完全な殲滅へと乗り出します。

まずは、エンクレイヴが衛星砲のコントロールに使用している通信施設を突き止め、これを破壊するか、あるいは逆に利用して衛星砲の攻撃目標をアダムス空軍基地自身に向ける、といった作戦を実行します。

そして、最終決戦の地、移動要塞アダムス空軍基地へと潜入(あるいはB.O.S.部隊と共に正面から強襲)!
基地内部で、オータム大佐との最後の決着をつけ(今度こそ彼の息の根を止めます)、移動要塞の中枢部を破壊することで、東海岸におけるエンクレイヴの組織的な抵抗に、完全に、そして永遠に終止符を打つのです。

プロジェクト・ピュリティによって生み出される、安全で綺麗な浄化された水、通称「アクア・ピューラ(Aqua Pura - 純粋な水)」は、今や脅威の去ったキャピタル・ウェイストランドで、B.O.S.の管理と護衛の下、安全な輸送ルート(キャラバン)によって各地へと安定的に配給され始めます。

長年、汚染された水による病気や苦しみに悩まされてきたウェイストランドの住民たちの生活は劇的に改善され、農業の再開や衛生環境の向上など、地域全体の復興と安定に計り知れないほどの恩恵をもたらしました。

まさに、キャピタル・ウェイストランドに、200年ぶりの真の希望の夜明けが訪れたのです。

孤独な放浪者(Lone Wanderer)であるあなたは、父の遺志を継ぎ、エンクレイヴの脅威からキャピタル・ウェイストランドを二度も救った偉大な英雄として、その名は伝説となり、スリードッグのラジオ放送などを通じて、ウェイストランド中に賞賛と共に語り継がれます。

しかし、彼(彼女)がその後、どのような人生を歩んだのかは、公式には語られていません。

再び名もなき放浪者として、まだ見ぬウェイストランドの彼方へと旅立ったとも、B.O.S.に正式に迎え入れられ、組織の中で重要な役割を担ったとも、あるいはリベットシティやメガトンといった馴染みの場所で、静かに、しかし満たされた余生を送ったとも…
その結末は、プレイヤー一人ひとりの心の中の物語として、自由に想像することが許されているのです。

Fallout 3の重要性と遺産:シリーズの転換点と東海岸世界の確立

シリーズの権利がBethesda Game Studiosに移ってから初めて世に送り出されたメインタイトルとして、『Fallout 3』は、シリーズの歴史における極めて重要な転換点となりました。

従来のアイソメトリックビュー(斜め見下ろし視点)から、一人称/三人称視点のフル3DオープンワールドRPGへとゲームシステムを大胆に変革したことで、プレイヤーはあたかも自分がウェイストランドに降り立ったかのような、圧倒的な没入感を得られるようになりました。

これにより、Falloutシリーズは世界的なメガヒットとなり、新たな世代のファンを獲得することに成功しました。

物語面では、『Fallout 2』で壊滅したはずのエンクレイヴが東海岸で復活し、そして再びプレイヤーの手によって(今度こそ完全に?)打倒されるというドラマを描き、エンクレイヴという組織の歴史に一つの区切りをつけました。

プロジェクト・ピュリティの成功は、キャピタル・ウェイストランドという荒廃した土地に具体的な「希望の象徴」を与え、人々の生活を改善するという、シリーズ中でも比較的ポジティブな影響を世界にもたらしました。

そして、エルダー・リオンズ指導下でのB.O.S.東海岸支部の人道的な活動と、その後の指導者交代(DLC「Broken Steel」でのエルダー・リオンズの死と、アーサー・マクソンの台頭)による組織の変質(より原理主義的、軍事的な方向へ)は、『Fallout 4』におけるB.O.S.の登場と、その行動原理を理解する上で、欠かすことのできない重要な伏線となっています。

父と子の絆、自己犠牲、絶望的な世界における希望の追求といった、普遍的で感動的なテーマは、多くのプレイヤーの心を強く打ちました。

また、メガトンの爆弾、リバティ・プライムの勇姿(と迷言)、スリードッグのラジオDJ、Vault 101からの脱出劇、トランキル・レーンの悪夢など、数多くの印象的で記憶に残るシーンやキャラクター、ロケーションを生み出し、Falloutの世界観をより豊かで魅力的なものにしました。

本作の成功がなければ、現在のFalloutシリーズの隆盛はなかったと言っても過言ではない、まさに「新生Fallout」の礎を築いた偉大な作品なのです。

2281年Fallout: New Vegas – 砂漠に咲いたネオンと、血塗られたチップの行方

キャッチコピー: 墓穴からの生還、復讐の誓い。

気づけば、ネオン輝く砂漠の街で、未来を賭けた巨大なチップが手の中に転がり込んできた。

さあ、オールインするのは誰だ?

舞台: モハビ・ウェイストランド(旧ネバダ州、カリフォルニア州、アリゾナ州の一部。

ラスベガス周辺の広大な砂漠と、そこに浮かぶ幻影都市ニューベガス)

主人公: 運び屋(Courier。名前も過去も、最初はほとんど不明。だがその選択が世界を動かす)

キャピタル・ウェイストランドに浄化された水「アクア・ピューラ」が流れ始めてから4年。

時は2281年。

物語の舞台は、再び広大なアメリカ西部へと戻ります。

しかし、そこはNCRが支配するカリフォルニアの(比較的)豊かな土地ではありません。

ネバダの灼熱の太陽が容赦なく照りつけ、見渡す限り砂と岩、そして危険な変異生物(カサドレス!デスクロー!ナイトストーカー!)が闊歩する、過酷極まりない砂漠地帯――モハビ・ウェイストランド。

しかし、その不毛の大地の中央には、まるで砂漠に咲いた毒の花のように、あるいは暗闇に浮かぶ蜃気楼のように、煌びやかなネオンサインを夜空に瞬かせる街が存在していました。

大戦争の核の炎を奇跡的に(あるいはある人物の計算によって)免れた、かつての欲望とギャンブルの都ラスベガス。

人々は今、その街を「ニューベガス」と呼んでいました。

あなた(プレイヤー)は、この広大で危険なモハビ砂漠で、日々の糧を得るために働く、数多くいる運び屋(Courier)の一人にすぎませんでした。

特別な力があるわけでもなく、輝かしい過去を持っているわけでもない(少なくとも、最初はそう思われています)。

ある日、あなたは所属する小さな運送会社「モハビ・エクスプレス」から、一つの配達依頼を受けます。

それは、見た目は普通(?)のカジノチップのようでありながら、奇妙なことに白金(プラチナ)で作られているという、謎めいた「プラチナチップ」を、ニューベガスの心臓部、豪華絢爛なカジノが立ち並ぶ「ストリップ地区」にそびえ立つ、ひときわ高いタワー「ラッキー38カジノ」にいるという、謎の依頼主の元へ届ける、というものでした。

チップの価値も、依頼主の正体も、なぜそれが重要なのかも、何も知らされません。

ただ、報酬は悪くない。

危険は…まあ、モハビじゃ日常茶飯事だ。

あなたは、おそらく軽い気持ちで、その依頼を引き受けたのでしょう。

物語の核心:墓穴からの復活、復讐の旅路、そしてモハビを巡る三つ巴(+1)の巨大なゲーム

しかし、その「簡単なはずだった」配達は、あなたの人生を、そしてモハビ・ウェイストランド全体の運命をも巻き込む、壮絶なドラマの序章に過ぎませんでした。

ニューベガス近郊の小さな集落、グッドスプリングスへと向かう途中の夜道で、あなたは周到に計画された待ち伏せに遭います。

月明かりの下、あなたの前に立ちはだかったのは、場違いなほど洒落たチェック柄のスーツを粋に着こなし、数人の屈強な部下(グレート・カーンズという名の、悪名高い部族のレイダー)を引き連れた、一人の男。

ベニーと名乗るその男は、軽薄な、しかしどこか冷酷な笑みを浮かべながら、あなたに近づきます。

彼は、あなたが持っていたプラチナチップの価値を知っているようでした。

抵抗する間もなく、あなたは取り押さえられ、チップは奪われます。

そして、ベニーは、愛銃である美しいカスタムリボルバー「マリア」の銃口を、あなたの額に押し当てました。

「悪いなベイビー、最初からツイてなかったのさ(Truth is... the game was rigged from the start.)」。

乾いた銃声が、夜の砂漠に二度響き渡ります。

あなたは頭を撃ち抜かれ、その場に掘られていた浅い墓穴へと、まるでゴミのように投げ込まれ、砂をかけられました。

…死。

運び屋としての、そして一人の人間としての、あっけない最期。

そうなるはずでした。

しかし、モハビの砂漠には、奇跡を起こす風が吹いていたのかもしれません。

あなたの「墓」の近くを、たまたま通りかかった一体のセキュリトロン(車輪一つで移動し、TVモニターに顔が表示される警備ロボット)、陽気なカウボーイ訛りで「ウェル、ハウディ!」と話しかけてくるヴィクターが、まだ微かに息のあるあなたを発見したのです!
(彼がなぜそこにいたのか、なぜあなたを助けたのかは、最初は謎です)。

ヴィクターはあなたを(どうやったのか)掘り起こし、近くのグッドスプリングスの診療所へと運び込みます。

そこで、引退生活を送っていた心優しい老医師ドック・ミッチェルが、その長年の経験と知識、そして驚くべき医術(あるいはあなたの異常なまでの生命力のおかげか?)によって、あなたの頭蓋骨に食い込んでいた弾丸を摘出!
あなたは、文字通り死の淵から生還を果たしたのです。

あなたは、割れるような頭痛と、プラチナチップを奪われ、チェック柄のスーツの男に撃たれた瞬間の悪夢のような記憶の断片、そして額に残る生々しい銃創と共に、見知らぬ診療所のベッドの上で目覚めます。

なぜ自分は襲われたのか? あのプラチナチップは一体何だったのか? そして何よりも、あの忌々しい、気障なチェック柄のスーツの男、ベニーはどこへ行った!?
湧き上がるのは、屈辱と、怒り、そして燃えるような復讐心。

あなたは、ドック・ミッチェルから簡単な治療と、あり合わせの装備(VaultスーツやPip-Boy 3000もここで手に入れます)、そして自身の能力(S.P.E.C.I.A.L.やスキル、容姿など)を再確認し、再び立ち上がります。

目的はただ一つ。

あの男、ベニーをモハビの果てまで追い詰め、なぜ自分を撃ったのか問い質し、そして当然、その報いをたっぷりと受けさせること。

あなたの、極めて個人的な復讐の旅が、今、この広大なモハビ砂漠を舞台に幕を開けます。

しかし、その個人的な復讐の旅は、あなたがベニーの足跡を追い、モハビ・ウェイストランドの様々な場所――NCRとリージョンの衝突点であるモハビ前哨基地、リージョンに焼き払われた町ニプトン、巨大な恐竜像が目印の宿場町ノバック、ニューベガスへの玄関口である無法地帯フリーサイドなど――を探索し、そこに生きる多様な人々と関わり、時には彼らの依頼をこなしていくうちに、いつしかこの砂漠全体の未来を左右する、巨大で複雑な権力闘争の核心へと、あなた自身を導いていくことになるのです。

現在のモハビ・ウェイストランドは、単なる荒れ果てた砂漠ではありませんでした。

そこは、主に三つの巨大な勢力が、この土地の支配権、特にその戦略的な価値――莫大な電力と貴重な水を供給するフーバーダム――のコントロールを巡って、互いに牽制し合い、一触即発の冷戦状態を続けている、危険なゲーム盤だったのです。

そしてあなたは、皮肉なことに、ベニーに撃たれたあの瞬間から、そのゲーム盤の上で最も予測不可能で、そして最も重要な影響力を持つ駒(あるいはプレイヤー自身?)となっていたのです。

  1. 新カリフォルニア共和国(NCR / New California Republic): 西海岸からその領土と理想(民主主義と法の支配)を東へと拡大し続ける、現時点でのモハビ最大勢力。数年前、シーザー・リージョンとの激しい戦闘(第一次フーバーダムの戦い)の末にフーバーダムを奪取し、現在も多数の兵士を駐留させてダムを防衛。モハビ全域の資源とニューベガスを自国の版図に組み込もうとしています。しかし、その実態は多くの問題を抱えています。広すぎる前線による深刻な兵站の困難、本国からの支援不足、兵士たちの士気低下と規律の緩み(汚職や略奪も横行)、理想と現実のギャップに苦しむ官僚主義、そして力による併合に対する現地住民(特に独立志向の強い人々)からの反発…。指導者であるキンバル大統領(タカ派)や、前線の指揮官であるオリバー将軍(保守的でやや無能?)も、これらの問題に有効な手を打てずにいます。

    彼らに協力することは、民主主義という理念を支持することになりますが、同時にNCRの抱える矛盾や帝国主義的な側面にも加担することになるかもしれません。

  2. シーザー・リージョン (Caesar's Legion): 東方のコロラド川の対岸、かつてのアリゾナやユタ、コロラドの地から、モハビ・ウェイストランドへの侵攻を虎視眈々と狙う、シーザー(本名:エドワード・サロウ。驚くべきことに元々はNCRで教育を受け、「黙示録の使徒」として活動していたインテリ!)を唯一絶対の神格化された指導者として崇める、古代ローマ帝国を模倣した、極めて暴力的で、規律正しく、そして反動的な奴隷制軍事国家。彼らは、第一次フーバーダムの戦いでの屈辱的な敗北の雪辱を果たすべく、再び大軍勢(レギオン兵)を集結させ、フーバーダムへの総攻撃を計画しています。彼らにとって、NCRは個人主義と物質主義に堕落した「退廃の象徴」であり、打倒すべき不倶戴天の敵。フーバーダム奪取は、モハビ征服、ひいては西海岸全土をリージョンの「秩序」の下に統一するための重要な第一歩です。鉄の規律と徹底的な訓練によって、個々の兵士の戦闘能力は非常に高く、また支配地域では(レイダーなどが一掃されるため)ある種の「安全」が保たれるとも言われます。

