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イヴァリース(FFT他)のストーリーを時系列順に結末までネタバレ

ねぇ、ちょっと聞いてくださいよ。

「イヴァリース」って聞くと、なんだか胸の奥がザワザワしません?

そう、あの『ファイナルファンタジー』シリーズの中でも、一際ややこしくて、だからこそ目が離せない、あの世界の名前です。

ええ、私もですよ。

毎日満員電車に揺られ、会社と家の往復、おまけに義両親との同居生活(これはこれでドラマがあるんですが、それはまた別のお話)の合間を縫って、あの重厚な物語の世界にどっぷり浸かってきたクチですから。

松野泰己さんっていう、もうね、天才としか言いようがないクリエイターさんが紡ぎ出したイヴァリース。

そこはキラキラしただけのファンタジーじゃないんですよね。

国家間のドロドロした権力争い、信じてた宗教が実は真っ黒だったり、種族の違いでいがみ合ったり…おまけに歴史の裏では、人ならざるモノたちがよからぬことを企んでる。

いやはや、現実社会も真っ青な複雑さ。

でも、だからこそ面白い! 引き込まれちゃうんですよねぇ。

特に、『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』! あのやるせない結末!
歴史から名前を消されたラムザと、英雄になったディリータ。

一体どこで道を間違えたのか、それともあれが唯一の道だったのか…。

考え出すと夜も眠れなくなります(いや、実際は疲れて寝てますけど)。

そして、その遥か昔を描いた『ファイナルファンタジーXII(FFXII)』。

神様みたいな存在(オキューリアでしたっけ?)の言いなりになんてならないぞ! って頑張るアーシェたち。

もう、応援したくなるじゃないですか。

でもね、この二つの物語、ただ時代が違うだけじゃないんですよ。

もっと深いところで、まるで運命の糸みたいに、いや、もっと複雑な量子もつれみたいに(すみません、ちょっとカッコつけてみました)繋がってるんです。

この記事では、そんなイヴァリースの、神話の時代からずーっと未来(?)まで、時系列に沿って、物語の結末まで、もう隠すところなく全部! ネタバレしながら徹底的に解説しちゃいます。

各作品のあらすじはもちろん、ややこしい設定、作品同士の「え、そこ繋がるの!?」ポイント、そして「これって結局どういうことだったの?」っていう謎や考察まで。

公式設定と、私みたいなファンが「こうだったら面白いなー」って妄想してる部分(ちゃんと区別しますよ!)を交えながら、イヴァリースの魅力の核心に、可能な限り迫ってみたいと思います。

既にイヴァリースの住人(自称)の方も、これから旅立とうという方も、この記事があなたのイヴァリース探訪の、ちょっと気の利いたコンパスになれたら嬉しいです。

ただし!

※超重要

この先は、FFT、FFXIIをはじめ、関連作品のストーリー、キャラの生死、ラスボスの正体、エンディングなど、あらゆる【ネタバレ情報】が満載です!

まだ知りたくない方は、ここでそっとブラウザを閉じるのが吉!

自己責任で読み進めてくださいね!

いいですね?

約束ですよ?

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神話の時代、オキューリアと千年神戦争創世の理(ことわり)と最初の裏切り

さて、イヴァリースの歴史を語るなら、まずこの方たちに触れないわけにはいきません。

不滅なる者オキューリア

もうね、神様ですよ、神様。

私たち人間とは次元が違う、キラキラしたエネルギー体みたいな姿で(FFXIIでご尊顔を拝めますが、まあ、人間味はないですよね…)、古代都市ギルヴェガンの奥深くに鎮座ましまして、イヴァリース世界を創造したとも言われています。

彼らにとっては、この世界全体が自分たちの実験場か、あるいは壮大なジオラマみたいなものだったのかもしれません。

で、このオキューリアさんたち、自分たちの世界を管理するために、超強力な下僕を創り出したんです。

それが、お馴染みの召喚獣(エスパー)たち。

牡羊座のベリアス、双魚座のマティウス、天秤座のハシュマリムなど、黄道十二宮の名前を持つ彼らは、本来、オキューリアの忠実な僕として、その強大な力(炎とか氷とか雷とか!)を振るうはずでした。

ところが、ですよ。

何があったのか、詳しい理由は神話のベールに包まれたままですが、この召喚獣たちが、なんと創造主であるオキューリアに反旗を翻したんです!
そのリーダー格とされているのが、公式の十二宮にはいない、蛇遣い座の名を持つとされる聖天使アルテマ

彼女(彼?)が中心となって、オキューリアに対する大反乱が勃発。

これが後世に伝わる「千年神戦争」です。

いやー、被造物が創造主に逆らうって、もうSFや神話の王道パターンですけど、イヴァリースでもしっかりやってるんですね。

戦いの結果は…残念ながら(?)、創造主の勝利。

オキューリアは反逆者たちを打ち破り、その力を大幅に奪った上で、次元の狭間とか、世界の辺境とか、とにかく手の届かないところにポイッと封印しちゃったそうです。

めでたしめでたし…とは、ならなかった。

そう、封印された召喚獣たち、彼らはただ消えたわけじゃなかったんです。

敗北の怨念、創造主への憎しみ、あるいは世界そのものへの呪詛を抱えたまま、永い眠りについていた。

そして、数千年後、彼らは別の形で再びイヴァリースの歴史に現れることになります。

それが「ルカヴィ」と呼ばれる、悪魔のような存在。

人間の心の闇、特に強い欲望や絶望に感応し、その人間を依り代として現世に復活する…。

『FFT』でラムザたちをあれほど苦しめたルカヴィたちの正体は、この千年神戦争の敗者たちだった、というわけです。

いやはや、根が深い。

一方、勝利したオキューリアですが、千年神戦争の後、彼らは直接世界を治めるのをやめた(ように見せかけた?)。

ギルヴェガンに引きこもって、あとは人間たちに任せたよ、みたいな顔をしてたんですが、これがまた食わせ物で。

完全に手を引いたわけじゃなかったんです。

彼らは、「破魔石」っていう、自分たちの力の欠片みたいなアイテムを作り出して、それを「こいつは見込みがあるな」って思った人間に与えることで、歴史を裏からコントロールしようとし続けたんです。

いわば、リモコン操作ですよ。

自分たちは安全な場所にいながら、人間たちを使って自分たちの理想の歴史(?)を作らせようとしていた。

うーん、なんだかタチが悪いというか、高次元生命体ってそういうものなのかしら…。

このオキューリアの「見えざる手」と、彼らが遺した「破魔石」、そして封印された「召喚獣=ルカヴィ」という時限爆弾。

この三つが、これから始まるイヴァリースの人間たちの、長く、そして血塗られた歴史の、重要な構成要素となっていくのです。

神話の時代は終わったようで、その影響は色濃く残り続けるんですね。

覇王レイスウォールとガルテア連邦覇道、あるいは神の掌の上で

神様たちが表舞台からちょっと引っ込んだ(ように見えた)後、イヴァリースは人間たちの時代に突入します。

が、しかし、いきなり平和になったわけじゃありません。

むしろ逆。

抑えが効かなくなったのか、各地で国が乱立し、お互いにドンパチやり合う戦国時代に突入しちゃったんですね。

広大な三大陸(ヴァレンディア、オルダリア、ケルオン)は、まさに混沌の坩堝。

(なお、この広大な地域全体を指して「イヴァリース世界」と呼ぶが、『FFT』の時代になると、オルダリア大陸西端の一地方国家を指して「イヴァリース王国」と呼ぶようになる。時代によって「イヴァリース」の指す範囲が異なる点には留意したい。)

そんな中、「待ってました!」とばかりに現れたのが、レイスウォールという、とんでもない英雄です。

後の世に「覇王」とまで呼ばれることになるこのお方、オルダリア大陸の出身だったらしいんですが、まあ、強いのなんの。

カリスマ性も抜群だったんでしょうね、分裂していた国々を次々とまとめ上げ、ついには三大陸全土を統一するという、前代未聞の偉業を成し遂げちゃうんです。

で、このレイスウォールさんの快進撃を陰で支えていた(というか、使わせていた?)のが、やっぱりあのオキューリアさんたち。

彼らはレイスウォールに、「これを使えば天下取れるぞ」とばかりに、三つの強力な破魔石の欠片(暁の断片、黄昏の破片、夜光の砕片)を授けた、と言われています。

まあ、実際、レイスウォールはこの石の力を使って、反対勢力をバッタバッタとなぎ倒し、イヴァリース史上初の人類による統一国家「ガルテア連邦」を建国したわけですから、オキューリアの目論見通り、といったところでしょうか。

レイスウォールさんの治世は、なんと約400年も続いたとか!
その間、イヴァリースには比較的平和な時代が訪れ、文化も花開いたそうです。

彼は公正な王として、後の時代までずーっと「理想の君主」として尊敬され続けます。

『FFXII』の時代でも、「我こそは覇王レイスウォールの末裔!」って威張ってる王族や貴族がたくさんいましたよね。

アーシェもその一人でした。

でもね、どんな偉大な王様にも、いつか終わりは来るわけで。

覇王レイスウォールが亡くなると、あれだけ盤石に見えたガルテア連邦も、あっけなく崩壊への道を辿り始めます。

後継者争いが勃発したり、遠方の領主が「もう言うこと聞かないもんね!」って反乱を起こしたり。

結局、レイスウォール一代で築き上げた統一国家は、彼の死と共に瓦解し、イヴァリースは再び多くの国が群雄割拠する、元の木阿弥状態に戻ってしまったのです。

ああ、諸行無常。

レイスウォールが持っていた三つの破魔石も、この混乱の中でどうなったのか…
一部は特定の王家に代々受け継がれたのかもしれません(ダルマスカ王家の「黄昏の破片」のように)。

