「ここから明日の晩御飯のおかずに何を作ろうかしら……と考えていたら、なぜか思い出してしまう昔ハマった未完の小説ってありませんか?」
そんなふうに、今さら誰も話題にしていないかもだけど、自分の中ではまだ大事……
という作品があったりしますよね。
わたしはしょっちゅう思い出すんですよ、通勤電車の中とかで。
しかも絶妙なタイミングで
「続きどうなったんだっけ……?」
なんて脳内リピートが始まって困ることも。
今回取り上げる『ラグナロク』は、まさしくそんな“未完でも根強い人気”を誇るライトノベルの代表格です。
本作は1998年に角川スニーカー文庫からスタートし、当時は
「次世代の看板作かも!」
なんて騒がれていたんですよ。
ところが数年後にパタリと新刊が出なくなり、いつしか「打ち切り」というキーワードが囁かれるように……。
しかしその後、別レーベルやWeb連載で驚きのリブートを果たしたんです。
よくよく聞けば作者・安井健太郎さん本人が
「実は絶縁状を受け取って……」
なんて衝撃発言をしていたとか。
なんだか二転三転する裏事情が詰まりすぎて、小説のストーリーよりも実話のほうがドラマチックだったりするかもしれません。
この記事では、そんな『ラグナロク』の
未完騒動の経緯や本当に打ち切りだったのかどうか
さらには
作者の今の活動
や
リブート版『ラグナロク:Re』
について、しっかり深堀りしていきます。
途中ちょっぴりシュールなツッコミも飛び出すかもしれませんが、
「わたしには関係なかとよ~」
なんてスルーしないで、どうぞついてきてくださいませ。
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ラグナロクとはどんな作品?
まずは前提として、『ラグナロク』っていったいどんなお話なのか簡単にご紹介しておきましょう。
これは1998年に角川スニーカー文庫から刊行開始したライトノベルで、第3回スニーカー大賞《大賞》を受賞した華々しいデビュー作です。
作者は安井健太郎さん。
当時の文庫背表紙には
「激しいバトルと独特の文体が最高!」
みたいな宣伝文句が踊っていた……はず(記憶力に自信はありませんが、当時そのへんの書店で積まれていた光景だけは朧げに覚えています)。
物語は、主人公リロイ・シュヴァルツァーと意思を持つ魔剣「ラグナロク」を軸に展開。
なんといっても特色は、
“剣が語り手を担当する一人称視点”
を用いた構成。
剣が主役の冒険譚だなんて、なかなか面白そうでしょう?
もともと海外ファンタジーの影響が色濃い作品とされており、強烈なアクションシーンや世界観の重厚感が「新しい!」と注目を集めました。
刊行当初は年に数冊のハイペースで本編や短編集が出ていて、「黒き獣」「獣の烙印」など、とにかく獣推しなサブタイトルが並んでいたのが印象的。
リロイの中に眠る“獣の力”と、世界の終末を示す“ラグナロク”という大仰なキーワードが絡み合って、読者は先が知りたくてウズウズしていたんです。
わたしの友人なんて、当時「あのバトルシーンは映像化したら絶対すごいよ!」と興奮しまくっていました。
少年漫画的な盛り上げ方も多分に含んでいたので、ハマる人にはとことんハマるタイプの作品でしたね。
その真偽と背景ラグナロクは打ち切り?