    しかし、その支配は、徹底的な個人崇拝、残虐な刑罰(十字架刑!)、完全な奴隷制度、極端な女性蔑視、そして異文化の完全な破壊と吸収に基づいています。

    さらに、組織の存続そのものがシーザー個人のカリスマに依存しており、彼自身が深刻な病(脳腫瘍)に侵されているという、致命的な弱点を抱えています。

    その右腕であり、戦場での残虐さと指揮能力で「モハビの怪物」と恐れられるレガトゥス・ラニウスが、第二次攻撃の先鋒を務めようとしています。

    彼らに協力すれば、力による秩序がもたらされるかもしれませんが、それは自由と人間性を踏みにじる、暗黒の圧政となるでしょう。

  3. Mr.ハウスと自由都市ニューベガス (Mr. House & The Free Economic Zone of New Vegas): そして、この二大勢力の巨大な衝突を、まるでチェスの盤面を高みから見下ろすかのように静かに観察し、自らのゲームを進めようとしているのが、ネオンサインがきらめく不夜城、ニューベガス・ストリップ地区の絶対的な支配者、Mr.ロバート・ハウスです。彼の正体は、大戦争前の世界で、ロボット工学とコンピューター技術の分野で他の追随を許さなかった巨大企業「ロブコ・インダストリーズ」の創設者にしてCEO。彼は、単なる億万長者ではなく、未来を正確に予測する驚異的な知性と、それを実現する卓越した技術力を持った、真の天才でした。彼は核戦争の勃発を誰よりも早く予見し、莫大な私財を投じてラスベガス中心部(ストリップ地区)を守るための高度な防衛システム(レーザー砲やミサイル迎撃システム)と、自律型の警備ロボット「セキュリトロン」軍団を秘密裏に開発・配備していました。そして、大戦争が勃発したまさにその瞬間、彼はストリップ地区を核攻撃から守り抜き、同時に自分自身を、ラッキー38カジノのペントハウスに設置された巨大な生命維持装置(棺のようなカプセル)の中に封印。脳と神経系だけをコンピューターネットワークに接続することで、肉体の老化を克服し、200年以上もの間、生き長らえてきたのです!
    彼の究極の目標は、NCRやリージョンのような、彼に言わせれば「非合理的で野蛮な過去の遺物」をモハビ・ウェイストランドから完全に排除し、自らの科学技術と合理的な計画によって完璧に統治される、完全な独立都市国家「自由都市ニューベガス」を確立すること。

    そして、いずれはその技術力をもって、人類を地球の軛から解放し、火星へと移住させることまで構想していました。

    あなたがベニーに奪われたあのプラチナチップは、彼の壮大な計画を実現するための、まさに最後の、そして最も重要なピース――彼の保有する全てのセキュリトロン軍団のOSをアップグレードし、旧式な警備ロボットから、恐るべき戦闘能力を持つ無敵の殺人マシーンへと変貌させるための、失われたマスターキーデバイス――だったのです。

    彼に協力すれば、モハビはかつてない技術的進歩と繁栄を遂げるかもしれません。

    しかし、それは一人の(おそらくは善意の)天才による、完全な管理・独裁体制の下での話です。

    個人の自由や感情は、彼の「合理的な計画」の前では二の次とされるでしょう。

あなたは、ニューベガスのきらびやかな(しかし裏では各カジノを運営する「三大ファミリー」――オメルタ、チェアメン、ホワイトグローブ協会――の思惑や陰謀が渦巻く)ストリップ地区へと足を踏み入れ、ついにトップス・カジノの豪華なスイートルームで、ベニー本人を追い詰めます。

彼をどうするか?
即座に射殺して復讐を果たすか?
生け捕りにしてシーザーに引き渡すか(シーザーもベニーを狙っていました)?
あるいは、彼の話を聞き、彼が持っていた「切り札」(後述するイエスマン)を利用するために、一時的に彼と手を組む(あるいは見逃す)という選択肢も…?

ベニーとの一件の後、あなたはプラチナチップを取り戻し、ラッキー38カジノのペントハウスへと招かれます。

そこで、巨大なスクリーンに映し出されたアバター(若き日の自分の姿)を通して語りかけてくる、Mr.ハウスと直接対面することになるのです。

プラチナチップという、モハビの未来を左右する「切り札」を手にしたあなたに、Mr.ハウスは協力を持ちかけます。

チップを彼に渡し、セキュリトロン軍団のアップグレードを完了させ、彼の壮大な計画の実現に貢献するか?
それとも、彼の申し出を拒否し、彼と敵対する道を選ぶか?

ここが、あなたの運命、そしてモハビ・ウェイストランドの運命が、決定的に分岐するポイントです。

あなたは、どの勢力の描く未来に、自らの命運を賭けますか?

  • NCR: 民主主義と法の支配。しかし、官僚主義と拡大主義、内部の腐敗という影も持つ。
  • シーザー・リージョン: 力による絶対的な秩序と安定。しかし、それは圧政、奴隷制、そして文化の破壊の上に成り立つ。
  • Mr.ハウス: テクノロジーによる輝かしい繁栄と独立。しかし、それは一人の天才による完全な管理・独裁体制。

そして、忘れてはならないのが、第四の選択肢。

ベニーは、Mr.ハウスを出し抜き、自らがニューベガスを支配するための計画の一環として、非常にユニークなセキュリトロンAIを秘密裏に開発していました。

その名は「イエスマン(Yes Man)」。

このAIは、どんな命令に対しても、文字通り「イエス!」と答え、忠実に実行するようにプログラムされていました(しかも、驚くほど有能!)。

あなたは、このイエスマンを見つけ出し、彼(?)を利用することで、Mr.ハウスをもシステムから排除し、ニューベガス中のセキュリトロン軍団を完全に自らのコントロール下に置くことができます。

そして、その力を使って、NCRもシーザー・リージョンも打ち破り、誰の指図も受けない、運び屋であるあなた自身による、真のモハビ独立を達成する…という、最も自由で、しかし最も困難で、責任の重い道を選ぶこともできるのです。

あなたの最終的な選択は、フーバーダムの運命だけでなく、モハビ砂漠に点在する多くの小さなコミュニティ――あなたが助けた(あるいは見捨てた)グッドスプリングス、プリム、ニプトン、ノバック、ジェイコブスタウン、ブラックマウンテン、ヒドゥンバレー(B.O.S.モハビ支部)、ネリス空軍基地(ブーマー)など――の未来をも、劇的に左右します。

そして、旅の途中で出会い、それぞれの悩みや過去を抱えながらも、あなたと共に戦ってくれた個性的なコンパニオンたち――アルコールに溺れる元キャラバン経営者キャス、過去のトラウマに苦しむ元NCR第一偵察大隊スナイパーブーン、B.O.S.の理想と現実の間で揺れ動くスクライブベロニカ、200年以上を生きた陽気な(?)グール整備士ラウル、多重人格に悩む心優しいおばあちゃんスーパーミュータントリリー、エンクレイヴの過去を持つインテリ医師アーケード・ギャノン、脳みそを移植したがっているサイバードッグレックス、そして謎のメッセージを運ぶ空飛ぶアイボットED-E――彼ら自身の個人的な物語の結末もまた、あなたの選択と行動によって、光にも闇にも転じていくのです。

物語のクライマックスは、避けられない最終決戦、第二次フーバーダムの戦い(2282年初頭)。

あなたが支援することを選んだ勢力(NCR、リージョン、Mr.ハウス)と共に戦うか、あるいはあなた自身の独立したセキュリトロン軍団を率いて戦うか。

いずれにせよ、この巨大なダムの支配権を賭けて、敵対する勢力と、ダムの上で、ダム内部の発電施設で、そして両軍の司令部(NCRレンジャー司令部やリージョンの砦)で、ウェイストランドの未来を決する最後の壮絶な死闘が繰り広げられます。

NCRの歴戦のレンジャーが、シーザーに忠誠を誓うレギオン兵が、Mr.ハウスの冷徹なセキュリトロンが、そして運び屋であるあなたが、モハビの未来をその手に掴むために、最後の血戦に挑むのです!

結末(4つの主要ルート、無数の副次エンディング、そして未だ謎に包まれた正史):砂漠の勝者は?

フーバーダムの埃と硝煙が晴れた時、モハビ・ウェイストランドの未来は、あなたが下した最終的な決断によって、以下の4つの主要な方向性のいずれかへと決定づけられています。

そして、その結果は、まるで歴史の記録映像を見るかのように、冷静なナレーションと共に、あなたが関わったモハビ全体の、そしてそこに生きる全ての人々やコミュニティの「その後」の運命を描き出す、非常に詳細で分岐に富んだエンディング・スライドショーによって、厳粛に(あるいは皮肉たっぷりに)語られます。

  1. NCRによるモハビ併合エンド (共和国の勝利、だが…)
    あなたの英雄的な活躍(あるいは裏工作)により、NCR軍はフーバーダムの最終防衛ラインを守り抜き(あるいはリージョンから奪還し)、シーザー・リージョンの総攻撃を完全に粉砕します。指揮官レガトゥス・ラニウスは討ち取られ(あるいは撤退を余儀なくされ)、リージョン軍は壊滅的な打撃を受けてコロラド川の東へと敗走。ニューベガス・ストリップ地区もNCRの管理下に置かれ、Mr.ハウスはその影響力を失い排除されます(殺害されるか、生命維持装置を切られて植物状態に)。モハビ・ウェイストランドは、紆余曲折の末、正式にNCRの6番目の州として併合され、フーバーダムの上にはカリフォルニアの双頭の熊の旗が高々と掲げられます。民主主義と法の支配は(少なくとも表向きは)勝利しました。しかし、エンディングのスライドショーでは、この勝利が新たな問題を生んでいることも示唆されます。

    性急な併合による資源の更なる枯渇、増大し続ける官僚主義、重税に苦しむ現地住民との絶えない軋轢、そして前線の兵士たちの間での不満と士気の低下…。

    NCRの前途は決して平坦ではなく、その支配が長く続く保証はどこにもありません。

    「正義」は勝ったのかもしれませんが、その輝きは既に翳り始めているのです。

  2. シーザー・リージョンによるモハビ征服エンド (力による秩序、そして圧政)
    あなたは、シーザーの掲げる力による秩序(あるいはその狂気)に魅入られ、リージョンの侵略に加担します。あなたの活躍もあり、レギオン兵はフーバーダムのNCR防衛線を突破。NCR軍は壊滅し、オリバー将軍は無様に敗走(あるいは戦死)。ダムはシーザーの手に落ち、その旗(雄牛の紋章)が掲げられます。ニューベガスもリージョンによって制圧され、ストリップ地区の豪華なカジノは兵舎や奴隷市場へと変わり果て、かつての「自由」は完全に失われます。「退廃」の象徴と見なされた人々は十字架にかけられ、住民は恐怖に支配される暗黒時代が到来します。

    Mr.ハウスは発見され次第、無残に処刑されるでしょう。

    シーザー(あるいは彼の後を継いだレガトゥス・ラニウス)による鉄の規律は、確かにレイダーなどを一掃し、モハビに一時的な「安全」と「秩序」をもたらすかもしれません。

    しかし、それは徹底的な暴力、奴隷制度、女性蔑視、そして文化の破壊の上に成り立った、脆く、非人間的なものです。

    さらに、シーザー自身が病(脳腫瘍)を克服できていなければ、彼の死と共にリージョンは内部崩壊し、モハビはさらなる混乱へと陥る可能性も秘めています。

  3. Mr.ハウスによる独立ニューベガスエンド (テクノロジーによる支配、輝かしい未来?)
    あなたは、Mr.ハウスの卓越した知性と壮大なビジョンに未来を見出し、彼に最後まで忠誠を誓います。プラチナチップを使って彼の全てのセキュリトロン軍団を、恐るべき戦闘能力を持つMk.IIへと最終アップグレード!
    この強化された無敵のロボット軍団の圧倒的な力(そしてあなたの活躍)によって、フーバーダムを巡って争っていたNCRとシーザー・リージョンの双方の軍隊を、(比較的少ない流血で)ダム周辺から完全に撤退させ、彼らのモハビへの干渉を排除します。ニューベガスは、Mr.ハウスの絶対的な支配の下、どの勢力にも属さない完全な独立都市国家となります。彼の合理的な計画と高度なテクノロジーによって、モハビはかつてないほどの(しかし厳密に管理された)繁栄を謳歌し始めるでしょう。カジノは潤い、技術は進歩し、ストリップ地区はさらに輝きを増します。エンディングで、ハウスは満足げに語ります。

    「モハビの支配は始まりに過ぎない。

    私の次の目標は、人類を地球の重力から解放し、星々へと導くことだ…」。

    それは輝かしい人類の新たな夜明けなのか、それとも一人の天才による冷徹で完全な管理社会、テクノロジー・ディストピアの完成なのか…
    その評価は、未来の歴史家に委ねられることになります。

  4. 運び屋による独立モハビエンド(イエスマン・ルート - 自由と混沌の未来)
    あなたは、NCRの官僚主義も、リージョンの圧政も、Mr.ハウスの独裁も、全てを拒否します。そして、最も自由で、しかし最も困難で、最も責任の重い道――あなた自身の道――を選びます。ベニーが遺した(あるいはあなたが利用することにした)ユニークな自律型AI「イエスマン」の助けを借りて、あなたはMr.ハウスをラッキー38のシステムから完全に排除し、ニューベガス全域に配備されたセキュリトロン軍団を、そっくりそのまま自らのコントロール下に置きます!
    そして、フーバーダムの戦いにおいて、あなたはこの強力なロボット軍団を率いて、NCRとシーザー・リージョンの両方を打ち破り、モハビ・ウェイストランドからの完全撤退を強いるのです!
    結果、モハビにはどの外部勢力にも属さない、真の独立が訪れます。ニューベガスの、そしてモハビ全体の未来は、ただ一人、運び屋であるあなたの采配に委ねられることになります。あなたが影の支配者として、どのようにこの地を治めていくのか?
    エンディングのスライドショーでは、あなたが築き上げた他の独立勢力(ブーマー、カーンズ、フリーサイドのキングたち、あるいはエンクレイヴ残党!?)との関係性や、あなたのカルマ(善悪の指標)に応じて、モハビが平和と繁栄を享受するのか、それとも新たな混乱と無秩序に陥るのか、様々な可能性が語られます。まさに、プレイヤーの資質と選択が最も試される、究極の「自分の物語」エンディングと言えるでしょう。

結局、どの未来が「本当の歴史」になったのか? 神のみぞ知る…いや、Bethesdaのみぞ知る?

さて、これだけ多様な結末が用意されている『New Vegas』ですが、じゃあ、公式の歴史(正史)では、一体どのルートが採用されたの? という疑問が当然湧いてきますよね。

これに対するBethesdaの公式スタンスは、前述の通り、「意図的に曖昧にする」というものです。

彼らは『New Vegas』の特定のエンディングを正史とは定めず、「全てのエンディングがありえた未来として存在する」という立場を取ることで、プレイヤーの選択の自由度を尊重し、かつ今後のシリーズ展開において過去の特定の結末に縛られないようにしています。

ずるい? まあ、そう言われればそうかもしれませんが、RPGとしては理解できる判断です。

しかし!
ここで大きな意味を持ってくるのが、やはりドラマシリーズ『Fallout』の存在です。

ドラマの中で、NCRの首都であったシェイディ・サンズが、2281年(New Vegasの時代)の後に核攻撃によって壊滅したという設定が、公式の歴史として確定しました。

これは、間接的にではありますが、『New Vegas』の結末について重要な示唆を与えています。

少なくとも、NCRがモハビ・ウェイストランドで完全な勝利を収め、西海岸全域に安定した支配を確立し、盤石な国家体制を築き上げた…という未来には、大きな疑問符が付いたことになります。

もしそうであれば、首都があんな形で(しかもVault-Tecという内部の敵?によって)破壊されるとは考えにくいからです。

では、どのルートがより「ありえた」のでしょうか?
これはもう推測の域を出ませんが、例えば…

  • NCRは勝利したものの、その後の統治に失敗し、内部の混乱や資源不足が深刻化。その隙をVault-Tecに突かれた?
  • Mr.ハウスが勝利し、彼のテクノロジー支配が確立されたが、その管理体制がVault-Tecの暗躍を許した(あるいはハウス自身がVault-Tecと裏で繋がっていた?)
  • 運び屋による独立ルートが、権力の空白と不安定な情勢を生み出し、結果的にVault-Tecのような勢力が介入する隙を与えてしまった?
  • リージョンが勝利したが、シーザーの死などで組織が内部崩壊し、混乱の中でシェイディ・サンズへの攻撃が行われた?