あるいは、どこかに隠されたり、失われたりしたのかもしれませんね。

でも、その「神の力の欠片」が持つ、人を惹きつけ、そして破滅させる力は、決して消え去ってはいなかった。

数百年後、これらの石が再び歴史の表舞台に現れた時、イヴァリースは新たな戦乱の時代を迎えることになるのです。

覇王レイスウォール。

確かに偉大な英雄でした。

でも、彼もまた、オキューリアという高次元存在の描いたシナリオの上で、最も輝かしい役を演じた役者に過ぎなかったのかもしれませんね。

人間の時代の幕開け…とは言いつつも、まだまだ神様たちの影響力は、そこかしこに色濃く残っていた、そんな時代だったのでしょう。

FFXII・バハムート戦役と人間の選択自由への渇望、神への反逆

覇王レイスウォールの統一とガルテア連邦の崩壊から、数百年(あるいは千年以上の時が流れたという説も)。

イヴァリース世界は、新たな力の均衡によって成り立っていました。

北東のヴァレンディア大陸には、飛空艇技術と魔導科学を発展させ、強大な軍事力を背景に版図を拡大し続けるアルケイディア帝国

南西のオルダリア大陸には、それに対抗しうる国力を持ち、帝国と長らく緊張関係にあるロザリア帝国

この二大勢力が、イヴァリースの覇権を巡って、冷たい戦争を続けている…そんな時代です。

『ファイナルファンタジーXII』の物語が焦点を当てるのは、この二つの巨大な帝国のちょうど間に位置する、歴史ある小国ダルマスカ王国を主な舞台として展開される。

それは、大国の覇権争いに翻弄される小国の悲劇であり、同時に、神々の敷いた運命に抗い、自らの手で未来を切り開こうとする人間たちの、自由を賭けた戦いの記録である。

帝国の蹂躙、偽りの罪、そして反撃の狼煙

物語が動き出す少し前。

アルケイディア帝国は、その膨張政策をさらに推し進め、ダルマスカの隣国であり同盟国であったナブラディア王国に侵略します。

これに対し、ダルマスカ王女アーシェは、ナブラディア王子ラスラと結婚し、両国はロザリア帝国とも連携を深め、アルケイディア包囲網を築こうとしました。

若き王女の、必死の外交努力でした。

しかし、アルケイディア帝国を事実上動かしていた、冷徹にして野心的な皇子ヴェイン・カルダス・ソリドールの動きは、それを遥かに上回る速度と非情さを持っていた。

彼は軍事侵攻と同時に、禁断の力を用います。

帝国が極秘に研究を進めていた古代の遺物「破魔石」。

その計り知れないエネルギーを暴走させ(あるいは意図的に兵器として使用し)、ナブラディアの首都ナブディスを文字通り「消滅」させたのです。

美しい都は一瞬にして巨大なクレーターと化し、強力なミストが渦巻く死の土地へと変貌しました。

破魔石が持つ、世界をも揺るがすほどの破滅的な力が、初めて現実のものとして示された瞬間でした。

(この事実は秘匿され、表向きは帝国の新型爆弾によるものとされました。)

ナブラディアは滅亡。

アーシェの夫となったラスラも戦死。

最大の同盟国と愛する人を同時に失ったダルマスカは、アルケイディアに屈するしかありませんでした。

しかし、悲劇は続きます。

アルケイディアとの講和条約の調印式。

その場で、ダルマスカ国王ラミナスが暗殺されるという凶行が発生します。

実行犯は、アルケイディアに内通していたダルマスカの将軍…と見せかけられましたが、その黒幕はヴェインであり、実際に手を下したのは彼の腹心、ジャッジマスター・ガブラス(後述するバッシュの双子の弟)でした。

そして、この国王暗殺という大逆の罪は、帝国に最後まで抵抗し、国民からの信望も厚かったダルマスカ軍の将軍バッシュ・フォン・ローゼンバーグに、巧妙に着せられたのです。

「敬愛する王は、信頼していたバッシュ将軍に裏切られ、殺されたのだ」――このアルケイディアによって流布された偽情報は、ダルマスカ国民の心を打ち砕き、抵抗の意志を完全に奪い去りました。

王も、英雄も失った(と信じ込まされた)ダルマスカは、アルケイディアの属州となり、その輝かしい歴史に一旦の終止符が打たれたかのように見えました。

王女アーシェも、失意のうちに自害した…と公式には発表されました。

だが、アーシェは生きていた。

彼女は「アマリア」という偽名を使い、身分を隠して、祖国解放を目指すレジスタンスのリーダーとして、水面下で活動を続けていたのです。

一方、バッシュは国賊の汚名を着せられたまま、ナルビナ城塞の地下深く、光の届かない牢獄に囚われていました。

物語の歯車が大きく動き出すのは、それから2年後のこと。

アルケイディア占領下の首都ラバナスタで、戦災孤児の少年ヴァンが、鬱屈した日常から抜け出すように、ほんの出来心で王宮への潜入を試みた、その瞬間からでした。

集う者たち:それぞれの自由、それぞれの正義

ヴァンの王宮潜入は、思いがけない出会いをいくつも引き寄せました。

  • バルフレアフラン:自らを「物語の主人公」と称する、キザで腕利きの空賊。そして、その寡黙ながら頼れる相棒であるヴィエラ族の女性。彼らは王宮の宝(破魔石)を狙っていました。

    バルフレアの軽妙な態度の裏には、アルケイディア帝国の闇と、彼の父であるドクター・シドとの複雑な過去が隠されています。

    フランもまた、ヴィエラの森の掟を破って外の世界に出たという過去を持ちます。

    彼らが求めるのは、誰にも縛られない「自由」。

  • アーシェ・バナルガン・ダルマスカ:滅亡した王国の最後の希望。当初は「アマリア」と名乗り、帝国への復讐と祖国解放だけを考えていました。しかし、旅の中で破魔石の真の力と、それを操るオキューリアの存在を知り、人間自身の力で未来を切り開くという、より困難な道を選ぶことになります。

    王族としての責任と、一人の女性としての感情の間で揺れ動きます。

  • バッシュ・フォン・ローゼンバーグ:王殺しの濡れ衣を着せられた、悲劇の将軍。忠誠心に厚く、騎士道精神を体現するような人物。無実が証明された後も、自らの汚名を雪ぐことよりも、アーシェを守り、ダルマスカを解放することを優先します。

    彼にはガブラスという双子の弟がおり、その存在が彼の運命に暗い影を落としています。

  • パンネロ:ヴァンの幼馴染。おっとりしているようでいて、芯が強く、行動力もある少女。ヴァンを心配して冒険についてくることになりますが、戦争の悲劇を目の当たりにしながらも、持ち前の明るさで一行のムードメーカーとなります。

    彼女の存在は、過酷な旅の中での一筋の光です。

  • ヴァン:物語の視点人物でありながら、特別な血筋も力も持たない、ごく普通の少年。当初は空賊への憧れと帝国への反発心だけで動いていましたが、アーシェやバルフレアたちとの旅の中で、戦争の現実、世界の広さ、そして自分自身の無力さと向き合い、本当に大切なもの、守りたいものを見つけて成長していきます。

ナルビナ城塞での劇的な脱獄を経て、ヴァン、アーシェ、バルフレア、フラン、バッシュ、パンネロは、それぞれの目的は違えど、「打倒アルケイディア」という共通の敵を前に、運命共同体となります。

彼らの旅は、失われたダルマスカの再興の鍵――覇王レイスウォールの遺した破魔石――を求めることから始まりました。

破魔石を巡る旅路:神々の誘惑と人間の選択

一行は、空中都市ビュルバの領主であり、ダルマスカの復興を願うオンドール侯爵(かつてのダルマスカの盟友であり、今は帝国の顔色を窺いつつも反撃の機会を待つ老獪な政治家)の支援を受けながら、イヴァリース各地に眠るレイスウォールの遺産、すなわち強力な破魔石を探す旅に出ます。

その過程で、彼らはアルケイディア帝国の追手、特に皇帝直属の精鋭騎士「ジャッジマスター」たちと何度も衝突します。

ジャッジマスターの中には、バッシュの弟ガブラスもいました。

彼は故郷を帝国に滅ぼされた憎しみをヴェインへの忠誠心に転化させ、兄であるバッシュの前に、そしてダルマスカの前に、容赦なく立ちはだかります。

旅の中で、アーシェは自らが王家の証として受け継いだ「黄昏の破片」が、レイスウォールが持っていた破魔石の一つであることを知る。

そして、さらなる力を求め、より強力な破魔石「暁の断片」を探し求めるようになる。

当初、彼女の心は帝国への憎しみと復讐心に燃えており、破魔石の強大な力こそが祖国を救う唯一の道だと信じていた。

しかし、旅の中で一行は破魔石の持つ負の側面を目の当たりにする。

ナブディスを滅ぼした元凶であり、使い方を誤れば容易に世界を破滅させうる危険な力であること。

そして、その破魔石を与え、人間を裏から操ろうとしている存在――「不滅なる者オキューリア――の影が見え隠れし始める。

特に、アルケイディア帝国の天才科学者ドクター・シド(バルフレアの父)は、破魔石の研究に取り憑かれ、その力を人工的に再現した「人造破魔石」を開発していた。

彼は、オキューリアの一柱であるヴェーネス(他のオキューリアとは異なり、人間の可能性を信じ、オキューリアの支配からの脱却を目指していた異端の存在)と接触しており、その影響を受けていた。

