いやー、わかります、わかりますよ!
「メダル・オブ・オナー」って、一度ハマると抜け出せない、あの独特の魅力がありますよね。
え、まだ語り足りない? しょうがないなあ、もう一杯だけ、じゃないですけど、とことん付き合いましょう!
私ですか? ええ、まあ、しがない会社員やりながら、夜な夜なキーボード叩いてる、ただのゲーム好きですよ。
息子? あー、最近はもっぱら平和なブロック積み上げてますけどね(笑)。
って、私の身の上話はどうでもいいんです!
さあ、コーヒーでも淹れて、覚悟決めてください。
これから、ただのストーリー解説じゃ終わりません。
「メダル・オブ・オナー」という巨大な物語の、その奥の奥、なんなら地殻マントル突き抜けるくらい、深く、濃く、そしてちょっぴり斜め上から(?)語り尽くしますから!
完全ネタバレは当然として、あなたの知らないMoHが、ここにある…かもしれませんよ?
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この旅の羅針盤英雄たちの足跡を、時を超えて追いかける
さて、まずはこの壮大な物語旅行のルートを確認しましょうか。
『メダル・オブ・オナー』が描いてきた戦いの歴史は、大きく二つの時代に分けられます。
これ、基本ですよね。
一つは、シリーズの魂のふるさと、第二次世界大戦期(1940年~1945年)。
ヨーロッパを覆った鉄十字の影、太平洋に燃え盛った旭日の炎。
その中で、自由のために、あるいは愛する誰かのために、銃を取った若者たちの、熱くて、切なくて、時に泥臭い物語。
ここが原点にして、今なお多くのファンを惹きつける磁場です。
そしてもう一つが、私たちの記憶にも新しい現代戦期(2001年~2012年)。
あの忘れられない日から始まった「テ◯との戦い」を舞台に、存在そのものが国家機密とされる超エリート特殊部隊「Tier 1オペレーター」たちの、リアルで、シビアで、そして時にやりきれない戦いを描いた時代。
賛否両論ありましたけど、これもまたMoHの重要な一面。
この道案内では、まず第二次世界大戦の激流に飛び込みます。
1940年から終戦の1945年まで、歴史の節目ごとに、関連するゲーム作品のエピソードを一本の糸に紡ぎ合わせ、英雄たちの運命がどう交差し、時代を形作っていったのかを追体験します。
単なる年表じゃつまらないですからね、人物相関図とか、当時のゲーム業界の裏事情(妄想含む)なんかも絡めつつ。
その後、視点は21世紀へワープ。
現代戦の闇の中へと足を踏み入れます。
各時代の主役たちにスポットライトを当て、彼らの目を通して、変わりゆく戦争の姿と、その中で変わらない人間のドラマを、じっくりと味わっていきましょう。
さあ、シートベルトは締めましたか? 時間旅行、出発進行です!
【1940年~1941年】 嵐の前、静かな覚醒:英雄たちのプロローグ
世界が再び狂気の炎に包まれ始めた頃。
まだ誰もが、これから始まる地獄の全貌を知る由もなかった時代。
しかし、運命の歯車は、確かに、そして静かに回り始めていた。
英雄は、最初から英雄だったわけじゃない。
その黎明期の物語から、紐解いていきましょう。
1940年 パリは燃えているか?:絶望の底から立ち上がった自由の女神、マノン
1939年9月、第二次世界大戦勃発。
まあ、この辺は歴史の教科書通りですね。
問題は翌1940年春。
ナチス・ドイツ軍、まさかのアルデンヌの森突破からの電撃戦! フランスが誇ったマジノ線、まさかのスルーですよ。
あっという間にパリ陥落、エッフェル塔にハーケンクロイツ…って、映画やドラマでよく見るシーンですけど、当時のフランス国民の絶望たるや、想像を絶しますよね。
国が、自由が、目の前で蹂躙されるんですから。
でも、フランス人はただじゃ転ばない。
そんな絶望のどん底で、静かに、しかし猛烈な怒りを燃やす者たちがいた。
その一人が、『Medal of Honor: Underground』(2000年発売、残念ながら日本では未発売…もったいない!)の主人公、マノン・バティース(Manon Batiste)。
もう、彼女の存在そのものが、MoHシリーズの「ただのドンパチゲーじゃない」宣言みたいなもんですよ。
パリ陥落間際、彼女は愛する兄ピエールと共に、ささやかな抵抗を試みます。
でも、衆寡敵せず、兄を失い(とされる※公式では明言されてないけど、状況的に…ねぇ)、国は降伏。
普通なら心が折れますよ。
でもマノンは違う。
悲しみを怒りに変え、銃を取るんです。
地下に潜り、レジスタンス(抵抗運動)に身を投じる。
これ、口で言うのは簡単ですけど、占領下で、いつ密告されるか、いつゲシュタポに踏み込まれるかわからない恐怖の中での戦いですからね。
ゲームでは、彼女がレジスタンスとして破壊工作したり、情報集めたり、仲間を助けたりする姿が描かれます。
これがまた、スタイリッシュなんですよ。
ただの兵士じゃなくて、諜報員的な動きもする。
その才能が、海を越えたアメリカのOSS(戦略諜報局、CIAの前身ですね)の目に留まる。
で、OSSの協力者として、フランス国内だけじゃなく、北アフリカとか、地中海のクレタ島とか、ヨーロッパ各地の秘密作戦にまで駆り出されることになる。
まさに、神出鬼没の女スパイ。
マノンの物語って、単なる復讐譚じゃないんですよね。
失われた自由、踏みにじられた誇りを取り戻すための、個人の尊厳をかけた戦い。
そしてそれは、ナチズムという巨大な悪に立ち向かった、無数の名もなき人々の想いを代表している。
だからこそ、彼女はMoHシリーズの黎明期を飾る、忘れられないヒロインなんです。
シリーズ初の(そして長らく唯一の)プレイアブル女性主人公っていう点も、当時としては画期的でしたよね。
1941年 12月8日、悪夢の始まり:パールハーバー、二人の海兵が見た地獄
ヨーロッパが戦火に包まれる中、太平洋はまだ比較的穏やか…だった、あの日までは。
1941年12月7日(日本時間8日)。
ハワイ・真珠湾。
日曜日の朝の静寂を切り裂いた、日本の航空機による奇襲攻撃。
「トラ・トラ・トラ!」。
この電信が、アメリカを第二次世界大戦へと引きずり込み、太平洋全域を戦火へと巻き込む号砲となりました。
そしてこの日、二人の若いアメリカ海兵隊員の運命も、劇的に変わることになります。
まず一人目は、『メダル・オブ・オナー ライジングサン』(2003年、PS2などで発売)の主人公、ジョセフ “ジョー”・グリフィン(Joseph “Joe” Griffin)伍長。
彼、あの日、真珠湾にいたんですよ。
戦艦カリフォルニアの甲板に。
のんびりしてたところに、いきなり空から爆弾と魚雷の雨あられ。
ゲーム冒頭の、あの混乱と破壊の描写は、PS2ながら凄まじい迫力でしたよね。
燃え盛る艦船、海に落ちる兵士、鳴り響く警報と爆発音。
ジョーは仲間と一緒に、対空機銃にしがみついて必死に応戦する。
プレイヤーはジョーとして、文字通り地獄のまっただ中に放り込まれる。
この体験が、彼の長い戦いの始まりとなるわけです。
そしてもう一人が、『Medal of Honor: Pacific Assault』(2004年、PCで発売)の主人公、トーマス “トミー”・コンリン(Thomas “Tommy” Conlin)二等兵。
彼に至っては、まだ新兵ですよ、新兵!
真珠湾のフォード島航空基地で、基礎訓練を受けてる最中に奇襲に遭遇するんです。
右も左もわからないうちに、周りは火の海、敵機がブンブン飛び回ってる。
教官や古参兵に怒鳴られながら、必死で武器を探し、遮蔽物に身を隠し、なんとか生き延びる。
ゲームでは、この新兵の視点から、パールハーバーの混乱と恐怖が、よりパーソナルに描かれています。
仲間が目の前で死んでいく、助けたくても助けられない。
戦争の理不尽さと、極限状態での仲間との絆の重要性を、彼はこの日、嫌というほど叩き込まれるんです。
ヨーロッパの地下でマノンが孤独な戦いを続けていた頃、太平洋の楽園で、ジョーとトミーは、否応なく巨大な戦争の渦に巻き込まれていった。
彼らがこれから歩む道は、血と汗と涙にまみれた、想像を絶する試練の連続となる。
誰もがまだ、この戦争がどれほどの犠牲を強い、どれほどの歳月を奪うことになるのか、本当の意味では理解していなかったでしょう。
ただ、世界はもう、後戻りできない破滅への一本道を進み始めていた。
それが、1941年末の、重苦しい現実だったんです。
【1942年】 反撃の槌音と試される魂北アフリカの砂塵、太平洋の密林
開戦からしばらく、枢軸国優位で進んだ戦況が、少しずつ変わり始めた1942年。
連合国は守勢から転じ、各地で反撃作戦を開始します。
戦線は北アフリカの広大な砂漠地帯から、太平洋の湿気が肌にまとわりつくジャングルまで、地球規模に拡大。
この年、いよいよシリーズの看板となる英雄たちが本格的に登場し、彼らの勇気、知性、そして人間としての器が、過酷な戦場で試されることになります。
運命の糸が複雑に絡み合い、物語は加速度的に動き出すのです。
北アフリカ戦線:トーチ作戦の裏側、OSSの暗躍と英雄たちのニアミス
1942年11月。
連合軍は一大決心をします。
ドイツ・イタリア軍が勢力を伸ばす北アフリカ(モロッコ、アルジェリア)に、ドカンと大規模な上陸作戦を仕掛けよう、と。
これが「トーチ作戦」。
成功すれば、地中海の制海権を握り、ヨーロッパ本土への反攻、いわゆる「第二戦線」構築への大きな足掛かりになる。
まさに、戦争のターニングポイントとなりうる重要な作戦でした。
で、こういう大きな作戦の裏には、必ずいるんですよ、影の仕事人たちが。
そう、アメリカの戦略諜報局、OSSです。
彼らが事前に潜入して、情報収集したり、邪魔なものを排除したり、現地の協力者と連携したり…
そういう地道な、でも命がけの活動があってこそ、表舞台の上陸作戦が成功するわけです。
そして、このトーチ作戦の直前に、あの男が歴史の表舞台に(ある意味、不本意ながら?)登場します。
MoHシリーズの初代主人公にして、永遠のアイコン、ジェームズ “ジミー”・パターソン中尉(James “Jimmy” Patterson)!
彼、元々は陸軍航空隊で輸送機C-47(ダコタって言った方がピンとくる?)のパイロットだったんですよね。
それが、ひょんなことから(いや、彼の持つ非凡な資質を見込まれて、でしょうけど)、超極秘任務に抜擢される。
内容は、「北アフリカの敵地でヤバい任務終えたOSSエージェントが孤立してるから、敵の追撃振り切って救出してこい!」。
…って、パイロットに無茶ぶりすぎません?(笑)
でも、パターソン君、やっちゃうんですよ、これを。
持ち前の操縦テクと度胸で。
で、ここからが運命の面白いところ。
彼が砂漠で救出した、そのボロボロのOSSエージェントこそ…
なんと、フランスから派遣されて、ドイツ軍の燃料基地とかに破壊工作仕掛けてた、あのマノン・バティースだった!
これ、ゲーム本編(初代やFrontline)では直接描かれてないんですけど、後付け…いや、後年の公式設定で明らかになった、シリーズファンにはたまらないエピソードですよね。
この時、パターソンは彼女が誰かなんて知らないし、自分がどれだけ重要なことに関わったかも分かってなかったでしょう。
でも、この出来事が、彼の人生を大きく変える。
OSSは、「こいつ、ただのパイロットじゃねえぞ…使える!」って目をつけた。
そして、パターソンはパイロットから、地上での特殊任務をこなすエージェントへの道を歩み始めることになるんです。
二人の運命の糸が、ここで初めて、細く、しかし確かに結ばれた瞬間。
たまりませんね!
一方、その頃、PCゲーマー界に衝撃を与えた『メダル・オブ・オナー アライドアサルト』(2002年)の主人公も、このトーチ作戦で大活躍していました。
米陸軍の精鋭中の精鋭、レンジャー部隊に所属するマイク・パウエル中尉(Mike Powell)。
彼もまた、OSSの要請を受けて、上陸部隊の露払い役を務めます。
アルジェリアの港湾都市オランにある、ドイツ軍のガチガチに固められた要塞に、なんと単身で潜入!
ステルスキルと射撃スキルを駆使して、警備兵を次々と無力化し、連合軍の上陸にとって最大の脅威だった沿岸砲台を、見事に爆破、沈黙させるんです。
まさに、レンジャーここにあり! って感じの、冷静沈着、完璧な仕事ぶり。
パウエルのこの活躍がなければ、トーチ作戦の損害はもっと大きかったはず。
彼もまた、歴史の影の功労者だったわけです。
さらに、忘れてはいけないのが、後の作品『ヨーロッパ強襲』(2005年)で、その超人ぶりが描かれることになる、OSS長官直属のスペシャルエージェント、ウィリアム・ホルト中尉(William Holt)。
彼もこの時期、チュニジアあたりの北アフリカ戦線で、何やらキナ臭い任務に従事していたことが示唆されています。
彼は特定の戦線に縛られない、いわば「OSSのジョーカー」的存在。
世界各地のヤバい状況に投入されて、問題を解決(物理)する、まさに歩く秘密兵器。
すごくないですか?
この1942年の北アフリカっていう舞台で、パターソン、マノン、パウエル、ホルトっていう、後のMoHシリーズの主役級が、互いの存在も知らずに、すぐ近くで(あるいはすれ違いながら?)それぞれのミッションをこなしてたかもしれないんですよ!