ところが、2002年あたりを過ぎた頃から続刊が出ない、あるいは年に1冊も刊行されない……
みたいな事態に。
ファンは
「次の巻はまだ?」
「続きが気になる」
とやきもきしていたら、2004年に本編第11巻「獣の系譜」が出るものの、それでも完結ではありません。
さらに、2006年には短編集『ラグナロクEX』第9巻「MISFORTUNE」が刊行されて……それっきり。
そのまま新刊はぷっつり途絶えてしまいました。
「えっ?終わり?うそでしょ?」
と多くの読者が困惑。
後日談などもなかなか聞こえてこず、正直なところその時点で「事実上の打ち切りでは」と噂されていたわけです。
決定打となったのは2012年。
作者の安井健太郎さんがTwitterで
「角川スニーカー文庫編集部から絶縁状を受け取った」
と告白したのです。
なんだか壮大なワードが出てきましたよね、「絶縁状」って。
普通に聞いたら、ちょっと昔のヤクザ映画か何かかと勘違いしてしまいそうですが、平たく言えば
「編集部と完全に縁が切れた」
ということ。
つまりこの時点でスニーカー文庫での刊行継続は不可能になり、シリーズの再開も絶たれた……
となれば、もう“打ち切り扱い”と言わざるを得ないですよね。
作者本人は、その原因を
自分の執筆ペースの遅れと(自分が書いたものが)ライトノベルとは言えない内容
と評価されたことが原因だとコメント。
なるほど、いろんな事情が積もり積もって
出せなくなった
ということだったようです。
ライトノベル業界は、当時かなりペース重視・商業重視で本を出していた印象があるので、予定どおり刊行できない作家さんは、場合によっては容赦なく切られてしまう世界だったのかもしれません。
そんなわけで、ラグナロクの打ち切り疑惑はやがて「打ち切り確定説」へシフトしていき、今ではほぼ常識のように語られています。
でもファンとしては
「大事な伏線、どうするんだ!」
とか、
「クライマックス手前でやめるなんて生殺しじゃないか!」
と叫びたくなりますよね。
わたしももし当時をリアルタイムで追っていたら、夜中にベッドで悶絶していたかもしれません(子どもが寝てる横で悶絶するのはちょっと怪しいので、こっそり心の中で叫ぶ感じですが……)。
遅筆、作風、編集部とのズレ打ち切りの要因
遅筆という宿命
安井さん自身が認めているように、執筆速度が遅いと出版社との折り合いも難しくなります。
ライトノベルは、1年に何冊も続刊が出るシリーズが珍しくないジャンル。
ファンは
「早く次巻読みたい!」
と待ち構えていますし、出版側も
「利益を確保するにはペースが大事」
となるわけです。
そこに遅筆が絡むと、商業的なリスクは大きくなります。
ただ、作家さんの執筆ペースは体質とかこだわりなどで人それぞれですから、一概に「遅筆が悪!」とは言えませんよね。
わたしなんか、朝の5時に起きて家族の朝食準備して、子どもを送り出し、自分も会社へ行き、帰ったら夕飯に洗濯物……
ってスケジュールで仕事してるから、もしわたしがラノベ作家ならば確実に「超スローペース確定」ですよ。
それでも
「作品を出してほしい」
と思うか、
「いえいえ無理せずでいいですよ」
となるかは、編集部やファンとの相性なんでしょうね……。
作風のアンマッチ
「ライトノベルらしくない」という指摘もあったといいます。
確かに、ラグナロクは重厚なバトル要素や複雑な世界設定が評価される一方で、
「当時のラノベ市場のトレンドとちょっとズレていたかも」
とも言われています。
わたしが思うに、読者の好みにはばっちり合っていた層もあったのでしょうが、編集部から見ると
「もう少しライト層でも楽しめる路線に寄せてほしい」
というビジネス的な視点があったのかも。
編集部とのコミュニケーション不全
結局のところ、「絶縁状を受け取った」という物騒な(?)結末に至った背景には、作家と編集部の間での方針すり合わせが破綻していた可能性が高い。
しっかり腹を割って話し合いができていれば、ペース配分を変えるとか、内容をちょっと調整するとか、いろんな落としどころもあったのかもしれないのに……