ドクター・シドは、ヴェイン皇子の計画――破魔石の力でオキューリアの支配を打ち破り、人間の手で歴史の舵を取る――に協力していたのである。

古代都市ギルヴェガンで、アーシェはついにオキューリアと直接対面する。

オキューリアは彼女に「暁の断片」のありかを示唆すると共に、その力を使って「歴史の誤り」(=ヴェイン)を正し、覇王レイスウォールの子孫として再びイヴァリースを統べるよう誘惑する。

復讐心と祖国解放への想いから、アーシェは一度はその誘惑に乗りかけるが、ヴァンや仲間たちの言葉、そして破魔石がもたらす悲劇を目の当たりにする中で、オキューリアの支配を拒絶し、破魔石に頼らない道を選ぶ決意を固める。

彼女は手に入れた暁の断片を破壊しようとするが、その力は強大すぎた。

(後にこの暁の断片は意外な形で使われることになる。)

このアーシェの選択は、『FFXII』の物語における最大の転換点であり、イヴァリースの歴史が神々の支配から人間の自由意志へと移行する瞬間を象徴していた。

バハムートの咆哮:最終決戦とヴェインの理想

アーシェが神々の誘惑を退けた一方で、アルケイディア帝国ではヴェインが着々とその計画を進めていた。

彼は父である皇帝グラミスを暗殺(あるいは見殺しにし)、帝国の全権を掌握。

ドクター・シドが完成させた巨大な人造破魔石「天陽の繭」を中核として、古代の超巨大飛空要塞バハムートを起動させる。

その目的は、イヴァリース全土にその圧倒的な力を見せつけ、覇権を確立すると同時に、オキューリアに対する最終的な宣戦布告を行うことであった。

ダルマスカ首都ラバナスタ上空に、不気味な威容を現すバハムート。

これに対し、ロザリア帝国軍、そしてオンドール侯爵率いるダルマスカ解放軍が最後の抵抗を試みる。

イヴァリースの空は、帝国軍と反乱軍の艦隊で埋め尽くされ、後に「バハムート戦役」と呼ばれる最終決戦の火蓋が切って落とされた。

ヴァン、アーシェ、バルフレア、フラン、バッシュ、パンネロの一行は、バハムート内部への突入を敢行する。

彼らの目的は、バハムートの中枢を破壊し、ヴェインの野望を阻止すること。

内部では、ヴェインの忠実な僕として最後まで立ちはだかるジャッジマスターたち、そしてヴェインの弟でありながら兄の暴走を止めようとするラーサー皇子との邂逅が待っていた。

バッシュは、かつての弟であり、今は憎しみに囚われたジャッジマスター筆頭ガブラスと、宿命の対決を迎える。

そして、バハムートの最深部で、一行はついにヴェインと対峙する。

ヴェインは「天陽の繭」の力を自らに取り込み、人ならざる強大な存在へと変貌。

「人の手で歴史の舵を取る!」と叫び、その圧倒的な力で一行を排除しようとする。

彼の理想は、たとえ歪んでいたとしても、「神の支配からの解放」という点では、アーシェたちの目指すものと共通していたのかもしれない。

しかし、その手段はあまりにも多くの犠牲を伴うものだった。

激しい死闘の末、一行はラーサーの協力も得て、ついにヴェインを打ち破る。

しかし、ヴェインは最後の力を振り絞り、アーシェが持っていた「暁の断片」のエネルギーを暴走させ、バハムートもろとも全てを破壊しようとする。

絶体絶命の状況の中、バルフレアとフランはシュトラール号で駆けつけ、一行は崩壊するバハムートからの脱出に成功する。

巨大な爆炎と共に、バハムートは墜落。

アルケイディア帝国の野望は潰え、バハムート戦役は終結。

イヴァリースは、神々の干渉からも、帝国の支配からも解放され、新たな時代を迎えることになった。

未来への道標:『FFT』へ繋がる伏線たち

『FFXII』の物語は、一つの大きな区切りを迎えたが、それは終わりではありませんでした。

むしろ、遥かなる未来、『FFT』へと繋がる重要な伏線が、いくつも残されたのです。

  • オキューリアは健在?:黒幕だったオキューリア自身は滅んでいません。彼らが再び歴史に干渉する可能性は? 彼らが持つ「太陽晶」のような超兵器は? これらが「伝説の大崩壊」の引き金になるのでは?
  • 破魔石の技術と思想:「暁の断片」は失われましたが、「人造破魔石」の技術や、ヴェインが目指した「神への反逆」という思想は、形を変えて後世に影響を与えるかもしれません。『FFT』の「聖石」が悪魔ルカヴィ(=召喚獣)と深く結びついているのは、破魔石と千年神戦争の敗者たちの間に、我々がまだ知らない繋がりがあることを示唆しています。
  • 失われる文明:『FFXII』の高度な飛空艇技術や魔導文明は、いずれ来る「大崩壊」によって失われ、『FFT』の中世的な世界へと移行します。この断絶の間に何があったのか?
  • 聖アジョラの予感:この物語から数十年後に現れるとされる聖アジョラ。彼はオキューリアや破魔石と無関係だったのでしょうか? それとも…?

新たな始まり:それぞれの旅立ち

戦いが終わり、イヴァリースには新たな時代の風が吹き始めていました。

  • アーシェは、ダルマスカの若き女王として即位。戦争で荒廃した国土の復興と、国民の生活再建に全力を注ぎます。アルケイディアとの間に正式な和平を結び、賢明な統治者への道を歩み始めます。
  • ラーサーは、兄と父を失い、わずか12歳でアルケイディア帝国の新皇帝となります。若年ながらも聡明な彼は、帝国の混乱を収拾し、ダルマスカとの和平を維持するため、懸命に努力します。
  • バッシュは、自らの死を偽装し、亡き弟ガブラスの鎧と名前を受け継ぎ、「ジャッジマスター・ガブラス」としてラーサー皇帝の傍らに仕え、歴史の影から帝国の安定とイヴァリースの平和を守ることを誓います。
  • バルフレアフランは、全てのしがらみから解放され、再び自由な空賊稼業へ。失われたはずの愛機シュトラール号(ヴァンがこっそり修理していた)を取り戻し、「さあ、行こうぜ、相棒」と、新たな冒険へと飛び立ちます。
  • そしてヴァンパンネロ。ヴァンは、憧れだった空賊となり、バルフレアから譲り受けた(あるいは借り受けた?)小型飛空艇で、パンネロと共に大空へと旅立ちます。「俺、空賊になる!」という彼の夢は、ようやく現実のものとなったのです。

それぞれのキャラクターが、それぞれの未来へと歩み始めたところで、『FFXII』の物語は幕を閉じます。

それは、一つの戦いの終わりであると同時に、新たな物語の始まりを予感させる、希望に満ちた(しかし、どこか切なさも漂う)エンディングでした。

そして実際に、ヴァンの新たな冒険は、すぐに始まることになるのです。

FFXII RW・レムレースと聖晶石の謎翼持つ者たちの空

『FFXII』で空賊としての道を歩み始めたヴァンとパンネロ。

その1年後を描くのが、『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング(RW)』です。

二人はバルフレアやフランとも再会し、伝説の「空賊の隠れ家」を求めてシュトラール号で旅をしていました。

まさに、青春真っ盛り! って感じですね。

そんなある日、彼らは巨大な翼を持つ不気味な幽霊船に遭遇し、激しい空中戦の末、イヴァリース本土の上空遥かに存在する未知の浮遊大陸群レムレースへと迷い込んでしまいます。

そこは、大地が巨大なクリスタルによって空中に支えられ、独自の生態系と文化が息づく、神秘的な場所でした。

そして、背中に美しい翼を持つ種族エグル族が暮らす、まさに天空の世界。

しかし、美しいだけではありませんでした。

レムレースは、「翼のジャッジ」と呼ばれる絶対的な力を持つ謎の存在によって支配されており、人々は「幻獣」と呼ばれるモンスターを召喚し、使役する力を持っていました。

ヴァンたちは、この異世界で、レムレースに古くから伝わるという秘宝「グレバドスの秘宝」を巡る争いに、否応なく巻き込まれていくことになります。

「グレバドス」…どこかで聞いた名前ですよね? そう、『FFT』のあのグレバドス教会と同じ名前。

こんなところに伏線が? それとも単なる偶然? イヴァリース、油断なりません。

ヴァンは、レムレースで出会った記憶喪失のエグル族の少年リュドや、活発な少女フィロ、そして他のエグル族の戦士たちと出会い、友情を育んでいきます。

彼らと共に、レムレースを力で支配しようとし、「翼のジャッジ」を名乗る謎の女性ミュリンと戦うことを決意します。

ミュリンは「グレバドスの秘宝」を手に入れ、その力でレムレースだけでなく、イヴァリース全土をも征服しようと企んでいたのです。

面白いことに、ヴァンはレムレースにおいて、幻獣と心を通わせ、彼らと契約を結んで召喚する「召喚士」としての才能に目覚めます。

最初は成り行きでしたが、彼は持ち前の明るさと行動力で仲間たちをまとめ上げ、空賊団のリーダーとしてたくましく成長していくのです。

パンネロも、持ち前の優しさで仲間たちを支え、時には幻獣と共に戦います。

バルフレアとフランも、相変わらずのクールさで、一行のピンチを救ってくれます。

やがて、「グレバドスの秘宝」の正体が、古代レムレースを平和に統べたという賢王フェオルサノスの魂と、その強大な力を封じ込めた三つのクリスタル「聖晶石」であることが判明します。

ミュリンは、この聖晶石の力を悪用し、レムレースに封印されていた伝説の幻獣や邪竜を次々と復活させ、ヴァンたちの前に立ちはだかります。

仲間たちとの絆、そして召喚士としての力を武器に、ヴァンは最後の戦いに挑みます。

ミュリン自身もまた、フェオルサノスの遺した力(あるいは呪い)に操られていたことが明らかになり、最終的にはレムレース全体を脅かす巨大な悪意(フェオルサノスの負の側面?)との対決となります。