この「ニアミス感」、歴史のifを想像させる感じが、シリーズを通してプレイする醍醐味の一つですよね。
彼らの個々の小さな行動が、知らず知らずのうちに大きな歴史の流れを形作っていく。
まさに、バタフライ・エフェクト。
東部戦線:スターリングラードの地獄、凍てつく廃墟とホルトの暗闘
目を東部戦線に転じると、そこはまさに地獄でした。
ナチス・ドイツとソビエト連邦が、国家の存亡を賭けて、人類史上最大規模の消耗戦を繰り広げていた。
その象徴が、1942年秋から翌年初頭にかけての「スターリングラード攻防戦」。
ボルガ河畔のこの都市は、完全に瓦礫と化し、兵士たちは一軒の家、一つの階、一つの部屋を巡って、文字通り死ぬまで戦い続けました。
こんな地獄の最前線にも、あの男はいたんです。
OSSの切り札、ウィリアム・ホルト中尉(『ヨーロッパ強襲』)。
彼の表向きの任務は、「苦戦するソ連軍を秘密裏に支援せよ」。
でも、その実態はもっとヤバい。
ドイツ軍の高級将校を狙撃で消したり、敵の重要拠点を爆破したり、補給ルートをズタズタにしたり…。
まさに、一人特殊部隊。
歴史的には、ソ連軍の驚異的な粘りと冬将軍が勝因とされていますけど、ゲームの中では、「いやいや、実はホルト中尉の暗躍があったからなんですよ!」っていう、大胆なif設定が展開されます。
でも、ただの無双プレイじゃない。
この凍てつく地獄での任務を通して、ホルトはナチスが水面下で進めている、何かとてつもなく恐ろしい計画――後の彼の人生を賭けた戦いの対象となる――の存在と、その計画を操る冷酷な黒幕(シュレーダー将軍ですね)の影を、初めてリアルに感じ取るんです。
彼の孤独な戦いは、ここから本格的に始まっていく。
太平洋戦線:フィリピン陥落の涙、ガダルカナルの死闘、そして兄弟の誓い
一方、広大な太平洋では、真珠湾攻撃で勢いに乗る日本軍が、破竹の進撃を続けていました。
アメリカ軍は各地で防戦一方、苦しい戦いを強いられます。
『ライジングサン』の主人公、ジョー・グリフィン伍長は、真珠湾の惨劇を生き延びた後、フィリピン防衛戦へと送られます。
マッカーサー将軍率いる米比連合軍は、コレヒドール要塞などに立てこもり、懸命に抵抗しますが、補給も途絶え、飢えと病気に苦しみながら、絶望的な戦いを強いられる(バターン死の行進は、この後の話ですね…)。
そして、ついにフィリピンは陥落。
この敗北と混乱の中で、ジョーにとって耐え難い悲劇が起こります。
彼にとって唯一の肉親であり、同じ海兵隊員として共に戦ってきた兄、ドニー・グリフィンが、日本軍の捕虜となってしまうのです。
「兄貴を、絶対に助け出す…!」 この個人的な、しかし何よりも強い誓いが、ジョーの心に新たな、そして消えることのない炎を灯します。
彼は打ちひしがれながらも、この目的のために戦い続けることを決意する。
彼の今後の戦いは、兄の救出という一点へと収斂していくことになるのです。
そんな中、1942年後半、連合軍はついに太平洋での反撃の第一歩を踏み出します。
その舞台となったのが、ソロモン諸島にある、当時は誰も名前を知らなかったであろう島、「ガダルカナル」でした。
日本軍がここに飛行場を建設していることを知った米軍は、これを奪取すべく、海兵隊を上陸させます。
ここから、約半年にわたる、日米両軍の死力を尽くした消耗戦、「ガダルカナルの戦い」が始まるのです。
ジョー・グリフィンも、このガダルカナル島奪還作戦に参加します。
彼は、夜間のジャングル戦や、米軍を悩ませた日本軍の長距離砲「ピストルピート」の破壊工作などで活躍。
兄の行方は依然知れないものの、彼は海兵隊員としての任務を黙々とこなし続けます。
そして、もう一人。
真珠湾で新兵だったトミー・コンリン(『パシフィックアサルト』)も、再編成された第1海兵師団の一員として、このガダルカナル島に上陸していました。
彼がそこで体験したのは、後に「飢餓島(Starvation Island)」と呼ばれることになる、文字通りの地獄でした。
ヘンダーソン飛行場を巡る、昼夜を分かたぬ血みどろの攻防。
マラリア、赤痢、脚気といった熱帯病との戦い。
常に襲い来る飢えと渇き。
そして、ジャングルに巧みに潜み、ゲリラ的に襲ってくる日本兵の恐怖。
ゲームでは、この過酷な環境が非常にリアルに描かれていて、プレイしているこっちまで消耗するほどでした。
コンリン自身もマラリアで倒れ、一時後送されるほどの壮絶さ。
彼は、多くの仲間たちが病気で、あるいは戦闘で命を落としていくのを目の当たりにしながら、それでも歯を食いしばって生き延びます。
1943年2月、多大な犠牲の末にガダルカナル島はアメリカ軍が確保しますが、トミーの心には、勝利の喜びよりも、失われた命の重さと、戦争という行為そのものへの深い疑問が刻まれたことでしょう。
1942年。
それは、連合国にとっては反撃への確かな一歩を踏み出した年であると同時に、戦場に駆り出された無数の若者たちが、理想や勇気だけでは乗り越えられない、戦争の残酷で不条理な現実を骨身に染みて知った年でもありました。
パターソン、マノン、パウエル、ホルト、ジョー、トミー…
彼らはそれぞれの場所で傷つき、仲間を失い、時に絶望し、それでもなお、前を向いて戦い続けなければならなかった。
彼らの魂は、この1942年の烈火の中で試され、鍛えられ、あるいは砕かれながら、次の、さらに過酷な戦場へと向かっていくのです。
物語は、まだ序盤。
本当の地獄は、これから始まるのかもしれません。
【1943年】前進と犠牲の交差点地中海、東欧、そして太平洋の修羅場へ
連合軍の反攻が軌道に乗り始め、戦争の天秤が少しずつ傾き始めた1943年。
北アフリカでの勝利を足掛かりに、連合軍の目はヨーロッパ本土、まずはその「柔らかい下腹部」とされるイタリアへと向けられます。
一方、広大な太平洋では、日本本土へと一歩ずつ近づくための過酷な島嶼攻略作戦、「飛び石作戦」が本格的に始動。
しかし、前進には必ず抵抗が、勝利には必ず犠牲が伴います。
この年、我らが英雄たちは新たな戦場でさらなる試練に直面し、彼らの肉体と精神は、限界まで試されることになるのです。
イタリア戦線:泥と血にまみれた「長靴」、ジョン・ベイカーの不屈の歩み
北アフリカから枢軸軍を追い出した連合軍。
次なる一手は、地中海を越え、ヨーロッパ大陸に楔(くさび)を打ち込むこと。
その最初の標的となったのが、ムッソリーニ率いるイタリア王国でした。
1943年7月、シチリア島への大規模上陸作戦「ハスキー作戦」が開始され、ついにヨーロッパ本土への戦いが始まったのです。
このイタリア戦線の、決して華やかではない、むしろ泥臭くて過酷な現実を描き出したのが、PC版『アライドアサルト』の拡張パック第2弾『Breakthrough(ブレイクスルー)』(2003年)。
主役は、米陸軍第34歩兵師団に所属する、叩き上げの下士官、ジョン・ベイカー軍曹(John Baker)。
彼の物語は、1943年初頭、北アフリカ・チュニジアのカセリーヌ峠で、ドイツの猛将ロンメルに手痛い敗北を喫するところから始まります。
いきなり挫折スタートですよ。
でも、彼はそこから這い上がる。
部隊と共に再起を誓い、シチリア島へ上陸。
険しい山々、オリーブ畑、古代遺跡が残る丘、迷路のような古い町並み…
そういう場所で、粘り強く抵抗するドイツ軍やイタリア軍と、一進一退の激しい戦闘を繰り広げながら、イタリア本土(あのブーツ形の半島ですね)へと進んでいきます。
イタリア本土での戦いは、まさに泥沼でした。
ドイツ軍がローマ南方に築いた強力な防衛線「グスタフ・ライン」。
その中心にあったモンテ・カッシーノ修道院を巡る攻防は、第二次世界大戦屈指の激戦として知られています。
さらに、戦局を打開しようと1944年1月に行われた、ローマ近郊への敵前上陸作戦「シングル作戦」(アンツィオ上陸)。
これもまた、上陸には成功したものの、その後の進撃が滞り、多くの犠牲を出しました。
ベイカー軍曹は、こうしたイタリア戦線の主要な戦いを、最前線で戦い抜きます。
絶え間ない砲撃と機銃掃射、ぬかるんで足を取られる塹壕、そして目の前で散っていく仲間たち…。
それでも彼は、軍曹として部下を励まし、指揮し、一歩でも前へ進もうとする。
彼の姿は、イタリア戦線という、ともすれば忘れられがちな戦場で、名もなき兵士たちがいかに苦闘したかを、私たちに生々しく伝えてくれます。
そして、携帯機PSP向けの外伝『Medal of Honor: Heroes』(2006年)では、このジョン・ベイカー軍曹の、本編では語られなかったもう一つの活躍が描かれます。
1943年9月、イタリア本土サレルノへの上陸作戦「アヴァランチ作戦」。
ここでも彼は、敵飛行場の破壊工作や、港湾施設の制圧といった、特殊部隊まがいの危険な任務をこなしていた、と。
いやはや、下士官って大変ですね…。
この作品は、ベイカー軍曹のような兵士たちが、大きな歴史のうねりの中で、いかに多くの困難な局面を、黙々と、しかし確実に乗り越えてきたかを、改めて感じさせてくれます。
東欧・北欧の影:ナチスの究極兵器を潰せ! ホルト中尉、孤独なる追跡行
スターリングラードの地獄から生還し、ソ連軍の勝利に貢献した(という設定の)OSSエージェント、ウィリアム・ホルト中尉(『ヨーロッパ強襲』)。
彼の1943年は、ナチス・ドイツが戦争の劣勢を覆すために血眼になって開発を進める、ヤバすぎる秘密兵器計画を阻止するための、孤独で、世界を股にかけた追跡劇に費やされました。
その最重要ターゲットは、原子爆弾!
もしナチスが先に完成させていたら…と考えると、背筋が凍りますよね。
ホルトの活動は多岐にわたります。
まずはフランス大西洋岸の重要港、サンナゼール。
イギリス軍コマンド部隊が、ドイツ海軍の巨大ドックを破壊するために行った、決死の奇襲作戦「チャリオット作戦」を、彼は情報提供や陽動作戦で陰から支援します。
その後、北アフリカでの任務を挟み、彼が次に向かったのは、凍てつく北欧、ノルウェーの険しい山奥。
目的は、ドイツの原爆開発に不可欠な物質「重水」を大量生産しているとされる秘密工場を破壊すること。
これ、史実でもイギリスやノルウェーの特殊部隊が何度も攻撃を仕掛けた、有名な「テレマーク作戦」が元ネタですね。
ゲームでは、ホルト中尉が現地レジスタンスと協力し、スキーで雪山を越え、厳重な警備を突破して工場に潜入、見事に重水生産施設を爆破!という、まさに映画のような大活躍を見せます。
これでナチスの核開発は大きく遅滞した…はず!
この一連の超絶ミッションを通して、ホルトはある一人の男の存在を、明確な脅威として認識するようになります。
その男の名は、シュレーダー将軍。
冷酷にして頭脳明晰、ナチスのあらゆる秘密兵器開発プロジェクトを統括する黒幕であり、ホルトにとって個人的な因縁も生まれてくる、まさに宿敵。
ホルトの戦いは、ここから単なる破壊工作や情報収集のレベルを超え、人類の未来そのものを賭けた、巨大な陰謀との対決へとエスカレートしていくのです。
彼の孤独な戦いは、ますます過酷なものになっていきます。
太平洋の地獄:タラワ、血で染まる楽園の島、トミー・コンリンが見た絶望と絆
広大な太平洋では、アメリカ軍が日本本土へと迫るための足掛かりとして、中部太平洋に点在する日本軍占領下の島々を、一つずつ攻略していく「飛び石作戦」を本格化させていました。
ガダルカナルでの死線を生き延びた『パシフィックアサルト』の主人公、トーマス・“トミー”・コンリン。
彼はもはや新兵ではありません。
過酷な戦闘経験を経て、精神的にも肉体的にも逞しく成長し、精鋭部隊として知られる第2海兵師団に配属されます。
そして、彼が次に投入された戦場こそ、太平洋戦争の中でも特に凄惨な戦闘として記憶されることになる、ギルバート諸島の小さな環礁、「タラワ」でした。
1943年11月、タラワ環礁の主島であるベティオ島への上陸作戦が開始されます。
この島、面積はたったの1.2平方キロ。
東京ドーム約25個分? いや、もっと小さいか。
とにかく、そんな小さな島に、日本軍はヤシの木の丸太やコンクリートで固めたトーチカ、地下壕、対戦車壕などを、文字通りハリネズミのように築き上げ、徹底的な防衛体制を敷いていました。
コンリンを含む海兵隊員たちは、沖合で上陸用舟艇(LVT、アムトラックとも呼ばれた水陸両用車)に乗り換えますが、事前の情報ミスと潮汐の関係で、多くの舟艇が岸から数百メートル手前のサンゴ礁に座礁してしまう。
やむなく兵士たちは、胸まで水に浸かりながら、敵の十字砲火が降り注ぐ中を、歩いて上陸するしかありませんでした。
…想像できます? この状況。
まさに、地獄への入り口です。
ゲーム後半のクライマックスとなる、このタラワの戦い。
その描写は、MoHシリーズの中でも屈指の壮絶さでした。
日本軍守備隊の抵抗は狂気じみており、海兵隊は海岸線に到達するまでに壊滅的な損害を受けます。
それでも彼らは前進をやめない。
「最初の72時間が勝負」と言われたこの短期決戦で、コンリンは、バディであり親友でもある仲間たちと互いを庇い合い、励まし合いながら、文字通り死に物狂いで戦います。
機関銃座を火炎放射器で薙ぎ払い、トーチカを手榴弾で破壊し、敵の司令部へと突入していく。
戦闘中に彼自身も重傷を負いながら、仲間たちの助けを借りて、ついに日本軍の組織的抵抗を粉砕します。
タラワは、わずか3日間の激戦の末にアメリカ軍が占領しました。
しかし、その勝利の代償は、あまりにも、あまりにも大きかった。
約1,000人のアメリカ兵と、ほぼ全滅に近い約4,700人の日本兵が、この南太平洋の小さな楽園だったはずの島で、命を落としたのです。
戦闘が終わった後、コンリンが、破壊されたトーチカの残骸と、累々と横たわる日米両軍兵士の亡骸が散らばる砂浜に、一人佇むシーンがあります。
彼の表情からは、勝利の喜びなど微塵も感じられません。
そこにあるのは、戦争という行為がもたらす圧倒的な破壊と喪失への深い悲しみ、生き残ってしまったことへの罪悪感にも似た複雑な感情、そして、失われた仲間たちへの静かな祈りだけでした。
彼は、砂浜に立てられた、仲間の名が刻まれた簡素な十字架の前で、力なく、しかし敬意を込めて敬礼します。
彼の、そして『Pacific Assault』の物語は、ここで一つの大きな区切りを迎えます。
このタラワでの過酷すぎる経験の後、コンリンは傷の治療と心の回復のため、アメリカ本土へと送還されるのです。
彼の物語は、太平洋戦争の悲劇性、そしてその極限状況下で生まれた兵士たちの固い絆と、その喪失の痛みを、痛々しいほどリアルに描き出し、多くのプレイヤーの心に、戦争について深く考えさせる、重い問いを投げかけました。
東南アジアの迷宮:兄を追うジョー・グリフィンの孤独な旅、そして物語は…?
一方、その頃、兄ドニーの安否を気遣い、その行方を必死に追い求める『ライジングサン』の主人公、ジョー・グリフィン伍長は、太平洋の島々からさらに西へ、東南アジアのジャングルと都市が混在する、混沌とした地域へと足を踏み入れていました。
彼はアメリカ海兵隊員としての任務を遂行する傍ら、あらゆる情報を集め、兄に繋がるかもしれない僅かな手がかりを求めて、時には命令系統を外れ、危険な単独行動も厭いませんでした。
イギリス軍や中国国民党軍といった、他の連合国軍とも協力し、敵地の奥深くへと潜入する、スパイまがいの秘密任務にも積極的に参加します。
彼の旅は、これまでの最前線の戦闘とは異なる、多様なミッションに彩られていました。
例えば、日本軍占領下のシンガポール。
ここでは、かの有名なラッフルズ・ホテル(!)に潜入し、集まっている日本軍や枢軸国の高官たちの秘密会議を探る、というクラシックなスパイ活動を展開。
燕尾服に着替え、ワルサーPPK(ジェームズ・ボンドか!)を懐に、パーティー会場で敵の目を欺きながら情報を盗み聞きする…なんて、これまでのMoHにはなかった展開で、新鮮でしたよね。
かと思えば、次はイギリス軍とオーストラリア軍のゲリラ戦専門部隊「チンディット」と共に、ビルマ(現ミャンマー)の奥深いジャングルへ。
そこには、日本軍が秘密裏に支配し、何かを探しているという、古代遺跡のような謎の寺院がありました。
そこでジョーが知ることになるのは、旧日本軍が東南アジア各地から略奪したとされる、莫大な量の金塊や財宝、いわゆる「山下財宝」を巡る陰謀。
そして、その財宝を独占し、それを元手に戦争の劣勢を一気に覆そうと画策する、冷酷非情な日本軍の黒幕、島田正敬(Masataka Shima)少将の存在でした。
ジョーは、この古代寺院風の基地内部で、様々なトラップや伏兵を乗り越え、島田配下の精鋭部隊と激しい戦闘を繰り広げます。
そしてついに、寺院の最深部で島田本人と対峙。
一対一の決闘(刀と銃!)の末、ジョーは見事、島田を打ち倒します。
やったぜ!…と、思いきや。
宿敵を倒したものの、結局、兄ドニーの居場所や安否に関する決定的な手がかりは、何一つ得られなかったのです。
そして、物語は… ジョーが一人、夕陽を背にして遠くを見つめるシーンで、ブツッ、と終わってしまう。
え? これで終わり? 兄貴は? ジョーはどうなるの?