もったいないですよね。
しかし、これも“出版あるある”と言うべきか、当時はそう珍しい話でもなかったようです。
打ち切り後の作者安井健太郎の活動
さて、スニーカー文庫を去った後の安井さんはどうしていたのか。
大方の予想では
「もう小説界には戻らないかも」
なんて言われていたこともありましたが、実際はしっかり他社レーベルで新たな執筆を開始しています。
講談社ラノベ文庫『アークIX』
2013年に講談社ラノベ文庫からリリースされたのが『アークIX』。
ちょっとSFっぽい雰囲気も混ざったアクション系のライトノベルで、忍術と近代兵器を合わせたような世界観が特徴でした。
全5巻まで出ていますが、こちらもしばらく新刊は出ておらず、いわゆる「続きが見えない」状態。
でも、しっかり巻数を重ねて完結しているわけではないものの、読み応えのあるシリーズだったと好評を得ています。
オーバーラップ文庫『神狩(カガリ)』
さらに安井さんは和風ファンタジーの『神狩(カガリ)』を上下巻で刊行。
これもバトル描写には定評があって、
「ああ、これが安井ワールドね」
というファンが納得するところが多かった様子。
つまり打ち切り騒動を経ても、作家としての筆は完全に止まっていなかった、ということです。
遺作の完結を託された実力
実は安井さん、故・吉田直さんの遺作『トリニティ・ブラッド』を引き継いで完結へ導いた経歴もあります。
これはかなり特殊な立場ですが、他人の作品を綺麗にまとめあげるスキルもあるというわけで、作家としての実力は業界内でも認められているんですよね。
だからこそ
「いつか自分の代表作『ラグナロク』にもケリをつけてほしい」
と願うファンが多いわけです。
奇跡の再始動リブート版『ラグナロク:Re』
小説家になろうでの再連載
長らく止まっていたシリーズが、2017年に突如Web小説投稿サイト「小説家になろう」で連載開始。
これは大事件でしたよ。
当時Twitter界隈でも
「ラグナロクが帰ってきた!」
と大盛り上がり。
絶縁だの打ち切りだの言われていた作品が、こうもあっさり(でもないけど)別の媒体で連載されるなんて、ファンとしては感慨もひとしおですよね。
作者いわく
昔の作品をなぞらず、今の自分が面白いと思う形で再構築した
という方針。
そのため、旧版とは設定の細部やストーリーの展開が変わっている部分があるんです。
おそらく当時の構想をリセットし、新たな発想で物語を組み上げているのだとか。
まあ、それだけ時間も経過しているし、ファンタジー世界の描き方も時代によってトレンドが違いますからね。
オーバーラップ文庫での書籍化
Web連載が話題になった翌年、2018年にはオーバーラップ文庫から『ラグナロク:Re』というタイトルで本格的に書籍化されました。
イラスト担当は巖本英利さん。
過去のTASAさん版の雰囲気とはまた違った味わいがあり、
「旧ファンも新鮮な気持ちで読める」
という評判です。
リブート版は、旧ファンが「懐かしい!」と喜びつつも、新規読者にも
「旧版知らなくてもついていける!」
と好意的に受け入れられました。
とはいえ、旧版でしか語られていないエピソードや、ラグナロクのキャラ(剣なのにキャラってどういうこと?と思われるかもしれませんが、これがまた面白いんですよ)の掛け合いが好きだった人もいて、比較して楽しむ動きが結構ネットで見られましたね。
4巻まで出て再びストップ
しかしながら……「月下に吼える獣」(第1巻)を皮切りに2020年までに計4巻出したところで、また刊行が止まっているんです。
「あらま、またかい!」
って突っ込みたくなりますけど、この繰り返しがファンを余計にハラハラさせるわけですよね。
多くの読者が
「今度こそ完結まで走り抜いてくれよ」
と祈る思いで応援していたので、一時的に
「また未完になるのか……」
と落胆の声も上がっていました。
打ち切り回避の新ステージFantiaでの外伝発表
Fantiaって何?