ヴァンは見事これを打ち破り、聖晶石の力を正しく解放することで、レムレースに真の平和を取り戻したのでした。

戦いが終わり、レムレースの未来をリュドやフィロたちに託したヴァンとパンネロは、仲間たちとの別れを惜しみつつも、再びイヴァリース本土の空へと帰還します。

このレムレースでの冒険は、ヴァンを精神的に大きく成長させ、彼が「大空賊」への道を歩む上で、かけがえのない経験となったことでしょう。

※RWの立ち位置: この作品は、『FFXII』のキャラクターが登場する直接的な続編であり、イヴァリース正史の一部とされている。

しかし、浮遊大陸やエグル族といった設定は他の作品には見られず、ゲームシステムも大きく異なるため、「スピンオフ」あるいは「外伝」的な作品と捉えるのが自然かもしれない。

物語は『FFXII』本編のような重厚さはないものの、ヴァンの成長譚として、またキャラクターたちの和気藹々としたやり取りを楽しむ作品として価値がある。

エンディングでバルフレアが聖晶石の一つを「お宝ゲットだぜ!」とばかりに持ち去る描写は、彼が『FFT』(PSP版)にゲスト出演する際のアイテム「魔銃(偽りの聖石?)」との関連を匂わせる、ファンサービス的な演出と考えられる。

異なる時代の物語を繋ぐ、ささやかな遊び心と言えるだろう。

聖アジョラ、グレバドス教、そして大崩壊預言者は語る、世界は崩れる

『FFXII RW』で描かれたヴァンの冒険から、おそらくそれほど遠くない未来。

数十年単位、という感じでしょうか。

イヴァリース世界に、再び歴史を揺るがす人物が現れます。

その名はアジョラ・グレバドス

後の世に「聖人」として崇拝され、イヴァリース最大の宗教グレバドス教の開祖となる人物です。

しかし、その「聖人」の伝説の裏には、血と破壊、そして隠蔽された真実が渦巻いていました。

アジョラが登場した頃のイヴァリースがどのような状況だったのか、詳細は不明です。

『FFXII』後の平和が続いていたのか、あるいは新たな戦乱が始まっていたのか…。

ただ、古くからの「ファラ教(ファラム教)」が依然として広く信仰されていたようです。

そんな中、アジョラは現れました。

彼の出自、性別(伝承では男性とされることが多いですが…)、そして彼がどこでその教えを確立したのか、全ては謎に包まれています。

確かなのは、彼が既存の宗教とは異なる、新たな救済の道を説き、同時に病を癒したり、未来を予知したりといった「奇跡」の力を見せたことで、急速に民衆の心を捉えていった、ということです。

特に、支配層から虐げられていたり、貧困や病に苦しんでいた人々にとって、アジョラの言葉と力は、まさに暗闇を照らす希望の光だったのでしょう。

彼の教えは瞬く間に広がり、多くの弟子や信者を集め、一大勢力となっていきます。

しかし、当然ながら、既存の権力や宗教体制から見れば、アジョラの存在は非常に危険なものでした。

特に、当時イヴァリース地域(旧ガルテア連邦分裂後のいずれかの国)を支配していた神聖ユードラ帝国は、アジョラとその信徒たちを、国家転覆を狙う反乱分子として危険視し始めます。

聖人伝説の裏舞台:ゲルモニーク聖典に記された「真実」

数百年後の『FFT』の時代、グレバドス教会によって語られる「公式」の聖アジョラ伝は、感動的な殉教物語です。

曰く、「アジョラは、神の子として遣わされ、新たな時代の到来を告げた。

しかし、その教えを恐れたユードラ帝国によって捕らえられ、弟子ゲルモニークの裏切りにより、ゴルゴラルダの丘で無実の罪で処刑された。

だが、聖者の殉教は無駄ではなかった。

処刑の直後、天変地地が起こり、神の怒りか奇跡か、帝国の首都ミュロンドは巨大な津波(あるいは天からの光)によって壊滅した。

これを見た人々は、アジョラの神性を確信し、その教えを受け入れ、グレバドス教会が設立されたのだ」…と。

しかし、これは、教会が自らの権威のために作り上げた、美しくも歪んだ物語でした。

『FFT』で発見される禁書「ゲルモニーク聖典」には、全く異なる、恐るべき真相が記されていたのです。

ゲルモニークは裏切り者などではなく、アジョラに最後まで付き従った忠実な弟子でした。

そして、聖アジョラは…ただの人間ではなかった。

彼の(あるいは彼女の)肉体には、信じられないものが宿っていたのです。

それは、千年神戦争でオキューリアに敗れ、異次元に封印されていたはずの、最強にして最悪のルカヴィ――聖天使アルテマ

なぜ、どのようにしてアルテマがアジョラの肉体に宿ったのか?
アジョラ自身はその事実を知っていたのか? それとも、知らず知らずのうちにアルテマの力(奇跡の力)を使っていただけなのか?
ゲルモニーク聖典も、その全ての謎を解き明かしてはくれません。

しかし、重要なのは、アジョラが処刑された、その瞬間です。

肉体が滅びるのと引き換えに、あるいは処刑という極限状況が引き金となり、アジョラの内に封じられていた(あるいは共生していた?)アルテマの力が暴走したのです。

その解放されたエネルギーは、想像を絶する規模のものでした。

首都ミュロンドを一瞬にして飲み込み、文字通り「消滅」させた。

これが、伝承で「津波」や「天の光」と表現された大災害の、おぞましい真相だったのです。

それは奇跡などではなく、悪魔(あるいは神?)の力の暴走による、純粋な破壊でした。

ゲルモニークは、この一部始終を目撃し、アジョラの苦悩(あるいはアルテマの邪悪さ)と共に、その真実を記録しました。

しかし、後に権力を握るグレバドス教会にとって、開祖がルカヴィ憑きだったなどという事実は、絶対に認められるものではありません。

教会はゲルモニーク聖典を歴史の闇に葬り去り、「殉教した聖人アジョラ」という虚像を作り上げ、それを民衆支配の道具として利用し続けたのです。

※FFXIVでの解釈再び: ここでも『FFXIV』の「リターン・トゥ・イヴァリース」での解釈に触れておきましょう。

FFXIVでは、アジョラは単なる器ではなく、腐敗した帝国に立ち向かう革命家であり、彼に従う十二人のゾディアックブレイブと共に戦った、とされています。

そして、最後の手段として、自らの内なる力(アルテマ)を解放し、ミュロンドを滅ぼした、と。

この解釈は、アジョラをより能動的な存在として描き、『FFT』のゾディアックブレイブ伝説へと繋げる、見事なストーリーテリングでした。

どちらが「正解」かは分かりませんが、アジョラ=アルテマという核心は共通しています。

「伝説の大崩壊」へ:文明の後退と世界の変貌

聖アジョラの死とミュロンド壊滅は、単なる一時代の終わりではありませんでした。

それは、イヴァリース全体の文明が大きく後退する、長い暗黒時代の始まり――「伝説の大崩壊」――の引き金、あるいは象徴となる出来事でした。

『FFXII』の時代には当たり前だった高度な飛空艇技術は失われ、魔法は希少なものとなり、強力な魔導兵器も過去の遺物となる…なぜ、これほどの文明衰退が起こったのか?

ミュロンド壊滅という局地的な(とはいえ首都壊滅ですが)出来事が、直接的な原因とは考えにくいかもしれません。

しかし、アルテマの力の暴走が、イヴァリース全体の「ミスト(魔力の流れ)」バランスを崩壊させ、連鎖的に気候変動や地殻変動を引き起こした可能性はあります。

あるいは、その混乱に乗じて大規模な戦争が勃発し、文明を維持するインフラが破壊され尽くしたのかもしれません。

そして、ここでもやはり、あのオキューリアの影がちらつきます。

人間たちが、自分たちの手に余る力(アルテマを宿したアジョラ)を生み出してしまったことに対する、神々の「介入」はなかったのでしょうか?
彼らが「歴史のリセット」を望み、意図的に天変地異や災厄を引き起こした…という可能性も、SF的な妄想かもしれませんが、捨てきれません。

オキューリアは『FFXII』の後、本当に沈黙していたのでしょうか?

この「大崩壊」の時代を経て、イヴァリースは大きくその姿を変えました。

かつての多様な種族(ヴィエラ、バンガ、モーグリ、ン・モゥなど)はその数を大きく減らし、歴史の表舞台から姿を消していきます。

彼らは環境の変化に適応できなかったのか、あるいは人間中心の新たな社会の中で居場所を失ったのか…。

いずれにせよ、『FFT』の時代には、イヴァリースはほぼ人間だけの社会となっています。

技術レベルも大きく後退し、魔法も一部の知識階級や血筋に受け継がれる秘術のような扱いになります。

世界は、より素朴で、物理的な力が支配する、中世的な封建社会へと移行していきました。

聖アジョラが意図したかどうかは別として、彼の出現と死は、イヴァリース世界を根底から変えてしまったのです。

そして、彼が(あるいは彼に宿るアルテマが)残した「聖石(ゾディアックストーン)」という呪われた遺産が、約1200年の時を経て、再びイヴァリースの大地に血の雨を降らせることになるのです。

その舞台となるのが、オルダリア大陸西端の小国、イヴァリース王国です。

FFT・獅子戦争、聖石、そして歴史の闇へ獅子たちの慟哭

聖アジョラの時代から約1200年。

長きにわたる「伝説の大崩壊」を経て、イヴァリース世界はすっかり様変わりしていました。

かつての高度文明の面影はなく、飛空艇は絵物語の中にしか登場しない。

魔法は特別な才能を持つ者か、血筋に恵まれた者の占有物。

世界はいくつかの王国や公国に分かれ、貴族が力を持ち、教会が人々の精神を支配する…そんな中世ヨーロッパを思わせる封建社会が、当たり前の風景となっていました。

我々の物語の焦点は、オルダリア大陸の西端に位置する、その名も「イヴァリース王国」へと移ります。

この国は今、大きな岐路に立たされていました。

『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』は、この王国で繰り広げられる骨肉の争い「獅子戦争」と、その裏で進行する、遥か古代から続く呪われた運命との戦いを描く、壮大にして悲痛な叙事詩です。

そしてそれは、歴史の記録から抹消された一人の若者の、「真実」を求める魂の軌跡でもあります。

戦争の足音:五十年戦争の爪痕と二頭の獅子

物語の幕開けは、不穏な空気に満ちています。

イヴァリース王国は、隣国オルダリアとの間で繰り広げられた「五十年戦争」という、長く消耗的な戦争を終えたばかりだった。

しかし、それは勝利とは名ばかりの、国力を消耗し尽くした上での停戦でした。

戦地から戻った騎士や兵士たちは、十分な報酬も与えられず、不満を募らせています。

中には「骸旅団」のような武装集団となり、略奪を働く者も現れ、国内の治安は悪化の一途を辿っていました。

そんな中、国王オムドリア3世が重い病に倒れ、後継者問題が勃発します。

王位を継ぐ可能性があるのは、まだ幼い王子オリナスと、王女オヴェリアの二人。

この二人をそれぞれ擁立し、王国の実権を握ろうとする二人の有力者が現れます。

一人は、王妃の実兄であり、摂政として辣腕を振るうラーグ公

彼は王都ルザリアを拠点とし、精強な北天騎士団を率い、白獅子の紋章を掲げて王子を支持します。

もう一人は、王国南部に広大な領地を持ち、軍事力を背景に権勢を誇るゴルターナ公

彼はゼルテニアを拠点とし、南天騎士団を率い、黒獅子の紋章を掲げて王女を支持します。

この「白獅子」ラーグ公と「黒獅子」ゴルターナ公の対立は、日に日に深刻化し、イヴァリース王国を二分する内戦、「獅子戦争」の勃発はもはや時間の問題となっていました。

貴族たちはどちらの陣営につくべきか、探り合い、駆け引きを繰り広げます。

民衆は、再び訪れるであろう戦乱の予感に怯えていました。

しかし、この貴族たちの権力闘争という表向きの構図の裏には、もっと深く、もっと暗い力が働いていたのです。

イヴァリース王国の国教として、人々の精神を掌握するグレバドス教会

彼らは、この戦乱を利用して、自らの影響力を絶対的なものにし、王国、ひいてはイヴァリース全体を支配下に置こうと、密かに、そして周到に計画を進めていました。

その計画の鍵となるのが、聖アジョラの奇跡の源とされる、あの曰く付きのアイテム――十二宮の聖石(ゾディアックストーン)だったのです。

若き獅子の選択:ラムザとディリータ、それぞれの道

この物語には、運命に翻弄されながらも、自らの意志で道を選び取ろうとする二人の若き主人公がいます。

ラムザ・ベオルブ:イヴァリース王国で最も名誉ある貴族、ベオルブ家の三男として生まれます。

父は五十年戦争の英雄、兄たちは騎士団の重鎮。

誰もが羨む家柄と才能に恵まれ、将来は国を支えるエリート騎士となることが約束されていました。

士官アカデミーでは、常に成績優秀。

正義感が強く、心優しい性格ですが、それ故に貴族社会の欺瞞や矛盾に人一倍敏感でした。

ディリータ・ハイラル:平民の出身でありながら、類稀なる才能を見出され、ラムザの父バルバネスに拾われ、ベオルブ家で使用人兼学友として育てられます。

ラムザとは身分を超えた親友となり、共にアカデミーで学び、騎士を目指します。

しかし、彼の中には常に、貴族に対する劣等感と、平民が虐げられる社会への怒りが燻っていました。

そして、彼にはティータという、心から愛する妹がいました。

二人の運命が決定的に交差し、そして残酷に引き裂かれる事件が起こります。

アカデミー卒業後、騎士見習いとなった彼らが参加した「骸旅団」討伐作戦。

その中で、ティータが骸旅団に誘拐されてしまいます。

ラムザたちの同僚であった貴族出身の騎士アルガスは、ティータの命を顧みず、人質ごと骸旅団を殲滅しようとします。

ラムザは必死に止めようとしますが、アルガスの放った矢はティータの胸を貫き、彼女はディリータの腕の中で息絶えてしまうのです。

「なぜだ…なぜティータが死ななければならなかった!?」絶望と怒りに震えるディリータ。

「貴族だからだ!平民の命など、虫けら同然だからだ!」そう叫び、彼は燃え盛る砦の中に消えていきます。

ラムザは、親友も、そして守るべき命も救えなかった自分の無力さと、貴族社会の非情さに打ちのめされます。

この日を境に、ラムザはベオルブの名を捨て、約束された輝かしい未来を捨て去ります。

「本当の正義とは何か?」その答えを見つけるため、彼は家を出て、一人の名もなき傭兵として、イヴァリースの大地を放浪する道を選ぶのです。

一方、ディリータもまた、別の道を歩み始めていました。

妹を奪った貴族社会への復讐、そして二度と弱者が虐げられない世界を、自らの手で創り上げるという、固い決意を胸に。

彼は、獅子戦争という時代の激流の中で、その類稀なる知略と野心をもって、成り上がっていくことになります。

かつて親友だった二人の若者は、こうして全く異なる道を歩み始めました。

一人は歴史の光の中へ、もう一人は歴史の闇の中へ。

そして、彼らの選択が、イヴァリースの未来を大きく左右していくことになるのです。

呪われし輝石:聖石と悪魔ルカヴィの覚醒

傭兵として各地を転々とする中で、ラムザは奇妙な噂を耳にするようになります。

不思議な輝きを持つ石を手に入れた者が、人知を超えた力を得たり、あるいは正気を失い、恐ろしい怪物に変貌したりするという…。

そして、彼自身もまた、偶然からその輝く石――聖石(ゾディアックストーン)――の一つを手にしてしまいます。

それは、グレバドス教会が神聖視する、聖アジョラの遺物。

しかし、ラムザが体験し、目撃していく現実は、教会の教えとは全く異なるものでした。

聖石は、確かに強大な力を秘めていました。

しかし、それは神聖な力などではなく、所有者の心の奥底に眠る負の感情――憎しみ、欲望、絶望、傲慢――を増幅させ、その魂を蝕み、最終的には肉体をも変貌させてしまう、呪われた力だったのです。

そして、聖石の力によって変貌した者の成れの果て…それこそが、かつて千年神戦争で敗れ、封印されたはずの悪魔的存在ルカヴィでした。

牡羊座の魔人ベリアス、人馬宮の背徳の皇帝キュクレイン、宝瓶座の不浄王ザルエラ…黄道十二宮の名を冠するルカヴィたちは、聖石を依り代として、1200年の時を経て、再びイヴァリースに蘇り始めていたのです。

ラムザは、かつての同僚アルガス(彼は貴族のプライドを傷つけられた怒りからルカヴィ・天蠍宮のアドラメレクへと変貌)や、五十年戦争の英雄でありながら戦場で心に深い傷を負い、絶望からルカヴィ・獅子宮のヴォルマルフ(聖大天使ハシュマリム)となったウィーグラフなど、聖石によって道を誤った者たちと、悲しい戦いを繰り広げることになります。

さらに、ラムザはこの聖石とルカヴィの復活の裏に、グレバドス教会そのものが深く関与していることを突き止めます。

教会は、獅子戦争の混乱を利用して権力を掌握するため、意図的に聖石を各地に流布させ、ルカヴィの復活を促していたのです。

彼らは、古文書に残る「ゾディアックブレイブ伝説」――十二人の勇者が聖石の力を得て世界を救うという物語――を、自分たちに都合よく「再現」しようとしていました。

つまり、ルカヴィの力を得た者たちを「新たなゾディアックブレイブ」として祭り上げ、民衆の支持を集め、最終的には教会による神政政治を実現しようと企んでいたのです。

そして、その計画の頂点にいたのが、他ならぬ教会の最高指導者、法王フューネラル・ファン・マルゴットでした。

彼自身が、強力なルカヴィ(天秤座の聖大天使ハシュマリム)と化しており、他のルカヴィたちを操り、獅子戦争を陰でコントロールしていたのです。

ラムザは、この恐るべき陰謀を知り、教会に反旗を翻します。

しかし、それは同時に、強大な教会組織全体を敵に回すことを意味しました。

教会の異端審問官ザルモゥ・ルナンダは、ラムザこそが聖石を悪用する「異端者」であると断じ、彼に懸賞金をかけ、執拗に追跡します。

ラムザは、教会からも、そして時には獅子戦争の両陣営からも追われる、孤独な逃亡者となります。

しかし、彼の周りには、彼の正義と信念を信じ、共に戦ってくれる仲間たちが集まってきます。

王女オヴェリアに忠誠を誓う女騎士アグリアス・オークス

古代文明の機械技術を受け継ぐ機工士ムスタディオ・ブナンザ

暗殺者集団から逃れてきた天道士ラファ・ガルテナーハとその兄、天冥士マラーク・ガルテナーハ

そして、五十年戦争の英雄でありながら、今は隠遁生活を送る伝説の剣聖、オルランドゥ伯(雷神シド)…。

彼らと共に、ラムザは聖石の呪いを断ち切り、教会の陰謀を阻止するため、そして何よりも、教会に囚われたとされる妹アルマを救い出すため、全ての元凶が集う場所へと向かうことを決意します。

それは、聖アジョラ終焉の地、そしてルカヴィたちの本拠地となりつつある、禁断の都ミュロンドでした。

歴史の奔流の中で:ディリータの野望と英雄への階段

一方その頃、獅子戦争の表舞台では、ディリータ・ハイラルが、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでその名を上げていました。

彼はゴルターナ公(黒獅子)の下で数々の武勲を立て、騎士の爵位を得ます。

しかし、その裏では、ラーグ公(白獅子)とも密かに接触し、両陣営の情報を巧みに操り、互いを疲弊させるように仕向けていました。

彼は、オヴェリア王女を救出した功績でゴルターナ公の信頼を得ながらも、そのオヴェリア自身をも自らの野望のための駒として利用しようとします。

さらには、グレバドス教会とも繋がり、聖石やルカヴィに関する情報を得て、それを自らの戦略に組み込んでいました。

彼の行動は、時に冷酷で非情です。

かつての仲間を切り捨てることも、敵対者を暗殺することも厭いません。

しかし、彼の行動原理は、単なる権力欲だけではなかったように見えます。

彼は本気で、腐敗した貴族社会を打倒し、平民が虐げられることのない、新しい秩序をイヴァリースにもたらそうとしていたのかもしれません。

その理想を実現するためには、まず自らが頂点に立ち、絶対的な力を持つ必要がある…そう信じていたのでしょう。

獅子戦争が最終局面を迎え、白獅子ラーグ公、黒獅子ゴルターナ公が相次いで非業の死を遂げる(その多くにディリータが関与していたとされる)と、イヴァリース王国は指導者を失い、混乱の極みに達します。

この好機を、ディリータは見逃しませんでした。

彼は、両派閥の残存兵力を巧みにまとめ上げ、教会の権威をも利用しながら、戦乱を見事に収拾してみせます。

長きにわたる戦争に疲弊しきっていた民衆は、この若き英雄の登場に熱狂しました。

平民出身でありながら、貴族たちを打ち破り、平和をもたらしたディリータは、まさに救世主のように見えたのです。

そして、民衆と、そして彼が掌握した軍事力と教会の支持を背景に、ディリータ・ハイラルは、ついにイヴァリース王国の玉座に就きます。

ここに、後世まで語り継がれる「英雄王ディリータ」が誕生したのです。

彼は、自らの力と知略で、歴史の激流を乗りこなし、頂点へと駆け上がりました。

しかし、その過程で彼が何を失い、何に苦悩していたのか、歴史の記録は多くを語りません。

ただ、かつての親友ラムザの存在は、彼の心の奥底に、常に棘のように刺さっていたのかもしれません。

最終局面:死都ミュロンド、聖天使降臨、そして異端者の戦い

ラムザと仲間たちは、ついに禁断の地ミュロンドへと到達します。

そこは、聖アジョラ(=アルテマ)が崩壊させた旧首都の廃墟の上に、グレバドス教会が築いた新たな聖都。

しかし、その地下には、崩壊した旧首都の残骸が、異次元と繋がった禍々しい迷宮「死都ミュロンド」として広がっていました。

そこは、ルカヴィたちの巣窟であり、彼らの最終目的である聖天使アルテマ復活の儀式が行われようとしている場所でした。

ラムザたちは、死都の奥深くへと進みます。

そこでは、ルカヴィと化した教会の高位聖職者たち、そしてラムザの兄であり、父バルバネス殺害の黒幕でもあったダイスダーグ・ベオルブ(彼もまたルカヴィ・魔羯座のザルエラと契約していた)などが待ち受けていました。

ラムザは、肉親との、そして過去との決別を意味する、辛い戦いを乗り越えていきます。

そして、ついに死都の最深部、アルテマ復活の儀式の間へとたどり着きます。

そこには、依り代とされるべく囚われた妹アルマの姿がありました。

そして、彼女の肉体を利用し、不完全ながらも現世への降臨を果たそうとしている、最後のルカヴィ、聖天使アルテマの姿が!

アルテマは、千年神戦争の敗北の記憶と、世界への憎悪に満ちた、破壊の化身でした。

その力は他のルカヴィとは比較にならず、まさに神の領域。

不完全な状態ですら、空間を歪め、時を操るほどの力を見せつけます。

絶望的な状況。

しかし、ラムザは立ち向かいます。

異端者と呼ばれ、全てを失いながらも、彼が守り抜いてきたもの――仲間たちとの絆、揺るがぬ信念、そして妹を救いたいという強い想い。

それら全てを力に変えて、彼は最後の戦いに挑みます。

「おまえに未来を語る資格はない!」ラムザの叫びが、異次元に響き渡ります。

アルマの魂の呼びかけも、ラムザに力を与えます。

兄妹の絆、そして仲間たちの最後の援護を受け、ラムザの一撃はついにアルテマを捉えます。

激しい光と衝撃と共に、聖天使アルテマは完全に消滅。

1200年にわたる聖石とルカヴィの呪いは、ここに終わりを告げたのです。

しかし、アルテマの消滅は、死都ミュロンドそのものの崩壊をも意味していました。

足元から崩れ落ちていく遺跡。

ラムザはアルマを抱きかかえ、脱出を試みますが、激しい爆発と閃光に飲み込まれ、彼らの姿は闇の中へと消えていきました……。

エピローグ:歴史の記録、英雄の苦悩、そして風の噂

ラムザたちが歴史の闇で死闘を繰り広げていた頃、地上では英雄王ディリータによる新しい時代が始まろうとしていました。

獅子戦争は終結し、人々は平和の訪れを喜び、ディリータを称えました。

しかし、グレバドス教会は、自らの醜聞――聖石とルカヴィ、そして法王自身が悪魔であったという事実――を徹底的に隠蔽します。

ラムザ・ベオルブは、最後まで「教会に逆らった危険な異端者」として扱われ、その功績も、存在そのものも、公式の歴史記録からは完全に抹消されました。

彼と共に戦った仲間たちの多くも、同様に歴史の闇に葬られた。

記録に残らない、あるいは意図的に消された「真実」は、こうして生まれるのです。

英雄王となったディリータは、巧みな政治手腕で王国を統治し、イヴァリースに安定をもたらした。

彼の功績は疑いようもなく、後世の歴史書には偉大な王として記録されることになる。

しかし、『FFT』の物語が最後に描くのは、その英雄王の、痛々しいまでの孤独と苦悩でした。

戴冠式の日。

王妃となったオヴェリア(彼女はディリータの冷酷さと野心を知り、彼を愛してはいなかった)は、隠し持った短剣でディリータを刺そうとします。

しかし、ディリータはそれを察知し、逆に彼女を刺してしまいます(オヴェリアの生死は明確には描かれていません)。

血に濡れた手で、彼は玉座の間に一人佇み、呟きます。

「ラムザ おまえは何を手に入れた? オレは…」

彼は望んだものを全て手に入れたはずでした。

権力、名声、そして理想の王国。

しかし、そのために失ったものはあまりにも多く、そして大きすぎた。

友情、愛、そして彼自身の心の平穏…。

英雄王ディリータの物語は、権力の頂点に潜む虚しさと、理想を実現することの難しさを、痛切に描き出しています。

では、ラムザとアルマは本当に死んでしまったのでしょうか?
物語の結末は、彼らの明確な死を描いてはいません。

エンディングでディリータが見た(とされる)チョコボに乗って走り去る二人の姿(幻影か現実か?)。

PSP版で追加された、彼らが穏やかな表情で旅立つムービー。

これらを踏まえるならば、彼らは死都ミュロンドの崩壊から奇跡的に生還し、歴史の表舞台から姿を消して、どこか遠い場所で、二人だけの静かな暮らしを始めた…そう考えるのが、最も希望のある解釈でしょう。

彼らの戦いは、誰にも知られることなく終わりましたが、彼らが守った平和の中で、彼ら自身もまた、ささやかな幸福を見つけたのだと信じたいものです。

そして、ラムザの「語られなかった真実」を、後世へと繋ぐ者が現れます。

獅子戦争の時代、ラムザと共に戦い、その真実を目撃した歴史家オーラン・デュライ

彼は、ラムザの真実の姿、教会の陰謀、聖石の秘密を「デュライ白書」として記録に残そうとしましたが、教会によって異端者とされ、処刑されてしまいます。

しかし、彼の意志は死にませんでした。

獅子戦争終結から400年後、オーランの子孫である歴史家アラーズラム・J・Dが、偶然にも禁書とされていたデュライ白書を発見します。

彼は、歴史の闇に葬られていたラムザ・ベオルブの物語を再発見し、「ブレイブストーリー」としてまとめ上げ、世に問いかけます。

『FFT』の物語そのものが、このアラーズラムによる「再発見」のプロセスとして描かれているのです。

こうして、異端者ラムザの名誉は、長い時を経て、ようやく(少なくとも物語を読む私たちプレイヤーの中で)回復されることになります。

歴史とは、単一の記録ではなく、様々な視点、隠された真実、そしてそれを掘り起こそうとする人々の意志によって、常に再解釈され、紡がれ続けるものなのかもしれません。

『FFT』が私たちに遺したものは、単なるゲームの感動だけではありません。

歴史とは何か、正義とは何か、そして真実の価値とは何か、という、深く、そして普遍的な問いかけなのです。

FFTAとFFTA2、もうひとつのイヴァリース現実と幻想の交差点

さて、これまで語ってきたイヴァリースの重厚な正史とは、ちょっと趣の異なる物語にも触れておきましょう。

『ファイナルファンタジータクティクス アドバンス(FFTA)』と、その続編『ファイナルファンタジータクティクス A2 封穴のグリモア(FFTA2)』です。

これらの作品は、現代(あるいは現代に近い時代)の日本の町「St.イヴァリース」に住む少年たちが、不思議な魔導書「グリモア」を介して、ファンタジー世界のイヴァリースへと足を踏み入れる…という、いわゆる「異世界転移」モノの要素を持っています。

FFTA:心が創り出した、雪のない町

『FFTA』の主人公は、マーシュ・ラディウユ

引っ越し先の町に馴染めずにいる少年だ。

彼は、病弱で現実世界に希望を見いだせない友人ミュート・ランデル、自分の赤毛(実は染めている)にコンプレックスを持つ少女リッツ・マロウ、そして出来の良い兄マーシュに劣等感を抱く弟ドネッドたちと、雪の降る夜、一冊の古い本「グラン=グリモア」を見つけます。

本を開いた瞬間、世界は一変します。

雪は消え、彼らの住む町St.イヴァリースは、彼らが夢見ていた、あるいはゲームで遊んでいたような、剣と魔法のファンタジー世界――『ファイナルファンタジー』の世界そのもの――へと姿を変えてしまったのです。

そこでは、ヒュムだけでなく、モーグリ族、ヴィエラ族、バンガ族、ン・モゥ族といった多様な種族が暮らし、「ロウ」と呼ばれる絶対的なルールが世界を律していました。

この変貌した世界で、マーシュの仲間たちは、現実では得られなかった「理想の自分」になっていました。

ミュートは健康な体の王子となり、亡くなったはずの母親(女王として君臨)に溺愛されています。

リッツはヴィエラ族となり、コンプレックスだった髪の色も変わり、強い戦士として自信に満ち溢れています。

ドネッドも自由気ままに暮らしていました。

しかし、マーシュだけは、この都合の良い「夢の世界」に違和感を覚えていた。

彼は、元の現実世界に戻ることを決意し、この世界の法則を維持している「クリスタル」を探し出し、破壊する旅に出ます。

当然、夢の世界での幸福を守りたいミュートやリッツとは対立することになります。

マーシュは旅の中で、モンブランをはじめとする個性的な仲間たちと出会い、クラン(冒険者ギルドのような組織)を結成し、様々な依頼をこなしながら成長していきます。

そして、彼はこの世界が、現実の辛さから逃れたいと強く願ったミュートの心が、グラン=グリモアの力によって具現化したものであることを突き止めます。

世界の法則「ロウ」も、現実世界でミュートを縛っていた様々な制約や、彼が求めた秩序の象徴でした。

最終的に、マーシュはミュート(と、彼を守る存在となったリッツ)と対峙します。

彼は、夢の世界に閉じこもることの虚しさを説き、現実と向き合うことの大切さを訴えます。

激しい戦いの末、マーシュの想いはミュートに届き、彼は自らの弱さを受け入れる。

そして、グラン=グリモアの力は解かれ、St.イヴァリースは元の姿を取り戻し、マーシュたちは現実世界へと帰還したのでした。

それぞれの心に、夢の世界での経験という確かな成長を刻んで。

『FFTA』で描かれたイヴァリースは、あくまでマーシュたちの心が生み出したパラレルな空想世界であり、FFXIIやFFTの正史とは直接的な繋がりはありません。

しかし、その世界観(特に種族やジョブ)はFFXIIをベースにしており、後の『FFTA2』へと繋がる要素も含まれている。

何より、現実の痛みと向き合い、成長していく少年少女の物語として、多くのプレイヤーの共感を呼んだ作品である。

FFTA2:本物のイヴァリースへ! ヴァンとパンネロ、元気です!

『FFTA』から十数年後の現実世界(前作キャラとの直接的な関係は薄い)。

主人公は、夏休みだというのに、補習のために学校の図書館にいる、ちょっと不運な少年ルッソ・クレメンズ

彼は埃っぽい書棚の間で、一冊の古びた魔導書(グリモア)を見つける。

表紙には何も書かれていないその本に、彼は何気なく自分の名前を書き込んだ。

その瞬間、本は眩い光を放ち、彼は意識を失います。

次にルッソが目を覚ました場所は…見渡す限りの草原だった。

状況が飲み込めない彼の前に現れたのは、奇妙な獣人の二人組と、それに追われる一人の少女。

その少女の姿を見て、ルッソ(そして多くのプレイヤー)は驚愕する。

彼女は紛れもなく、『FFXII』でヴァンと共に旅をしたパンネロだったのだ。

ルッソが迷い込んだのは、夢の世界ではなく、『FFXII』と同じ、正史のイヴァリース世界だったのである。

どうやらルッソは、グリモアの力によって、『FFXII』と同じ正史のイヴァリース世界へと飛ばされてしまったようです。

成り行きでパンネロを助けたルッソは、彼女を追っていたモーグリ族のクランマスター、シド(FFXIIのドクター・シドとは別人。

念のため)に気に入られ、彼のクラン「ガリアニーズ」に身を寄せることになります。

元の世界へ帰る方法も分からないまま、ルッソはクランの一員として、ギルドで様々なクエストをこなしながら、イヴァリースでの生活を始めることになりました。

ルッソの冒険は、イヴァリース各地で頻発するようになった謎の次元の裂け目「ジャッジの穴」を巡る事件へと繋がっていきます。

この穴からは危険なモンスターが現れ、さらにはその力を悪用しようとする謎の組織カムジャが暗躍していました。

ルッソは、クランの仲間たち――皮肉屋だけど頼りになるシド、しっかり者のヴィエラ族アデル、そして旅の途中で出会う様々な種族の仲間たち――と共に、カムジャの陰謀に立ち向かいます。

そして、この『FFTA2』最大の目玉と言えるのが、ヴァンとパンネロの再登場です!
彼らは『FFXII RW』での冒険を経て、さらに数年が経過し、今やイヴァリース中にその名を知られる「大いなる空賊カップル」として活躍していました。

ヴァンはすっかり頼もしい青年へと成長し、パンネロとの仲も順調そのもの。

彼らがクエストの依頼者として登場したり、時にはルッソたちと共闘したりする場面は、『FFXII』ファンにとっては最高のプレゼントと言えるでしょう。

さらに、ルッソの前に現れる敏腕のエージェント…そのモーグリ、どこかで見たような?
そう、『FFTA』でマーシュの最初の仲間となったモンブラン(あるいは、彼によく似た別のモーグリ?)も登場し、前作との繋がりを匂わせます。

物語のクライマックスでは、ルッソたちはジャッジの穴の力を取り込み、強大な魔人となったカムジャの首領ネオ・カムジャを打ち破ります。

そして、役目を終えたグリモアは再び光を放ち、ルッソを元の現実世界へと送り返しました。

イヴァリースでの冒険は、ルッソにとって忘れられない夏の思い出となり、彼を大きく成長させたのでした。

『FFTA2』は、正史のイヴァリース世界を舞台とし、『FFXII』の数年後という時間軸で、ヴァンやパンネロのその後の活躍を描いた点で、イヴァリース年代記において重要な位置を占める。

また、隠し要素として『FFT』の主人公ラムザ・ベオルブが時空を超えてゲスト参戦するという、シリーズファン垂涎のサプライズも用意されている(これはあくまでパラレルな「お遊び」要素とされている)。

『FFTA』シリーズは、本編のシリアスさとは一味違う、明るく楽しい冒険譚として、イヴァリース世界の多様性を示してくれました。

そして、『A2』は、確かに正史の一部として、未来へと続く物語の可能性を感じさせてくれるのです。

イヴァリースの深淵、超次元的考察終わらない問い

さて、イヴァリースを巡る旅も、いよいよ佳境です。

神話の時代から始まり、数々の英雄と悲劇、そして異なる世界線の物語まで見てきました。

しかし、皆さん、お気づきでしょうか?
イヴァリースという世界は、知れば知るほど、新たな謎が生まれてくる、まるで底なし沼のような魅力(?)を持っていることに。

ここでは、これまでの物語を踏まえつつ、もう少し踏み込んで、もしかしたら開発者すら意図していなかったかもしれない(あるいは、ニヤリとしているかもしれない)、「超次元的」な視点も交えながら、イヴァリースの深淵に残された謎について、私なりに考察を深めてみたいと思います。

あくまで一個人の妄想、コーヒーブレイクの与太話程度に聞いてくださいね。

オキューリア:神か、管理者か、それとも…?

まず、全ての元凶(と言ったら失礼かしら?)であるオキューリア

彼らは一体何者だったのか?
単に人間より長生きで力の強い種族、というだけでは説明がつかない部分が多すぎます。

彼らは歴史に介入し、人間を選び、破魔石を与え、「筋書き」通りに動かそうとしていました。

まるで、壮大なシミュレーションゲームの管理者(アドミニストレーター)のようではありませんか?
イヴァリースという世界そのものが、彼らによって作られ、観察され、そして時に「調整」される対象だったとしたら?

千年神戦争は、システムに対する「バグ」(=反逆した召喚獣/ルカヴィ)の駆除プロセスだったのかもしれません。

覇王レイスウォールは、優秀な「プレイヤー」あるいは「NPC」として選ばれ、世界の安定化という「クエスト」を与えられた。

ヴェインやアーシェの行動は、管理者の意図を超えた「イレギュラー」であり、システムに対するハッキングのようなものだった…?

そして、「伝説の大崩壊」。

これは、イレギュラーによって歪んだ歴史のパラメータを修正するための、強制的な世界リセット、あるいはOSのバージョンアップのようなものだった、と考えられなくもない。

高度文明や多様な種族が消えたのも、システムの最適化、あるいは「不要になった機能の削除」だったとしたら…?
ちょっとSFチックすぎますかね? でも、彼らの人知を超えた力と、歴史への執着ぶりを見ていると、そんな妄想もしたくなるんですよ。

彼らが『FFXII』の後、本当に沈黙したのか、それとも今もどこかでイヴァリースを「観測」し続けているのか…それは誰にも分かりません。

魔石/聖石:単なるパワーストーンにあらず?

イヴァリース物語の鍵を握るアイテム、破魔石(FFXII)と聖石(FFT)。

これらも、ただ単に「すごい力を持った石」と考えるだけでは、面白くないかもしれません。

特に『FFT』の聖石が、持ち主をルカヴィに変貌させる力を持つ点。

これは、石自体に、千年神戦争で敗れた召喚獣たちの情報(記憶、怨念、あるいは存在データそのもの?)が記録されていて、所有者の精神と共鳴することで、その情報がダウンロード(あるいはインストール?)され、結果として肉体や精神が書き換えられてしまう…という情報汚染や精神乗っ取りのような現象だった、と考えられないでしょうか?
ルカヴィ化が、強い負の感情を引き金にするのも、精神的なガードが下がった状態の方が「情報」を受け入れやすいから、とか。

さらに、『FFXII』の破魔石には「ミスト(魔力の霧)」を吸収・放出する性質がありました。

もし、ミストがイヴァリース世界における情報の流れ、あるいはエネルギーそのものだとしたら、破魔石/聖石は、ミスト(情報エネルギー)を増幅・変換・記録するためのデバイスだったのかもしれません。

オキューリアはこれを使って世界の情報を収集・操作し、ルカヴィはこれを利用して現世に復活(データの復元?)しようとした…。

こう考えると、ドクター・シドが「人造破魔石」を作れたのも、その「情報の記録と増幅」という基本原理を解析できたからかもしれません。

そして、聖天使アルテマがアジョラの肉体を必要としたのも、彼女(?)の膨大な存在データを展開・維持するための、適合する「ハードウェア(生体CPU?)」が必要だったから、とか…。

うーん、我ながら妄想が過ぎますか。

でも、ただの魔法の石、で終わらせるには、あまりにも意味深な存在ですよね、彼らは。

時間軸の謎:歴史は一本道なのか?

イヴァリースアライアンス作品は、一応、公式に「時系列」が示されています。

神話時代 → FFXII → FFXII RW → FFTA2 → 聖アジョラ → 大崩壊 → FFT → … という流れですね。

でも、本当に歴史は綺麗に一本道なのでしょうか?

例えば、『FFTA』は明確に「パラレルな空想世界」とされていますが、その世界を生み出した「グラン=グリモア」とは何なのか?
『FFTA2』でルッソを正史のイヴァリースに飛ばしたグリモアとの関係は?
これらの本は、異なる時間軸や可能性世界(パラレルワールド)にアクセスするための「鍵」のようなものではないでしょうか?

また、『FFT』のエンディングで、ディリータが見たラムザとアルマの姿。

あれは幻だったのか、それとも本当に生きていたのか?
もし生きていたとして、彼らは「歴史から消えた」後、どの時間、どの世界へ行ったのか?
彼らが異なる時間軸や世界へ移動した可能性も、ゼロではないかもしれません(特に、死都ミュロンドが異次元と繋がっていたことを考えると)。

さらに言えば、オキューリアのような超常的な存在は、時間そのものに干渉する力を持っていた可能性はないでしょうか?
彼らが歴史を「修正」しようとした結果、微妙に異なる歴史の枝(パラレルワールド)が生まれたり、あるいは過去と未来が複雑に影響し合ったり…なんてことも。

もしかしたら、私たちが知っているイヴァリースの「歴史」は、無数に存在する可能性の一つを、誰か(オキューリア? アラーズラム? それとも…?)が観測し、記録した結果に過ぎないのかもしれません。

そう考えると、作品間のちょっとした設定の矛盾なんかも、「観測者による解釈の違い」とか「歴史のゆらぎ」として説明できちゃう…かもしれませんね。

(ちょっと都合が良すぎますか?)

ラムザとディリータ:物語が選んだ二つの「解」

最後に、イヴァリース物語、特に『FFT』の核心に触れる、ラムザとディリータという二人の主人公について、メタ的な視点から考えてみましょう。

彼らは、同じ時代に生き、同じ悲劇を経験し、しかし全く異なる道を選びました。

ラムザは、個人の正義と信念を貫き、名誉も地位も捨て、歴史の裏側で世界を救った。

しかし、その功績は記録されず、「異端者」として歴史から抹消された。

ディリータは、現実的な力と謀略を用い、多くの犠牲を払いながらも、戦乱を終結させ、新たな秩序を築き、「英雄王」として歴史に名を刻んだ。

しかし、その心に平穏は訪れなかった。

これは、単なる二人の生き様の違い、というだけではないのかもしれません。

もしかしたら、彼らは、イヴァリースという物語が提示する、二つの異なる「歴史へのアプローチ」「世界の変え方」の象徴なのではないでしょうか?

ラムザが体現するのは、「理想と真実」。

たとえ誰にも認められなくても、記録に残らなくても、正しいと信じる道を貫くことの尊さ。

しかし、その道は孤独で、現実を変える力には直接繋がらないかもしれない。

ディリータが体現するのは、「現実と結果」。

理想だけでは世界は変えられない。

時には手を汚し、嘘や裏切りをも利用して、目に見える「結果」を出すことの必要性。

しかし、その過程で多くのものを失い、真実から目を背けることになるかもしれない。

『FFT』という物語は、プレイヤーにこの二つの生き様を見せつけ、「あなたならどちらを選ぶか?」「歴史において、本当に価値があるのはどちらか?」と、問いかけているのではないでしょうか。

そして、その問いには、簡単な答えはありません。

だからこそ、『FFT』は今もなお、多くの人の心を捉え、議論を呼び続けるのかもしれませんね。

ラムザとディリータ。

彼らは、イヴァリースという名の鏡に映し出された、私たち自身の心の葛藤そのものなのかもしれません。

イヴァリースは私たちに何を問いかけるか終章の、その先に

神話の囁きから始まり、覇王の剣、帝国の砲火、預言者の奇跡、そして獅子たちの慟哭へ…。

数千年にもわたるイヴァリースの歴史を巡る、この長い長い旅も、そろそろ終着点のようです。

お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

ちょっと疲れました? 大丈夫ですか? 温かいお茶でも淹れましょうか。

私たちは、この壮大にして複雑怪奇な物語の中に、何を見てきたのでしょう。

『ファイナルファンタジーXII』では、神々(オキューリア)という絶対的な運命、あるいは抗いがたい大きな力に対して、人間がいかにして「自由」を勝ち取り、自らの意志で未来を選び取っていくか、その力強いドラマを見ました。

空を目指した少年ヴァン、祖国を取り戻そうとした王女アーシェ、騎士バッシュ…彼らは決して完璧な英雄ではなかったけれど、悩み、迷い、それでも前を向いて歩み続けた。

その姿は、きっと私たちの心にも響くものがあったはずです。

そして、時を経て『ファイナルファンタジータクティクス』。

ここで描かれたのは、もっとビターで、もっとやるせない現実でした。

歴史とは、必ずしも「真実」を語るものではない。

むしろ、権力者によって巧みに編纂され、都合の悪い事実は消し去られてしまう。

正義を貫いたラムザは歴史の闇に葬られ、手を汚して結果を出したディリータが英雄となる。

この皮肉な結末は、私たちに「正義とは何か」「歴史の価値とは何か」という、重い問いを突きつけます。

ああ、考え出すと、また眠れなくなりそう…(だから寝ますけど)。

破魔石、聖石、オキューリア、ルカヴィ、ゾディアックブレイブ…これらのキーワードは、単なるゲームの設定を超えて、私たちの現実世界にも通じる、普遍的なテーマ――力の誘惑、信仰の危うさ、権力の腐敗、運命への抗い、そして歴史の多面性――を象徴しているように思えます。

だからこそ、イヴァリースの物語は、ただの「昔のゲーム」で終わらず、今もなお、私たちの心を捉えて離さないのでしょうね。

もちろん、この世界には、まだ解き明かされていない謎がたくさんあります。

オキューリアは本当に消えたのか?
「大崩壊」や「大洪水」の真実は?
幻の続編『Fortress』で語られるはずだった物語とは?
ラムザとアルマは、その後、どんな人生を送ったのか?
…これらの「空白」があるからこそ、私たちは想像力を掻き立てられ、イヴァリースという世界について語り合うことをやめられないのかもしれません。

それは、ある意味、とても幸せなことですよね。

2025年現在、幸いなことに、『FFXII』の素晴らしいリマスター版『ゾディアックエイジ』や、『FFT』の移植版などが、現行機で手軽にプレイできるようになっています。

この記事を読んで、少しでもイヴァリースに興味を持たれたなら、ぜひ、ご自身の目で、耳で、そして心で、この壮大な物語を体験してみてください。

きっと、忘れられない旅になるはずですから。

イヴァリースが私たちに問いかけるもの。

それは結局、「あなたはどう生きるのか?」という、シンプルだけど、とても深遠な問いなのかもしれません。

歴史の光の中に立つのか、影に生きるのか。

理想を追うのか、現実を見るのか。

運命に従うのか、抗うのか。

その答えは、きっと一つではありません。

そして、その答えを探し続けること自体が、私たちが「生きる」ということなのかもしれませんね。

さて、長々とお付き合い、ありがとうございました。

そろそろ私も、現実世界(通勤と家事と副業と…)に戻らなくちゃ。

でも、心の中には、いつでもあのイヴァリースの風が吹いています。

あなたにとっても、そうであることを願って。

それでは、またどこかの物語でお会いしましょう!

-その他