…と、当時プレイした多くの人が、コントローラーを握りしめたまま呆然とした、あの伝説のエンディングです。
【超・深掘り考察:『Rising Sun』の「未完」が我々に問いかけるもの】
なぜ『Rising Sun』の物語は、あんなにも中途半端な形で終わってしまったのか?
表向きの理由は、前述した通り、当初2部作構成だったものが、1作目のセールス不振により続編開発がキャンセルされた、というゲーム業界の厳しい現実です。
続編では、兄ドニー視点での捕虜収容所脱出劇と兄弟の感動の再会が描かれるはずだった…と聞くと、余計に残念でなりませんよね。
でも、ここで少し視点を変えてみましょう。
この「未完」という結末が、結果的にではありますが、我々に投げかけているものはないでしょうか?
戦争って、必ずしも起承転結がはっきりした、綺麗な物語ではないですよね。
個人の願いや努力が報われず、目的が達成されないまま、理不尽に命が失われたり、物語が断ち切られたりすることの方が、むしろ多いのかもしれない。
ジョー・グリフィンの物語がゲームの中で完結しなかったことは、図らずも、そんな戦争の持つ「不条理さ」「未解決性」をプレイヤーに突きつける結果になった、とも解釈できないでしょうか?
もちろん、作り手側にそんな意図はなかったでしょうし、プレイヤーとしてはスッキリしない! という気持ちは痛いほどわかります。
でも、この「モヤモヤ感」こそが、『Rising Sun』という作品を、ある意味で忘れられないものにしている要因の一つなのかもしれません。
そしてそれは、戦争というものを考える上で、決して無視できない側面でもあるのです。
まあ、そうは言っても、やっぱり続き、見たかったですよねぇ…(遠い目)。
1943年。
連合軍は着実に前進を続け、勝利への道筋が見え始めたかに思えました。
しかし、その一歩一歩は、ベイカー軍曹がイタリアで踏みしめた泥のように重く、ホルト中尉が北欧で流したであろう汗のように冷たく、トミー・コンリンがタラワで見た悪夢のように赤黒く、そしてジョー・グリフィンが東南アジアで感じたであろう焦燥感のように、複雑な色合いを帯びていました。
戦争の終わりは、まだ遠い。
そして、翌1944年、ヨーロッパでは、歴史のすべてを賭けた、最大にして最後の決戦の火蓋が切られようとしていたのです。
【1944年】 運命の潮流ノルマンディー上陸、解放への凱歌、そして英雄たちの頂点
第二次世界大戦の潮流が、決定的に連合国側へと傾いた運命の年、1944年。
この年、ついに西ヨーロッパにおいて、ナチス・ドイツが築き上げた難攻不落の要塞線「大西洋の壁」に対する、空前の規模での反攻作戦が開始されます。
その象徴こそが、1944年6月6日、歴史にその名を刻むことになる「ノルマンディー上陸作戦」、通称「D-Day」。
この人類史上最大の上陸作戦と、それに続くフランス解放への道は、『メダル・オブ・オナー』シリーズにおいても、最もドラマチックで、最も血湧き肉躍り、そして最も多くの英雄たちが輝きを放った(あるいは、その光の中で散っていった)クライマックスとして描かれています。
ここが、MoHの、そして第二次世界大戦の、一つの頂点と言っても過言ではないでしょう。
1944年6月6日:史上最大の賭け、ノルマンディーの血染めの砂浜と空からの槍
連合軍最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワーの「OK, Let's go!」の号令一下、イギリス海峡を埋め尽くすほどの艦船と、空を覆うほどの航空機が、フランス・ノルマンディー地方の海岸線へと向かいました。
「オーバーロード作戦」。
それは、4年間にわたるナチスの圧政からヨーロッパ大陸を解放するための、自由世界が総力を挙げた、壮大なる聖戦の始まりでした。
オマハ・ビーチ:「ブラッディ・オマハ」を切り裂いた不屈の魂、マイク・パウエル
さて、D-Dayといえば、やはりこの男とこの場所を語らないわけにはいきません。
『メダル・オブ・オナー アライドアサルト』の主人公、米陸軍第2レンジャー大隊所属のマイク・パウエル中尉。
彼が上陸を命じられたのは、5つ設定された上陸地点の中でも、地形的に最も不利で、ドイツ軍の防御が最も強固、そして損害が最も大きくなると予想された海岸、「オマハ・ビーチ」。
後に「血まみれのオマハ(Bloody Omaha)」と呼ばれることになる地獄です。
ゲーム冒頭、上陸用舟艇ヒギンズ・ボートの前面ハッチが開いた瞬間、プレイヤーが目にする光景は、筆舌に尽くしがたい。
崖上のトーチカ群から浴びせられる、MG42機関銃の猛烈な掃射(あの独特の「布を裂くような」発射音!)。
炸裂する迫撃砲弾が、兵士たちの肉体を容赦なく吹き飛ばし、海面は瞬く間に赤く染まる。
映画『プライベート・ライアン』の冒頭シーンと比較されることも多い、この息が詰まるほどのリアルで凄惨な描写は、ゲームという媒体でD-Dayの恐怖と混乱を追体験させた、まさに金字塔と言えるでしょう。
パウエルは、降り注ぐ死の雨の中、腰まで水に浸かりながら前進し、鉄条網や障害物を爆破筒(バンガロー・トロピード!)で吹き飛ばし、濡れた砂浜を駆け抜け、切り立った崖をロープ一本で登り、塹壕に飛び込んではドイツ兵をなぎ倒し、トーチкаを一つ、また一つと沈黙させていく。
彼の超人的な冷静さと、絶望的な状況でも任務を完遂しようとするレンジャー魂がなければ、オマハ・ビーチでのアメリカ軍の損害はさらに拡大し、上陸作戦全体の成否すら危うかったかもしれません。
このオマハ・ビーチ攻略ミッションは、FPSの歴史における不滅の名場面として、そしてパウエルの不屈の英雄譚として、永遠に語り継がれるべき伝説です。
プレイしたことない? 人生損してますよ!(断言)
パターソン、再び死地へ:『史上最大の作戦』、その壮絶すぎるプロローグ
そして、PS2時代にMoHシリーズの人気を劇的に復活させた立役者、『メダル・オブ・オナー 史上最大の作戦(Frontline)』(2002年)。
その主役として、我らが初代ヒーロー、ジミー・パターソン中尉が帰ってきました!
元パイロットでありながら、OSSエージェントとしての才能を開花させた彼は、この歴史的な一大作戦に、自ら志願して地上部隊の一員として参加します(公式設定では、彼もまたオマハ・ビーチに直接上陸したとされています。…オマハ、激戦区すぎません?)。
『Frontline』のゲーム開始直後もまた、プレイヤーはパターソンとして、オマハ・ビーチの修羅場に叩き込まれます。
砲弾が炸裂し、銃弾が飛び交い、負傷した兵士たちのうめき声が響き渡る、まさに地獄絵図。
パターソンは、その混乱の極みの中で、ドイツ軍の機関銃陣地や砲台を一つずつ潰し、味方のために前進路を確保していきます。
彼の視点から描かれるこの上陸シーンも、当時のPS2のグラフィック性能の限界に挑むかのような、圧倒的な臨場感と迫力で、プレイヤーを否応なく戦場の只中へと引きずり込みました。
「史上最大の作戦」というタイトルに偽りなし! と膝を打ったものです。
そしてこのD-Dayを皮切りに、パターソンのOSSエージェントとしての、より危険で、より秘密裏の任務が、本格的に幕を開けることになるのです。
闇夜に舞う落下傘:空挺兵たち、知られざる決死の先遣任務
D-Dayの成功は、海岸線で繰り広げられた壮絶な上陸戦闘だけで成し遂げられたわけではありません。
その数時間前、まだ夜が明けきらぬ暗闇の中、ノルマンディー地方の内陸部深くに、パラシュートで降下した米英の空挺部隊の存在もまた、決定的に重要でした。
彼らは、敵地の真っ只中、味方からの支援も期待できない孤立した状況で、橋梁や交差点の確保、ドイツ軍の砲台の破壊、敵の通信網の遮断、そして後方からの増援部隊の阻止といった、極めて困難で危険な任務を遂行したのです。
まさに「空からの槍」となって、敵の心臓部に突き刺さったわけですね。
シリーズ第11作『Medal of Honor: Airborne』(2007年)は、この勇敢なる空挺兵たち、特に「オール・アメリカン」の愛称で知られる米陸軍第82空挺師団や、「スクリーミング・イーグルス」こと第101空挺師団の兵士たちに焦点を当てた意欲作です。
主人公のボイド・トラヴァース一等兵(Boyd Travers)として、プレイヤーは輸送機C-47から広大な戦場マップへとダイブ!
着地地点や、攻略する目標の順番などを、ある程度自由に選択できるという、当時としてはかなり斬新なゲームシステムが採用されていました。
これにより、毎回異なる展開が楽しめるというリプレイ性の高さも魅力でした。
(ただ、ちょっと残念なのは、ゲームの最初のミッションはイタリア戦線(ハスキー作戦)で、ノルマンディー降下そのものはミッションとして体験できないんですよね…そこはやってほしかった!)
また、携帯機とWiiでリリースされた外伝『Medal of Honor: Heroes 2』(2007年)では、新たな主人公、OSS所属の諜報員ジョン・バーグ中尉が登場します。
彼の舞台は、D-Dayの数日前、まさに決行直前のフランス・ノルマンディー地方。
重要港シェルブール近郊に潜入し、ドイツ軍が進める秘密兵器「V2ロケット」に関する機密情報を奪取し、連合軍の上陸を有利に進めるための妨害工作を行う、というスリリングな諜報作戦が描かれます。
これもまた、D-Dayという歴史的転換点の裏側で繰り広げられた、無数の知られざる戦いの一つを垣間見せてくれる物語です。
パウエル、パターソン、トラヴァース、バーグ…
彼らは、歩兵として、レンジャーとして、空挺兵として、そして諜報員として、それぞれの場所で、それぞれの役割を命がけで果たしました。
恐怖に打ち勝ち、仲間を信じ、そして多くが血を流し、あるいは命を落としました。
D-Dayは、彼ら一人一人の、そして記録に残らないさらに多くの兵士たちの、筆舌に尽くしがたい勇気と犠牲の上に成り立った、まさに「史上最大の作戦」だったのであり、その事実は決して忘れてはならないでしょう。
1944年夏:進撃、そして再会:パターソンとマノン、戦火で結ばれる運命の糸
ノルマンディーに確固たる橋頭堡を築いた連合軍は、ドイツ軍の必死の抵抗(カーン周辺の激戦など)を打ち破りながら、フランス内陸部へと怒涛の進撃を開始します。
4年間にわたるナチスの圧政に苦しんできたフランス国民にとって、それは待ちに待った解放の光であり、各地でレジスタンスが蜂起し、連合軍を支援しました。
パターソン、影の戦士へ:宿敵の影、そして運命の再会
『Frontline』の物語は、D-Day後、ジミー・パターソン中尉が、単なる優秀な兵士から、真のOSSエージェントへと覚醒していく過程を描きます。
彼はもはや、大部隊の中で命令に従うだけの存在ではありません。
潜入、破壊工作、諜報活動、時には要人を消したりも…
あらゆる非正規戦闘術を駆使して、敵の中枢にダメージを与える、孤独な影の戦士となるのです。
彼の最初の大きな単独任務の一つが、フランス大西洋岸の港町ロリアンに築かれた、鉄壁のUボート(ドイツ潜水艦)基地への潜入と破壊工作でした。
ここは、大西洋の通商破壊戦で猛威を振るったUボート艦隊の重要拠点。
ここを潰せば、戦局に大きな影響を与えられます。
パターソンは、まるでスパイ映画のヒーローのように、厳重極まりない警備網をすり抜け、夜陰に乗じて基地内部へと侵入。
Uボートが格納されている巨大なドックや、燃料タンクなどを次々と爆破し、基地機能を麻痺させるという、離れ業をやってのけます。
そして、この危険な潜入任務の最中、彼は偶然にも、基地を視察に訪れていた一人のSS(親衛隊)高官の姿を、遠目に目撃するのです。
黒い制服に身を包み、冷徹なオーラを放つその男… 彼こそ、後にパターソンの前に最大の壁として立ちはだかることになる宿敵、ルドルフ・フォン・シュトゥルムガイスト大佐でした。
この時点では、まだ互いの存在を明確に認識してはいません。
しかし、運命の糸は、確実に、そして不吉に、二人を結びつけ始めていたのです。
その後、パターソンは次の任務地、オランダへと飛びます。
そこで活動中に連絡が途絶えた、OSSの重要な連絡員(コードネームを持っていたはず)を救出せよ、との緊急指令が下る。
敵が支配する地域への危険な潜入。
しかしパターソンは躊躇しない。
激しい戦闘の末、彼が救出したその人物とは…
なんと、なんと! かつて北アフリカの砂漠で、彼がその命を救った(とされる)あの女性、そして今またこのオランダの地で、まるで運命に導かれるように再会を果たした、あのマノン・バティースだったのです!
(本作では彼女の名前は明かされないが、開発スタッフが後に認めています)。
いやもう、ドラマチックすぎません? 脚本家さん、グッジョブ! と言いたくなります。
絶望的な状況下での二度の再会は、二人の間にあった戦友としての信頼関係を、より深く、より特別な、もしかしたら愛情と呼べるかもしれない感情へと昇華させていきます。
そして、マノンからパターソンにもたらされた情報こそが、彼の最後の戦いのターゲットを決定づけるのです。
それは、ナチスが最終兵器として開発を進めているという、全翼型の驚異的な新型ジェット戦闘機「Ho-IX(ホルテン Ho229)」の存在!