Fantiaというのは、クリエイターが自分の作品や創作活動を直接ファンに向けて発信・販売・公開できるプラットフォームです。
漫画やイラスト、同人活動などで活発に使われているイメージが強いですが、小説もやれないわけではありません。
ファンは定期的に支援することで、特典コンテンツや未公開のラフ原稿が見られるなど、いろんなメリットがあります。
2024年、ラグナロク:Reの外伝を公開開始
安井さんは2024年にFantiaを開設し、そこで『ラグナロク:Re』の外伝を書き始めたとのこと。
ということは、商業的に書籍刊行が止まっていても、個人ペースで物語を続けているということになりますね。
これがまたファンにとっては大いなる希望。
もう一度
「角川スニーカー文庫時代の苦い経験を繰り返すことなく、作者が書きたいときに書ける場を確保した」
みたいな印象です。
作者コメントなどを見ると、
「少しずつでも完結に向けて進めたい」
という意思が見られるとのことで、やきもきしているファンにとっては朗報でしょう。
商業と違ってマイペースな連載にはなるかもしれませんが、完全な打ち切りよりはずっとマシ。
「最後まで書いてくれるなら長期戦でもいい!」
というファンが今まさに血眼で追いかけているはず。
いまだ根強い人気ファンの思いとコミュニティ
掲示板で続く議論
5ちゃんねるのライトノベル板やSNSでも、定期的に
「ラグナロクは何巻まで読めばいいの?」
「リブート版と旧版の違いは?」
と話題が出ます。
新刊ペースが遅い作品って、普通はだんだんファンが離れていってしまいそうなものですが、本作に関しては
「絶賛放置されていたのに復活する」
というドラマがあったせいか、コアな読者がずっと語り合いを続けているのが特徴ですね。
ハッシュタグで盛り上がり
安井さん本人もXを使って情報発信しているので、「#ラグナロク」とか「#安井先生」というタグで検索すると、過去作への愛や、Fantiaでの更新を喜ぶ声などが散見されます。
わたしもSNSで
「やっと外伝出たって!買わねば!」
みたいな投稿を見かけると、
「あ、まだ続いてるんだ!」
とホッとします。
新規と古参の共存
リブート版から入った新規読者にとってみると、旧版の未完騒動はやや過去の話題かもしれません。
実はどちらも楽しむのがベストなんでしょうが、旧版は紙や電子書籍の入手難度がちょっと高かったりするんですよね。
とはいえ
「昔はこういうテンポの文章だったのか~」
なんて比べ読みすると、作風の進化がよく分かっておもしろいはずです。
“打ち切り作家”から“カムバック作家”へ
普通なら、一度打ち切りされたら「そのままフェードアウトしてしまう」ケースが多いのがライトノベル業界。
わたしの知り合いも
「途中で終わっちゃったラノベはなかなか再開しない」
と嘆いていましたが、本作はそこからがドラマチック。
安井さんが角川スニーカー文庫を離れ、講談社ラノベ文庫やオーバーラップ文庫、さらにファンティアへと活動場所を移していくたびに
「今度こそ続く?」
とファンは期待し、
「やっと出た」
「しばらく止まるのか?」
と一喜一憂してきました。
まるで連続ドラマを追いかけているみたい。
いっそ『ラグナロク打ち切り再来!?』なんていうドキュメンタリー番組を作ってほしいくらいです(いや、マニア以外はあまり興味を持たないかもしれませんが……)。
それだけ作家としてのブランドがある程度確立していたことと、ファンの声が絶えなかったことが大きいでしょうね。
実際、ラノベ作家は大量にいますが、ここまで「復活が待望される」例はそう多くはありません。
未完の作品なんてたくさんあるのに、なぜ『ラグナロク』だけがこんなに盛り上がるのか。
それこそが本作の魅力を物語っています。
売上データ・他作品との比較
『ラグナロク』の具体的な累計部数は公開されていません。
しかし本編11巻+短編集9巻の計20冊が出ているわけですから、それなりに売れていたことは間違いないでしょう。
辺りを見回すと、当時の角川スニーカー文庫では『涼宮ハルヒ』シリーズも大ヒットしていた時期で、富士見ファンタジア文庫なら『スレイヤーズ』や『フルメタル・パニック!』が盛り上がっていたり、電撃文庫からは『キノの旅』などが続々登場していたり……。