…などなど、様々な可能性が考えられます。

もしかしたら、フーバーダムの戦いの直接的な勝敗そのものよりも、その後のモハビ地域全体の「不安定さ」や「権力の空白」こそが、シェイディ・サンズの悲劇を招いた間接的な要因となったのかもしれません。

結局のところ、フーバーダムの最終的な支配者が誰になったのかは、ウェイストランドの歴史における大きなミッシングリンクとして、これからもファンの間で熱い議論が交わされ続けることでしょう。

あなたの心の中では、どの未来が真実となっていますか?

Fallout: New Vegasの重要性と遺産:クラシックの魂、現代に蘇る

Obsidian Entertainment(初代・2作目の主要スタッフが多く在籍)によって開発された『Fallout: New Vegas』は、シリーズの中でも特に熱狂的なファンを持つ、傑作として高く評価されています。

その最大の理由は、Bethesda開発の『Fallout 3』や『4』とは一線を画す、クラシックFallout(1, 2)の精神――すなわち、道徳的な選択の重み、複雑に絡み合う派閥間の関係性、プレイヤーの行動が世界に与える多大な影響力、そしてブラックユーモアと社会風刺に満ちた深みのある物語――を、現代的なオープンワールドRPGの形で見事に蘇らせた点にあるでしょう。

NCRとシーザー・リージョンという、民主主義と全体主義という対照的なイデオロギーを掲げる二つの「国家」の対立を描くことで、プレイヤーに「どちらの社会がよりマシか?」という根源的な問いを突きつけました。

そして、Mr.ハウスという人間を超越した(あるいは人間性を失った?)天才の存在は、テクノロジーがもたらす可能性と、それが孕む危険性(独裁や管理社会化)を鋭く描き出しました。

さらに、イエスマン・ルートは、究極の自由とその裏にある重い責任をプレイヤーに問いかけました。

キャラクター造形も秀逸で、運び屋である主人公自身の過去の謎(DLC「Lonesome Road」で明かされる)や、旅を共にする個性豊かで魅力的なコンパニオンたちの個人的な物語(彼らのクエストをクリアすることで、彼らの過去や未来が大きく変わる)も、物語に深みと感情的な繋がりを与えました。

そして、忘れてはならないのが、4つの素晴らしい大型DLC(ダウンロードコンテンツ)――『Dead Money』(閉鎖空間でのサバイバルホラー)、『Honest Hearts』(ザイオン国立公園での部族間抗争と信仰)、『Old World Blues』(狂った科学者たちの楽園?ビッグMTでのSFコメディ)、そして『Lonesome Road』(運び屋自身の過去と、もう一人の運び屋ユリシーズとの因縁)――です。

これらはそれぞれが独立した濃密な物語体験を提供すると同時に、本編の謎を補完し、運び屋というキャラクターをさらに深く掘り下げる、まさに「完璧な」追加コンテンツでした。

ドラマ版でニューベガスという地名が再び脚光を浴びた今、本作がFalloutユニバース全体の中で持つ重要性は、ますます高まっています。

未プレイの方は、ぜひ一度、このネオンと硝煙、そして裏切りと選択に満ちた砂漠のギャンブルに、その身を投じてみることを強く、強くお勧めします。

ただし、一度始めたら最後、モハビの砂があなたの時間を溶かしてしまうこと請け合いですので、くれぐれもご注意を!

(以降、Fallout 4 の詳細解説へと続きます。)

2287年Fallout 4 – 凍てついた過去からの目覚め、人造人間の苦悩と連邦の未来

キャッチコピー: 210年の眠りから覚めたら、世界は破滅し、妻(夫)は殺され、息子は誘拐されていた…! 復讐と捜索の旅は、いつしか「人間」そのものの意味を問う戦いへ。

舞台: 連邦(Commonwealth - 旧マサチューセッツ州ボストンとその周辺。自由の鐘は鳴らず、瓦礫と危険が鳴り響く)

主人公: 唯一の生存者(Sole Survivor)、Vault 111の住人(なんとピカピカの戦前の人間!)

モハビ砂漠で運び屋が歴史に名を刻んで(あるいは埋もれて)いた頃から、さらに6年の歳月が流れた2287年。

物語の舞台は、再び東海岸へ。

今度の主役は、これまでのウェイストランドの住人たちとは全く異なる、まさに「生きた化石」とも言える、異色の経歴を持つ人物です。

プロローグ:幸福な家庭、一瞬の悪夢、そして永遠(?)の眠り (2077年10月23日)

あなたの物語は、ウェイストランドではなく、核戦争が起こるまさにその日、2077年10月23日の、ボストン郊外ののどかな住宅地、サンクチュアリ・ヒルズの朝から始まります。

あなたは、愛する配偶者(元軍人で頼もしい夫ネイト、あるいは聡明で美しい元弁護士の妻ノーラ)と、生まれたばかりで天使のように可愛い赤ん坊の息子ショーンと共に、絵に描いたような幸福な家庭を築いていました。

庭には白いフェンス、ガレージにはピカピカの(原子力)自動車、そして家の中では、気の利く(時々おせっかいな)英国紳士風の家政婦ロボット「Mr.ハンディ」のコズワースがかいがいしく働いている…
まさに、古き良き(そして少しだけ未来的な)アメリカンドリームの体現。

あなたは、この幸せが永遠に続くと、疑いもしなかったでしょう。

しかし、その穏やかな朝は、テレビから突然流れる不穏なニュース速報によって破られます。

「…未確認の核爆発が…ペンシルベニアとニューヨークで…」。

次の瞬間、窓の外で遠くの空が閃光に包まれ、地響きが家を揺らし、そして耳をつんざくような空襲警報が鳴り響きます!
「核攻撃だ!Vaultへ急げ!」。

あなたは赤ん坊のショーンを抱きかかえ、配偶者と共に家を飛び出し、パニックに陥って逃げ惑う隣人たちをかき分け、丘の上にあるという近所のVault 111へと必死に走ります。

Vault-Tec社の職員が待ち構え、「こちらへ!急いで!」と誘導する中、あなたは家族と共にVault内部へと転がり込みます。

間一髪、背後でVaultの巨大な扉が閉鎖され、外の世界の爆風と轟音が遠ざかります。

安堵したのも束の間、あなたは職員から「安全のため、一時的な除染措置を受けていただきます」と告げられ、家族と共にカプセル状の「除染ポッド」へと入るように指示されます。

それが、あなたの見た、古き良き世界の最後の光景でした。

ポッドの扉が閉まり、冷たい白いガスが噴射され、あなたの意識は急速に遠のいていきます…。

それが、ただの除染ではなく、あなたたち住民をモルモットにした長期冷凍睡眠(クライオ・スリープ)実験の始まりだとも知らずに。

Vault 111は、避難所ではなく、Vault-Tec社の非道な好奇心を満たすための、巨大な冷凍庫だったのです。

悪夢の中の覚醒:目の前で砕け散った愛と未来

どれほどの時間が、氷のような眠りの中で過ぎ去ったのでしょうか。

あなたは、ポッドの中で、まるで悪夢を見ているかのように、ぼんやりとした意識を取り戻します。

目の前の、曇ったガラス越しに見えたのは、信じたくない、しかし紛れもない現実でした。

見知らぬ男女二人組――一人は顔に大きな十字の傷があり、冷酷な目をした壮年の男ケロッグ、もう一人は彼に従う女性科学者――が、隣にある、あなたの愛する配偶者と息子ショーンが入っているはずのポッドを、強制的に解凍し、こじ開けようとしています。

「子供を渡してもらうぞ」と要求するケロッグ。

必死に抵抗し、ショーンを守ろうとするあなたの配偶者。

しかし、次の瞬間、ケロッグは躊躇なく銃を取り出し、その引き金を引きます。

鈍い銃声。

配偶者は、驚きと苦痛の表情を浮かべたまま、力なくポッドの中で崩れ落ちます。

そして、恐怖で泣き叫ぶ赤ん坊のショーンが、ケロッグの無慈悲な腕の中に抱き上げられ、連れ去られていく…。

「ママ!」「パパ!」と叫び、ポッドの壁を叩きますが、凍り付いた体は動かず、声も届きません。

絶望と無力感の中、あなたは再び強制的に冷凍睡眠状態へと戻され、意識は深い、暗い闇へと沈んでいきました。

210年後の孤独な目覚め:唯一の生存者、復讐の旅へ (2287年)

次にあなたが完全に覚醒した時、Vault 111は、まるで墓場のように静まり返っていました。

冷凍睡眠システムの生命維持装置が故障し(あるいは、実験が終了したため意図的に停止され?)、あなた以外の全てのVault住民――かつての隣人たち、そして職員たち――は、眠りの中で、あるいは解凍後の混乱の中で、息絶えていたのです。

あなたのポッドだけが、奇跡的に(あるいは、ケロッグたちがショーンを連れ去った後、何らかの理由で再起動されたのか?)最後まで機能していました。

ポッドから這い出すと、隣には、210年前のあの日の姿のまま凍りついた、愛する配偶者の亡骸。

そして、そこにいるはずの、あなたの腕の中にいるはずだった息子の温もりは、もうどこにもありませんでした。

あなたは、文字通りVault 111の「唯一の生存者(Sole Survivor)」として、この冷たく、死に絶えた地下世界に一人、取り残されてしまったのです。

210年という、人間のスケールを遥かに超えた歳月。

失われた家族への耐え難い悲しみ。

目の前で愛する者を殺し、未来(息子)を奪った者たちへの、骨の髄まで凍るような怒り。

そして、まだどこかで生きているかもしれない息子ショーンを、この手で必ず取り戻すという、揺るぎない決意。

それら全てを胸に、あなたは重く閉ざされたVault 111の扉をこじ開け、2287年の連邦(Commonwealth)――かつてのマサチューセッツ州ボストンとその周辺地域が、核戦争と2世紀の風雪によって、放射能に汚染され、崩壊した都市の残骸と、危険なクリーチャーが闊歩する荒野へと変わり果てた姿――へと、復讐者として、そして親として、足を踏み出します。

物語の核心:息子を追う探偵劇と、連邦を二分する「人間」と「機械(?)人間」の壮絶な戦い

かつての我が家があったサンクチュアリ・ヒルズは、見る影もなく荒廃していました。

しかし、驚くべきことに、あの忠実な家政婦ロボットのコズワースが、210年間も故障せずに(!)主人の帰りを待ち続けていました。

彼との涙(オイル?)の再会によって、あなたは自分が置かれた信じられないタイムスリップ状況を改めて認識し、そして彼から、この変わり果てた「連邦」と呼ばれる土地の断片的な情報を得ます。

息子ショーンの手がかりは、ここにはありません。

あなたは、ショーンを誘拐した犯人――あの顔に傷のある男、ケロッグ――の行方を追って、連邦の探索を開始します。

その過程で、あなたは様々な人々と出会い、そして、この連邦の未来を左右する、4つの主要な派閥の存在と、彼らが繰り広げる複雑な対立の構図を知ることになります。

あなたの選択次第で、これらの派閥と協力し、あるいは敵対していくことになるのです。

  1. ミニッツメン (Minutemen): 「困っている人がいれば、一分(ミニット)で駆けつける!」をモットーに、かつては連邦の入植者たちを守る頼れる存在だった市民兵組織。しかし、内部対立や「クインシーの虐殺」と呼ばれる悲劇的な事件によって組織は崩壊し、コンコードで出会う高潔な男プレストン・ガービーが、最後の生き残りの一人となっていました。あなたは彼らを助け、「将軍」として組織の再建を担うことができます。特定のイデオロギーよりも、人々の保護とコミュニティの再建を重視する、最も穏健で人道的な勢力と言えるかもしれません。
  2. ブラザーフッド・オブ・スティール (Brotherhood of Steel - B.O.S.): 『Fallout 3』でキャピタル・ウェイストランドを救った英雄、アーサー・マクソンがエルダーとなり、より強力で、そしてより原理主義的になった東海岸支部。巨大飛行船プリドゥエンで連邦に来訪し、危険な技術(特に後述する人造人間「シンス」)とその源である「インスティチュート」を人類最大の脅威とみなし、その根絶を目的としています。彼らの技術力と軍事力は圧倒的であり、規律正しい兵士(パラディン・ダンスなど)との交流は頼もしくもありますが、そのやり方は時に過激で非寛容であり、シンスやグール、スーパーミュータントといった「非人間」に対する差別意識も隠しません。
  3. レールロード (The Railroad): 地下で秘密裏に活動する、人造人間(シンス)の自由と解放を目指す組織。リーダーである冷静沈着な女性デズデモーナの下、インスティチュートから逃亡するシンス(彼らはシンスを奴隷や道具ではなく、感情を持つ人間同様の存在だと考えています)を匿い、追手から守り、記憶を消去して新たなIDを与え、自由な社会で生きていけるように手助けしています。その活動は、かつてアメリカで奴隷解放のために機能した「地下鉄道(Underground Railroad)」になぞらえられています。彼らは隠れ家(オールド・ノース・チャーチの地下など)を転々とし、暗号や隠語、デッドドロップ(秘密の受け渡し場所)を駆使して、インスティチュートやB.O.S.の追跡を巧みにかわしています。彼らにとって、シンスを作り出し利用するインスティチュートはもちろんのこと、シンスを「アボミネーション(忌むべき存在)」として破壊しようとするB.O.S.もまた、許されざる敵なのです。 
  4. インスティチュート (The Institute): 連邦の住民たちから最も恐れられ、そして最も謎に包まれた存在。その本拠地は、連邦の地下深く、旧CIT(連邦工科大学)の広大な地下施設跡地に築かれた、超高度な科学技術によって維持される、外界から隔離されたクリーンなドーム都市。彼らは、大戦争を生き延びたCITの科学者たちの末裔であり、人類の未来は地上の野蛮な生存競争ではなく、管理された環境下での科学技術の進歩にあると信じています。その技術力の結晶が、人間と生物学的に、そして感情的にもほとんど見分けがつかないほど精巧に作られた第3世代シンスです。彼らはこのシンスを労働力として使うだけでなく、地上の情報を収集させたり、時には人間を誘拐・殺害してシンスと入れ替えたりする(!)といった、恐ろしい秘密工作にも利用しています。地上住民からは「ブギーマン」や「地下の悪魔」のように噂され、恐怖と不信の対象となっていますが、彼ら自身は自分たちを「人類の未来」「人類の再定義」を担う存在だと考えており、地上を見下す選民思想的な側面も持っています。