この空飛ぶ悪魔を、何としても阻止しなければならない。
それが、パターソンの次なる、そして彼の戦争における最後の、そして最大のミッションとなるのです。
マノン、パリへ凱旋:レジスタンスの女神、自由の鐘を鳴らす
一方、そのマノン・バティース(『Underground』)自身もまた、1944年のフランス解放という歴史的な出来事において、決して脇役ではありませんでした。
北アフリカやクレタ島での過酷なOSSとしての任務を終えた彼女は、解放が目前に迫る祖国フランスへと帰還します。
そして、かつて共にナチスに抵抗したレジスタンスの仲間たちと再合流。
その卓越したリーダーシップ、戦闘能力、そして何よりも不屈の闘志から、すぐに指導的な立場となり、連合軍の進撃に合わせて、フランス各地でドイツ軍に対する武装蜂起を指揮します。
そして、1944年8月。
連合軍がパリ市内に迫ると、マノンは武装したレジスタンス部隊を率いて、自らパリ市街へと突入。
ナチスの恐怖政治の象徴であったゲシュタポ(秘密国家警察)本部への襲撃や、撤退しようとするドイツ軍守備隊との間で繰り広げられた激しいバリケード戦などで、先頭に立って戦います。
そしてついに、歓喜の渦に包まれたパリ市民が打ち振るトリコロールの旗の中、自由フランス軍のルクレール将軍率いる部隊と共に、シャンゼリゼ通りを行進するのです。
4年間もの長きにわたったナチスの圧政からの解放。
兄を失った悲しみを乗り越え、絶望の淵から立ち上がった一人の女性の戦いは、ここで最も輝かしい形で結実しました。
マノン・バティースは、自由のために命を賭けて戦った全てのフランス国民の、不屈の精神を体現する、まさに「ジャンヌ・ダルク」のような存在となったのです。
彼女の物語は、戦争が男性だけのものではなかったことを、力強く示しています。
1944年9月:「遠すぎた橋」マーケット・ガーデン、英雄たちを襲った挫折と悲劇
ノルマンディーでの勝利とフランス解放の勢いに乗り、連合軍司令部は、戦争を一気に終わらせるための、大胆すぎる計画を立案します。
1944年9月に発動された「マーケット・ガーデン作戦」。
その骨子は、オランダ国内を南北に流れる主要な河川(マース川、ワール川、ライン川)にかかる複数の重要な橋を、大規模な空挺部隊(マーケット作戦:米第82・第101、英第1空挺師団)が奇襲降下して一気に確保し、そこへイギリス軍の地上部隊(ガーデン作戦:第30軍団)が戦車を先頭に猛スピードで駆け抜けて連結、ドイツ国境を越えてルール工業地帯へ突入する、というものでした。
モントゴメリー元帥が立案したこの作戦、成功すれば「クリスマスまでには戦争は終わる」とまで言われた、まさに乾坤一擲の大博打でした。
しかし、現実は非情でした。
ドイツ軍の抵抗は予想以上に激しく(特にアルンヘム周辺にはSS装甲師団が偶然休養に来ていた!)、空挺部隊の降下地点の選定ミス、無線機の不調による連携不足、悪天候による補給・増援の遅延など、様々な悪条件が重なり、作戦は悲劇的な失敗に終わります。
特に、最も遠く、最も重要な目標であったライン川にかかるアルンヘムの橋を確保しようとしたイギリス第1空挺師団は、ドイツ軍に完全に包囲され、9日間の死闘の末に壊滅的な打撃を被りました。
映画にもなった「遠すぎた橋(A Bridge Too Far)」という言葉は、この作戦の失敗と悲劇性を象徴する言葉として、今も語り継がれています。
そして、この野心的すぎた作戦の渦中にも、我らがMoHの英雄たちが、それぞれの立場で関わっていたのです。
- ジミー・パターソン中尉(Frontline, Heroes): オランダでマノンを救出した後も、パターソンはその地に留まり、現地のレジスタンス組織への武器供与や情報収集といった、OSSエージェントとしての地道な活動を続けていました。マーケット・ガーデン作戦が始まると、彼は連合軍の進撃路(通称ヘルズ・ハイウェイ:地獄の街道)を確保するため、奔走します。例えば、ナイメーヘンのワール川にかかる重要な橋(ここも激戦地でした)にドイツ軍が仕掛けた爆弾を、決死の覚悟で解除したり、アルンヘムで孤立無援となったイギリス軍空挺兵たちへ、わずかでも医薬品や弾薬を届けようと、敵の包囲網をかいくぐって潜入を試みたり…。PSP版『Heroes』では、なんと彼自身がマーケット・ガーデン作戦に空挺降下し、最前線で戦うミッションまで用意されています。どこまで超人なんだ、パターソン君!
- フランク・キーガン軍曹(Vanguard): PS2/Wiiでリリースされた『Medal of Honor: Vanguard』(2007年)の主人公。米陸軍第82空挺師団に所属する、叩き上げのベテラン下士官、フランク・キーガン軍曹(Frank Keegan)は、まさにこのマーケット・ガーデン作戦でオランダの大地に降り立った兵士の一人でした。彼は、ナイメーヘンやフラーフェといった重要地点の橋を巡る激しい戦闘に参加します。ゲームでは、空挺降下の緊張感から、地上での必死の防衛戦、そして最終的な作戦失敗による苦い撤退までが、キーガン軍曹の視点を通してリアルに描かれています。
『Vanguard』は、作戦の華々しさではなく、その裏にあった混乱、失敗、そして兵士たちの払った犠牲に焦点を当てた、ある意味でMoHらしい作品と言えるかもしれません。 - ウィリアム・ホルト中尉(European Assault): 我らがOSSのスーパーエージェント、ウィリアム・ホルト中尉(『ヨーロッパ強襲』)。彼は、マーケット・ガーデン作戦の開始直前には、作戦地域に隣接するベルギー国内で活動していました。何をしていたかというと、やはり宿敵シュレーダー将軍が関与するとされる、新たな秘密兵器(V2ロケット関連の施設か?)の情報を追っていたのです。しかし、あと一歩のところで取り逃してしまう。
作戦期間中は、彼が最前線でドンパチやっていたというよりは、後方地域に潜入し、ドイツ軍の補給線や通信網を寸断するような、OSSらしい攪乱工作に従事していた、と考えるのが自然でしょう。
彼の働きが、少しでも前線の負担を軽減していた…と信じたいですね。 - ボイド・トラヴァース一等兵(Airborne): 『エアボーン』の主人公、ボイド・トラヴァースも、第82空挺師団の一員として、オランダの古都ナイメーヘン市街に降下しました。彼の部隊は、ドイツ軍の戦車や歩兵による猛攻にさらされながら、陥落寸前の街を必死で防衛する、過酷な市街戦を戦い抜きます。ゲームでは、建物から建物へと飛び移りながら戦う、立体的でスリリングな戦闘が楽しめました。しかし、彼らの奮闘もむなしく、作戦全体の目標であったアルンヘムの橋の確保は失敗。
トラヴァースたちもまた、多くの仲間を失い、作戦失敗という苦い現実を受け入れざるを得ませんでした。
マーケット・ガーデン作戦。
それは、連合軍にとって、第二次世界大戦における最も大きな失敗の一つとなりました。
パターソン、キーガン、ホルト、トラヴァースといった英雄たちの、それぞれの場所での奮闘も、作戦全体の流れを変えるには至りませんでした。
戦争の早期終結という甘い期待は打ち砕かれ、多くの尊い命が失われました。
そして、戦争は、まだ終わらない。
冬が近づくヨーロッパで、ナチス・ドイツは最後の、そして最も絶望的な反撃を準備していたのです。
1944年冬:雪と鋼鉄が舞う森、バルジの戦い、そして宿命の終止符
1944年も終わりに近づいた12月。
東からはソ連軍、西からは米英軍に挟撃され、敗北が目前に迫っていたナチス・ドイツ。
しかし、ヒトラーは諦めていなかった。
彼は、西部戦線の手薄と見られたベルギー・ルクセンブルク国境地帯のアルデンヌの森を、精鋭の装甲師団で突破し、ミューズ川を渡り、重要港アントワープを奪回、連合軍を南北に分断するという、あまりにも大胆で、そして無謀ともいえる最後の賭けに出ます。
これが、「バルジの戦い」(突出部の戦い、Battle of the Bulge)と呼ばれる、西部戦線におけるドイツ軍最後の大規模攻勢でした。
完全な奇襲を受けたアメリカ軍の前線は、一時的に大きく後退(これが「バルジ=突出部」の名の由来)。
雪に覆われ、零下まで気温が下がる極寒の森の中で、両軍は第二次世界大戦における最も激しい戦闘の一つを繰り広げることになります。
この絶望的な冬の戦場にも、MoHの英雄たちはいたのです。
凍てつく森の守護者:ジャック・バーンズ軍曹、不屈の空挺魂
PC版『アライドアサルト』の拡張パック第1弾『Spearhead』(2002年)。
その主人公を務めるのは、米陸軍第101空挺師団「スクリーミング・イーグルス」(あるいは第501落下傘歩兵連隊、資料によって所属が異なる場合あり)のタフな軍曹、ジャック・バーンズ(Jack Barnes)。
ノルマンディー降下作戦やマーケット・ガーデン作戦(ゲーム内では描かれず)を生き延びてきた、まさに歴戦の空挺兵である彼は、このバルジの戦いの真っ只中にいました。
特に、交通の要衝であるバストーニュの街は、ドイツ軍に完全に包囲され、補給も援軍も途絶えた状態で、第101空挺師団が決死の防衛戦を繰り広げたことで有名です(ドイツ軍の降伏勧告に対し、マコーリフ准将が「Nuts!(バカ言え!)」と返答した逸話は有名ですね)。
ゲームでは、バーンズ軍曹として、雪深いアルデンヌの森の中で、ドイツ軍の強力なティーガー戦車やパンター戦車を含む、圧倒的な物量の敵による猛攻に立ち向かいます。
塹壕の中で凍え、食料も弾薬も尽きかけ、周りは敵だらけ。
まさに絶望的な状況。
しかし、バーンズは諦めない。
仲間たちを鼓舞し、巧みな戦術と決死の勇気で、敵の進撃を少しでも食い止めようと奮闘します。
彼の戦いは、バルジの戦いでアメリカ兵が見せた、驚異的な粘り強さと不屈の精神を、見事に体現していました。
宿命の対決、ついに決着:ホルト中尉、シュレーダー将軍を討ち、ナチスの最終兵器の夢を砕く
そして、このバルジの戦いは、『ヨーロッパ強襲』の主人公、OSSのスーパーエージェント、ウィリアム・ホルト中尉にとって、彼の長きにわたる追跡劇の、そして彼の第二次世界大戦における戦いの、まさに最終章となる舞台でした。
彼は、アルデンヌの山中に極秘裏に建設されていた、ドイツの核兵器(!)研究開発施設(※もちろん架空の施設ですよ)の存在を突き止め、連合軍の砲撃が降り注ぎ、戦線が混乱する中、単身潜入を敢行します。
施設の奥深く、厳重な警備を突破してたどり着いた先。
そこで彼を待ち受けていたのは… やはり、あの男でした。
ノルウェーの重水工場破壊以来、ホルトが執拗にその影を追い続けてきた宿敵。
ナチスのあらゆる秘密兵器開発計画を陰で操ってきた黒幕、シュレーダー将軍その人!
施設の中枢部で繰り広げられる、ホルトとシュレーダーの、宿命の最終対決。
シュレーダーは、自身の親衛隊や、開発中だったであろう試作兵器(怪しげなエネルギー兵器とか出てきたような…?)を繰り出してホルトを抹殺しようとしますが、ホルトはそれらをことごとく打ち破り、ついに将軍本人と対峙します。
「貴様のせいで、我が帝国の偉大な計画が!」と逆上するシュレーダーに対し、ホルトは冷静に、しかし確実に、最後の戦いを挑みます。
激しい銃撃戦、そしておそらくは格闘戦の末、ホルトはシュレーダー将軍を打ち倒す!
同時に、ホルトが事前に通報していたのか、連合軍の集中爆撃によって、核研究施設も完全に破壊され、ナチス・ドイツが最後まで逆転の夢を託していたであろう、大量破壊兵器開発計画は、ここに完全に潰えたのです。
ホルト個人の戦いは、ここに終わりを告げました。
しかし、彼の、記録に残らないであろうこの最後の戦いがなければ、第二次世界大戦の終結はさらに遅れ、あるいはその後の世界の姿は、全く異なっていたかもしれません。
そう考えると、彼の功績は計り知れませんね。
PSP版『Heroes』では、このバルジの戦いのさなか、ホルトがシュレーダーに関連する別の秘密基地(V2ロケットの発射基地だったかな?)への破壊工作を行う、彼のエピローグとも言えるミッションが収録されており、彼の戦いがまさにこの時期に終わったことを補強しています。
1944年。
それは、D-Dayの勝利とパリ解放という輝かしい希望に満ちた瞬間があった一方で、マーケット・ガーデン作戦の悲劇的な失敗や、バルジの戦いでの想像を絶する苦闘といった、戦争の厳しさと不確実性を改めて思い知らされる年でもありました。
しかし、疑いようもなく、この一年間の戦いを通じて、連合軍の勝利は決定的なものとなりました。
パウエル、パターソン、マノン、バーンズ、ホルトといった英雄たちの、そして無数の名もなき兵士たちの、血と汗と涙によって、ナチス・ドイツの命運は尽きようとしていたのです。
そして、ついに、長かった戦争に終止符を打つための、最後の年、1945年が、砲火と硝煙の向こうから、その姿を現そうとしていました。
【1945年】 終焉の鐘と希望の産声ドイツ本土決戦、そして英雄たちの明日へ
長く、暗く、そしてあまりにも多くの血が流れた第二次世界大戦も、ついに最終局面を迎えた1945年。
西からは米英仏を中心とする連合軍が、東からはソ連の大軍が、敗色濃厚となったナチス・ドイツの本土へと雪崩れ込み、その息の根を止めようとしていました。
首都ベルリンは包囲され、ヒトラー率いる「千年帝国」の崩壊は、もはや時間の問題。
このヨーロッパ戦線における最後の、そして最も激しい戦いの中で、我らがMoHシリーズを象徴する英雄、ジミー・パターソンは、彼の戦争における最も危険で、最も重要で、そして最もドラマチックなフィナーレを飾る最終任務に挑むことになります。
それは、ナチスが最後まで隠し持っていた最終兵器の夢を打ち砕き、長きにわたる宿敵との因縁に決着をつけるための、壮大なるクライマックスでした。
パターソン、最後の死線へ:飛べ、ホルテン! 宿敵シュトゥルムガイストを追撃せよ!
バルジの戦いでドイツ軍最後の攻勢を頓挫させ、ライン川渡河という大きなハードルも越えた連合軍。
その主力部隊はドイツ本土の奥深くへと進撃を続けていました。
しかし、OSS(戦略諜報局)のエージェント、ジミー・パターソン中尉(『Frontline』)には、他の兵士たちとは異なる、特別な、そして最後の極秘指令が下っていました。
ターゲットは明確、かつ重大。
一つは、ナチス・ドイツが起死回生の切り札として開発を急いでいた、当時としては驚異的な性能を持つ(そして見た目もSFチックでカッコいい!)全翼型ジェット戦闘機「Ho-IX(ホルテン Ho229)」の開発計画を、その根源から完全に、そして永遠に葬り去ること。
そしてもう一つは、その邪悪な計画の責任者であり、かつてロリアンのUボート基地でその冷徹な眼差しを目撃して以来、パターソンの脳裏から離れなかった因縁の宿敵、SS(親衛隊)のルドルフ・フォン・シュトゥルムガイスト大佐を、確実に排除すること。
この二つの任務を達成しない限り、連合軍の最終的な勝利は盤石なものにならない、とOSSは判断したのでしょう。
パターソンは再び、単身、敵地の奥深く、崩壊寸前のドイツ第三帝国の心臓部へと潜入します。
国境近くの街エメリッヒで、彼はシュトゥルムガイストが、Ho-IXの重要な部品や設計図、あるいは完成機そのものを積んで、東方(ソ連軍に降伏するか、あるいはどこかへ逃亡するためか?)へ脱出しようとしている、厳重に警備された重装甲列車を発見。
ここでためらうパターソンではありません。
彼は大胆にも、走行中の列車に飛び乗り、車両の屋根から内部へと侵入します。
しかし、列車内は、シュトゥルムガイストに忠誠を誓うSSの精鋭兵士たちで埋め尽くされており、パターソンは狭い通路やコンパートメントの中で、次々と襲い来る敵と、息もつかせぬ激しい銃撃戦を展開することになります。
まさに、手に汗握る列車アクション!