ライトノベルが徐々にメディアミックスの形で脚光を浴び始める時代でした。
『ラグナロク』はアニメ化などの波に乗ることはできなかったですが、当時から確固たるファンを掴んでいた作品ゆえに、一度刊行停止しても復活できたというのは、やはり作品の魅力が大きいのでしょう。
途中で出版社を変えて続きが出た作品としては、浅井ラボさんの『されど罪人は竜と踊る』のような例もあり、ライトノベルでは特に珍しいわけではないのですが、『ラグナロク』の打ち切り~復活劇はそれ以上に波乱万丈感が強い印象です。
それでも再び未完?リブート版の休止と今後
『ラグナロク:Re』は第4巻まで刊行された後、また止まっている状態。
こうなるとさすがに
「また同じ轍を踏むのか……」
という不安がよぎるのも無理はありません。
アクション盛りだくさんのハードなファンタジーを丁寧に書き続けるのは相当なエネルギーを要するでしょうから、のんびりペースでも書いてくれればいいよ、とファンは思っているかもしれませんが、商業のレーベルは売上やスケジュール管理の都合でそうもいかない。
そんな中、Fantiaで外伝が動いているのは救いです。
Webプラットフォームが充実している現代、商業レーベルでなくても連載を続ける道は残されているわけですね。
わたしも「仕事や育児で忙しいならFantiaとかブログで少しずつ更新してもいいじゃない」なんて、完全に他人事のように考えてしまいます。
大変さはあるでしょうが、少なくとも打ち切りという絶望には陥らなくて済むわけで、応援したいところです。
これから読もうとする方へ
今から『ラグナロク』を追いかけるという方は、まず 旧版(角川スニーカー文庫版) が手に入れば読んでみるのもアリ。
全20冊(本編11+短編集9)あるので、さすがにボリュームは十分。
文章はちょっと古めかしい感じや荒削りな部分も見られますが、逆にそこが魅力という声も多いです。
ただし未完で終わるという心の準備はお忘れなく。
一方、 リブート版『ラグナロク:Re』 から始めるのも大いにオススメ。
2018年からスタートして第4巻まで出ており、旧版とは違うストーリー展開や設定調整が行われています。
旧版にこだわらず今のラノベっぽさを味わえる構成になっているので、新規読者にはこちらがとっつきやすいかも。
そしてさらに熱中したら、 Fantia で外伝のエピソードを読んでみましょう。
商業刊行が止まっていても、作者が自分の手で続きを紡いでいる様子をリアルタイムに体験できるのはファンにとって非常に大きな意味があります。
「ちょっと参加型感覚で面白いかも」
と思うなら、ぜひ覗いてみてはいかがでしょう。
打ち切りの行方と、ファンが支える物語
『ラグナロク』という作品をめぐって浮き彫りになるのは、
「打ち切りや中断があっても、読者が求め続ければ再始動のチャンスはあるのかもしれない」
という点です。
とくに、今はWeb小説投稿サイトやクラウドファンディング的な支援プラットフォームが充実している時代。
数十年前なら一度打ち切りになったら再開はかなり厳しかったでしょうが、こうして“個人で書き進める余地”が増えたことで、完全終了を回避できる例が出てきたわけですね。
実際、わたしのまわりにも
「完結していない作品は買いたくない!」
という人もいれば、
「未完でも面白かったら十分に読む価値がある」
と言う人もいます。
ラグナロクの場合は後者の声が大きい印象ですね。
未完で終わるにしても、圧倒的なアクションやキャラクターの魅力を堪能するだけで満足度が高いと感じる読者が少なくないのでしょう。
もちろん、できることならしっかり完結まで読んで感動したい。
幸い作者が「書く気はある」と言っているうちは、ファンとしては諦める必要はなさそう。
ぜひ長期的な視野でお付き合いしていきましょう。
むしろ、長い年月をかけて完結を待つのってなかなかロマンを感じませんか?
わたしは気長に待つのは苦手ですが、この作品の場合は待ちたいと思うだけの魅力があると断言します。
情報総まとめ
- ラグナロクは打ち切りだったのか?