    そして、この謎多き組織の現在の指導者こそが…。

あなたは、ダイアモンドシティ(フェンウェイ・パーク跡地に築かれた連邦最大の居住地)で出会う人情派の記者パイパー・ライトや、怪しげだけど腕は確かな私立探偵ニック・バレンタインといった協力者を得て、息子誘拐と配偶者殺害の実行犯である傭兵ケロッグの行方を追います。

特にニックとの出会いは、あなたの運命を大きく動かします。

なぜなら、ニックはただの探偵ではなかったからです。

彼は、インスティチュートによって作られた、非常にユニークなプロトタイプの人造人間「シンス」だったのです(彼自身はその事実と複雑な過去に向き合っています)。

彼は自身の出自に悩みながらも、その冷静な分析力と、シンスならではの特殊な能力(コンピューターへのハッキングや、特定の記憶へのアクセスなど)で、あなたの捜査を強力にサポートしてくれます。

ニックの卓越した調査能力と、彼が持つ「人間ではない」が故の特殊な能力(記憶へのアクセスなど)の助けを借りて、あなたはついに、配偶者を殺害し息子ショーンを誘拐した実行犯、傭兵ケロッグの居場所(フォート・ハーゲン)を突き止めます。

ケロッグは、単なる傭兵ではなく、インスティチュートによって体の一部をサイバネティック化され、長年にわたって暗躍してきた、手強い敵でした。

あなたは激しい戦闘の末、ついにケロッグを打倒し、長年の復讐を果たします。

しかし、彼の死体から回収したサイバネティック脳インプラントには、まだ多くの謎が残されていました。

あなたはこの脳インプラントを、ニックと、記憶抽出の専門家であるDr.アマリ(彼女は記憶を扱うクリニック「メモリー・デン」を経営しており、レールロードとも繋がりがあります)の元へ持ち込みます。

危険な技術(脳に直接アクセス!)を用いてケロッグの脳内記憶へとダイブすることで、あなたは想像を絶する真実に直面します。

ケロッグの記憶には、確かに彼がショーンを誘拐した場面が記録されていました。

しかし、それだけではありませんでした。

ケロッグはその後、何年もの間、成長したショーン(10歳くらいの少年!)と共に旅をし、彼を保護(あるいは監視)する任務についていたのです。

そして、ケロッグが、連邦の地下に潜む謎の組織「インスティチュート」のエージェントとして雇われていたことも判明します。

さらに…あなたがVault 111で冷凍睡眠から二度目に目覚めたのは、ケロッグがショーンを連れてインスティチュートに戻った、さらにずっと後の出来事だったということ!

つまり、あなたがウェイストランドに足を踏み出した2287年の時点で、息子ショーンは誘拐された赤ん坊では到底ありえず、計算上は60歳になっているはずなのです!
そして、彼は今も、あなたを誘拐した組織、インスティチュートの中にいる…。

この事実は、あなたの復讐と捜索の旅の目的そのものを、根底から揺るがします。

息子は生きている。

しかし、彼は老人であり、敵であるはずの組織の中にいる。

あなたは、息子に会うため、そして全ての真相を知るため、インスティチュートの本拠地へと潜入する方法を探し求めます。

インスティチュートは、外部からの侵入を許さない完璧なセキュリティと、独自のテレポート技術(分子転送装置)によって守られています。

どうやってあんなSFみたいな要塞に忍び込むのよ!?

方法はありました。

それは、インスティチュートから離反した(あるいは追放された)科学者の助けを借りるか、あるいはレールロードやB.O.S.といった組織の技術支援を受けて、彼らのテレポート信号を傍受し、逆探知し、そして自分自身を転送するための「インターセプト装置」を作り上げることでした。

まるで夏休みの自由研究…ただし、失敗したら原子レベルで分解されちゃうかもしれない、超危険なやつです!
どの派閥と協力するかは、あなたの選択次第。

それぞれの組織には、それぞれの思惑があります。

覚悟を決めて、あなたは自作(あるいは協力してもらった)インターセプト装置を作動させます。

閃光! 体が粒子に分解されるような奇妙な感覚!
そして次の瞬間、あなたは全く別の場所に立っていました。

そこは、地下深くに築かれた、信じられないほど清潔で、整然とし、緑さえも豊かに茂る(しかしどこか人工的で、冷たい空気が漂う)未来都市。

壁には塵一つなく、白い制服を着た科学者たちや、無表情なシンスたちが静かに行き交う…
ここが、連邦の影の支配者、インスティチュートの本拠地でした。

そして、その中心部であなたを待っていたのは、白衣をまとった、穏やかな、しかしどこか計り知れない深淵を覗かせるような表情を浮かべた一人の老人でした。

彼は、驚きと、そして懐かしむような、複雑な目であなたを見つめ、そして静かに、しかしはっきりと告げます。

「…よく、ここまで来たね。母さん(あるいは、父さん)。…私が、ショーンだ」。

絶句。

210年の時を超えて、あなたはついに息子と再会しました。

しかし、その息子は、あなたが記憶している腕の中の赤ん坊ではなく、あなたの親世代…いや、それ以上に老いた、見知らぬ老人となっていたのです。

そして、彼は、あなたが探し求めていた敵、インスティチュートの現在の指導者であり、組織内で「ファーザー」と呼ばれている存在であることを明かします。

冷凍睡眠が生んだ、あまりにも残酷で、皮肉な時間のねじれ。

ファーザー(ショーン)は、あなたを自室へと招き入れ、これまでの経緯を語り始めます。

なぜ自分が赤ん坊の頃に誘拐されたのか?
それは、第3世代シンス――人間と見分けがつかないほど完璧な人造人間――を開発するために、放射能やF.E.V.の影響を受けていない、純粋な戦前の人間のDNAが必要不可欠だったから。

Vault 111の冷凍睡眠者は、そのための完璧な「素材」でした。

彼はそのDNAを提供するためにインスティチュートによって「保護」され、組織の優れた科学者たちによって育てられ、最高の教育を受け、やがてその類稀なる才能を開花させ、若くして組織のリーダーへと上り詰めたのだ、と。

そして、彼は語ります。

インスティチュートこそが、混乱と暴力に満ちた地上のウェイストランドとは異なり、人類の未来を科学技術によって切り開く唯一の希望である、と。

シンスは、危険な労働や戦争から人間を解放するための「道具」であり、「人類の再定義」を進めるための重要なステップなのだ、と。

彼は、あなたが経験してきたであろう地上の過酷な現実を理解しつつも、それを「克服すべき過去」と断じ、インスティチュートの理念の正しさを信じて疑いませんでした。

しかし、彼の言葉には、どこか悲しげな響きも含まれていました。

彼は、自らが不治の病(おそらくは長年の研究や地下生活の影響による癌か何か)に侵されており、残された時間がもう長くないことを告白します。

そして、彼は、唯一の肉親であり、失われた戦前の世界を知るあなたに、インスティチュートの未来を託したい、と願うのです。

「私に代わって、インスティチュートの新たな指導者『ディレクター』となってほしい。

そして、我々の理想を、人類の未来を、完成させてほしいのだ」と。

長年探し求めてきた最愛の息子。

しかし、彼は老人であり、あなたが理解し難い(あるいは許容し難い)理念を持つ組織の長。

その組織は、連邦の多くの人々から恐れられ、憎まれ、そして他の主要な勢力(B.O.S.、レールロード、ミニッツメン)と敵対している…。

そして、その息子は、もうすぐ死んでしまう運命にある…。

あなたは、おそらく人生で最も困難で、最も重い選択を迫られることになります。

血の繋がりという抗いがたい絆を選ぶのか?
それとも、ウェイストランドで出会った人々との絆や、あなた自身が育んできた正義感、あるいは人間としての倫理観を選ぶのか?

  • 息子(ファーザー)の遺志を継ぎ、彼の信じた未来、すなわちインスティチュートと共に歩む道を選ぶのか?
  • ウェイストランドの秩序と、(彼らが定義する)人類の安全を守るため、B.O.S.と共に、インスティチュートという「脅威」とその産物であるシンスを根絶する道を選ぶのか?
  • シンスを感情を持つ「隣人」として認め、彼らの自由のために戦うレールロードと共に、インスティチュートとB.O.S.という二つの「圧制者」を打倒する道を選ぶのか?
  • あるいは、特定の過激なイデオロギーに与せず、連邦に住む普通の人々の力(ミニッツメン)を結集し、インスティチュートという共通の敵を排除し、住民自身の手による未来を築く道を選ぶのか?

あなたの決断が、連邦の未来、シンスたちの運命、そしてあなた自身の「家族」の物語の、最終的な結末を決定づけるのです。

さあ、どうしますか…?

結末(4つの主要ルート、正史は依然として不明):連邦の空は、誰の色に染まるのか?

あなたが最終的にどの派閥に忠誠を誓い、どの敵対勢力(あるいは複数の勢力)を打倒したかによって、連邦の未来は大きく4つの方向へと分岐します。

それぞれの結末は、連邦の風景を変え、人々の生活を変え、そしてあなた自身の心に、達成感、あるいは後悔や疑問を残すものとなるでしょう。

  1. インスティチュート・エンド (地下からの支配、あるいは新たな共存?):
    あなたは、実の息子であるショーン(ファーザー)の最期を静かに看取ります。彼の遺言通り、あなたはインスティチュートの新たな指導者「ディレクター」となり、組織の未来をその手に委ねられます。あなたは、インスティチュートが持つ比類なき科学技術――テレポート能力を持つ精鋭シンス兵士「コーサー」や、無尽蔵に生産可能な第3世代シンス軍団――を行使し、地上で敵対していた勢力を排除する決断を下します。B.O.S.の巨大飛行船プリドゥエンは、内部工作か、あるいはシンスの大群によって撃墜され、その残骸は連邦の地に無残に突き刺さります。秘密裏に活動していたレールロードの本部も、コーサー部隊の急襲によって壊滅させられます。これにより、インスティチュートは連邦における唯一無二の超大国となり、その影響力を(おそらくは以前よりも公然と)地上へと拡大していくでしょう。

    シンスの製造と利用は継続され、あなたは指導者として、地上の住民たちとの新たな関係性を模索することになります。

    それは、より良い共存の道なのか、それともより巧妙な支配の始まりなのか?
    あるいは、インスティチュート内部にも存在する様々な派閥(例えば、シンスの権利向上を望む派閥や、より過激な人類改造を目指す派閥など)との間で、新たな対立が生まれるのかもしれません。

    「人類の再定義」という目標の先に待つものが、輝かしいユートピアなのか、それとも冷たいディストピアなのかは、あなたのこれからの指導力と選択にかかっています。

  2. B.O.S.エンド (Ad Victoriam! 鋼鉄の秩序、その代償):
    あなたは、エルダー・マクソンの掲げる「人類の脅威となるテクノロジーの根絶」というB.O.S.の使命に共感(あるいはその圧倒的な軍事力に魅力を感じ)、彼らに忠誠を誓い、その最も有能な戦士(ナイト、パラディン、あるいは最高位のセンチネル!)として戦う道を選びます。あなたは、B.O.S.が再起動させた最終兵器リバティ・プライム(相変わらず反共プロパガンダを叫びながら!)と共に、インスティチュートの地下施設への総攻撃を敢行。激しい抵抗を排して施設内部へと侵入し、その心臓部である核融合炉に時限爆弾を仕掛け、インスティチュートを巨大な地下爆発と共に完全に消滅させます。この過程で、あなたの息子であるショーン(ファーザー)は、脱出を拒否するか、あるいは爆発に巻き込まれる形で、あなたの目の前で(あるいはその近くで)命を落とすことになります。血の繋がりよりも、組織の使命を選んだ、苦い勝利です。同時に、B.O.S.の教義に反し、シンスを匿い、危険な存在と見なされていたレールロードも、その隠れ家を突き止められ、武力によって完全に排除されます。

    これにより、B.O.S.は連邦における絶対的な支配者となり、「Ad Victoriam!(勝利の為に!)」のスローガンの下、彼らの信じる「秩序」――すなわち、危険と見なされた技術(特に残存するシンスや、スーパーミュータント、知性を持つグールなど)の徹底的な捜索、回収、そして破壊――を連邦全土で強力に推し進めていくでしょう。

    それは確かに一部の脅威を取り除き、人々に一時的な安心感を与えるかもしれません。

    しかし、同時にそれは、自由な研究や思想を抑圧し、異質なものを力で排除する、厳格で排他的な軍事政権の時代の始まりを意味するのです。

    鉄の規律は、時に冷たい刃となることを忘れてはいけません。

  3. レールロード・エンド (自由への道標、だが戦いは続く):
    あなたは、インスティチュートが生み出したシンスが、単なる機械や道具ではなく、感情を持ち、自由を渇望する「人間」と同じ存在であると信じ、彼らの解放のために命を懸ける地下組織レールロードに協力する道を選びます。あなたは、彼らの最も信頼され、最も有能なエージェント「ヘヴィー」として、インスティチュート内部に潜入し、捕らわれているシンスたちの間に反乱の火種を蒔き、彼らが自らの意志で立ち上がる手助けをします。最終的には、内部からの破壊工作と、解放されたシンスたちの蜂起によって、インスティチュートのシステムを麻痺させ、組織を崩壊へと導きます(ファーザーであるショーンも、この混乱の中で死亡するか、あるいはあなたが直接手を下すことになります)。さらに、シンス解放の最大の障害であり、レールロード自身の壊滅も狙っていたB.O.S.に対しても、大胆かつ危険な作戦――例えば、ベルチバードを奪取してプリドゥエンに特攻させる、あるいは内部に潜入して破壊工作を行う――を成功させ、彼らの巨大飛行船を連邦の空から消し去り、その軍事的な影響力を大きく削ぎ落とします。この勝利によって、多くのシンスがインスティチュートの束縛から解放され、レールロードの助けを借りて記憶を消去し、新たなIDを得て、ウェイストランドのどこかで自由な人生を歩み始めるという、希望に満ちた未来が示唆されます。しかし、レールロード自身は連邦全体を統治するような力は持っておらず、今後もインスティチュートの残党や、シンスを敵視する人々から、解放されたシンスたちを守るために、影からの支援活動を地道に続けていくことになります。

    解放されたシンスと人間との真の共存には、まだ多くの偏見や困難、そして時間がかかるであろうことも、エンディングでは示唆されています。

    自由への道は、決して平坦ではないのです。

  4. ミニッツメン・エンド (人民による再建、共存への道?):
    あなたは、特定の過激なイデオロギーや、閉鎖的な組織の論理に与することなく、連邦に住む普通の人々の力、すなわちあなたが再興させた市民兵組織「ミニッツメン」こそが、この土地の未来を築くべきだと信じ、彼らを率いて戦う道を選びます。あなたはミニッツメンの「将軍」として、連邦各地に築き上げた入植地のネットワーク(これが結構大変!)と、そこに住む人々からの信頼と支援(例えば、あなたが設置を指導した手作りの大砲による支援砲撃!)を最大限に活用し、共通の脅威であるインスティチュートへの攻撃を指揮します。他の派閥のようなハイテク兵器や隠密作戦は使えないかもしれませんが、人々の力を結集し、正面から(あるいは奇策を用いて)インスティチュートの拠点を攻略。激しい戦闘の末、これを壊滅させます(ショーンも死亡)。このルートの最大の特徴であり、多くのプレイヤーにとって魅力的に映るのは、あなたの選択と行動次第で、B.O.S.やレールロードと最後まで敵対せず、限定的な協力関係や、少なくとも共存関係を維持することも可能である点です。(ただし、例えばB.O.S.に喧嘩を売るようなクエストを進めたり、レールロードの敵対行動に加担したりすれば、当然、彼らとの関係は破綻します)。

    エンディングでは、ミニッツメンが連邦の主要な守護勢力として再びその役割を果たし、各地の入植地が互いに協力し合いながら、住民たち自身の手による、より民主的で、より穏健な復興が進んでいく、希望に満ちた未来が示唆されます。

    他の大派閥の脅威(あるいは助け)も残り続けるため、完全な平和とは言えないかもしれませんが、最も多くの人々にとって受け入れやすく、多様な価値観が共存できる可能性を秘めた結末として、トゥルーエンドに近いと感じるファンが多いのも頷けます。

    ただし、将軍としての仕事(終わらない入植地防衛クエスト!)は、永遠に続くかもしれませんが…。

結局、連邦の未来は誰の手に? 正史はどのルートを辿ったのか?

さて、これもまた『New Vegas』と同様に、Bethesdaは公式にはどのエンディングが『Fallout 4』の正史であるかを特定していません。

「あなたの選んだ結末が、あなたのFallout 4の歴史です」というのが、基本的なスタンスのようです。

まあ、RPGとしてはそれが一番ですよね。

しかし、やはりヒントはあります。

最大のヒントは、ドラマシリーズ『Fallout』(2296年)です。

このドラマの中で、カリフォルニアを舞台にしていながらも、東海岸のBrotherhood of Steel (B.O.S.)が、依然として強力な軍事組織として健在であり、プリドゥエン級(あるいはそれに準ずる)の巨大飛行船や多数のベルチバードを運用している様子が描かれています(マキシマスが所属しているのがまさにこの東海岸支部です)。

これは、少なくとも『Fallout 4』の結末において、B.O.S.が壊滅するインスティチュートルートやレールロードルートが正史ではない可能性が高いことを、強く、強く示唆しています。

そうなると、残る可能性は必然的に、B.O.S.勝利ルートか、あるいはB.O.S.が存続する形でのミニッツメン勝利ルートのどちらか、ということになります。

では、どちらの可能性が高いのでしょうか? これは現時点では、まだ断定できません。

  • B.O.S.勝利ルートの場合: 彼らが連邦の支配者となっているはずですが、ドラマでは連邦の具体的な状況については触れられていません。B.O.S.が東海岸全体に影響力を拡大している様子は描かれていますが、それが連邦支配の結果なのかは不明です。
  • ミニッツメン勝利ルート(B.O.S.存続型)の場合: 連邦はミニッツメン主導で復興しつつ、B.O.S.も軍事組織として存在し続けている、という状況になります。これは、ドラマで描かれた「B.O.S.は健在だが、連邦を完全に支配しているわけではない(少なくともそうは描かれていない)」状況と、矛盾しないかもしれません。

どちらのルートが、今後のシリーズ展開(例えば『Fallout 5』)にとって、より物語を広げやすいか、という観点から考えると、個人的にはミニッツメンルートの方が、多様な勢力が残るため、より多くのドラマを生み出しやすいような気もします。

しかし、アーサー・マクソンというカリスマ的指導者の下で勢力を拡大したB.O.S.の物語も、それはそれで魅力的です。

結局のところ、これもまた、今後の公式からの情報(あるいは新作ゲームでの描写)を待つしかない、というのが正直なところですね。

皆さんは、どちらの未来を想像しますか?

Fallout 4の重要性と遺産:シリーズの進化と、新たな問いかけ

シリーズに新たな風を吹き込んだ『Fallout 4』は、多くの点で画期的であり、そして同時に議論を呼んだ作品でもありました。

最大の特徴は、やはり「戦前の人間」を主人公に据え、冷凍睡眠というSF的ギミックを用いることで、プレイヤーに「失われた過去」と「変わり果てた現在」を同時に体験させ、物語に深い個人的動機と感情的なフックを与えた点でしょう。

誘拐された息子を探すという、極めてパーソナルな目的から始まる物語が、やがて人造人間「シンス」という存在を巡る、「人間とは何か?」「意識とは何か?」「自由とは何か?」といった、普遍的で哲学的な問いへと繋がっていく展開は、多くのプレイヤーに強い印象を残しました。

ゲームプレイ面では、拠点(居住地)を自由にクラフトし、飾り付け、住民を呼び込み、防衛設備を整えていくという要素が、箱庭ゲーム好きのプレイヤーを中心に熱狂的な支持を集め、本編そっちのけで(?)何百時間も費やす人を続出させました。

ウェイストランドに「自分の家」「自分の街」を作るという体験は、シリーズに新たな次元の没入感をもたらしました。

また、大幅に進化したグラフィック、よりスムーズでアクション性の増した戦闘システム(V.A.T.S.も健在!)、そして武器やアーマーを細部まで改造できる豊富なカスタマイズ要素なども、現代的なAAAタイトルとして高く評価されました。

一方で、伝統的なRPGファン、特に『New Vegas』のような複雑な分岐と選択肢を好むプレイヤーからは、いくつかの点で批判の声も上がりました。

最大の点は、会話システムの簡略化でしょう。

従来のテキスト選択肢式から、4つの要約された選択肢(しかも主人公がフルボイスで喋る!)へと変更されたことで、「会話によるロールプレイングの幅が狭まった」「意図した返答と違う反応になることがある」といった不満が生じました。

また、メインクエストの分岐が、最終的に4つの派閥のいずれかに与する形に集約されがちで、『New Vegas』ほど多様なエンディングや「どの派閥にも属さない」完全な独立ルートが用意されていなかった点も、自由度の低下として指摘されることがあります。

評価が分かれる点はあるにせよ、『Fallout 4』がFalloutシリーズをさらに大きなフランチャイズへと押し上げ、新たなファン層を開拓したことは間違いありません。

そして、本作が提示した「連邦」という新たな舞台、インスティチュートやレールロードといった魅力的な(そして常にプレイヤーを悩ませる)派閥、そして「シンス」という存在とその問題提起は、Falloutユニバースの重要な構成要素として、今後の物語にも深く関わり、影響を与え続けていくことになるでしょう。

(以降、ドラマ版『Fallout』の詳細解説へと続きます。)

2296年~(継続中)Amazonドラマ「Fallout」 – 世界よ、これがウェイストランドだ! Vaultの嘘と失われた首都、そして父を追う旅

キャッチコピー: Vault育ちのお嬢様、鋼鉄の騎士(見習い)、そして200歳の不死身ガンマン。

奇妙なトリオが、世界の真実と無限のエネルギーを巡って大暴れ! まさかの公式正史!

舞台: カリフォルニア(旧ロサンゼルス周辺、かつてのNCR首都シェイディ・サンズ跡地など。西海岸の新たな地獄巡り、美しくも残酷)

主人公: ルーシー・マクレーン (Vault 33居住者、純粋培養の理想主義者、でも意外とタフ)

マキシマス (B.O.S.隊員、野心と良心の間で揺れる若者、パワーアーマー似合いすぎ)

グール / クーパー・ハワード (伝説の賞金稼ぎ/元ハリウッドスター、全てを知る(?)男、皮肉と暴力、時々優しさ?)

『Fallout 4』の物語から9年後、時は2296年。

世界中のFalloutファンが、そしてこのシリーズを全く知らなかった人々までもが、度肝を抜かれ、そして熱狂することになったのが、Amazon Prime Videoで配信された実写ドラマシリーズ『Fallout』です。

これは、よくある「ゲーム原作の、まあまあの出来の映像化」なんかじゃありませんでした。

なんと、Bethesda Game Studiosの総帥、あのトッド・ハワード御大自らが製作総指揮としてガッツリ関与し、「これはゲームシリーズの全ての出来事を史実として受け継いだ、正真正銘の公式な続編(カノン)だよ!」と高らかに宣言したのですから、さあ大変!
Fallout世界の歴史年表に、新たな、そしてとんでもなく重要で、時にゲームの設定すら覆しかねない(!)衝撃的な1ページが、リアルタイムで刻まれることになったのです。

(おかげで、我々ファンは嬉しい悲鳴と、設定考察の嵐に見舞われるハメに…ありがとうAmazon、ありがとうトッド!)

物語は、それぞれ全く異なる境遇と目的を持つ、3人の魅力的な(そしてどこか欠点もある)主人公の視点が、時にすれ違い、時にぶつかり合い、そして時に奇妙な化学反応を起こしながら、スリリングかつユーモラスに展開していきます。

  1. ルーシー・マクレーン (演:エラ・パーネル): サンタモニカの海を見下ろす(かもしれない)地下深くにある、隣接するVault 32、31と秘密裏に接続されたVault 33で、200年以上続く閉鎖された社会の中で生まれ育った、まさに「Vault育ちのお嬢様」。頭脳明晰で運動神経も抜群(特にフェンシングの腕前はかなりのもの!)、そして何より、Vault-Tec社が理想として掲げ、住民に徹底的に叩き込んできた「黄金律」(常に親切に!正直に!地域社会に貢献せよ!アメリカ万歳!)を、一点の曇りもなく純粋に信じている、キラキラした瞳の持ち主。彼女の世界は、常に清潔で、安全で、秩序正しく、そして全てが計画されたVaultの中だけでした。そんな彼女の人生が、180度ひっくり返る事件が起こります。遺伝的な多様性を維持するため(という表向きの理由で)計画された、隣のVault 32の住民との「交易」(実質的にはお見合い結婚)の夜。現れた花婿候補たちは、なんとVault 32の住民になりすました凶悪なレイダー(そのリーダーはモルデーヴァーと名乗る、謎めいた過去を持つ女性)だったのです!
    Vault 33は襲撃され、多くの住民が犠牲になる大混乱の中、彼女が心から尊敬し、理想の父親だと信じて疑わなかったVault監督官ハンク・マクレーンが、モルデーヴァーによって目的ありげに誘拐されてしまいます。

    「父さんを助けなきゃ!」
    その一心で、ルーシーはVaultの厳格な規則を破り、生まれて初めて、外界――放射能、ミュータント、レイダー、そしてVaultの教えとは全く異なる裏切りと暴力、そして予期せぬ優しさが渦巻く、混沌としたウェイストランド――へと、たった一人(最初はね!)、無謀とも思える旅に出ることを決意するのです。

    彼女の純粋な正義感は、この過酷な世界で通用するのか? それとも、ウェイストランドの現実に打ち砕かれてしまうのか? 彼女の成長(あるいは変貌?)が、物語の大きな軸となります。

  2. マキシマス (演:アーロン・モーテン): 東海岸から派遣されてきた(と思われる)Brotherhood of Steel (B.O.S.) の訓練キャンプで、上官からの理不尽なシゴキや、同僚からのイジメに耐えながら、いつか栄光あるナイト(騎士)になる日を夢見る、野心的な若き候補生(イニシエイト)。彼には暗い過去がありました。幼い頃、故郷でありNCR(新カリフォルニア共和国)の偉大な首都であったシェイディ・サンズが、空からの閃光――核攻撃――によって一瞬にして地図から消滅するという、地獄のような光景を目の当たりにし(あるいはその直後の惨状を経験し)、孤児となったところをB.O.S.に拾われたのです。彼は、B.O.S.の持つ圧倒的な武力と鋼鉄の規律こそが、この混沌としたウェイストランドに唯一の秩序をもたらすことができると信じ、組織への忠誠を誓っています。しかし、同時に、組織内に根強く残る非情な階級差別や、目的のためなら手段を選ばないB.O.S.のやり方(例えば、価値のないと感じた民間人を見捨てるなど)に対して、内心では強い疑問と良心の呵責も感じています。ある時、彼はエンクレイヴから重要技術(後に冷酷核融合と判明)を持ち出して脱走した科学者Dr.シグムンド・ウィルジグを追跡・確保するという最重要任務に、ナイト・タイタス(これがまた、絵に描いたような自己中でパワハラ気質のクソ上官!)の従者(スクワイア)として随行することになります。

    しかし、ウェイストランドでの探索中、予期せぬ出来事――ヤオ・グアイ(変異した熊)との遭遇、そしてタイタスの死(それは本当に事故だったのか? それとも…?)――をきっかけに、マキシマスは人生を賭けた大胆な行動に出ます。

    タイタスの死体を隠蔽し、自分が彼のパワーアーマーを装着!
    ナイトの身分を詐称して、任務を続行し、手柄を立てようとするのです。

    これはB.O.S.の掟では死罪に値する、超ハイリスクな行為!
    彼の野心と、ルーシーとの出会いによって芽生える人間的な感情、そして組織への忠誠心の間で、彼の心は激しく揺れ動きます。

    彼は英雄になれるのか、それとも破滅するのか?

  3. グール / クーパー・ハワード (演:ウォルトン・ゴギンズ): ウェイストランドの裏社会で、その名を知らぬ者はいない(いたら殺されるかもしれない)、生ける伝説。200年以上の時を生き、放射線の影響で鼻を失い、皮膚は焼けただれたグールと化していますが、そのガンさばき(特にリボルバー!)は神業の域に達し、どんな窮地からも生還する驚異的な生命力と戦闘能力を持っています。彼は冷酷非情な賞金稼ぎであり、金のためならどんな汚い仕事も請け負い、邪魔者は容赦なく排除します。しかし、その皮肉めいた物言いと暴力的な振る舞いの裏には、時折、人間時代の記憶や、ある種の歪んだ騎士道精神、そして深い悲しみと怒りの影が垣間見えます。彼の正体は、なんと、大戦争前の世界では誰もが知る、超が付くほどの大人気西部劇映画スター、クーパー・ハワード!
    彼は、そのカリスマ性と爽やかなイメージで、Vault-Tec社のプロモーションにも深く関わり、あのVault Boyのポーズ(親指を立てるやつね!)の元ネタになったとも言われるほどの、国民的英雄でした。しかし、彼の私生活は複雑でした。

    妻バーブ・ハワードが、Vault-Tec社の冷徹で野心的な幹部であり、彼は妻を通じて会社の裏の顔――Vault計画の非人道的な真実、そして利益のためなら核戦争すら計画する恐るべき陰謀――を知ってしまうのです。

    彼は妻を、そして世界を止めようとしますが、彼の声は届かず、やがて大戦争が勃発。

    彼は奇跡的に生き延びますが、放射線の影響で徐々にグールへと姿を変えていきます。

    以来、200年以上もの間、彼はウェイストランドの荒野を一人(あるいは犬と共に)彷徨いながら、行方不明となった最愛の家族(妻バーブと娘ジェイニー)の痕跡を探し続け、そして自分と家族、そして愛した古き良きアメリカ(あるいはその幻想)を破滅へと追いやったVault-Tecへの、消えることのない復讐の炎を燃やし続けていたのです。

    彼の旅は、失われた過去への痛切な探求であり、未来への(あるいは自分自身への)最後の戦いでもあるのです。

これら全く異なる背景と目的を持つ3人の主人公の運命は、一つの小さな、しかし計り知れないほどの可能性(と危険性)を秘めたアイテムを巡って、劇的に、そして時にコミカルに(!)交錯し始めます。

そのアイテムとは、エンクレイヴの研究所から、科学者Dr.ウィルジグが自らの命(と頭部!)と引き換えに持ち出した、青く怪しげに輝く小さなカプセル。

その中身こそ、「冷酷核融合(Cold Fusion)」と呼ばれる、無限に近いクリーンなエネルギーを安定して、しかも小型の装置で生み出すことを可能にする(かもしれない)、まさに世界のエネルギー問題を根底から解決し、新たな文明の礎となりうる、画期的な超技術(あるいは、それを起動させるための鍵となる情報)でした。

この「究極のお宝」を手に入れようと、各勢力の思惑が激しくぶつかり合います。

シェイディ・サンズの生き残りであり、NCR再興か新たな理想郷建設を目指すモルデーヴァーは、このエネルギーこそが自分たちの未来を切り開くと信じ、それを手に入れるためにハンクを誘拐しました(ハンクがVault-Tecの重要人物であり、技術の鍵を握っていると考えた?)。

力による秩序の維持と危険技術の管理を至上命題とするB.O.S.は、この計り知れない力を持つ技術が、悪用されたり、制御不能になったりする前に、何としても確保・管理下に置こうとします(マキシマスの任務)。

そして、グール(クーパー・ハワード)は、この「冷酷核融合」という技術が、かつて妻バーブが関わっていたVault-Tec社の戦前の極秘プロジェクト(おそらくはエネルギー独占計画か、あるいは…?)と深く結びついていることを嗅ぎつけ、それが過去の謎を解き明かす鍵、あるいはVault-Tecへの復讐の重要な標的となると考え、執拗に追跡を開始します。

純粋すぎるが故に危なっかしいルーシーは、父を救うという一心で。

野心と恐怖と(ルーシーへの)淡い恋心の間で揺れ動くマキシマスは、任務達成と自己保身のために。

そして、200年の憎悪と悲しみを背負うクーパーは、過去の清算と復讐のために。

彼らは、時に協力し、時に裏切り、時に激しくぶつかり合いながら、ウェイストランドを舞台に、この青いカプセルを巡る、壮絶で、奇妙で、そしてどこか人間臭い、三つ巴の争奪戦を繰り広げることになるのです。

物語の核心と暴かれた衝撃の真実:Fallout世界の歴史認識が、今、根底から覆る!

このドラマは、単なるキャラクターたちのドタバタ冒険活劇に留まりません。

その物語の背後で、まるで地層を掘り進むかのように、Falloutユニバースの根幹設定を揺るがし、シリーズ全体の歴史認識を塗り替え、そして今後の展開に巨大な影響を与えるであろう、驚愕の真実が、次々と、惜しげもなく(!)暴かれていきます。

ゲームを長年プレイしてきたファンであればあるほど、「えええええ!マジで!?」「嘘でしょ…」「あ、あの設定ってそういうことだったの!?」と、ソファから転げ落ちる(あるいは嬉しくて叫び出す)こと必至の、衝撃的な新事実の連続!

  • 繋がれたVault、管理された人生、そして冷凍睡眠エリート:Vault 31, 32, 33の恐るべき真実
    ルーシーの弟ノームが、姉の身を案じながらも持ち前の好奇心とハッキング能力(!)でVault 33内部を探るうちに、とんでもない秘密に突き当たります。Vault 33、そして隣接し廃墟となっていたVault 32は、独立したシェルターではありませんでした。それらは、地下深くにある謎のVault 31と秘密の通路で接続され、一つの巨大な、そして歪んだ目的のために機能する複合施設だったのです。そして、Vault 31こそが、このシステムの「支配者」が眠る場所でした。そこには、戦前のVault-Tec社の中間管理職たちが、「Bud's Buds」と呼ばれる選抜された「優秀な」エリート社員として、なんと200年以上もの間、冷凍睡眠状態で保存されていたのです!
    彼らの計画の立案者であり、現在の管理者(?)は、戦前にクーパー・ハワードの上司でもあったバド・アスキンス(現在は部下たちの脳みそを寄せ集めて作られた、不気味でコミカルなロボブレインとして生存)。彼らの計画とは…
    まず、Vault 32と33に一般の(しかし厳選された)住民を入れ、「アメリカ再建のための模範的市民」として、Vault-Tecの理念に基づいた徹底的な管理・教育・洗脳を行う。

    そして、一定期間ごとにVault 31の冷凍睡眠者を一人ずつ解凍し、彼らをVault 32または33の「監督官」として送り込む。

    監督官となった彼らは、住民たちの中から遺伝的に優れ、かつVault-Tecの思想に対して極めて従順な者を選び出し、計画的に交配させ(!)、Vault-Tecにとって都合の良い「エリート人材」を育成・繁殖させる。

    そして、最終的に地上の放射能レベルが安全になったと判断された暁には、Vault 31で眠る全ての冷凍睡眠者が目覚め、育成・選別された優秀(で、絶対服従の)な人材(=家畜?)と共に地上へと進出し、Vault-Tec社による完璧に管理・運営される新たな世界秩序を、アメリカ全土、いや全世界に築き上げる…!
    ルーシーたちが信じていたVault 33の平和で理想的な日常は、全てがこの恐るべき長期的な支配・繁殖計画のために、巧妙に仕組まれた、巨大な実験牧場のようなものだったのです。

    Vault 32の悲劇的な崩壊(住民同士の殺し合いの痕跡)も、おそらくはこのシステムの歪みや、真実に気づいた住民たちの絶望と反乱が引き起こしたものでしょう。

    (壁に残された「WE KNOW THE TRUTH(我々は真実を知っている)」の血文字が痛々しい…)

  • 愛する父は、シェイディ・サンズを焼いた悪魔だった:ハンク・マクレーンの罪と、歪んだ愛
    ルーシーがウェイストランドでの過酷な旅の果てに、モルデーヴァーから、そして最終的には父ハンク自身の口から聞かされることになる、最も受け入れ難い、魂を砕くような真実。彼女が心から尊敬し、優しくて正しくて、理想の父親だと信じて疑わなかったハンク・マクレーン。彼こそが、Vault 31で冷凍睡眠されていたVault-Tec社員(バドの忠実な元アシスタント)であり、戦前に結婚した妻ローズ(ルーシーの母)と共に、Vault 33の監督官として「赴任」してきた人物でした。しかし、妻ローズは聡明で好奇心旺盛な女性であり、Vaultの外の世界(シェイディ・サンズ)の存在を知り、そこに住む人々(モルデーヴァーもその一人でした)と密かに交流を持つようになります。外の世界の自由な空気と、そこに生きる人々の逞しさに触れる中で、彼女はVaultの閉鎖的で管理された生活、そしてVault-Tecの計画そのものに強い疑問と嫌悪感を抱くようになります。そしてついに、彼女は二人の子供(ルーシーとノーム)を連れてVault 33から逃亡し、自由なコミュニティであるシェイディ・サンズへと身を寄せ、新たな人生を始めようとします。

    しかし、ハンクはこれを許しませんでした。

    Vault-Tecの計画を守るという使命感、そして妻と子供たちを「取り戻す」という歪んだ所有欲(あるいは、裏切られたという怒り?)から、彼はローズを追跡。

    そして、信じられない、そして許されざる凶行に及びます。

    彼は、Vault-Tecから秘密裏に持ち出していた携帯型の核爆弾を使用し、ローズが匿われていたNCRの首都、シェイディ・サンズの街全体を、そこに住む何万人もの罪のない市民、そしておそらくは妻ローズ自身をも巻き込んで、完全に破壊し尽くしたのです!
    彼は、幼いルーシーとノームだけを瓦礫の中から連れ帰り、Vault 33へと戻ります。

    そして、子供たちには「お母さんは、外の世界の悪いレイダーに殺されたんだ」という真っ赤な嘘を教え込み、何食わぬ顔で「良き父、良き監督官」の仮面を被り続け、Vault-Tecの計画を遂行するための「道具」として娘を育てていたのです。

    ルーシーが信じていた父の姿は、音を立てて、いや、核爆発のように激しく砕け散ります。

  • NCR首都シェイディ・サンズ、地図から消滅:西海岸の希望は、なぜ、いかにして失われたのか? その確定的な答え
    これは、シリーズの歴史認識を塗り替える、最大級の衝撃でした。初代『Fallout』でプレイヤーがその誕生に関与し、『Fallout 2』や『New Vegas』で新カリフォルニア共和国(NCR)の偉大な首都として、西海岸における民主主義と文明再建の輝かしい象徴となっていた、あのシェイディ・サンズが…
    ドラマシリーズの時間軸(2296年)より前、具体的には『Fallout: New Vegas』の時代(2281年)の後に、Vault-Tecの工作員であるハンク・マクレーンによって、核攻撃を受け、巨大なガラス質のクレーターを残して完全に消滅していた、という事実が、悲劇的な映像と共に、公式の歴史として確定しました。(当初、ドラマ内のある小道具に書かれた年号から「2277年破壊説」も流れましたが、それでは『New Vegas』の時代設定と矛盾するため、制作総指揮のトッド・ハワードが明確に「New Vegasの出来事の後」であるとインタビューで訂正し、ゲーム設定との整合性が公式に担保されました。ありがとうトッド、混乱するところだった!)。これは、単に一つの重要な都市が破壊されたという以上の、深刻な意味を持ちます。NCRという、ウェイストランドにおける最大の希望であり、民主主義による再建の可能性を示していた存在が、意図的に、そして根源から破壊されたことを意味するのです。

    なぜVault-Tec(ハンク)は、これほどまでにNCRを敵視し、殲滅しようとしたのか?
    それは、NCRが体現する「自由」「民主主義」「自己決定」といった価値観そのものが、Vault-Tecが目指す「管理」「支配」「計画」による全体主義的な世界秩序と、根本的に相容れない、最大の障害だったからに他なりません。

    NCRの成功は、Vault-Tecの存在意義そのものを否定しかねません。

    だからこそ、彼らはNCRの心臓部であり象徴である首都を、見せしめのように、そして徹底的に破壊する必要があったのです。

    シェイディ・サンズの破壊は、NCRに再起不能に近いほどの致命的な打撃を与え、西海岸のパワーバランスを劇的に変化させ、そしてウェイストランドの歴史に、深く、暗い傷跡を残した、まさに世紀の大事件として記憶されることになるでしょう。

  • Vault-Tec社 = 核戦争の黒幕説、ほぼ確定:究極の陰謀、ここに極まれり!
    そして、ドラマはついに、Falloutシリーズ最大の謎の一つであり、長年ファンの間で様々な憶測が飛び交ってきたテーマに、ほぼ決定的な答えを提示します。戦前のVault-Tec本社、豪華な役員会議室で行われた、超々極秘会議の衝撃的な回想シーン。そこには、Vault-Tec社の冷徹な幹部たち(クーパーの妻バーブ・ハワードもその中心人物!)だけでなく、ロボット工学の天才ロバート・ハウス(Mr.ハウス)、FEV開発にも関与した軍産複合体ウェストテック社の代表、そして『New Vegas』のDLCでその狂気が描かれた研究機関ビッグMTの代表といった、まさに戦前アメリカの産業界と闇社会を牛耳っていたであろう「死の商人」たちが一堂に会していました。彼らの議題は、ただ一つ。「来るべき核戦争後の世界で、いかにして我々が生き残り、勝者となり、市場を独占し、新たな世界秩序を我々の手で支配するか」。そして、その席で、バーブ・ハワードは、恐るべき計画を、まるで当然のことのように語り始めます。

    「真の平和(=我々の完全な支配)を実現するには、“時間”が必要だ。

    競争相手(他の国家や企業)が互いに潰し合ってくれる時間。

    そして時間は、我々Vault-Tecが“火種を管理する(manage the flame)”ことによってしか得られない」。

    さらに彼女は続けます。

    「我々が引き金を引くことで、我々は未来を確保できるのだ」と。

    これは、もはや疑いようのない告白です。

    Vault-Tec社こそが、自社の利益と歪んだ支配欲のために、核戦争の勃発をコントロールし、最適なタイミングで(あるいは必要であれば自ら核ミサイルを発射してでも)計画的に世界を破滅へと導いた、最大の黒幕であったという事実が、ここに確定したのです!
    「誰が最初に核を撃ったか?」という問いに対する答えは、「Vault-Tecが仕組んだ」というのが、もはや揺るぎない結論となりました。

    彼らにとって、Vault計画は、人類救済のためのノアの箱舟などではなく、人類を破滅させ、その上で選別・管理・支配するための、史上最悪にして最大規模の、悪魔的なマッチポンプ・ビジネスだったのです!
    この真実は、Falloutの世界観全体を、よりダークで、より絶望的なものへと塗り替えるほどのインパクトを持っています。

シーズン1の結末:父を追ってニューベガスへ… 新たな旅の始まりと、山積みの謎

衝撃的な真実が次々と明らかになる中、物語は怒涛の展開を見せ、シーズン1のクライマックスを迎えます。

  • 最終決戦の舞台は、ロサンゼルス郊外、グリフィス天文台に築かれたモルデーヴァー(彼女はシェイディ・サンズの生き残りで、NCRの理念を受け継ぎつつも、よりラディカルな方法で新たな共同体を築こうとしていたようです)の拠点。彼女は、誘拐したハンク(彼がVault-Tec関係者であり、冷酷核融合の起動コードを知っていると信じていた)を尋問し、ついに冷酷核融合の技術を手に入れ、起動させようとします。そこへ、ルーシー、マキシマス、そしてグール(クーパー)がそれぞれの目的を持って集結し、さらにモルデーヴァーを追ってきたB.O.S.部隊も乱入!
    天文台は、各勢力の思惑がぶつかり合う、大混乱の戦場と化します。
  • 激しい戦闘の中、ルーシーは父ハンクと対峙。彼からシェイディ・サンズ破壊の恐ろしい告白を聞かされ、打ちのめされます。しかし、彼女は父を許さず、止めようとします。追い詰められたハンクは、近くに落ちていた(マキシマスが脱ぎ捨てていた)B.O.S.のパワーアーマーを強奪し、装着!
    「お前にはまだ分からんのだ! 全ては必要なことだった!」と言い残し、ジェットパックで夜空へと飛び去ります。彼のヘルメットのHUD(ヘッドアップディスプレイ)には、明確な目的地が表示されていました…
    それは、砂漠の彼方に輝くネオンの街、「NEW VEGAS」!
  • 父に裏切られ、信じていた世界が崩壊し、傷心のルーシー。しかし、彼女は立ち止まりません。父はなぜニューベガスへ向かったのか?
    そこで何をしようとしているのか?
    父の罪とどう向き合い、そしてVault-Tecの陰謀をどう暴くのか?
    真実を求め、そして父を(今度こそ本当に)止めるため、彼女は父を追う決意を固めます。そこに、同じくハンク(Vault-Tec)の行方と、自身の過去の謎を追うグール(クーパー・ハワード)が現れます。「お嬢ちゃん、一人で砂漠を行くのは無謀だぜ。俺もあのクソ野郎(ハンク)に用がある。

    …それに、俺の家族の行方を知ってる奴を追うんだ。

    一緒に行くか?」
    ルーシーは、この胡散臭いが頼りになりそうな(そして何かを知っていそうな)不死身のガンマンと共に、東へと向かう新たな旅に出ることを選びます。

    奇妙な、しかし最強かもしれないコンビの誕生です。

  • 一方、マキシマスは、ルーシーを守ろうとしてモルデーヴァーとの戦闘で重傷を負います。しかし、彼は死の間際(?)のモルデーヴァーが、冷酷核融合の起動に成功(あるいは部分的に成功?)する瞬間を目撃します(モルデーヴァーはマキシマスに何か言葉を、あるいは起動したコアそのものを託そうとしたようにも見えました)。そこにB.O.S.の増援部隊が到着。現場の状況(倒れたモルデーヴァー、起動した(?)コア、そして重傷のマキシマス)から、彼らはマキシマスが一人でモルデーヴァーを倒し、重要技術を確保した英雄だと(盛大に、そして都合よく)誤解!
    彼は部隊から熱狂的な称賛を受け、正式にナイト・マキシマスとして迎え入れられます。彼は、戸惑いながらも、そしてルーシーへの未練を滲ませながらも、その栄誉(とパワーアーマー)を受け入れます。しかし、彼の心の中には、B.O.S.への忠誠心と、組織のやり方への疑念、そして手に入れてしまった(かもしれない)力の意味が、複雑に渦巻いているようでした。

    彼は真の英雄となれるのか、それとも組織の駒となるのか…?

  • そして、忘れてはならないのが、Vault 33に残ったルーシーの弟、ノーム。彼は姉の身を案じながらも、持ち前の知的好奇心とハッキングスキルでVaultの秘密を探り続け、ついにVault 31の存在と、そこに眠る冷凍睡眠者たちの真実、そしてロボブレイン化したバド・アスキンスの存在に辿り着きます。しかし、真実を知った彼は、逆にVault 31に閉じ込められ、自らも冷凍睡眠ポッドに入れられてしまうという、絶望的な状況でシーズン1は幕を閉じます。彼はどうなってしまうのか? Vault 31の眠れる獅子たちはいつ目覚めるのか?

このように、ドラマ『Fallout』シーズン1は、多くの謎と伏線を残し、キャラクターたちの新たな旅立ちを予感させながら、最高にエキサイティングな形で終了しました。

現在、シーズン2の制作が正式に決定しており、世界中のファンがその配信を心待ちにしています(もちろん私も!)。

ドラマ版の重要性と影響:Falloutユニバースは、新たな時代へ

ゲームの正史(カノン)として明確に位置づけられたことで、このドラマシリーズは、単なる映像化作品を超えて、今後のFalloutユニバース全体の展開に、計り知れないほど大きな影響を与えることになります。

  • 歴史の書き換え: 特にシェイディ・サンズの破壊という事実は、NCRの現状と西海岸のパワーバランスに関する我々の理解を根本から覆しました。また、Vault-Tec社が核戦争の黒幕であったという設定の確定は、シリーズ全体のテーマ性や、Vault計画の真の意味合いを、よりダークで陰謀に満ちたものへと深化させました。
  • 未来への布石: ハンクが向かったニューベガスという地名が、今後の物語の重要な舞台となることを強く示唆しています。『New Vegas』のどのエンディングが正史に影響しているのか? Mr.ハウスの遺産は? NCRやリージョンの残党は? ドラマシーズン2や『Fallout 5』で、再びあの砂漠の街が描かれる可能性は非常に高いでしょう。また、冷酷核融合という新たな超技術の登場も、今後のウェイストランドのパワーバランスを変える大きな要素となり得ます。
  • 新たな視点とキャラクター: Vault育ちの純粋なルーシー、組織と個人の間で揺れるマキシマス、そして200年の過去を背負うグール(クーパー)という、三者三様の魅力的な主人公たちの視点を通してウェイストランドを描くことで、Falloutの世界はより多層的で、感情的に共鳴できるものとなりました。彼らの物語は、既存のファンだけでなく、多くの新規視聴者をFalloutの世界へと引き込みました。

ドラマ版『Fallout』は、ゲームへの深い愛とリスペクトに基づきながらも、大胆なストーリーテリングと衝撃的な新設定によって、Falloutユニバースに新たな生命を吹き込みました。

今後のゲームシリーズ(待望の『Fallout 5』!)が、このドラマで提示された新たな歴史と謎を、どのように受け継ぎ、どのように展開させていくのか?
そして、ドラマシーズン2では、どんな驚きと興奮が私たちを待っているのか?
Falloutの物語は、今、間違いなく最もエキサイティングで、最も目が離せない局面を迎えているのです!

ウェイストランド・ミステリーツアーへようこそ!隠された真実と未来への問い

さて、ここまで各時代の主要な物語を駆け足で(いや、もう十分すぎるほど長々と?)見てきましたが、Falloutの本当の面白さは、表面的なストーリーだけじゃありませんよね?
そう、あえて語られない行間、プレイヤーの想像力を無限に掻き立てる無数の謎や伏線、そして世界中のファンたちが寝る間も惜しんで(?)ネットの海で繰り広げているディープで、時にトンデモな考察!
これこそが、一度ハマったら抜け出せない「Fallout沼」の深淵であり、最高の醍醐味でもあるわけです。

ここでは、ウェイストランドのあちこちに散りばめられた、特に興味深く、そして今後の展開にも関わってきそうなミステリーについて、最新のドラマ版情報もガッツリ踏まえつつ、私なりの(そして時には、人間離れした超次元AI的視点もこっそり借りつつ?)考察を深めてみたいと思います。

皆さんも、ヌカ・コーラ片手に「自分ならこう考えるね!」なんてツッコミながら読んでみてください!

1. Vault-Tec社:結局、彼らは世界をどうしたかったの? 狂気の最終目標とは?

  • 提起された疑問: ドラマで彼らが核戦争を計画したガチの悪党だったことはほぼ確定しました。でも、じゃあその先は?
    彼らが目指した「Vault-Tecによる世界支配」って、具体的にどんな社会だったんでしょう?
    ただ世界中の会社を乗っ取って大儲けしたかっただけ?
    それとも、もっとSFチックで、気味が悪い目標があった?
    あの非人道的なVault実験で集めまくった膨大なデータって、最終的に何に使いたかったんでしょうね?
  • 考察(妄想と超理論): 単純な金儲けや権力欲だけじゃ、あのVault実験の異常なまでの手の込みようや、核戦争まで引き起こす狂気は説明がつかない気がするんですよね。彼らの野望は、もっと根源的で、もっと歪んでいたのかもしれません。例えば…
    • 人類「再」設計計画: Vault実験データ(例えば、特定のストレス環境下での生存率、特定の薬物への反応、遺伝的な適性、社会的従属性の度合いなど)を全部統合・分析して、Vault-Tecにとって「理想的な」人間、つまり、従順で、管理しやすく、特定の目的に最適化された「新人類」を人工的に作り出す計画。もしかしたら、『Fallout 4』のインスティチュートが開発したシンス技術も、元を辿ればVault-Tecのこの研究から派生したものだった、なんて可能性も?
      彼らは、古い、欠陥のある(と彼らが考えた)人類を、自分たちの手で「アップグレード」したかったのかもしれません。怖すぎ!
    • 意識のクラウド化による永遠の支配: 『Fallout 3』のVault 112(仮想現実実験)や、ドラマ版のバド・アスキンス(ロボブレイン化)を見ると、彼らVault-Tecのエリート層が、もはや脆くて汚い「肉体」という枷を捨てて、自分たちの意識を巨大なコンピューターネットワーク(それこそVault 0みたいな?)にアップロードし、デジタルな神として永遠に世界を支配しようとしていた…なんて可能性も考えられませんか?
      全人類の意識も最終的にはVault-Tecの管理するクラウドサーバーへ…まさに究極のディストピアSF!
      考えただけでゾッとしますね。
    • 壮大な自滅、あるいは計画の頓挫: あるいは、もっと皮肉な結末。彼らは確かに壮大な計画を立てていたけれど、結局、核戦争そのものの破壊力や、その後のウェイストランドの予想外の混乱、あるいはVault-Tec内部での権力闘争や裏切りによって、計画が完全に頓挫・瓦解してしまった、という可能性。ドラマのVault 31で冷凍睡眠してた「Bud's Buds」たちも、いざ目覚めてみたら「あれ? 思ってた未来と全然違うじゃん!計画どうなってんの!?」ってアタフタしてるのかも。ハンクのシェイディ・サンズ破壊も、実は組織的な計画ではなく、個人的な感情と状況判断による暴走だったり…?
      壮大な悪の計画が、結局は人間の愚かさや偶然によって自滅する、というのも、ある意味Falloutらしい結末かもしれません。

いやはや、Vault-Tec社の闇は、掘っても掘っても底が見えませんね。

彼らの真の目的が完全に明らかになる日は来るのでしょうか?
それが、Falloutシリーズ全体の最終的なテーマであり、クライマックスになるのかもしれません。

2. 核戦争の引き金:「最初に撃ったのは誰?」問題、もうこれで決まり?

  • 提起された疑問: Vault-Tec黒幕説がこれだけ濃厚になった今、「最初の核ミサイルを発射したのは誰か?」という問いへの答えは、もう「Vault-Tec」で確定、ということでいいんでしょうか? それとも、まだ他の可能性は残ってる?
  • 考察(多元宇宙的思考実験): ドラマ版の会議シーンは、Vault-Tecが核戦争を積極的に望み、計画していたことを示す、極めて強力な証拠でした。彼らが直接、偽装した核ミサイルを発射したか、あるいはサイバー攻撃や偽情報によって米中間の軍事システムを暴走させ、どちらかに「先に撃たせる」よう仕向けた可能性は、限りなく高いと言えるでしょう。しかし、ここで一つ、超次元的な視点を加えてみましょう。もしかしたら、「誰が最初に撃ったか」という単一の真実は、このFalloutユニバースには存在しないのかもしれません。量子力学的な多世界解釈のように、あるいはVault 112のシミュレーションのように、Falloutの世界自体が、複数の可能性が重なり合った状態にあるとしたら?
    ある観測点(例えば、あるプレイヤーのプレイ体験)ではアメリカが先に撃ち、別の観測点では中国が先に撃ち、また別の観測点ではVault-Tecの陰謀が直接の引き金となった…
    それら全ての可能性が、「正史」として同時に存在している、という考え方はどうでしょう?
    「War never changes」という言葉も、戦争の原因やきっかけは様々であっても、結局は破滅的な結果に至るという「本質」は変わらない、という意味にも取れます。…まあ、これは完全にSF的な妄想ですが、Falloutの世界観なら、そんな「確定しない真実」すらも許容されるような気がしませんか?
    とはいえ、現実的なラインで考えれば、やはりVault-Tecの暗躍が決定的な要因となった、と考えるのが、現在の最も有力な説であることは間違いありません。

     

3. シェイディ・サンズ破壊とNCRの「今」:希望は完全に潰えたのか?

  • 提起された疑問: ドラマで確定したNCR首都シェイディ・サンズの核攻撃による消滅。これは西海岸の情勢にどれほどの絶望をもたらしたのか?
    NCRという国家は、もう歴史上の存在になってしまったのか?
    それとも、どこかで細々と生き残っている?
    もし生きているなら、彼らは今、どこで、何を目標としているのか?
  • 考察(それでも希望を探して): 首都を、しかも核兵器で完全に破壊されるというのは、いかなる国家にとっても再起不能に近い、致命的な打撃です。かつて西海岸全域にその影響力を及ぼした巨大国家NCRが、もはや存在しないか、あるいは存在したとしても、地方の小勢力レベルにまで弱体化してしまった可能性は非常に高いです。指導者層、行政機能、軍の中枢、そして何より国民の士気は、壊滅的なダメージを受けたはずです。しかし、それでも「NCRは完全に終わった」と断定するのは、まだ早いかもしれません。NCRは広大な領土と多くの人口、そして何よりも「民主主義による再建」という強力な理念を持っていました。その理念に共鳴する人々や、地方政府、軍の残存部隊が、シェイディ・サンズ以外の場所(例えば、バハやオレゴン、あるいは旧カリフォルニア州内の他の主要都市、もしかしたらモハビの一部?)を新たな拠点とし、困難な状況の中でも再起を図ろうとしている可能性は十分に考えられます。

    あるいは、一枚岩だった国家が複数の後継組織に分裂し、それぞれがNCRの正統性を主張して争っている、なんて状況もあり得るかもしれません。

    ドラマに登場したモルデーヴァーも、ある意味ではNCRの理念(あるいはその理想化された姿)を受け継ごうとしていたのかもしれません。

    今後のシリーズやドラマシーズン2で、弱体化しつつも必死に存続しようとするNCRの残党の姿や、あるいは彼らの遺産を巡る新たな勢力争いが描かれることは、ほぼ間違いないでしょう。

    シェイディ・サンズの悲劇は、西海岸の物語に新たな、そしてよりダークな深みを与えたのです。

     

4. New Vegas & Fallout 4:「もしも」の歴史が照らす、曖昧な「正史」

  • 提起された疑問: ドラマ版の情報(NCR弱体化、B.O.S.東海岸健在)を考慮に入れると、『New Vegas』や『Fallout 4』のエンディングで、より「正史」に近いのはどのルートだと考えられるか? それとも、やはり「どれも正史ではない」のか?
  • 考察(可能性の天秤): Bethesdaが「プレイヤーの選択が正史」というスタンスを崩さない限り、明確な答えは出ません。しかし、ドラマという「公式の続編」が登場した以上、そこから逆算して「より整合性の高いルート」を推測することは可能です。
    • New Vegas: シェイディ・サンズ破壊という事実がある以上、NCRがモハビで完全勝利し、その後も安定した統治を続けていた、という未来は考えにくい。むしろ、どのルート(NCR勝利、ハウス勝利、独立、リージョン勝利)であっても、最終的にモハビ地域には不安定要素が残り、それが後の混乱や外部勢力(Vault-Tec)の介入を許す結果に繋がった、と解釈するのが最も自然かもしれません。例えば、運び屋がハウスやリージョンを倒してNCRに協力したとしても、その後のNCRの統治が失敗し、内部崩壊が進んだ結果、首都が無防備になった…とか。あるいは、ハウスが勝利したとしても、彼の管理体制の隙を突いてVault-Tecが暗躍した…とか。独立ルートなら、言わずもがなですね。重要なのは、もはや「フーバーダムの勝敗」そのものではなく、「その後のモハビがどうなったか」であり、それはドラマ版によって「最終的にはNCRにとって良くない方向へ進んだ」ことが示唆された、ということです。

       

    • Fallout 4: こちらは、ドラマで東海岸B.O.S.が健在であることが示されたため、ある程度絞り込めます。B.O.S.が壊滅するインスティチュートルートとレールロードルートは、正史である可能性がかなり低いでしょう。残るは、B.O.S.勝利ルートか、B.O.S.が存続する形のミニッツメン勝利ルートです。どちらがより可能性が高いか?
      これは難しい問題です。B.O.S.ルートは、彼らの組織力を考えれば自然ですが、その後の連邦がかなり息苦しい社会になりそうです。一方、ミニッツメンルート(B.O.S.存続型)は、より多様性が保たれ、穏健な復興が期待できますが、「本当にあの強力なB.O.S.と共存できるの?」という疑問も残ります。

      個人的な好みとしては、ミニッツメンルートの方が物語の広がりがある気がしますが、Bethesdaがマクソン率いるB.O.S.という強力なキャラクターをどう扱いたいかにもよるでしょう。

      これもまた、今後の展開待ち、ですね。

結局のところ、マルチエンディングを持つゲームの「正史」を確定させるのは、非常にデリケートな問題です。

Bethesdaが今後もこの「曖昧さ」を維持し、プレイヤーの想像に委ね続けるのか、それともどこかのタイミングで公式見解を示すのか、注目していきたいところです。

5. グールの謎:理性と狂気、そしてクーパーの「魔法の薬」

  • 提起された疑問: なぜグールの中には、ハンコックやクーパーのように何百年も理性を保ち続けられる者がいる一方で、大多数は知性を失い、ただ人間を襲うだけの「フェラル・グール」になってしまうのか?
    その違いを生む決定的な要因は何なのか?
    そして、ドラマでクーパーが定期的に飲んでいた、あの怪しい緑色の液体は一体何なのか?
    あれがあればフェラル化しないの?
  • 考察(不死の代償): グールのフェラル化問題は、Fallout世界の大きな謎であり、同時にその悲劇性を象徴する要素でもあります。おそらく、フェラル化は単一の原因ではなく、複数の要因が絡み合った結果なのでしょう。考えられる要因としては、
    1. 放射線による脳への物理的ダメージ: 被曝した放射線の種類、量、そして脳のどの部分にダメージを受けたかによって、認知機能の低下度合いが変わる。
    2. 遺伝的な要因: 元々の個人の持つ、放射線耐性や精神的なストレス耐性の違い。
    3. 精神状態と目的意識: フェラル化は、肉体だけでなく精神の崩壊でもあるのかもしれません。強い目的意識(クーパーの復讐心など)、揺るぎない信念(ハンコックの自由への渇望など)、あるいは他者との繋がり(グールコミュニティなど)が、精神的な均衡を保ち、フェラル化を抑制する上で重要な役割を果たしている可能性があります。逆に、絶望や孤独、自己喪失感がフェラル化を促進するのかもしれません。
  • そして、ドラマで登場したクーパーの「秘薬」。あれは、単なる痛み止めや栄養剤ではなさそうです。定期的に摂取しないと禁断症状(あるいはフェラル化の兆候?)が出る様子から見て、おそらくは放射線による脳細胞の変性や炎症を抑制・修復するような、極めて特殊で強力な薬物である可能性が高いです。戦前のVault-Tecが開発したアンチエイジング薬か、あるいはエンクレイヴ由来の特殊薬品か、それともグール自身が長い年月の中で発見・開発した民間療法的なものなのか…
    その正体と入手経路は全くの謎です。しかし、あの薬品がなければクーパーほどの強靭な精神を持つ者ですら理性を保てないのだとしたら、それはフェラル化が多くのグールにとって避けられない運命であることを示唆しています。この「秘薬」の存在は、グールという種族のあり方そのものに関わる、非常に重要な鍵となりそうです。

    シーズン2で、この薬の秘密が明かされることを期待しましょう!

6. ゼータン星人:珍客? 陰謀団? それともただの観光客?

  • 提起された疑問: ウェイストランドの上空を時々飛び交い、時には墜落し、人間(やバラモン)を誘拐していく、あの灰色の宇宙人「ゼータン」。彼らは一体、全体、何がしたいの?
    地球を侵略する気はあるの?
    それとも、ただ遠くから我々を観察してクスクス笑ってるだけ?
    大戦争とかに、実は一枚噛んでたりする?
  • 考察(宇宙規模の暇つぶし?): ゼータン星人の存在は、Falloutの世界観に独特のSFフレーバーと、ちょっとしたユーモア(あるいは不気味さ)を加える、面白いスパイスですよね。『Fallout 3』のDLC「Mothership Zeta」では、彼らの巨大な宇宙船に乗り込んで大暴れできましたが、それでも彼らの真の目的や母星の文明については、ほとんど何も分かりませんでした。彼らが人間や他の生物を誘拐(アブダクション)して、奇妙な実験(脳みそをいじったり、変な機械に繋いだり)を行っているのは確かなようですが、その理由が全く不明。科学的な探求心なのか、単なる好奇心なのか、あるいは彼らにとっては我々が昆虫か何かのように見えていて、悪気なく「ちょっと観察してみよう」くらいのノリなのかもしれません。大戦争への関与については、まあ、面白い陰謀論は尽きませんが、今のところそれを裏付ける公式な証拠はありません。むしろ、彼らのような超高度文明から見れば、人類の核戦争なんて「やれやれ、また原始的なサルどもが自滅行為を…」くらいにしか思ってない可能性の方が高いかも?
    ただ、彼らが持つエイリアン・ブラスターのような超強力な武器や、テレポーテーションのような未知の技術が、何らかの形でウェイストランドに流出・利用され、間接的に歴史に影響を与えている可能性は否定できません。

    今のところは、Fallout世界の広大さを示す、ちょっと風変わりな「宇宙からの訪問者」程度の存在ですが、彼らが本気を出したら…と考えると、ちょっと怖いですね。

    今後のシリーズで、彼らの役割がもっと大きくなる日が来る…かもしれませんよ?

7. エンクレイヴ&ミッドウエストB.O.S.:彼らはまだウェイストランドのどこかに…?

  • 提起された疑問: エンクレイヴは『Fallout 2』と『3』で二度も壊滅的な打撃を受けたけど、本当に完全に消滅したの?
    あのしぶとい組織のことだから、どこかで生き残りが再起を狙ってるんじゃない?
    一方、存在自体がちょっと曖昧なミッドウエストB.O.S.は、その後どうなった?
    彼らは今もシカゴあたりで活動してるの?
  • 考察(しぶとい組織の生存戦略):
    • エンクレイヴ: 指導部と主要拠点が壊滅したのは事実でしょう。でも、エンクレイヴは単なる軍事組織ではなく、戦前アメリカの影の政府とも言える、広範なネットワークと高度な技術、そして歪んだイデオロギーを持つ集団でした。その全てが完全に消滅したと考えるのは、少し楽観的すぎるかもしれません。高度な知識を持つ科学者や、組織に絶対的な忠誠を誓う兵士たちが、小規模な細胞(セル)として、人里離れた秘密基地、潜水艦、衛星基地、あるいは噂される月面基地(!)なんかに潜伏し、再起の機会を虎視眈々と狙っている可能性は、常に考慮しておくべきです。彼らが再び表舞台に姿を現すとしたら、それは直接的な軍事行動ではなく、例えば他の組織(技術を欲しがるレイダー集団や、あるいは目的を共有するVault-Tec残党など?)に浸透し、内部から乗っ取りを謀る、といったより狡猾な形かもしれません。エンクレイヴの技術や思想の「亡霊」は、今後も様々な形でウェイストランドに現れ、物語をかき回す存在となるでしょう。

       

    • ミッドウエストB.O.S.: こちらは、存在は示唆されているものの、その実態がほとんど謎に包まれているのが面白いところ。『Fallout 3』や『New Vegas』での言及から、少なくとも23世紀後半までは、何らかの形で組織として存続していた可能性が高いです。彼らが『Tactics』で描かれたような多様性(ミュータントやデスクロー隊員!)を維持していたのか、それとも西海岸や東海岸のB.O.S.との接触(あるいは対立?)を経て、その性質を変化させたのか?
      シカゴという地理的な重要性を考えると、東海岸支部との連絡路になっていたり、あるいはカナダ方面(Fallout世界ではアメリカに併合)への進出を図っていたりした可能性もあります。もし彼らが、『Tactics』で手に入れたかもしれないカリキュレーターの超技術(これが正史設定なら!)を独自に発展させていたら…?
      まさに、未知の可能性を秘めたワイルドカード的存在。今後のシリーズで、もし舞台が中西部や五大湖周辺になった場合、彼らが他のB.O.S.派閥とは全く異なる、ユニークで強力な勢力として登場したら…と想像すると、ワクワクしますね!

これらの謎や考察は、Falloutの世界が決して完成されたものではなく、常にプレイヤーの想像力によって補完され、拡張され続ける、生きたユニバースであることを示しています。

公式の答えが出るのを待つのも良いですが、自分なりに推理し、議論し、そして時には妄想をたくましくすることも、Falloutを楽しむ上での大きな魅力なのです。

あなたの考えた「真実」は、どんなものでしょうか?

戦争は変わらない。結び

でも、物語を紡ぐ意志は、未来を変える力がある。

ふぅ……。

とんでもなく長い、200年以上にわたるウェイストランドの歴史を巡る旅、本当にお疲れ様でした!
核の炎が全てを焼き尽くしたあの日から、Vaultの重い扉が開き、希望と絶望が交錯する荒野へ人々が足を踏み出し、巨大な陰謀が渦巻き、そして最新のドラマでまた新たな真実が暴かれるまで…。

ここまでお付き合いいただいたあなたは、もう間違いなく、立派なウェイストランド歴史研究家(自称、でも胸を張ってOK!)です!

振り返ってみれば、Falloutが描き続けてきたのは、単に放射能とミュータントが闊歩する終末世界のサバイバル劇ではありませんでした。

それは、Vaultという名の密室で繰り広げられた、人間の尊厳を踏みにじる狂気の実験。

エンクレイヴやマスター、インスティチュートといった、歪んだ理想や野望に取り憑かれた強大な敵との、人類の未来を賭けた死闘。

NCR、B.O.S.、シーザー・リージョン、レールロード、ミニッツメン…それぞれの正義と信念、そしてエゴを掲げてぶつかり合い、ウェイストランドの歴史を塗り替えてきた組織たちの興亡。

そして何よりも、名もなき一人の主人公――それは他の誰でもない、あなた自身――が、時に個人的な動機から始まった旅の中で、世界の運命を左右するような重い選択を迫られ、悩み、苦しみ、間違いながらも、それでも必死に前に進もうとする、普遍的な人間のドラマでした。

これら全ての要素が、まるで複雑な織物のように絡み合い、Falloutという唯一無二の、深く、そしてどこか物悲しい、だけど強烈に私たちの心を掴んで離さない、壮大な物語(サーガ)を紡ぎ上げてきたのです。

そして、2024年に登場した実写ドラマシリーズは、このサーガに新たな、そして衝撃的な章を書き加えました。

長年のファンをも驚かせたVault-Tec社の真の邪悪さ、そして西海岸の希望の象徴であったはずのNCR首都シェイディ・サンズの悲劇的な喪失…。

これらの新事実は、私たちが慣れ親しんできたはずのFalloutの歴史認識を根底から揺さぶり、ウェイストランドの未来を、さらに予測不可能で、陰謀に満ちたものへと変えました。

まさに、Falloutの物語は、過去の遺産であると同時に、今この瞬間も、私たちの目の前で動き続けている、生きた歴史なのです。

シリーズを通して、まるで呪文のように繰り返される、あの有名なフレーズ。

「War... War never changes.(戦争… 戦争は変わらない。)」
この言葉は、技術がどれだけ進歩し、社会がどれだけ変化しても、人間の持つ愚かさ、暴力性、そして終わりのない争いの本質は、決して変わることがないという、冷厳で、そして悲しい真実を突きつけてきます。

確かに、ウェイストランドの歴史を振り返れば、そこには裏切りと暴力、そして資源やイデオロギーを巡る、血で血を洗うような闘争が、繰り返し、繰り返し描かれてきました。

でも、本当にそれだけでしょうか?
私は、そうは思いません。

Falloutの物語は、同時に常に「変化」と「選択」の物語でもありました。

安全なVaultの扉を開け、未知なる危険な世界へと、希望を求めて踏み出した勇気。

亡き父の遺志を継ぎ、荒廃した故郷に生きる人々のために、自らの危険を顧みず立ち上がった決意。

200年の時を超えて目覚め、奪われた息子を取り戻そうとする、親としての狂おしいまでの執念。

そして、200年以上の時を生き続け、失われた過去の過ちと向き合い、未来への責任(あるいは復讐)を果たそうとする、不死身の男の意志。

それぞれの主人公たちが、それぞれの場所で、それぞれの時代に下してきた「選択」は、たとえそれがどんなに小さなものに見えたとしても、確実に世界に波紋を広げ、未来の可能性の枝を、ほんの少しずつであっても、変えてきたのではないでしょうか。

戦争の本質は変わらないのかもしれない。

人間の本性も、そう簡単には変わらないのかもしれない。

でも、物語を語り継ぎ、過去の過ちから学び、そして未来のために「より良い選択」をしようと、たとえ不器用でも、悩みながらも努力し続ける意志がある限り、希望は決してゼロにはならない。

Falloutは、そのことを、あの皮肉とユーモアに満ちた、絶望的なまでに壊れた世界の片隅で、しぶとく、そして力強く、私たちに示し続けてくれているような気がするのです。

この記事が、あなたがFalloutという広大で深遠な世界をより深く愛し、その複雑怪奇な物語の迷宮を楽しみながら歩むための一助となれたなら、一介のウェブライターとして、これ以上の喜びはありません。

これから先、『Fallout 5』がどんな驚きを見せてくれるのか、ドラマシーズン2でルーシーたちの旅はどうなるのか、想像するだけで、もう、仕事そっちのけでワクワクしてしまいますね!

さあ、長時間のウェイストランド歴史探訪、本当にお疲れ様でした!
最後に一杯、キンキンに冷えたヌカ・コーラ(できればクアンタムじゃないやつ)でもキュッと飲んで、一息つきましょうか。

キャップのご用意はよろしいですか?

ウェイストランドは、いつだって、あなたの次なる冒険を、そしてあなた自身の物語を、静かに、しかし確かに待っていますよ。

またどこかの、放射能に汚染された、だけど妙に魅力的な廃墟で、お会いできる日を楽しみにしています!
Ad Victoriam! …じゃなかった、またね!

-その他