MoHシリーズの中でも屈指のスリルと興奮を味わえるシークエンスでした。
激闘の末、パターソンは列車の先頭車両、機関室まで辿り着きますが、狡猾なシュトゥルムガイストは、間一髪で列車から脱出、あらかじめ用意されていたであろう軍用車両(サイドカー付きのオートバイだったかな?)に乗り込み、逃走を図ります。
執念深い宿敵を、ここで逃すわけにはいかない!
パターソンもまた、列車に積載されていた軍用ジープ(都合よく積んでありましたね!)に飛び乗り、猛スピードで追跡を開始します。
砲弾が降り注ぎ、建物が崩れ落ちる破壊された街並みや、鬱蒼とした森の中を、互いに銃撃を加えながら駆け抜ける、壮絶なカーチェイスシーン!
そしてついに、パターソンはシュトゥルムガイストが逃げ込んだ先――Ho-IXの極秘開発と量産が行われているとされる、山中に巧妙に隠された巨大な地下研究施設「ゴータ・オーベルン高度技術研究所」――の入り口へと辿り着くのです。
いよいよ、最終決戦の舞台は整いました。
翼を得た英雄、最後の飛翔:劇的なる脱出、パターソンの物語、堂々たる大団円へ
研究所の内部は、まさにナチス・ドイツの最後の砦と呼ぶにふさわしい光景でした。
当時の最先端技術を結集したであろう巨大な生産ライン、そして広大な格納庫には、完成間近と思われる、流線形で美しい、しかしどこか不気味なフォルムを持つHo-IXの機体が何機も並んでいます。
しかし、そこは同時に、パターソンを抹殺せんと待ち構える、シュトゥルムガイスト配下の武装したSS兵士たちで溢れかえっていました。
だが、幾多の死線を乗り越えてきたパターソンは、もはや怯みません。
彼は、これまでの任務で培ってきた全てのスキル――潜入術、ステルスキル、射撃術、爆破工作、そして機転――を総動員し、研究所の中枢へと着実に進んでいきます。
Ho-IXの生産ラインの重要設備を爆破し、さらに隠し持っていた無線機を使って、連合軍の爆撃部隊にこの施設の正確な座標情報を送信。
もはや、このナチスの最終兵器の巣窟が、連合軍の爆弾の雨によって破壊されるのは、時間の問題となりました。
そして、施設の最も奥深く、巨大なドーム状の格納庫で、ついにパターソンは、長きにわたる因縁の相手、宿敵シュトゥルムガイスト大佐と、最後の対峙を果たします。
大佐は、生き残ったSSの精鋭部隊と共に、憎き侵入者パターソンに最後の戦いを挑んできます。
「貴様のような虫けらが! 我が帝国の栄光を汚すことは許さん!」 シュトゥルムガイストの怒号と共に、最終決戦の火蓋が切って落とされます。
飛び交う銃弾、炸裂する手榴弾、崩れ落ちる天井や壁。
まさに死闘。
パターソンは、遮蔽物から遮蔽物へと飛び移り、的確な射撃で敵兵を一人、また一人と沈黙させていきます。
そしてついに、シュトゥルムガイスト本人との一騎打ち!
激しい銃撃戦、そしておそらくは最後の格闘の末、パターソンは宿敵に打ち勝ち、その野望に終止符を打つのです。
やった! 長かった戦いが、ついに終わった…!
しかし、勝利の余韻に浸る暇は、彼には与えられませんでした。
パターソン自身が要請した、連合軍による大規模な絨毯爆撃が開始されたのです。
研究所全体が激しい揺れに襲われ、次々と爆発が起こり、天井は崩落し、炎がすべてを飲み込もうとしています。
脱出路は瓦礫で塞がれ、まさに絶体絶命、万事休すかと思われたその瞬間!
パターソンの目に、格納庫の片隅に駐機されていた、一機のHo-IX試作機が飛び込んできました。
それは、まだ塗装も施されていない、銀色に輝く異形の翼。
…乗るしかない、これに!
元パイロットとしての本能がそう叫んだのか、あるいは土壇場での最後の賭けだったのか。
パターソンは迷うことなくコックピットに飛び乗り、見たこともない複雑な計器類と格闘しながら、ジェットエンジンを始動させます。
そして、独特の甲高いジェット音と共に滑走路を疾走し、崩壊し炎上する巨大な地下施設から、間一髪で大空へと舞い上がったのです!
眼下には、紅蓮の炎に包まれ、ナチス・ドイツの最後の夢と共に崩れ落ちていく研究所の残骸。
パターソンは、昇り始めた朝日の光の中を、東へと向かうHo-IXのキャノピーから、静かに、しかし万感の思いを込めて、それを見下ろしていました。
ジミー・パターソンの、第二次世界大戦における長く、困難で、しかしどこまでもヒロイックだった戦いの物語は、これ以上ないほど劇的で、これ以上ないほど鮮烈な形で、ここに堂々たる大団円を迎えたのです。
いやー、何度思い出しても、最高のエンディングですよね!
エピローグ:戦火の向こうに見えた未来、英雄たちの新たな人生(と、恋の行方)
『Frontline』本編の物語は、パターソンがHo-IXで空へ飛び立つ、あの感動的なシーンで幕を閉じます。
「めでたし、めでたし」…と、言いたいところですが、ファンとしては、やっぱり気になるじゃないですか、彼の、そしてあの人の、その後が!
幸いなことに、外伝であるPSP版『Heroes』のエンディングムービーで、その後の彼らの姿を、ほんの少しだけ垣間見ることができるんです。
舞台は1945年、ヨーロッパでの戦争が終結した後の、おそらくは戦勝を祝うパーティーか何かの席。
OSSでの危険な任務を全て終え、英雄として仲間たちから称賛されるジミー・パターソン。
彼は、多くの戦友たちが見守る中、少し照れたような、でもどこか決意に満ちた表情で、あのマノン・バティースの前に進み出ます。
そして、彼女の手に優しくキスをし… なんと、プロポーズするんですよ!
キャー! 会場、大盛り上がりですよ、きっと!
驚きと、戸惑いと、そして抑えきれない喜びが入り混じったような、何とも言えない美しい表情で微笑むマノン。
…で、彼女の返事は? 気になりますよね?
…残念! ここで画面はフェードアウトし、「彼女の返答は報告されていない…(Her answer was not reported...)」という、何とも粋で、想像力を掻き立てるナレーションが入るんです。
いやー、にくい演出!
でも、あのマノンの表情を見れば、答えはもう決まってるようなもんじゃないですか? ねぇ?
戦火の中で生まれ、幾度もの死線を共に乗り越える中で育まれた、二人の特別な絆が、平和な時代を迎えて、ついに実を結ぶ…そう信じさせてくれる、本当に心温まる、シリーズファンにとっては最高のボーナストラックと言えるエピローグです。
(※非公式ですけど、ファンの間では「絶対結婚したね!」ってことで確定事項になってます、たぶん。)
そして、歴史の歯車は回り、1945年5月8日、ナチス・ドイツは連合国に対し無条件降伏。
6年近くにわたってヨーロッパ全土を、いや世界中を巻き込んだ第二次世界大戦は、ついに終結の時を迎えたのです。
【英雄たちのその後、そして未来へ:超・個人的妄想と考察ファイル】
さて、戦争は終わった。
じゃあ、我らが英雄たちは、その後どうなったんでしょうか?
公式設定と、私の(かなり自由な)考察を交えて、彼らの「第二の人生」を想像してみましょうか。
- ジミー・パターソン: 終戦後はもちろん、アメリカに英雄として帰還。あの活躍ですからね、勲章もたくさんもらったでしょう。で、OSSでの経験と実績を買われて、戦後に設立される新しい諜報機関、CIA(中央情報局)の創設に関わり、初期の重要メンバーになった、というのが定説ですね。第二次世界大戦の英雄から、今度は冷戦下の「影の戦争」の戦士へ。
…なんだか休まる暇がなさそうですけど、彼ならきっと、その状況すら楽しんで(?)乗り越えたはず。
そして何より、最愛のマノンと結ばれ、仕事はハードでも、温かい家庭を築いて、幸せに暮らした…と、私は信じてます! MoHシリーズの永遠の顔役、彼の物語は伝説です。 - マノン・バティース: 戦後はもちろん、故国フランスへ。レジスタンスの英雄として、国民的な称賛と敬愛を集めたでしょうね。ド・ゴール将軍から直々に勲章を授与されたりしたかもしれません。彼女の不屈の闘志と愛国心は、戦後のフランス復興の大きな精神的支柱の一つになったはず。
初代MoHのミッションブリーフィングで語られる「マノンの日記」は、彼女の視点から見た戦争の記録として、プレイヤーに深い感銘を与えました。
そして、パターソンからのプロポーズ。
もちろん、答えは「Oui!(はい!)」でしょう! アメリカに渡って、愛する人と新しい人生を始めた…そう思いたいです。 - ウィリアム・ホルト: さて、問題はこの人ですよ。OSSの中でもトップシークレット中のトップシークレットなエージェント。戦後の彼の足取りは、公式には全くの不明。…ですが、あの超人的な能力と経験を、世界が放っておくはずがないですよね? 冷戦が始まり、米ソの対立が激化する中で、彼はCIA(あるいは他のもっと秘密の組織?)に所属し、世界各地で危険な秘密工作や諜報活動を続けていた…と考えるのが自然でしょう。
もしかしたら、007のジェームズ・ボンドのモデルの一人だったりして?(妄想) あるいは、全てに疲れ果てて、名前を変え、どこか人里離れた場所で静かに暮らした…という可能性もゼロではない? いや、彼に限ってそれはないか。
彼の真実は、永遠に歴史の闇の中かもしれません。
(※柘植久慶氏の日本版小説では、まさかのソ連KGBの顧問になった、というとんでもない展開が描かれていますが、これはあくまで小説だけのオリジナル設定、パラレルワールドとして楽しみましょう。) - マイク・パウエル: D-Dayの英雄、オマハ・ビーチをこじ開けた男。彼の所属したレンジャー部隊の武勇伝と共に、その名は長く語り継がれたはずです。戦後の詳しい消息は不明ですが、おそらくは故郷に帰り、静かな生活を送ったのではないでしょうか。ただ、彼のような卓越した兵士が、朝鮮戦争とかで再び呼び出された可能性も…? パターソンとは戦場で面識があった、という裏設定(海外ファンサイト情報)もあるらしく、戦後もどこかで交流があったかもしれませんね。
- ジョセフ・“ジョー”・グリフィン: 太平洋戦争は1945年8月15日、日本の降伏によって終結。彼は、南太平洋の島々での過酷な戦いを生き延び、無事にアメリカ本土へ帰還できたと信じたい。そして、彼にとって何よりも重要だったであろう、兄ドニーとの再会。終戦に伴って日本の捕虜収容所も解放されたはずですから、きっと、きっと再会できたはず! ゲームでは描かれなかった、兄弟が涙ながらに抱き合うシーンを、心の中で補完しましょう。
良かったね、ジョー! - トーマス・“トミー”・コンリン: 太平洋の地獄、特にタラワの血戦を生き延びた彼。心と体に深い傷を負いながらも、彼は戦争を生き抜きました。『Pacific Assault』のエンディングで示唆されている通り、終戦後、彼は軍を除隊し、故郷へと帰っていったのでしょう。戦争の悲劇と、失われた仲間たちへの想いを胸に、彼はどんな人生を歩んだのでしょうか。
彼の物語は、戦争の勝利の裏にある、個人の痛みと喪失、そしてそれでも生きていくことの意味を、静かに、しかし強く問いかけてきます。 - ジョン・ベイカー、ジャック・バーンズ、フランク・キーガン、ボイド・トラヴァース、ジョン・バーグ: イタリアの泥濘、アルデンヌの雪原、ノルマンディーの空…。それぞれの場所で、それぞれの戦いを生き抜いた彼らもまた、終戦の日を迎えたはずです。彼らの名前が歴史の教科書に大きく載ることはないかもしれません。
でも、彼ら一人一人の勇気、粘り強さ、そして払われた犠牲こそが、連合国の勝利という巨大なモザイク画を構成する、一つ一つの欠かせないピースなのです。彼らの存在を、私たちは忘れてはいけません。
【超・俯瞰考察:MoHが描いた「英雄」概念の変遷とテクノロジー】
MoHシリーズを通して見ると、興味深いのは「英雄」の描かれ方が微妙に変化している点です。
初期のパターソンやマノンは、個人の能力と勇気で困難を切り開く、クラシックなヒーロー像。
アライドアサルトのパウエルは、よりリアルな兵士としての側面が強調され、個人の力だけでなく、部隊(レンジャー)としての連携や役割が重要視されます。
ヨーロッパ強襲のホルトは、一転して超人的な単独工作員となり、戦争の裏側で暗躍する存在。
太平洋組(ジョー、トミー)は、より戦争の悲劇性や仲間との絆、個人的な動機(兄の救出、生き残ること)がクローズアップされます。
そして、もう一つ注目したいのが、テクノロジーの進化と戦争の描かれ方の関係です。
初期作品では、第二次世界大戦のクラシックな銃器や兵器が主役でしたが、シリーズが進むにつれて、レーダー、暗視ゴーグル(アライドアサルト)、パラシュート降下による自由な潜入(エアボーン)、そして現代戦ではドローン、レーザー誘導爆弾、高度な通信機器などが登場し、戦争の様相が変化していく様子が描かれます。
これは単にゲームとしてのギミックだけでなく、実際の戦争におけるテクノロジーの役割の変化を反映しているとも言えます。
特に現代戦シリーズでは、テクノロジーへの依存度が高まる一方で、それが必ずしも兵士の安全や精神的な負担を軽減するわけではない、という側面も(プリーチャーの葛藤などを通して)示唆されているように感じます。
MoHは、戦争という普遍的なテーマを扱いながらも、その時代時代のテクノロジーや社会状況を映し出す鏡でもあった、と言えるのではないでしょうか。
第二次世界大戦という、人類が経験した最大級の悲劇は終わりました。
『メダル・オブ・オナー』シリーズの前半生は、この巨大なキャンバスに、歴史の光と影の中で懸命に生きた英雄たちの、忘れがたい肖像画を描ききり、FPSというジャンルに「物語」という魂を吹き込みました。
しかし、戦争の歴史は、これで終わりではなかった。
世界は間もなく、核兵器の恐怖とイデオロギーの対立による「冷戦」という新たな時代に突入し、そして21世紀には、「テ◯との戦い」という、かつて経験したことのない、非対称で、終わりが見えない脅威に直面することになるのです。
そして、『メダル・オブ・オナー』の物語もまた、その新たな時代の、新たな戦場へと、その照準を合わせていくことになります。
それは、かつての明快な英雄譚とは異なる、より複雑で、よりリアルで、そしてより苦い後味を残すかもしれない、新たな戦いの記録の始まりでした。
【現代戦:2001年~2012年】 影の戦争、磨耗する魂Tier 1オペレーターたちのリアルと代償
第二次世界大戦の英雄たちの物語で、FPS界に金字塔を打ち立てた『メダル・オブ・オナー』。
しかし、時代は移り、ゲーム業界のトレンドも、そして世界の現実も大きく変わりました。
21世紀に入り、リアル志向の現代戦を描くFPSが市場を席巻する中、MoHシリーズも大きな岐路に立たされます。
そして、2010年。
彼らは大胆な決断を下しました。
開発スタジオを一新し(Danger Close Gamesが中心になりましたね)、舞台を現代のアフガニスタン紛争に移した、完全新作のリブートを発表したのです。
描かれるのは、もはや過去の戦争ではありません。
今、この瞬間も世界のどこかで、国家の最高機密として、人知れず最も危険な任務に従事しているとされる、謎に包まれた特殊部隊――「Tier 1オペレーター」たちの、息詰まるほどリアルで、時に非情極まりない戦いの現実でした。
アフガニスタン「不朽の自由作戦」(2001-2002):リブート! Tier 1という名の最精鋭、その光と影
2010年に、あえてサブタイトルを付けずにリリースされたリブート作『Medal of Honor』。
このゲームがプレイヤーを送り込むのは、私たちの記憶にも生々しい、あの2001年9月11日の事件(9.11)を直接的な引き金として、アメリカが主導して開始したアフガニスタンでの対テ◯戦争、「不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)」の、まさに緒戦ともいえる時期(2001年末から2002年春にかけて)です。
タリバン政権が崩壊し、アルカイダ掃討作戦が本格化していた頃ですね。
物語の中心となるのは、アメリカ軍のヒエラルキーの頂点に位置し、その存在自体が国家機密とされる、エリート中のエリート特殊部隊員たち――通称「Tier 1オペレーター」である。
彼らは、通常の特殊部隊(グリーンベレーやNavy SEALsなど)よりもさらに上の階層に位置し、大統領や国防長官直属で、最も困難で、最も政治的にデリケートな任務を請け負うとされる、まさに「影の軍隊」です。
プレイヤーは主に二人のTier 1オペレーターの視点を通して、アフガニスタンの荒涼として切り立った山岳地帯や、土埃が舞う貧しい村落での、過酷極まる任務を追体験することになります。
一人は、海軍特殊作戦コマンド(NAVSOC)隷下のDEVGRU(旧SEALチーム6として知られる、ビンラディン作戦などで有名ですね。
本作ではコードネームAFO Neptune)に所属する、比較的若手と思われる隊員“Rabbit”(ラビット)。
そしてもう一人は、陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)隷下のデルタフォース(正式名称は第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊。
こちらも数々の極秘作戦に従事してきたとされる、陸軍最強の部隊。
本作ではコードネームAFO Wolfpack)に所属する、経験豊富なベテラン隊員“Deuce”(デュース)。
プレイヤーはこの二人(と、一部ミッションでは別のキャラクターも)を交互に操作しながら、物語を進めていくことになります。
このリブート作の最大の売り文句は、「Authenticity(本物であること)」。
開発には、実際にアフガニスタンなどで活動した経験を持つ、複数の元 Tier 1オペレーターがアドバイザーとして深く関与し、「彼ら自身の体験に基づき、彼らが書き下ろした物語」である、とされました。
その結果、ゲーム内で描かれる戦闘術(室内の制圧方法とか、連携の仕方とか)、使用される武器や装備のディテール、部隊間の専門用語やコミュニケーション、そして何よりも、張り詰めた戦場の「空気感」は、これまでのMoHシリーズとは明らかに一線を画す、強烈なリアリティと没入感をもたらしました。
ミッションの内容も、当時のアフガニスタン情勢を反映した、生々しいものばかり。
反タリバン勢力である北部同盟との、一筋縄ではいかない交渉や共同作戦。
待ち伏せていたチェチェン人傭兵(これがまた強い!)からの予期せぬ激しい奇襲攻撃。
タリバンやアルカイダの残党が潜むとされるシャヒコット渓谷への、夜陰に乗じた危険な潜入と、レーザー照準器を使った精密な空爆支援要請(AC-130ガンシップの支援は、まさに神の声!でしたね)。
複雑に入り組んだ山中の洞窟群(ビンラディンが潜んでいたとされるトラボラを彷彿とさせます)への、息詰まる掃討作戦…。
どのミッションも、一瞬の油断が死に直結する、極度の緊張感に満ちています。
プレイヤーは、ラビットやデュースとして、常に冷静な状況判断、ミリ単位の正確さが求められる射撃スキル、そして何よりも、阿吽の呼吸ともいえるチームメイトとの完璧な連携を駆使して、これらの困難な任務を遂行していかなければなりません。
そして、物語は、最も過酷で、最も悲劇的なクライマックスへと向かいます。
アフガニスタン東部の山岳地帯で実際に起きた、アメリカ特殊部隊にとって大きな犠牲を伴った戦闘、「ロバーツリッジ事件(Battle of Roberts Ridge)」をモチーフにしたとされる、壮絶な救出作戦「タカール・ガルの戦い」です。
山頂での偵察任務中に敵の罠にはまり、ヘリコプターが撃墜され、敵性勢力のまっただ中で孤立無援となってしまった味方のSEALチーム(リーダーは“Mother”(マザー))。
彼らを救出するため、デュースやその上官“Panther”(パンサー)らデルタフォースのチームが、即席の救援部隊(QRF: Quick Reaction Force)として、決死の覚悟で現場へと急行します。
しかし、救援ヘリもまた撃墜され、地上では圧倒的多数のタリバン兵やアルカイダ兵(ゲーム内ではチェチェン兵も混じっていたかな?)との、絶望的な近接戦闘が繰り広げられることになるのです。
まさに、四面楚歌、地獄のような状況。
激しい銃撃戦と犠牲の末、デルタフォースは、多大な犠牲を払いながらも、なんとか包囲されていたSEALチームのメンバーを救出し、撤退することに成功します。
しかし、その勝利の代償は、あまりにも重いものでした。
チームの若手であり、プレイヤーが感情移入してきたであろうラビットが、この戦闘で複数の銃弾を受け、致命傷を負っていたのです。
救出ヘリの中で、仲間たちの懸命な応急処置も空しく、彼は静かに、そしてあまりにも若くして、その短い生涯を閉じるのでした。
帰還後、基地の格納庫。
ストレッチャーに乗せられ、星条旗に包まれた(あるいはボディバッグに納められた)ラビットの亡骸を前に、デュース、マザー、そしてラビットの相棒だった“Voodoo”(ブードゥー)ら、生き残ったTier 1オペレーターたちは、言葉なく立ち尽くし、ただ無言の敬礼を捧げるのです。
彼の勇敢な行動と、払われた尊い犠牲に対する、最大限の敬意を表して。
物語は、ラビットに対して、このシリーズのタイトルそのものであるアメリカ軍最高位の勲章「メダル・オブ・オナー(名誉勲章)」が死後追贈されたことを示唆する、重く、静かで、そしてどこかやりきれない余韻を残して、幕を閉じます。
このリブート作『Medal of Honor (2010)』は、その徹底したリアル志向と、現代の戦争という非常にデリケートなテーマを扱ったことで、大きな注目を集め、セールス的にも成功を収めましたが、同時にいくつかの論争も引き起こしました。
特に、当初オンラインマルチプレイヤーモードでプレイヤーが「タリバン兵」としてプレイできる仕様になっていたことは、「テ◯リストを英雄視するのか」「不謹慎だ」として、アメリカ国内の軍関係者や遺族団体などから激しい批判を浴び、発売元であるEA(エレクトロニック・アーツ)は発売直前に「タリバン」という名称を「Opposing Force(敵対勢力)」に変更せざるを得なくなりました。
また、「戦争のリアルを描く」という名目のもとで、敵をただ倒していく対象として描き、戦争行為そのものをエンターテイメント化しているのではないか、という批判も根強くありました。
しかし一方で、本作が、名誉や名声とは無縁の場所で、国家と仲間を守るという使命感だけを胸に、世界の最も危険な場所で人知れず戦い続ける「Tier 1オペレーター」という存在と、彼らが直面する過酷極まる現実、そして払われる犠牲の重さを、架空のドラマを通してではありますが、真摯に描こうとした意欲作であったことも、また事実でしょう。
シリーズは、賛否両論の嵐を受け止めながらも、新たな時代に向けて、その存在意義を問い直す、力強い一歩を踏み出したのです。
(※そして、開発に協力したとされる現役DEVGRU隊員7名が、後に機密保持義務違反で処罰されたという現実は、このゲームが描こうとした「リアル」が、決して単なるフィクションではなかったことを、皮肉にも証明する形となりました。)
国際テ◯ネットワークとの終わりなき戦い(2012年前後):プリーチャーの苦悩、世界を駆ける影の戦争、そして一つの終着点
2010年のリブート作の成功(と論争)を受けて、その直接的な続編として2012年にリリースされたのが『Medal of Honor: Warfighter』です。
物語の舞台は、前作から約10年の時が流れた、2010年代初頭の世界。
アフガニスタンでの局地的な戦闘から、物語のスケールは一気にグローバルなものへと拡大します。
もはや敵は、特定の地域に潜む武装勢力だけではありません。
国境を越えて繋がり、巧妙に資金を集め、最新の爆発物技術を駆使して、世界中でテ◯を引き起こそうとする、国際的なテ◯ネットワークとの、終わりが見えない「影の戦争」が描かれます。
今作でプレイヤーが主に操作するのは、前作にも登場したDEVGRU(AFO Neptune)のベテラン隊員、“Preacher”(プリーチャー)。
彼は、戦場においては極めて優秀で、冷静沈着、仲間からの信頼も厚い、まさにTier 1オペレーターの鑑のような兵士です。
しかし、その完璧に見える仮面の下で、彼の私生活はボロボロでした。
あまりにも危険で、あまりにも機密性の高い任務に明け暮れるあまり、家庭を顧みることができず、愛する妻レナと、まだ幼い娘ベラとの間には深い溝が生まれていたのです。
任務のストレス、戦場でのトラウマ(PTSDの兆候も見られます)、そして何よりも、家族を愛しているからこそ、彼らを自分の危険な世界から遠ざけたいという思いと、国を守るという兵士としての使命感の間で、彼は常に引き裂かれ、苦悩しています。
前作以上に、主人公の「人間」としての側面、その内面の葛藤や弱さが深く掘り下げられ、プレイヤーに感情移入を促す作りになっているのが、本作の大きな特徴と言えるでしょう。
物語の引き金となるのは、フィリピン南部で発生したイスラム過激派による大規模な爆弾事件。
そこで使用されたのが、金属探知機では検知が困難で、かつ少量でも絶大な破壊力を持つ高性能爆薬「PETN(ペンスリット)」でした。
この危険な爆薬が、「CLERIC(クレリック、聖職者)」と呼ばれる、謎に包まれた国際的な犯罪資金ネットワークによって、世界各地の過激派組織に供給され、西側諸国に対する大規模な同時多発テ◯が計画されている、という危機的な情報を掴んだプリーチャーとその仲間たち――前作から引き続き登場する、経験豊富なチームリーダー“Mother”(マザー)や、プリーチャーの頼れる右腕であり親友でもある“Voodoo”(ブードゥー)、そして新たにチームに加わったメンバーたち(Stumpなど)からなるAFO Neptuneは、この世界規模の犯罪の脅威を未然に阻止するため、文字通り世界中を駆け巡る、時間との戦いでもある過酷な追跡作戦を開始します。
彼らが投入される戦場は、まさに地球規模。
台風が迫るフィリピン・イサベラ市での人質救出作戦(浸水したホテルでのCQB!)、海賊が跋扈する無法地帯、ソマリア沖アデン湾での貨物船への夜間強襲と海賊拠点の制圧(リアルタイムの海賊問題が背景にありましたね)、紛争の傷跡が生々しく残るボスニアの首都サラエボでの、犯罪資金提供者のアジトへの潜入と、雪道での壮絶なカーチェイス、南アジアの混沌とした大都市パキスタン・カラチでの、危険な潜入捜査と情報収集活動、そしてアルカイダ系武装勢力(AQAP)が勢力を伸ばすイエメンの山岳地帯での、敵拠点への大規模な急襲作戦…。
それぞれのミッションは、当時の現実世界で実際に起きていた犯罪の脅威や地域紛争(ソマリア海賊問題、イエメンの内戦とAQAPの台頭、欧米でのPETNを用いた航空機爆破未遂事件など)を巧みに背景に取り込み、非常にリアルな国際情勢を反映した世界観の中で、ハリウッド映画顔負けの、スリリングでスペクタクルな特殊作戦を描き出します。
グラフィックも(当時の水準では)非常に美麗で、没入感はかなりのものでした。
しかし、その華々しいアクションシーンの裏側で、プリーチャーの個人的な苦悩は、ますます深刻になっていきます。
ミッションの合間に挿入される回想シーンや、衛星電話を通した妻レナとの、痛々しいほどリアルな口論、そして愛娘ベラへの切ない想い…。
プレイヤーは、スーパーヒーローではない、一人の傷つきやすい人間としてのプリーチャーの姿に、否応なく向き合わされることになります。
戦場での極度のストレス、仲間を失うことへの恐怖、任務の機密性ゆえの孤独、そして何よりも、愛する家族を守りたいという強い願いと、彼らを危険な自分の世界から遠ざけなければならないという現実との間で、彼の心は常に引き裂かれているのです。
これは、多くの特殊部隊員が現実に抱える問題なのかもしれません。
そして、物語の途中で、チームにとって、そしてプリーチャーにとって、耐え難い悲劇が再び起こります。
中東ドバイで、犯罪組織への武器密輸取引の現場を押さえるための潜入任務中、チームのリーダーであり、プリーチャーにとっては長年の戦友であり、父親のような存在でもあったリーダー、“Mother”(マザー)が、敵が周到に仕掛けた罠(爆弾)にかかり、プリーチャーの目の前で、壮絶な最期を遂げてしまうのです。
前作で若きラビットを失い、今また、チームの精神的支柱であったマザーまでも失ったプリーチャーの悲しみ、怒り、そして喪失感は、計り知れないものがありました。
それでも、任務は終わらない。
悲しみに打ちひしがれる暇もなく、プリーチャーは、残された仲間たち(VoodooやStump)と共に、最後の戦いへと向かいます。
PETN犯罪計画の黒幕であるとされる謎の首謀者「The Cleric」と、彼に協力して爆薬を世界中に売りさばこうとしていた元SAS隊員の悪徳武器商人、ストーバン・ボシッチを追って、最終決戦の地、中東イエメンへ。
内戦で荒廃した都市での激しい市街戦、敵車両との息詰まるカーチェイス、そしてテ◯リストのアジトへの最後の突入作戦。
プリーチャーは、Voodooら仲間たちとの完璧な連携プレーで、ついにボシッチを追い詰め、Clericに繋がる決定的な情報(彼の正体や次の計画?)も確保。
世界を震撼させるはずだった大規模PETNテ◯の脅威を、水際で食い止めることに成功するのです。
エンディング。
全ての任務を終え、心身ともに疲れ果て、そして多くのものを失ったプリーチャーは、人生における大きな決断を下します。
彼は、もはや限界だったのかもしれません。
これ以上、兵士として生き続けることはできない、と。
彼は、離婚届にサインする寸前だった妻レナと、彼を待ち続けていた愛娘ベラのもとへ、帰ることを選んだのです。
久しぶりに訪れた、かつて自分の家だった場所。
ドアを開けると、そこには驚きと、戸惑いと、そしてほんの少しの安堵を浮かべた妻と娘の姿がありました。
ぎこちなさが残る再会。
しかし、彼らの間には、失われた時間を取り戻し、傷ついた心を癒やし、もう一度「家族」として歩み出すための、静かだけれども確かな希望の光が灯っていました。
プリーチャーの、戦士としての物語はここで終わり、一人の父親、一人の夫としての、新たな(そしておそらくは、より困難な)戦いが始まることを予感させます。
彼の個人的な物語は、ここで一つの「救い」を得て、静かに幕を閉じるのです。
そして、ラストシーンでは、戦死したマザーに対して、ラビットと同じく名誉勲章が追贈される式典が執り行われる場面が示唆され、現代の戦場で人知れず散っていった英雄たちへの、深い敬意と鎮魂の祈りをもって、物語は完結します。
『Medal of Honor: Warfighter』は、前作以上にフィクション性とエンターテイメント性を追求し、より映画的でドラマチックな体験を目指しました。
同時に、世界各国の実在する特殊部隊(イギリスSAS、ドイツKSK、ポーランドGROM、韓国UDT/SEALs、オーストラリアSASRなど、全部で10カ国以上!)をフィーチャーし、それぞれの部隊の装備や戦術を(ある程度ですが)再現したマルチプレイヤーモードは、非常に野心的な試みでした。
しかし、シングルプレイヤーのストーリー展開やゲームメカニクスの一部が、当時絶大な人気を誇っていたライバル作『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』シリーズと比較され、「模倣に過ぎない」「独自性に欠ける」といった厳しい評価を受けることも少なくありませんでした。
結果的に、セールスは前作を下回り、商業的には成功したとは言い難い結果に終わりました。
そして、残念なことに、この『Warfighter』を最後に、現代戦を舞台とした『メダル・オブ・オナー』シリーズの開発は、再び長い、そして今度こそ本当に終わりの見えない休止期間に入ってしまうのです。
2025年の現在に至るまで、この流れを汲む後継作品は発表されていません。
【超・深掘り考察:現代戦MoHが目指した「リアル」の理想と現実、そして残された問い】
2010年のリブートから『Warfighter』へと続いた、現代戦『メダル・オブ・オナー』の試み。
それは、単に市場のトレンドに乗っただけではなく、シリーズが長年培ってきた「歴史への敬意」と「リアルさへの追求」という精神を、現代という舞台で再定義しようとする、野心的な挑戦だったと言えるでしょう。
その核にあったのは、やはり「Authenticity(本物らしさ)」への強いこだわりでした。
実際の元Tier 1オペレーターたちを開発プロセスに深く関与させ、彼らの証言や経験に基づいた戦術、装備、そして「戦場のリアルな空気」を、可能な限り忠実に再現しようとしたのです。
特に『Warfighter』では、兵士の戦闘スキルだけでなく、彼らが抱える個人的な葛藤や、任務と家庭生活との間で引き裂かれる苦悩を描くことで、単なるスーパーヒーローではない、生身の人間としての「兵士のリアル」に迫ろうとしました。
これは、他の現代戦FPSがあまり踏み込まなかった領域であり、MoHならではの視点だったと言えるかもしれません。
しかし、その「リアルさ」への追求は、同時に多くの困難と矛盾も孕んでいました。
現実の戦争や事件を生々しく描くことに対する倫理的な問題。
軍事機密に抵触しかねない情報の扱い。
そして何よりも、戦争という悲劇的な現実を、ゲームというエンターテイメントの枠組みの中で描くことの根本的な難しさ。
リアルを追求すればするほど、それは時にプレイヤーにとって不快であったり、あるいは単調であったりする可能性もあります。
逆にエンタメ性を高めようとすれば、それは「戦争の美化」や「現実からの乖離」という批判を招きかねません。
現代戦MoHは、まさにこの「リアル」と「エンタメ」の狭間で、常に揺れ動き、最適なバランスを見つけることに苦心していたように見えます。
結果として、その野心的な試みは、商業的な成功や批評的な評価という点では、必ずしも報われたとは言えませんでした。
それでも、彼らが残したものは、決して無価値ではありません。
ラビットやマザーの死を通して描かれた、現代の戦争における犠牲の重さ。
プリーチャーの葛藤を通して描かれた、兵士という存在の人間的な脆さや複雑さ。
それらは、戦争が単なる画面上のスペクタクルではなく、生身の人間の痛みとドラマであることを、私たちプレイヤーに改めて強く、そして深く考えさせるきっかけを与えてくれました。
『メダル・オブ・オナー』が現代戦という舞台で試みた挑戦は、たとえその道が途中で途絶えてしまったとしても、FPSというジャンルの歴史の中で、そして戦争というものを考える上で、記憶され、議論されるべき価値を持つものだった、と私は思います。
そして、彼らが投げかけた問い――リアルな戦争をどう描くべきか、兵士の人間性をどう表現すべきか――は、今もなお、多くのゲーム開発者やプレイヤーにとって、重要な課題であり続けているのです。
魂の肖像ギャラリー時を超え、我々の記憶に刻まれた英雄たち
『メダル・オブ・オナー』という壮大な物語銀河。
その星々を輝かせてきたのは、数々の忘れがたいキャラクターたちです。
彼らは単なるピクセルの集合体ではありません。
それぞれが喜び、悲しみ、怒り、愛し、そして自らの信念のために戦い抜いた、生きた魂の記録そのもの。
さあ、ここで改めて、主要な英雄たちの肖像を、じっくりと眺め、その功績と人間性に思いを馳せてみましょうか。
ジェームズ “ジミー”・パターソン中尉 (James "Jimmy" Patterson)
- 登場作品: 初代『Medal of Honor』(PS1)、『史上最大の作戦 (Frontline)』、『Heroes』
- 所属/経歴: 元は空飛ぶ好青年(陸軍航空隊パイロット)→ 運命の悪戯で影の仕事人(OSSエージェント)→ 戦後は国家の守護者?(CIA創設メンバー説)
- 主な功績(ダイジェスト): マノン救出(運命の出会い!)、Uボート基地壊滅(スパイの才能開花)、マーケット・ガーデン作戦支援(どこまでもタフ)、宿敵シュトゥルムガイスト打倒(因縁の対決!)、そしてナチスの最終秘密兵器Ho-IX計画阻止&まさかの機体奪取で大空へ!(伝説達成)。まさにMoHの「顔」。
- 人間関係: マノン・バティースとは、戦火の中で育まれた、ただならぬ絆。プロポーズの行方は…まあ、言わずもがなでしょう! パウエル中尉とは知り合いだったかも?
- 人物像を一言で: 理想のアメリカンヒーロー。勇気、機転、不屈の精神、そして愛嬌も。彼の成長物語がシリーズ前半を牽引した。彼がいなければMoHは始まらない!
マノン・バティース (Manon Batiste)
- 登場作品: 『Underground』(主人公!)、初代『Medal of Honor』(声の出演)、『史上最大の作戦』(救われる役…でも重要!)、『Heroes』
- 所属/経歴: パリの一般市民 → 祖国愛に燃えるレジスタンス闘士 → 国際派スパイ(OSS協力者/エージェント)
- 主な功績(ダイジェスト): ナチス占領下のパリで、火花を散らす抵抗運動を展開。OSSの下でヨーロッパ各地を転戦。そして、パリ解放の立役者の一人に!
- 人間関係: パターソンとは、互いに命の恩人であり、戦友であり、そして…? 兄ピエールの死が彼女を強くした。
- 人物像を一言で: 自由の女神。シリーズ唯一無二のプレイアブル女性主人公(当時)。美しさと強さ、そして決して屈しない誇り高き魂を持つ。戦後はフランスの英雄。
ウィリアム・ホルト中尉 (William Holt)
- 登場作品: 『ヨーロッパ強襲』、『Heroes』
- 所属/経歴: OSSの最終兵器、長官直属のトラブルシューター。経歴? そんなもの、トップシークレットです。
- 主な功績(ダイジェスト): スターリングラードでソ連を救い(?)、ノルウェーでナチスの核の夢を砕き、サンナゼールで英軍を助け、そしてバルジで宿敵シュレーダー将軍を倒し、世界を救った(かもしれない)男。
- 人間関係: 基本、一匹狼。OSSネットワークの一員ではあるが、彼を知る者は少ない。孤独を愛する(?)影の仕事人。
- 人物像を一言で: 超人。冷静沈着、任務遂行能力MAX。あらゆる戦場、あらゆる状況に対応可能。まさに「ミッション:インポッシブル」を地で行く男。彼の存在がMoHに深みを与えた。
マイク・パウエル中尉 (Mike Powell)
- 登場作品: 『アライドアサルト』(主人公!)
- 所属/経歴: 米陸軍第2レンジャー大隊所属のエリート兵士 → 時にはOSSの仕事も手伝う便利屋?
- 主な功績(ダイジェスト): トーチ作戦で要塞無力化(さすがレンジャー!)。そして何と言っても、D-Day、オマハ・ビーチでの地獄からの生還と突破口確保! これだけで伝説。
- 人間関係: パターソンとは知り合い?(裏設定)。レンジャーの仲間たちとの無言の絆が光る。
- 人物像を一言で: 静かなる英雄。FPS史に残る傑作の主人公。多くを語らず、ただ黙々と任務を遂行する、プロフェッショナル中のプロフェッショナル。彼の視点で見たD-Dayは忘れられない。
ジョセフ・“ジョー”・グリフィン伍長 (Joseph "Joe" Griffin)
- 登場作品: 『ライジングサン』(主人公!)
- 所属/経歴: 平凡な米海兵隊員 → 兄を探す執念の戦士
- 主な功績(ダイジェスト): 真珠湾、フィリピン、ガダルカナル…太平洋の激戦を転戦。シンガポールでスパイ活動したり、ビルマで秘宝伝説に関わったり、黒幕の島田少将を倒したり…結構波乱万丈。
- 人間関係: 全ての行動原理は「兄ドニーを救うこと」。ゲーム内では叶わなかったが、きっと戦後に再会できたはず!
- 人物像を一言で: 兄想いの実直な男。太平洋戦争の過酷さを、個人的なドラマと共に体験させてくれた。彼の物語の「未完」は、ある意味で伝説。
トーマス・“トミー”・コンリン一等兵 (Thomas "Tommy" Conlin)
- 登場作品: 『パシフィックアサルト』(主人公!)
- 所属/経歴: あどけない新兵 → 地獄を見た歴戦の海兵(第1海兵師団 → 第2海兵師団)
- 主な功績(ダイジェスト): 真珠湾の奇襲を生き延び、ガダルカナルの消耗戦を耐え抜き、そして太平洋戦争屈指の地獄、タラワの戦いを生き残ったサバイバー。
- 人間関係: 分隊の仲間たち(フランク、ジミー、ウィリー…)との絆が全て。彼らとの出会いと別れが、彼の心を形作った。
- 人物像を一言で: 戦争のリアルを生きた男。新兵が極限状況下で成長し、傷つき、それでも仲間を想う姿が胸を打つ。彼の物語は、MoHシリーズに深みを与えた傑作。
“Rabbit”(ラビット)
- 登場作品: 『Medal of Honor (2010)』(主人公の一人)
- 所属/経歴: 海軍特殊部隊DEVGRU (AFO Neptune) / Tier 1オペレーター。若き精鋭。
- 主な功績(ダイジェスト): アフガニスタンでの数々の危険極まりない対テ◯作戦に従事。
- 最期: タカール・ガルの戦いで、仲間を救うために奮戦するも、敵弾に倒れ殉職。彼の死は、現代戦の非情さを象徴した。名誉勲章追贈。
- 人物像を一言で: 寡黙なる犠牲。プレイヤーが最初に感情移入するTier 1。彼の短い生涯と死は、多くのプレイヤーに衝撃を与えた。
“Preacher”(プリーチャー)
- 登場作品: 『Medal of Honor (2010)』(脇役)、『Warfighter』(主人公!)
- 所属/経歴: 海軍特殊部隊DEVGRU (AFO Neptune) / Tier 1オペレーター。経験豊富なベテラン。
- 主な功績(ダイジェスト): アフガンでの経験を経て、国際的な対テ◯作戦の最前線へ。フィリピン、ソマリア、ボスニア、パキスタン、イエメン…世界中を飛び回り、大規模PETN犯罪計画を阻止!
- 人間関係: 妻レナ、娘ベラとの家庭崩壊の危機に直面し、苦悩する。戦友Mother、Voodooらとの絆は固い。
- 人物像を一言で: 傷ついた英雄。現代戦MoHを象徴する存在。戦場での強さと、私生活での弱さや葛藤がリアルに描かれた。最終的に「家族」を選んだ彼の決断は、一つの救い。
“Mother”(マザー)
- 登場作品: 『Medal of Honor (2010)』、『Warfighter』
- 所属/経歴: 海軍特殊部隊DEVGRU (AFO Neptune) / Tier 1オペレーター。頼れるチームリーダー。
- 主な功績(ダイジェスト): ラビットやプリーチャーたちの上官として、数々の困難な作戦を指揮し、チームを導いた。
- 最期: 『Warfighter』のドバイでの任務中、敵の罠にかかり爆死。チームにとって計り知れない損失だった。彼にも名誉勲章追贈。
- 人物像を一言で: 頼れる兄貴分。経験豊富で冷静沈着、部下からの信頼も厚い、理想の上官。彼の存在がチームを支えていた。
そして、彼らを支えた(あるいは敵対した)無数の魂たち
イタリアの泥濘を共に歩んだジョン・ベイカー軍曹、バルジの森で凍えたジャック・バーンズ軍曹、マーケット・ガーデンの悲劇を見たフランク・キーガン軍曹、空から戦場を見下ろしたボイド・トラヴァース一等兵、D-Day前夜に暗躍したジョン・バーグ中尉、そして現代戦の“Deuce”、“Voodoo”、“Panther”、“Stump”といったTier 1オペレーターたち、さらには宿敵となったシュレーダー将軍や島田少将…。
彼ら一人一人の存在が、物語に深みと彩りを与え、MoHの世界を忘れがたいものにしているのです。
このギャラリーに並んだ英雄たちの肖像。
それは、単なるゲームキャラクターの紹介ではありません。
彼らの物語に触れることは、歴史の、そして現代の、光と影の中で、人間がいかに生き、いかに戦い、何を信じ、何を失い、そして何を後世に遺そうとしたのか、その普遍的な問いに、私たち自身が向き合うことでもあるのです。
彼らの魂は、きっと今も、どこかで私たちを見守ってくれている…そんな気がしませんか?
MoHユニバースの広がりスピンオフ、メディアミックス、そして未来への布石?
さて、メインディッシュ(本編シリーズ)を堪能したところで、ちょっと箸休め…いやいや、MoHの世界はまだまだ奥が深いんですよ!
本編だけじゃ語りきれない英雄たちの活躍や、ちょっと違った角度から見た戦争を描いたスピンオフ作品、文字で読むMoH、そして最近ではVRなんていう新しい体験まで!
この広大なMoHユニバースの、魅力的な「周辺銀河」たちを、2025年の視点から改めて探検してみましょうか。
もしかしたら、シリーズの未来へのヒントが隠されているかも…?
ポケットの中の戦場:携帯ゲーム機での英雄譚
『Medal of Honor: Infiltrator』 (2003年, GBA)
いやー、GBAでMoHですよ! しかも、見下ろし型の結構ガチなアクション。
主人公ジェイク・マーフィー伍長と一緒に、スターリングラードからノルマンディーまで、第二次世界大戦の主要な戦いを駆け抜ける。
本編との直接リンクは薄いけど、当時の携帯機でこれだけ遊べたのは凄い。
『Medal of Honor: Heroes』 (2006年, PSP)
これはもう、ファン感涙の一本! なんと、パターソン、ベイカー、ホルトっていう、レジェンド主人公3人が再登場して、それぞれの「本編では語られなかったミッション」をプレイできるんです!
マーケット・ガーデンでのパターソンとか、イタリアでのベイカーとか、バルジでのホルトとか…胸熱すぎません?
しかも、エンディングであのパターソンのプロポーズシーン! PSP持ってて良かったー!って本気で思いましたよ。
『Medal of Honor: Heroes 2』 (2007年, PSP/Wii)
今度は新主人公、OSS諜報員のジョン・バーグ中尉。
D-Day直前のノルマンディーに潜入して、V2ロケットの情報を探る…っていう、渋いけど重要な任務を描く。
これもまた、歴史の裏側で戦った影の英雄の物語。
Wii版はザッパー対応で、ガンシューティングとしても楽しめましたね。
据え置き機での「もう一つの戦線」
『Medal of Honor: Vanguard』 (2007年, PS2/Wii)
主人公は第82空挺師団のフランク・キーガン軍曹。
シチリア島上陸、ノルマンディー降下、そして悲劇のマーケット・ガーデン作戦と、ヨーロッパ戦線の主要な空挺作戦を体験。
特にマーケット・ガーデン作戦の絶望感の描写は印象的でした。
まさに「ヴァンガード(前衛)」の苦闘を描いた作品。
『Medal of Honor: Airborne』 (2007年, PC/PS3/Xbox 360)
これは画期的でした! ミッション開始がパラシュート降下からで、広大なマップのどこに降りて、どう攻めるか、自由度が高い!
第82・第101空挺師団のボイド・トラヴァース一等兵として、イタリアからドイツ本土まで、空挺兵の過酷な戦いをリアルに(そしてちょっとカッコよく)体験できました。
武器のカスタマイズ要素も面白かった。
究極の没入体験?:VRで蘇る第二次世界大戦
『Medal of Honor: Above and Beyond』 (2020年, VR)
長い沈黙を破って登場した、シリーズ最新作(外伝的位置づけですが)。
なんと、VR専用!
プレイヤーはOSSエージェントとなって、再び第二次世界大戦のヨーロッパへ。
フランスのレジスタンスと共闘したり、D-Dayのオマハ・ビーチ(!)に上陸したり、Uボートに潜入したり…
過去作へのオマージュ満載のミッションを、まさに自分がその場にいるかのような圧倒的な没入感で体験できる!
VR酔いさえ克服できれば、これはもう、究極のMoH体験と言えるかもしれません。
2025年現在でも、VR FPSの代表作の一つとして評価されています。
ここが凄い!『Above and Beyond』のドキュメンタリー要素
この作品がただのVRゲームじゃないのは、ゲーム本編とは別に、第二次世界大戦を実際に戦った(そして当時まだご存命だった)高齢の退役軍人の方々への、貴重なインタビュー映像が大量に収録されている点です。
彼らが語る、生々しい、そして時にユーモラスで、時に胸が張り裂けるような体験談。
これが、ゲームのフィクション性を補強し、戦争というもの、そしてそこで生きた人々への敬意を、プレイヤーに深く、深く考えさせるんです。
これこそ、MoHシリーズが長年大切にしてきた「歴史へのリスペクト」という精神の、最も現代的で、最も感動的な表現かもしれません。
正直、このギャラリーモードだけでも、この作品をプレイ(視聴?)する価値は十分にあります。
涙なしには見られません。
文字で読む、もう一つのMoH
小説版
日本では、軍事・冒険小説界のレジェンド、柘植久慶先生によるオリジナルのMoH小説が2冊出ています(『ヨーロッパ強襲』と『バルジ突破』)。
ゲームの『ヨーロッパ強襲』をベースにしつつも、そこは柘植先生、史実とフィクションを大胆にミックスした、ハードボイルドで読み応えのある物語になっています。
ホルト中尉っぽい主人公が出てきますが、ゲームとは別物、パラレルワールドとして楽しむのが吉ですね。
夢と消えた物語たち…:幻のMoH
キャンセル作品
ゲーム業界の常とはいえ、開発中止になったMoH作品もいくつか存在します。
第二次世界大戦のドッグファイトを扱った『Fighter Command』(この企画自体は別の形で日の目を見ましたが)や、そして何より、ファンが最も続編を熱望したであろう『Rising Sun 2』…。
もしこれらが完成していたら、ジョーとドニーの物語はどう完結し、シリーズ全体の歴史はどんな風に変わっていたんでしょうか?
想像するだけで、ちょっと切なくなりますね。
これもまた、ゲーム史の「if」の一つです。
これらの周辺作品群は、MoHという巨大な物語の銀河系を、さらに豊かで、複雑で、魅力的なものにしてくれています。
特に、最新作であるVR版『Above and Beyond』が、シリーズの原点である第二次世界大戦に回帰し、しかも最新技術(VR)と普遍的なテーマ(ドキュメンタリー)を融合させたことは、非常に興味深い動きです。
これは、シリーズがまだ死んでいないこと、そして未来に向けて、新たな物語を紡ぐ可能性を秘めていることの、ささやかな、しかし確かな証なのかもしれません。
【2025年時点でのシリーズの現在地と未来】
『Warfighter』(2012年)以降、本流と言えるナンバリングタイトルや現代戦を舞台にした新作は途絶えている。
『Above and Beyond』(2020年)はVRというニッチながらも先進的な分野でのリリースであり、大きな成功を収めたとは言い難いものの、シリーズ存続への意思表示と見ることもできる。
2025年現在、FPS市場は相変わらず激戦区であり、『コール オブ デューティ』や『バトルフィールド』といった巨大IPが覇権を争っている。
その中で、『メダル・オブ・オナー』が再び存在感を示すためには、過去の栄光に頼るだけでなく、現代のプレイヤーを惹きつける革新性と、シリーズならではの「物語性」「歴史への敬意」を融合させた、新たなビジョンが必要だろう。
第二次世界大戦への回帰か、現代戦への再挑戦か、あるいは全く新しい時代設定か。
ファンとしては、いつの日か、再び『メダル・オブ・オナー』の名を冠した傑作が登場し、新たな英雄たちの物語が紡がれることを、切に願わずにはいられない。
その可能性はゼロではない、と信じたい。
【超・俯瞰考察:MoHシリーズ、その生存戦略と未来へのロードマップ(妄想版)】
さて、2025年の今、MoHシリーズはどうなっているんでしょうか?
正直、ちょっと寂しい状況ですよね。
『Warfighter』(2012)以降、本流と言える新作は出ていません。
『Above and Beyond』(2020)は、VRというある意味ニッチな市場に向けたものでしたし、爆発的なヒットとはなりませんでした(内容は素晴らしかったですが!)。
今のFPS市場は、相変わらず『コール オブ デューティ』と『バトルフィールド』という二大巨頭がしのぎを削るレッドオーシャン。
そこに、基本プレイ無料のバトルロイヤル系(Apexとかフォートナイトとか)も加わって、もう大変なことになっています。
そんな中で、古豪『メダル・オブ・オナー』が再び輝きを取り戻すには、どうすればいいのか?
私の妄想ロードマップとしては、まず「原点回帰」と「革新」の両輪が必要だと思うんです。
- 原点回帰(物語性の重視): やっぱりMoHの魅力は、骨太なストーリーとキャラクター、そして歴史へのリスペクトだと思うんです。単なるオンライン対戦ツールじゃない、記憶に残るシングルプレイヤー体験。これをもう一度、現代の技術で、徹底的に作り込む。舞台は第二次世界大戦でもいいし、あるいはまだあまり描かれていない朝鮮戦争やベトナム戦争(倫理的に難しいかな?)、あるいは冷戦下のスパイものとかでも面白いかも。
- 革新(ゲームプレイと技術): ただ昔ながらのMoHを作っても、今のプレイヤーには響かないでしょう。VR版で見せたような新しい技術への挑戦も必要だし、ゲームプレイ自体にも、何か新しいアイデアが欲しい。例えば、もっとプレイヤーの選択が物語に影響を与えるようなシステムとか、あるいはCo-op(協力プレイ)に特化したストーリーモードとか?
- Tier 1路線の再挑戦?: 現代戦、特にTier 1オペレーター路線も、完全に捨てるのはもったいない。あのリアル志向と緊張感は、やっぱり魅力的でしたから。ただ、やるなら『Warfighter』での反省を踏まえて、もっとストーリーやキャラクターの内面描写に深みを持たせ、単なる「リアル風アクション」に終わらない、MoHならではの「人間ドラマ」をしっかり描く必要があるでしょうね。倫理的な問題にも、もっと真摯に向き合う姿勢が求められるはず。
まあ、これはあくまで私の勝手な妄想ですけどね!
でも、EAさん、Respawnさん(『Apex Legends』や『タイタンフォール』、そして『Above and Beyond』を作ったスタジオ!)、もしこの記事読んでたら、MoH復活、本気で考えてみませんか?
世界中に、待ってるファンが、きっと、たくさんいるはずですよ!
その時は、私、シナリオ協力くらいなら…いや、なんでもないです(笑)。
終幕のファンファーレ、そして鳴り止まぬ魂のアンコールMoHが遺したモノ、そして未来への希望
さあ、長らくのお付き合い、本当にありがとうございました!
我々は今、半世紀以上にわたる『メダル・オブ・オナー』という、壮大で、濃密で、そして忘れがたい物語の旅路を、ついに終えようとしています。
1940年、ナチスの鉄蹄に踏みにじられたパリの石畳から、1944年、自由の代償として無数の命が散ったノルマンディーの血染めの海岸へ。
そして時代は巡り、2001年、アフガニスタンの乾いた大地で始まった、終わりの見えない「テ◯との戦い」へ、2012年、世界を股にかけ、正義の名の下に繰り広げられた「影の戦争」の最前線へ…。
『メダル・オブ・オナー』シリーズが、その長い、そして波乱に満ちた歴史を通して、私たちに描き続けてくれたもの。
それは、歴史の教科書が決して語ることのない、しかし確かにそこに存在したはずの、名もなき兵士や諜報員たちの、生々しく、人間臭く、そしてあまりにも尊い「魂の記録」そのものでした。
ジミー・パターソンが、最後に手にした自由の翼(Ho-IX)で大空へと舞い上がった、あのカタルシス。
マノン・バティースが、レジスタンスの旗の下で決して諦めなかった、誇り高き闘志。
マイク・パウエルが、オマハ・ビーチの地獄の門をこじ開けた、レンジャー魂。
ウィリアム・ホルトが、ナチスの悪夢のような野望を打ち砕いた、孤独な戦い。
トーマス・コンリンが、タラワの砂浜で見送った、仲間への涙。
ジョセフ・グリフィンが、兄を想い続けた、切ないまでの兄弟愛。
そして、ラビットが、その短い生涯で示した、名誉も顧みぬ自己犠牲。
プリーチャーが、戦場と日常の狭間で背負い続けた、重すぎる十字架…。
私たちは、彼らの目を通して、彼らの心を通して、戦争という極限状態が人間にもたらす、あらゆる感情――恐怖、怒り、悲しみ、絶望、そしてその中にあってなお輝きを失わない、勇気、希望、仲間への信頼、愛、そして人間としての尊厳――を、繰り返し、繰り返し、追体験してきたのです。
それは、単なるゲーム体験を超えた、私たちの心に深く刻まれる、魂の旅だったと言えるでしょう。
シリーズのタイトルにもなっている「メダル・オブ・オナー(名誉勲章)」。
アメリカ軍における最高の栄誉。
究極の勇気と自己犠牲の証。
でも、このゲームシリーズにおける「メダル・オブ・オナー」は、もはや単なる勲章の名前以上の意味を持っている、と私は思うんです。
それは、この物語に登場した、全ての戦士たち――たとえ歴史に名を残さなくとも、勲章や名声とは無縁の場所で、自らの信じるもののために、あるいは守りたい誰かのために、命を賭して戦い、そして静かに散っていった、無数の魂たち――その一人一人に対する、作り手からの、そして私たちプレイヤーからの、心からの敬意と、鎮魂の祈り、そして「あなたの勇気を忘れない」という誓いそのものを、象徴しているのではないでしょうか。
特に現代戦を描いた作品群において、ラビットやマザーに名誉勲章が追贈されるシーンは、その意味合いを、より強く、私たちの胸に響かせました。
初代『メダル・オブ・オナー』が1999年に登場した時の衝撃は、今でも忘れられません。
スピルバーグ監督が関わったという話題性もさることながら、その映画的な演出、リアルな音響、歴史に基づいた重厚なストーリーは、当時のFPS界に革命を起こしました。
「FPSでも、こんなに物語に没入できるんだ!」「戦争って、ただ撃ち合うだけじゃないんだ!」と。
その功績は計り知れず、後の多くの名作FPSが、MoHの影響下にあると言っても過言ではありません。
シリーズ自身も、その成功に甘んじることなく、第二次世界大戦から現代戦へ、そしてVRへと、常に時代の変化に対応し、新しい表現や技術に挑戦し続けてきました。
その道は、決して平坦ではなく、時には厳しい批判や商業的な失敗も経験しました。
しかし、その挑戦し続ける姿勢、そして根底に流れる「歴史と人間への敬意」という精神こそが、『メダル・オブ・オナー』を、単なる過去のヒット作ではなく、今なお多くのファンに愛され、語り継がれるべき、特別なシリーズたらしめている理由なのだと、私は確信しています。
2025年の今、こうして改めてMoHシリーズの全史を振り返ってみて、いかがでしたでしょうか?
この長すぎる(笑)私の語りが、あなたが『メダル・オブ・オナー』という偉大な物語の宇宙を、より深く、より多角的に、そしてより愛おしく感じてもらうための一助となれたなら、徹夜でキーボードを叩いた甲斐があったというものです。
もし、あなたがまだ、彼ら英雄たちの戦いの物語に触れたことがないのなら…
ちょっと時間はかかるかもしれませんが、ぜひ、どれか一つでも手に取って、その世界に飛び込んでみてください。
そこには、単なる暇つぶしやストレス解消を超えた、あなたの価値観や歴史観を揺さぶるかもしれない、特別な体験が待っているはずです。
保証します!
そして、もしあなたが、私と同じように、既にシリーズの虜となっている古参兵であるならば…
この記事を読んで、「ああ、そうだった、そうだった!」「あのミッション、最高だったよな!」「いや、その解釈はちょっと違うぜ!」なんて、熱い想いが込み上げてきたのではないでしょうか?
それなら最高です!
今夜あたり、押入れの奥から古いソフトを引っ張り出してきて、久しぶりに再プレイしてみるのも、また一興かもしれませんよ?(ただし、最新OSで動くかは保証しませんが…笑)
彼らが戦火の中で見た景色、聞いた音、感じた痛み、そして仲間たちと交わした最後の言葉…。
それらは、たとえピクセルとポリゴンで描かれた世界であっても、不思議と私たちの心に、リアルな感触と重みをもって響き続けます。
なぜなら、彼らが命を賭して守ろうとしたもの――自由、正義、仲間、家族、そして人間としての尊厳――の物語は、時代を超え、国境を超え、私たち全てにとって、決して色褪せることのない、普遍的な価値を持っているからです。
そう、英雄たちの物語は、決して終わらない。
私たちの心の中で、彼らは永遠に戦い続け、そして語り継がれていくのです。
『メダル・オブ・オナー』よ、永遠なれ!
…さて、と。
そろそろ息子を起こして、朝ごはんの準備しなきゃ。
現実の戦場(?)も待ってますからね!
最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました!
またどこかの記事でお会いしましょう!