→ 公式にそう表現されたわけではありませんが、作者が「絶縁状を受け取った」と明かし、角川スニーカー文庫から続きが出ない状態に。執筆遅延や作風のギャップなどが理由とされ、事実上打ち切り扱いとなりました。 - 作者・安井健太郎の現在
→ 講談社ラノベ文庫の『アークIX』、オーバーラップ文庫の『神狩』などを出し続けており、未だ現役。ネットやSNSで活動もしており、ファンとの交流も積極的。一度の打ち切りで消えるどころか、逆に復活を遂げる逞しさが垣間見えます。 - リブート版『ラグナロク:Re』
→ 2017年に「小説家になろう」で連載し、2018年からオーバーラップ文庫で第4巻まで刊行。旧版とは構成が異なるリビルド作品。2020年以降刊行が止まり、再び不安視されるが、Fantiaで外伝を継続執筆中。 - ファンコミュニティの動き
→ ネット掲示板やSNSで、いまだ考察や盛り上がりを見せる。作者が更新するたびに歓喜の声が上がり、「また止まるのか?」でドキドキし、「でも次こそ完結か?」と期待を寄せるという、ある意味スリリングな状況が続いている。 - 今から読むなら
→ 旧版は未完だけど当時の魅力を味わえる。リブート版は新しく整理されていて読みやすい。どうしても続きが知りたければFantiaで外伝をチェック。
再始動を追いかける熱狂終わりに
普通なら「打ち切り=エンド」かと思いきや、実際には何度でも復活しては止まり、止まっては復活する。
ある意味“フェニックス”みたいな作品。
それが『ラグナロク』の面白いところかもしれません。
ライトノベル界の荒波に揉まれながらも、こうして新装版が出たり、ネットで外伝を発表されたり――何度だって戻ってきてくれる。
むしろファンは、「待ってました!」と嬉しくなるサイクルを繰り返しているわけです。
無論、完結しないシリーズを追いかけ続けるのは辛いと感じる人もいるでしょう。
でも、そこにロマンやドラマを感じる人も多いはず。
わたしとしては、
「じっくり腰を据えて作者を見守るのもいいんじゃない?」
とオススメしたいところ。
完結しないかもしれないという不安と、未完ゆえの盛り上がりを両方楽しめるのは、ある意味ファンの特権です。
いつの日か、ちゃんと物語が終わる瞬間に立ち会えたら最高ですよね。
実は、現代のライトノベル界では打ち切りや長期休載は決して珍しくありません。
ところが『ラグナロク』のように、ファンの期待を一身に背負いながら何度でも“再誕”する作品はそうそうない。
そこにこそ、この作品の真価があります。
作者もファンも、昔のごたごたを乗り越えて「次こそは!」と進んでいる姿を想像するだけで、こっちまで応援したくなるというものです。
読者それぞれが、旧版から派生する懐かしさを感じるもよし、リブート版のスタイリッシュな雰囲気に酔うもよし、Fantiaの外伝でリアルタイム更新を楽しむもよし。
どんなスタイルでも、この作品の世界観やキャラクターを通じて「終末(ラグナロク)に向かう物語」のダイナミズムを味わえるでしょう。
少なくとも、作者が公に
「絶縁状を受け取ったけど、諦めてないよ」
と言っているならば、誰にも止められないくらいのやる気が内在しているはず。
ファンはただ待つのではなく、XやFantiaをチェックして、進捗を見守ることができます。
わたしなんかは
「次巻、遅れてるらしいですけど?」
なんて発破をかけるのは忍びないから、そっと
「お身体だけはご自愛くださいね……」
と遠くから祈る派です。
そうやって思うと、ラグナロクの打ち切り騒動は
作家・編集・ファンの三者が繰り広げる群像劇
みたいなものにさえ見えてきます。
わたしはここで縁側に座ったおばあちゃんみたいにお茶をすすりながら、
「まぁいろいろあるさね~」
と笑って見守っていきますよ。
だって、これまでもアップダウンが激しかったんだから、きっとこの先も一筋縄じゃいかないはず。
でもそれがまた面白い! だからみんな、ずっと注目しちゃうんでしょうね。
毎日仕事や育児に追われていると、ほんの少しの癒しやワクワクが心の支えになるもの。
ラグナロクはその“ワクワク担当”として、大いに期待できるポテンシャルを秘めています。
「ラグナロクは打ち切り…だったけど、実はまだ続く!」
――こんなドラマティックな展開は、なかなか体験できませんよ。
読んでない方は、ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね。